令和5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
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令和5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号
議事日程 第3号
令和5年9月20日(水曜日)
午前10時開議
第1 議案第104号から議案第124号まで及び報第4号(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第104号から議案第124号まで及び報第4号(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(42人)
1番 坂本佳隆
2番 三栖拓也
3番 秋月史成
4番 川畑哲哉
5番 藤山将材
6番 森 礼子
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 高田英亮
10番 玉木久登
11番 佐藤武治
12番 濱口太史
13番 鈴木太雄
14番 冨安民浩
15番 吉井和視
16番 鈴木德久
17番 玄素彰人
18番 岩田弘彦
19番 中本浩精
20番 中村裕一
21番 谷 洋一
22番 山家敏宏
23番 北山慎一
24番 堀 龍雄
25番 谷口和樹
26番 新島 雄
27番 山下直也
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 小西政宏
36番 浦平美博
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 岸本周平
副知事 下 宏
理事 田嶋久嗣
知事室長 北廣理人
危機管理監 福田充宏
総務部長 吉村 顕
企画部長 前 昌治
地域振興監 赤坂武彦
環境生活部長 山本祥生
福祉保健部長 今西宏行
商工観光労働部長 三龍正人
農林水産部長 山本佳之
県土整備部長 福本仁志
会計管理者 﨑山秀樹
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員 竹山早穗
警察本部長 山﨑洋平
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 林 伸幸
次長(秘書広報室長事務取扱)
萩原 享
議事課長 長田和直
議事課副課長 岩谷隆哉
議事課議事班長 伊賀顕正
議事課主任 菅野清久
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 葛城泰洋
政策調査課長 岩井紀生
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午前10時0分開議
○議長(濱口太史君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第104号から議案第124号まで及び報第4号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
34番坂本 登君。
〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。
議長のお許しをいただき、質問をさせていただきます。
岸本知事が誕生され、新しい県政が始まってる今、昨年に引き続き、主に二つの根本的な課題について、改めて知事並びに当局に見解をお伺いするものであります。
一つは、1次産業の取組について、もう一点は、少子化対策についてであります。
1次産業の振興なくして地域の発展はないというのが私の一貫した主張であります。
私たちを取り巻く社会経済状況は、コロナ禍の影響など、思いもよらない突然の出来事により、様々な、そして大きな影響を被りました。本県も例外ではありません。物が売れない、観光客が少ない、半導体の不足により電気製品も不足するなど、様々な影響が見られました。その結果、こうした産業の関連する企業の業績も伸び悩み、従業員が一時職を失うという事態も多く見られました。
しかし、私の選挙区である日高地方を見ましても、1次産業はそれほどのダメージは見られませんでした。もちろん、全体的な需要の減少により、一部の農産物については多少の影響は見られたものの、かえって梅産業などは、病気に強い食べ物として好調を持続しています。ありがたいことでございます。農業の足腰の強さを実感いたしました。
しかしながら、目を世界に転じて、食料というレベルで農業、そして世界の将来を考えますと、絶望に近い姿が連日伝えられております。ごく最近も、ロシアによる黒海の食料輸送封鎖が伝えられ、中東やアフリカの食料不足が一層懸念されています。人類の生存には、何といってもまず食料の確保が大切であります。食料が国家間の戦略物資になることはもはや避けられなくなり、一部の地域によっては、食料不足により国民の生命さえ危うくなるという事態が今日起こっても、明日起こってもおかしくないという緊迫した事態を迎えています。世界の人口は、2050年には92億人程度となり、食料は今の70%程度の増産が必要と言われております。食料価格が高騰し、自国の食料を自国の国民のために囲い込む動きがますます強くなっていくことでしょう。
我が国に近いアジアの国々を見ましても、インドの人口が中国の人口を追い越し、14億2860万人と世界一になりました。中国は人口の爆発的な増加を抑えられていますが、経済発展の背景には、食生活の高級化が急速に進んでいると言われております。これまであまり食べなかった鮮魚なども食べられるようになり、我が国の食卓にも大きな影響が見られていることは日常の出来事になってきております。
我が国の食料自給率は38%です。6割以上が外国の食料に頼って生きているという状態です。中でも、小麦、油類、大豆の外国依存が極端に高くなり、これを原料として作られるパンや麺類、豆腐などのことを考えれば、もはや私たちの命は外国の農産物によって支えられていると言っても過言ではありません。
本県の農業について見てみたいと思います。
本県の農業は、商品化率の高い農産物に特化しています。ミカン、梅などの果樹、野菜、花卉などのブランド力も高まり、市場競争力においても全国有数の農産物が生産されています。私も、かつてこの本会議におきまして地産外商という概念を提案し、東京、大阪はもちろん、外国への輸出も大いに取り組むべきであるとの主張をしてまいりました。本県の地形、土地の利用、生産年齢人口などを考えますと、この方法が一番合っているのではないかという思いは今も変わっておりません。
そこで、知事に質問します。
我々の食料は大丈夫なのかという会話がちまたで聞かれるようになり、将来確実に起こるであろう食料危機に対して、本県の農業はどう備えるべきなのか。一方で、本県の農業は、その地理的特性を生かして、市場競争力の高い戦略的作物に特化すべきであろうとの意見もあります。食料としての生産を担う農業と、競争力の高い産業としての農業、どちらを選べばいいのかという問題でもありませんが、昨今の農業、特に食料をめぐる世界的な情勢を鑑み、本県農業が取り組むべき基本的な方向について、知事の御所見をお伺いするものであります。
いずれにいたしましても、農業は、これを支える労働力の確保が大前提です。私は、昨年のこの本会議でも、農業にも最低賃金制度と8時間労働の導入を柱とする農業者労働基本法なるものを提案しました。もちろん名前も内容も私が勝手に考えた制度でありますが、私は、今回も特に新規に農業に就労する若者への対策を繰り返し強調し、当局の考え方をお伺いするものであります。
繰り返しになりますが、私が提案する農業者育成支援事業の概要を説明いたします。
目的は、農業に新たに就農する若者、特に見習期間とも言うべき新たに農業に従事してからの3年間程度のスタートアップ時期にこれを経済的に支援し、将来にわたって県農業の基幹的農業者として活躍をしていただく、同時に、地域の若きリーダーとしてコミュニティーをリードしていってもらいたいと思いを込めています。
幾つか前提条件を置いてみます。毎年新規に農業に就労する若者150人、最低賃金、時間当たり1000円、支援金支給期間、3年間、支給割合、1年目100%、2年目75%、3年目50%、労働時間、1日8時間、1か月15日就業、この前提で事業費を計算しますと、新規に農業に就労する若者には、1年目は月額12万円、年間144万円の育成支援金が支給されます。2年目はこの75%、3年目は50%の支援金となります。必要な事業費総額は、1年目は2億1600万円、2年目は3億7800万円、3年目は4億8600万円となり、4年目以降は毎年この4億8600万円の事業費が必要ということになります。国も同じような制度を実施しているようでありますが、それで目的が達成されているかといえば、全国の後継者不足の現実から、その不十分さを如実に表しています。私は、このギャップを県で補ってはどうかとの提案をしている次第であります。
15歳で就農した若者が65歳の年金支給年齢までの50年間、この制度を続けたとすれば、総事業費は243億円となります。その成果として、県内に7500人の基幹的農業者が地域に定着することになります。農業に後継者を、地域に若者を、これが私の願いであります。地域に安定した農業が定着すれば、関連してその地域には一定の住民が定着することなり、地域の維持存続にも大きな貢献をすることになります。
私の提案は、農業だけを特別に取り上げているのではなく、私たちの地域が長い歴史の中で、農業という土地に根差した産業によって維持・発展してきた、そして、そのことが将来にわたっても同じことであろうという役割を大切に思うからであります。
反対に、農業を取り巻く現在の状況を今のまま取り続けた場合、将来の姿を考えてみてください。唯一地域に富を生み出す農業が廃れ、農業者は激減し、農地は荒れ果て、農村はおろか、地域のコミュニティーさえ崩壊してしまい、消滅してしまう地域が続出することになるでしょう。地方における人口減少は目前に来ております。辛うじて地域を支えてきた農業が崩壊した姿を考えるだけでも恐ろしい。
最近、行政も盛んに費用対効果ということを求めるようになりました。かけた費用に対して成果はいかほどのものか、貴重な税金が財源ですから当然です。誰がふるさとを守っていくのでしょうか。永久とは言わないまでも、長く続くであろう県政、県民の生活、県土の管理などを考えれば、私は、農業者を育て、そのことを通して地域を維持発展していくための費用はそう高いものとは思っていません。十分な効果が得られるのではないでしょうか。トータルで考えてください。もちろん大きな財源が必要ですから、慎重な検討が必要なことは当然であります。
県内の道路網は、二階先生をはじめ、関係者の並々ならぬ努力で、海岸沿い、紀の川沿いの東西南北にわたり、高速道路の整備も完成もしくは完成の姿が見えるという段階まで来ました。県内の必要な道路整備は相当進んだというのが私の実感であります。河川改修や災害対策など、公共事業の重要性もこれまで以上に高まっています。
その上で、私はあえて提案します。これからは、様々な事業の一部を見直し、その予算の一部を若者の地方定着に振り向けてはいかがかと提案するものであります。
私は、地域に根差した産業である農業の後継者を育て、地域に住み、地域を守ってもらうことのほうが長い目で見て地域の維持、振興には得策なものではないかと信じています。地域から農業や漁業が廃れていきますと、人がいなくなる。その結果、地域のスーパーマーケットがなくなり、いろいろなサービス産業が撤退し、病院や国や県の出先機関といった公共施設も撤退するという事例を私たちはたくさん見てきました。地域の崩壊です。
私の提案は、農業者だけに焦点を合わせて議論しているだけではないかとの御指摘もあろうかと思いますが、よく考えてください。地域が所得を生み出す方法は、その地域に根差した農業や漁業以外にどんな道があるのでしょうか。今の時代、例えば白浜周辺におけるワーケーションなど条件に恵まれた特別な地域を除けば、なかなか地方に出かけてくれる企業、オフィスは多くは望めません。農業、漁業の衰退は、そのまま地域の衰退につながっていきます。
和歌山県の将来を預かる知事や県議会として、人口が先細りになる現状を何とかしなければと手をこまねいている時間はもうありません。30年後、50年後には取り返しのつかない後悔をすることになりかねません。今を預かる政治の責任として、人口減少にどう歯止めをかけるのか、具体的な施策を求められます。農業後継者の確保に対する県独自の取組について、知事にお伺いをいたします。
1次産業の2点目、林業について若干掘り下げた議論をしてみたいと思います。
最初に、林業政策に関わる全ての方にお尋ねしたい、林業は産業なのかと。
私は、多くの方々の苦情や意見を聞いてきました。幾つか紹介します。
長年にわたり、山林を大切に育ててこられた方の意見です。「今どき70年、80年生の杉1本売っても、豆腐1丁買うのと一緒やからなあ」、自嘲とも諦めともつかぬ嘆きです。
「僅かばかりの山を親から引き継いだのだが、将来のことを考えたら手入れをする金はなし。さりとて売るとなれば、伐採、運搬に、その費用のほうが何倍も高くなる。何といってもその作業を頼む働き手がない」、親から財産分与してもらったサラリーマンの声です。
「テレビで大雨のニュースを見るたびに心配で眠れなくなる。大雨で崩れた杉の木がそのまま川に流れ出し、橋桁に引っかかって大きな洪水被害を引き起こしている。うちの山があんなになったらどうしよう。間伐するお金も余裕もない」、現に、紀伊半島大水害の際には、新宮や那智勝浦などの方々で見られた光景です。身につまされます。
「そろそろ子供に相続したいのだが、子供は山の相続は絶対嫌。山のことは何も知らない」と言う。その方自身も、「自分の山がどこにあるのやら、どこが隣の山林との境界やら分からない」とこぼしていました。ふるさとを離れて暮らす高齢者の声です。
かつて大山林所有者だった方からも、木が安い、税金が高いなどの理由から、その財産を手放したといった話も聞きます。
そこで、農林水産部長にお聞きします。
70年から80年生の杉、ヒノキ、立木価格は今どの程度ですか。戦争で荒れ果てた国土の復興を願って、国や県の大号令の下、国民や県民が汗を流して植林をした木材です。
