令和5年6月和歌山県議会福祉環境委員会会議記録
令和5年6月和歌山県議会福祉環境委員会会議記録
1 日時 令和5年6月26日(月)午前9時59分~午前11時15分
2 場所 第2委員会室
3 出席者 委員長 奥村規子
副委員長 鈴木德久
委員 森 礼子、中本浩精、堀 龍雄、尾﨑太郎、中尾友紀
欠席委員 なし
委員外議員 なし
4 概要
午後9時59分開会
●奥村委員長
◎開会宣告 挨拶
◎報告事項 委員の欠席なし
◎傍聴協議 1件
◎撮影許可 4件
◎議事 議案3件、継続審査を要する所管事務調査6件
◎審査順序宣告 福祉保健部、環境生活部の順に審査
◎福祉保健部審査宣告
◎議案等に対する説明要請
●今西福祉保健部長説明
●奥村委員長
◎県立医科大学職員紹介、出席確認
◎議案に対する質疑及び一般質問宣告
Q 中尾委員
先日、令和4年度がん対策施策報告書を一読した。その中で何点か質問したい。科学的根拠に基づいたがん予防につ
いて主に質問する。8ページのナッジ理論等を活用した大腸がん検査受診率向上対策事業の概要を示してほしい。
A 宗野健康推進課長
本県では、死亡率が高い5大がんの中でも、大腸がんの検診受診率が一番低く、令和元年は36.9%となっている。こ
れに焦点を当て、市町村に対する技術的支援の一環として、令和4年度から3年間、大腸がん検診の一次検診と精密検
査の未受診者を対象に、心理的にアプローチし受診への行動変容を促すナッジ理論を活用した個別受診勧奨事業を、和
歌山市、有田市、御坊市、田辺市の4市でモデル的に実施している。
Q 中尾委員
検証の結果はどうか。
A 宗野健康推進課長
受診状況については、現在、取りまとめ中であり、一次検診の未受診者については秋以降、精密検査については翌年
度以降の取りまとめとなる。
要望 中尾委員
検証の上、各市町村で展開できるような形でお願いしたい。
Q 中尾委員
子宮頸がんについて14ページに載っていたが、子宮頸がんワクチン接種の積極的勧奨に関する事業概要を示してほし
い。
A 宗野健康推進課長
HPVワクチンについては、平成25年4月1日に、定期予防接種対象となったが、同年6月14日に、積極的勧奨の一時
差し控えが決定された。それ以降、令和4年4月1日に再開されるまでの約9年弱にわたり、HPVワクチンの積極的勧
奨が行われない状況が継続した。また、この間、積極的勧奨の差し控えにより接種機会を逃した人への対応として、公
平な接種機会の確保の観点から、特例として接種機会を提供するキャッチアップ接種が、平成9年度生まれから平成18
年度生まれまでの10学年の女性に対して、3年間に限り認められている。
要望 中尾委員
年間1万人が感染し、3000人弱の方が亡くなっている。9年間というブランクがあるので、漏れのないような形で接
種の推進をお願いしたい。
Q 中尾委員
胃がんに関するピロリ菌の状況に関して、国立がん研究センターが出している小冊子の中で、特に胃がんのリスクが
高まることから、ピロリ菌の除菌が推奨されているが、その見解を示してほしい。
A 宗野健康推進課長
WHOでも、胃がんの約8割はピロリ菌が原因であり、除菌により3割から4割を減らせるという発表が行われてお
り、ピロリ菌の感染が大きく関わるというエビデンスがある。先般、報告した令和4年度がん対策施策報告書において
も、令和元年度の本県の部位別の年齢調整罹患率を見ると、男性で一番高いのは胃がんである。胃がん発症にピロリ菌
の感染が密接に関係するというエビデンスもある。県としては、がん対策の推進として、がん死亡率の低下を目指すと
ころであり、他府県での胃がん対策に係る取組状況等を調査研究し、今後、胃がん死亡率減少に向けた対策を総合的に
検討したい。
要望 中尾委員
本県において、胃がんは、非常に死亡率、罹患率の高いがんであり、予防の推進をお願いしたい。一時は、ピロリ菌
の除菌にも補助が出ていたと思うが、いつの間にかなくなってしまった。胃がんが少なくなっているのであれば、多少
の納得はできるが、罹患率も死亡率も増えているということなので、ピロリ菌の除菌に関しても、計画的に実施しても
らいたい。
Q 中尾委員
若年者のがん対策について教えてほしい。
A 宗野健康推進課長
