令和5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)
◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているものもあるため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なることがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。
令和5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号
議事日程 第2号
令和5年9月19日(火曜日)
午前10時開議
第1 議席変更の件
第2 議案第104号から議案第124号まで及び報第4号(質疑)
第3 一般質問
────────────────────
会議に付した事件
第1 議席変更の件
第2 議案第104号から議案第124号まで及び報第4号(質疑)
第3 一般質問
────────────────────
出席議員(42人)
1番 坂本佳隆
2番 三栖拓也
3番 秋月史成
4番 川畑哲哉
5番 藤山将材
6番 森 礼子
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 高田英亮
10番 玉木久登
11番 佐藤武治
12番 濱口太史
13番 鈴木太雄
14番 冨安民浩
15番 吉井和視
16番 鈴木德久
17番 玄素彰人
18番 岩田弘彦
19番 中本浩精
20番 中村裕一
21番 谷 洋一
22番 山家敏宏
23番 北山慎一
24番 堀 龍雄
25番 谷口和樹
26番 新島 雄
27番 山下直也
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 小西政宏
36番 浦平美博
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
────────────────────
説明のため出席した者
知事 岸本周平
副知事 下 宏
理事 田嶋久嗣
知事室長 北廣理人
危機管理監 福田充宏
総務部長 吉村 顕
企画部長 前 昌治
地域振興監 赤坂武彦
環境生活部長 山本祥生
福祉保健部長 今西宏行
商工観光労働部長 三龍正人
農林水産部長 山本佳之
県土整備部長 福本仁志
会計管理者 﨑山秀樹
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員長 竹田純久
警察本部長 山﨑洋平
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
事務局長 林 伸幸
次長(秘書広報室長事務取扱)
萩原 享
議事課長 長田和直
議事課副課長 岩谷隆哉
議事課議事班長 伊賀顕正
議事課主任 菅野清久
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 葛城泰洋
政策調査課長 岩井紀生
────────────────────
午前10時0分開議
○議長(濱口太史君) これより本日の会議を開きます。
この際、報告いたします。
今期定例会に提出されております令和4年度主要施策の成果について、誤りがあった旨の報告がありました。正誤表をお手元に配付しておりますので、御了承願います。
日程第1、議席変更の件を議題といたします。
議席の一部を変更いたしたいと思います。
その議席番号及び氏名を職員に朗読させます。
○議事課副課長(岩谷隆哉君) 9番玉木久登君を10番に、10番佐藤武治君を11番に、11番濱口太史君を12番に、12番鈴木太雄君を13番に、13番冨安民浩君を14番に、14番吉井和視君を15番に、15番鈴木德久君を16番に、16番玄素彰人君を17番に、17番岩田弘彦君を18番に、18番中本浩精君を19番に、19番中村裕一君を20番に、20番谷洋一君を21番に、21番山家敏宏君を22番に、22番北山慎一君を23番に、23番堀龍雄君を24番に、24番谷口和樹君を25番に、25番新島雄君を26番に、26番山下直也君を27番に、27番高田英亮君を9番に、それぞれ変更。
○議長(濱口太史君) お諮りいたします。ただいま朗読したとおり議席を変更することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(濱口太史君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
次に日程第2、議案第104号から議案第124号まで及び報第4号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第3、一般質問を行います。
24番堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)
○堀 龍雄君 皆さん、おはようございます。
9月議会一般質問のトップバッターとして登壇の機会を与えていただきました先輩議員、また同僚議員に、心からお礼を申し上げます。
議長の許可を得ておりますので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
まず初めに、6月の2日の水害で亡くなられた方々に御冥福を申し上げ、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
それでは、一つ目の質問の災害の備えと被災者の支援について、被災者への支援に対する知事の考えについてをお尋ねいたします。
6月2日には台風2号の影響により発生した線状降水帯による大雨、また、8月14日には台風7号が和歌山県を縦断するなど、異常な自然災害が頻発しています。令和3年9月議会で、静岡県熱海市で梅雨前線による記録的な大雨による土石流の災害が発生し、盛土と大雨に対する対策について質問をさせていただきました。
このような大きな被害をもたらす線状降水帯が私たちの地域に発生しないように願っていましたが、6月に私も今まで経験したことのない集中豪雨で被害を受け、和歌山県では、各市町村に災害状況や必要な支援内容等の情報を把握するための連絡員・リエゾン派遣や幹部間の直通連絡・ホットラインの開設、振興局と本庁関係課における常時接続ウェブ会議など、新たな取組も実施されました。
8月22日の定例記者会見では、台風7号が接近した際の対応について、知事は「被害状況の確認が大きな課題だった。万全の体制が取れたと認識している」とコメントされていました。ただし、いかに万全を期してでも被害は発生します。その被害に対し、早急な対応を実施し、適切な支援を行っていくことが求められます。
6月の大雨による浸水被害については、災害救助法が海南市に適用されましたが、隣接する市町では、同一災害であるにもかかわらず、適用基準を満たさなかったため同法の適用となりませんでした。この災害救助法の適用基準は、人口当たりの滅失世帯数の比率が等しくなく、小規模自治体が適用されにくいという大きな課題があり、住家に著しい被害を受けた個人を支援する被災者生活再建支援法の適用にも影響することから、6月定例会において尾崎要二議員が一般質問され、法の改正を訴えました。また、防災・国土強靱化対策特別委員会においても議論されました。
和歌山県議会としても、この課題に取り組むべく適用基準見直し要望を含む意見書を議決し、6月議会閉会後の7月11日には、自民党県議団・森会長、秋月政調会長、幹事長の私と内閣府にも意見書を持参し、法改正を強く要望したところです。和歌山県からも適用基準見直しの働きかけが必要かと思います。災害への備えと被害者への支援について、知事の御所見をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいま堀議員御指摘のとおり、小規模自治体が適用されにくいという課題のあります災害救助法につきましては、7月25日の全国知事会におきまして、私自ら発言をさせていただきました。そこで全国知事会の要望事項になりまして、国に届けることとなりました。さらに、8月3日には、内閣に対して和歌山県としても単独要望を行ったところであります。
今後も、関西広域連合などにおきましても提言をいたしまして、国に対する要望を続けてまいりたいと存じます。
災害の備えとしては、県では、6月の台風2号の影響による豪雨、線状降水帯の発生による災害に対する検証を行う中で、被害情報の確認が大きな課題であると認識をいたしました。
そこで、台風7号では、議員御発言のとおり市町村へのリエゾン派遣や市町村と振興局間のホットラインの開設、振興局と本庁関係課における常時の接続ウェブ会議など、新たな取組を実施することにより、被害状況を速やかに確認し、必要な対応が取れるよう万全の体制が取れたと認識しております。
また、線状降水帯予報に対応した適切な避難情報の発令に向けた検討なども現在進めているところでございます。
その上で、被災した方々には災害救助法や被災者生活再建支援法の活用など、県としてしっかり支援していく所存であり、今後も県民の命と生活を守るため、全力で取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 県単独の支援制度の導入や拡充についてということでお尋ねをいたします。
国への働きかけを積極的に行ってくれていることは本当によく分かりました。ありがとうございます。
基準見直しについては、本当に時間がかかると思われます。内閣府によると、多くの府県では、被災者生活再建支援法の適用基準を満たさず、適用できない市町村への支援を県単独制度で対応していると聞きました。基準が見直されるまでの間、期限付でも県単独の支援制度の導入と県単独制度である見舞金の拡充など、検討できないものか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 県独自の被災者生活再建支援制度については、災害救助法の適用基準が見直されれば解決される内容と考え、見直し要望を行っているところです。
一方で、議員御指摘のとおり、国の基準見直しには時間がかかることも想定され、同一災害で被害を受けられた方に同一の支援を行うためには、県独自の被災者生活再建支援制度の新設や見舞金の見直しなどの必要性も感じております。
県内市町村や他府県の状況などを踏まえながら、制度の新設や見直しについて検討してまいります。
○議長(濱口太史君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 部長の答弁をいただきました。
その中に、国の基準見直しについては、時間がかかることも想定されますよねと、同一災害で被害を受けた方々に同一の支援を行うためには、県独自の被災者生活再建支援制度の新設や見舞金の見直しなどが必要ということも感じておると、制度の新設や見直しについて検討してまいりますというお言葉を本当にいただきました。県民の皆様にこれを伝えれば、本当に安心して生活ができると感謝の気持ちでいっぱいじゃないでしょうか。来年度を楽しみにしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
続いて、こどもまんなか社会の実現に向けて、県の取組状況と知事の考えについてをお尋ねいたします。
国難とも言える少子化が進展しており、出生数は1949年の269万7000人をピークに、1971年から74年の第2次ベビーブーム以来進み、2022年には77万人と大きく減少しています。
少子化が進むと、労働力の減少や高齢化が進行する可能性があります。そのことにより、年金制度や医療制度への負担が増大し、社会保障の持続可能性に課題が生じるように思います。若年層が減少することで労働力が不足し、企業の生産性や競争力低下につながります。人口減少が進むと内需が低下し、経済成長が鈍化する可能性が大きくなり、国内産業や雇用にも影響が出ると考えられます。
また、地方の地域では、過疎化が進み、消滅する危険性も出てきており、このように深刻な少子化に加え、子供の貧困、児童虐待やいじめの急激な増加など、子供を取り巻く問題は山積しております。子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組や政策を国、社会の真ん中に据えて強力に進めるこどもまんなか社会の実現が急務であると思います。
そのような状況の下、本年4月にこども家庭庁が創設され、こども基本法が施行されました。国は、6月にこども未来戦略方針を決定し、子供・子育て政策を強力に推進しており、若い世代の所得を増やすこと、社会全体の行動や意識を変えること、全ての子供・子育て世帯へ切れ目なく支援することが基本理念として、待ったなしの少子化の進行を打開するため社会全体の行動や意識を変えて、子供と子育て世帯のために社会全体が応援する、国民、県民の意識改革が必要であると思います。
私の地元、かつらぎ町においても子供食堂があります。そこは、単に子供に食事を提供する場ということだけではなく、子供を支援したい人たちが集まり、高齢者も集う新たな地域の交流の場となっております。子供を真ん中に据え、地域社会全体で子供や若者を応援することは、子供や若者はもちろん、全ての世代にとって幸福感が高まることにつながるのではないでしょうか。
国は、社会全体で子供や若者を応援しようとこどもまんなか応援サポーターを募集し、今からできることを実践する取組を呼びかけ、先般知事もこどもまんなか応援サポーターへと就任し、10月30日にこどもまんなか大会を開催予定で、知事が先頭に立ってアクションを起こされています。
そこで、こどもまんなか社会への実現に向けた県の取組はいかがですか。知事のお考えをお尋ねいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
こども基本法の基本理念にのっとり、国においてあらゆる取組、政策の中心に子供や若者を据え、常に子供や若者の最善の利益を第一に考えるこどもまんなか社会の実現に向け、子供・子育て政策を強力に推進してまいりたいと存じます。
今、堀議員が御指摘いただきましたけれども、子供食堂につきましても、今年の補正予算で議決していただきましたとおり特段の措置を取りました。これも議員御指摘のとおりで、子供食堂という名前ですけれども、おじいちゃん、おばあちゃんも近所の地域のコミュニティーの集まる場として、子供を真ん中に置いた上で、3世代、4世代の集まりをつくるという趣旨でこれからもつくっていきたいと思っております。
