令和4年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


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令和4年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

議事日程 第3号

 令和4年12月7日(水曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第136号から議案第164号まで(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第136号から議案第164号まで(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(40人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(1人)

 11番 中西峰雄

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      福田充宏

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       長尾尚佳

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     山本佳之

 県土整備部長     福本仁志

 会計管理者      中家秀起

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    中野幸生

 警察本部長      山﨑洋平

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長(秘書広報室長事務取扱)

            浜野幸男

 議事課長       長田和直

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            村嶋陽一

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主任      菅野清久

 議事課副主査     林 貞男

 総務課長       葛城泰洋

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。

 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。

 監査委員から現金出納検査実施結果の報告がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。

 日程第1、議案第136号から議案第164号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 10番玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕(拍手)

○玄素彰人君 皆さん、おはようございます。議席10番、玄素でございます。

 12月議会2日目、トップバッターで登壇させていただく機会をいただきました。関係各位に感謝、御礼申し上げると同時に、今議会は知事にとっての最後の議会でもあります。今回の質問4点、大きいところで予定しておりますけども、そのうち1点は知事に対してのものでございます。知事におかれましては、御答弁のほう、よろしくお願いを申し上げまして、早速ですけども、質問の中身に入らせていただきたいと思います。

 それでは、まず一つ目、緊急避難施設等の運用についてであります。

 本年2月24日に起こったロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮による弾道ミサイルの度重なる発射実験、中国の台湾侵攻の脅威とその影響など、最近の日本を取り巻く現状は緊張感を増していると言えますが、そういった中で、都道府県においては、国民保護法に基づき5万2000か所を緊急一時避難施設に指定しております。

 当県においても、国民保護ポータルサイトによると、令和3年4月現在で751か所が指定されております。ただ、その多くはコンクリート造りの地上構造物。爆風や熱線からの被害抑制に最も効果的な地下施設の割合は全体の2.4%にすぎず、当県においても、令和3年4月現在で4か所しか地下施設として指定されていないのが現状です。

 そんなことから、国においては、令和3年度から令和7年度までの5か年を集中取組期間と規定し、地下施設を中心とした施設を増やす方針を示しております。

 いたずらに危機をあおるつもりはありませんが、もし今ミサイルが発射されたら、もしミサイルが和歌山に着弾することが分かったらと考えたときに、避難するところがありませんとか、避難するところが分かりません、対応はまだできていませんではちょっと無責任じゃないのかなと思ってしまいます。

 そこで、質問なんですが、もし和歌山県にミサイルが飛んできたときのために、県では対策が取られているのか、準備ができているのかについて、地下施設を増やしてはどうかという観点も含め、危機管理監の答弁をお願いしたいと思います。

 以上で、1項め1の質問といたしますが、以降3質問につきましては、対面式演壇から行わせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 危機管理監福田充宏君。

  〔福田充宏君、登壇〕

○危機管理監(福田充宏君) 県内の緊急一時避難施設については、市町村と連携し指定を進めており、令和3年4月1日現在における人口カバー率は226.2%であり、全国平均の108.5%を大きく上回っている状況にあります。

 また、議員御指摘の地下施設に加え、コンクリート造りの堅牢な建物につきましては、爆風等から直接の被害を軽減する効果が大きいと認識しております。県内の地下施設は少数ではありますが、今後も市町村と連携し、より効果が大きい施設を優先的に指定してまいります。

 なお、避難施設の情報については、内閣官房国民保護ポータルサイトで公開しており、県のホームページでも県民の皆様に確認していただけるようにしております。

 また、実際にミサイルが発射された際には、県民に避難行動を促すため、全国瞬時警報システム・Jアラートによる速やかな情報伝達がなされます。本システムは、対処に時間的余裕がない事態に関する情報を県民に瞬時に伝達する効果的なシステムであり、全市町村を対象とした情報伝達試験を毎年複数回実施し、県民への情報伝達が適切に行われることを確認しております。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 危機管理監、答弁ありがとうございました。

 全体で人口カバー率226%だと、これは平均より多いんだというような御答弁であったと思うんですが、地下に関しては、私が質問で申し上げたように4か所と、そこの地下施設ということに捉まえて、人口カバー率でいったらかなり全国平均よりも下回るんだろうなと、その辺のところも触れていただきたかったんですけども、後ろめたいところもあるのかなというふうに捉えました。

 そんな中において、例えばミサイルが来るときというのは、地震のように突然来ることが想定されるんだと思うんですね。今、ここでJアラートが作動し、ミサイルが来るんだというふうになったら、みんなどんな行動を取るのかなというふうに思うんですけども、多分ここはガラスも多いですから、まずいよねということになるんだと思うんです。そしたら、控室へ戻ったらいいのかと、みんな議員さんのいるところに戻ったらいいのかといったら、そこもまずいよなということになると、どうしても階下というか1階のほうへ、もし地下があるのなら、それは地下へ逃げたいよねということになるのが私は普通の行動だと思うんです。

 そんなこともあるからこそ、先ほど質問でも申し上げたとおり、令和3年から7年において集中取組期間、この辺は認識のそごがあるのかも分かりませんが、主に国は地下の施設を増やしてくださいということを言われているんだと思うんですけども、今、和歌山県においては増えていない。

 一方で、大阪府や大阪市なんかを見ていると、この1年間ぐらいで3倍に増やしているとかいうような報道も見聞きしておりますから、もうちょっと頑張っていただきたいですよねというふうに思いますし、今、じゃあその4か所ってどこなのかというと、わかちか広場って駅の下と、城北公園とけやき大通りの地下の駐車場と、それからきびドームなんですね。

 ということを考えても、多分今、国からそういうものを指定してくださいと言われたんで、公共施設を中心に、県庁が市町村に対して避難施設はありませんかというような聞き取りをした結果、上がってきているのが今の数字だと思うんです。特に地下ということで申し上げたら、別に今申し上げた4か所以外にもまだまだあるんだと思いますから、もう一回市町村に対して、地下の施設はありませんかというようなことも聞いていただきたいなというふうに思いますし、その地下の施設で言えば、今、先ほど申し上げたように、もう公共の施設、公共的性質を有した施設だけに声かけを行っているような状態だと思いますから、特に人口の密集している和歌山市なんかにおいては民間の施設、例えば、これは私に処分権限があるわけではないですけども、自民党の和歌山県連の地下にもスペースがあったりするんですね。そういったところをお願いしてというだけでも、かなり県民の皆さんの安心につながっていくんではないかなあということもお伝えをして、今後、善処されることをお願い申し上げて、この1項目め、1点目の質問を終わって、次に進ませていただきたいと思います。

 引き続き、2点目なんですけども、今の関連にもなってくるんですけども、じゃあ実際ミサイルが飛んできたというときに、県民の皆さんはどういう行動を取ったらいいのかということについて、同じく危機管理監から答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) 危機管理監。

  〔福田充宏君、登壇〕

○危機管理監(福田充宏君) Jアラートにより、ミサイル発射に関する情報が伝達された際には、県民の皆様には速やかに避難行動を取っていただきたいと考えております。

 具体的には、屋外にいる場合は近くのできる限り頑丈な建物の中か地下に避難し、建物がない場合は物陰に身を隠すか地面に伏せて頭部を守り、屋内にいる場合は窓のない部屋に移動するといったものです。

 なお、このことについては、県のホームページで公開するなど、県民への周知を図っているところです。

 ミサイルからの避難は、県民に主体的かつ率先して行動していただくことが大事であり、県といたしましても、県民の皆様にそういった意識を持っていただくことが重要だと考えておりますので、今後も、国や市町村と連携しながら、普及啓発活動に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 危機管理監、答弁ありがとうございました。

 このことについては、私もお恥ずかしい話なんですが、最近までこういう避難をしたらいい、例えば外にいるときは防ぐとか、ミサイルが飛んできたときは防ぐであるとか、物陰に隠れるとか、例えば建物の中だと、今、危機管理監がおっしゃっていただいたみたいに、窓の部屋は避けるというようなことを私も分かっていなかったんで、だからというわけでもないんですけども、広報なんかもされているのかなというような思いもあって、もし、こういったことを県民の皆さんも御存じなかったらということで、あえて質問をさせていただきました。

 ホームページに載せているんだということですが、多分これも先ほどの話にもあったんですけども、国からホームページに載せてくださいねというようなお達しがあったから、そうしているんだろうと想像するのは、ほかの都道府県のホームページを見ても同じようなことを書いてあるんですね。ただ、目を引いたのは石川県なんですけども、石川県は、ただホームページに載せるだけではなくて、実際ミサイル発射を想定した訓練をされているということなんです。

 本来、国に報告するのは、ホームページへ掲載してくださいと言われればそれでいいのかも分からんですけども、これ大事なことは、何のためにこういった避難施設なんかを指定するかというと、最終的には県民の命を守るためになされるもんなんですよね。であるのならば、ただホームページに載せるだけで、次の段階に本来は進んでいかないと駄目だと思うんです。

 だけど、一方で、じゃあ市町村に対して、全て市町村を通して、広報なんかを通じてこのことが、今回の2点目の質問に関することを県民の皆さんが分かっているかというと、多分広報でも完全に周知し切れてないのが現状であると思いますし、もし可能であるならば、こういった今ある県の地上、地下にかかわらず、施設に対してはプレートなんかを設置していただいて、ミサイル落下時にはここが避難所になるんですよというような周知をしていただくだけでも、県民の皆さんにそういう意識を持っていただけるのかなというふうに思うんです。

 本来、台風であるとか、水害であるとか、地震、津波にしても、可能性は今申し上げたようなところは高い。ミサイルが飛んでくるということは、可能性としては低いのかも分かりませんけども、ただ意識として、実際起こったときに、最初のアクションとしては自分の命は自分で守るということが大事なんだというところで言えば、これは並列して考えなければならないんだろうなと。同時に、それを並列して考えることが意識のシナジー効果を生むというか、意識の涵養につながっていくんだろうなというふうに思いますので、そういった意識を持って今後やっていただきたい。

 台湾の台北は、人口360万ぐらいなんですけども、地下の共用施設というか、収容施設というのはその何倍か、1200万ぐらいあるんですって。そういうのを聞くと、ああ、いいなと。そこまでやってくださいというんではなくて、そういうイメージを働かせて今後お願いしますということを申し上げて、この質問を終わり、次の質問に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、続けてまいります。

 2点目であります。AM局からFM局への移行についてでございます。

 2021年6月16日の毎日新聞によりますと、北海道と秋田県を除く民放AMラジオ44局が2028年秋までにFM放送への転換を目指す方針を示したとありました。

 現在のAM局とFM局併用によるコストを減らし、経営改善につなげるのが狙いとのこと。2023年秋にも、FM転換に向けた総務省の実証実験が行われ、難聴地域などを確認した上で、段階的にAM放送が減らされていくとも述べられていました。

