令和5年9月和歌山県議会人権・少子高齢化問題等対策特別委員会会議記録
令和5年9月和歌山県議会人権・少子高齢化問題等対策特別委員会会議記録
1 日時 令和5年9月20日(水)午後2時13分~午後2時39分
2 場所 予算・決算特別委員会室
3 出席者 委員長 吉井和視
副委員長 浦口高典
委員 三栖拓也、藤山将材、森 礼子、中本浩精、山下直也、藤本眞利子、小川浩樹、林 隆一
欠席委員 なし
委員外議員 なし
4 概要
午後2時13分開会
●吉井委員長
◎開会宣告 挨拶
◎報告事項 委員の欠席なし
◎傍聴協議 なし
◎撮影許可 3件
◎議事 現行の「部落差別の解消の推進に関する法律」の改正を図るための取組について
現行の「部落差別の解消の推進に関する法律」の改正を図るための取組について、様々な差別の解消に向けた
県の取組も含め説明要請
●前企画部長説明
●吉井委員長
◎説明に対する質疑等宣告
Q 中本委員
今年の6月定例会において、『「部落差別の解消の推進に関する法律」の改正を求める決議』を可決した。憲法に保障
された法の下の平等の具現化に向け、立法機関の責任において、被害者への救済を考え、実効性のあるものとするため
に、現行の「部落差別の解消の推進に関する法律」の改正を図るべきであるとの思いから、当委員会において発議したが、
この決議について、県当局の所感を聞きたい。
A 玉置人権政策課長
さきの6月定例会において可決された『「部落差別の解消の推進に関する法律」の改正を求める決議』に関しては、県
としても、部落差別の解消にかかる取組を推進していく上で、大変心強く感じている。
決議の中でも言及しているとおり、当該法律には部落差別に対する規制や差別された場合の救済が含まれていない。
こうした状況の中、当県では、「和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例」を制定し、部落差別は基本的人権の
侵害であり、あらゆる部落差別を行ってはいけないことを規定するとともに、県内で部落差別を行った場合は、行為者に
対して必要な説示・促しを行い、それでも従わない場合には、勧告することを規定し、国の法律に先んじて取り組んできた。
しかしながら、継続して部落差別を行うなど、行為者が確信的である場合などは、粘り強く説示・促しを行うが、県条例
での対応では限界がある。
そのため、被害者救済を迅速に行うため、実効性のある法制度の早期整備について、6月に直接国を訪問し、県の重点
要望事項として、強く要望を行ってきた。
また、和歌山地方法務局との定例的な意見交換の場においても、救済の必要性や実効性のある法制度の早期整備に
ついて要望を続けている。
さらに、関係都府県及び政令指定都市で組織する全国人権同和行政促進協議会を通じ、同様の要望を7月末に行って
きた。
要望 中本委員
国は理念法という中で、県では、一歩踏み込んで、部落差別の禁止や差別を行った者への説示・促し・勧告など、被害者
救済を図る規定を条例に盛り込み、国に先んじて取り組んでいることが分かった。
ただ、実効性のある法制度を早期に整備するよう、毎年政府要望をしているとのことだが、国は実効性のある法整備を
行わないというのが現状と思う。
こうした中、インターネット上での差別書き込みなどの部落差別は、今でも発生している。少しでも部落差別がなくなる
ように、決議を可決した和歌山県は、対策を講じていく必要があると思う。
そこで、国に対して要望している第三者機関の創設とまではいかなくとも、部落差別事件が発生した場合に意見を聴く
ための、外部の専門家による第三者機関を設置するなど、実効性のある条例改正を要望する。
和歌山県の取組が、国を動かし、部落差別の解消の推進に関する法律の改正につながり、その改正を契機として、全ての
人の人権について救済される取組へとつながるよう期待しているので、よろしくお願いする。
●吉井委員長
今の中本委員の要望に対する部長の答弁を委員長として求める。
A 前企画部長
独立の第三者機関を設置するのが最も望ましいことだと思うが、地方自治法第138条の4において、普通地方公共団体
に独立の委員会を置く場合は、法律の定めがなければならないと規定されているため、法整備を要望している。ただ、独立
の委員会が設置できないということであれば、諮問等を行う審議会等附属機関を設置できないのかということについては、
今回の条例改正とあわせて、整備するかどうかも前向きに検討していきたい。
Q 藤本委員
教育に関して、人権教育担当教員等研修会などの取組があるとのことだが、私の地元では、教員等と部落問題に関する
教育をどうしていくかという話し合いを長年にわたって続けてきている。学校現場ではこんな風に教育を進めてきている
