令和3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているものもあるため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なることがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。
令和3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号
議事日程 第3号
令和3年12月8日(水曜日)
午前10時開議
第1 議案第178号から議案第180号まで(当局説明)
第2 議案第141号及び議案第148号から議案第177号まで(質疑)
第3 一般質問
────────────────────
会議に付した事件
第1 議案第178号から議案第180号まで(当局説明)
第2 議案第141号及び議案第148号から議案第177号まで(質疑)
第3 一般質問
────────────────────
出席議員(42人)
1番 鈴木德久
2番 山家敏宏
3番 中本浩精
4番 堀 龍雄
5番 藤山将材
6番 岸本 健
7番 井出益弘
8番 宇治田栄蔵
9番 北山慎一
10番 玄素彰人
11番 中西峰雄
12番 秋月史成
13番 森 礼子
14番 濱口太史
15番 尾崎要二
16番 冨安民浩
17番 川畑哲哉
18番 玉木久登
19番 鈴木太雄
20番 岩田弘彦
21番 吉井和視
22番 谷 洋一
23番 佐藤武治
24番 岩井弘次
25番 中 拓哉
26番 多田純一
27番 新島 雄
28番 山下直也
29番 中西 徹
30番 谷口和樹
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 林 隆一
36番 楠本文郎
37番 高田由一
38番 杉山俊雄
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
────────────────────
説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
理事 田嶋久嗣
知事室長 赤坂武彦
危機管理監 細川一也
総務部長 吉村 顕
企画部長 横山達伸
環境生活部長 生駒 享
福祉保健部長 志場紀之
商工観光労働部長 寺本雅哉
農林水産部長 岩本和也
県土整備部長 安部勝也
会計管理者 真田 昭
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員長 竹田純久
警察本部長 遠藤 剛
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
事務局長 出津野孝昭
次長 中井 寛
議事課長 山田修平
議事課副課長 岩井紀生
議事課課長補佐兼議事班長
岩﨑 亮
議事課主任 伊賀顕正
議事課主査 菅野清久
議事課主事 松本 悠
総務課長 須田剛司
政策調査課長 神川充夫
────────────────────
午前10時0分開議
○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
監査委員から現金出納検査実施結果の報告がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
この際、報告いたします。
議案の追加提出がありました。
日程第1、議案第178号から議案第180号までを議題といたします。
議案は、お手元に配付しております。
まず、当局の説明を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました議案について御説明申し上げます。
議案第178号は、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策に伴う国の補正予算等を踏まえ、一般会計で総額382億600万円余の補正予算をお願いするものです。
主なものとして、健康上の理由等によりワクチン接種を受けられない方々が経済社会活動を行う際に行動制限の緩和に必要とされるPCR等検査や、感染拡大の傾向が見られる場合に知事の要請に応じて感染の不安がある無症状者が受検するPCR等検査を無料化するための経費のほか、ワクチン・検査パッケージの活用を前提としたリフレッシュプランを実施する経費や、防災・減災、国土強靱化の推進に要する経費を計上しております。
次に、議案第179号は、流域下水道事業会計において、設備機器の改築、更新に要する経費として3億4500万円余を計上しております。
次に、議案第180号は、建設事業施行に伴う市町村負担金について、議決をお願いするものです。