 AM放送は、電波を広く届けられるのが特徴ですが、一方で、高さ100メートル以上のアンテナが必要になるなど、設備が大規模で、老朽化による維持コストが課題となっています。また、災害対策のためにFM補完放送──ワイドFMといいますが──でも同じ番組を流していて、設備費が重複しているのに加え、民放AM局の広告収入は年々落ちており、低コストのFM放送に転換することは将来的な課題と言えます。

 AM47局のうち21局が実証実験に参加、14局は中継局のみの参加、和歌山放送は、今後総務省が示す実証実験の内容を踏まえて参加を検討すると伺っております。

 FM放送は、山間部などで受信しにくく、ワイドFMの聴取には、その周波数に応じた受信機が必要になってきます。19年の国の調査によると、FMの普及率は53%、FM放送に移行していくかどうかは民間の経営判断と言えますが、ラジオは公器とも言える中で、和歌山県がラジオの将来についてコミットしないということにはならないと思います。

 現状、県が運営しているきのくにe-ねっとにおいても、既にその使用を和歌山放送に認め、FM放送を運用しているところは評価するところですが、大災害への備えも含め、できるだけ早期に和歌山放送と連携して、その方針を立てるべきと考えます。このことに関する県の考えを企画部長からお話しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) 企画部長長尾尚佳君。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) 東日本大震災での災害情報伝達において、ラジオの重要性が再認識され、県としても、県民への情報伝達手段の確保が重要であると考え、平成26年度から3か年かけて、防災上特に対策が必要である地域の難聴対策としてAM放送を補完できるよう、FMラジオ中継局を整備したところです。

 議員御質問のFM放送への転換については、所管する総務省が令和2年に公表した民間ラジオ放送事業者のAM放送のFM放送への転換等に関する「実証実験」の考え方において、民間ラジオ放送事業者の経営判断により行われるものであり、全てのAM放送事業者に対してFM転換を求めるものではなく、転換時期についても、画一的に定めるものではないこととの方針が示されております。

 県としましても、災害時のラジオの優位性は認識しているところであり、引き続き、株式会社和歌山放送と意見交換を図りながら、FM放送への転換に伴う難聴地域の把握に努めるとともに、災害時には、県民に対する避難の呼びかけとして防災行政無線、緊急速報メールの活用を図り、インターネットや他の放送事業者によるラジオ放送の活用も含め、情報伝達手段の在り方について研究してまいりたいと考えております。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 企画部長、答弁ありがとうございました。

 これまでAMラジオについては、県下にあまねく敷設をいただく中で、県民の皆さんが視聴できるという体制を今取られているんだと理解をしております。

 そんな中において、この設備が古くなってきたんだと。確かに長寿命化は図れると思いますけども、いずれこの鉄塔を壊すとか、機材を入れ替えるとか、スクラップするということをやっていかなければならないと。

 一方で、じゃ、そのままFM放送に移管できるかというと、今現状で言うならば、紀の川筋の人口の多いところと沿岸部の人口の多いところがカバーされている。大体40%ぐらいなのかなと私は思っているんですけども、残りの中山間の60%ぐらいを設備しないと駄目だと。

 スクラップ、AMをするにしても、FMを新設するにしても、お金がかかりますよねと。だけど、一方で、和歌山放送も、なかなか経営も広告収入なんかも減って厳しいから、じゃあそれを事業者だけでできるかというと、どだい無理な話なんですよねということがこの問題だと思っているんです。

 じゃあ国は、そういうことを、実証実験をするなりFMに転換していってくださいねと言うからお金を出してくれるんかというと、総務部長には申し訳ないけど、総務省はお金を出すとかというようなことは一切言っていただけない。国のいつものパターンと言えばパターンなんですけども、だからといって、ぎりぎりになって補助金のメニューが出たからということで、なし崩し的にFM放送にやりましょうかということも、将来的に電波の在り方、インターネットラジオがええのか、衛星放送というか、衛星飛んだらそこから電波を受信できるような体制を構築していくのがええのかというのは、いろいろ方法はあるんだと思いますから、今のうちからしっかり議論をしていただいて、その上で国に対して、こういったところが足りないから補助金の項目をつくってくださいねという、突き上げるぐらいの勢いでやっていただけたらうれしいなと思いますし、そのことが和歌山県の今後の電波の在り方に関しても大事なことであろうかなということで質問をさせていただきました。

 答弁、しっかり意見交換をさせていただきながらという趣旨で受け取りましたので、引き続き企画部長にはお願いを申し上げまして、この質問を終わり、次に進みたいと思います。

 続いて、3点目であります。県政の主要課題についてであります。

 さて、御承知のように、仁坂知事が今期、今議会を最後に退任されることになりました。

 仁坂知事が就任されたのは2006年12月、私が初めてお目にかかったのは34歳のときの2008年2月、町長就任の挨拶並びに3月末で退職する県職員の副町長登用の話に行ったときであったと思います。談合事件の後を受けての就任、無理もなかったのでしょうが、ちょっと堅いなあというのが私の第一印象でした。

 あれから15年がたったんだなあと感慨深く思うと同時に、民間などと比較して、概してスピード感のない役所において、卓越した政治センスと批判や反対を恐れない政治姿勢で、インフラ整備、災害対策、雇用の確保、一次産業の振興、人口減少対策、人材育成、観光PRなど、山積する県政の諸課題に対し、滅私奉公、全身全霊を注がれてこられました。最大の称賛と敬意を表したいと存じます。

 さて、そんな知事に、知事室を去られる前に一つお願いしたいと思います。

 それは、これまで4期16年、県政を担当していただく中で、県勢発展のために解決された課題、解決途中の課題、これから着手すべき課題等、様々あると思うのですが、それら課題の中で、今後その中でも特に力を入れていかなければならないと知事が考える課題について、その理由、また考えられる解決策について、3点程度御教授いただきたいと思います。

 今年8月4日に白浜空港の関係グループが主催されたオンラインでの対談や、10月26日に行われた講演会も拝聴させていただきました。法律で書かれていないこと以外は、政令や省令、規則や要綱などの運用で解決できるとか、政策は論理的思考に基づくものでなくてはならないであるとか、雇用は人口減少問題を解決していく上で非常に大事であるなどのお話には強い共感を覚えたところですが、そういった政治哲学的なことも踏まえてお話しいただければ、なお厚みも出るかと思います。

 後進に対するメッセージとも捉えていただき、答弁をお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 私は、平成18年12月に知事に就任させていただいてから16年間、常に全力投球で県政に当たってまいりました。

 改めて思い返しますと、政策手段で、あるいは県政そのものと言ってもいいかもしれませんが、思いついたこと、やらなきゃいけないと思ったことは全部やりましたので、もちろんうまくいかなかったこととか不十分なこともありますし、政策手段を全て尽くしても、人知ではどうしようもない、過去からの宿命であったり時代の流れというようなこともございますが、やり足らなかったこととか、あるいは、やらなかったことというのはございません。

 また、知事としての16年間、常に心がけていたことがあります。それは、論理的に正しいことを全て実行すること。それから、自分のため、あるいは自分のポジションのために政策を考えることはやめようと。3番目は、心意気とか美辞麗句だけで具体的な行動が伴わないことを言わないようにしようというような気持ちで職務に努めてまいりました。

 その結果か、それにもかかわらずか、よく分かりませんが、この16年間でこれまで和歌山県の発展を阻害してきた要因は取り除かれ、今後の発展の基礎条件の整備を進めることができたと思います。この基礎条件の下に、優秀で有能な和歌山県民が世界中の人々と協力しながら雄飛する素地は十分できたのではないかというふうに思います。

 現に、各産業界や県民活動の様々な分野で、若い人々も含め、明るい積極的な動きが見られるようになってきました。このように、生まれ故郷和歌山県の知事として、県民の幸せのために尽くすという人生を送れたのは大変な幸せでありまして、皆様に心から感謝を申し上げます。

 後は、岸本新知事と県議会の双発エンジンで和歌山をどんどん高みに引っ張っていただけたらよいと思いますし、それは十分可能だというふうに思います。

 これで私の気持ちは全部なんでございますけれども、あえて課題と解決策をという御質問なので申し上げますと、お願いというか、御注文というか、思うところを2点触れたいと思います。

 一つは、私が手がけてきた県政の多くの項目は、私や県庁の諸君が相当レベルの高い目標を達成するために目いっぱい働いて、ようやくその姿を保っているものが多いということであります。

 様々なプロモーションや勧誘など、私も全力を挙げて取り組んできましたけれども、県庁の諸君も寝食を忘れて働き、必死で世界中を飛び回り、国の政策動向にアンテナを張り、県民や産業界の皆さんを一生懸命説得して初めて維持され前進してきたものばかりでございます。逆に言うと、手を抜くと崩壊したり、停滞したり、風化するものであるというふうに思います。したがって、今後、私はおりませんけれども、新知事や県庁の諸君が緊張感を持って政策の維持や発展に努めてもらいたいし、県議会の皆様も鋭くそれにメスを入れてもらいたいというふうに思います。

 二つ目は、私の時代にうまくいかなかったものが少しと、仕掛かり品になっているものがたくさんございますので、それらを仕上げていってもらいたいということでございます。

 仕掛かり品から申し上げますと、昨日から議論に出ております世界ジオパークも、世界農業遺産も、ENEOSの脱皮も、ロケット産業の発展も、農産品の輸出も、白浜空港のスケールアップも、串本古座高校の宇宙探究コースも、コロナの感染防止と経済の発展の両立も、少子化の克服も、若者のふるさと回帰も、紀伊半島一周高速道路も、津波による避難困難地域の解消も、挙げれば切りがないような仕掛かり品ばかりでございます。それを細心の注意と不屈の意志で一つ一つ仕上げていってもらいたいと思いますし、議会の皆様の応援と御指導を期待したいと思います。

 また、うまくいかなかったものとしては、健康長寿日本一やIRなどがそれに当たります。(拍手)

 IRについては、県議会の反対をいただいたので頓挫しておりますが、所得が10%ぐらいアップし、雇用が4万人も増えるというところだったものですから、人口減に悩む和歌山県にとってはちょっと惜しい気がいたします。ただし、幸い反対の方の大半は、IR自体は賛成だけれども、県の育てたプロジェクトがよくない。別のやり方でやったほうがかえって早くいいものが実現すると言っておられたので、今度はそういう別の方法で、そう言っておられた一人でもある新知事の下で実現へのレールがもう一度敷き直されたら、決定的に和歌山のためになると思う次第でございます。

 以上、御質問でしたので、あえて申し上げましたが、より申し上げたいことは、この16年間、県議会の皆様にはお世話になりまして、ありがとうございますということであります。この16年間の和歌山県政は、私をトップとする県庁と県議会の皆様のまさに合作であります。心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 知事、答弁ありがとうございました。今いただきました答弁をしっかり胸にとどめると同時に、本当にこれまでの和歌山県政に対する御功績、御貢献に対し敬意を表しまして、この質問を終わり、次に進みたいと思います。お疲れさまでございました。

