令和5年9月和歌山県議会農林水産委員会会議記録
令和5年9月和歌山県議会農林水産委員会会議記録
1 日時 令和5年9月25日(月)午前9時59分~午前11時5分
2 場所 第4委員会室
3 出席者 委員長 玉木久登
副委員長 谷 洋一
委員 冨安民浩、山家敏宏、谷口和樹、長坂隆司、 浦平美博
欠席委員 なし
委員外議員 なし
4 概要
午前9時59分開会
●玉木委員長
◎開会宣告 挨拶
◎報告事項 委員の欠席なし
◎傍聴協議 なし
◎撮影許可 3件
◎議事 議案2件、継続審査を要する所管事務調査8件
◎農林水産部審査宣告
◎議案等に対する説明要請
●山本農林水産部長説明
●玉木委員長
◎議案に対する質疑及び一般質問宣告
Q 山家委員
鳥獣害対策について、先週、農林水産振興議員連盟の会議でもシカの話があった。湯浅町の方から昔たくさんいた野
良犬に対して、睡眠薬を入れた餌で捕獲したという話を聞いた。睡眠薬は1日中効くと聞いたが、シカの捕獲に取り入
れたらと考えるが、いかがか。
A 仲農業環境・鳥獣害対策室長
睡眠薬の入った餌をシカに与え眠らせて、猟犬を放して捕獲するということであるが、餌に睡眠薬を入れると弊害が
出てくるので、できないと考える。
Q 山家委員
何が弊害がとなるのか。
A 仲農業環境・鳥獣害対策室長
基本、鳥獣害対策では農作物に被害が出れば有害捕獲することになる。保護という観点から動物虐待に結びつく仕組
みをとると、様々な機関から意見が出るおそれがある。
要望 山家委員
ほかにもいろんな方法があるので、検討してもらいたい。
Q 山家委員
紀州材の需要拡大について、「JAPAN ReWOOD」でPRしているとのことだが、具体的にどのような紀州材製品を誰
に対してPRしているのか。
A 原林業振興課長
「JAPAN ReWOOD」は木に触れて楽しむイベントであり、当県からは田辺市龍神の家具工房のG.WORKSなどが椅子
やテーブル等を出展した。会場には一般の方や木材事業者の方などが多数来場するイベントとなっている。
Q 山家委員
テーブルやほかにいろいろあるとのことだが、一般の方でも購入できるのか。
A 原林業振興課長
G.WORKSからは注文があったと聞いている。
Q 山家委員
会場には木工関係の方が東京や様々なところから来場すると思うが、そういう方と出展者が結びつく場になっている
のか。
A 原林業振興課長
このイベントは、出展者と会場に来られた事業者の方々が結びつく場となっている。
意見 山家委員
一般のお客様も大事だが、もっと広めないと木材の利用量が増えない。いろいろと工夫しながら東京などで構造材も
PRしていると思うが、さらに販路が広がるよう期待する。
Q 長坂委員
市街化区域の生産緑地の状況について、市街化区域の農地のうち、生産緑地は30年間農地としての維持管理が義務づ
けられる一方で、都市農地貸借法により、相続税の納税が猶予され、農家は相続税納税猶予を受けたまま、生産緑地を
貸すことが可能になっている。これにより、耕作が難しくなった農家は土地を貸しやすくなり、農業を始めたい人や農
地を広げたい人は、土地を借りやすくなったと言えるが、そもそも生産緑地は和歌山県下でどれくらいあるのか。
A 川尾農林水産総務課長
生産緑地は、都市計画法に基づいて市町村が指定するものである。和歌山県下では和歌山市が指定しており、令和4
年12月末現在で、和歌山市内の生産緑地は287か所、合計面積は約81ヘクタールである。
Q 長坂委員
平成29年に生産緑地法が改正され、直売所や農家レストランが設置できるようになるなど多面的な農業経営が可能と
なるとともに、生産緑地の面積要件も引き下げ可能になったため、小規模な農地でも保全しやすくなったが、生産緑地
での農業経営はうまくいっているのか。
A 川尾農林水産総務課長
生産緑地に特化した経営状況は把握していないが、和歌山市内で生産緑地の多い地区は、宮や四ヶ郷、松江、貴志、
湊などとなっている。このうち、宮、四ヶ郷などの市東部に位置する地区は、水田地帯であり、水稲栽培に加え、裏作