何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(森 礼子君) 以上で、当局の説明が終わりました。
次に日程第2、議案第141号及び議案第148号から議案第177号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第3、一般質問を行います。
3番中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
令和3年12月定例会トップバッターとして登壇させていただきます中本です。どうかよろしくお願いします。
この機会を与えていただきました先輩・同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げ、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
まず初めに、令和4年度新政策の基本方針についてお尋ねいたします。
2年近くに及ぶ新型コロナの感染拡大は、県民の暮らしや地域経済に大きな影響を及ぼしました。改めて、本県を含め、全国でお亡くなりになった方の御冥福をお祈りいたしますとともに、現在も闘病されている方々にお見舞いを申し上げます。
本県では、県当局並びに県議会はもとより、医療機関、事業者、そして県民が一丸となり、この難局を乗り越えるため懸命に取り組んできました。こうした本県の感染防止の取組は、和歌山モデルとして全国的にも高く評価されているところです。
足元の状況を見ると、本県を含め、全国的に新規感染者数が急激に減少し、感染状況は落ち着きを見せています。9月末には、全国の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が全て解除されたことで、社会経済活動が活性化し始めたところであり、県内の観光地もにぎわいを取り戻しつつあるなど、今後の景気回復が期待されているところです。
しかしながら、海外では感染が再び拡大している地域もあり、また、先日、南アフリカ共和国で見つかった新たな変異株・オミクロン株は、世界保健機関(WHO)が世界的に広がる可能性が大きいとの認識を示すなど、我が国においても感染拡大のリスクは依然として予断を許さない状況です。今後懸念される第6波に備え、ワクチン接種体制や医療提供体制の整備といった対策に万全を期していくことが必要と思います。
こうした状況の中、先般、国において新たな経済対策が閣議決定されました。コロナ禍で傷ついた日本経済の立て直しと、ポストコロナ社会を見据え、自律的な経済成長を実現するための総合的な経済対策が示され、現在、これらの施策を盛り込んだ令和3年度補正予算が臨時国会において審議されているところです。岸田総理の下、政府を挙げて、直面する危機を国民と共に乗り越え、成長と分配の好循環を実現し、経済を成長軌道に乗せていく強い意気込みを感じるものとなっています。
本県においても、ウィズコロナ・アフターコロナ社会を見据えた経済の再生と成長を実現し、未来に希望が持てる元気な和歌山をつくっていかなければならないと思います。
コロナ禍を契機として、これまでなかなか進んでこなかった社会全体のデジタル化が急速に進展し始めるとともに、人や企業の地方分散の動きが高まるなど、社会に大きな変化が訪れようとしています。まさに、和歌山にとって大きなチャンスが到来しています。これらの変革の波を捉え、県内産業の力強い成長や県民の暮らしの利便性向上を実現するとともに、にぎわいと活力の創出につなげていくことが重要と考えます。
子育て支援や介護・福祉の充実、防災・減災の推進など、本県の課題解決に向けて積み重ねてきたこれまでの取組に加え、ウィズコロナ・アフターコロナの新たな世界で和歌山が元気を取り戻し、さらに大きく成長していくためには、将来を見据え、思い切った施策を新たに打ち出していく必要があります。
そこで、開会の冒頭、仁坂知事が提案説明の中で触れられましたが、改めて、令和4年度新政策の基本的な考え方について、仁坂知事にお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 新型コロナによる影響が長期化する中、県を挙げて徹底した感染防止対策に取り組むとともに、苦境にある事業者への支援など必要な施策を迅速にこれまで講じてまいりました。今後も、ワクチン接種体制の確保を含め、感染防止対策に万全を期すとともに、先般閣議決定された国の経済対策も活用しながら、県民の暮らしと地域経済を全力で支えていく所存でございます。
一方で、コロナ禍で仕事や暮らしの在り方が変化し、デジタルトランスフォーメーションの加速や、東京一極集中から地方への回帰という社会変革が訪れ、新しい世界が見えてきたと思います。我々は、こうした変化にいち早く対応し、和歌山の飛躍につなげていかなければなりません。