県では、若年がん患者支援として、3つの事業を展開している。
まず1つ目が、妊孕性(にんようせい)温存治療である。これは、抗がん剤治療によって生殖機能を低下させるおそ
れがある、43歳未満の若年がん患者に対して、がん治療前に行う卵子、精子の凍結などの生殖機能の温存費用や、温存
療法により凍結検体を用いた生殖補助医療などに要する費用助成である。
2つ目が在宅療養支援である。これは、特に末期がん患者の申請が多く、介護保険制度が適用されない40歳未満の若
年末期がん患者が在宅での療養を希望したとしても、経済的に断念せざるを得ないこともあるため、令和元年から介護
サービス費用の一部助成を県で行っている。終末期に家庭で過ごす際の生活支援であり、対象者は少ないが、がんにな
っても、自分らしく生活するためにしっかりと療養生活に取り組めるよう、県としても支援しているところである。
3つ目が、今年から始めたアピアランスケア支援事業である。これは、抗がん剤治療や乳がん手術に伴う脱毛や乳房
の切除により、見た目が変化したがん患者に対して、市町村がウィッグや人工乳房などの購入費用を助成した場合に、
県が補助する事業であり、がん患者の社会復帰を支援する制度である。
要望 中尾委員
まだまだ対象が少ないと思う。そしてこの妊孕性温存治療という、言葉自体の認識がない県民も多い。広報もしっか
りお願いしたい。
Q 中尾委員
去年の12月に公明党の元厚生労働副大臣をはじめ国会議員の方、多田県議会議員(当時)、市議会議員の代表で、和
歌山県立医科大学のリハビリテーションを視察した。
その中で、要介護5で寝たきりの患者が、がんの治療ということで和歌山県立医科大学に入院して、その治療を終え
て退院するときには歩いて帰ったという事例を紹介してもらい、物すごく画期的な事例だということで感銘を受けた。
本当に要介護5で寝たきりの方が歩いて帰るというようなことは、私自身も想像すらできなかったが、このようなし
っかりとした取組をしていること自体に敬意を表したいと思うし、しっかり広報をしてもらいたいと思うが、見解を示
してほしい。
A 楠石県立医科大学事務局次長
和歌山県立医科大学においては、入院患者の2人に1人が担当の診療科からリハビリテーション科に紹介があるとい
うことで、急性期患者を受け入れる当院では、大勢の方のリハビリ治療を行っており、手術後、早く元の生活状態に戻
れるようにということで取組を行っているところである。
こうした中で、当院の幅広い疾患のある患者に対して、個別性が高く、質の高いリハビリテーションを多職種で提供
していることから、病院機能評価においても最上位の評価をもらっているところであり、こうした先進的な取組につい
ては、患者に対して、当院のホームページや広報誌などでお知らせするとともに、患者会や県理学療法士協会などで講
演や研修、さらには、病院実習、講義、教育活動や論文発表などを通じて、医療従事者をはじめ多くの方に当院の活動
をPRしているところである。
引き続き、こうした質の高いリハビリ治療に取り組んで、県民の方の治療に当たっていきたいと考えている。
要望 中尾委員
ますます高齢化で寝たきりの患者が多くなってくると思う。そういう方々の光明となるので、広報並びに医療と介護
の連携という部分に関してもしっかりと研究してほしい。
Q 森委員
青洲リンクについて、質問する。
まず、青洲リンクは、東日本大震災の後、患者等のカルテが流されたから、データで残していこうという動きでつく
られたと聞いた。
今、事業主体が協議会に移っているということだが、まず青洲リンクの災害時の活用と、平時の活用に分かれている
という中で、災害拠点病院ですら、この活用に参加していないという状況に対して、どのように感じているか聞かせて
ほしい。
A 石田医務課長
青洲リンクについては、現在10の病院、医科診療所43施設、歯科診療所3施設、薬局113施設が加入しているが、そ
の病院10のうち災害拠点病院は5つにとどまっている状況である。
青洲リンク導入にあたっては、病院で初期投資が数百万円かかるとともに月々のランニングコストが、数万から10万
円以上かかってくるので、なかなか病院の加入が進まないのではないかと考えている。
要望 森委員