というような話を聞きながら、同和問題についての理解を深めている。今、教育現場の、特に高校の同和問題についての
教育はどんな状況か気になっている。高校を卒業して大学に進学しても同和問題に触れることなく教員になるということ
も大いに考えられる。高校での同和問題の学習について聞きたい。
A 坂口人権教育推進課長
学校現場についての学習の状況だが、まず、小学校、中学校では主に社会科の歴史分野で身分制度等を学習していく。
その他、教科以外では特別活動、総合的な学習の時間を活用して学んでいくことになる。高校では、小中学校と違い、
選択教科の関係もあるが、日本史や公民などの教科で学んでいくほか、ホームルーム活動や総合的な探求の時間で学ぶ
ことになる。
Q 藤本委員
小中学校では最近歴史の認識が変わってきて、以前は士農工商という学習をしたのだが、今、歴史認識をどう教えて
いるのか。
A 坂口人権教育推進課長
教科書では士農工商などは省かれている。中学校現場で昨年度、社会科で習った後、賤称語を言い合って問題になった
ということもあった。教科書については、以前と変わってきているところもあるため、条例ができたあと、令和3年度に
人権学習パンフレットを作成した。人権教育は教科ではないため、教育現場でも、教員が指導しづらいとよく聞く。特に
部落問題については、教員が自信をもって教えられないというところがあるので、指導の手引書として、人権学習パンフ
レットを作成した。このパンフレットを活用して、特に若手教員の研修を行っている。
要望 藤本委員
士農工商は最近使わないようにしているらしい。「農に携わる人」、「商に携わる人」というように習うなど、歴史の
部分で教え方が変わってきていると、この間、高野山で教えてもらってきた。そのようなところも教えてもらいながら勉強
していきたいと思っている。その辺のことは学校の教育はすごく大事だと思うので、強く言いたい。
Q 林委員
パートナーシップ宣誓制度についてどういう制度なのか。また、この制度を利用する際のメリットについて教えてもらい
たい。
A 大久保青少年・男女共同参画課長
パートナーシップ宣誓制度については、法的に婚姻が認められていない同性カップル等の生活上の不便の軽減を図ること
が主な目的である。
パートナーシップ関係にあると宣誓したカップルに対して県が受領証を発行し、様々な行政サービスや社会的配慮を受け
やすくするという狙いがある。
具体的な例でいうと、当事者の困りごととしてよく耳にするのは、病院で法律婚の夫婦であれば、入院時の面会や手術の
際の同意書へのサインがスムーズに行われるが、一部の病院では同性カップルでは断られたり、夫婦で入居できるという条件
の住宅に法律婚や事実婚のカップルであればスムーズに入居できるところ、同性カップルであれば断られたりといったことが
ある。そうした困りごとを軽減し、性的少数者が生きづらさを少しでも解消し、基本的な人権を尊重できる、そのような社会
にしていきたいという思いで制度を導入する。
また、令和3年9月頃に県の行政サービスについては、そのような不都合や不利益な取扱いを解消すべく見直しを図ったが、
今回、要綱を制定し、明確な制度として位置づけ、さらに今後、市町村等に説明することにより、当事者に対する理解を一層
促進していきたい。
要望 林委員
同性婚は、法律上認められてはいない。憲法でも同性での結婚はできないとなっている。ただ、今の時代の流れから、不都合
があってはならないということも確かであり、取組を進めていくべきであるとは思うが、そういう制度を悪用されないように、
内容についてはきちんと精査することを要望しておく。
要望 山下委員
6月議会で、県の部落差別解消に向けた取組の総括と課題について一般質問し、議会の賛同をいただいて決議を可決した。
今説明があったように、皆さんが努力しているのは分かっている。しかしながら、ここに集まっている県の幹部の人たちも、
現実問題として、ユーチューブなどを見たら、部落差別の動画がどんどん投稿されているのを知っているであろう。今まで
吉井委員長が先頭になって、和歌山県議会でも、同和対策特別委員会の時代からずっと取り組んでいるが、いまだにこの状態
である。一因であるプロバイダへの啓発をしてもらうしかないということで国へ要望しているが、なかなか進まない。今こう
して話し合いをしている間でも、地名などが投稿されている。県議会も一生懸命取り組んでいるのだから、県当局・県職員と
この部落差別の現状について共有してもらって、絶対に許さないという思いで、差別解消に向けての取組を進めてもらいたい。
●吉井委員長
◎説明に対する質疑等終了宣告
◎閉会宣告
午後2時39分閉会