植林から下刈りや間伐をしながら今日に至っていると思います。その間の要した費用はどの程度だったのでしょうか。
その木材を伐採し、木材を市場まで運搬などに要するコストなどの程度はどの程度ですか。地域によると思いますが、平均的で結構であります。
中小の山林所有者が山で木を切ってもらい、市場まで運んでもらう、その仕事を頼める方々、いわゆる山林労働者の方々は、現状どの程度おられるのでしょうか。
こうした点を踏まえて、県内において、林業を家業として経営できる山林所有者はどの程度、何人ほどおられるのでしょうか。県内の面積別の所有者の数を教えてください。
知事は、就任以来、特に紀南地域は林業振興によって地域の活性化を図るとおっしゃっています。山村地域の住民にとっては、久々に聞く朗報でした。そのための具体策として、さきの6月議会において、森林組合や山林経営者に対し、老朽化した機械の更新などを支援するための紀州材生産力高度化支援事業として3億5000万円余りの補正予算を措置されました。
もちろん私も山村地域の活性化を切望するものであり、知事の挑戦には大賛成でありますが、本県の林業の実態は、1人当たりの所有面積は小さく、ほとんどが零細と言ってもいいほどの所有形態であります。加えて、林業価格の低迷と将来への不安から、果たしてどれだけの方が積極的に山林経営に対して投資をしようとするのか、私は大いに不安を感じております。
知事は、林業の現状をどう捉え、将来どのようなビジョンをお持ちなのか。何しろ、林業は植林してから商品になるまで70年から80年近くかかります。70~80年前に植林した方々は、今日の林業の姿を予想し得たでしょうか。子供の学費に、娘の嫁入り費用にと夢を持って植林した方々の夢は飛び散り、希望は無残にも裏切られることになりました。そうした方々は、林業の現状から再び夢と希望を持つことができるのでしょうか。
県民が70年、80年先に夢と希望を思い描くことのできるよう、林業100年、100年後を見据えた林業施策について、知事から御説明をいただきたいと思います。
私は、むしろ自然林への回帰を考えてはどうかと思っています。林業政策から森林政策への発想の転換です。
近年、鹿、イノシシ、猿などの農産物の被害の多さにはほとほと生産者も困り果て、多くの農地が耕作放棄地になっています。原因は、植林によって、ドングリなどの山の餌場が失われ、彼らも里に出てこざるを得ないことです。過度な生態系の変更は、全ての生物にとって不幸であります。
地球温暖化への対応として、生態系、わけても森林の持つ価値が再認識されています。自然林は、手を加えなくても成長します。そして、その間、CO2を吸収・蓄積し続けます。緑の砂漠とも言われる山地の保全にも大きな効果があると言われています。
森林の持つ環境対策効果は、もっと大きく評価してはどうでしょうか。そして、その評価を森林の価値、財として加算するシステムを考え出してはどうでしょうか。とっぴな話ではありません。現に、日本の企業が海外で保有する森林には、その分をCO2削減分として計算されているのですから、国内にあっても不思議ではありません。和歌山発の新しい取組をお勧めいたします。
これまで、林業政策では、自然林は対象とはいえ、あまり日が当たっていないという感じがしており、もっと林業政策の対象として、自然林に重点を置いてはどうかと提案するものでありますが、知事はどうお考えなのか、お聞かせください。
この際、農林水産部長にも、もう一点お伺いします。
現在、山林の所有者が森林組合に対してその伐採、運搬などの業務をお願いし、その後、伐採跡地に広葉樹を植栽する場合の支援についてお答えください。
次に、少子化問題についてお伺いします。
もとより、少子化問題は世界の先進国共通の課題であり、我が国においては国家レベルの課題であって、和歌山県だけの対策では限界があるという指摘はそのとおりでございます。
目を世界に転じますと、最近、インドが中国の人口を上回ったとの報道がありました。14億人を超える人口を有するインドと中国でどちらが多いということには大して興味はありませんが、問題は、その人口構成にあると言われています。
中国は、一人っ子政策で若者の比率が下がり、労働力や購買力の低下が見られ、将来の地域の活性化まで憂慮される事態に対し、インドの平均年齢は28歳と若く、今後も成長が見込まれます。GDPは現在世界5位ですが、数年以内には日本、ドイツを追い抜き、世界3位になるであろうと予測されています。
この話を日本に当てはめてはどうでしょうか。やはり人口規模が大きい、若者が多い地域ほど、あらゆる分野において競争力が高く、活力が満ち、さらにはその活力が若者を呼び込み、地域の人口減少とは反対に、一極集中の弊害さえ指摘される時代です。
このことは、規模の違いはあれ、和歌山県においても同じことが見られます。さきの話題になりました増田先生によると、「地方消滅」では、2040年の和歌山県の総人口は70万人を下回り、子供を産む可能性の高い若年女性は5万5000人弱です。全国で合計特殊出生率は1.26、和歌山の出生率は1.39と言われていますので、今後とも和歌山県の人口だけが劇的に増えることはありません。
人口減少と高齢化に苦しむ和歌山県をどう認識し、また、そのための対策はどうあるべきとお考えなのか、日夜考え、悩んでおいでのことと思いますが、基本的な考えで結構でございます。知事の御所見をお伺いいたします。
では、どうするか。農業後継者のところでも触れましたが、何か思い切った手を打たないと、この流れはますます悪くなります。
さきの補正予算で、知事は子供食堂への補助金を措置されました。大賛成であります。一つずつできることから積み上げていくべきであります。
少子化対策には三通りの方法があるのではないでしょうか。一つは、子供を産み育てようという年齢層の県内定着を図ること、もう一つは、生まれてきた子供の成長を社会が手助けをすること、さらに言えば、大きくなった子供が県内に定着できる就業機会の整備に努めることなどです。
昨年、私は、この議場におきまして、子育て支援金の創設を提案しました。子供を増やすにはどうすればいいのか、3人以上の子供を育てている世帯を対象にして、新たに生まれてくる子供1人に対し500万円の子育て支援金を支給してはどうかという内容であります。事業規模としては55億円の提案でした。
あわせて、子育て支援募金制度の創設も提案しました。和歌山の将来を担う子供を県民みんなで応援しよう、県民運動として寄附を募ろうという内容でした。両方とも残念ながらゼロ回答でした。理由は財源の問題です。
私は、こうしたやや無謀とも言える内容の提案をいたしましたのは、ひとえに県の将来を憂いてのことからです。子供が生まれない、高齢化が急速に進む、和歌山だけの問題ではありませんが、本県もどちらかといえばその方向の激しいほうの県に位置しています。
国も、少子化対策には相当力を入れ、岸田総理も、少子化傾向を反転できるかどうかラストチャンスと大号令をかけ、国を挙げての取組を始めようとしていますが、といっても、少子化には様々な要因が絡んでいると思いますので、これはといった切り札も見つかっていない現状ではないでしょうか。
そこで、提案です。
私は、子育て県民会議の設置を提案します。また会議かとお叱りの声が聞こえてきます。私も、会議をすればいい、会議を設置すればいいと言ってるのではありません。県民運動としてこの問題を取り上げ、県民総参加で少子化対策に取り組んでいこうと呼びかけるものであります。
1年目は、まず現状をよく知ることから始める。県内各地において、出産を考えてる人、出産を経験した方々から様々な悩みや意見を伺ってはどうでしょうか。そして、何が不足してるのか、どのような施策が必要なのかといった点についても県民の立場から考える。もとより、この間にあっては国や専門家の意見を伺うことも重要であります。
2年目は、並行して、和歌山県子育てビジョンを策定する。1年目の成果を基に、これからの子育て、あるいは子育て真っ最中といった県内の若い方々から専門の先生方、行政に携わる方々など、各般から構成する子育て県民会議を設置し、長期、中期、短期にわたる施策の整理をする。
3年目からは、具体的な事業を実行していく。子育て県民会議から提案された施策については、県が必ず毎年最低一つの事業を予算化することを約束する。3年もかかるのかという指摘もあろうかと思いますが、私はこの際、県民総参加の地に足のついたしっかりした現状認識と、他府県に先駆ける大胆な事業展開が必要かと思っています。
和歌山県は、本腰を入れて子育てに取り組んでいるという情報を内外に発信することにより、県がそんなに力を入れてくれるのであれば、和歌山に帰って、あるいは和歌山に行って、自然豊かな人情に包まれた地で子育てをしてみようかなという若い人たちもいるかもしれません。私はそう期待しています。知事の御所見をお伺いします。
次に、子育て支援についてであります。
前回も指摘しましたが、子育ての最大の課題は教育にあるのではないかとの認識は地方も国も共通のようであります。
かつて多くの自治体では、子供の教育支援の一環として、ランドセルの無償化を行われました。その後、子供の数が少なくなるにつれ、この無償ランドセルという制度が見られなくなってきました。
現在、国のほうでは、子育ての柱として教育無償化ということを取り上げられているようであります。子供の所帯の経済的負担を軽減しようとのお考えのようでありますが、私は、多くの子育てに苦労する親御さんからの話を聞き、地方における教育の悩みはお金の問題ではなく、教育の格差にあるように思っています。地方でも質の高い教育ができないものか、現在のランドセルの贈物はその中身に変わって生きているように思います。
情報化の時代にあって、各自治体は高度な情報技術を使った地方振興策にしのぎを削っていることと思います。情報技術を活用した質の高い教育への取組に対する知事の御見解をお伺いいたします。
最後に、主要道路の事業や河川整備の進捗について、県土整備部長にお聞きします。
御坊由良線の小引-大引、阿尾、また、井関御坊線の原谷から萩原、御坊中津線の山野から三十木の進捗率と完成予定について、加えて、美浜町の西川河川整備工事の進捗状況と完成の予定についてお答えを願いたいと思います。
以上で、私の第1回目の質問を終わります。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいま坂本登議員から7問の御質問をいただいたと承知しております。
まず最初に、本県農業が取り組むべき基本的な方向についてでございます。
議員がおっしゃられたとおりであります。1次産業の振興なくして地域の発展はない、この議員のお言葉は、私も全く同感であります。選挙の公約を含め、これまでも様々な場面で、1次産業の振興に重点的に取り組む旨を申し上げてまいりました。
御承知のとおり、本県の農業は、それぞれの地域において、気候、風土、地形などの特徴を踏まえ、長い年月を経て、その土地に適した作物の生産を行い、また、生産性向上のための技術を培ってまいりました。その結果、日本一の生産量を誇る梅やミカンなどの傾斜地を生かした果樹栽培や、温暖な気候を生かした施設栽培など、収益性の高い農業が営まれております。
県では、これまでも、先人が築いてこられた農業をさらに磨き上げるため、様々な政策を展開してきたところであり、引き続き、高品質で安全・安心な農産物の生産やブランド化、国内外での販路拡大等に積極的に取り組み、農業者の収益性の向上に努めてまいりたいと思っております。
あわせて、圃場整備やスマート農機の導入促進等により生産性の向上を図り、経営規模の拡大や食料の安定生産につなげてまいります。
二つ目の問いにつきましては、農業後継者の確保の問題でございました。
農業後継者の確保に対する取組につきましては、各産地に就農希望者を受け入れる協議会の設置を進めてまいりました。これまで8協議会におきまして、2020年から30名の就農希望者に対して、協力農家の下での実践研修や農地の確保、販路の紹介などを行ってまいりました。
加えて、本県に就農希望者を呼び込むため、国の給付金に年間30万円の県費を上乗せしております。そのほか、中古機械の購入支援、あるいは、そのような県独自の支援を行うことで、全国の中でも手厚く就農までをサポートさせていただいております。
今後とも、収益性の高い農業の実現に取り組むとともに、地域の振興には農業後継者の確保が不可欠との坂本議員からの御提案も踏まえ、効果的な担い手確保策の強化を図るなど、新規就農者の確保に努めてまいります。
三つ目の問いでございます。100年後を見据えた林業政策についての御質問がありました。
森林面積が県土の8割を占める本県では、先人が植栽し、育んできた人工林が成熟し、今まさに伐採期を迎えております。
現在、木材価格の低迷などにより、林業の経営は大変厳しい状況にございますが、県としては、高性能林業機械の導入などの素材生産体制の強化を図り、木材を伐採、搬出する経費の縮減により、林業収益性の向上を図っております。
また一方で、脱炭素社会に向けた動きが加速しており、森林におけるクレジット制度に注目が集まっております。この制度をうまく利用すれば、森林所有者が森林を整備することにより、二酸化炭素の吸収量をカーボンクレジットとして取得、販売し、木材販売以外の収入を新たに得ることができる、そのような可能性が出てまいります。
こうした状況を踏まえ、今後、伐採して、使って、そしてまた植えて育てるという森林資源の循環利用を進めてまいりたいと存じますし、そのために、県としては、森林組合や林業者の皆様のために、まずは地道な林道整備を着実に進めるところからスタートさしていきたいと考えております。
続きまして、4問目でございますが、自然林についての御質問でした。
自然林の再生につきましては、坂本議員御提言のとおり、生物多様性の保全の観点から、自然林に近い森林へ誘導していくことが重要であると私も考えております。県では、紀の国森づくり基金などを活用して、広葉樹への植え替えなどに取り組んでまいりました。
しかしながら、自然林への再生はまだまだであります。さらなる取組が必要であると考えております。今後、市町村との連携をさらに強化し、坂本議員の御指摘のとおり、積極的に広葉樹林化への普及を図るとともに、森林環境譲与税の活用について働きかけてまいりたいと考えます。