そして、今、8月に国が掲げるこどもまんなか宣言、これに賛同いたしまして、私自身もこどもまんなか応援サポーターに就任させていただきました。子供や子育て当事者に優しい社会をつくるためには、男性は仕事、女性は家事、育児といった固定的な性別役割分担を押しつける意識や社会構造を変えることが最も必要であると考えております。
そのため県では、こどもまんなか社会の実現や仕事と子育てを両立できる環境づくりを推進するため、本年10月30日に和歌山こどもまんなか大会を開催します。企業の経営者や管理職を担う方々にもぜひ参加していただきたいと考えております。また、子育てしやすい職場環境の整備や地域での子育て応援が進むよう県内の企業、団体に働きかけ、和歌山こどもまんなか応援団を創設する予定であります。
今後も、子供のために何が最もよいことか常に考え、全ての子供たちが健やかに成長し、将来にわたって幸福な生活を送ることができるような社会の実現を目指し、子供関連施策を総合的に推進してまいります。
○議長(濱口太史君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 知事の前向きな御答弁をいただき、本当にうれしく思っております。ありがとうございます。
次に、仕事と子育てが両立できる環境づくりについてお尋ねをいたします。
子供は地域の宝物であり、地域も一体となって協力し、子育てのしやすい環境づくりが大切と考えます。今後、働き手が少なくなってくると言われており、働き手の確保が困難になってきている状況であります。
また、職業の種類によっても偏りがあるように思います。例えば、大企業より中小・零細企業が多い和歌山県では、余裕のある人材で経営している事業所は少ないと思います。子育て世代の人は、その事業所の中でも中心的な存在で仕事をしています。余裕のない中で育児休暇など、1人が欠けたら事業所の運営も困難が生じると思います。学校現場においてでも人手が不足していますよということもお聞きしております。
こどもまんなか宣言を本当に実のなる取組にしていくには、みんなが理解し賛同して、協力の下で進めていかなければならないと思います。
先ほど述べらしていただきました課題をどうお考えになるのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 第2子以降の出生割合や妻の就業継続は、夫の家事・育児時間が長いほど高い傾向にあることから、男性の家事、育児の参加が重要です。
国は、男性の育児休業を後押しするため、中小企業に配慮した施策を実施しています。2022年10月から産後パパ育休制度が創設されました。これは、男性労働者が子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる育休制度で、分割取得が可能です。原則禁止されていた育休中の就業が労使協定に基づいて認められるもので、より柔軟に育休を取得することができます。人員に余裕がない事業所にとっても業務調整がしやすい制度となっています。また、国は、男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備等を行った中小企業事業主に対し、子育てパパ支援助成金を支給するなど、支援制度をつくっています。
県では、県内企業や団体が仕事と子育ての両立支援などに取り組めるよう、和歌山こどもまんなか応援団を創設し、好事例の横展開ができるよう積極的に情報共有するとともに、国制度の周知を行ってまいります。
○議長(濱口太史君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 福祉保健部長の答弁をいただきました。
子供を中心と考え、子育ては奥さんだけではなく男性と2人で育児をすれば、育児放棄や虐待が少なくなってくると思います。一方、事業者のことを考えてみると、ちょっとしんどいんかなあと思われることも感じられます。両方がお互いに成り立つように行政のほうでしっかりと応援していっていただきたいなと、そう思いますので、よろしくお願いしておきます。
続きまして、次の質問に入らせていただきます。
住宅の省エネ対策について、断熱性向上に係る補助制度の内容等についてであります。
政府は、我が国の地球温暖化対策の取組を加速させるため、2050年カーボンニュートラルを宣言し、家庭部門では、2030年度に二酸化炭素・CO2排出量を13年度比で約7割削減という目標を掲げています。
国は、この目標達成に向け住宅の省エネを強力に推進することとし、住宅の高効率給湯器の導入や断熱性向上等の省エネ化を国が直接支援する補助制度が新たに創設されています。この補助制度では、目標達成には家電商品の省エネの性能を高めるだけでは十分ではないため、欧州諸国より遅れている既存住宅の断熱性の向上を促す各種対策も補助対象として、住宅省エネ2023キャンペーンと銘打って広く周知しているところです。
そこで、まず、住宅の断熱性向上のための補助制度とはどのような制度となっているのか、対象となる工事はどのような工事なのか、また、住宅の耐震改修支援の補助金制度と併用が可能なのか、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 住宅の断熱性能を高めることは、冷暖房などによる二酸化炭素排出の削減に有効です。このため、議員御指摘の国が実施する補助制度では、高い省エネ性能を有する住宅の新築や高効率給湯器の設置のほか、断熱性能が向上する外壁、屋根の改修や窓の交換等の省エネリフォームが主な補助対象とされています。
また、補助の申請は工事を実施する事業者が行い、申請期限は2023年12月31日、または予算がなくなった時点のいずれか早い時期までとされており、補助額については、新築は100万円、省エネリフォームは工事部位ごとに用いる材料の断熱性能等に応じて補助額が定められています。
なお、耐震補強など、ほかの補助事業との併用については、補助対象となる工事が重複しなければ可能となっています。
○議長(濱口太史君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 住宅耐震化も含めた補助制度の周知啓発について、県の取組についてをお尋ねいたします。
この制度については、カーボンニュートラルという政府目標達成のため広く周知し実施しているものの、住宅を新築しようとする方やリフォーム工事をしようとする方には目に留まるものの、そのほかの方々まで行き渡っていないように思われます。和歌山県としても、広く活用されるよう積極的に周知啓発等を行うべきものと考えます。
さらに、いつ起こってもおかしくないと言われております東南海、南海トラフによる大地震に備えて、和歌山県、市町村が連携して実施している住宅の耐震改修支援と併せて周知することで、さらに住宅の耐震化も促進されるのではないかと考えます。
和歌山県がこれらの補助制度の周知啓発等に関して実施したこれまでの取組と、住宅の省エネ化の支援と耐震改修も含めた周知啓発への今後の取組について、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 住宅の省エネ化の推進は、政府目標達成のための重要な施策の一つであります。
このため、県では、国の補助制度が広く活用されるよう、補助申請を行うこととなる事業者の皆様に対し、建築、電気並びに機械設備の関係11団体を通じて制度の活用を周知するとともに、制度の詳細や省エネ基準に関する講習会を開催してまいりました。
また、耐震改修と省エネ改修等のリフォームを併せて行うことで、先ほど御答弁しましたとおり、それぞれの補助金を同時に活用できる場合があるほか、効率的かつ経済的な工事を実施することが期待できます。
県としては、今後も国の動向を見ながら、住宅の耐震化及び省エネ化が進むよう、これまでの取組に加え、市町村とも連携し、耐震改修に係る様々なPRに併せて、省エネ改修の補助制度について広く県民の皆様に周知啓発を行ってまいります。
○議長(濱口太史君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 県土整備部長から御答弁をいただきました。
うまく併用して、省エネ住宅、耐震化住宅で安全で安心して生活をしていただき、その上、2030年度に二酸化炭素・CO2排出量13年度比7割削減目標の達成のためにつながると思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
次の質問に入らしていただきます。
和歌山県事業再構築チャレンジ補助金についてであります。申請状況と予算措置について質問させていただきます。
令和5年9月議会一般会計補正予算案についてでお願いします。
コロナウイルス感染症により、多くの事業所は、ロックダウン、営業制限、社会的距離の要請など売上げが急激に減少し、これにより収益が大幅に減少して、一部の事業者は経営困難に陥りました。特に観光、宿泊、飲食業など、一時的な営業停止を余儀なくされました。これにより収入を失った事業所は多くありました。一部の零細事業所は、従業員を解雇するか、一時的に休業させる必要がありました。これが雇用に対する影響をもたらし、経済的な不安を増加させました。収益の急激な減少と少なくならない支出により、お金の流れが事業所にとって深刻な課題となりました。資金調達が難しくなり、事業所は経営持続に苦労しました。
国や和歌山県では、政府が零細企業を支援するための措置が講じられ、資金調達の支援や雇用維持プログラムが実施されました。その中でコロナが第5類に変更され、人の流れも多くなり、経済的にも回復の兆しが見えてきていますが、まだ全般的には達していないように思います。また、円安による材料の高騰など生産単価のコストアップ、それに物流費上昇など、事業所を圧迫させる要素は数多くあります。
このような新型コロナウイルス感染症や資源・物価高騰等の社会経済環境の変化の中で、新分野への参入や業種・業態転換等の事業再建構築を行う事業者への支援が必要であると考えられます。
和歌山県においては、和歌山県事業再構築チャレンジ補助金が事業化されたところですが、この事業は1期から3期まで計3回実施されることになっており、1期、2期の採択結果についてはホームページで公表されています。1期では173件の申請があり、うち採択数は82件、2期では281件の申請があり、うち採択数は128件となっており、いずれも採択率は50%を下回っております。
3期については、8月17日をもって申請期間が終了していますが、申請状況はどうなっているのか。また、本議会に増額の補正予算が提出されており、チャレンジしようとしている事業者のことを考えると、できるだけ多くの事業者を支援してもらいたいと思います。
そこで、商工観光労働部長にお答えをお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 商工観光労働部長三龍正人君。
〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 和歌山県事業再構築チャレンジ補助金は、コロナ禍からの脱却を目指し、新分野への参入、業種・業態転換等の事業再構築を行い、前向きに攻めに転じたいと考えておられる事業者を支援するため事業化したところです。
事業者にとりましては、初期投資費用が軽減できることから、第1期、第2期のいずれも当初の想定を上回る申請があり、議員御指摘のとおり、採択率は50%を下回っている状況です。
第3期におきましても、当初想定していた件数を上回る254件の申請があったことから、今後必要となる予算額である8億円の補正予算案を本議会に提案しているところであります。
○議長(濱口太史君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 二つ目の質問で、今後の補助金継続についてということでお尋ねをいたします。
第1期では173件のうち82件採択、第2期では281件のうち128件の採択、3期では254の申請があったと部長の答弁をいただきました。
1期、2期では、採択率が50%を下回っております。事業所はまだまだコロナウイルス感染症の痛手を被り、さらに資源・物価高騰による影響が数多く事業所の経営を圧迫させていて、将来を見据えて事業・業態転換等の事業再構築を考えています。その上、この補助金は、申請して採択されなかった事業所は内容を精査し、よいものに仕上げて再度申請することができます。まだまだ利用させていただきたい事業所があると考えられます。
和歌山県の経済活性化のために本当によい施策だなあと思いますし、6月でも補正を組み、9月でも8億円の補正案が提出されています。さらに今後も、皆さんが継続を望んでいる施策だと考えられます。補助金継続について、商工観光労働部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 商工観光労働部長。
〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 和歌山県事業再構築チャレンジ補助金は、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、前向きな投資を促す施策として昨年12月議会において予算措置を行い、実施してきたところであります。
当補助金は、国の財源手当てを前提に、原油・物価高騰等の社会環境変化に対応するための特別な措置であり、事業の継続につきましては、事業者の状況等を踏まえ、現在議論されている国の財政措置を含めた経済対策等の動向を注視しながら総合的に判断してまいります。
○議長(濱口太史君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 申請数は1次、2次、3次で708件の申請数があり、採択率は50%を下回っているということです。単純に考えて、約350件が不採択で、再挑戦しようと新規申請者を含め合わせても、まだまだやってほしいよと希望を持っている事業者がたくさんあると思います。事業所の顕在化を促し、労働場所の確保のためにもぜひ継続してほしい事業であると思いますので、今後ともよろしくお願いしておきたいと思います。
以上で、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、堀龍雄君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
28番小川浩樹君。
〔小川浩樹君、登壇〕(拍手)