 それでは、4点目であります。夜間オンライン診療の体制整備についてであります。

 コロナ対策も3年たとうとしておりますが、全て県民の皆さんが何らかの形で不便を被っておられると思います。これまでのコロナ対策への御協力、それぞれのお立場での御奮闘に改めて敬意と感謝と御礼を申し上げたいと思います。

 さて、年末を前にして、コロナ患者も少しずつ増えている昨今でありますが、新型コロナウイルスに感染し、自宅療養する患者を対象に、医師が必要に応じて薬を処方、郵送したりする夜間のオンライン診療を開始する都道府県が出てきております。

 これは、夜間コロナに感染し、熱が出てきても医師に相談できなく不安を感じた方から連絡をいただいた私の経験からの質問でもあります。現状でやれている、何とかなる、空振りに終わったとしても、こういった体制を構築しておくことこそがこの3年間で得られた経験の蓄積、危機管理能力の高さとも考えます。

 流行を前にして、夜間オンライン診療の実施についての見解を福祉保健部長に伺います。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 新型コロナウイルス感染症第7波では、オミクロン株BA.5を主流とした猛威により県内でも急激に感染が広がり、一時、1日に2000人を超えるかつてない新規感染者数となりましたが、重症者や症状急変者の入院調整をはじめ、休日における検査・診療体制の強化、自主検査の推進や発生届対象外となる陽性者の健康観察等を行う陽性者登録センター、救急患者の一時待機所、発生届の入力等保健所業務の支援を行う保健所業務支援センターを開設するなど、県民の命を守るため、柔軟かつ迅速に対策を講じてまいりました。

 今冬に想定されている新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行におきましても、医療機関をはじめ関係機関と連携を図りながら、これまで蓄積してきた知見を生かし、柔軟に対応できるよう、現在、準備を進めているところであり、夜間の診療については、24時間体制の和歌山県コールセンターでの電話相談を通して、必要に応じて受診につなげることを基本としつつ、議員御提案の陽性者を対象とした夜間のオンライン診療についても、県内の感染状況や医療提供体制の逼迫状況等に応じ重層的に対応できるよう、体制構築を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。

 今のコロナの状況というのは、毎日報告なんかをいただいたりしているんですが、物すごく増えているというわけでもないけども減っていない、徐々に増えてきているのかなという肌感覚なんですけども、今現状において、この夜間のオンライン診療の実施をということを言っているのではなくて、先ほど答弁にもありましたように、2000人、3000人と増えてくる可能性がやっぱりあるんであれば、どうしても急激に増えてくるわけでありますから、医療に綻びが生じたりするのは仕方ない。だけど、そのあおりを受けるのは患者さんなんで、そういった患者さんがあおりを受けることのないよう、多段的に、こういった夜間のオンライン診療も方策の一つとして考えといていただきたいということで、この質問をさせていただきました。答弁は、そのとおりにやっていただけるようなことであったので、了としたいと思います。

 保健当局におかれましては、これからも大変だと思いますけども、引き続きお願いすることを申し上げて、この4点目の質問を終わると同時に、以上で、私の予定しておりました質問は全部終わりましたので、これで12月議会における私の一般質問を終えたいと思います。お付き合い、御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、玄素彰人君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 24番岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)

○岩井弘次君 おはようございます。

 12月に入りまして、もう1週間がたちました。毎日が本当に駆け足で過ぎ去っていくように感じます。人はその年齢のスピードで時間が流れていくと言われます。本当に日のたつのが早いです。1日があっという間に、1週間も同じで、最近サザエさんが週に2回やっているんじゃないかと感じることがあります。瞬く間に日々が過ぎ去ってまいります。

 そして、もう4年たつんやというこの感覚は、議場におられる先輩の皆様、同感していただけると思います。いずれにしましても、それだけ充実しているんだと自分に言い聞かせながら毎日を送っているわけですけども、私ごとではございますが、先日、65歳を迎えまして、(「おお」と呼ぶ者あり)晴れて、(拍手)ありがとうございます。恐縮でございます。(「高齢者」と呼ぶ者あり)晴れて高齢者の仲間入りをさせていただきました。65年の年月をかけて刻まれたこの顔のしわ、動くたびに発するよっこらしょ、さほど痛くもないのに、動くたびに「イタタタタ」と言ってしまうことが多くなってまいりました。しかし、私、老いを楽しみながら、初心者マークのついた高齢者ではありますけども、安全運転で日々皆様のお役に立つように頑張ってまいりたいと決意を新たにしている今日この頃でございます。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。

 今回は、これまでに質問させていただいたことの確認や、拡充などについて何点か質問と要望をさせていただきます。

 まず、一つ目の項目でございますけども、和歌山県大学生等進学支援金について伺います。

 その制度の概要と直近2年間の状況についてということで、「県民の友」12月号が配布されまして、いつものようにページを繰り、見ておりますと、この和歌山県大学生等進学支援金についての記事を掲載していただいておりました。

 平成29年9月、また令和2年の12月の議会におきまして、その拡充を求め、質問させていただきましたが、今回、その募集概要を見ておりますと、一部変更されておりました。

 改めて、この制度の概要と直近2年間の状況について、教育長にお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県教育委員会では、経済的理由で大学等への進学が困難な学生を支援するため、平成28年度から国の制度に先駆け、和歌山県大学生等進学給付金制度の運用を開始しました。

 その後、大学卒業後の県内就職予定者に限定していた応募要項を改め、令和3年度から、全ての生徒が応募できる和歌山県大学生等進学支援金を運用しているところであります。

 この制度は、低所得世帯であって、進学意欲と能力が高い大学生等に年間60万円、4年間で最高240万円を貸与し、大学等卒業後に県内就職等をした場合には、返還を免除するものであります。

 令和3年度については、募集人員40名のところ、小論文及び面接から成る検査と高校での学習状況を基に選考を行い、最終的に補正予算措置を行い、46名全員に貸与を行ったところであります。

 令和4年度については、募集人員を50名に増員し、選考検査を実施の上、希望する42名を内定者として、大学等合格後に貸与する予定であります。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕

○岩井弘次君 ありがとうございます。御答弁ありがとうございました。

 令和2年度まで募集人員が40人で、選考検査に受かっても支援を受けられなかった生徒が各年10人から20人いたという状況でありましたけども、令和3年度から応募要件を改めていただき、昨年度は、最終的に募集人員を超える46人全員が貸与を受けることができたとのことでした。

 令和4年度は、50人に対して42人ですか、年度によってその生徒の数も変わっていくかと思いますけども、補正予算等を組んで、募集定員を超えた部分については対応していただいたということで、非常にありがたいと思っております。また、選考検査を通った方全員が貸与を受けられるようになったことはありがとうございました。

 そして、この制度を必要とする生徒・保護者に漏れなく周知することも大切です。掲示板に貼るだけということはないと思いますが、その周知の仕方についてどのように行われておられるのか、教育長、お答えください。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 毎年開催する奨学金説明会において、奨学金担当教員に制度内容を説明するとともに、奨学金担当教員は、各校で担任や進路指導担当に当該支援金の内容を伝達することで周知を図っているところであります。

 さらに、担任による三者面談や進路指導担当による個別面談において、個々の生徒及び保護者に必要な経済的支援策としての国の修学支援制度や当該支援金の内容を周知徹底しているところであります。

 そのほか、県内の公立及び私立高校並びに県外協力校におけるポスター掲示、高校3年生全員に対して募集チラシを配布するとともに、応募希望者には申請書類を配布することで、申請を奨励しているところであります。

 なお、募集チラシについては、県及び市町村施設において配布するとともに、県の広報紙やホームページなどを通じて広く周知に努めているところであります。

 高い志を持った学生が経済的理由で進学を諦めることがないように、今後とも広く周知に努めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕

○岩井弘次君 ありがとうございます。あらゆる場において周知徹底していただいているとのこと。今後もどうかよろしくお願いいたします。

 県内高等学校卒業者のうち、進学希望者の約85%が県外に進学する状況の中、ふるさとに帰り就職したいと願う方は多いと思います。国においても、令和2年度から授業料や入学金が減免されるなど、給付型奨学金が大幅に拡充されており、世帯収入や資産の要件を満たし、学ぶ意欲があれば、ほぼ全ての学生が受けることはできますが、ふるさとへ帰りたいというこの願い、帰ってきていただきたいという本県の願いをかなえ、しかも、受けた奨学金の返還が免除されるというすばらしい制度であると思います。

 そして、一つ要望でございますけども、この制度において、6年制である薬学部や医学部も申請できるとなっております。採用されても支給されるのは4年間のみとなっており、6年かけて学びを修めるわけでございますから、支給も6年にされてはいかがかと考えます。今後、より要件が緩和されていくことを願い、次の質問に移らせていただきます。

 二つ目の項目ですが、高齢者支援についてでございます。

 総務省統計局、高齢者の就業についての調査によりますと、2021年の高齢就業者数は、2004年以降、18年連続で前年に比べ増加し、909万人となっています。高齢就業者数の対前年増減は、2011年に団塊の世代が65歳となり始めたことなどにより、2013年から2016年を中心に、65から69歳で増加し、2017年以降は団塊の世代が70歳となり始めたことなどにより、主に70歳以上で増加しています。

 2021年の高齢者全体の就業率は25.1%となり、そのうち65から69歳は10年連続で上昇し、初めて50%を超え、50.3%となりました。70歳以上については5年連続で上昇し、18.1%となっています。

 そして、15歳以上の就業者総数に占める高齢就業者の割合は13.5%、過去最高となっています。高齢就業者数の推移においては、新型コロナウイルス感染症の拡大などにより増加幅は縮小し、減少傾向になっているものの、働く高齢者は年々増加しております。

 年金についても、公的年金の受給開始時期は原則65歳と決められておりますが、受給開始の上限年齢を70歳から75歳に5年の範囲内で繰下げ受給ができるなど、年金受け取りの選択肢も拡大されてきています。

 高齢者の定義と区分に関しては、日本老年学会・日本老年医学会の高齢者に関する定義検討ワーキンググループ報告書において、75歳以上を高齢者の新たな定義とすることなどが提案されており、また、高齢社会対策大綱においても、65歳以上を一律に高齢者と見る一般的な傾向は、現状に照らせば、もはや現実的なものではなくなりつつあるとされています。まさに超高齢社会を迎えようとしている我が国において、人生100年時代、元気に活躍することが求められています。

 長寿社会とは、より長く働く社会でもあります。その上、日本は長寿国であると同時に出生率が低い国でもあり、2050年には、生産年齢人口に対する年少人口と老年人口の相対的な大きさを比較し、生産年齢人口の扶養負担の程度を大まかに表すための指標において、老年人口指数が世界で最も高まります。つまり、少ない数の若者で多くの老人を支えていくことにかけて世界一になっていくことが予想されています。年金制度の存続、今後の改正等を考慮すると、長寿社会は、より長く働かなければならない時代と言えます。