このため、令和4年度の新政策では、「新しい世界で飛躍する和歌山」と「飛躍を支える基盤づくり」の二つを柱として新たな施策を展開することで、ポストコロナ時代に挑み、和歌山を力強く飛躍させてまいりたいと考えております。
まず、DX和歌山として、社会全体でDXを推し進めることが大事でございます。これは、産業も行政も両方でございまして、県内産業のDX実現に向けた一貫支援を行い、競争力を高めるとともに、県、市町村が一体となり、行政のDXを強力に推進し、行政運営の効率化と住民の利便性向上を図ってまいりたいと考えております。
また、人と企業を和歌山に呼び込むために、個人移住、農林水産業の担い手としての移住、企業誘致に伴う移住、転職なき移住の4方面をターゲットとして戦略的に施策を展開していく所存であります。さらに、宇宙・ロケット関連やICT産業の集積、IR誘致の取組を進め、長期的な観点で新しい産業を育て、成長の原動力としてまいりたいと思います。
和歌山の飛躍を支えるための基盤づくりにも着実に取り組んでまいります。これが第2の柱でございます。徹底した感染拡大防止と医療提供体制の充実に引き続き取り組むとともに、事業者支援や雇用対策、子育て環境の充実など、暮らしと経済を守る取組を強化してまいりたいと思います。また、防災・減災対策や、道路ネットワークをはじめとする成長を支えるインフラ整備を強力に推進していく所存であります。
こうした方針を基に、議員の皆様をはじめ市町村の御意見等も踏まえた上で、新しい施策をまとめ上げ、予算案を編成いたしまして、来年度予算案として2月定例会に提案をさせていただきたいと考えております。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 知事の答弁をお聞きし、ウィズコロナ、アフターコロナ、新しい社会への対応を目指されているということがよく分かりました。
県民歌の中に「いや更に 伸びよ栄えよ ふるさとは つねに微笑む」、「いや更に 伸びよ栄えよ ふるさとは つねに微笑む」、私は、すごくこの歌詞が好きであります。全ての県民が希望を持ち、笑顔で元気に暮らせるよう、知事はじめ県当局、県議会、そして県民みんなで力を合わせ、和歌山をこの新政策を通してさらなる発展へ導いてまいりましょうとエールを送らせていただき、次の質問に入ります。
和歌山市六十谷の水管橋崩落を受けて。
ライフラインのリダンダンシー点検についてお尋ねいたします。
去る10月3日、和歌山市六十谷の水管橋の一部が崩落するという思いもよらないことが起こりました。
紀の川の南側にある加納浄水場から川の向こう側に水を送る唯一の水管橋が崩落したことにより、紀の川以北にお住まいの約6万世帯、約13万8000人の方が6日間にわたり断水生活を余儀なくされました。その際は、自衛隊や国土交通省、県内外の市町村等の協力により給水車による給水活動が行われ、給水所に行けない人には学生ボランティアや自衛隊などにより水の各戸配布も行われました。
また、応急復旧のため、工事関係者も24時間体制で工事を行い、10月8日には水管橋の隣にある県道六十谷橋に仮設バイパス管を布設し、翌朝から給水が再開されました。多くの方の協力により断水対応がなされたものの、断水地域にお住まいの方の御苦労は想像に難くありません。
思うに、今回の問題は水管橋の強靱性と代替性であり、もう少し強靱性があったら、もう1本送水ルートがあったらと悔やまれるところです。
県では、これを一つの契機として、仁坂知事の号令の下、道路、河川、下水、海岸・港湾、ため池、水道・工業用水、電気、ガス、公共交通、通信網、放送局の11項目の多岐にわたりライフラインの点検を行うことになりました。
11項目の中には、例えば水道は市町村、電気やガスなどは民間事業者など、県が管理していないものもあります。そのため、県だけではなく、国や市町村、民間事業者も含めたプロジェクトチームを設置し、点検項目を整理した上で、県や市町村の職員さんが汗をかきながら総点検を行っているところです。
聞けば、このように国、県、市町村、民間事業者が連携しライフラインの点検を行う取組は全国初ということですが、どのような点検を行うのか、点検の内容についてお尋ねいたします。
また、点検が必要なことは十分理解しますが、点検は点検することが目的ではなく、点検結果をどう生かすかが大事だと思います。
そこで、点検結果を受けて今後どのように取り組んでいくかについて、プロジェクトチームのリーダーであります危機管理監にお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) 危機管理監細川一也君。
〔細川一也君、登壇〕
○危機管理監(細川一也君) 行政の目的は県民生活の安定、すなわち安全で安心な生活の確保と考えています。そのための基本であるのは、ライフラインと考えています。