5番目の御質問は、人口減少と高齢化の対策についてでございました。
本県の人口は、1985年の108万7000人をピークに減少に転じ、2023年4月の推計人口は89万6000人でございます。また、年間の出生数は5000人台に減少する一方、高齢化率は33%を超え、少子高齢化が進んでおります。
少子高齢化を伴う人口減少は、労働力不足や消費の縮小など、地域経済を悪化させるほか、医療、福祉、教育等、生活に必要なサービス提供の維持が困難になるなど、様々な分野に悪影響を及ぼすおそれがあります。
今後、本県においても人口減少は避けられない中で、満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどう構築していくのか、しっかり検討してまいりますとともに、自然減、社会減の両面から人口減少対策を講ずる努力も行ってまいります。そのため、子育て支援の充実を図るとともに、企業誘致や県内産業の振興による雇用創出、さらには移住定住の促進など、前例にとらわれることなく、全力で取り組んでまいります。
関連して、6問目の質問は、子育て県民会議でございました。
坂本議員御指摘のとおり、和歌山の未来を考えるとき、子供や若者を社会の中心に据えて、県民全体で取り組んでいく必要があると考えております。
少子化対策をはじめ、子供の貧困や児童虐待の増加、ヤングケアラーなど、子供や若者を取り巻く問題は山積しており、これらに対処するため、2025年度から2029年度までの5年間を計画期間と定め、従前からの五つの計画を総合的、一体的にした県のこども計画、和歌山県こども計画を策定したいと考えます。
計画策定に当たっては、子育ての意識調査、結婚に関する意識調査、子供の生活実態調査なども実施し、これらの調査結果を踏まえ、必要な施策を計画に反映してまいります。
子供や若者、子育て当事者から直接意見を聴取する機会を設けるとともに、当事者、学識経験者、地域において子供に関する支援を行う民間団体などを含めた会議体で、県こども計画の審議を進めてまいります。計画策定後、会議体で具体的施策の進捗を管理し、着実に施策を実施していく所存でございます。
子育てしやすい職場環境の整備や地域の子育て応援が進むよう、県内の企業・団体に働きかけ、和歌山こどもまんなか応援団を創設するとともに、こども家庭庁が推進するこどもまんなかアクションの取組を県内に広めてまいります。そのほか、ふるさと和歌山応援寄附の活用メニューとして新たに設けた子育て支援の充実を積極的に内外に発信してまいります。
今後も、子供のために何が最もよいことかを常に考え、全ての子供たちが健やかに成長し、将来にわたって幸福な生活を送ることができるような社会の実現を目指し、子供関連施策を総合的に推進してまいります。
最後の御質問でございます。情報技術を活用した質の高い教育の取組について、御質問をいただきました。
ICTの進展により、学校教育の新たな可能性が提示され、従来の画一的な学校教育の在り方が大きく変化しようとしております。こうしたことを踏まえ、和歌山県におきましても、子供の目線に立ちまして、一人一人にとって最適な学びや、学校規模の大小によらない教育の質の保障、多様で専門的な学びなどを推進しているところであります。
坂本議員御指摘の地方における質の高い教育について、本県では、都会に引けを取らない教育を目指して、誰一人取り残さず、多様な子供が共に学ぶ環境づくりに取り組んでいるところでございます。
これまでの教育実践にICTを最適に組み合わせることにより、情報技術を活用した教育の質の向上に努め、県民の教育への期待に応えていきたいと存じます。
御質問ありがとうございました。
○議長(濱口太史君) 農林水産部長山本佳之君。
〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 議員御質問の、林業の現状と広葉樹の植栽に対する支援についてお答えします。
まず、杉、ヒノキの丸太価格については、原木市場の価格によると、1立方メートル当たり杉で約1万1000円、ヒノキで約1万4000円となります。
次に、植栽から下刈り、除伐、保育間伐等に要する費用は、1ヘクタール当たり約520万円となります。
次に、木材を伐採し、原木市場などへの運搬に要する費用は、1立方メートル当たり約8500円程度となります。
次に、伐採集材作業を依頼できる事業体数は県内で61事業体で、内訳として、森林組合で15組合、民間事業体で46社となります。
次に、林業経営を行っている林家等ですが、県内で71事業体となっています。
次に、県内の面積別の林家数についてですが、2020年の農林業センサスによると、100ヘクタール以上で110戸、5ヘクタール以上100ヘクタール未満で2685戸、5ヘクタール未満で6551戸となっています。
最後に、広葉樹の植栽に対する支援としては、国庫補助金と併せて紀の国森づくり基金で支援することにより約8割を補助しているところであり、今後も積極的に広葉樹林化を促進してまいります。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 主要路線事業や河川整備の進捗率と完成予定についてお答えいたします。
御坊由良線の由良町大引から小引間につきましては、2010年度に事業化し、全体延長2.1キロメートルのうち約6割に当たる1.3キロメートルが完成しています。
同じく御坊由良線の日高町阿尾工区につきましては、2019年度に事業化し、全体延長1.4キロメートルのうち約2割に当たる0.3キロメートルが完成しています。
井関御坊線の日高町原谷から萩原間につきましては、2019年度に事業化し、全体延長3.2キロメートルのうち約5割に当たる1.7キロメートルが完成しています。
御坊中津線の日高川町山野から三十木間につきましては、2002年度に事業化し、全体延長8.7キロメートルのうち約9割に当たる7.4キロメートルが完成しています。
現時点では、いずれの路線も明確な完成時期をお示しすることはできませんが、用地取得と工事を進め、一日も早い完成を目指してまいります。
続きまして、西川を含めた日高川水系における河川整備につきましては、2016年に策定した日高川水系河川整備計画に基づいて実施をしており、その計画期間はおおむね20年間となっています。
西川では、整備区間の4.8キロメートルのうち、約3割に当たる1.6キロメートルが概成しています。
いずれの事業につきましても、引き続き、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算等を活用し、早期完成に向け、事業の推進を図ってまいります。
○議長(濱口太史君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(濱口太史君) 再質問を許します。
坂本 登君。
〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 答弁ありがとうございました。
私なりに林業の現状と取り巻く問題点を整理しましたので、そのことを申し上げたいと思います。
今、1町歩──1ヘクタールですね──70年から80年の杉、ヒノキが今幾らで売れてるか、皆さん御存じですか。答えは50万円程度です。それも、いい木でなかったら買うてくれないと、そういう状態なんですよ。
では、70年から80年かけて育てた木、杉、ヒノキ、今までずっと植えてから育てて切るまでの間に要った費用がおおむね1000万かかってるんですよ。ほんまに1町歩でですよ。1町歩というたら普通の小学校や中学校運動場が4か所から5か所分ぐらいの広さでそんだけのお金がかかるということなんです。親子2代にわたり1000万かけて育てた木が、1町歩の山林が今50万円でしか売れないんです。誰の責任ですか、これ。正直、私も話を聞きながら頭を抱えてしまいました。あまりにもかわいそうやなということです。林業は産業ですかと、最初に問いかけをもう一度繰り返します。
参考までに、私の地元日高地方は、備長炭の生産が盛んなところであります。原材料は、ウバメガシやカシの木といった、林業政策的には雑木林であります。
今、杉、ヒノキと雑木林の値段を比較してみたいと思います。70年から80年の杉、ヒノキ1トン当たり値段は1万円、カシやウバメガシは2万5000円で売れてるんです。雑木林のほうが2.5倍の価値があるようです。加えて、カシやウバメガシは一度切ってもすぐ次の芽が出ますので、10年の間に4回も切れるそうです。カシの木やウバメガシは、杉、ヒノキに比べ2.5倍の価値があり、収入のチャンスも7倍も8倍もあるそうです。
森林が持つ水の保有能力につきましては、専門的なことは分かりませんが、私の長年の経験からしますと、杉山のほうが山崩れが多いように思います。杉山に入ってみますと、地面には草一本もなく、文字どおりの緑の砂漠といった状態です。
反面、広葉樹の山は保水力が大きいように思います。山に広葉樹が多かった頃の子供の頃、流れる谷間は常に水がたまり、子供の絶好の遊び場であったように記憶しております。
森林の持つ環境効果、CO2の吸収効果については、もっともっと科学的な根拠に基づいて、資料を見て議論しなければ、本会議場の議論にはなりませんが、森林とは何か、森林の役割とは、森林の何が価値なのか、私は、知事が森林に関心を寄せてくれている今こそ、一歩も二歩も三歩も踏み込んだ議論を深め、後世に過ちのなきよう、しっかりしたビジョンを打ち立てるときであると強く思っております。知事には、急いで答えを出すのではなく、森林をめぐる様々な課題に対して、現場の声を聞き、林業をめぐる現状に真っ正面から取り組み、研究、議論を深め、後世にあの判断は正しかったなあ、よかったなあと言われるよう、県民の納得する施策を打ち出していただきたいと思います。
そして、もう一点、今の林業政策であれば第2の災害が起こる。今も起こっている。山の木を切り出すのにユンボなどを使って山を荒らしている。雨が降ると川に流れ出し、土砂になって川に堆積し、その泥水が海へと流れる。そのため、海の貝類、海藻類、磯焼けをして、もう死んでしまってる状態であります。魚もおらなくなっている現状をしっかりと調査していただきたいと思います。
昔は、山と川、海は恋人同士だった。今、山と川はけんかしているように思う。山、川、海、セットで考えていただきたい。
以上で、私の要望として終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。
この際、申し上げます。
携帯電話は、マナーモードにするかスイッチを切っていただきますようお願いいたします。
質疑及び一般質問を続行いたします。
11番佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)
○佐藤武治君 皆さん、おはようございます。
最近、夏になると毎年のように、今日も暑いなというふうに聞きます。これ、当たり前のようになってきてますけれども、今年の夏も例年以上に暑く、6月から8月の平均気温は関東甲信地方で平年より1.8度高く、これまで最高だった2018年を大きく上回り、1946年の統計開始以降で最も高かったことが気象庁のまとめで分かりました。地点別では、水戸市、埼玉県の熊谷市、あと前橋市、千葉市、宇都宮市、横浜市などで、今年の夏の平均気温が平年より2度以上高く、いずれも過去最高を更新し、また、東京都心も平年を2.2度上回り、1875年の統計開始以降の149年間で2010年に次ぐ2番目の記録だったそうです。
今年の夏の猛暑日、この日数が群馬県桐生市で全国最多の39日を記録、熊谷市でも38日、都心でも22日と、いずれも過去最多を塗り替えました。和歌山市でも7月の18日に今年初めて35度6分と、こういうふうな記録もあります。私の住む隣町の古座川町の西川という地区があるんですが、そこでも36度5分というふうな暑い気温を繰り返しております。
ちなみに、私の住む潮岬でありますけれども、通常、和歌山市との気温を比べても、よく天気予報を見てると皆さんも思いますけれども、3度から4度低い傾向が見られます。1913年から2019年といいますと106年間でありますけれども、この間に最高気温が35度以上を観測したのはたった1日だけという記録もあるようであります。潮岬は周囲を海に囲まれており、海からの涼しい風が入ることが猛暑日を観測することはめったにないのかなあというふうに思っております。
こうも暑いと体調面にも影響が出るのか、私も6月議会閉会直前に体調に変化があり、手術、入院生活と、人生初めて1か月に2回の手術と入院を経験しました。質問と少しそれますけれども、私は来月、古希を迎えます。古希の「古」は古来の「古」、「希」は「まれ」と読み、めったにはない珍しいことの意、つまり古希とは珍しいほどの長生きということで名づけられました。これは、中国・唐の詩人杜甫の詠んだ「人生七十古来稀なり」から出ているとのこと。古希は数えの70歳となり、昔は短命な人が多く、70歳まで長寿を保つのは本当にまれであったということであります。
一昨日の9月18日が敬老の日でありましたが、昨年、厚生労働省が敬老の日を前にした発表で、全国では100歳以上の方が初めて9万人を超えたというニュースがありました。今年は全国で9万2139人と、前年から1613人増えたとのことであります。ちなみに、和歌山県内でも100歳以上の方が916人おられるということであります。医療の進歩や健康意識の高まりによって、長寿化が進んでいるんだなあというふうに思います。
私は、今現在も通院をしていますが、今回ほど健康の大切さを痛感したことはありませんでした。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問に入ります。
まず今回、一般質問のきっかけとなった出来事として、先ほども言いましたように、私自身、網膜剝離で県立医科大学附属病院に入院した際、当時、医大の10階に入院をしたわけでありますけれども、当病院には入院病棟が13階まであって、その屋上にドクターヘリのヘリポートがあります。入院した次の日からドクターヘリがヘリポートに度々下りるわけです。多い日には、私の記憶では4回、5回もあったように思います。