○小川浩樹君 皆さん、おはようございます。28番議員、公明党の小川です。
県議会においての初めての一般質問でございます。聞き取りにくいところもあるかと思いますが、最後までの御静聴をよろしくお願いを申し上げます。
それでは、大項目4点についてお伺いをいたします。
まず1点目、国がデジタル田園都市国家構想を策定したことに寄せて、当局のお考えをお聞きいたします。
政府は、地方を再創生させる取組として、2014年のまち・ひと・しごと創生総合戦略の閣議決定以来、これを進めてまいりましたが、昨年、2022年12月、このまち・ひと・しごと創生総合戦略を抜本的に改訂し、2023年より5年間をかけての新たな総合戦略として、デジタル田園都市国家構想基本方針を策定、まち・ひと・しごと総合戦略をデジタルの活用によりさらに深く充実、具体化を図るとともに、地域ビジョンを再構築し、その実現に向け推進策を提示することとなりました。
提示されている大枠は、雇用の創出、地方への人の流れをつくること、妊娠から子育てまでの支援、そしてデジタルの力により、教育、医療、介護、高齢者生活支援等々でありますが、私たち地方もこれに呼応した新たな施策構築という流れをつくっていくべき時期にあると認識をしております。
デジタル田園都市国家構想の基本方針の中で、構想の背景としてこのように書かれています。「地方には人口減少や少子高齢化、産業空洞化などの社会課題がある。こうした課題を解決し、地方活性化を図っていかなければならない。このため、2014年以降地方創生に取り組んできたが、東京圏と地方との転出入均衡達成目標はいまだ達成できていないなど、その実現は道半ばである。新型コロナウイルス感染症が拡大したことに伴い、観光業などの地方経済を支える産業への打撃や、地域コミュニティの弱体化など、地方の経済・社会は大きな影響を受けた。高齢化や過疎化などもともと地方が抱えていた構造的な問題とあいまって、地方はまさに疲弊の極みにあり、地方の豊かさを取り戻すことは我が国にとって喫緊の課題である。こうした課題を解決するためには、これまでの地方創生の成果を最大限に活用しつつ、国や地方の取組を大きくバージョンアップさせ、地方の社会課題を解決し、魅力を向上させることを通じて、地方活性化を図ることが求められている」とあります。
デジタル田園都市国家という名称だけを聞くと、DX戦略等により、デジタル基盤を整え、便利さを享受できる社会の実現を目指すという政策と捉えられますが、この国家構想はそれにとどまらず、国の抱える根本問題である人口減少への対応、東京一極集中の是正や地方に人の流れを創出するという、将来にわたって国を成立させるための施策にいよいよ本腰を入れて取り組むという政府の強い意志の表れだと私は捉えています。
今回の構想は、例えば、企業に本社機能の地方への移転を促し、東京一極集中を是正し地方に雇用を創出することや、出産により休職した女性がそのキャリアによる待遇を変えることなく復職できることを目指すことや、各自治体が本当に苦労をしている公共交通ネットワークを整備すること等々、もちろん実現できるならすばらしいことだが、それは理想論ではないかと感じていた以前からの提示についても、よりこれを具現化しようとする態度がうかがえます。本当に国が本腰を上げ、国費を投入し、本気でその実現に取り組むなら、我々地方としても将来の地域の存続に関わる諸問題の解決のためにこれを使わない手はありません。
私は、田辺市出身で、市議を20年務めてまいりましたが、この間、少子高齢化による地域の在り方の変わりようは大変なものがありました。子育て支援により多くの子供を産み育てていただく施策や独居高齢者を守る施策、観光等により交流人口を増加させる施策等々、それら個別には市当局と共に取り組んではきましたが、自治体が打つ手の、それ以上の圧倒的なスピードで少子高齢化の波が押し寄せているという実感がいつもありました。
若い方たちの就労先が減少していくことや高齢者夫婦世帯がやがて独居高齢者世帯となり、そして空き家となっていく、その数の増加の速さ、小学校が統合や廃校になっていくことや地域の自治会の担い手がなく活動が行えない等々、ほんの数十年前には予想もつかなかった状況にあります。
私は、昨年秋より和歌山市に在住し、市内で多くの懇談の場を持ってまいりましたが、その中でも強く感じたのは、県内各地域で起こっている根本的な諸問題は、スケールの大きささえ違えど、この和歌山市も同じ状況であるということです。
この構想の取組の前提の中にはこのように書かれています。「デジタル田園都市国家構想はデジタル基盤が整備された都市のみを対象とするものではない。むしろ、過疎化、高齢化の課題先進地である地方においてこそ、デジタル技術を活用し社会課題の解決を図っていく必要があり、全国津々浦々で本構想が実現されることが重要である。全国各地において、このことが実現し、地方の活力を高め、心豊かな暮らしを実現するため、地理的条件、人口構成や地域産業の状況など地域それぞれの実情に応じて、解決すべき課題を整理し、デジタル技術を活用することで、地域の魅力を向上させていくことが求められている」とあります。
現在、庁内では、地方創生に関する総括や関係交付金の活用は企画総務課が担い、デジタル実装タイプの交付金をはじめ、デジタル技術の活用を様々な分野で展開をさせていくための取組を新たに設置されたデジタル社会推進課が担い、各部局と連携をしながら取組を進めていると認識をしております。ですが、さらにこれを加速させていかなければなりません。
本県は、人口の減少に伴う諸課題の中、将来の地域を成り立たせていくことが可能なのか、大きな岐路に立っている状況だと考えます。国の本構想策定に寄せて、今後の取組について総論としての知事のお考えをお聞かせください。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 小川浩樹議員の質問にお答え申し上げます。
今、小川議員が田辺市での20年間の政治活動を基に質問なさいました。その中で、「自治体が手を打つ以上の圧倒的なスピードで少子高齢化の波が押し寄せているという実感」というお言葉をいただきました。私も、落選中を入れて18年間でありますけれども、和歌山市の草の根で活動する中で、全く同じ思いを持たせていただいております。そのことを申し上げた上でお答えしたいと思います。
県では、和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づきまして、雇用の創出、若者の県内定着や移住・定住の促進、子育て支援など、地方創生の推進に向け様々な取組を行っております。
国におきましては、デジタル田園都市国家構想総合戦略を策定し、デジタルの力を活用して地方創生を加速化、深化することとしております。デジタルの技術は、人口減少や過疎化、高齢化等が進展する地方にこそ有用であり、取組を実行していくに当たっては、デジタル技術を最大限活用してまいりたいと考えております。
県として、その実行組織として今年度、総務部に県庁DXの推進や市町村DXの支援を行う行政企画課を設けました。また、企画部には、産業、地域におけるDXを推進するデジタル社会推進課を設置いたしました。
デジタル技術は、地域課題の解決や地域の魅力向上を実現するためのツールとして非常に有効であるわけでありますけれども、その一方で、導入するに当たりましては財政負担が必要となってまいります。そのため、県では、デジタル田園都市国家構想交付金等を活用し、観光や防災へのデジタルツール導入や県内企業のDX等に取り組んでいるところであります。
今後も、国の交付金等を使いながら、県内外の民間企業や教育機関等とも連携し、産業、教育、医療、防災等における様々な課題に対してデジタル技術をうまく活用することで、地方創生の取組を進めてまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 小川浩樹君。
〔小川浩樹君、登壇〕
○小川浩樹君 御答弁ありがとうございました。
現在に至るまでも、地方創生、地域活性化のための個別具体の政策には県当局、また市町が取り組んできたと、大変な苦労をされて取り組んできたと認識をしておりますが、この国の国家構想の下、さらに大きなビジョンとして総合的に取り組んでいただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
続いて、2点目、和歌山県医師確保計画についてお伺いをいたします。
地域の医療を成り立たせ、その偏在を解消するために将来の医師を確保することは、和歌山県のみならず地方が抱える大きな課題だと認識をしています。
本県においても、県内で医師として貢献していただける人材を確保するため、2008年以降順次、県立医科大学の定員を60人から100人に増やし、その入試枠に、卒後のキャリア9年を県立医大病院及び県内の地域中核病院で従事していただく県民医療枠20名、同じく卒後、県立医大病院及び僻地医療拠点病院や僻地診療所で従事していただく地域医療枠10名を設け、また、近畿大学においても和歌山県地域枠2名が設置され、順次、この方たちの県内の医療現場での活躍を期待するものです。
このような中、和歌山県は、県内での各地域間の偏在や診療科間での医師の偏在の解消を図る医師確保推進のため、2020年3月、和歌山県医師確保計画を策定いたしました。この計画は、2020年をスタートとし、本年、2023年度までの4年間の間で具体的な医師確保の数値目標を上げ、取り組み、以後3年ごとに見直すこととなっています。
そこで1点目、この医師確保計画の現状でのその進捗をお聞かせください。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 医師確保計画においては、施策の効果を評価するため、地域医療を支える病院や診療所など、県内の医療施設に従事する医師数やその病院勤務医の割合、また、産科や小児科をはじめ県内で不足する診療科の医師数など、12項目の目標を設定しています。
現在の進捗状況について、病院での常勤医師数は、昨年までの3年間で128人増加し、着実に目標達成に向かっています。個別の診療科では、専門研修の登録者数はこれまで産婦人科15人、小児科20人と増えつつあるものの、これらの診療科では目標には届かず、精神科の医師数のみ目標達成が見込まれる状況です。
○議長(濱口太史君) 小川浩樹君。
〔小川浩樹君、登壇〕
○小川浩樹君 御答弁をいただきました。
医師確保計画の目標達成に、小児科医、産科医はやはり難しい状況にあると思っています。私もその中でも産科医不足というのは深刻な問題と思っており、2点目、産科医確保についてお伺いをいたします。
各圏域、地域において、出産できるということを担保できるだけの産科医確保を目指すための努力は惜しまない姿勢が大事だと考えますが、医師確保計画の中では、周産期医療、小児科医療については、県全体が一丸となって取り組む必要があることから県全体として方針を策定するとあり、また、産科医については、県外からの医師確保、県内産科の専攻医確保に努めるともあります。また、産科医は女性が多いことから、その子育て支援にも取り組む旨、記載をされております。
濱口議長も令和3年当時、新宮市立医療センターの産科医辞任により、突如の出産予約休止となっている現状についての議会質問をなされていますが、当時、私は田辺市議でしたが、このとき新宮で出産予定だった約50名の妊婦さんのうち、どれほどの方たちが田辺の紀南病院に流れてくるのか、その受入れは可能なのかと騒然とした雰囲気になりました。
当時、有田圏域では、有田市立病院での出産を産科医退職により休止し、地域の分娩を和歌山市内か御坊、ひだか病院に行かざるを得ないようになり間もない頃で、このように一つの圏域での総合拠点病院での分娩が休止されることにより、出産が可能な隣の圏域、隣の圏域へと玉突きのように分娩数が圧迫されていくことに危機感が生まれている状況でしたが、新宮市立医療センターの出産が再開されなければ、紀中、紀南で出産が可能な地域拠点の総合病院は、紀南病院とひだか病院の二つということになり、この時点でも地域の分娩可能な絶対数に不安が生じる上、もし将来紀南病院での分娩が休止というようなことになると、紀南地方の妊婦さんの分娩は、ひだか病院に受入れの余裕がなければ和歌山市でしか出産できないということになります。
その危機感から、地域での分娩受入れ可能数や産科医確保の努力をお願いする議会質問を当時、田辺市議会で行いました。結果的には、新宮市立医療センターでは何とか産科医の確保ができ、出産受付が再開され事なきを得ましたが、現状、県内では既に圏域内での分娩絶対数を受け入れられない地域も存在します。
県当局として、産科医確保により、住んでいる各地域で出産ができることを将来的にも担保するためのさらなる取組をお願いしたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
産科医の確保につきましては、私ども県当局も大変厳しい認識を持って、危機感を持っておるところであります。県内での産科医の不足が顕在化し、周産期医療体制が危機的な状況となりましたことから、昨年度、県外の大学に依頼をし、緊急的な対応策として県内公立病院へ産科医の派遣を行っていただいたところであります。
さらに、和歌山県立医科大学におきまして、即戦力となる産科医の確保を図るため寄附講座を開設いたしました。と同時に、中長期的な対応策として、新たに産科を指定した入学枠を設け、医師の偏在対策を強化しております。
安心・安全に周産期医療を提供するためには、それぞれの医療機関で複数の医師による十分な診療体制を整えることが不可欠であります。県としては、将来の周産期医療体制の堅持に向けて、さらなる産科医の確保が必要であると認識しております。
現在、産科医の確保に向けまして、産科医の勤務環境の改善など様々な観点から現状の課題を洗い出し、ありとあらゆる対応策を検討中であります。産科医の確保は容易ではありませんけれども、和歌山県立医科大学とも二人三脚で、それこそ最大限の協力をいただきながら、諦めることなく、やれることは全て対応していく所存でございます。
○議長(濱口太史君) 小川浩樹君。
〔小川浩樹君、登壇〕
○小川浩樹君 御答弁ありがとうございました。
続いて、3点目の質問に移ります。
産後ケア事業について、当局のお考えをお伺いいたします。
我が国では、過去、妊産婦の出産時における死亡が多く、これを減少させることが長年の課題でした。妊産婦死亡率は、1990年では出産10万人当たり8.2人でありましたが、日本産婦人科医会等が中心となり、死亡事例の抽出や再発防止の提言等を行いながら、2015年にこれを4分の1とすることを目標とし医療水準を充実させ、設備を整えながら取り組んだ結果、2014年には10万人当たり2.7人まで低下し、現状では世界でも最も安全なお産ができる国になりました。