 現在、仕事をしておられる高齢者の多くは、働けるうちはいつまでも働きたいと考えており、70歳ぐらいまで、もしくはそれ以上と望む高齢者は、約8割が高い就業意欲を持っているとの調査結果もあります。元気で行動的な高齢者、いわゆるアクティブシニア層の就業などの社会参画を促進することは、健康維持や生きがい創出、さらには地域の活性化にもつながります。

 そこで、お伺いしますが、県として、高齢者の就労支援についてどのように取り組まれているのか、商工観光労働部長、お答えください。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 高齢者の就労については、企業の労働力確保の観点から、その能力や経験を生かしていただくことはもちろん、高齢者の社会参画や生きがいづくりを進める上でも大変重要であると考えています。

 そのため、県では、平成29年度から、高齢者をはじめ、結婚や出産で離職された女性、都会からのUIターン転職希望者を対象に、再就職を促進するための取組として、就活サイクルプロジェクトを開始したところです。

 この取組は、全国でも初めてのものであり、具体的には、10月から企業の採用情報を公開し、2月を就活強化月間として合同企業説明会を開催、4月からの再就職を目指す第2の就活サイクルを構築するもので、参画企業についても、当初の200社余りから、現在は500社を超える企業に参画していただいているところです。

 また、新型コロナウイルス感染症拡大により離職者が増えることを鑑み、令和2年度からは、企業の採用情報を10月から4月に前倒しして公開するとともに、令和3年度からは、2月の就活強化月間以外にも複数の合同企業説明会を開催し、対応してきたところです。

 その結果、これまでに約500名が内定につながり、そのうち約50名が60歳以上の方となっています。

 引き続き、高齢者の活躍を求める企業の参画を拡大するなど、さらに就活サイクルプロジェクトを推進し、働く意欲のある高齢者が就業できる機会を充実させるよう取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕

○岩井弘次君 御答弁ありがとうございます。

 参画企業を2.5倍になど、様々なお取組をいただき、平成29年以降、これまでに500人の内定で、そのうち50人が60歳以上の方となっているとのことでした。

 しかし、6年で50人ですから、60歳は高齢者でもありませんし、65歳から5歳刻みではどのような状況なのかとか、高齢者の就業希望者に対する採用率等も知りたいところではありますが、またの機会にいたします。

 働きたいけど、なかなか希望どおりの職に就けないといった声も聞きます。高齢者の就労環境は、依然厳しい状況であると思います。

 就業支援に向けて様々な施策を実施していただいておりますが、その一環として、シルバー人材センターというのがあります。市町村運営であるかと思いますが、このシルバー人材センターは、臨時的かつ短期的な就業の機会であり、加えて注文、発注者側も仕事を依頼する上で責任ある仕事をしてくれるんかといった不安もあったり、仕事を発注する側も慎重になることが散見されます。

 会員の皆さんは、就業意欲は高いものがあります。でも、会員の希望する就業時間や希望日数、また、収入においても希望額、すなわち会員の要望に合わないといったことも聞かれます。とにかく、経済的に働きたい、生きがいづくりとして、また、心身ともの健康のため、そして健康寿命増進にと、働く意欲のある高齢者のため、より希望に応えられるよう御支援くださることを要望し、次の項目に移ります。

 この項目の2点目ですが、介護予防に資する高齢者の活動支援について伺います。

 我が国の総人口に占める高齢化率は約3割、人口の約3.5分の1を占めています。今後、高齢化率は上昇を続け、2036年には国民の3人に1人、2065年には国民の2.6人に1人が高齢者、約3.9人に1人が75歳以上になると見込まれています。日本は、世界のどの国もこれまで経験したことのない高齢社会を迎えていると、令和2年版高齢社会白書で報告されています。

 人生100年時代を迎えた今、健康で長生きするためにも、若い時期から健康づくりに励み、高齢期に入ってからも病気あるいは介護の必要な状態にならないよう取り組むことは常識だと言っても過言ではないでしょう。私たち一人一人が自分の健康づくりは自己責任という意識を持たなくてはならない時代がやってきたと言えます。

 地域の老人会、私の地域は楠見中友愛クラブという名前で活動されておりますが、最近まで老人クラブとしておりましたが、会員の方から、「老人」という言葉はよくないと。まだまだ若い、元気に地域で貢献できるよう、また老人クラブでは会に入るのを嫌がる方がおられるという理由から名称が変更されました。友愛クラブ、友を愛すると、こういう名前に変更されました。

 その会則に年齢条件はございませんので、誰でも入会できるということから、自治会長を仰せつかっております私も、15年前、勧誘をいただいて、50歳のときから会員でございます。今は、いろいろとお世話をしたり、また、していただいたりしております。

 高齢者が運動する目的は、身体機能の維持のほか、ストレス解消や認知機能低下を予防することで、体力、筋力、免疫力といった生きる力が年々衰えていく中、運動することにより今の機能を少しでも維持することにつながりますし、そうしたことが様々な疾患の予防や転倒を防ぐ体力強化にも効果があります。地域の方々も、グラウンドゴルフなど様々なスポーツ、レクリエーションにいそしんでおられます。

 そこで、お伺いしますが、介護予防に資する高齢者の活動を支援する施策についてどのように取り組まれておられるのか、福祉保健部長、お答えください。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 高齢者ができるだけ長く健康で自立した生活を送るためには、健康づくりや介護予防の取組を推進することが重要です。

 県では、これまで和歌山大学と共同で開発した高齢者向け運動指導プログラム・わかやまシニアエクササイズの普及を進めるとともに、市町村と連携し、体操教室やサロンなど、通いの場を充実させることで元気な高齢者を増やし、健康の保持を図る介護予防を推進してきました。

 また、和歌山県社会福祉協議会や和歌山県老人クラブ連合会、各市町村を通じて、スポーツ交流大会の開催やサークル活動などの支援を行っており、2019年には、60歳以上の方々を中心とした健康と福祉の総合的な祭典である全国健康福祉祭・ねんりんピックを本県で開催するなど、高齢者のスポーツ・レクリエーション活動を促進してきました。

 県としても、引き続きこれらの取組を通じて、高齢者の健康づくりや介護予防の取組を支援してまいります。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕

○岩井弘次君 部長、御答弁ありがとうございました。

 千葉大学が発表した論文によりますと、運動やスポーツのグループに参加する高齢者では、他の種類、趣味やボランティアなどのグループ参加と比べ、得られる介護予防効果が特に大きいことが確認されています。

 また、性別、年代、都市度、所得階層ごとに多くの高齢者に受け入れられやすいスポーツ種目は、男性ではゴルフ、女性ではウオーキングがどの層でも参加者が多く、かつ社会心理的な健康への効果も期待できることから、推奨される種目の第一候補となったと報告されています。

 高齢者の皆さんは、ダンスやヨガ、水泳、卓球、テニスと様々なスポーツを実践され、介護予防、健康増進に努められております。そして、この研究論文の結びの一部には、運動やスポーツを取り入れた、地域にいわゆる身近に通いの場を増やすことの重要性、そして参加者を増やすことが重要であるとしています。

 先日といいましてもかなり前でございますが、地元友愛クラブの方から、紀の国大橋の下、フェンスで囲まれた空き地を体操やグラウンドゴルフなどの練習などに使用できないかとのお話がありました。身近なところに活動できる場があれば、参加する方も増えるし、何より移動の際の負担や危険がなくなります。

 県内のグラウンドゴルフの公認コースは2か所、すさみ町と潮岬に、パークゴルフは、かつらぎ町西部公園と紀美野町パークゴルフ場の2か所があります。時には皆で本格的なプレーをすることもありますが、より身近なところでとの声を多く聞きます。

 第二阪和国道紀の国大橋の高架下は、一部多目的広場や公園、消防団の資機材庫など、利活用されています。国土交通省が管理している土地ですが、和歌山市がその利用について計画し、国に申請の上、橋の完成時から一部が活用されています。

 この件について、老人会の方と国交省の道路管理関係事務所や市役所等へ相談に参りました。当然のことながら、当たり前の返事が返ってまいりまして、国が管理する主要な国道などにおける高架下及び道路予定区域の占用については、道路構造の保全などの観点から、高架下及び道路予定区域における占用許可基準を定めて運用しており、その基準の中で公共的ないし公益的な利用を優先すること、高架下の占用については、高架下の占用により橋脚等の日常的な点検を道路管理者が行いにくくなるため、道路管理者に代わりこれを的確に行うことができる者、いわゆる和歌山市を占用主体とすること、道路予定区域の占用については、将来の道路事業の施工に伴い、除却が困難となる構造でないことなどが定められていますと。

 2005年には一部改正されたものの、占用許可を一律に抑制するのではなく、都市計画や周辺の土地利用状況等を踏まえて、地元地方公共団体の意見を聞いて高架下利用計画を策定し、この計画に基づくこと等により、高架道路の路面下の適正かつ合理的な利用を図ることとし、これまでの広場、公園、駐車場に加え、まちづくりの観点から、高架道路の路面下の積極的な利用が必要であると認められる場合であって、本基準に適合する場合については店舗等の占用も可能となりましたなどなど説明を受けまして、それを老人会の皆さんにお伝えしましたが、顔を見合わせて笑ってしまいました。

 漢字でしゃべられても、なかなか皆さん分かりにくいし、私もあんまり頭がよくありませんので、難しい話ばかりで、要は身近にそういう場所、空き地があるんだから使わせていただきたいという、そういう要望に対して、今回、紀の国大橋の下という話でしたけど、具体的に動いたところ、かなりハードルが高くて、有識者会議も乗り越えなあかん等々、もし空いているところやったら、私ら草引きもするし、ごみ拾いもするし、きれいにというふうにおっしゃっております。

 今回のこの高架下の利用については、和歌山市の利用計画を見直して、有識者会議にかけて計画の変更の是非を乗り越えて、通れば国に申請でき、国の許可をいただいて利用が可能となりますと。この件につきましては、和歌山市と国、国交省のハードルを越えなければならない事案ではありますけども、複雑で時間もかかります。しっかりまた、申し入れた窓口からは音信不通なんですけども、粘り強く取り組もうと思っております。

 今回、介護予防に資する高齢者の活動支援について伺いました。国マター、市町村マターをお聞きすることはできませんが、県管理の余地等、高齢者の活動を含むあらゆる県民の皆さんの利活用も考え、広く開放していただければと願うとともに、身近で運動・活動ができる場を望む皆さんに寄り添ってくださる県、市町村であっていただきたいとお願いをし、次の項目に移らせていただきます。

 最後の質問でありますが、県都和歌山市の活性化について伺います。

 言うまでもなく、和歌山市は県庁所在地、県都であります。その中心市街地は、商業機能やその他の都市機能が集積しており、市民の生活の場だけではなく、県外からの来訪者に対しては県の玄関口であります。また、その中心的役割を果たす都市であります。