災害時を目的としてつくった青洲リンクなので、災害拠点病院は基本加入すべきではないかと思っている。今後の取
組に力を入れるとともに、注視してほしい。
もう一点、協議会に運営が移っているということだが、協議会の役員の病院も加入していないという状況もあるの
で、もう少し多くの病院が加入すればそれだけ初期費用や月々の費用の個々の負担が減るため、安価で利用できると思
う。
今、実際加入している病院も診療所も大変少ないので、一度見直してほしいと思う。進まない理由を以前に聞いたと
きは、国が保険証とマイナンバーをリンクして、患者のデータを見守ってくれるという期待があった。私が前に聞いた
ときから止まっている状況だが、最近そのような動きが見えてきたところで、複数のトラブルもあったため、また足止
めになっていると思った。
この青洲リンクを、和歌山版で、お薬手帳という部分だけでもいいので、ぜひとも活用してほしいと思っている。
また、以前聞いたときに、和歌山県は、多重多剤が全国最多というデータも出ていたので、今、きのくに電子お薬手
帳にリンクしていると思うが、高齢者の方にアプリを入れて、お薬手帳として活用してくださいと言っても難しい部分
があると思う。
青洲リンクにほとんどの病院と診療所が加入し、患者のデータを青洲リンクに流すことができれば、ちゃんとお薬手
帳という役割は果たせると思うので、ぜひともこれを実現してほしいと願っている。
また、例えば、今どんな病院に行っても、紙のお薬手帳を持っているかと聞かれるが、病院ごとにお薬手帳を持って
いる方もいて、欲しい薬だけもらって、これだけもらうと何かやましいという気持ちの中、違う薬ももらって、自分の
飲みたい薬以外は処分しているような状況の相談をたくさん受け、見てきた。そのような方に向けても、ぜひともお薬
手帳のデータをきちんと管理してもらえるように、この青洲リンクを最大限に活用してもらうように要望する。
本当に多くの病院がまず加入してほしいと思う。日本赤十字社和歌山医療センターや和歌山労災病院も加入していな
いのはどうかと思うので、一度見直してほしい。
Q 鈴木副委員長
先ほどの森委員の質問と関連するが、マイナンバーカードが普及し、マイナンバーカードに保険証が一体化されれ
ば、健康情報やお薬手帳の情報などを全て載せていくと理解している。今まで、青洲リンクやくろしおNETでやろうと
していたことが全て解決されると考えているが、全体的な仕組みとして登録の仕方やカードリーダーの準備など全体像
の説明を聞きたい。
A 前坂国民健康保険課長
医療保険のオンライン資格確認については、患者が医療機関の窓口に持参したマイナンバーカードを顔認証つきカー
ドリーダーで読み取ることで、加入している医療保険の資格情報を確認することができる仕組みである。
全体の仕組みとして、各医療保険者は、被保険者番号、資格情報及び特定健診情報等を、社会保険診療報酬支払基金
や国民健康保険中央会のオンライン資格確認等システムに登録する必要がある。次に、医療機関や薬局において、オン
ライン資格確認のためのカードリーダーを導入するとともに、もともと構築しているシステムの改修等を行い、オンラ
イン資格確認等システムに接続する。患者においては、マイナンバーカード取得者向けのサイトであるマイナポータル
で健康保険証利用の申込みをすることで、マイナンバーカードを健康保険証として利用することができる。
Q 鈴木副委員長
説明があった医療機関における設備投資により、導入の動きが止まり、参加する医療機関が少なかったということだ
が、初期投資にかかる機器購入などに対し国の支援があるという考え方でよいか。
A 前坂国民健康保険課長
国は、医療情報化支援基金を設置し、各医療機関等が申込みをして、カードリーダーについては基本的には無償の部
分と、一定の台数を超える場合は、2分の1や4分の3の補助率で補助をするほか、システム改修についても補助を行
っている。
Q 鈴木副委員長
この制度が整備されれば、希望者によってはお薬手帳を持っていかなくても既往歴など全部の情報がシステムで確認
できる状況になると思うが、患者のメリットを聞きたい。
A 前坂国民健康保険課長
委員の説明のとおり、投薬の履歴や特定健診等の情報について閲覧の同意を得ると情報がたくさん提供されるので、