ドクターヘリを日本で最初に導入したのは、2001年(平成13年)4月に岡山県で運航が始まったとのことであります。きっかけは1995年に発生した阪神・淡路大震災で、当初は自治体の財政負担も大きく、導入の障壁となっていたようですが、その課題を克服するため、2007年にドクターヘリ特別措置法が制定され、その後、地方の財政負担を大幅に減らす特別交付税などの措置が始まり、2023年、今年4月現在は46都道府県に56機が配備をされ、実質的には全国配備が完了しているようであります。しかしながら、これで十分かというと、まだ不足しているそうで、日本航空医療学会では、全国で72機が必要と推計しているという話もあるようです。
和歌山県がドクターヘリの導入に至った経過を聞くと、まず、国の動きとして、平成11年(1999年)に厚生省によるドクターヘリ試行事業が実施、平成13年(2001年)には民間ヘリを利用するドクターヘリ事業が概算要求に新規事業として計上という状況になり、当時の県の医療環境としては、紀南には救命救急センターがなく、高度な3次救急を実施できない状態であったとのことであります。
そのような中、平成13年5月の紀伊半島3県知事会議において、ドクターヘリの共同利用について、和歌山県知事から事務協議を行うことを提案され、3県共通の課題として協議を続けた結果、平成14年8月に基本協定を締結し、平成15年の1月1日から運航することになったと聞いております。当時は全国で7番目、近畿では一番早く導入したとのことであります。
そこで質問ですが、私が入院中──2週間余りだったと思います、離発着が多いと感じたのですが、最近のドクターヘリの要請状況について、年間どの程度の要請があるのか、また、多いときで1日に何回ほどの要請があるのか、さらに、ドクターヘリが1機しかない中で、要請が重複したとき、どのように対応するのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) まず、要請状況につきましては、2015年度以降、年間400回台で推移していましたが、2021年度以降は500回台と増加傾向になっています。
次に、1日の要請回数につきましては、最も多い日で4回であり、直近の8月では2回ございました。
最後に、要請が重なるケースにつきましては、近隣府県と相互応援体制を構築しており、年間10回程度、応援出動をいただいております。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 今、部長から答弁をいただきました。その回数、2021年度以降は500回を超えるという話であります。さらにまだ増加傾向にあるというふうな話でありますから、それだけ緊急を要する交通事故等対応、また、急な心筋梗塞や脳卒中などの緊急を要する患者が多いということだなあというふうに認識をしました。
1日4回という話もありましたけれども、こうなると確かに1機だけでは難しいという面で、近隣ですか、ここと相互応援体制を結んでるということで、その点では少し安心をしましたけれども、今後も増え続けると思われる、そういう中で、さらなる充実した応援体制づくりにひとつお願いをしたいと、このように思っております。
さて、和歌山県については、縦に長く、移動するにも広範囲で時間もかかります。私が暮らす東牟婁地域が県立医科大学附属病院からは一番遠い地域になると思います。そういう点からも一つお聞きしたいのですけれども、串本町内においても、潮岬中学校など13か所の離発着場があると聞いていますが、仮にドクターヘリを要請した場合、どの程度の時間で県立医科大学附属病院に到着できるのか。また、医大のドクターヘリが別途出動しているときの相互応援で、他県のドクターヘリで対応する場合は、近畿地方の南端にある東牟婁地域へも、和歌山県医大のほうに変わらずそういう対応ができるものなのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) まず、所要時間につきましては、100キロ程度離れている東牟婁郡内でも片道30分程度で到着し、離発着場で医師、看護師が応急処置を行い、病院到着後のスムーズな治療につなげています。
次に、相互応援につきましては、東牟婁郡へは奈良県と三重県に対応いただくことになっており、和歌山県のドクターヘリと比べて多少時間はかかりますが、ほぼ同様の対応ができております。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 答弁ありがとうございます。
他県からもほぼ変わらない対応ができるということですので、この点は住民の方々も安心できるかなというふうに思います。
質問時間等のこともあって、今回2問だけ質問いたしましたけれども、和歌山県は、豊かな自然を有し、観光、また魚、また果物等の食べ物もおいしい魅力的な県であると思いますけれども、交通事故や突発的な疾患が起きると、交通事情を考えますと、よい面ばかりではありません。地域の差は大きく、山間部が多いことが医療にも大きな影をもたらしていますから、ドクターヘリは県民の医療を支える不可欠な存在であります。命に関わるような傷病者が出た場合には、地元消防から要請を受け、医師、看護師を早期に傷病者と接触できるように送り届けるという重要な役割を背負っています。
今年で運航20周年を迎える県のドクターヘリでありますけれども、現在まで無事故運航を継続していると聞いております。さらに、昨年度、県消防学校に隣接する防災ヘリポートに強風避難用格納庫並びに給油施設を整備し、悪天候時並びに災害時にも迅速に対応できるようになったともお聞きしております。
交通事故、心筋梗塞や脳卒中、また小児科、産婦人科関係の患者など、一分一秒を争う搬送にはなくてはならない存在であります。私は、県民の皆さんにも、自分の命を救ってもらえる救急車やドクターヘリの現状を広く知ってもらうことも非常に大事だなというふうに思っております。
現在、ドクターヘリの夜間運航については、原則目視による有視界飛行であり、安全性の確保の面などから難しいと聞いています。ただ、先ほども言いましたように、心筋梗塞、脳卒中などの緊急を要する疾患は昼夜を問いませんので、夜間飛行の安全が確保されるように期待するところであります。
それでは、次の質問に入ります。
先月、7月28日に新聞発表がありました長井古座線の八郎山トンネル工事についてであります。
当初の報道によりますと、トンネル内部を覆ったコンクリート全体にわたり、空洞や厚さ不足が見つかったとの発表でありますが、どうして今回、このような工事ミスに至ったのかなどの原因究明は、また建設委員会などでもしっかりと議論していただきたいと思いますけれども、八郎山トンネルについては、地元住民の強い思いがあって協議会を立ち上げ、長い年月をかけて要望を続けてこられました。やっとの思いで昨年9月に工事が完成し、今年の12月には供用開始が発表されていたところに今回の施工不良が判明したわけで、地元の人たちの落胆ぶりは相当なものであると、私も先日、協議会の会長や副会長とお話をしたときに強く感じたところであります。
このトンネルは、住民の生活道路としてだけではなく、迂回路としても大変重要な位置づけになるトンネルであります。今回のことは、長年の思いで待ち望んでいた住民の方たちの心情を思うと、非常に残念な思いであります。
先日、同僚議員等と現場に行かせていただき、説明を受けましたけれども、開通に向けては非常にハードルが高いなあと素人ながらにそう思いました。
そこで、質問でありますけれども、このトンネルの施工不良の概要と、考えられる主な原因について、県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) まず初めに、2022年9月に完成しました県道長井古座線八郎山トンネルにおいて施工不良が判明した件につきまして、本年12月供用の予定が延期となるなど、県民の信頼を損ね、多大なる御迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げます。今後、このようなことがないように、管理を徹底し、県民の信頼回復に努めてまいります。
八郎山トンネルの施工不良の概要につきましては、広範囲にわたり覆工コンクリートの厚さ不足と空洞の存在が確認されたものです。それらは、工事完了後の照明設置工事においてアンカー用の削孔を行ったところ、覆工コンクリートを貫通したことを受け、改めてトンネル上部の全延長にわたり地中レーダー探査を実施した結果、判明したものです。
今回のような施工不良に至った直接的な原因は、掘削位置のずれや掘削断面の不足にもかかわらず、掘削のやり直しの措置を取らずに、正規のトンネル内空断面を確保するよう型枠を設置し、掘削壁面と覆工型枠との間隔が設計値より狭い状態のままコンクリートを打設したことや、コンクリートの充塡作業が不十分であったことなど、適切な施工管理が行われていなかったものと推測しています。
掘削位置のずれや掘削断面の不足につきましては、測量ミスが原因の一つであることが判明していますが、それ以外の原因の可能性についても、現在も調査を進めているところです。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 ありがとうございます。
今、部長のほうから、原因の概要等説明を受けましたけれども、要は、当たり前のことを当たり前にしてなかったという話だというふうに思います。
トンネルの施工方法については、決められたものがあるのに、そのとおりやっていなかったことが今回の大きな原因だなというふうに今思います。何でこういうことになってしまったのかというのが、今、話を聞いてもなかなか理解に苦しむところでありますけれども、今さらその部分についてはどうしようもないなというふうに思っております。
次に、9月8日だったと思いますけれども、私の地元串本町の和歌山県水産試験場で第1回の県道長井古座線八郎山トンネル技術検討委員会というのが開催されています。後日、新聞において、現場での施工記録が残されていない話や、レーザースキャナーの活用などがされていない話なども聞きました。また、現状を把握し、原因を究明して対策を講じ、いいアイデアを出して地元の人に早急に使っていただくように結論を出してほしいというふうなこともお聞きをしております。
そこで、次の質問でありますけれども、この技術検討委員会を設置している目的や議論された内容について、県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 県といたしましては、原因究明やトンネル本体の安定性評価、必要な対策工立案のため、専門家による技術検討委員会を設置したものでございます。9月8日に現地調査と第1回委員会を開催し、現地調査では、トンネル覆工の厚さや内部の構造等の状況を参加された委員の皆様に直接確認していただきました。
また、委員会では、県から現時点での調査結果を提示し、掘削時の測量記録や地山の安定性を判断する変位計測データの不備があったことを報告しました。委員からは、対策工法を決定するために不可欠となる正確な掘削断面の位置や形状を確認するには、現時点のデータでは不十分であることから、現在行っている地上レーザースキャナーによる3次元測量などに加え、掘削断面の位置を確認するための追加の掘削調査を行うよう指示があったものでございます。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 答弁ありがとうございます。
今、答弁いただきましたけれども、なかなか素人ながらに、これからまた大変な時間がかかるんやなあというふうに思いました。地域の人たちからも、一番心配してると、今後の見通しについて本当に心配やと、一体いつになったらあそこを使えるようになるんよというふうな話を聞かされています。
もともと長井古座線は、国道42号が通行止めになったときの代替道路として活用できるように、那智勝浦町中里から串本町上田原、この3.4キロ区間の幅員狭小、それから、また通行不能箇所を解消する目的で整備しているとお聞きをしております。
また、そういう意味で、過去には──2019年の6月だったと思います──那智勝浦町の浦神の国道42号線で、トレーラーが横転をして9時間近く全面通行止めになった事故があり、大渋滞を起こしております。このときは、地元の方はもちろんですけれども、物流関係や観光にも大きな影響が出たところであります。
田原地区から八尺鏡野地区辺りの間で車の事故等があると、迂回路がなく、本当にすぐ通行止めになりますから、この八郎山トンネルについては、貴重な迂回路になりますし、災害時にも使える道路になるところでありました。
そこで質問しますけれども、今、地元が一番心配している今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 現時点では、供用予定時期について申し上げることはできませんが、今後、2か月に1回程度、委員会を開催し、年内には対策工法や施工時期などについてめどを立てたいと考えております。
いずれにしましても、一日も早い供用に向け、県として全力で取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 今、県土整備部長のほうから、一日も早い供用に向けてという、県として全力で取り組んでいくという答弁をいただきましたけど、ここはもう当然そういうことでありますし、今、現時点では供用開始の時期がなかなか見通しが立たないという話であったと思います。
先ほどにも話をしましたけども、この八郎山トンネルについては本当に地元住民の強い思いがあって、もう長年待ち望んでいたものであります。私からも一日も早い供用開始を要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
冒頭でも、今年の夏は暑かったというお話をしましたけれども、暑いと涼を求めて海水浴場や川遊びに行く機会も増えてくるわけでありますけれども、今年も海水浴場や川等で、そういう事故により亡くなる方が非常に多かったように感じました。
中でも、私が最近気になるのが、水上オートバイによる事故が目立ってきているように思います。