しかし、このような中、2005年から2014年の10年間での東京23区の妊産婦死亡調査で、妊娠中23例、産後1年未満40例、合計63例の精神不安による産婦の自殺が確認されました。東京23区の自殺による妊産婦死亡率は、10万人当たり計算上8.7人となり、長年かけて努力をし、減少させてきた妊産婦死亡率を大きく上回っていることが分かりました。これが産後ケア事業の始まるきっかけとなった東京での大きなショックと言われる事象です。産後鬱は、潜在的に大変多いことが予想され、これを未然に防ぎ、自殺者をなくすために、まず東京23区内で産後ケア事業が始まり、そして、現在は努力義務として全国の自治体でその取組がなされています。
この事業の担い手は、民間産婦人科医院や助産院となります。私は長年、これに携わる助産師の方たちと懇談をしてまいりましたが、この方たちによると、出産間もない母親の相談の中で、乳児にどう接したらよいか分からない、そして、そんな自身がふがいなく鬱状態となり、中にはいっそ自身か乳児がいなくなればと思ってしまう方が想像以上に多いと伺ってまいりました。産後の自殺者をなくすということはもちろんですが、精神不安を原因とする将来の子供へのDVや子供を無視、放置するネグレクト等、虐待をなくすこと、また、そのことにより子供が精神不安を抱えたまま成長してしまうことを防ぐためにも、本当に大事な事業だと思っております。
本県も各市町村において、育児相談や指導、体調チェック、乳児の発達相談等がデイサービス型、宿泊型、訪問アウトリーチ型という形でこの事業を実施している状況にあります。県当局に各市町の事業内容とその利用者数を提示していただきましたが、自治体によって、これらサービスを全て実施しているところとそうでないところ、また、利用者個人負担に対する補助額に差があること等、その事業内容に差があり、そしてその利用者数にも大きな差があります。また、未実施自治体も一つあるという状況です。
このサービスを受けるには、母子健康手帳を持って自治体窓口に行き、申請を行った上で利用券を頂き、それを持って助産院や病院に向かうことになりますが、出産された母親全員が少しでも子育てに不安を感じればすぐにこのサービスを受けやすい環境にある自治体と、そうでない自治体があるのではないかと感じています。
懇談を繰り返してきた助産師さんたちによると、精神が不安定になってからの相談では遅く、小さな不安を感じたときにそれを解消しなければ意味がないとのことでした。中には精神不安になり、この事業の委託先である病院へ相談に行ったが、思った以上に対応が淡泊で、その後、このサービスを利用することはなかったというような事例が過去には多かったようで、自治体と連携して事業を実施する主体者にもこの事業の本質を理解できていないところがあったとのことでした。
産後ケア事業の開始以降、この事業の告知が進み、利用者も伸びを見せており、支援を希望する産婦へのケアは広まってまいりましたが、しかし、産後ケアの対象となり得る心身の不調、育児不安がありながらも、産後ケア事業を利用していない産婦や潜在的に不安を抱えている妊産婦はまだまだ多い状況にあると考えています。
鳥取県では、この国2分の1、市町2分の1負担の事業に対して、利用者負担がゼロになるように県費での補助政策を始め、それが利用者の増加につながっているとの事例もあります。県内各市町村がこの事業を一層充実させ、産後鬱を減少させ、ひいては精神不安のまま成長していく子供を減らすために、県としてもさらなる取組が必要だと考えますが、福祉保健部長の御所見をお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 産後ケア事業は、出産後1年以内の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行い、産後も安心して子育てができるよう支援するものであり、母子保健法において市町村の事業として位置づけられています。また、2020年5月の少子化社会対策大綱において、2024年度末までに全ての市町村で実施することとされています。
しかしながら、市町村の利用者数や実施方法等にばらつきが見られ、利用者に十分な周知ができていないことや受入れ体制の充実も必要と認識しております。
県としましては、引き続き制度等について県民に広く周知するとともに、市町村の取組状況を把握し、市町村に対して先進事例の共有や研修会等の開催など、市町村が利用者に寄り添ったきめ細やかなサービスとして提供できるよう、県内の産後ケア事業の充実に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 小川浩樹君。
〔小川浩樹君、登壇〕
○小川浩樹君 御答弁をいただきました。
県当局としては、市町村を促すように啓発、研修を努めていくということでありました。元来、市町2分の1、国の負担2分の1の事業ですので、県としての関わりはここまでかというふうに思っておりましたが、鳥取県の事例を先ほども申し上げました。
今後も、利用者増加につながる啓発等をお願いした上で、それでも市町村によってのサービスのばらつきがあるようであれば、県費を投入しての鳥取県を事例とするような制度についても将来的には御検討をお願い申し上げたいと思います。
以上で、3点目を終わります。
続きまして、4点目、待機児童解消に向けてお伺いをいたします。
本県において、保育所、認定こども園等、入所を希望しながら定員がいっぱいで入れない待機児童数については、年度当初4月1日時点と年度途中10月1日の時点で調査をしておられますが、その数は、昨年10月1日調査で県内126名、うち和歌山市112名、他市町村15名であり、そして、本年当初4月1日調査では、県内39名全員が和歌山市という発表がありました。
どうやら待機児童の現在の県内の傾向は、次年度当初から入所・入園の申込みをしたが、4月1日には入れなかったというケースはほぼ和歌山市に限られており、そして、それは平成30年の12名から今年度の39名にと年々増加していると捉えています。
そして、保育認定を受けられる生後6か月のゼロ歳児から2歳児の保護者の方が子供を預け、いよいよ働こうという意思を持ち、年度の途中での入所を希望し保育申請をするが、定員がいっぱいで入れない、その数が順次カウントをされ増加していくこととなりますが、10月1日時点でのここ5年の平均を見ると、県内で約120から130、うち90人が和歌山市という傾向のようであり、そして、例年10月1日以降も年度末までその数がさらに増加しているものと思われます。
和歌山市では、希望児童数に対し、明らかに年度当初から保育定員が不足している状況にありますし、また、他市町村においては、年度当初には定員に足りるものの、年度途中、特に保育認定の取得ができる生後6か月以降のゼロ歳児から2歳児を抱える保護者が就労を希望するに当たり、入所、入園の定員が不足をしています。
経済的に家計を支える動機での就労希望や女性の出産以前に培ってきた仕事のキャリアを継続させるためにも、このゼロ歳から2歳児の定員を需要に見合うよう増加させることが必要だと考えます。
運営を行う保育所、こども園側からすると、自治体とも連携を取りながら、各地域にゼロ歳から2歳児までの定員が不足していることは認識があり、その増員に努めたいものの、保育士配置基準が3歳児は児童20名に対して1人、4歳児、5歳児は30名に対して1人なのに対し、ゼロ歳児は3名に対して1人、1歳児、2歳児は6名に対して1人と、特に低年齢児の安全を確保するためには人員が多く必要です。なかなか十分な保育士を確保できず、定員増加を果たせないという事情がここにもあります。
県としての今後の取組について、また、併せて各保育所、こども園等が定員を増やすために必要な保育士確保のためのさらなる支援について、福祉保健部長の御答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 議員御指摘のとおり、本県では年度当初に比べ、年度途中に育児休業からの仕事復帰等により育児ニーズが増加し、保育所等における待機児童が増える状況にあります。
待機児童が発生する主な要因として、保育士不足があり、保育士を確保できないため、預かる児童の数を減らしている保育所等もあると聞いているところです。そのため、県では保育士の確保や職場定着に向けた取組を進めております。
まず、保育士の人材確保に向けた取組として、保育士の資格を取得しているものの保育士として就業していない潜在保育士に、現場に復帰してもらう取組を行っております。主には、保育士等支援コーディネーターを配置し、保育所の現場見学などにより潜在保育士と保育所等とのきめ細やかなマッチングを行うとともに、再就職への不安解消のために研修を実施しています。
次に、保育士の職場定着については、妊娠、出産等を機に職場を離れる保育士が多いことから、企業の労務管理の専門家等を配置し、勤務日や勤務時間を選択できる制度の導入や保育日誌作成などの業務のICT化等により、業務負担を軽減する環境づくりに向けた取組を支援しています。
今後とも、保育士を安定的に確保し、充実した保育が提供できるよう待機児童解消に向けて精力的に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 小川浩樹君。
〔小川浩樹君、登壇〕
○小川浩樹君 御答弁をいただきました。どうか当局の取組、よろしくお願いを申し上げます。
4点にわたり質問させていただきましたが、以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、小川浩樹君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時18分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○議長(濱口太史君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
32番浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得ましたので、質問させていただきます。
その前に、5か月がたちましたが、この4月の県議選で当選されました6名の新人の方々、改めましておめでとうございます。お一人お一人の和歌山県政に対する熱き思いを遠慮なく、目いっぱい、岸本知事はじめ県当局にぶつけていただくことを心より望む次第であります。
そういった意味から、今日午前中の小川議員の田辺市市会議員を20年されて、田辺市の人口の減り方とかそういったことをベースにした質問、大変痛み入ります。聞いていて感動いたしました。
私自身のことを思い起こせば、20年前の2003年(平成15年)、初当選時、私を含め15名の新人が当選し、平成15年15名当選ということで、いちご会という同期会を立ち上げ、定期的に党派関係なく集まり、お酒を酌み交わし、親交を深めてまいりましたが、今では尾﨑太郎議員、そして藤山将材議員、そして私と、3名になってしまいました。このお二人は議長や重要な役職をこなされ、大変御立派になり、今後の和歌山県議会並びに和歌山県を引っ張ってくださるものと大きく期待をいたしております。私は、このお二人とは少し立ち位置と目線を変えて、今後の和歌山県について提言並びに当局の見解を厳しくただしていきたいと存じます。
さて、20年前の12月議会で私が初登壇したとき、掲げた大きなテーマが「人口激減、どうする和歌山」──これ、20年前ですよ──が、これが大きなテーマでありました。現在では、先ほども小川議員のお話もありましたように、人口減少というのは、新聞やテレビ、マスコミ、そして議会でも皆さん、枕言葉のように使われておりますけれども、それは2008年をピークに日本全体の人口が減少に転じたことからであります。
私がこのテーマを掲げた2003年には、この議会でも、一部の地域で人口が減少してきているというぐらいで、全体としては誰もこの問題を真正面から取り組んでおりませんでした。
私自身、この問題を取り上げようと思ったのは、実は20年前に初当選するまでに、衆議院選、参議院選、県会議員選と3回連続で落選し、10年余り浪人していたときに、日本拳法の道場を経営しながら、時間を見つけて、こつこつと1軒1軒御挨拶に回る中で、どうも私が思っていた和歌山と違い、これから随分変わってくるのではないかと肌で感じるようになり、初当選してからまず調べたのは、和歌山県のその時点の人口及びそれを基にした将来の人口推計、さらに人口構成、いわゆる人口ピラミッドでありました。
既に当時から和歌山県の人口は少しずつ減少しつつあったのですが、これが全国的な流れかと思い、同じ近畿圏の滋賀県と比較して、過去、現在、未来の人口の推移について調べ、この場で発表をいたしました。
実は、和歌山県の人口が100万人を超えたのは1955年(昭和30年)です。当時、滋賀県は85万人でした。それから25年後の1980年(昭和55年)には109万人で並び、さらに25年後の2000年(平成12年)には、和歌山県の107万人に対して、滋賀県は134万人となっております。そのことも、この20年前に述べました。
直近のデータによると、和歌山県は89万6000人、一方の滋賀県は140万7000人と、何と50万人以上も差がつきました。その結果と言えるかどうか分かりませんが、この7月4日火曜日の新聞記事には、路線価のことについて書いてたんですが、「地方都市で回復、全国平均、2年連続上昇」──毎日新聞という中で、「和歌山県は路線価、全国最大の落ち込み、下落31年連続、人口減など原因か」──朝日新聞ということであります。土地の価格も需要と供給の関係であるだけに、単純に考えて、全体的に和歌山県は人気がないということであります。
そして、現在の和歌山県の人口構成を考えると、まだまだ減少することは間違いありません。
ある新聞で、岸本知事が、県人口が90万人を切ったことについて聞かれ、彼は何と答えたか。「1回1回の統計で一喜一憂する必要はない」と断言されたそうでありますが、さすが我らが知事、泰然自若、大したもんであります。私など、知事に比べて大変気が小さいもんですから、20年前からこの質問を問題を投げかけるたびに毎年憂いており、気がつけば20年前に比べて18万人の和歌山県民が消えました。