 和歌山市では、中心市街地に関する基本計画を策定し、活性化に取り組まれましたが、中心地の大規模小売店舗の閉店や撤退、商店街においても相次ぐ閉店、そして郊外型大規模店舗開発など、様々な影響を受けながらも、市街地の活性化という険しい道のりに挑まれております。

 そのような中、和歌山市役所周辺は、和歌山城ホールの完成以降、城前広場としてにぎわってきており、和歌山市駅についても、ホテルや市民図書館などが入り、駅の利用者だけではなく、人の行き来が目立つようになってきています。まちづくりは市町村での取組ではありますが、県都和歌山市における市街地の活性化は、県にとっても重要課題であると考えます。

 和歌山駅は、県の玄関口であり、その周辺の活性化を図ることは、和歌山県の発展にも大きく寄与するものと考えます。和歌山駅周辺の近年の状況は、西口では市街地再開発事業やホテル、マンションの建築など、活性化に向けた動きが多少は感じられるものの、東口は西口に比べて動きが乏しいように感じ、特に駅前広場がうまく活用されていないのではと思います。

 そこで、和歌山駅に対する県の認識と和歌山駅東口駅前広場の再整備に向けた取組について、県土整備部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 和歌山駅は、大阪や奈良方面から県南部へつながる鉄道のターミナル駅として、また、多くのバス路線が発着する主要な交通結節点であることから、和歌山県経済の中心の一つとして、町なかの活性化を図っていく上で重要な拠点であると認識しております。

 和歌山市では、和歌山駅と和歌山市駅、和歌山城の周辺を結ぶ町なかを中心拠点区域として立地適正化計画に位置づけ、医療、商業、教育・文化などの都市機能増進施設の誘導を図っているところです。

 これまでも、和歌山駅周辺においては、友田町4丁目地区、けやき大通り地区の市街地再開発事業などにより、町なか居住が進むとともに、大学誘致で若者が増えるなど、にぎわいが戻りつつあります。

 また、和歌山駅東口においては、和歌山市が民間活力導入事業として、さらなるにぎわい創出や利便性の向上を目指し、駐輪場を含む東口駅前広場の高度利用に向けた企画案を募集しているところです。

 県といたしましては、和歌山駅西口を含む駅周辺の再開発が重要であると考えていることから、和歌山駅周辺の再生が一層促進されるよう、今後とも、和歌山市や民間事業者等と協議を重ね、にぎわいのある拠点づくりに取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕

○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。

 市の主導で行われることだということは、理解した上でお伺いしました。和歌山市は、何度も言いますが、県の玄関口であります。より元気になってほしいという希望と期待を持っております。

 和歌山駅、市役所周辺の城前広場、そして和歌山市駅と、この活性化の兆しのある三つの点が線となって発展していくことを強く願っております。

 また、和歌山駅が今、西口と東口で分断されていると私は感じるんですが、これが駅の高架化などにより統一されることで、東口駅前をはじめ地域がよりにぎわっていくのではとか、他都市へ行ったときにいつも思うのは、そのまちの川沿いや海に近いところ、いわゆるリバーサイドやベイサイドを生かしたにぎわいづくりをしているまちが非常に多いように感じます。和歌山市内を見ると、はい、川沿い、海辺、いいのはいいんですけども、にぎわいというにはなかなか、川沿いには見られないかなというふうにも思います。

 和歌山市駅の裏側、紀の川に架かる河西橋も、令和7年の供用開始を目指し、今、工事が進んでいます。紀の川北部と中心市街地を結ぶ重要な橋となり、人の行き来がより増加すると思います。国のかわまちづくり支援制度を活用した河川空間とまち空間が融合した良好な空間形成を目指す施策等も活用しながら、和歌山市駅の裏側、仮称・和歌山市駅の北口の活性化など、あらゆる面で元気な和歌山を次の世代につないでいくため、県当局におかれましても、寄り添い御尽力くださいますようお願いいたします。

 最後になりましたが、16年間、和歌山県のために御尽力くださった仁坂知事に、心からの敬意と感謝を表しまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、岩井弘次君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時15分休憩

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  午後1時0分再開

○副議長(岩田弘彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 35番林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕(拍手)

○林 隆一君 こんにちは。日本維新の会の林隆一でございます。

 仁坂知事が今議会で退任されるということで、私は一抹の寂しさを感じております。

 仁坂知事とは御縁があるということがこの夏ございまして、林家のお墓参りに行ったときに県民の方から、仁坂知事と擦れ違ったのだが、知事が来て県議がすぐに来るとは何かあるのかというお声がけをいただきました。多分、お墓参りだろうと思いましたが、林家のお墓と仁坂家のお墓が同じ並びの近くにあり、びっくりいたしました。奥にある仁坂家のお墓はすごく大きくて広いですが、少し手前の林家のお墓は洋風で少しおしゃれで個性的でございます。林家の墓の横を通ってお参りしている知事も無意識に見たことがあるかと思います。御近所ということもあり、これからもよろしくお願いいたします。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。

 人生100年時代と言われる今、高齢者を対象とした内閣府の意識調査によりますと、およそ5人に1人が働けるうちは働きたいという思いを持たれていると言われております。

 この数字をどう評価するかは、年金等の問題があり、意見の分かれるところかと思いますが、私は、高齢者の方々がこれまで培った知識・経験を社会の様々なフィールドに役立てることは、大変すばらしいことだと思っております。

 特に、今の60代は昔の60代より何倍も元気でアクティブだと思っております。気力、体力とも問題なく、まだまだ社会のために役立ちたいと思っておられる方が非常に多いのではないかと私は思っております。

 このような60代が増える中で、少子化による労働者不足を解消するために、企業においては65歳までの雇用確保を義務づけられ、公務員においては段階的に定年が引き上げられることになりました。本県においても、さきの9月議会で県職員の定年延長に関係する条例案が可決されたところでございます。

 しかしながら、単純に定年が65歳に延びるわけではなく、同時に役職定年制も導入され、管理職に就いている職員については、60歳を超えると管理職から降りることになります。これは現行の再任用制度と変わらない印象を受けますが、退職辞令をもらって一区切りがつく再任用と定年延長では、やはり意味合いが違うと思っております。

 定年延長とは、例えば3月31日までは課長として管理監督の立場にあった者が、翌4月1日からは一人のスタッフの立場で課の一員として、モチベーションを保ちながら働くことができるのか、私は少々疑問に感じております。

 このようなことから、職員の中には60歳を機に公務から離れ、再就職により新たな活躍の場を求める方もいると思います。

 ただ、公務員の再就職になると、これまで度々問題となってきたのは、いわゆる天下りでございます。長年の公務で培った知識・経験を役立てていくことに対して異論はございませんが、公務員の再就職には公平性や透明性の確保ということが求められると思っております。

 平成28年には地方公務員法が改正され、再就職規制に関する規定が新たに定められ、これに併せて各都道府県では職員の退職管理に関する条例が整備されました。

 ただ、このような条例だけではなく、もう一歩進んだ取組として、人材バンク制度を設けている団体があります。これは再就職を希望する退職予定者の人材情報を公務員の知識や経験を活用したいと考えている企業・団体等に提供する仕組みで、近隣では、大阪府、京都府、奈良県などが設けております。

 再就職の窓口を一本化することで、透明性、公正性を確保しながら再就職を希望する職員の支援が図られることになります。

 繰り返しになりますが、県職員の皆様が現役時代に培った知識・経験というのは、地域社会にとって一つの財産だと思っております。その財産を大いに役立てるべきだと思いますが、それは透明で誰もが納得できるシステムの上に成り立つべきではないのかというふうに考えております。

 そこで質問いたします。

 県において、人材バンクのような仕組みをつくってはどうかと思います。総務部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 総務部長吉村 顕君。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 職員の再就職につきましては、平成28年に職員の退職管理に関する条例を制定して、再就職者による現役職員への働きかけを禁止し、再就職先の公表を行うなど、透明性・公正性の確保を図ってきたところです。

 また、職員の定年につきましては、来年度から段階的に65歳まで引き上げられますが、60歳以後については、給料月額が60歳時点の7割水準に減額され、さらに組織全体としての活力の維持や高齢期における多様な職業生活設計の支援などを図るため、役職定年制や定年前再任用短時間勤務の制度が新たに導入されることとなっております。

 このように60歳以後の働き方が多様化する中で、県職員としての知識や経験を活用したいと考え、これまで定年退職後の職員を採用してきた団体・企業にとっては、今回の定年延長の影響は少なくないと考えます。そういった団体・企業から要望があった場合には、どのように応えていくのか、今後、他の府県の取組も参考にしながら検討を行ってまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁いただきました。

 先ほど申し上げましたとおり、現在運用されている再任用制度は60歳で一旦退職という節目があるのに比べて、定年延長制度は降格するというイメージが非常に強く、働く方のモチベーションが本当に維持できるのか、危惧しております。働く方の性格などにもよると思うんですが、中には心身に支障を来す方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 また、その中で退職者の一部の方は天下りと見られかねない形で外郭団体などに再就職しているというのは、公務員の方のみならず、県民の皆様も納得できないのではないでしょうか。

 先日の新聞報道では、人材バンクのような仕組みをつくっている大阪府議会でも、さらに議論がなされているところでございます。今後、このような仕組みを検討されるに当たり、透明性の高いものとなるようしっかりと議論していただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の項目に移ります。

 2点目は、電気自動車の普及促進に関する問題です。

 今、世界各国でガソリン車の新車販売を2040年までに停止するという動きが広まっております。昨年開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議、いわゆるCOP26において、主要市場では2035年までに、全世界でも40年度までに、ガソリン車、ディーゼル車の新車販売をやめ、走行中に温室効果ガスを排出しないゼロエミッション車に切り替えるという宣言をする取組が行われております。日本はこの宣言に参加しておりませんが、2035年までに乗用車の全ての新車販売を、ハイブリッド車を含む電動車にするという目標を掲げております。

 このような世界的な動きの中で、ゼロエミッション車の一つとして電気自動車は、脱炭素社会の実現に向け普及が期待されているところでございます。

 各自動車メーカーにおいても電動化の動きが加速しており、1回の充電で500キロメートル以上走るものや軽自動車タイプの比較的安価なものなど、販売車種も増加し、電気自動車の販売台数は伸びておりますが、県内の乗用車登録台数に占める電気自動車の割合は0.17%とまだまだ低い状況でございます。

 私は、この電気自動車の普及が進んでいない理由の一つとして、外出先での充電問題が挙げられると考えております。特に和歌山県の場合、公共交通が少なく、出かけるときはほとんど車であることを考慮し、安心して充電できる環境が整っていないと電気自動車を買わない人も多いのではないでしょうか。また、旅行者の方なども同様で、電気自動車で和歌山県には来ないのではないでしょうか。

 そこで、県内の電気自動車充電器の設置数を調べてみますと、令和4年11月現在で、急速充電器・普通充電器を合わせて合計301基、うち87基が急速充電器と、多くはないものと分かりました。