8月であったと思いますけれども、水上オートバイの後ろに乗っていた女子中学生が振り落とされる事故をはじめ、無免許の男性が運転して子供2人に衝突する事故、また、琵琶湖で2人乗りの水上オートバイが別の水上オートバイと接触をして、男性が重傷を負い、女性が軽傷を負う、こういう事故もあったというふうに記憶をしております。それから、直近9月5日でありましたけれども、佐賀県の唐津市の沖合で水上オートバイ2台が転覆をして、乗っていた4人のうち2人、50代の男性と20代の女性が死亡されたと、こういうふうな報道もされておりました。
実は、私の地元に古座川がありますけども、最近、その古座川でも水上オートバイで遊んでいるというか、走っているのを目にすることが以前に比べると非常に多くなったような思いがします。
そこで、質問さしていただきます。
県では、今年の4月1日から、和歌山県水上オートバイ航行の適正化に関する条例が施行されていますけれども、その経緯について、県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 2021年に、兵庫県における水上オートバイでの危険な行為や事故が大きく報道され、社会的な問題となりました。
そうした中、本県においても水上オートバイの事故等の発生が懸念されたため、県が管理する公共水域の利用の適正化並びに公共水域における安全の確保及び良好な環境の保全を図るとともに、海洋性レクリエーション活動の健全な発展を目指して、令和4年12月定例会において議決をいただき、本年4月1日から、和歌山県水上オートバイ航行の適正化に関する条例を施行しております。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 今答弁がありました、兵庫県ですか、2021年に明石市でマリンスポーツを楽しむ人たちのすぐそばを水上バイクが猛スピードで走行して危険運転をした。このときは、たしか運転手の男性が殺人未遂などの疑いで書類送検をされたと、こんなふうに記憶する事件でありますけど、最終的には不起訴になったという話です。そういうことで、マリンスポーツが盛んになって、こういう水上オートバイを利用する方たちも非常に多くなって、今後も非常に多くなるだろうなと、こういうふうに私も思うところであります。
条例に基づく規制もさることながら、水上オートバイを操船するために必要な操縦士の勉強ですか、こういう内容等の理解を深めること、また、事故防止のために、安全に関する知識や技能を身につけること、こういう啓発も非常に大事になってくると思います。
そこで、和歌山県として、水上オートバイ操船者への条例の周知等の啓発活動、これはどのようにされているのか、県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 現時点で規制水域を指定している箇所は、片男波海水浴場です。
現地では、水上オートバイの操船者等に対し、規制水域があることを示すための懸垂幕や、その区域を明示するための看板を設置するなどにより周知しています。
操船者に対しては、船舶免許の教習所や水上オートバイ事業者を通じたチラシの配布等を行うとともに、水上オートバイのメーカーなどで構成するNPO法人のホームページにチラシの情報を掲載していただくなど、啓発活動に努めているところでございます。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 どうも御答弁ありがとうございます。
啓発、本当に重要なところであると私は思っております。
今、区域を明示するための看板設置云々という話も、答弁もありましたけれども、本来、河川等であれば、利用者がどこが本当に利用規制区域・区間になってるのかというのは、なかなか確認するのが難しいなというふうに感じます。わざわざ、いろいろ県なり国交省の河川事務所なんかに、そういう遊ぶ方は一々問合せなんか多分しないだろうなというふうに思います。
先ほど話のあった兵庫県でありますけれども、22年ですから去年7月に、県の関連の条例について非常に厳罰化をしています。水上オートバイを操縦する関係、そういう各関係者というんですか、そういうところに県の自主ルールかな、設定をしておると思います。それから、海保とか市町がまた関連して、いろいろ連携しながらパトロールなどを強化して、たしか22年度はそういう衝突事故がゼロになったというふうに記憶をします。
実は、なかなかモラル、最終的には私は操縦する方たちのモラルの問題やなと、何事でもそうでありますけれども、そう思うところです。
実は、つい先日、私が事務所に行く途中に、串本にAコープという、そういう店があるんですが、そこは県道でございます。そこに私、事務所へ行くときに、水上オートバイを牽引していた普通車が3台道に──そこはもちろん駐車禁止であります。標識もあります。そこに恐らく、私は分かりませんけれども、その3台の運転手は、駐車場に入れたら後ろに牽引しているので、ほかの車の邪魔になるのかなというふうに思って、その道に恐らく止めやすいので真っすぐ縦列に止めたと思うんですが、それがかえって、私は軽トラでありましたけれども、その車を避けるときはセンターラインをオーバーするわけですね。そこはすぐにカーブになってて、向こうから見にくい、非常に見通しの悪いカーブになっている。私もそれでセンターラインをオーバーするぐらいでありますから、あそこは町営バス等がよく走る道であります、大島行きのとか岬行きの。そうしたら、バスなんかもっと幅が広いですから、恐らくセンターラインをオーバーするだろう。向こうから走ってきた車と衝突する危険性も高いわけであります。
私は、水上オートバイを牽引してきた方が──それはどちらの、県外ナンバーやったと思うんですけども──まずそういう意識がきちっとしてないと、そういう方たちが運転すると、そういう方たちが恐らく事故を起こすんだろうなと、こんなふうに私は感じたところであります。やはり何事もしっかりした、守るべきことはしっかり守って楽しんでいただくと、こういうのが普通の人間する行為であるというふうに思いますので、何事も、先ほど言いましたけど、全てのことはそういう人のマナーから始まるんだと思います。
楽しんでいただくのは非常に楽しんでもらったらいいんです。和歌山県にも来ていただいたらいいんです。マリンスポーツ、これからも恐らく人口が増えると思います。関係者には何よりも安全を優先していただきたいと考えております。
ということで、県当局においても、条例については安全を最優先として、その上で柔軟に対応していただくように要望をしておきます。
今回の質問の2項目については、命に関する質問をさしていただきました。人間いつどこでどのようなことが起こるか予想はできません。与えられた命、生かされていることを日々大事にすることを考えさせられた私の暑い夏でありました。
これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時33分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(中本浩精君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
29番中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕(拍手)
○中尾友紀君 皆さん、こんにちは。
4月の統一地方選挙において皆様の絶大な御支持、御支援をいただき、初当選をさせていただきました公明党の中尾友紀でございます。本日が県議会初登壇となります。和歌山県民の皆様の負託をいただき、報恩感謝の思いで和歌山県民のさらなる福祉の充実を目指し、全身全霊で頑張ってまいる所存でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。(拍手)
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
昨年の12月19日、岸本知事が初登庁して本日でちょうど9か月が過ぎました。
岸本知事は、和歌山県は日本全体が抱えている少子高齢化、経済成長の鈍化、教育水準の低下など課題先進県、トライアンドエラーを繰り返すしかない、県庁内では前例がないは禁句にしました。前例をつくるのが僕らの仕事ですと県民を笑顔にするために熱い思いを語っていただきました。
多くの県民の皆様から支援をいただき、県民の皆さんの期待も非常に大きいかと思います。地域に出向き県民の声を聞いたり、若手職員の方とおにぎりミーティングを取ったりと、現場の意見に耳を傾ける姿勢は一貫してすばらしい行動であると敬意を表したいと思います。
各部局が来年度の予算編成に向け準備を進める中、どんな岸本知事のカラーが出てくるのか楽しみにしている県民の皆様も多いのではないかと思います。特に岸本知事が選挙戦で掲げた公約については大いに期待されていると思いますし、財政危機警報を出された中で公約実現をどのように果たしていくのか、期待と不安が入り交じっているのではないかと思うところであります。
我が公明党の立党精神は、大衆と共に語り、大衆と共に戦い、大衆の中に死んでいくであります。現場の意見を聞き行政に届ける、小さな声を聞く力が公明党であります。現場の声をしっかりと岸本知事に届けたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
既存マンションのバリアフリー対策について、まず最初に優良建築物等整備事業の既存ストック再生型についてお尋ねします。資料を配付させていただいておりますので、御参照ください。
国土交通省では、優良建築物等整備事業として市街地の環境の整備改善、良好な市街地住宅の供給等に資するため、土地の利用の共同化、高度化等に寄与する優良建築物等の整備を国が支援することで公共の福祉を拡充する制度があります。
優良建築物等整備事業は、優良再開発型、市街地住宅供給型、都市再生構築型、複数棟改修型、既存ストック再生型の五つのタイプがあり、既存ストック再生型は老朽マンション等において耐震やアスベスト対策に加え、バリアフリー化や省エネ化等の改修を行うことにより、現在の居住ニーズに合ったストックへの総合的な再生を支援する制度であります。
具体的な一例を申し上げますと、既存ストック再生型は、民間のマンションのエレベーターが未設置のところにバリアフリー対策としてエレベーターを設置する際、国3分の1、地方公共団体が3分の1の補助が出る制度であります。このほかにも省エネ改修や維持管理対策改修、防災対策改修、子育て支援対応改修が補助対象となっております。
マンションにお住まいの住民の方から、エレベーターを設置したいが何か補助はないかと相談があり、調べましたら、優良建築物等整備事業の中に既存ストック再生型という制度があることが分かりました。既存ストックを活用してバリアフリー改修を行い、長寿命化を図るものであり、都市再開発法に基づく市街地再開発事業とは異なり、都市計画等の法的手続を要しない国の交付金要綱に基づく事業であります。
現在では、東村山市や葛飾区などがこの事業を実施しております。また、多摩市、札幌市、神奈川県、福島県がこの事業をホームページで公開しております。
私が5期20年務めた和歌山市会議員として最後の議会となった本年2月定例会でも取り上げました。問題は、対象となる地域が優良住宅建築物等整備事業の和歌山市の要綱では、中心市街地の中のさらに狭い範囲に限定されていることであります。既存ストック再生型はバリアフリー改修を行い長寿命化を図るもので、当然のことですが地域を限定することはふさわしくありません。国にも確認しましたが、ストック再生型は全国を対象にしており、地域は限定していませんとの明確な回答をいただきました。
尾花市長からは、「誰もが安心して住み続けられる持続可能な町を実現するため、既存ストックの現状や居住環境ニーズがどのようなものかを踏まえ、対象エリアをどうすべきか、支援の内容はどのようなものが効果的であるかなど、県と協議しながら、幅広い活用に向けた検討を進めてまいります」との答弁がありました。
そこでお尋ねします。
和歌山市からの要望に対する協議の進捗状況について、県土整備部長、お答えください。
○副議長(中本浩精君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 優良建築物等整備事業の既存ストック再生型については、昨年12月に令和4年度和歌山県・和歌山市道路・河川事業等に関する意見交換の場において和歌山市長から要望がありました。
これに対し、優良建築物等整備事業に対する県の補助は、中心市街地における居住の促進とにぎわいの創出のために行われる再開発事業を対象としており、既存ストック再生型の事業は想定していないことや、都市住宅局の予算は都市再生と命を守る耐震事業など緊急度や重要度の高い施策に重点的に配分をしていることから、現時点で補助を拡大することは困難であると回答しております。
和歌山市から、令和5年2月定例会での議員の代表質問に対する市長答弁への対応について、この7月に相談がありましたが、昨年12月の意見交換の場と同様の回答を行ったところです。
○副議長(中本浩精君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 県土整備部長、御答弁ありがとうございました。
既存ストック再生型の補助対象は、先ほども述べましたが、資料の右下のほうにありますけども、バリアフリー改修だけではなく命を守る防災改修も入っていることを指摘して質問を続けます。
優良建築物等整備事業の既存ストック再生型について、4階、5階に住むマンションにエレベーターがないことは高齢者にとって死活問題であります。コロナ禍の前から3階以上のエレベーターのないマンションは配達お断りという出前難民もあったようであります。
国土交通省が5年置きに出している平成30年度マンション総合調査によりますと、マンション居住者の世帯主の年齢は、平成11年度から平成30年度では60歳代、70歳代以上が増加、50歳以下の割合が減少しております。居住者の高齢化が進展していることが分かります。