また、お手元にあります資料①、これは昨年9月議会で提示したものを減少率の大きい順に、県議会の皆さんの選挙区別に並べました。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2040年(令和22年)には人口73万4000人ということでありますけれども、実際には、もうこれ以上に早く進んでおり、現状に近い、増田寛也元総務大臣が座長を務めておりました日本創成会議の推計を使わせていただきました。
決してこれは18年前に私が提案いたしました県議会議員の定数を削減する条例の資料ではございませんので、どうぞ御安心ください。
これをぜひ御参考にしていただきたいと存じますが、そこで、2040年からの警鐘と希望について。
先日、和歌山県で、現在50か所ある子供食堂に対して、令和5年度和歌山子供食堂支援事業補助金の募集を開始し、3年後に200か所にしたいとの発表がありました。岸本知事らしい、どぶ板選挙で培った自らの経験と、声なき声を生かす感性で実現されようとしていることは大変すばらしいことであり、もともと同じ政党におり、一緒に仕事をさしていただいた立場からしますと、非常に誇らしく、高く評価をいたしております。
県民の皆さんのたとえ小さな声、意見であっても、これを県政に生かすことは、私たち議員にとっても大事な仕事であり、今後、岸本知事を見習って活動していかなければならないなと改めて感じた次第であります。
さて、ここに、ちょっとせっかくですから持ってきたんですが、ここに3冊の本がございます。(本を示す)
以前、平成18年2月議会でも名称だけ御紹介さしていただいたんですが、日本経済新聞社が発行したものであります。「2020年からの警鐘」という本で、1部、2部、3部に分かれておりまして、1部、「日本が消える──」、第2部、「怠慢な日本人──」、第3部、「『終わり』からの出発」という3部作で、これは1997年(平成9年)に発刊されたもので、私自身、浪人中、こつこつと挨拶回りをする中で、和歌山の将来に対して、それまでの手放しの楽観論ではなく、少しずつ悲観的になりつつあり、不安も感じていたので、当時、この本を貪るように読み、二度三度と読んだことを今も記憶しております。
詳しい内容は、述べると長くなりますので簡単に申し上げますと、この本が発刊された10数年後、日本の人口がピークに達し、その後、人口減少が進み、日本に大きな変化が出てくるということで、実際には11年後、2008年が人口のピークでしたが、その前後から大学の定員割れをすることや、消費者が少なくなるので今までのような商売ができなくなる、また逆に、高齢者が増大して福祉に係る費用が莫大なものになるなど、悲観的な日本の姿に2020年はなっているということを予言し、このままでは日本経済が立ち行かなくなるというような内容でありました。
当時、20年以上先のことだから、正直、他人事のように感じる部分もありましたが、20年以上たって、実際に日本は元気がなくなり、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われたことが遠い昔の話になってしまいました。
ここで、岸本知事には釈迦に説法になりますが、政治には、虫の目、鳥の目、さらに、耳にされたことがあるかと思いますが、魚の目が必要と言われております。
虫の目とは、物事の詳細を分析する視点のことであり、目の前で起こっていることに対して様々な角度から捉えることで改良・改善することにつながります。
一方、鳥の目とは、物事を全体から捉えることであり、目先の小さな物事にとらわれずに大局的に判断するために必要な視点であります。
この2点については、知事だけではなく、議員の皆さんも日常の政治活動の中で自然と身につけられていることと思います。
虫の目、鳥の目に加え、今、政治に最も必要なことは、魚の目──うおのめではありません。魚の目です──とは、時代やトレンドの流れを見極めることにより、今後起こり得ることを想像し、今のうちから対応するために必要な視点であります。
それでは、質問に入りますが、資料①でも紹介させていただいたとおり、これから僅か10数年後、2040年には、人口がさらに減少すると予測されております。まさに今、2040年からの警鐘が鳴らされているところであり、虫の目、鳥の目、そして魚の目と、ありとあらゆる目を使い、知恵を絞り出して、今できることをやっていかないと、全国的にも、より速く進むこの人口減少に伴う和歌山県の退潮の流れは決して止めることはできないと実感をいたしております。
人口減少問題につきましては、本年2月議会でも岸本知事に質問したところでありますけれども、今後どのようなことをやっていけば明るい希望が持てる和歌山をつくることができるのか。人口減少期の真っただ中の今、2040年からの警鐘と希望について、改めて、新人の方々もいらっしゃいますので、県議会並びに県民に対して知事のお考えを具体的な数字を示していただいて御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 浦口議員の御質問にお答えしたいと思います。
まず、国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますれば、2040年には和歌山県の人口は70万人程度、2060年には50万人程度まで減少し、その際、高齢化比率は40%を超えるとされております。少子高齢化を伴う人口減少は、地域経済や医療・福祉、教育など様々な分野に悪影響を及ぼし、自治体の存続まで危うくする可能性がございます。
そこで、現在、私といたしましては、第32次地方制度調査会の「2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申」、あるいは自治体戦略2040構想研究会の報告書などを参考に、人口減少下において満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどのように構築していくか、検討していきたいと考えております。
一方で、持続可能な和歌山県の実現を目指し、自然減、社会減の両面から人口減少対策を講ずる努力も必要であります。
自然減対策としては、先ほど議員から御紹介いただきました子供食堂の充実による子供の居場所づくりをはじめ、妊娠から子育てまでの伴走型支援と経済的支援の一体的な実施、保育料等の無償化や保育人材の確保など、子育て支援の強化に取り組んでおります。
また、社会減対策におきましては、産業を成長させ、雇用の場を創出することで、若い世代の県内定着を促進するとともに、県外から多くの人を呼び込んでいくことが重要だと考えております。そのため、新規就農者の確保や海外を含む新たな販路の開拓等による農林水産業の活性化に取り組んでおります。
また、「聖地リゾート!和歌山」をキャッチフレーズとして、新しい観光ブランディングを行うとともに、大阪・関西万博に向けた和歌山県版アクションプランを策定し、万博開催による経済効果を本県に最大限に波及させるため、本県の魅力を国内外に発信し、観光誘客の促進やビジネス機会の創出に取り組んでまいります。
これらの政策をはじめ、様々な分野にわたる総合的な施策を長期的に積み重ねていくことで、県民の皆さんが希望を持って幸せに暮らせる和歌山県の実現に向けて、引き続き全力で取り組む所存であります。と同時に、避けられない人口減少を前提にした政策の研究も必要ではないかと考えているところでございます。
○議長(濱口太史君) 浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、どうも御答弁ありがとうございます。
知事から、今、子育て支援の強化のほか、雇用の場の創出として、農林水産業の活性化や観光誘客の促進に取り組むとのことでしたが、こういった施策を積み重ねていくことは非常に重要でありますけれども、私は、県民が未来に向けて明るい希望を持てるようにするためには、やはり思い切ったビッグプロジェクトが必要ではないかと考えております。
そこで、昨年5月に県議会で否決されました和歌山IRについて、和歌山市内では、「なぜあれを県議会が否決したのか」、「和歌山県、特に和歌山市の最大のチャンスだったのに」、「これで和歌山市に夢も希望もなくなった」と、会社経営者や飲食業をされている方々から今も言われることがございます。これは、声なき声というよりも、声を大にして言いたい県民の叫びと言っても過言ではありません。
私自身、全体の3%でしかないカジノ云々より、4700億円の民間投資、年間650万人の来客、雇用6300人、3年後、経済効果3500億円という壮大なプロジェクトに対して、落ち込んだ和歌山の経済再生への期待と、雇用により少しでも人口減少に歯止めをかけるという強い思いから賛成をした1人として、正直、県民の皆さん以上に、私自身、大きな悔いが残っております。
しかし、それは過ぎた話でありますが、それでは全国的にも早く人口減少が進む和歌山県で、どのようにしたら地域経済の再生を図るのか。
昨年の9月議会で、当時の仁坂知事は、IRはスケールが大きいので4.8万人の新規雇用が見込まれ──これは関連事業も含めてやと思うんですけども──単純計算で人口の増減率が全国41位から一気に19位に上がるということにもなるという趣旨の答弁をされました。
こうしたビッグプロジェクトは人口動態にも大きく影響することであり、以前から申し上げてるとおり、次の手を考えていかなければならないと私は思っております。
和歌山IRを進めようとした県都・和歌山市について考えてみますと、平成31年2月議会でも述べたのですが、1985年から2015年までの30年間で、都道府県──以下、県と言いますが、県別でどれだけの県で人口が減少しているか調べたところ、24県あり、そのうち和歌山県は7番目に高い減少率でした。また、同じ期間、県庁所在地で人口減少を起こしているのは10都市だけで、長崎市が全国1位の減少率、そして和歌山市が全国で第2位、さらに、3位が青森市でした。
その人口減少の原因について調べてみますと、長崎市は造船業の不況、縮小、和歌山市は鉄鋼業の不況、縮小、青森市は豪雪の影響ということが分かり、やはり雇用の場がどんどん少なくなっていることが原因であるということが分かりました。
過日、テレビで、その長崎市が長崎スタジアムシティプロジェクトということを大々的に宣伝をしたのを目にして、その後、そのことについていろいろと調べてみますと、V・ファーレン長崎というJ2のサッカーチームが中心となり、専用のスタジアムやホテル、オフィス、レストラン等を造り、長崎県全体を盛り上げていこうということであります。
そこで、今度はJリーグについて調べてみると、ちょうど資料②の新聞記事がございましたが、この30年間で、私も初めて知ったんですが、Jリーグ、つまりJ1からJ3は、既に60チーム41都道府県に広がり、Jリーグの下部リーグであるJFLに所属は、三重、滋賀、高知の3県、そのもう一つ下の地域リーグ所属が、島根、福井、和歌山の3県ということでした。
和歌山県では、御存じのとおり、アルテリーヴォ和歌山というチームがあります。今年、全国に九つある地域リーグの一つ、関西サッカーリーグで優勝を決め、11月に開催される全国地域サッカーチャンピオンズリーグに進んでおり、ここで優勝すれば一つ上のJFLに昇格するとのことです。JFLでのリーグ戦で2位以内に入ればJ3、晴れてJリーグ加盟への道が開かれるということであります。
しかし、Jリーグに加盟するためには、JFLで勝ち上がるほかに資格要件があり、例えばJ3だと入会金が500万円、年会費が1000万円で、5000人以上収容可能なスタジアムがあること、J2だと入会金と年間費がそれぞれ2000万円、1万人以上の座席数のスタジアムがあることなど、資金と設備が必要となっております。
アルテリーヴォ和歌山はどうかと調べてみますと、まず施設面では、J3の5000人以上収容のスタジアムという条件はクリアできているのですが、その他の設備面で要件を満たしていないことが分かりました。これではJFLに勝ち上がってもJリーグに上がれないということになります。
岸本知事は、「子供たちが最高と思える和歌山を」と大変すばらしいスローガンを掲げていらっしゃいますが、子供たちにとって、例えば地元和歌山でのJリーガーになりたいという夢を持っても、それが和歌山では実現できないということになります。今後、47都道府県で和歌山県だけJリーグがありませんという状況になりかねません。これで和歌山が最高と言えるのでしょうか。
そこで、知事にお伺いいたします。
例えば、Jリーグや、最近ではバスケットのBリーグなどのスポーツを核とした地域振興といった新たなプロジェクトなど、和歌山IRに代わるビッグプロジェクトに取り組むべきだと私は思いますが、まあ若干スケールは和歌山IRに比べては小さいのですけれども、知事はどのように思われているか、御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 浦口議員御指摘のとおり、県外からの人の流れを創出するとともに、地域に経済波及効果を与えるようなビッグプロジェクトは、地域活性化の起爆剤として重要であります。県としても取り組むべきものであろうと考えております。しかしながら、そのような魔法のつえのような案件は一朝一夕に見つかるものではないと思います。
議員が例示されましたスポーツを核とした地域振興は、住民、企業など、地域全体が一体となって盛り上がり、地域のにぎわい創出等につながる可能性があり、このような地域振興策を含め様々な方面の案件について、機会を逃すことのないよう、しっかりと情報を収集してまいります。
また、脱炭素化への要請の高まりやデジタル化の進展など、社会経済情勢が大きく変化しており、和歌山県の持続可能な発展を実現するためには、既存の取組を強化するとともに、情勢の変化に応じた新しい取組も着実に進めていかなければならないと考えております。
例えば、先日、ENEOS和歌山製油所におきまして、持続可能な航空燃料・SAFを軸とした新規事業とGX関連企業の誘致を進めていこうという方向性が示されました。まさに、カーボンニュートラル社会の実現と地域経済への貢献に向け、新たな一歩を踏み出したところであります。これもまた一つのビッグプロジェクトと言えないことはないと私は思っております。
引き続き、このような新しい視点を取り込みながら、積極的に様々な施策に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、御答弁ありがとうございました。