 脱炭素社会の実現に向けて、和歌山県においても電気自動車を増やしていく必要があり、そのためには、県内の充電器、とりわけ充電時間の短い急速充電器を増やしていくことが必要であると考えております。

 そこで、質問いたします。

 電気自動車及び充電器の普及に向けた県の取組について、環境生活部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 電気自動車の普及には充電器を増やしていくことが必要不可欠であり、国は2030年度までに全国に3万基の急速充電器の設置を目標として掲げ、補助金の対象施設を拡大するなど、支援策を充実しているところです。

 急速充電器については、一般的に設置費用として数百万円から1000万円程度、維持管理費用として年間数十万円程度が必要であり、道の駅や高速道路のサービスエリアといった充電ニーズの高い場所や自動車販売店などに設置されています。

 一方、普通充電器については、急速充電器に比べて充電時間がかかるものの、設置費用や維持管理費用が安く、その特徴を生かして滞在時間の長い宿泊施設や観光施設などに設置されています。

 県では、電気自動車の普及に向け、公用車への電気自動車の導入や県有施設への充電設備の設置に取り組むとともに、広報紙や県ホームページ、イベントなど様々な機会を通して、電気自動車のメリットや国の支援策等について情報発信しているところです。

 引き続き、電気自動車の普及状況や国の支援制度、充電技術の開発状況等を注視しながら、支援策などの情報を広く発信し、電気自動車及び充電器の普及促進に取り組んでまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁いただきました。

 世界的なゼロエミッション車への動きがある中で、交通手段が自動車である割合の高い和歌山県において、充電器の普及は大切なことであると思っております。人によっては、家で充電するのを忘れて出かけてしまったりすることもあり得ますし、旅行者の方などは特に不安なことであると思います。

 また、充電時間の問題もありますので、普通充電器と急速充電器をうまく組み合わせて配置することも大事になってきますので、国と県で協力して計画的に設置を促進していただくよう強く要望いたします。

 次の項目に移ります。

 3点目は、未利用財産に関する問題です。

 平成29年3月に策定された和歌山県公共施設総合管理計画の中で、かつて公共施設等の管理は、高度経済成長期やバブル経済期のように人口増加を前提にその規模を拡大することに主眼が置かれておりましたが、長寿命化や有効活用の取組により、安全で効率的な公共施設等の管理を進めるものとされております。

 その公共施設総合管理計画には、基本方針として公共施設の実態把握、安全性の確保、長寿命化、スリム化が示されております。そのスリム化に関しては、役割が低下している施設や更新・大規模修繕が見込まれる施設については、将来の利用動向の変化を見据え、在り方を検討し、廃止、譲渡などを行っていくと記載されております。

 私は、今回の質問において、既に在り方が検討され、行政目的の外れた普通財産、いわゆる未利用財産の有効活用に関してお伺いしたいと考えております。

 この計画にかかわらず、これまでも県では未利用財産の売却に努められてきたところではございますが、売却に至らない物件や新たな未利用財産も発生しているというふうに思います。

 そこで、質問いたします。

 県での未利用財産の過去5年間の売却実績はどのようになっているのでしょうか。また、現在、売却方針となっている未利用財産の件数と今年度の公売予定を総務部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 総務部長。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 県有未利用財産については、平成29年度から令和3年度の5年間で、売却により約8億8000万円の歳入を確保しております。また、売却方針としている未利用財産が27件ございます。このうち、現在3件の物件について公売を行っているところです。

○副議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁をいただきました。

 財産を売却に至るまでの境界画定や不動産鑑定など、かなりのコストと労力がかかることが予想されております。優先順位をつけて取り組む必要がある中で、売却方針となっている未利用財産の件数が27件で公売が3件というのは、非常に処理のスピードが遅いと思います。

 私は、財源確保のため早期に売却を進めることも重要であると考えております。県内の地籍調査が進んでいないこともあり、売却に当たり隣にある土地の境界画定ができないなどの問題が起こる可能性も想定され、スピード感を持って作業を進めていくことが重要であると考えております。

 27件中3件が公売中とのことでございますが、残りの売却方針となっている未利用財産について、どのように進めていく予定となっているのでしょうか。総務部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 総務部長。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 売却方針となっている未利用財産については、県庁内での公共用利用を優先していることから、まず庁内に取得希望調査を実施します。その結果、県において利用予定がない場合には、国や未利用財産が所在する市町村に対して取得希望調査を実施し、これらから取得希望がなかった場合には、売却に向け一般競争入札を実施することとしております。

 なお、公売に関しては、それぞれの物件について境界画定を行うなどの所定の手続を経る必要があり、時間を要する場合もあるところです。

 また、入札参加の機会を提供するため、入札情報を県ホームページへの掲示や新聞広告の掲載、現地での看板設置により広く周知を行っているところです。

 今後とも、未利用財産について適宜売却を行うなどして有効な活用に努め、歳入確保を図ってまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁をいただきました。

 やはり時間が相当かかるような印象を持ちました。近年よく言われている所有者不明土地の問題があります。この所有者不明土地とは、財産分割をしないまま相続が繰り返されることなどにより、不動産登記簿で所有者が直ちに判明しない土地や、所有者が判明してもその所在が不明で連絡がつかない土地を指すものでございます。

 先日、私は土地家屋調査士にお会いし、先ほどの所有者不明土地に関してお話をお伺いすると、国において所有者不明土地等の発生予防と利用の円滑化の両面から総合的に民事基本法制が見直され、相続登記の申請義務化や所有者不明、管理不全土地、建物管理制度の創設など、令和5年4月から順次施行されるとのことでございました。こういった制度を有効的に活用し、効率よく未利用財産を処分することは非常に重要です。

 また、県職員の方は2年や3年で人事異動があり、なかなか財産売却に関する知識を習得したり、先ほどのような新たにできる制度を活用して取り組んでいくのも難しいのではないかというふうに考えております。

 やはり不動産売却に詳しい専門家の方からアドバイスをいただいたり、実際に事務を行っていただくことが必要になってくると考えられますので、専門家の配置も含めて早期に売却を進めることができる仕組みについて検討いただくように強く要望いたします。

 それでは、次の項目に移ります。

 次は、鳥インフルエンザへの対応に関する問題です。

 11月30日の県の発表などによりますと、和歌山市内の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生し、約4万6000羽の鶏の殺処分など、防疫措置が行われております。

 県内では、これまで鳥インフルエンザが4件発生しており、いずれも県職員の方の動員により対応しています。今回も県の職員が150人の班を編成し、1日4交代、24時間体制で対応され、延べ人数約2100人で行い、12月4日に防疫処理が終了したとのことでございます。

 また、以前には自衛隊の方に応援要請をしたようですが、今回は要請せず、県の職員の方のみで対応されていたようです。鳥インフルエンザが人へ感染することは極めてまれであると言われておりますが、県職員の方に危険性はないのか、これだけの動員者となると、やはり県民サービスが低下するのではないかと思っております。様々な疑問を抱いております。

 そこで、質問いたします。

 今回、和歌山市の事案について、県職員だけで防疫措置を行う理由は何なんでしょうか。農林水産部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 農林水産部長山本佳之君。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 高病原性鳥インフルエンザが発生した場合、その蔓延を防止するため、家畜伝染病予防法第16条で屠殺の義務、第21条で死体の焼却等の義務、第23条で汚染物品等の焼却等の義務、第25条で畜舎等の消毒の義務が定められており、早期にそれらの防疫措置が必要となります。

 今回の和歌山市内の養鶏場で発生した案件では、同法第16条によると、本来、所有者が殺処分すべきところですが、所有者だけでは4万羽を超える鶏を短期間で処理できないため、11月30日に和歌山県高病原性鳥インフルエンザ対策本部会議を開催し、県が防疫措置を講ずることを決定いたしました。

 また、同法第3条の2による特定家畜伝染病防疫指針に基づき、規模的に自衛隊等の派遣要請を行わなくても対応可能と判断しまして、県民サービスが低下しないよう配慮した上で、県職員延べ2100人を動員して迅速に対応したものです。

 なお、国内では人への感染例はなく、また、防疫作業に当たった職員は防護服を二重に着用するなど感染対策を徹底しており、防疫措置従事者が感染した事例もないことから、職員への感染リスクはないものと判断しております。

○副議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁いただきました。

 法律に基づき県職員を動員し、迅速に対応する必要があることは分かりました。しかしながら、県職員の方は一部に獣医師の免許を持った方がいらっしゃると聞いておりますが、大半は事務を担当される方です。通常、動物を殺処分することなどないでしょうから、動物を取り扱うことで身体的な危険、心の問題など、気になるところでございます。焼き鳥も食べられなくなったということも聞いております。くれぐれも現場に行かれた職員の方のケアに十分配慮するようお願いを申し上げます。

 次は、白浜町で発生した鳥インフルエンザに関する問題でございます。

 11月11日の新聞報道等によりますと、白浜町の事案については、11月10日までにアヒルが6羽死亡していることが確認され、検査の結果、高病原性鳥インフルエンザに感染していることが判明し、ガチョウやエミューを含む約60羽を対象に防疫措置を行ったというものでございます。

 この事案は、通常の養鶏場の鳥とは異なり、観賞用の鳥に当たるものです。その上、日本では人が食べたりすることのないエミューなども殺処分されております。このことについて疑問を感じております。

 そこで、質問いたします。

 今回、白浜町の事案についてどのような理由で観賞用の鳥で感染の確認もされていないものまで殺処分の対象としたのでしょうか。農林水産部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 高病原性鳥インフルエンザの対象家畜としては、家畜伝染病予防法第2条において、鶏、アヒル、ウズラ、キジ、ダチョウ、ホロホロ鳥、七面鳥が定義されています。

 また、今回、ガチョウはアヒル類として、エミューはダチョウ類として取り扱うよう農林水産省の家畜防疫官から指示がありました。県では、そうした法や指示に基づき、それぞれ殺処分したところでございます。

○副議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁いただきました。

 家畜伝染病予防法によって対応されているということが分かりました。しかし、この白浜町の事案においては、法が観賞用の鳥にも適用され、頭数が養鶏場に比べて少ない中、感染の確認もされていない鳥まで処分されるというのは、飼育員とか、楽しみにしていた来客者のことを考えると、個人的には納得できるものではございません。

 県で対応できる部分はないかもしれませんが、何か特例のような措置を設けるよう、国に伝えていただきますよう、強く要望いたします。

 さて、最後になりましたが、仁坂知事におかれましては、和歌山県を16年間にわたり牽引してくださり、敬意と感謝の意を表するとともに、いつまでもお元気で御活躍していくことを祈念申し上げ、私の一般質問を終了いたします。御清聴いただき、どうもありがとうございました。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、林隆一君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 4番堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)

○堀 龍雄君 2日目の4番ということで、皆様には大変苦痛な時間になるかと思いますけれども、一生懸命頑張りますので、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。(発言する者あり)