医師等から総合的な診断あるいは重複する投薬を回避した適切な処方を受けることができると考える。
Q 奥村委員長
議案第82号について、就学前の子供に関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律施行条例の改正の要旨
では、満3歳未満の子供の保育に従事する者として置かなければならない保育士の資格を有する者について、当分の
間、1人に限って、保健師、看護師または准看護士をもって代えることができると書かれている。これは保育士の専門
的なところで非常に影響するのではないか。代えることができるということで、保健師、看護師、准看護士も保育に携
わっていくことになっていくということだが、改正の点も含めて、緩和していくということにつながっていくのではな
いかという危惧を感じている。その点について、業務の専門性なども含めて、どのように考えているか。
A 戎脇子ども未来課長
指摘の認定こども園におけるみなし保育士の要件緩和については、国全体で保育士確保が難しい中で、小規模な形
で、看護師等を保育士とみなし、看護師等の専門性なども活用して保育士不足を解消していくということである。全国
的に緩和するということなので、本県としても緩和は致し方ないと考えている。その他のインクルーシブ保育や業務継
続計画についても、同様に国の基準に従って進めていくことで、県内の保育所としても適正に運営していけるものと考
えている。
要望 奥村委員長
国の流れの中でいうことなので、現場の状況なども把握して、保育の質が下がることがないようにしてほしい。根本
的には、保育士の数を改善していくことが本筋だと思うので、よろしくお願いしたい。
Q 奥村委員長
医師の働き方改革が2024年4月から実施されることになる。罰則つきの労働時間の制限が始まるので、小中の病院で
は困難な状況もあるのではないかと思うが、和歌山県立医科大学での取組や準備はどのような状況か。
A 楠石県立医科大学事務局次長
来年4月から始まる医師の働き方改革では、時間外労働・休日労働時間の上限が年間960時間以内という制約が課され
るが、本学の令和4年度の実績においては、年間960時間を超える医師が約3割という状況であった。
夜間の救急や地域医療を担うという本学の役割を考えると、直ちに年間960時間に抑えるというのは困難なことである
ことから、暫定的に年間1860時間までの時間外労働・休日労働が認められる特例措置の指定を県から受けるための準備
を現在進めているところである。
令和4年8月には医師の業務見直しに係るアンケート調査を行い、その結果を踏まえて診療科の業務内容に応じた主
治医チーム制の導入を進めたり、土日のいずれかを出勤しない日として設定するなどの取組を進めたりしているところ
である。
また、併せて特に労働時間が長い診療科においては、病院長がヒアリングを行い、勤務シフトの検討など労働時間短
縮に向けた取組を進めるとともに、医師以外の職種でもできる業務を整理・明確化しタスクシフトを進めるなど医師の
負担軽減への取組も行っているところである。
さらに、兼業先となる地域の医療機関に対しても宿日直許可の取得推進など医師の労働時間短縮について働きかけを
行っている。
私どもとしては県内唯一の大学病院、特定機能病院として引き続き県民の皆様に安全で良質な医療を提供できるよう
取り組んでいきたい。
Q 奥村委員長
医師不足が長く続いている中で、医師の働き方改革をどこまで実現していけるのかという大変難しく御苦労されてい
る点があると思う。
医師の労働時間の実態を把握しているという点では随分進んでいると思うが、医師不足を解消するということをしっ
かりと取り組んでいただけるように、またこれは国の責任としてもやっていっていただかないとこの改革が本当に実を
結ぶということが難しいのではないかと思うので、よろしくお願いする。
和歌山県立医科大学の状況は今お聞きしたが、地域の中規模病院がどのように進めるのか、救急の受入れが大変にな
ってくるのではないかということを心配している。この点について、一般の地域の病院での状況はどうか。
A 石田医務課長