ところで、先週の木曜日に、阪神タイガースが18年ぶりにセ・リーグ優勝しました。大阪、兵庫を中心に大変な盛り上がりで、その経済効果は872億円を上回ると言われております。
私自身、これはスポーツではありませんけれども、20数年前にNPOの活動で知り合った若者2人とよさこい踊りのチームを私どもの道場で立ち上げ、それを育てて、20年前に「おどるんや~紀州よさこい祭り~」を開催し、微力ながら和歌山の夏を元気でにぎやかにした自負がございます。これは、何度もこの議会でも、そのたびに御報告をさせていただきました。
岸本知事におかれましては、私、10年余り御一緒に仕事をさせていただいて、大変有能な方であると私は思っておりますし、それだけに、県にお金がなければ、何とかこの知事の広い人脈を利用していただいて、活用していただいて、和歌山県に長崎スタジアムシティプロジェクトに負けないようなプロジェクトをぜひつくっていただきたい、そのように、要望ではなく、熱望をしておきます。
さて、「健康長寿日本一わかやま」の実現について質問いたします。
20年前に、「人口激減、どうする和歌山」という大きなテーマを取り上げた後、ではどうしたらいいのか、私自身、自問自答の日々が続きました。
資料①には書いていませんけれども、2000年から2020年までの20年間の人口減少数を1としますと、2020年から2040年までの20年間の人口減少数は1.6となります。もちろん、これ、推計なんですが、つまり今後20年間、もう既に3年が過ぎておりますけれども、これまでの1.6倍のスピードで人口が減り続けることになります。
人口減少時代において、しかも全国的に見て速いスピードで高齢化率が上昇してきております。それだけに、県民の皆さんに少しでも元気で長生きしてもらうことが重要であると、ふと考えました。
そこで、和歌山県民の健康面の充実ということに焦点を当て、健康長寿ということに目をつけて、その実態を調べてみますと、和歌山県は健康寿命が非常に短いということが分かってまいりました。
もちろんこれは私の勝手な思い込みではなく、特に最初に申し上げました新人の6名の方にはぜひお読みいただきたいのですが、県長期総合計画をじっくりお読みいただきたいんです。この中に、これからの和歌山県、これは実は仁坂知事の当時に作られたものでありますけれども、この101ページに、「『健康長寿日本一わかやま』を実現する」とはっきりと断言してるんですね。これは、非常にすばらしいことです。現実はそうなってないことが問題なんですが。
これからまだまだ人口が大きく減少し、さらに高齢者がどんどん増えることは、何度も言いますように、間違いありません。
その高齢者の多くの方が、今後、和歌山において元気で長生きできること、これは本当にすばらしいことですし、そうならなければ、これは県全体もそうですが、ますます地域社会も活力がなくなってしまいます。
さらに、和歌山県は、これ細かいことで恐縮なんですが、要介護認定者も非常に多く、「健康長寿日本一わかやま」どころか、現実は、不健康・短命・要介護認定率全国上位県であるということであります。
ちなみに、最新の令和4年の発表によれば、要介護認定率、これ65歳以上なんですが、高さは大阪府に次いで全国で2番目です。平成26年から同31年まで、和歌山県は要介護認定率が実は全国1位だったんです。6年連続日本一です。
その前の平成24年9月議会から私はこの「健康長寿日本一わかやま」という大きなテーマを捉えて、これは県の目標でもありますけれども、政策課題を幾つか申し上げると同時に、単に批判するだけではなく、様々な政策提言をさしていただきました。
その一部を御紹介させていただきますと、1、県庁内に健康長寿推進連絡協議会の立ち上げ、2、子供の体力づくり、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスの創作と教員への指導普及、3、全国健康長寿アワードへの参加、4、運動ポイント事業のスタート、5、ラジオ体操の指導者づくり、6、健康推進員づくりと、その普及、7、食と健康づくりイベントの拡大、8、シニアエクササイズの再普及などなど、このような具体的な取組を提案し、施策化するだけではなく、自らも実践しながら県民の皆さんを励ましつつ進めてまいりました。
ただ、ここで全部を検証するには時間がありませんので、今回は、運動ポイント事業と、食と健康づくりの2点の進捗状況について質問をいたしたく存じ上げます。
まず、運動ポイント事業についてですが、これは一番気軽に運動の機会を持てるということで、歩くことを平成28年9月議会に提案したものであり、そのため、市民の健康づくりのためのウオーキングポイント事業を積極的に進めている人口約370万人の横浜市に2回伺い、担当者から詳しい内容をお聞きし、県にその内容を知らせ、和歌山県でも実践すべきと提案をいたしました。
それを受けて、当局はいろいろと調べて、スマホを使って事業化するということになりましたが、そのとき、私は開口一番、スマホじゃ絶対に広がらないよと強く訴えました。
そこで、平成30年9月議会で、当時の仁坂知事に、「具体的に何人目標にこの事業を進めるのか」と質問したところ、横浜市の目標である成人の1割を意識してか、「和歌山県は8万人の登録を目標とする」と明言されました。その後、令和3年9月議会で、登録人数がどうなっているのか、当時の福祉保健部長に質問したところ、「8万人に対して9412人です」ということでした。
さらに、令和3年から2年の間に登録人数をどこまで増やしたのか、福祉保健部長、お答えください。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 「みんなで実践!健康づくり運動ポイント事業」の登録者数は、8月31日現在、1万451名となっています。
登録者数が伸び悩んでいる要因としては、近年、身体活動が計測できるウエアラブルデバイスや、歩数や移動距離によって獲得したポイント等を電子マネーなどに交換できる民間のアプリケーションが多く普及していることが考えられます。
一方、2022年に実施した県民健康・栄養調査における二十歳以上の方の1日の歩数の平均値は、男性が6976歩、女性が6224歩であり、目標とする1日8000歩には届いていないものの、2016年に実施した前回調査と比較すると、男性は968歩、女性も878歩の増加となっていることから、これまでの啓発について一定の効果が得られたものと考えております。
「みんなで実践!健康づくり運動ポイント事業」については、生涯にわたり健康を維持するため、手軽に楽しみながら運動習慣の定着を図ることを目的に2017年10月から取り組んでまいりましたが、登録者数があまり増えないことを真摯に受け止め、新たな方向での事業展開を検討する時期ではないかと考えております。
今後は、事業の見直しを図り、全県的に楽しく健康増進を図る仕組みの再構築について検討してまいります。
○議長(濱口太史君) 浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうも御答弁ありがとうございます。
声がちょっと小さいですね。無理ないと思います。8万人のところを1万451人、6年かけてですからね。いろいろ御苦労あったと思います。県民の皆さんを幸せにする「健康長寿日本一わかやま」の実現には、まだまだ道は遠いですね。しかし、私も決して諦めませんので、今西部長もぜひ元気を出していただいて、前向いて、共に歩みましょう。
次に、関連の質問に入ります。
平成20年から、県では、県民の皆さんの食と健康に対する意識を高めてもらおうと、わかやま食と健康フェアというイベントを毎年秋に開催しております。
私が初めてこのイベントを拝見したのは、10年ほど前、和歌山市のパームシティで行われたときだったと思いますが、内容は大変いいものですが、何せ会場が狭く、後日、来場者の人数を聞いてみると1500名程度でした。
せっかくよいイベントなのに、それではあまり効果がないと思い、もっと大きな会場で行うべきだとこの場で訴え、平成28年から、わかやま健康と食のフェスタと名前も変えてビッグウエーブで開催されるようになり、その結果、7000人から8000人と来場者が増え、大変上り調子でしたが、このコロナ禍の影響で、この4年間ほど開催されておりません。
このイベントは、フェスタ、お祭りというような名になっておりますが、私は、年に一度の「健康長寿日本一わかやま」を実現する上での大きなチェックイベントであると同時に、現状を広く県民の皆様に知ってもらうための場、さらに、健康長寿に励んでいただくきっかけをつくる場でもあると認識をいたしております。
つまり、和歌山県の「健康長寿日本一わかやま」の進捗状況を県民の皆さんにお知らせし、例えば、今、部長が申されたように、「運動ポイント事業、8万人目標のところを6年間で1万451人しかできておりません。どうぞ県民の皆さん、この現実を御理解いただき、御協力よろしくお願い申し上げます」と、まあこれちょっと選挙のお願いみたいな格好になりますけれども、そのような現状を強く訴えて、県民の皆さんお一人お一人の意識を喚起するPDCA、つまりプラン、ドゥー、チェック、アクションのP──プラン、計画とチェックですね、検証の場であると認識をしておりますが、福祉保健部長のわかやま健康と食のフェスタに対するお考えをお述べください。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) わかやま健康と食のフェスタについては、県が関係団体、企業等と連携して2016年から開催しており、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となっておりますが、多くの方に健康や食について関心や考えるよい機会をつくれたと考えております。
新型コロナウイルス感染症による中止の影響もあると思いますが、2022年に実施した県民健康・栄養調査における健康と食に関する項目について、2016年に実施した前回調査と比較すると、朝食の欠食率が悪化しており、特に、男性で朝食を食べない方が増えております。
また、1日の野菜摂取量についても、目標350グラムに対して約100グラム不足しているなど、悪化している指標が多く見られます。
こうした調査結果を踏まえ、いま一度、当該事業の有効性について検討する時期ではないかと考えております。健康な生活習慣及び食習慣の定着を図るため、より効果的な事業の実施について検討してまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございます。
運動ポイント事業の現状とも併せて考えてみますと、実施する事業はいろいろ大事なんですが、あくまでも、これ、よく言われるように、県民の皆さんが主役なんですね、当たり前のことなんですが。その主役である県民の皆さんにそれを実施というか実践していただかないと、県が幾らすばらしい政策を提示して予算もつけても、これは、「健康長寿日本一わかやま」というのは実はこれ一朝一夕にできるもんではないと言われ続けて、私も10年言っているんですね。10年言ってるけど、あまり、まあ少しはよくなってるんですよ。さっきも言いましたように、6年連続要介護認定率日本一から日本で2番目になりましたから、高さがですね。
そういった意味では少しは意識を持ってられるんかもしれませんけれども、先ほども言いました、私、いよいよ本当に危機感を持っているのは、これ別に日本が消えると先ほど日本経済新聞の本の中で、「2020年からの警鐘」の中で言いましたけれども、もちろん和歌山が消えることはないと思いますが、ますます人口は減り、そして高齢者が増え、その高齢者が全国的にも和歌山県民の高齢者が元気ないということになってきますと、幾らお金かけても、幾ら基盤整備を進めても、和歌山県の将来はないと私は思うんです。
それぐらいの気持ちで、この「健康長寿日本一わかやま」を実現したい、そういう思いでやっておりますので、ぜひ部長、一緒になってやりましょう。
もう部長とも長いお付き合いですから十分お気持ちは分かっておりますので、声を小さくすることなく、大きく、前向いておしゃべりいただきたいと思いますし、最後になりますけども、来年の2月議会、また同じというか形を変えて質問いたしますけれども、そのときにはもう少し現実的な話をします。
なぜかといいますと、これ、私、やってて、よく非常にこの10年間感じたのは、こう言っちゃ大変失礼ですけど、ぬかにくぎとか言いません。ウナギを捕まえに行くとは言いませんけれども、なかなか尻尾もつかめないし、くぎ打っても、すぽんと入ってしまうんですよ。
それで、結果として和歌山県が今こんな状況であるということを考えたときに、私のカウンターパートナーとは言いません、私は一議員ですから、そんな権限ありませんので、行政の中でぜひともこのことをきちっと責任を持って進めていただく方が必要ではないかというふうに思っておりますんで、そのことも含めて、それまでいろいろ当局の皆さんとは議論させていただきますが、それぐらいの気持ちでやらないと、いつまでたっても和歌山、「健康長寿日本一わかやま」と言いながら、絵に描いた餅を一生懸命──食えないでしょう、絵に描いた餅は──やっているというのが現状でありますから、ぜひともそのことを今西福祉保健部長、ぜひ腹に据えていただいて、一緒になってやりましょう。
以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
16番鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕(拍手)
○鈴木德久君 皆さん、こんにちは。自民党県議団、鈴木德久でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
昨日は、大リーグの大谷翔平さんがけがのために今シーズンの出場がなくなったという大変悲しいニュースがありました。田舎の中学校では3番でエースでしたんで、私としても大変残念なニュースでございましたが、来年の復活を願っていきたいと思っております。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、私からの一般質問に入らせていただきます。
今年は数年ぶりに6月2日という大変早い時期とお盆の真っ最中に台風が来て、多くの県民の皆さんが被害に遭いました。被災された皆様には、心からお見舞い申し上げ、一日も早い復興をお祈りいたします。
また、世界では、モロッコで9月8日の夜、マグニチュード6.8の地震が発生し、2900人以上が死亡、さらに、リビアでは11日の水害で死者・行方不明者が2万人に達するのではないかという災害が発生しました。あまりにも災害規模の大きさに言葉もありません。