このような考え方におきまして、中本議員御指摘の和歌山市水管橋崩落事故を契機として、県、国機関、市町村、民間事業者が連携して、道路、河川、下水道、海岸・港湾、ため池、水道・工業用水、電気、ガス、公共交通、通信網、放送局の11項目のライフラインについて点検を行っているところでございます。
点検項目や点検の内容等を調整するため、県、国機関、市町村、民間事業者で構成するプロジェクトチーム会議を設置し、去る11月2日に第1回会議において点検項目の整理などを行った上で、現在点検を進めています。
点検内容は、全てのライフラインについて、地震や津波、洪水などに対応できるかといった強靱性と、道路や水道などについて、複線化されているかといったネットワークについて点検するものとしており、点検の実施により、各機関が所有する施設の状態を再認識し、インフラに対する意識を高めるといった効果もあると考えております。
次に、点検結果についてでありますが、基本的には、県、国機関、市町村、民間事業者がそれぞれの実情を踏まえながら、緊急対策が必要なもの、中長期計画の中において取り組むべきもの、ソフト面での対応など、予算措置も含めて必要な対策を取っていくものと考えております。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ただいま危機管理監から答弁いただきました。
今回の点検を通じ、ライフラインの施設状況を再確認することや強靱性を確保するための取組が必要であることがよく理解できました。先ほども申し上げましたが、点検することが目的でなく、点検結果をどう生かすかがとても大事だと思います。
先週3日の朝に紀伊水道を震源とする地震が起こり、御坊市で最大震度5弱を記録しました。この地震により被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
今回の地震では、幸いライフラインについて、和歌山市の事故のような大きな被害がなかったようですが、地震は突然起こります。いつ起こってもおかしくない状況です。今、取り組んでいただいている点検が、答弁でもいただきましたが、各機関の皆様の災害への備えについて再認識していただくきっかけになり、その結果を最大限生かし、今後取り組んでいただくことをよろしくお願いいたします。
次の質問に入ります。
水道施設の整備についてお尋ねいたします。
今回の点検については、事の発端は和歌山市六十谷の水管橋崩落に伴う断水です。その水道事業は本格的な施設更新時期を迎え、今後、施設への投資は莫大な資金が必要となりますが、公営企業という性質上、独立採算が原則とされており、人口減に伴い水道料金収入が減少している状況で、更新が進んでいないのが現状です。
水道は、市町村が運営する事業ですが、水道施設の耐震化などを行う国の補助制度について、県としても市町村と連携しながら予算の確保や採択要件緩和等の要望を行う必要があるのではないでしょうか。環境生活部長にお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。
〔生駒 享君、登壇〕
○環境生活部長(生駒 享君) 水道統計における本県の水道施設の耐震化率は、令和元年度末時点で基幹管路は29.9%、浄水施設は12.7%など、全国平均より低い状況で、東南海・南海地震等の発生が想定される中、施設の強靱化を早急に進める必要があります。
議員御指摘のとおり、水道事業は公営企業であり、独立採算が原則でありますが、人口減少等で料金収入が減少する一方、老朽化施設の更新、耐震化などの施設投資は増大するなど、経営状況は今後厳しさを増してまいります。
このような状況の中、水道施設の整備を急ぎ進めるには、国の補助事業の活用が必要であり、県では、これまでも補助事業の活用について市町村に助言するとともに、市町村、各種団体と連携し、予算の確保、採択基準の緩和、補助対象の拡充等を国に要望してまいりました。
引き続き、水道施設の整備を促進するため、市町村と連携して国に対し働きかけてまいります。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ただいま環境生活部長より答弁いただきました。
水道施設の老朽化対策は、和歌山県だけの問題ではなく、全国的な問題です。これまでも、答弁もいただきましたけど、市町村や各種団体と連携して国へ要望活動をしていただいております。ただ、これからはもっともっと強く国へ働きかけていっていただかなければならない時代がやってくると思います。今回、本当に和歌山県で水管橋の崩落という事故がありました。これを契機として、今まで以上に施設の整備が少しでも進むように、今まで以上国へ対して強い働きかけを要望させていただいて、次の質問に入ります。
国土強靱化対策の取組について。
まず、京奈和自動車道の開通による効果についてお尋ねいたします。