でキャベツ、ハクサイなどを栽培する農家も多くあり、松江、貴志、湊などの地区では、海岸部の砂地地帯を利用して
特産のショウガやダイコンなどの栽培が行われている。
また、市の農業委員会では、生産緑地を含め農地パトロールを実施しており、耕作の放棄などの問題がある場合は適
切な指導をしていることから、営農状態は問題ないと考えている。
なお、委員お話の直売所や農家レストラン等の施設については、和歌山市内に事例はないが、市民農園を開設してい
る事例は把握している。
Q 谷口委員
JGAPの県内の取組を教えてほしい。
A 仲農業環境・鳥獣害対策室長
現在、県内でJGAPの認証を受けているのは2事業者である。早和果樹園のみかんとJA紀南のうめである。
Q 谷口委員
2事業者における取組者の割合を教えてほしい。
A 仲農業環境・鳥獣害対策室長
早和果樹園は出荷者全員で取り組んでいる。JA紀南の梅部会では2200戸の部会員のうち約0.5%にあたる11戸で取り
組んでいる状況である。
要望 谷口委員
厳しい基準やいろいろなルールをクリアしていく中で、JGAPに取り組んでいる農家は、一定の努力を求められるし、
今までのやり方も変える必要がある。適切なスペースをとる必要もあり、それ相応の努力が必要となる。
理想的なのは、このJGAPの認証をクリアすることによって、価格転嫁がしっかりでき、収益性が上がり、他の生産者
との差別化が図られることで、初めてその意味が出てくると思う。JGAPの認知度がまだまだ低く、生産者だけでなく、
消費者にもJGAPの認知度が上がっていないと思う。
認知度が上がると、生産物の安全性がしっかり認識されて、安全な農産物に変えることになると思う。それが、和歌山
の生産農家を守ることにつながると思うので、県のほうでもJGAPの浸透、認知度を上げることに、ぜひ一緒になって取り
組んでほしい。
次に、県内のイノブタやサカキのように、独自性のある産物はとても大事な物であるし、県のブランド力を上げ、磨き
をかけて前に出られるように取り組んでほしい。
もう一つの要望だが、椎茸を生産されている事業者が、今、諸事情でおがくずの入手がすごく困難になっているという
話を聞いている。地場の椎茸産業も大切な産業だと思うので、広葉樹のおがくずブロックが安定的に確保できる手法を事
業者と一緒に考えてほしい。
Q 冨安委員
みかんは今年裏年で予想生産量が前年比96%と少ないようである。既にYN26など極早生みかんが出荷されていると思
うが、価格は対前年比でどうか。
A 岩倉果樹園芸課長
9月11日現在のJAの出荷実績によると、まだ出始めなのでごくわずかな出荷量であるが、YN26で対前年比の出荷量が
151%、価格が86%となっている。
Q 冨安委員
YN26は対前年比で多いのか。
A 岩倉果樹園芸課長
対前年同期比でいうと量は多く出ている状況である。
Q 冨安委員
最近、農協の組合員から県1合併の話を聞く。合併の進捗状況、なぜ県1にしないといけないのか、これは農協自体か
ら出た話なのか、県も指導している話なのか。
A 川村経営支援課長
JAの県1合併の進捗状況については、JAグループは、将来の本県農業振興・地域活性化を図るために、令和7年4月1
日を合併目標期日として合併協議を進めている。
現在、おおむね月1回のペースで組合長・役員レベルの協議を進めており、順調に進めば、来年6月の合併総代会で、
合併経営計画が承認される予定と聞いている。また、今回の県1合併については、基本的にJAが自己改革ということで、
農業振興・地域活性化等を図るために取り組んでいるものである。
県としては、合併に対する指導ではなく、JAの健全な財政運営やコンプライアンスの強化、組合員の利便性の向上に向
け、取り組むように引き続き指導していく。
Q 冨安委員
今、農協は金融を農林中金で運用しているが、金利が低く、配当も少ないため、単一農協では経営が厳しい中で県1合
併という話が出てきたと思う。
農協が経営を維持していくためにはやむを得ないと思うが、それぞれの農協の資産状況・負債状況がある程度のところ