 仁坂知事におかれましては、4期16年、大変お疲れさまでした。

 私も間もなく2期8年になりますけれども、仁坂県政に携わらせていただき、一歩先を見詰めたすばらしい指導力と、信念を貫く強い行動力に感銘を受けております。

 私の1期目の4年は、知事は、和歌山県の活性化のために企業誘致やインバウンドによる観光客の増加を目的としたおもてなしの精神を県民の皆様に伝えられました。

 2期目の4年は、3年間続いているコロナ対策でもすばらしい手腕を見せられ、和歌山県民は、全員が入院し治療を受けられる和歌山方式を全国でもいち早く取り上げていただきました。県民の皆様は、大変安心したと思います。

 また、コロナ禍でも逆境に耐えられる経済の基盤づくりをし、リモートワークやワーケーションといった新たな仕事と生活のスタイルも広げ、社会経済活動との両立に向けた取組を進められました。今、そのことが確実に歩んでおります。

 また、関西広域連合でも連合長として関西を力強く導いていただきました。私の住んでいる伊都地域においてでも、京奈和自動車道や国道480号鍋谷峠道路の開通により地域が活気づき、将来が楽しみです。住民の皆様は本当に感謝をしています。

 このように、県下各地域に残された功績は、非常に大きなものがあります。改めて感謝を申し上げます。

 御勇退されても健康には十分気をつけていただき、今後の和歌山県を見守っていただきたいと思います。16年間、ありがとうございました。

 それでは、議長のお許しを得ていますので、一般質問に入らせていただきます。

 教員の現況と人材確保についてということで質問させていただきます。

 和歌山県、ひいては日本の将来を担う子供たちの教育は、教員の方々の双肩に担われています。日本の教育が世界に誇るべき成果を上げてくることができたのは、子供たちのためであればと頑張ってくれている教員の皆様の献身的な御努力によるものであり、まずは、そのことに対して学校の教員の皆様に敬意を表しますとともに、お礼を申し上げます。

 教育は人なりと昔から言われておりますが、昨今の学校現場の状況を聞かせていただいたり、マスコミでも報じられていましたが、全国的に20代の教員の心の病が増えているとありました。2020年度までの5年間で、精神疾患で1か月以上休んだ20代教員の在職者に占める割合は1.5倍と増えており、仕事を苦に自殺を図る20代教員の割合も、ほかの年代の教員と比較して高い傾向が見られるとありました。

 その原因について、報道された他府県の一つの例を紹介しますと、業務を断れず限界まで頑張ってしまった。2017年、当時29歳の公立高等学校の教諭は心身に異変が現れたそうです。学級担任や部活動に加え、生徒の海外研修の調整や引率を任され、連日深夜まで働き、休みは部活動のない定期テストの期間中だけだった。

 海外研修の直前、頭痛や胸の痛みを訴え受診すると、医師からは、1か月は就労不可ですと言われたそうです。そう言われても代わりに引率できる教員がおらず、診断書を病院に返還したそうです。自分がやらなければ、困るのは生徒だと思ったからだそうです。

 その後、適応障害と診断され、休職を繰り返し、現在は復帰しているが、薬と通院は欠かせない状況です。教員は、業務量を減らさないなら教員を増やすしかないのではと訴えています。

 また、文部科学省の問題行動・不登校調査の結果から、全国の小・中・高等学校及び特別支援学校における令和3年度に認知したいじめが約61万5000件で、前年度より約10万件増加しており、小・中・高等学校における暴力行為は約7万6000件で、こちらも前年度より約1万件増加しています。また、小中学校における不登校児童生徒数は約24万5000人で、前年度より約4万9000人増加しています。

 文部科学省では、新型コロナウイルス感染症によって学校や家庭における生活や環境が大きく変化し、子供たちの行動にも大きな影響を与えているということがうかがえるとされています。

 このことから、学校の担う役割は過度に拡大していくとともに、いじめ・不登校をはじめ直面する様々な課題に対応するため、教員は教育に携わる喜びを感じながらも、長時間勤務を強いられ、疲弊している状況であり、教育現場の抜本的な見直しが求められているのではないかと考えます。

 そこで、教員の現況についてお尋ねをいたします。

 現在、心の病で休職及び長期の病気休暇中の教員の人数と、その年齢構成はどうなっていますか。また、職場復帰に当たり、どのような対応、配慮をされていますか。教育長にお尋ねいたします。

 また、教育長、農林水産部長におかれましては、度々の御登壇になろうかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 令和4年11月1日現在、県内公立学校における精神もしくは神経に係る疾病による休職及び1か月以上の病気休暇中の教員数は71名であり、20歳代から50歳代の各年代ともに10名から20名となっております。そのうち、各年代の在籍者数に対する割合が最も高いのは、20歳代でございます。

 本県の精神もしくは神経に係る疾病による休職及び1か月以上の病気休暇中の教員数の割合は、全国平均の7割程度と低くなっておりますが、改善すべき課題であると考えております。

 また、休職等の教員の円滑な職場復帰のために、県教育委員会としましては、在籍校において段階的に職務に慣れていくための期間を4週間設定するとともに、医師の診断に基づいて丁寧に復帰の可否を確認しております。さらに、復帰後の支援といたしましては、休職等の教員の補充に当たっていた講師を復帰後も引き続き2週間任用できることとしております。

○副議長(岩田弘彦君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 全国平均の7割となっているという、全国平均より少ないなと思って少し安心をいたしました。

 ここ3年間で、採用後5年以内に退職した教員の人数とその年齢構成はどうなっていますか。教育長にお尋ねいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 採用後5年以内で退職した教員数といたしましては、令和2年4月1日から令和4年11月1日現在までに45名が退職しております。その年齢構成としては、20歳代が42名でございます。

 退職の理由としましては、他府県への転居や結婚、介護、転職等の自己都合によるものや、精神もしくは神経に係る疾病を含めて、体調不良によるものがあります。

○副議長(岩田弘彦君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 御答弁をいただきました。

 これらについて、どこに課題があるかと考えられますか、それに対してどのような取組をなされているのか、再度教育長にお尋ねをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 若い教員が心の病に陥る要因の一つとしましては、児童生徒への指導や保護者等への対応などにおいて、自分だけで解決しようとする意識や、経験豊富な教員と同じような成果を上げようとする意識等から、困難な状況に陥った場合にも1人で抱え込んでしまうことが考えられます。

 採用後間もない退職に至る要因の一つとしましては、教員が採用前に抱いていた教職に対するイメージと採用後の現実がずれていると感じたとき、自分の意識を修正できずに、教職への情熱を見失ってしまうことや、それに伴う心の負担が大きくなることなどが考えられます。

 いずれにしましても、近年の大量採用による年齢構成の偏りや、少子化による学校の小規模化、多忙化などにより、若い教員が十分に相談できない職場環境になっている場合があると考えます。

 このような状況を改善するためには、まず、各学校の校長や教頭による声かけや丁寧な相談対応、適切な勤務時間管理が大切であると考えます。また、業務負担軽減のために校務の効率化や平準化、外部人材の活用、教職員数の確保に努めております。さらに、ストレス相談の実施やハラスメント相談窓口の設置等、相談体制の充実を進めております。

 教員が充実した教職人生を送り、やりがいを感じることができるよう、学び、相談することができる自主研究団体の活性化や研修の充実にも取り組んでおります。今後は、これらの取組に加え、将来教職に就く可能性のある大学生や高校生を対象に、早い段階で教職に対しての理解を促すために、教育現場を体験する機会や講座の設置等についても研究をしてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 続いて、教員の採用についてということでお尋ねをいたします。

 団塊の世代で多くの教員が退職され、その結果、大量採用の時期を迎えており、毎年多くの新規採用の教員が学校現場に送り出されております。その採用間もない若年層の教員に先ほどお尋ねしたような課題が現れるのは、非常に残念なことだと思います。

 先ほどの答弁で、業務の負担軽減のため、校務の効率化や平準化、また、外部人材の活用などで教職員数を確保し、努めていくと御答弁もありました。県教育委員会におかれましては、しっかり支えていっていただきたいなと、そう思います。

 そこで、教員の採用に関してお尋ねをいたします。

 教員の採用に関して課題と捉えていることはどのようなことですか。また、その課題解決に向けてどのような取組をなされておりますか。教育長にお尋ねをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 教員の採用におきましては、豊かな人間性と高い専門性、時代の変化に対応し、学び続けることができる優れた人材を将来にわたって安定して確保することが課題であります。

 そのために、県教育委員会としましては、和歌山県で教員として働く魅力を紹介した募集案内のパンフレットの配布や大学訪問により、他府県も含めた広報活動を実施しております。

 また、採用試験におきましては、優れた人材を見極めるための面接の工夫や、より高度な専門性を備えた人材確保のための芸術・スポーツ分野や博士号、現職教諭等に係る特別選考の実施と特別免許状の活用による中途採用、受験内容の精選と日程の縮減による受験生の負担軽減、中高共通募集による受験機会の確保に取り組んでおります。

 さらに、教職への応募機会を増やすとともに、より実践力のある即戦力となる人材を確保するため、今年度から秋に教員採用の追募集を実施しました。今後、より充実してまいりたいと考えております。

○副議長(岩田弘彦君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 教育長の答弁をいただきました。

 また、いろんな課題に対して、たくさんの課題を解決するために取組をしていただいておることに、本当にうれしく思っております。

 近年では、全国的に教員採用の受験倍率が低くなっていると聞いております。応募が集まらない背景や原因は何だと考えられますか。また、その課題解決に向けてどのような取組をなされているのか。教育長にお尋ねをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 教職に求める人材が集まりにくい状況としましては、社会全体で人材が不足し、企業と競合していることや、採用試験の日程が近畿地方で統一されており、他府県と競合していること、教職に対する魅力が相対的に低くなっていることなどが考えられます。

 まず、教職に対する魅力を高めるためには、教員の業務負担を軽減し、子供と向き合う時間を確保することで、やりがいをより感じることができる職場環境にする必要があると考えております。

 また、他府県との競合を避けるため、今後も追募集を実施し、他府県の現職教員や転職を志望する者などから優れた人材を確保する機会を設定してまいります。

 さらに、企業との競合に対しましては、大学3回生に対して採用試験の一部に代わる試験の実施や講座の開催など、受験時期の早期化を検討してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 それでは、教員の人材確保についてということでお尋ねをいたします。

 病気休暇、産前産後の休暇による補充や欠員補充等のための臨時的任用の講師の不足が全国的に大きな問題とマスコミでも取り上げられていました。そのことについてお尋ねをいたします。

 和歌山県では、教員に補充が必要となった場合、その補充は十分されていますか。また、補充教員を確保するためにどのような取組が必要だと考えていますか。教育長にお尋ねをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 補充教員の充足状況につきまして、年度当初に必要となる定数内の常勤講師や、産前産後休暇や育児休業等の補充の講師は配置できております。