永住意識の調査では、平成25年度と平成30年度を比較するとマンション居住者の永住意識は高まっており、平成30年度調査では62.8%の区分所有者が永住するつもりであると回答しております。
マンションの老朽化とともに居住者の高齢化が進んでいます。東京都葛飾区でこのストック再生型の事業を活用し、エレベーターが設置できた住民の方からは、夢が実現した、転居せず住み慣れたここで一生暮らせると喜びの声が上がっています。
平成30年住宅・土地統計調査では、空き家数が848万9000戸と過去最多となり、全国の住宅の13.6%を占めることが分かりました。また、空き家が少子高齢化の進展や人口移動の変化などを背景に増加の一途をたどっており、管理が行き届いてない空き家が防災、衛生、景観等の面で人々の生活環境に影響を及ぼすという社会問題が起きていると指摘しております。
既存ストック再生型を活用し、未設置のマンションにエレベーターを設置し、長寿命化を図ることで、ひいてはマンションの空き家も抑制されるのではないでしょうか。
和歌山県の住宅の状況は、総数では38万3900、戸建てが最も多く28万4600、共同住宅は8万4900、長屋は1万3000、そのほかが1400となっています。
共同住宅8万4900のうち持家は1万1900、借家は6万9300となっており、持家の共同住宅のエレベーター設置割合は1万1900のうち1万900、91.6%にエレベーターが設置されており、和歌山県では1000戸のマンションにエレベーターが設置されておりません。
令和5年版国土交通白書の「豊かな住生活の実現」の中で、長寿命化に向けた適切な維持管理・修繕、老朽化マンションの再生円滑化として、「適切な維持管理・修繕がなされるよう、住宅の計画的な点検・修繕と履歴情報の保存を推進し、加えて耐震性・省エネルギー性能・バリアフリー性能等を向上させるリフォームや建替えに対して補助・税制面での支援を行い、安全・安心で良好な温熱環境を備えた良質な住宅ストックへの更新を図っている。また、『マンションの管理の適正化の推進に関する法律』に基づく管理計画認定制度等により、マンション管理の適正化や長寿命化、再生の円滑化を推進」、さらには住宅税制、「令和5年度税制改正において、管理計画の認定を受けたマンション等において、長寿命化に資する大規模修繕工事が実施された場合に、固定資産税額を減額する特例措置を創設した」とあるように、国はマンションの改修が少しでも円滑に進むように法律を改正し、住宅施策として住宅改修の補助や優遇税制措置を行い、将来のリスクに対して今からできることは全てやりましょうというスタンスであります。
知事就任時の職員訓示の中で、県民を幸せにするため前例がないは禁句、前例をつくるのが県庁の仕事とおっしゃっていた岸本知事にお尋ねします。
優良建築物等整備事業の既存ストック再生型の事業を和歌山県にも導入し、長寿命化やバリアフリー化をさらに推進すべきと考えますが、既存マンションのエレベーター設置に対する知事の考え方をお聞かせください。
○副議長(中本浩精君) 知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 中尾議員の御質問にお答えをいたします。
民間住宅に対する支援につきましては、原則として基礎自治体である市町村が行うべき仕事でありますことから、県においては現在、耐震改修や合併浄化槽の設置など、県民の命や公共用水域の環境を守ることを目的に、特に優先度の高い政策に限定して、市町村と連携した上で県下全域で実施しております。
既存マンションのエレベーター設置補助につきましては、マンションの立地が県下でも和歌山市など一部の市町に集中しております。このように地域的に偏在しておりますことから、県ではなく当該市町が地域の実情を踏まえ、主体的に検討されるべきものと考えております。
また、その設置は既存不適格を解消するものではなくて、単純に個人資産の形成につながるという側面が強いため、県から市町への支援につきましても特に慎重に検討すべきであると考えております。
一方で、既存マンションの長寿命化やバリアフリー化を進めること自体は、良質な住宅ストックを形成する上で大変重要な政策であると、そのように認識しております。
したがいまして、マンション管理組合におきまして具体的な事業計画に関する合意形成が図られた上、市町が当該事業に係る補助要綱を策定することを前提として、当該市町から仮に県に御要望いただければ、相談に応じるとともに支援内容につきましても検討をさせていただく所存でございます。
○副議長(中本浩精君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 知事、前向きな答弁ありがとうございます。
この既存ストック再生型は、令和9年3月31日までに着手した事業が対象となっております。残された時間はあまりありません。市と県が協調して一歩でも二歩でも前進し、この事業が実現できるように要望しておきます。
次に、子ども医療費の無償化について、県の財政状況について、財政危機警報についてお尋ねします。
岸本知事は、2023年度の予算案をつくる際に県財政の状況が非常に厳しいということで財政危機警報を発出されました。それは、内閣府の中長期の経済財政に関する試算の指標に基づいて新たに財政の10年間の推計をしたところ、県の貯金である財政調整基金、県債管理基金が25年度にはマイナスとなり、10年後の交付税措置を除いた実質的な公債費の負担は2倍近く膨れ上がり、金利が1%上がれば、それだけで33億円の増加になるということで財政危機警報を出し、23年度は予算案は財政見直し元年予算と位置づけました。
突然の降って湧いたようなお話で耳を疑いました。というのも、仁坂前知事の2022年4月11日のメッセージの中で、財政調整基金と県債基金が2026年度には150億円程度維持するように努めるとし、知事以下の県庁全員がこのプランを放恣な財政運営にならないように注意していけば、今の、また、今以上の行政サービスを県民の皆様に提供できる新中期行財政経営プランですとのメッセージでありました。
なぜ新プラン公表から1年足らずで財政調整基金、県債基金が2025年度に底をつき、予算編成が困難になるのか、県民の皆様が納得できる説明を岸本知事、よろしくお願いいたします。
○副議長(中本浩精君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
県の財政状況につきましては、高齢化の進展に伴い社会保障経費は増加傾向にあります。公債費も近年の積極的なインフラ投資に伴う借入額の増加により償還額が年々増加するなど、財政の硬直化が進んでおります。
こうした中、知事就任後、予算編成を進めるに当たり、今後10年の財政収支の見通しの試算を指示した際、将来の負担の影響をより正確に捉えるため、新中期行財政経営プランの策定後に大きく変化した状況に即して推計をし直しました。
具体的には足元の物価高騰、さらには金利上昇の影響、過去最大となった今年度当初予算や近年の公共事業などによって増加した補正予算の規模などを踏まえて改めて試算した結果、何ら対策を講じなかった場合には2025年度に基金が底をつき、予算編成が困難になるという見込みとなりましたことから、財政危機に陥る前に持続可能な財政構造に転換すべく、本年2月に財政危機警報を発出させていただいたところでございます。
○副議長(中本浩精君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございます。
高齢化による社会保障経費の増加、インフラ投資による公債費の増加、償還額が年々増加し財政の硬直化が進み、何ら対策を講じなかった場合には2025年度に基金が底をつき、予算編成が困難になる見込みとなったため、財政危機に陥る前に財政危機警報を発出したとの答弁でありました。
さらに議論を深めたいと思います。地方公共団体の財政の健全化に関する法律における指標、財政健全化判断比率では、実質赤字比率、連結赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の四つの指標がありますが、それぞれ和歌山県の数値は基準内に入っており、早期健全化基準には至っておりません。和歌山県は、財政健全化判断比率4指標のいずれもクリアしております。中でも将来負担比率の早期健全化比率は400%以上で、県が示した新たな試算でも今後も上昇を続ける見込みとされていますが、それでも10年後の2032年の数値は基準内の256%であります。
全国の都道府県の中で財政危機警報を出さなければいけないほど和歌山県が突出して悪いのか、和歌山県の位置づけはどうか、お答えください。また、予算の賢いやりくりとは具体的にどういう対策なのか、岸本知事、それぞれお答えください。
○副議長(中本浩精君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
財政健全化の判断比率につきましては、2022年度決算時点におきまして、いずれも是正を求められる基準には至っておりません。ただ、指標の中には、例えば県債残高など将来の負担を表す将来負担比率と言いますけれども、この将来負担比率のように、21年度決算におきましては全国で悪いほうから数えて16位であります。平均よりも低いわけであります。しかも今後さらなる悪化が懸念されているものもございます。また、実質公債費比率も今議会に報告した数値は8.4%であり、前年度に比べ0.7ポイントも上昇しております。しかも、今後も上昇傾向が継続し、予算の圧迫要因となることが確実でございます。
こうした公債費の増大によって収支不足が拡大すれば、基準に達するよりも前に予算編成自体が困難になるおそれがあります。この基準に達した段階では、もう手後れになるんですね。認知症予防も同じでして、認知症も重くなったらもうどうしようもないです。認知症は軽い段階で予防しなきゃいけない、そういうことと同じようなものだとお考えいただければと思います。本当にそうなんです。この基準に達したときはアウトなんです。
こうした財政状況にありましても、単純な予算カットや増税ではなく、予算の賢いやりくりによって財政の健全性を保ちながら、和歌山県の未来につながる施策につきましては、めり張りをつけて推進していく必要がございます。
具体的に申し上げますと、義務的な経費を除いた政策的な予算につきまして、現在、各部局が事業間の優先順位を整理し、より効果があり必要性の高い事業に組み替えられるような仕組みを今の予算編成過程で努力をしております。
さらに、働き方の見直しによって業務量自体の削減や効率化を図るほか、公共事業におきましてもできる限り県の負担が少なくなるような有利な財源を活用するなど、財政の持続可能性を確保しつつ、県政の新たな課題にも的確に対応できるように予算の見直しを図り、賢いやりくりを行ってまいります。
○副議長(中本浩精君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
認知症の例を例えられまして、分かりやすい説明であったと思います。私も看護師を15年ほどやっておりまして、あと救急救命士とか精神保健福祉士のほう、資格を持っております。そこら辺の部分は十分承知してるつもりで再質問させていただきます。
2021年度決算では、将来負担比率は全国で悪いほうから数えて16位と平均よりも悪く、今後さらなる悪化が懸念されているものもある、また、実質公債費比率も8.4%と前年度に比べ0.7ポイント上昇しており、今後も上昇傾向が継続し、予算の圧迫要因となることが見込まれているとの答弁でございました。
将来負担比率の早期健全化は400%以上、2022年度は和歌山県は200.1%で基準をクリアしております。実質公債費比率の早期健全化基準は25%、財政再生基準が35%でありますが、和歌山県は8.4%と早期健全化基準をクリアしており、全国都道府県の加重平均の10.1%を下回っております。いずれも財政健全化判断比率は基準内に収まっております。
まずは、財政危機警報は財政非常事態を宣言するものではないという正確な情報発信をする必要があると思います。そのことが県民の安心につながります。その上で賢いやりくりによって自主財源を確保することを要望しておきます。
次に、子ども医療費の無償化についてお尋ねします。
昨年の出生数が80万を切り、過去最低となりました。国立社会保障・人口問題研究所が2017年に公表した予測では、出生数が80万人を下回るのは2030年でしたが、少子化が想定を上回るペースで進んでいますと、推計より8年早い結果となりました。少子化対策が喫緊の課題であることは論をまちません。急激な人口減少、少子高齢化は年金や医療、介護など社会保障制度を揺るがしかねません。2030年までに少子化傾向を反転させることができるかどうか重要な分岐点であり、この3年間が特に重要な時期であります。
公明党は昨年の11月、結婚、妊娠出産から子供が社会に巣立つまで、ライフステージに応じた切れ目のない政策、子育て応援トータルプランをつくり、政策提言を行い、6月13日には政府のこども未来戦略方針が決定しました。
その中の大きな柱の一つが児童手当の拡充であります。所得制限を撤廃し高校卒業まで拡充、第3子以降は月3万円に増額し、来年の10月から開始予定となっております。
また、子供の医療費助成の拡大も重要な課題であります。公明党は高校生まで対象を広げるべきだと考えております。
こども未来戦略方針では、自治体が医療費助成の拡充をためらう要因となっている国民健康保険の国庫負担の減額調整措置について、廃止すると明記されており、これにより自治体の取組を支援し、突破口を開きたいと考えております。
思い起こせば、和歌山市議会公明党議員団として2015年に子供医療費拡充の署名活動を行い、皆様の御協力をいただき、10万1492名の署名を集め、小さな子供さんを抱えるお母さんと共に尾花市長に届け、中学校卒業までの拡充が実現、さらに毎年予算要望を行い、議会で取り上げ、本年の8月からは和歌山市において高校卒業までの医療費助成を拡充することができました。市民の皆様の熱い思いが結果として現れたと思います。
子供医療費の高校卒業までの無償化は和歌山県民の悲願であります。
そこでお尋ねします。
財政危機警報を発出した中、子供医療費の高校卒業までの無償化をどう実現していくのか、お答えください。