先日、県当局より、12月18日朝6時に近畿自動車道紀勢線有田インターチェンジから印南インターチェンジ間、延長約30キロメートル区間について4車線が完成するという朗報をいただきました。
高速自動車国道紀南延長促進議員連盟も、毎年、国に対して強く要望してきた待望の4車線化であり、これまでの苦労が報われた思いです。二階自民党国土強靱化推進本部長をはじめとする本県選出の国会議員の皆様、仁坂知事をはじめとする県当局の皆様に、この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
橋本市選出の私にとって身近な高速道路は、京奈和自動車道です。平成29年に和歌山市まで暫定2車線で完成し、4年が経過したところです。
そこで、県土整備部長に京奈和自動車道の完成による効果についてお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。
〔安部勝也君、登壇〕
○県土整備部長(安部勝也君) 新たな道路が完成することにより、渋滞緩和や交通事故削減、災害時の代替路確保などの直接的な効果のみならず、観光振興や物流コストの低減など間接的な効果も期待できます。
御指摘の京奈和自動車道は、平成29年に県内全線が開通したことにより、和歌山市から橋本市までの所要時間が約90分から約45分まで短縮され、通過交通や長距離交通が京奈和自動車道に転換し、生活道路等の交通事故も減少しています。
また、国道24号が並走していることから、紀の川筋にはしごのような緊急輸送道路網が形成され、災害時の代替機能を確保しています。
さらに、和歌山方面から中部・関東方面に向けたトラックなど大型車の交通量が増えており、例えば紀の川インターチェンジから岩出根来インターチェンジが先行開通した平成27年には、5年前の平成22年と比べて交通量が約1.5倍になっています。
沿線の企業立地件数も10年前に比べて約2.6倍に増加しており、既存工業団地の紀北橋本エコヒルズは完売し、新たな工業団地であるあやの台北部用地の開発が進むなど、著しい経済効果も見られます。
県といたしましては、今後とも、企業誘致や観光振興など、これまで以上に効果が発揮できるよう京奈和自動車道を最大限活用してまいる所存です。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 部長の答弁をいただいて、京奈和自動車道の完成による効果がすごくあったということがよく分かりました。京奈和自動車道の開通は、本当に地域に大きな影響を与えております。
ただ、私の感じたことで申し訳ないんですが、先般、夜、雨降りの夜に京奈和自動車道に乗って橋本まで帰りました。対向車線もかなり交通量が多かったということもあるんですけど、ハイにすればセンターラインとかよく分かるんですけど、なかなか普通で走っていますとすごく圧迫感を感じて恐怖を感じました。やはり暗いということもあったと思いますし、雨降りということもあったと思うんですけど、やはりこの京奈和自動車道、地域にとって本当に欠かせない、今、道路となっております。これから、ぜひ安全かつ快適な道路として地域により大きな効果を及ぼすよう、引き続き対策を講じていただきますようによろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
高速道路を使って橋本から紀南へ向かうには、京奈和自動車道と近畿自動車道紀勢線を利用することになります。その近畿自動車道紀勢線では、さきに申し上げたように、今、有田インターチェンジから南に約30キロにわたる4車線化が開通を迎えようとしています。残る印南から南紀田辺間についても4車線化の早期実現を願うものです。
そこで、今回開通に当たって、地域経済の活性化に向けた活用の方針と南紀田辺までの4車線化について、仁坂知事の決意をお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) このたび有田インターチェンジから印南インターチェンジに至る約30キロメートルの4車線が完成することは、大変喜ばしいことでございます。高速自動車国道紀南延長促進議員連盟の皆様をはじめ県選出国会議員、国土交通省、関係市町村、西日本高速道路株式会社などの多くの関係者による完成に向けたこれまでの御尽力に心から感謝を申し上げます。
この話になりますと、私はすぐ感情的になります。麻生内閣のときに、ようやく運動していた予算がついた喜びは忘れられないし、その直後の政権交代で全部取り上げられてしまった絶望感も、今でもありありと思い出します。それがゆえに、本当にうれしい思いであります。
当該区間は、恐らく2車線の高速道路では日本一の交通量、全国有数の交通量のあるところでありまして、逆に言うと、これが取り上げられるというのは絶対におかしいということなんですが、実は今年のお盆には、新型コロナの中なんですけど、約30キロメートルの渋滞長を記録するなど渋滞が慢性的に発生をしております。今回4車線化されることで、恐らくこの状態が解消してアクセス性が向上して、定時性というんでしょうか、何時間で必ず行けるというようなことが確保されると思います。