県内の状況は、やはり宿日直許可の取得が大きな問題であると思っている。
現在、各病院が宿日直許可を取るべく労働基準監督署等と調整しているところである。年間1860時間までの時間外労
働・休日労働が認められる、いわゆるB水準の指定は医大と日赤が予定しており、その他の病院についてはA水準に収
まるであろうと聞いている。
今後、医師の確保も含めて、救急医療体制について来年度以降どうなっているかということは現場の医療機関と調整
しながらやっていきたいと考えている。
意見 奥村委員長
医師の働き方改革と合わせて、県民の医療を守っていかなければならないという、大変な問題だと思うので、ぜひよ
ろしくお願いする。
●奥村委員長
◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告
◎議案に対する採決宣告
◎議案第78号、議案第82号及び議案第95号については、全会一致で原案可決
◎福祉保健部審査終了宣告
◎休憩宣告
午前10時46分休憩
午前10時48分再開
●奥村委員長
◎再開宣告
◎環境生活部審査宣告
◎議案等に対する説明要請
●山本環境生活部長説明
●奥村委員長
◎議案に対する質疑及び一般質問宣告
Q 尾﨑委員
NPOサポートセンターの指定管理の期間はこれまでどうだったのか。
A 垣内県民活動団体室長
3年間だった。
Q 尾﨑委員
なぜ今回から3年間を5年間に変更したのか。
A 垣内県民活動団体室長
NPOサポートセンターの重要な業務が相談対応であり、予算の大半を人件費が占めることから、人員の確保に加え、
受益者であるNPO活動を行っている団体に効果的なサービスを提供できるよう、条例の規定が5年以内であるというこ
とを踏まえ、効果を最大限に発揮させるために今回から5年間に変更した。
Q 尾﨑委員
公募をしているわけであるから、指定管理者に配慮して期間を長くする変更をしようとするのはおかしい。ほかに応
募する団体がいないからといって公募の建前を崩すのはいかがなものかと思う。
以前、NPOサポートセンターの指定管理において、更新時に毎回同じ団体が指定されるということが問題になり、公
募をするのであれば、誰も応募できないようながんじがらめにした要件はおかしいという意見がよく出ていた。
よって、ほかに申請者が出にくい応募要件を設定することは不適切と考える。
指定管理者の更新申請時に一定の緊張感を持たせるため、より多くの者が応募しやすい要件を設定することが必要で
ある。
また、5年間の場合、議員の任期中に結果の検証ができず、議会による審議の機会が失われるのでせめて4年間のほ
うが適当という考え方もある。このように議会でも相当の議論を積み重ねた上で3年間と認めた経緯がある。
それに加えて、同一の団体による長期間の指定管理に利するような要件を設定することが必ずしも適当ではない例と
して、和歌山マリーナで不適正な指定管理が行われた事例があげられる。
こうした経緯を踏まえると、5年間に変更するのであればもっと慎重さが必要ではないか。
A 垣内県民活動団体室長
委員の指摘はもっともであると認識しており、年度ごとに単年度の指定管理に要する予算案を議会に諮るとともに、
毎年、指定管理者から事業計画書や事業報告書を提出してもらい、併せて現地調査も行って書類の確認やヒアリングを
行っているところである。また、県の監査も3年間隔ほどで実施されているので、毎年度、適切な指定管理が行われる
よう監督したいと考えている。
要望 尾﨑委員
和歌山マリーナも同様に事業計画書や事業報告書の確認が行われていたが、それを擦り抜けて不適切な管理が発覚し
た。また、監査についても議員全員が関与できるものではない。
指定は議会の議決を要するが、議決をする議員の4年間の任期を超えた5年間にすることは、議会での審議の機会が
失われるという側面がある。その期間を変更するのであれば、議会への丁寧な説明が当局側に必要であり、慎重に対処
されたい。
Q 尾﨑委員
一般質問で、下水汚泥の質問をした。国土交通省も、下水汚泥を活用するようにと通知を出している。知事も、その
とおりと答弁した。これを実現するには、様々な課が関係してくる。下水は県土整備部、できた肥料を使うのは農林水