○副議長(中本浩精君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
和歌山県といたしましては、抵抗力が低く病気にかかると重症化しやすい乳幼児期を対象とした助成制度として、市町村に医療費の補助を行っております。
一方で、市町村では、それぞれの実情に応じた考え方に基づく政策として、現在、全市町村で中学校卒業まで、そのうち22市町村では18歳まで対象年齢等を拡大して医療費の自己負担分を市町村独自に助成をされております。市町村への補助対象年齢を拡大するには多額の恒久財源が必要となりますことから、和歌山県としては国に対して全国一律の子供医療費助成制度の創設を講ずるよう要望しております。
県といたしましては、国の動向を注視するとともに、現状の就学前の乳幼児を対象とした医療費助成制度を堅持しつつ、賢い予算のやりくりで財源確保について検討し、恒久財源の確保に努めてまいる所存でございます。
○副議長(中本浩精君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
岸本知事の公約である子供医療費の高校卒業までの拡充は、県民を笑顔にするための一丁目一番地の政策であると思います。しっかりと財源を確保し、実現できるように要望しておきます。
最後に、物価高騰対策についてお尋ねします。
8月の物価上昇品目は8000種類を超え、ガソリンの価格が8月26日時点で過去最高の1リットル当たり185.6円となりました。1990年以降で最高値を更新しました。これまでの最高値は2008年8月につけた185.1円で、およそ15年ぶりの更新となりました。
また、9月4日時点での全国平均で1リットル当たり186円で2週連続で最高値を更新しました。原油高の再上昇に加え、政府支給の補助金の減少、円安が輸入価格を押し上げていることが原因と言われております。
バス会社や観光船などは、せっかくお客さんが戻ってきたのに、燃料費高騰による影響を受け、運送業やタクシー、漁業、介護施設など幅広い業界で厳しい状況が続いております。
帝国データバンクの調査によりますと、令和5年1月から8月31日時点の物価高倒産は503件で、前年同期より約3倍の倒産があり、要因別では原材料の高騰によるものが33.8%で最多、電気代、燃料費などエネルギーが30.6%、人件費が14.9%の順で、十分な価格転嫁ができず経営破綻を余儀なくされた賃上げ難型も27件ありました。今後も高止まりするエネルギー価格に加え、賃上げ機運により影響が増す人件費の上昇とダブルパンチが企業経営を圧迫し、倒産に至るケースが増加する可能性が高いと予測しております。
また、総務省が発表した7月の家計調査によりますと、2人以上の世帯の消費支出は28万1736円と物価変動の影響を除いた実質で前年同月比5.0%減少し、5か月連続でマイナスとなりました。物価高を背景に節約志向が強まっており、減少幅は2021年2月以来の大きさになっております。
内訳は食料が2.8%減少、教育は19.8%の大幅減少、住居も18.6%減、また、新型コロナウイルスの感染症の位置づけが5類に移行し、マスクの需要が減ったことを背景に保健医療も7.5%減少、一方、外食が8.5%増加したほかは、国内パック旅行は22.6%増、宿泊は10.6%増とコロナ後の移動需要の増加のほかは、物価高が消費マインドにマイナスの要素となっており、県民の生活や中小企業などに大きな影響を与えております。
さらに、中小企業ではコロナ禍で受けたゼロゼロ融資の返済の時期と重なり、物価高、燃料油高騰の上昇、融資の返済と三重苦で経営を圧迫しております。
このような状況を受け、物価高に苦しむ家庭や中小企業の負担軽減策について、自民党、公明党の緊急提言により、岸田首相は、10月中にはガソリン1リットル当たり175円程度の水準を実現し、年内は継続することを明言、9月末が期限の電気や都市ガス料金の負担軽減についても物価高に対する経済対策を実施するまでの間続ける方針を示しました。
物価高騰に苦しむ県民や中小企業を支援する対策が喫緊の課題であります。物価高騰について、電気料金、ガス料金等高騰に対する県の取組について、商工観光労働部長、危機管理監、それぞれお答えください。
○副議長(中本浩精君) 商工観光労働部長三龍正人君。
〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 電気料金の高騰による影響を緩和するため、国は本年1月使用分から主に一般家庭向けの低圧電力や中小施設向け高圧電力について値引き支援を開始しましたが、大規模施設向け特別高圧電力は支援の対象外でございました。
県では、6月議会において、国の支援対象外である特別高圧を受電する中小企業者への支援として約6億7000万円の予算措置を行い、国の高圧電力支援と同等の本年1月使用分から8月使用分については1キロワットアワー当たり3.5円、9月使用分については1キロワットアワー当たり1.8円の補助を行う準備を進めており、10月中旬から申請の受付を開始する予定です。
これにより、県内の事業所で特別高圧電力を契約している中小企業者や県内の商業施設等に入居し、その費用を負担している中小企業者の電気料金の負担が軽減されることとなります。
10月使用分以降の支援につきましては、国が電気料金に対する負担軽減策を継続する方向で検討しており、財源措置も含め、その動向を注視しながら判断してまいります。
これらに加えまして、和歌山県事業再構築チャレンジ補助金を事業化し、コロナ禍や物価高騰等の社会経済環境が大きく変化する中で、新分野参入や業種・業態転換等を図る中小企業者を支援しているところです。
○副議長(中本浩精君) 危機管理監福田充宏君。
〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) LPガスの物価高騰対策については、本年3月に国から各都道府県に対し先行して国が実施していたガソリン、電気、都市ガスに続き、各都道府県において対策を講ずるよう、必要となる財源と併せ、その要請があったところです。
そこで県では、県内のLPガス料金上昇相当額の月1000円を料金から3か月間値引きするため、6月議会において8億1290万円の補正予算を承認いただき、現在、県内約330のLPガス販売事業者の協力の下、24万を超える世帯等のLPガス料金の負担軽減を行っているところです。
また、先般、国において今月末までとしていたガソリン、電気、都市ガスに関する物価高騰対策について年末まで延長するとの発表があったことから、県としてはLPガスについても今後、国の動向を注視してまいります。
○副議長(中本浩精君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 それぞれ御答弁ありがとうございました。
家計や中小企業を守るため、切れ目のない物価高騰対策を強く要望し、私の一般質問を終了します。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 以上で、中尾友紀君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
6番森 礼子さん。
〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 皆さん、こんにちは。森礼子です。
議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
初めは、和歌山県議会観光振興議員連盟ベトナム・ダナン視察調査について質問いたします。
日越外交樹立50周年を記念し、和歌山県議会観光振興議員連盟は、吉井会長を先頭に24名が岸本知事、濱口議長、青少年交流団、企業交流団と共に、南紀白浜空港国際線ターミナルよりベトナムのLCC・ベトジェットエアのA320をチャーターし、7月26日から30日までの5日間の日程でベトナム中部の観光都市ダナンほかを訪問しました。
今回は、その訪問の概要を御報告申し上げますとともに、日越友好の観点から幾つか御質問いたします。
まず、国際線ターミナルのこけら落としともいうべき出発式では、二階俊博日本ベトナム友好議員連盟会長や駐日本ベトナム大使、ベトジェット社長など御来賓も御出席され、両国のますますの友好発展と航路発展への期待が述べられました。
日程第1、ダナン企業と和歌山企業のビジネスマッチングセミナーでは、ダナン市の投資促進における現状について、ダナン投資促進支援委員会委員長ヒョン・リエン・フォン氏に、また、ダナン市に進出している日本企業の投資の現状について、ダナンの日本商工会議所会頭・平山敬二氏に講演をいただきました。質疑や意見交換では、和歌山県企業団からは都市の発展とごみ処理能力、環境問題に関する意見が多く出されました。また、ダナン市からは、南紀白浜空港とダナンの定期航路があればビジネス交流が促進されるという期待も寄せられました。
日程の第2、ダナン市観光局セミナーはダナン市庁舎で開催され、ダナン市観光省副所長ベンゼンベ氏、観光省トラベルエージェンシー管理室副室長、在ダナンベトナム観光協会会長など関係者から、ダナン市が観光振興で成功した秘訣と今後の展開について詳細な説明をいただきました。数ある取組の事例の中で印象的だったことは、本県との共通点でもある世界遺産の保存活用や、自然や風光明媚な海岸線を外資も受け入れて開発している点でありました。
日程の第3、企業団と共に国立ダナン大学へ訪問しました。ダナン大学は、ベトナムトップの6に位置づけられ、工科大学、経済大学、教育大学、外国語大学、技術師範大学、ベトナム韓国情報通信大学の6大学から成る大学連合のような組織であり、学生5万5000人、卒業後6か月以内の就職内定率90%を誇る名門大学です。世界の大学と交流しており、我が国では横浜国立大学とも盛んに交流しているとの紹介がありました。交流会ではダナン大学総長から、今回のイベントを単発に終わらせるのではなく、例えば和歌山大学と何らかの交流ができればと思っているのでよろしくお願いしたいとのお声がけがありました。
日程の第4、ダナンに進出している千葉県のホテル業者三日月ジャパニーズリゾート&スパの特命渉外部長・高瀬昭彦氏から御講演をいただき、進出の経過や創業までの苦労話などを伺いました。大企業でなくても、やる気と努力で海外で成功した体験談にとても感動いたしました。
高瀬氏の説明では、ダナン市のインバウンド観光客の多くはダナン空港に毎日毎日韓国から20便も飛んでくる韓国人観光客で、単純計算すると毎日韓国から約4000人の観光客がダナンを訪れていることになります。実際にダナンでは行く先々で出会うのは韓国人旅行者であり、ハングルの文字が町にあふれておりました。
高瀬氏いわく、インバウンドの取組成功の秘訣は直行便が大きな武器であるということでした。なるほど、さきに述べた和歌山への渡航が関西空港からでは不便を感じるが、南紀白浜空港間の直行便が充実することへの期待というわけです。韓国人にとってダナンは日本人にとってのハワイであるという話を高瀬部長から伺いました。これからは本県も日本人にとっての憧れの地がダナンに、ベトナム人にとっての憧れの地が和歌山になるように、今回の視察で得た情報、体験を生かして、その実現に努めてまいりたいと思います。
以上、報告を踏まえ御質問いたします。
南紀白浜空港は、海外からのチャーター便などに対応できるように国際線ターミナルを整備し、この11月で2年を迎えます。コロナが明けて今回が国際便の初めての就航となりました。
インバウンドの成功の秘訣は直行便にあり、南紀白浜空港とダナンの定期空路があればビジネス交流が促進されるだろうという意見をいただく中、ダナンはもとより、ほかの東南アジア諸国を目標に、今後の南紀白浜空港国際線ターミナルの利用促進が重要であります。株式会社南紀白浜エアポートがコンセッションで平成31年度から10年間の計画を作成している内容として、搭乗者数などの具体的な数値目標はどのようになっているのか、そういった観点も踏まえて県としての今後の計画、アプローチ等を知事、お聞かせください。
次に、国際線ターミナルについて伺います。
国際線ターミナルというと昔から歌や映画に登場するように、ドラマがお似合いの場所です。私は、観光客がわくわくできる空間が国際線ターミナルの醍醐味だと考えますが、南紀白浜空港は清潔感のある新しい国際ターミナルですが、未完成という感じを受けました。観光客が再び訪れたくなるターミナルへの改善に関して、株式会社南紀白浜エアポートとの連携が必要でありますが、どのように感じておられますか。県土整備部長の御答弁をお願いいたします。
次に、ダナン大学と和歌山大学との交流について。
ダナン大学グエン総長より、今回のイベントを単発に終わらせるのではなく、例えば、和歌山大学と何らかの交流ができればと思っているので、よろしくお願いしたいという宿題をいただいております。
現在、和歌山大学はダナン大学の傘下であるダナン工科大学と提携を結んでいます。グエン総長からの宿題に関して、和歌山大学で国際連携を担当する尾久土理事、大浦観光学部長、東国際観光学研究センター長、秋山共同利用・共同研究推進室長にお話を伺ったところ、ベトナムにおいては近年、国策的な観光開発により観光産業の成長が見られますが、その一方で地域社会や環境への負荷が問題、課題であります。持続可能な観光地経営への転換が必要となってきています。これは日本とも共通する課題です。和歌山大学では持続可能な観光地経営の推進について力を入れており、持続可能な観光指標の開発と実装、観光地経営のプロフェッショナル人材の育成等に取り組んでおられます。この点で、両大学の交流を深める意義は大変に深いと思います。
また、近年ベトナムが訪日客増加率1位となっていることから、特にIT企業やローカル企業の若手経営層に日本で学びたいという意欲が高いという報道がありました。会社経営や物づくりを学ぶ目的特化ツアー、インセンティブツアーなどに和歌山県のワーケーションの取組を生かせる可能性を感じます。ダナン大学、和歌山大学の交流を通じてベトナムの経営者層、ビジネスマン層との関係を構築することができれば、大学のメリットと同時に和歌山県としてのメリットでもあるというふうに考えます。