 また、年度途中で必要となる補充の講師につきましても、できるだけ速やかに配置できるよう努力しておりますが、一部、すぐに常勤講師を配置できない場合もあります。その場合においても非常勤講師を配置するなどして、できる限り子供の学びに影響しないよう対応しているところであります。

 これらの補充教員を切れ目なく確保するためには、補充教員のための人材リストを充実するとともに、計画的に定数内講師を正規教員に置き換えていくことも必要と考えております。

○副議長(岩田弘彦君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 それでは、教員が安心して子育てや病気治療をするための休暇が取れる体制づくりなど、子供たちの教育に影響の出ない環境を整備するために、どのようなお取組をしていただいているのか、教育長にお尋ねをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 優れた教員が学校で活躍できるように、これまでも教員の子育て支援や病気休暇等取得の仕組みを充実させてきたところです。

 学校の管理職等を通じて教員に休暇制度等の効果的な活用を働きかけるなど、教員が安心して育児や病気治療に専念できる職場環境を整えてまいります。同時に、子供たちの教育の質を保障するためには、補充のための人材を安定して確保する必要があると考えております。

 これまで、退職教員を活用することや教員募集案内のパンフレットの配布や大学訪問による広報活動に取り組んでまいりました。

 また、一昨年から導入した教員業務支援員や学習指導員等の中で、教員免許を持ち教職経験のある方など、社会人の掘り起こしも含めて、新たな人材を開拓しているところであります。

 県教育委員会といたしましては、今後も教育に携わる人材の裾野を広げるよう努めてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 教員が安心して子育てをしたり、病気の治療と仕事を両立できる職場環境を整えたりすることは、教員を志望する人を増やすとともに、教育の質を高めることにつながると思います。

 先ほどから御答弁いただいたように、県教育委員会におかれましては、様々な取組をしていただいております。和歌山県の将来を担う子供たちのために頑張りたいと志を高く熱意を持って教員になった若い世代が、教員になってよかった、やりがいのある仕事だと思えるように、人材の育成に努められるとともに、今後の教職の魅力を発信し、優れた人材の確保と業務負担の軽減に取り組んでいかれますように要望し、一つ目の質問とさせていただきます。

 続いて、二つ目の項目について質問させていただきます。

 食の安全保障と次世代の農業について、まずは、輸入に頼らない農業についてということでお尋ねをいたします。

 世界の安全保障環境の悪化と気候変動の問題の影響で、食料の安定供給が脅かされています。日本政府は、現状を深刻に受け止め、戦略を練り直さなければいけないということで、岸田首相は食料の安全保障の強化に向けて、1999年に施行された農業政策の基本法である食料・農業・農村基本法を見直すように関係省庁に指示しました。農林水産省を中心にして、1年かけて検討するとありました。

 東西の冷戦の終結で経済のグローバル化が進み、そこでは経済の合理化を重視して、生産性の高い地域での大量生産に協力し、輸入すれば食料が確保されていました。しかし、ウクライナ危機でその前提が大きく揺らいでいます。小麦などの供給が減り、価格が高騰しています。自国の消費量の確保を優先して輸出を規制する動きもあります。その上、気候変動により世界的に干ばつが多発しているのも懸念材料の一つであるとありました。

 このように大きな変化の中での農業政策の基本法の見直しでありますので、産地に与える影響も大きいものと考えます。

 そこで、今回の見直しについては、行政のみでなく生産者や関係団体もその動向を把握して、和歌山県の農業にとって有益なものとなるように対応していくことは必要であると考えますが、農林水産部長にお伺いをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 農林水産部長山本佳之君。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 議員お話しのとおり、国では食料・農業・農村基本法の見直しが進められています。この背景には、担い手や耕地面積の減少、農産物輸出の進展など、昨今の変化に加え、気候変動やウクライナ危機等による食料や生産資材の安定供給に対する懸念から、食料安全保障の強化などが論点になると考えています。

 今後、基本法の見直しを契機として、国の具体的な施策や支援策についても見直しが見込まれることから、県では、これらの動向を注視しながら、市町村やJA等の関係団体への情報提供や意見交換などを通じて、生産者に情報が伝達されるよう努めるとともに、本県の農業の特性を踏まえた上で、必要に応じて全国知事会など様々なチャンネルの活用も含め、国に働きかけてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 農林水産部長の前向きな御答弁、本当にありがとうございます。

 農業の担い手は高齢化し、従事者の減少も著しくなっており、経営を安定化するために、遊休地を活用した穀物生産の拡大にも取り組み、生産基盤の強化には農家の所得を伸ばし、もうかる農業にするということが必要であると思います。

 飼料用作物に転向することも含めて、どのように考えておりますか。また、和歌山県長期総合計画でも海外への販路開拓なしに農業の飛躍的な成長は望めないとされています。輸出も含めて今後どのように拡大をしていくのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 穀物や飼料用作物の生産を拡大する取組は、基盤整備された圃場で大型作業機械を用いて効率的な栽培を行う場合には、農家の所得向上に資する手段の一つになり得ると考えます。

 しかしながら、傾斜地が多く、平野部でのスケールメリットを生かした大規模経営が難しい本県では、果樹栽培や野菜・花卉の施設栽培等、収益性の高い農業を展開しておりまして、遊休農地を活用した穀物生産や飼料用作物の栽培で所得向上を図ることは難しいのではないかと考えています。

 次に、農産物輸出につきましては、香港、米国等でのフェア開催や、輸出に向けた生産体制の構築など、輸出拡大に向けた取組を実施しているところです。

 県では、引き続き、輸出拡大のほか国内市場での販売促進、スマート農業による生産性の向上、担い手への農地集積や法人化支援などに総合的に取り組み、もうかる農業を推進してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 和歌山県では、傾斜地が多く、スケールメリットを生かした大規模経営が難しく、穀物生産や飼料用の作物の栽培では所得向上が難しいと御答弁をいただきました。本当にそのとおりだと思っております。だからこそ、今、食料・農業・農村基本法を1年かけて見直すと言っておりますので、和歌山県の立地条件を踏まえて、和歌山県に合った農村基本法になるように、国に働きかけていただくことを要望いたします。

 続いて、高騰する肥料についてということでお尋ねをいたします。

 栽培に必要な肥料の3要素、窒素、リン酸、カリ、これらの入った化学肥料は、原油や天然ガス、鉱石を原料にして作られています。日本はほとんど輸入に頼っており、中国の輸出規制やウクライナ情勢などの影響で世界的に調達が難しくなってくるとありました。

 多くの農家はJA等で化学肥料を購入していますが、JA全農が地方組織に指示した6月から10月の供給価格は、昨年11月から5月比で最大2倍に、価格指数でも3要素の成分要素の高い高度化成肥料で約1.5倍まで上昇しています。

 農林水産省では、化学肥料の使用を減らす農家を対象にして上昇分の7割を補塡する支援金を新設しました。肥料が高騰して農業がやりづらくなり、離農することも考えられます。そのようなことがないように、和歌山県では国の支援金事業についてどのように取り組んでいるのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 国は、本年7月に、化学肥料使用量の2割低減に向けた取組を行う農業者を対象に、肥料コスト上昇分の7割に当たる支援金を交付する肥料価格高騰対策事業を創設しました。

 今回の支援制度の特徴は、平成20年に実施した対策では、当該年度と前年度の領収書等が必要でしたが、当該年度の領収書等のみで申し込むことができるなど、農業者の負担が軽減されています。

 本県では、本年6月から10月までに購入した秋肥と、11月から翌年5月までに購入された春肥に分けて支援することとし、まず、秋肥の支援について農業者の申込みを取りまとめる肥料販売店を対象に説明会を4回実施しました。

 また、農業者には肥料販売店へ問合せを行うよう、県や市町村、農協の広報紙や肥料販売店のチラシ等により周知しており、3月頃には農業者へ支援金が支払われるよう進めております。

 なお、春肥の支援についても引き続き取り組んでまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 農林水産部長の御答弁をいただきました。

 春肥への支援についても引き続き取り組んでいくということもおっしゃっていただいたんですけれど、春肥だけで肥料の高騰は収まらないと思うんですね。やはり先を読んで、もう少し、もう少しと延ばしていけるように、国のほうにもお願いをしていっていただきたいと思います。

 それでは、二つ目の問題に進ませていただきます。

 農業での主流となっている化学肥料の原料は輸入に頼っており、ウクライナ情勢などの影響で価格が高騰している状況にあります。肥料の国産化により価格を抑え、農家の経営の圧迫を抑えるために、国土交通省によれば、国内で1年間に排出される下水汚泥約230万トンのうち、脱水や発酵を経て肥料として再利用されるのは1割程度にとどまっています。農家の側では、排水の中にカドミウムや水銀などの重金属が濃縮されている可能性への懸念があることから、再利用が進まない一因とされています。

 国土交通省でも、汚泥肥料の利用拡大に向けて、2023年度予算の概算要求ですけれども、3100万円計上されていました。

 汚泥肥料の成分を実際に測定して安全性をPRしたり、窒素やリン酸が豊富で作物を育てやすい特色をPRしたりするとありました。農林水産省と共に連携して取り組む方針であると明記されておりました。

 和歌山県内の汚泥肥料の利用の状況と、県としての考え方について、農林水産部長にお尋ねをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 県内でも汚泥は肥料の原料として活用されており、令和3年度では、登録された汚泥肥料が約2000トン製造販売されています。

 議員御指摘のとおり、汚泥を肥料に利用する場合、生活雑排水などに含まれる重金属が懸念されます。このため国では、公定規格で汚泥肥料に含まれる重金属の最大量を定めているほか、植物の生育に害がないもののみを肥料登録することとしており、県としては、基準が満たされた登録肥料の使用は特に問題がないと考えています。

 今般の肥料価格の高騰は先が見通せず、安価で安定した肥料の供給が求められる中、汚泥肥料の活用は有効と考えておりますので、様々な機会を通じて汚泥肥料の有効性を周知するなど、その活用を促してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 肥料の高騰により農家の経営はますます苦しくなるのではと懸念しています。安価な汚泥肥料の有効性を周知することによって、農家の方々が少しでも利益を上げられればと思っております。

 また、和歌山県では、バイオマス発電が新宮市と有田川町で稼働しています。勉強不足で分からないところがあるのですけれども、そこで発生するバイオ炭をうまく活用して、土壌の透水性、保水性、通気性の改善に効果があるとされており、土壌を改良して微生物を増殖させ低肥料栽培を行うことや、バイオ炭を農地に使用することによって、二酸化炭素を土壌に取り込み貯留することによって、J-クレジット制度が活用できないかと思っております。

 また、農林水産省は有機農業の生産から消費まで一貫した地域をつくるために、オーガニックビレッジ宣言に取り組む産地を支援するとありました。この宣言に、今、参加しようとしている地域があると聞いております。次世代の農業のために、和歌山県の御努力に期待し、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、堀龍雄君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時20分散会

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