これによって、京阪神等からの観光客の増加や、あるいは滞在時間の延長、IT企業の誘致などによる新しい産業の創出、南紀白浜空港へのアクセス改善による利用者の増加、輸送コスト低減による物流の活性化、民間ロケット発射場を核とした地域おこしなど、ポストコロナにおける観光産業や地域経済の再生と発展に寄与するものと考えております。
また、対面通行から構造的な上下線分離によりまして、重大事故発生の危険性の低減、南海トラフ巨大地震など大規模災害の発生時における道路ネットワークの機能強化など、安全で安心できる高速道路が実現すると思います。
これも思い出でございますが、私の就任、たしか2~3年目に、反対車線にはみ出した車と車同士の正面衝突がございまして、大学生がたしか5人のうち3人が一遍に亡くなられたというような事故がありました。こういうことはもう起こらないと思います。
県としては、このような効果を地域に波及させるべく様々な政策を展開し、和歌山のこれからの力強い発展を支える基盤として最大限活用する方針でございます。
南紀田辺インターチェンジまでの早期完成、これは当然のことでございます。そこまでも待避車線が多いので、そんなに障害にならないかなと思うんですけど、早くやっていただくことに変わりはございませんし、努力をいたします。
それとともに、それ以南の4車線化というよりも、高速道路がまだついていないところでございますね、これについては全面的にもう事業化をしていただいているんでございますが、2025年には大阪・関西万博がございまして、その来訪者を和歌山に引き込むというためには、万博開催までに紀伊半島一周高速道路を完成させてほしいという意気込みを持って事業推進を図るように、国や関係機関に強く働きかけているところでございます。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ただいま仁坂知事からの答弁をお聞きし、知事も今回の4車線化、喜びもほんまにひとしおのことだということがよく分かりました。
有田から印南間の4車線化の完成は、和歌山の発展につながるものと確信しております。さらなる和歌山の発展に向けて、我々自民党県議団としても、引き続き南紀田辺までの4車線化が早期に実現するように努力してまいる所存ですので、当局におかれましてもよろしくお願いいたします。
次の質問に入ります。
防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策については、1年前の昨年12月に、5年間でおおむね15兆円程度の対策が閣議決定されたわけですが、予算については当然毎年の予算編成過程において決まることとなっております。
11月26日に補正予算が閣議決定され、内閣官房国土強靱化推進室の資料によると、5か年加速化対策分に公共事業関係費の予算が計上されており、これは昨年度に計上された予算規模と遜色のないものです。現在、臨時国会で審議中と聞いておりますが、本県議会においても先ほど緊急上程されたように、県当局による早期の事業執行を目指す強い姿勢を示しているものと感じました。
我が県では、平成23年紀伊半島大水害など、台風や集中豪雨等による浸水被害や土砂災害、そしていつ発生してもおかしくない南海トラフを震源とする巨大地震など、常に災害のリスクにさらされ、万端の備えが求められています。
5か年加速化対策は、このような県の実情に合致しています。私の地元でも、紀の川における河道掘削など国土強靱化予算が活用され、事業スピードが向上し、災害に強いインフラが加速度的に整備されております。
仁坂知事は、本議会の冒頭の知事要旨説明で、「防災・減災対策や成長を支えるインフラ整備など、本県の飛躍を支える基盤づくりを着実に進めることで和歌山の力強い発展につなげてまいります」と述べられました。その実現のためにも、国土強靱化の加速化対策の予算は不可欠な財源です。
そこで、国土強靱化のための加速化対策の2年目に当たり、仁坂知事の決意をお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策は、御指摘のように、二階自民党国土強靱化推進本部長の長年にわたる活動が結実した国家規模の政策でありまして、自然災害の多い本県のインフラ整備を進めるに当たっては、力強い後押しとなる有益な対策であります。とりわけ、この5か年間の別枠15兆円の予算があるということは、我々がいろんな対策をお願いしたり自分で企画したりするときに大変な助けになるという、これは明らかであります。本当に感謝を申し上げたいと思います。