産部である。環境生活部は、循環型社会推進課を抱えている。各部が連携して進めていかないとなかなか世の中に浸透
していくのが難しいと思う。そういう観点から、環境生活部としても、この件に関わっていくべきだと思うが、どのよ
うに考えているのか。
A 森循環型社会推進課長
下水汚泥の肥料化については、知事が答弁したように、環境生活部、農林水産部、県土整備部の各担当課室を集め、
まずは情報交換から始める。その際には、循環型社会推進課が取りまとめ役を担い、推進していきたいと思っている。
Q 尾﨑委員
循環型社会推進課が、庁内の連絡協議会のようなものをつくって、施策の擦り合わせや取りまとめをして、進捗を見
ていくというイメージでよいか。
A 森循環型社会推進課長
そういう機能を果たしていきたい。
Q 鈴木副委員長
南紀熊野ジオパークについて、ユネスコ世界ジオパークの認定に向けた取組を進めるということだが、今の立ち位
置、今後の見通しについて教えてほしい。
A 橋爪ジオパーク室長兼県立南紀熊野ジオパークセンター長
南紀熊野ジオパークは、昨年、日本ジオパークとして2度目の再認定を得ることができたが、同時に申請していたユ
ネスコ世界ジオパークへの国内委員会からの推薦は見送りとなった。
審査結果通知で指摘された「今後の課題・改善すべき点」についての改善策をこの6月に日本ジオパーク委員会へ報
告したところである。
今後、必要な取組を着実に進めるとともに、改善したことによりどのような効果があったのかを検証し、実績を積み
重ねることが必要であり、その状況を見ながら次の申請のタイミングについて検討していきたいと考えている。
Q 鈴木副委員長
例えば田辺市で、ジオパークに新たに加わりたいという動きがあると思うが、現在の状況はどうか。
A 橋爪ジオパーク室長兼県立南紀熊野ジオパークセンター長
田辺市の編入については、田辺エリアでの活動状況が活発になり、南紀熊野ジオパークへの編入の意向が高まれば、
南紀熊野ジオパーク推進協議会において検討していく必要があると考えている。
Q 鈴木副委員長
南紀熊野ジオパーク推進協議会で決めるのか。
A 橋爪ジオパーク室長兼県立南紀熊野ジオパークセンター長
県だけで決めるのではなく、会員である各市町村等とともに南紀熊野ジオパーク推進協議会の場で検討していく必要
があると考えている。
Q 奥村委員長
LGBTQの問題で、先日の国会で法律が成立しているが、県民に理解されていくことが非常に大事だと考える。県民へ
の周知や取組などをどう考えるか。
A 大久保青少年・男女共同参画課長
先日、いわゆるLGBT理解増進法が成立し、施行されたところであるが、この法律は、性の多様な在り方を互いに自然
に受け入れられる共生社会の実現を目指して制定されたもので、このことは性的少数者への理解のみならず、あらゆる
多様性に対する共通理念だと考える。
この法律において、地方公共団体は、性の多様性に関する知識普及や相談体制の整備等に努めるよう規定された。
本県において、これまでも各種啓発や相談対応について、自主的に取り組んできたところだが、今後はこの法律を根
拠にした対応が要請されることになったと理解しており、着実に取り組んでいきたいと考えている。
具体的な取組内容については、昨年度は新たに県職員向けのガイドラインの作成や県及び市町村担当者向け研修会等
を実施し、また、りぃぶるにおいて専門相談を令和4年7月から開始したところである。
今年度は、新たに民間事業者向けの研修を実施する予定であり、また、パートナーシップ宣誓制度の導入も検討して
いる。
今後も、法の趣旨を踏まえ、国が策定する基本計画や指針、議論の状況等を注視しながら取組を進め、県民が多様な
生き方を尊重できる社会の実現を目指したい。
要望 奥村委員長
日常生活の中で、お互いに尊重し合うという基本的なことがさらに前進していけるように、ぜひ、県民への周知徹底
を要望しておく。
●奥村委員長
◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告
◎議案に対する採決宣告
◎議案第78号については、全会一致で原案可決
◎環境生活部審査終了宣告
◎継続審査を要する所管事務調査宣告 異議なし
◎閉会宣告
午前11時15分閉会