このような期待と取組を双方の学生が交流し取り組めることが日越外交樹立60年、70年、100年と続き、交流の深まりにつながる一つであると考えます。そして学生への多様な勉学の機会となり、学んだ手腕を発揮していただけると期待いたします。
そこで、大学間の交流の構築に関して和歌山県としても応援連携が求められると思いますが、知事の御答弁をお願いします。
また、今回知事は、ダナンでは私たち議員団とは別にダナン市人民委員会やすさみ物産を訪問するとともに、ハノイ・フーイエン省でも要人との会談を重ねるとともに、和歌山ジョブフェアや和歌山信愛大学とフーイエン大学とのオンライン日本語教室開講式にも出席されるなど積極的に活動をされました。
私たちがダナン市観光局を訪れた際にも、ベンゼンベ副所長から、昨日の知事とダナン市人民委員会委員長との会談の中で、和歌山県とダナン市の観光における様々な共通点があり、これからお互いに観光を開発していくという可能性が大きいということを伺った。今後、ますます深い友好関係や連携を図っていくことを期待していると語られ、知事のベトナム訪問は、ベトナムにとって好印象だったようです。
今回のベトナム訪問で知事が感じ取った和歌山とベトナムの交流、観光振興など展望をお聞かせください。
○副議長(中本浩精君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいま森議員から3問の御質問をいただきました。
まず、第1問目でございますけれども、南紀白浜空港国際線ターミナルの利用促進についての御質問でございます。
本年7月に日越外交関係樹立50周年を記念しまして、南紀白浜空港にベトナムからのチャーター便を誘致することができました。このチャーター便を利用いたしまして、高校生の相互交流、それからベトナムからの観光客の受入れ、また、私も含め和歌山県議会観光振興議員連盟の皆さんなどとの訪問が行われ、ベトナムとの関係を強化することができたと思っております。
今後の目標としては、2028年度の総搭乗者数を約25万人、うち国際線の搭乗者数は約5000人と、これは運営権者である株式会社南紀白浜エアポートが掲げているところでございます。国際線搭乗者数の目標達成に向けて国際線ターミナルの利用促進を図ることとし、株式会社南紀白浜エアポートや入国管理局等と連携して国際チャーター便の受入れ体制に万全を期してまいります。
さらに、県としては関係者とも連携し、アジア諸国を中心に航空会社や旅行会社にアプローチするなど、引き続き国際チャーター便を積極的に誘致してまいります。
それから、2問目でございます。大学間の交流の構築について御質問がありました。
本県では、これまでも海外へのミッション団派遣に際して教育機関の交流イベントを実施するなど、県内教育機関と海外の教育機関との連携、交流を促進してまいりました。
例えば、昨年のベトナムへのミッション団派遣の際には和歌山大学、和歌山信愛大学と和歌山グローバルビジネスカレッジに御参加いただき、ベトナム国内の25校との交流イベントを開催いたしました。その後、和歌山大学は五つの大学との交流協定を、また、和歌山信愛大学は海外の大学との初めての交流協定を結ばれたわけでございます。
今回、議員からお伺いいたしましたダナン大学からの申出については、既に議員から和歌山大学へお伝えいただいているとのことでありますけれども、和歌山県からも和歌山大学へ連絡し、大学の意向を伺いながら、必要な協力は行ってまいりたいと、そのように考えております。
今後とも、県内と海外の教育機関の連携、交流がより一層促進されますよう、交流機会の創出などの支援を行ってまいります。
それから、和歌山県とベトナムの今後の交流要望等について御質問をいただきました。
和歌山県では、2015年にベトナム社会主義共和国農業農村開発省と、同じく18年に同国商工省と覚書を締結いたしました。そして、これまでそれぞれの分野で交流を進めてきたわけであります。
今回、さらなる交流を推進するため、文化・スポーツ・観光省と文化及び観光に関する覚書を、それから労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局とベトナムから和歌山県への人材の送り出し・受入れに関する覚書をそれぞれ締結してまいりました。
また、合同企業説明会として初の海外開催となりました和歌山県ジョブフェア2023では、本県の企業やベトナム側の大学関係者をはじめ多数の御参加をいただきました。さらに、ダナン市やフーイエン省の人民委員会などの地方政府とも意見交換を行ってまいりました。
今回の訪問を契機に、インバウンドに関してはベトナム側の協力を得ながら本県への誘客につなげてまいりたいと考えております。
また、将来を担う和歌山県の若者が外国の文化に触れることは大変重要なことであると考えており、あらゆる機会を活用し、青少年交流や外国の文化に触れる機会を提供してまいります。
和歌山県への人材送り出し、受入れに関しましては、ベトナム人労働者の安全で安心な生活の確保、就労環境の整備、日本語教育のサポートなどに取り組み、対等な仲間として本県へ受け入れることで共生社会の実現を進めてまいります。
今回のベトナム訪問では、ベトナムの若い力とエネルギーを感じたところであります。このような勢いのある国とより一層交流を深め、和歌山県の活性化につなげてまいりたいと存じますので、引き続きの御協力をお願い申し上げます。
○副議長(中本浩精君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 南紀白浜空港国際線ターミナルの改善についてお答えします。
議員御発言のとおり、本年7月のベトナムからのチャーター便が国際線ターミナルビルを利用した初めての国際旅客の受入れとなり、入出国手続など本格的な運用開始となりました。
その後も県では、利用者の利便性向上に向け、国際線ターミナルビルにデジタルサイネージを設置し、地域の交通情報や観光情報の提供を開始したところであり、引き続きさらなる改善を図ってまいります。
また、南紀白浜空港の運営権者である株式会社南紀白浜エアポートは、ビルの1階において利用者からの様々な要望を総合的にサポートするサービスを開始したところであり、ビル2階においては利用者が快適に過ごせるラウンジエリアや商業スペースとしてのテナントエリアなどを計画しているところです。
県といたしましては、株式会社南紀白浜エアポートと連携して利用者のさらなる利便性向上に取り組んでまいります。
○副議長(中本浩精君) 森 礼子さん。
〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 今回のベトナム訪問の機会が私にとっては初めて白浜空港を利用させていただくことになりました。利用することによって気づく改善のところだったり多くのことを発見したんですけれども、例えば駐車場の利用の方法が変わるというときには説明を受けていましたけれども、使ってみてやっぱりどうだなということに気づいたりとか、また、チェックインをしてから搭乗するまで座るスペースが少なくて立っている時間が長かったなとか、そういう細かいことにおいて、利用したからこそ気づくような点がありましたので、すごくいい機会になったなというふうに思いました。
そして、コンパクトな地方空港でありますけれども、改善するところを改善していけば、そして、利用者のニーズに合わせれば、利用者が期待以上のおもてなしを感じたり、感動に触れれば、リピーターの増加とまたお客様の口コミでにぎやかな空港につながるんだなというふうにも思いました。
また、搭乗者数や直行便、チャーター便の目標というのは、南紀白浜エアポートが掲げた数値目標にまず向かって、いただいた答弁に期待をしていくところであります。
また、ダナン大学との交流に関しては和歌山大学の先生は取り組めることについてすごくわくわくと教えていただきましたので、大学間の交流が深まることと、ベトナムと和歌山の交流が互いの相乗効果となるように期待し、答弁にも期待いたします。
次の質問に入ります。
○副議長(中本浩精君) どうぞ。
○森 礼子君 次は、和歌山県の観光ツールについて質問します。
先日、和歌山市役所に行ったとき、1階のロビーに白いワンピースを着た髪の長いかわいらしい女性がお出迎えをしてくれました。近寄ってみると、観光大使・小舟潮さんと紹介されました。小舟潮さんは和歌山市初のアニメ観光大使で、2022年3月に就任されました。アニメ「サマータイムレンダ」のヒロインでファンが全国に世界にもいるそうです。
アニメの作中に和歌山市の街角や名物が数多く登場し、登場人物が和歌山弁を話すなど、和歌山市の魅力が詰まった作品ということから就任が決定されたそうです。アニメの舞台である友ヶ島など和歌山市に多くのファンが訪れていると伺いました。
しかし、私が小舟潮さんが和歌山市役所のロビーでお出迎えしてくれていることに気づいたのは2023年8月です。いつの頃からお出迎えしているのか分かりませんが、以前はHYDEさんでした。
なぜ目に留まったかといえば、今回の質問がきっかけです。実は私が知る酒屋店には、フィギュアやイラストカード、グッズなどがたくさん飾られています。店主にこれは何と聞くと、バンダイナムコのゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ」の和歌山県出身の高垣楓ちゃんと並木芽衣子ちゃんですと紹介されました。高垣楓ちゃんはお酒と温泉を愛する25歳、並木芽衣子ちゃんは旅行が好きな22歳だそうです。和歌山県にたまたま高垣酒造さんがあり、自社ブランドの日本酒・高垣、明光がシンデレラと名前が同じであることから、全国からファンが来店し、記念にフィギュアなどを残していくと聞きました。つい先日は、中国からのファンの方が訪れたそうです。そのアニメ効果のニュースが産経新聞に掲載されていたので、参考資料として議席に配付いたしました。
また、アイドルマスターシンデレラガールズは、全国各地の出身シンデレラが誕生し、御当地アイドルとして自治体とコラボをして地域の魅力発信、観光振興に活躍しています。重ねて資料を配付しております。
皆さんも御存じのとおり、日本のアニメ、ゲーム業界の人気、クオリティーはとても高く、国内はもちろん海外にも多くのファンが募り、常に注目を浴びています。2023年、日本とアメリカの合作映画「スーパーマリオブラザーズ」が世界中で放映されたことはトピックスですが、日本のアニメ、ゲーム業界による興業収入は不況知らずと言えます。
そこで、例えば今バス路線の利用が課題となっていますが、ラッピングバスの運行、車内アナウンスは楓ちゃんの声で「次は北の新地」「次は和歌山城前」と案内し、和歌山城前で下車したお客様が和歌山城を訪れ、プロジェクションマッピングやVRで旅行好きの芽衣子ちゃん、楓ちゃんと和歌山城を一緒に探索できれば、新たな魅力発信、誘客につながると考えます。これまで想定しなかったファンの方々が新たにバスを利用してくれ、また各地を訪ねてくれます。
もちろん和歌山市に限ったことではありません。和歌山県出身のシンデレラです。ちなみに、高垣楓ちゃんの声はとてもキュートで、日本でも1位、2位を争う声でファンを魅了しています。ラッピングバスやお城の探索は私が思いついたコラボの一例ですが、県内各地に観光客を招く和歌山県の新しい観光ツールであると思います。
アイドルマスターシンデレラガールズ和歌山県出身・高垣楓ちゃん、並木芽衣子ちゃんとの提携を図り、観光振興につなげることが有効的であると考えますが、知事の御所見をお願いします。
念のため申し上げておきます。今回の質問をする前に、バンダイナムコ社広報担当者に、議会質問でお二人の名前の使用は無断使用にならないことを確認済みです。バンダイナムコ社が行政とのコラボを積極的に推進しているということで、ライセンスアプローチの連絡先を教えていただきました。
知事、答弁をお願いします。
○副議長(中本浩精君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
和歌山県は、現在「聖地リゾート!和歌山」をキャッチフレーズに、高野山、熊野を中心とした世界遺産をはじめ、海、山、川の豊かな自然と人の営みによって培われた歴史と文化を大きな魅力として売り出していこうとしているところであります。
一方で、森議員御指摘のとおり、アニメやゲームのキャラクターを活用した方法ということについても、これは十二分に有効な政策になり得ると考えております。私ごとでありますけれども、2000年に経済産業省に出向してアニメとゲームの担当課長をやっておりましたので、バンダイナムコさんもよく存じ上げておりますけれども、大変興味ある御質問でした。
御質問の中のキャラクターは、いわゆるソーシャルゲームの人気キャラクターの一人でありまして、和歌山県が出身という設定であります。このような人気キャラクターを活用して地域がコラボして情報発信をしていくということ、それから今はやりの聖地巡礼として、若い方を中心とした観光客の呼び込みに効果を生み出す可能性は非常に高いものであろうと認識をしております。
一方で、一般論でありますけれども、アニメやゲームのキャラクターを活用した取組で重要なことは、作品と地域の関連性、それから和歌山県のイメージとの親和性、あるいはファンの皆さんの自発的な盛り上がりと聖地巡礼のようなその行動が大変重要であると考えております。
今後も、和歌山を題材としたアニメやゲームのコンテンツの動向を注視しつつ、費用対効果も考慮した上で、観光ツールとしての活用の可能性については最大限模索をしてまいりたいと思いますので、この辺もまた御指導をよろしくお願い申し上げます。
○副議長(中本浩精君) 森 礼子さん。
〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 すごく力強い御答弁をいただきました。これまで想定しなかった新しいお客様が和歌山県に来てくださることに大いに期待をいたします。どうかよろしくお願いします。
これで、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 以上で、森礼子さんの質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時8分散会