紀伊半島大水害から12年がたとうとしている今、どうしても災害の記憶が薄れていく中で、改めて命を守る行動の大切さを肝に銘じなければと思います。
私は、今年度、皆様方の御協力をいただきまして、監査委員を拝命しました。先月21日から24日まで4日間で令和4年度の決算審査を行い、9月4日には知事のほうへ報告を行いました。膨大な決算資料を前に、改めて県の事業のボリュームに驚愕したところです。予算額の大きさもそうですが、意外に使い道がほぼ決まっており、自由に使える割合が極端に少ないとの印象を持ちました。多くの行政要望に応えるための自主財源の確保の重要性は十分に分かっていたのですが、新たな自主財源の創出がより重要ではないかと強く感じました。
県の財政再建あるいは財政運営といえば、よく江戸時代の各藩の財政改革の逸話が取り上げられます。私どもの田辺でしたら安藤直次公の話となりますが、安藤直次公は、幼少期から徳川家康に仕え、姉川の戦いや長篠の戦いで功績を上げた忠臣とされ、1619年、初代藩主徳川頼宣公が和歌山城に入った際に紀州藩付家老として同行、田辺領3万8000石を所領しました。
当時の田辺領は生産力の低い痩せ地が広がり、作柄も悪く、農民の暮らしは厳しいものでした。そこで、直次公は、痩せ地や山の斜面に梅の栽培を奨励し、その土地を田畑の耕作不能な地域として税を免除する保護政策を取ったため、田辺、みなべを中心に梅の栽培が広がったとされています。
それまで梅干しは僧侶が食し、武士が毒消しや兵糧などに用いていたものが、江戸時代に入ると庶民も食すようになり、民間治療や薬にも用いられ、定着しています。梅干しを江戸のまちに送ることで、やがて紀州の名産物として広く知られるようになりました。
安藤直次公の政治によって、貧しかった田辺領3万8000石は輝き始めたと言われ、現在、南高梅というブランドで、日本だけでなく、世界的にも有名になったきっかけをつくった人とされています。
また、知事の2月議会の答弁の中で、私が尊敬する江戸時代の政治家、山田方谷の話も興味がありましたので、調べてみました。
山田方谷は、儒教に根差した陽明学者で、備中松山藩の元締役兼吟味役として、債務超過であった藩の財政を僅か8年で殖産興業と財政改革を絶妙のバランスをもって立て直した江戸時代随一の改革者とされており、大変興味を深く、現代にも十分通用するのではないかと思います。
殖産興業の話では、良質な砂鉄の産地であった松山藩で、鉄、銅山の開発を藩の直営事業として、さらに製鉄所、鉄工所を造り、鉄製品の大量生産により膨大な利益を得ています。その中でも、3本歯の備中ぐわは、通常のくわに比べて土地を深く耕せると評判を呼び、特産品になったとされていますが、ちなみに、我が家でも祖父から譲り受けたこの備中ぐわ、私の地方では「まぐわ」と呼んでいますが、稲作りには欠かすことのできないものとして私は現在でも愛用しております。
さらに、もう1人、私が若かりし頃に有名だった知事さんに大分県の平松守彦知事があります。
平松さんは、東大法学部卒業後、通商産業省から大分県知事になられた方ですが、通産省時代には、黎明期から日本のコンピューター産業の育成で大きな貢献をし、1970年代の世界的にIBMが独占しようとしていたコンピューター産業において日本企業が生き残る道を開いたと、特に評価されています。
2009年ドラマ版の「官僚たちの夏」5話で描かれた通産官僚と米コンピューター社副社長との対決は、平松さんがモデルではと言われています。
また、1979年、大分県知事就任後は一村一品運動を提唱し、当時イメージの薄かった大分県を全国的に有名にしました。
平松さんの地域論は、国がやるべきは通貨、国防、外交で、福祉、教育、農業などは地方に任せればよいとするもので、さらに、地方の中でも地域、コミュニティーは一村一品運動のように地域が主人公として特徴を出せばよい、行政は黒子、知事の役割はトップセールス、国は法や規制をかざして制約すべきではないという主張でした。
知事に対して、まさに釈迦に説法のような形で申し訳ないのですが、知事は、今年度、地域振興監を置き、各振興局の強化に努める姿勢を見せております。また、選挙のスローガンでは、「1次産業の振興と新たな観光振興を両輪に、その上に子育てや福祉を載せて邁進する」としていたと思います。
9か月たった現時点での地域振興に対する知事の考え方についてお聞かせください。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 鈴木德久議員の御質問にお答えをいたします。
知事に就任さしていただいて9か月がたちます。この間、県内各地でタウンミーティングなどを開催さしていただきまして、もうかなり回数は回らしていただいております。その中で地元の皆さんと膝を突き合わしてお話をする中で、人口減少や高齢化が進行しているという地域の実情は肌で感じることができております。
本県では、2040年には2020年と比較して16の市町村で3割以上の人口減が推計されております。生活に必要なサービスの低下や地域経済の縮小が心配されますことから、一定の人口減少を前提にしながら地域振興策を強化することが必要であると考えております。
そのため、本年4月から、地域振興策を統括する地域振興監を設置するとともに、地域住民と密接に関わっている振興局の体制強化を図ってまいりました。
地域の振興には、何といいましても市町村や地域住民が主役となり、積極的に地域課題に取り組んでいくことが重要であると考えております。県民お一人お一人が自分の地域の振興を人ごとではなくて自分事として取り組んでいただくことが必要であろうと思っております。その意味で、鈴木議員自らが奥熊野太鼓の仲間の皆さんと一緒に、すばらしいばちさばきで太鼓をたたいておられる姿を見るにつけ、まさに地域振興の一つのお姿ではないかと考えております。
県といたしましては、これらの取組を振興局が全面的にバックアップしながら、全庁を挙げて、子供たちが最高だと思う和歌山を実現するよう努力してまいります。
○議長(濱口太史君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 知事、ありがとうございます。これからも地域振興に邁進してまいります。逆に答弁してるような感じになりましたけども、一緒にやりたいと思います。
これまで地域振興の取組といいますと、わがまち元気プロジェクト支援事業が我々としてはまず頭に浮かびます。
地域振興監として、今までの実績に対する評価と今後の取組についてお聞かせください。
○議長(濱口太史君) 地域振興監赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興監(赤坂武彦君) わがまち元気プロジェクト支援事業は、地域資源を活用した魅力づくりに取り組む市町村等を国庫補助事業なども取り込みながら大きなプロジェクトとして3年間継続して支援するもので、2009年度から22市町で27のプロジェクトを実施しております。
例えば、有田市では、箕島漁港の産直施設の整備に併せ、地元食材を使った料理メニューの開発や観光プロモーションの実施、みなべ町では、若者のアイデアを生かした梅加工品の開発や梅酒フェスティバルの開催などを行ってまいりました。さらに、古座川町では、ジビエ食肉加工処理施設の設置に併せた首都圏プロモーションを行うなど、地域特性に応じたプロジェクトを実施しており、それぞれの地域において地域活性化の核となっているものと認識しております。
今後は、市町村や地域住民による地域資源を活用した取組を引き続き支援するとともに、地域住民と密接に関わっている各振興局がそれぞれの地域課題を把握し、実情に合った施策を展開することで、個性豊かで活力ある地域づくりを推進してまいります。
○議長(濱口太史君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁ありがとうございます。
県では、ワーケーションを提唱し、盛んにその招致に力を入れていると思います。実践として、県の職員が末端の地域で暮らし、テレワークを駆使しながら地域課題に取り組む、県職員も地域の方と一緒になって計画立案しながら地域振興に邁進する、そんな県の取組を期待したいと思います。
続きまして、県産農産物の利用促進と農業生産力の維持に向けた取組についてお伺いします。
私は、米の兼業農家ですし、その視点で今後も発言していきたいと思っています。
私の住んでいる周辺でも耕作放棄地が増えており、荒れた田畑が目立つようになってきました。米農家の高齢化も進み、あと10年もすれば、その存続さえ危ういとされています。
ただ、現状では、大幅な供給の減少が続いているにもかかわらず、それを上回るほどの需要が落ち込んでいるので、米の在庫が膨れ上がり、米価が落ち込んでいる状況です。
しかしながら、世界のニュースからは、ロシアのウクライナ侵攻により世界の食料供給は困難に陥っており、既に、食料、肥料の争奪戦が始まっていると報じられています。このため、国において食料安全保障の議論が進められているところです。
よく言われているように、日本の食料自給率は38%と低く、もし輸出規制などにより食料輸入がストップし、種や飼料などの生産資材が海外から運べなくなり、価格の高騰にさらされたら、日本はどうなるのかと心配する声があります。現に、燃料や肥料などの価格高騰により、農家経営は厳しい状況にあるかと思います。
そんな中、自給率100%の可能性の高い米だけは何とか確保して有事に備える、水田稲作の復活こそが持続可能な日本のあるべき姿だと唱える研究者もいます。
米中心の食生活に戻すメリットは、国内で生産消費することによるフードマイレージの低下がもたらすCO2排出削減や健康面での好影響、水田復活による国土保全等々、計り知れないものがあると思います。
最近やっと農林水産省は、米や米粉の消費拡大として米・米粉消費拡大推進プロジェクトを開始し、テレビコマーシャルでお米や米粉の活用を盛んに呼びかけています。
本県では、果樹栽培や野菜、花卉の施設栽培等を中心に収益性の高い農産物の生産振興に取り組んでいると思いますが、米を含め県産農産物の学校給食での利用を促したり、燃料や肥料が高騰する中でも農業生産力を維持していくことが大変重要と考えます。
県の取組について農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(濱口太史君) 農林水産部長山本佳之君。
〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 議員お話しのとおり、国では食料安全保障を見据えた議論がなされておりまして、そういった視点からも県内の農業生産力を維持することは重要と考えています。
そのためには、まずは県産農産物の利用促進が重要と考えておりまして、その一環として学校給食での取組を進めています。
具体的には、2017年度から、農家や直売所と学校関係者とのマッチングを行い、地元で生産された米や野菜が計画的に納入される仕組みが徐々に構築されています。
また、小中学校等における米飯給食の実施率は、全国平均を上回っています。
さらに現在、関連資材等が高騰する中、県では、燃料や肥料の価格高騰対策や化学肥料を抑制する機械導入等の支援により、資材高騰分を価格転嫁しづらい農業経営を支える取組も行っているところです。
今後も、県産農産物の利用促進や地産地消の重要性の啓発とともに、県内農家の生産力維持に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 ありがとうございます。
次に、飼料高騰による畜産業への影響についてお伺いします。
コロナショックによっても世界の物流は大きな影響を受けました。飼料が2倍、肥料も2倍と言われ、北海道では畜産大手の倒産もあり、乳牛雄子牛の価格が2021年の5万円から、場合によっては100円まで暴落。売れない子牛は薬殺などというニュースもありました。
飼料高騰への国の対応についてはどうなのか。また、県内の状況とその対応について農林水産部長にお伺いします。
○議長(濱口太史君) 農林水産部長。
〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 畜産業においては、2021年度以降の飼料高騰及び高止まりが経営を圧迫しており、特に酪農業への影響は甚大でありまして、本年9月1日までに県内の酪農家9戸中3戸が肉用牛経営に転換するなど、大変厳しい状況となっています。
飼料高騰対策としては国の配合飼料価格安定制度がありますが、この制度では、価格が高止まりした場合に農家負担が急増することから、県では、国の交付金を活用して、昨年度に和歌山県配合飼料等価格高騰緊急対策支援金を創設し、今年度からは輸入牧草など粗飼料も支援対象に加えるなど、農家負担の軽減に努めているところです。
一方、国では、国産の牧草や飼料用トウモロコシの生産・利用拡大への支援を強化するなど、飼料の輸入依存度を減らし、国産への転換を図っています。
県では、そうした国の動向を注視し、本県で導入できるものがあれば検討してまいります。
○議長(濱口太史君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 ありがとうございます。
次に、種苗法改正後の県内農業への影響についてお伺いします。
これもウクライナからのニュースですが、ウクライナ北東部のハルキウにあるシードバンクがロシア軍の攻撃によって損害を受けたという報道がありました。
シードバンクとは、植物などの遺伝情報を保存する施設で、その種を保存しておくことで、環境が変化した場合でも、それに適した作物を作り出せるための施設です。
ウクライナのシードバンクは世界最大級のもので、16万種以上もの種を保存していたとのことですが、日本にもこのような施設はあるのでしょうか。
また、その種子についてですが、米作りをしている分には、種は自分で取って、ある程度繰り返し作れるので疑問もなかったのですが、両親も畑仕事ができなくなり、家庭消費プラスアルファの野菜作りをするようになりました。そこでF1の種のことを知りました。種取りをしても同じ形や質が得られず、毎年購入する必要がある1代限りの品種をF1といいますが、今流通している野菜はほとんどがF1種であり、その多くを海外に依存していると聞きます。
一方で、例えば米のように自分で種を取っても形質が変わらない固定種であれば自家採種ができると思いますが、種苗法が改正され、登録品種の自家増殖が許諾制となったことを受けて、県内農業への影響はどうなのか、農林水産部長にお伺いします。