まで近づいていかないと話が進まないと思っているが、そのあたりの指導は経営支援課でできるのか。
A 川村経営支援課長
県では、現在、国の指導のもと、5年間の収支見通しによって、将来を見据えた経営改善に取り組むよう指導しており、
今後も引き続き指導していく。
意見 冨安委員
農協自体が自分たちで考えないといけない問題だと思うが、農協がなくなると農家が困るので、県としても言える部分
があれば、支障がないように指導をお願いする。
Q 山家委員
先ほどの話に関連するが、野良犬は捕獲できて、シカではなぜ駄目なのか教えてほしい。
A 仲農業環境・鳥獣害対策室長
睡眠薬を放置したときに、確実にシカが食べるという保証はなく、ほかの動物が食べて事故や死亡した際、様々な問題
が起こってくると思われるので、基本的に餌に何かを混ぜてまくのは、問題となる行為となる。
A 山本農林水産部長
野犬の場合、狂犬病予防法という法律があり、人の命に関わる問題となるので、捕獲を強力にやったという記憶がある。
Q 山家委員
鳥獣害被害は長い期間、問題となっている。例えば、区域を決めて、地元の方の同意のもと、のぼりをたて、餌に睡眠
薬を入れて実験的にシカを捕獲していることを明示する方法であれば、可能ではないかと思うが、いかがか。
A 仲農業環境・鳥獣害対策室長
夜間銃猟でシカを捕獲しているが、狩猟エリアを指定し、ガードマンを立て、人を絶対入らせないようにするとともに、
シカを追い込んだ方向以外には射撃しないということや、バックヤードのある場所以外では射撃しないことなどの射撃ポ
イントまで決めて狩猟を行っている。
餌の安全面については、シカ以外の動物が食べないという保証ができる状態にならないと、エリアを決めてもできない
と考える。
Q 山家委員
室長の懸念も理解するが、例えば、捕獲おりを置くことにおいても、子供を巻き込む危険性があり、同じであると思う。
期間を1か月とか3か月にすると決めて、地元の方にも同意があれば問題ないと思うが、いかがか。
A 仲農業環境・鳥獣害対策室長
おりの場合は、標識を立て、ここにわな等があることを人には分かるように示している。その中に子供が入る危険性は
少ないと思う。餌の場合、どの餌に何が入っているというような標識は掲示し難く、鳥が誤食する可能性もある。持ち帰
って検討するが、難しいと考える。
Q 冨安委員
鳥獣害対策室長が言うのは、今の決まりの中の話となるので、行政の立場ではそう言わざるを得ないだろう。これは、
政治が動いて、鳥獣害被害の著しいところについては、山家委員の提案を、期間限定で実施できるような制度を我々がつ
くっていかないといけない。今の制度の中では、室長の話に終始することになる。お互いの共通の課題として取り組んで
いかなければならない。
例えば、以前にイノシシの問題で、猟期の問題があり、当時の環境生活部長に話したら猟期の延長はできないと言われ
た。私はすぐ、環境省に行って、狩猟者に喜んでくれるような猟期の延長方法がないのかと聞いた。そのためには2年間
の保護計画をつくるという話が出てきて、おかしな話ではあったが、制度に従い、保護計画をつくって、延長した経緯も
ある。
シカは捕れども捕れども増えていく。農山村の人口よりもシカのほうが多いのではないかという状況である。お互いの
共通課題として取り組むべきであると考えるが、いかがか。
A 山本農林水産部長
県では、基本的には他県の捕獲事例や、国の研究機関の事例などを研究しつつ、有効な対策を検討していきたいと考え
る。
制度的な話は、やはり限界があるので、そこは委員の方々と一緒に有効的で、一歩でも二歩でも踏み出すような対策を
一緒に検討できたらと考えているので、協力を願う。
意見 谷副委員長
5年前に、ある農家の方が、柵をしている自分の畑に薬の入った餌をこぼし、それを食べた猟犬が死亡することがあっ
た。猟犬は猟師の方にとっては子供のような存在である。
薬入りの餌をシカだけが食べてくれるといいが、ほかの動物が食べてしまう。これはちゃんと考えなくてはいけない。
やるとすれば本当にちゃんと考えないと、反発が多くなる。部長も言ったように、我々でいろいろ研究していかなければ
ならない。
意見 冨安委員
静岡県では、餌に硝酸塩を入れる事例があり、これは反すう動物だけに効く。環境省からストップがかかっているので
今は使えないが、野良犬に影響はない。シカにだけ特化して効くような薬を研究する必要がある。このまま放置しておく
と、農業だけでなく、林業でもシカにやられてしまう。
お互い知恵を出し合いながら、前に進めるようにしていかないと、お互いの共通課題として、認識を一緒にしながら取
り組んでいくべきである。
●玉木委員長
今、谷副委員長、冨安委員、山家委員から質問、提言等があったので、この件については、閉会中に審査をして、国に
対して申すところはしっかりと申していかないと駄目なので、例えば12月をめどとして、意見書という形のものが出来上
がるようにしたいと思う。様々な方法もあると思うので、その点、当局の方としっかり話をしながら協議して、鳥獣害対
策に取り組んでいきたいと思う。
意見 谷副委員長
今、委員長から提案があったが、農林水産振興議員連盟の鳥獣害対策部会で対応してもらってはどうか。
●玉木委員長
今、副委員長のほうから申出があったとおり、各委員了解のもと鳥獣害対策部会で協議することとしたい。当局の方も
よろしく願う。
Q 谷副委員長
畜産試験場の本館の建て替えについて、進捗状況はどうか。
A 塩路研究推進室長
畜産試験場の本館の建て替えは工事契約が完了し、現在、基礎工事をしている状況で、今年度末に完成する予定である。
現在の本館については来年度に撤去し、舗装工事を行い、2年かけて完成する予定である。
Q 谷副委員長
漁業者から浮魚礁に対する評判がよく喜んでくれている一方で、磯焼けがひどいため、地先で捕れるものが少ない。対
策を進めてくれているが、食害を防ぐため、高水温に強い海藻を設置していると聞いたが、進み具合はどうか。
A 横畑水産振興課長
高水温に強い海藻については、令和4年度磯根漁場再生事業において、串本町2地区、那智勝浦町1地区、新宮市1地
区の計4地区で移植が実施され、令和5年6月末時点でおおむね順調な生育が確認されている。
令和5年度においても、4地区で同様の取組が行われる。
今後、この様な環境変動に対応した取組を支援し、引き続き藻場造成を推進していく。
意見 谷副委員長
町も期待している。水温の関係や栄養塩、特にリンの不足など磯焼けの原因は複合的である。水産試験場でも考えては
どうか。
Q 冨安委員
磯根漁場再生事業には地元負担があるか。
A 横畑水産振興課長
県から3分の1の補助となる。
Q 冨安委員
農林水産省のカーボンニュートラルの一環で、海藻をCO2の吸収源にしようという政策がでている。それに組み入れる
方法はないか。カーボンニュートラルの事業により地元負担が少なくならないか、国の補助事業などを研究してほしい。
A 横畑水産振興課長
海藻はCO2吸収源としての役割があると認識しているが、本県においては、磯焼けで減少傾向にあるものを、回復させ
ることが先であると考える。その後、将来的には総合的に検討していければと考える。今年から2か年かけて調査を行い、
減少要因を分析し、より効果的な藻場造成の在り方を検討していく。
A 山本農林水産部長
委員の意見は、国の補助事業を活用して地元負担をできるだけ少なくしてとの話しだと思うので、使えるものは国の財
源を活用して、県や地元の負担を少なくなる仕組みを研究していく。
●玉木委員長
◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告
◎議案に対する採決宣告
◎議案第104号、第109号については全会一致で原案可決
◎農林水産部審査終了宣告
◎発議された意見書(案)に対する協議宣告
◎意見書(案)採決宣告
委員会から「ALPS処理水の海洋放出による影響に対する水産業支援の強化を求める意見書(案)」を提出す
ることに全会一致で決定
◎継続審査を要する所管事務調査宣告 異議なし
◎県内外調査について、令和5年10月16日から18日までの日程で実施することを報告
◎閉会宣告
午前11時5分閉会