○議長(濱口太史君) 農林水産部長。
〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 2点の御質問についてお答えします。
まず、国内のシードバンクについては、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構遺伝資源研究センターにおいて、植物種子などの遺伝情報が収集、保存されています。
次に、種苗法改正による本県農業への影響についてですが、農家が自家増殖する際に許諾が必要となる品種は、在来種や登録が失効したものを除いた登録品種に限られており、2020年3月の農林水産省の資料によると、例えば野菜については全体の9%にとどまっています。
また、法施行後2年足らずの間、関連団体からの相談もなく、県内農業への影響は小さいものと考えておりますが、相談があった場合には、農家の不安解消のため、丁寧に説明してまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 ありがとうございます。
次に、新規就農に対する県の取組についてお伺いします。
Iターン者などの新規就農支援策についてお伺いしますが、皆様方も御承知のとおり、全国的に農業者の高齢化や減少が続いており、本県においても同様の傾向にあります。
本県の農業が将来にわたって続いていくためには、新規就農者を確保していくことは大変重要であり、そのことは県においても十分認識しておられ、かなり手厚いメニューをもって対応していただいていると思います。
しかし、新たに農業を始めようとすれば、どのような品目を作ればよいか、またどのように栽培してよいか分からないこともあるかと思います。今は昔と違ってインターネットなどで簡単に調べることはできますが、やはり農業を続けていくためには、当然のことながら栽培するための技術などを身につけることが重要であります。
県でも新規就農者への技術取得など受入れに取り組んでいると思いますが、新規就農を希望する方に対する県の取組について、いま一度、農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 農林水産部長。
〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 本県では、新規就農者を確保、育成していくため、農林大学校や就農支援センターで、栽培品種の選定や病害虫防除など、農業経営に必要な知識や栽培技術の習得を支援しております。
また、各産地に受入れ協議会の設置を進めており、就農を希望する方々を本協議会で受け入れ、協力農家の下での技術習得をはじめ、農地の確保や農機具整備の支援、販路の紹介など、一気通貫で就農をサポートしているところです。
さらに、国の就農給付金の活用や普及相談員による技術指導等と併せ、今後とも、市町村やJAなどと連携を図りながら、新規就農者の確保、育成に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁ありがとうございました。
新規就農者への取組については、いろいろと県も取り組んでいただいていることは理解しました。
しかし、先ほど答弁にもありました国の就農給付金は、例えば年齢制限が50歳未満といった制限があったように思いますが、今、農家の現状は60代から70代が主流だと思います。また、在住者でも定年退職後に、それをきっかけに新規就農を目指す人もいますが、この国の支援を受けることができません。
今後の和歌山県の農業を考えたとき、より多くの新規就農者を確保することが重要と考えますので、そういった方々への支援についても御検討いただきますよう要望しておきます。
続いて、3番目、国・県指定の無形民俗文化財の現状と保存に向けた対策についてお伺いします。
私の身近なところでは、県の指定無形民俗文化財として、熊野本宮の湯登神事があります。
湯登神事は、子の健やかな成長を願う祭りで、熊野の神の使いが宿るとされる2~3歳の稚児を湯の峰温泉で身を清め、お父さんが肩車をして熊野本宮までの熊野古道大日越を練り歩くもので、熊野本宮大社の例大祭が催行される4月15日の2日前、4月13日に行われます。
実は、私も、自分の子供のときに2回、この祭りに参加しているのですが、何と今年、長女の子供が参加申込みをしていたのですが、父親の仕事の都合がつかず、私が代役を務めることになりました。
当日は、本宮大社本殿前で神事の後、宮司、神職、氏子一行、稚児と父親たち、修験者、麗人──御神楽や雅楽の奏者、太鼓等で約50人の行列で本宮を出発し、湯の峰に向かいました。
湯の峰では、湯垢離の潔斎場となる旅館で、湯垢離、潔斎食の後、午後1時頃、額に赤く大の字を書かれ、時代衣装を着た稚児たちが肩車をされ旅館を出発、熊野古道大日越のルートの湯の峰王子、月見岡神社で稚児たちが八撥の舞を奉納しながら本宮の大斎原を目指します。
皆様方にはぜひこのルートを歩いてみていただきたいのですが、なかなかの急坂で、肩車をしているものですから、頂上付近では、本当に私は今年死ぬかと思うぐらいしんどくて、いつ助っ人の消防職員に代わってもらおうかと真剣に悩んだぐらいでございました。
さすがに何とか何とかやり切った後は、その達成感は、やはり歴史の伝統を感じさせるものがありました。
本宮大社の湯登神事に限らず、地域の祭礼や行事が人口減少などにより担い手の確保が難しくなってきているとの声も聞いております。
さらに、コロナ禍で3~4年のブランクが生じたことにより、活動の再開、継続に苦労されているところも多いのではないかと思いますが、県内の無形民俗文化財の現状と保存に向けた対策について教育長にお伺いします。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 鈴木議員におかれましては、大変お疲れさまでございました。
和歌山県には、豊かな自然や文化を背景とした民俗芸能や風俗慣習が数多く伝えられており、現在、国指定7件、県指定73件が無形民俗文化財として指定されています。これらの文化財を末永く継承していくために、地域の人々が中心となって保護団体が結成され、保存継承に努めています。
しかしながら、過疎化や少子高齢化に加えて、近年のコロナ禍による活動自粛等により、祭礼・行事の担い手となる後継者不足がますます顕在化しており、国・県が指定した無形民俗文化財のうち、10件程度が活動を休止している状況にあります。
こうした中、県では、保護団体が行う山車や衣装などの道具類の修繕や新調、後継者養成のための講習会の開催等の事業に対し補助を行っているほか、民間の助成金等を活用した記録映像の作成を働きかけています。映像を記録保存することは、一時的に休止せざるを得なくなった活動を将来再開する際に有用であるだけではなく、普及啓発にも資するものと考えています。
議員御指摘の無形民俗文化財の保存継承は全国的な課題であることから、今後も、各保護団体の実情把握に努めるとともに、国の動きや他府県の取組等も注視しながら、地域の礎である伝統行事や民俗芸能等を次世代へと継承していけるよう取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただき、ありがとうございます。
田辺市管内でも田辺祭や芳養八幡神社の秋祭り等の伝統ある大きな祭りや多くの踊りがありますが、今後の継続や運営について格別の御配慮をお願いしたいと思います。
続きまして、救急体制の充実についてお伺いします。
田辺市救急安心センター事業(♯7119)は、医療相談サービスの機能を主たる業務としており、その内容は、救急医療相談と医療機関案内を共通の♯7119で行う電話相談窓口であり、病気やけがの状態を把握して傷病の緊急性や救急車要請の要否を助言、受診手段の案内、医療機関の案内を行っています。
現在のところ、田辺市と上富田町の限定された地域でのサービスとなっています。
県内では、救急医療情報システムにより救急医療機関案内を受けることは可能となっていますが、♯7119はそれに加えて救急医療相談も可能で、相談内容により緊急性が高いと判断された場合は直ちに救急出動につながる体制となっており、潜在的な重症者の発見や救急車の適正利用につながっています。
また、時間外受診者の減少による医療機関の負担軽減や、消防機関についても医療機関問合せ件数の減少による負担軽減の効果も期待されます。
♯7119は、総務省消防庁が全国展開を行っており、日本全国どこにいても♯7119がつながる体制の実現を目指しています。
全国的な広がりから、県内でも認知度及び需要が上がってきており、田辺市救急安心センターへの着信率も年々増加し、令和4年度では44.4%が他市町村からの着信となっています。
県内の現状では、救急医療情報システムを活用することで医療案内サービスを受けられますが、それとともに、田辺市が実施している医療相談サービスも可能となる♯7119も導入することで、県民の皆様にはさらに心強い救急医療情報システムに発展できると考えますが、危機管理監の御所見をお伺いします。
○議長(濱口太史君) 危機管理監福田充宏君。
〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 救急車の出動回数は全国的に増加傾向にあり、特に都市部では、緊急性の高い傷病者の元に救急車の到着が遅れるなどの問題が生じていることから、総務省消防庁主導により、適時適切な救急車の利用を促すため、♯7119事業が推進されています。
本県における救急車の出場状況は、2020年で約5万6000件となっており、過去10年間での伸び率は、全国平均が約25%に対し、約12%にとどまっているところです。
また、県内の2022年の救急車1台当たりの1日の救急車出動件数は、出動の多い和歌山市消防で約5件、その他の消防で3件未満、県平均では約2.3件と、統計的には救急車1台当たりおおむね10時間に1件の出動となっています。
本県の救急体制は、このような状況であり、問題は生じていないと考えていますが、議員の御質問にありますように、♯7119事業には様々な効果があることから、県としては、導入済みの都道府県等における事業の効果や実施主体、市町村と県の費用負担割合、現在、県救急医療情報システムで行っている救急医療機関案内との役割分担や連携などについて、県内各消防機関の意見も伺いながら調査研究に努めてまいります。
○議長(濱口太史君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁ありがとうございました。
次に、消防の広域化についてお伺いします。
消防の広域化は、人口減少社会の到来、高齢化の進展等を踏まえて、消防力の維持強化に当たって最も有効であり、消防庁も最重要課題に位置づけています。
都道府県には、消防広域化を計画的かつ円滑に推進することを目的として推進計画を策定することが求められ、本県でも2008年に和歌山県消防広域化推進計画を定め、市町村では自主的な検討が進められましたが、消防の広域化は実現されませんでした。
その後、田辺市では、田辺西牟婁地区消防通信指令事務協議会が2013年に設立され、2016年から、関係市町であります田辺市、白浜町、上富田町、すさみ町の地域で119番の受付や車両の出動を発令する指令センターの共同運用が開始されており、消防力の強化が行われています。
さらに、田辺市では、この9月議会において、田辺西牟婁地区消防通信指令事務協議会規約の一部を改正する規約の上程を予定しています。関係市町を現在の田辺市、白浜町、上富田町及びすさみ町に加えて、美浜町、日高町、由良町、印南町、みなべ町、日高川町、古座川町及び串本町に範囲を広げる改正ですが、県内の消防の広域化の現状と今後の取組について危機管理監にお伺いします。
○議長(濱口太史君) 危機管理監。
〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 県では、議員の御質問の中にありますように、2008年の計画策定を契機に消防の広域化を促進しましたが、施設整備時期や給与水準の違いなど、市町村間での調整が困難な課題があり、議論の結果、2012年に消防の広域化を見送るとの結論が出されたところです。
一方、消防指令設備の更新に当たり、広域で一体的に設備整備することにより財政的な負担を軽減するため、2015年には、和歌山市、海南市、紀の川市、岩出市及び紀美野町の区域で指令センターの共同運用が開始され、また、その翌年には、田辺市、白浜町、上富田町及びすさみ町の区域や橋本市、高野町、かつらぎ町及び九度山町の区域でも、それぞれ指令センターの共同運用が開始されたところです。
さらに、県では、指令センターの共同運用区域が県内で広がるよう、2021年から話合いの場を設けるとともに、円滑な協議に資する情報提供や助言等に努めてまいりました。
その結果、議員御質問にあります田辺市、白浜町、上富田町及びすさみ町の区域から範囲を拡大する動きのほか、2地域で新設、1地域で区域の拡大に向けた検討が行われています。
県としては、このような消防力の強化につながる連携を積極的に支援するとともに、地域の消防力の強化を図るためには消防の広域化を推進することが有効であると考えますので、県としての役割を果たすべく、市町村が進める広域化の取組に対し支援を行ってまいります。
○議長(濱口太史君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁ありがとうございました。
今回の質問の中で紹介した湯登神事に例えば興味を持って現場まで見に来ていたり、真夏に熊野古道を歩いているのは、圧倒的にインバウンドの方たちであり、旅行なりその行動に何らかの精神性を持っているように感じます。
農業にいたしましても、スイスで取材した元NHKの記者のエピソードを紹介しますと、スイスの国産卵は1個60円から80円もし、外国産のほうが安いのにもかかわらず、若い女の子が1個80円もする卵を買っていたので、その理由を聞いたところ、「これを買うことで生産者の皆さんの生活も支えられ、そのおかげで私たちの生活も成り立つのだから、高くても当たり前でしょう」と、簡単に答えたそうです。非常に考えさせられるエピソードだと思います。
以上で、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、鈴木德久君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時33分散会