さきの3か年緊急対策を含め、これまでの対策では、紀の川の河道掘削による流下能力の増強や国道371号ののり面対策など、目に見えて強靱化が進展していると思います。また、県民悲願の紀伊半島一周高速道路、橋梁や護岸等の老朽化対策、カメラを活用した水位観測などのデジタル化も進展し、防災減災機能の向上のみならず、地域経済の成長にも寄与しております。
5か年加速化対策の公共事業関係に係る2年目の予算として、国では国費ベースで1兆2539億円を閣議決定されました。本日、補正予算案を緊急上程させていただいたわけでございまして、これを基にして早期にお金を使わせていただきたいということでございます。事業効果を最大限発揮するため、本予算、早期執行が不可欠でありますので、臨時国会で現在審議中なんでございますけども、本議会においては、それが通るという前提で審議をいただきたいと考えております。
県といたしましては、2年目の国土強靱化対策については、災害時の代替路強化にも寄与する橋本市と河内長野市を結ぶ国道371号仮称・新紀見トンネルの整備などの予算を上程しております。防災減災機能の強化のみならず、新型コロナウイルス感染症で疲弊している地域経済を早急に回復させるためにも、この機会を逃すことなく予算を確保し、速やかに本県の国土強靱化をさらに加速させていきたいと考えております。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策は、本当に和歌山県にとって生命線の事業だと思います。今、知事に答弁いただきましたけど、県として予算をしっかり確保していただいて、早期の発注と確実な事業進捗を図っていただき、地域経済の活性化などに寄与することを切に求めまして、最後にIRについて要望させていただきます。
去る11月19日にIR対策特別委員会が開催され、当局並びにクレアベストニームベンチャーズ株式会社から区域整備計画(原案)の説明がありました。しかしながら、計画において最も重要な部分である事業実施体制や資金調達先については、現状開示することができず、開示は1月末になるとの説明でした。
熾烈な競争環境にある中、公表できることとできないことがあることは一定理解しますが、計画が遂行できるか否かを判断する上で最も重要な部分であることから、これらを開示した上で県民の理解を得るための公聴会、パブリックコメントを行うべきではないかとの意見が出され、全会一致で採択されたことから、県当局は開催を延期するとの発表をされました。
そこで、今回IR対策特別委員会において各委員から出された意見や懸念事項を重く受け止め、来年1月末までには事業実施体制、資金調達先を確実に固めた上で区域整備計画案を完成させ、県民への説明を改めて行い、理解を深める努力をしていただくことを強く要望いたします。
IR誘致については、滞在型観光の核として、本県の観光振興、雇用の増加に貢献し、地域経済活性化の起爆剤となり得、ひいては人口減少の抑制も大いに期待できるものと捉え、また、新型コロナウイルス感染症終息後の県経済回復のエンジンとなるものであることから、我が自民党県議団は以前よりその誘致を全面的に支援してきたところです。
自民党県議団として引き続き誘致実現に向けて応援をしてまいりますので、最終的に国の認定を勝ち取ることができる優れた計画づくりに全力を挙げて取り組んでいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(森 礼子君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
25番中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
「天佑ヲ保有シ萬世一系ノ皇祚ヲ踐メル大日本帝國天皇ハ昭ニ忠誠勇武ナル汝有衆ニ示ス 朕茲ニ米國及英國ニ對シテ戰ヲ宣ス」云々、「東亞永遠ノ平和ヲ確立シ以テ帝國ノ光榮ヲ保全セムコトヲ期ス 御名御璽」。
80年前、大東亜戦争開戦の詔書が発せられたのが本日12月8日であり、同じく41年前、ビートルズのジョン・レノンがダコタ・ハウスの玄関前で熱狂的なファンの凶弾に倒れたのもこの日であります。25歳の犯人、マーク・チャップマンは、真珠湾のあるハワイ・オアフ島に住み、凶器の38口径、リボルバーは何とハワイで買ったとのいわく因縁がございます。
議長のお許しを得ましたので、一般質問をいたします。42回目の登壇です。「なかなか頑張る中拓哉」、県民の幸せに資するべく質問しますので、的確な答弁をお願いします。
去る10月31日執行の衆院総選挙におきまして、公明党和歌山県本部は近畿ブロックに登載の浮島智子の当選を期して選挙戦に臨みました。選挙結果は、県内7万1309票の得票で、名簿登載2位の浮島代議士を含む公明党近畿ブロック3名が議席を得ることができ、公明党全国の中では、得票率15.82%が全国7位、絶対得票率8.9%が全国4位との好成績を飾ることができました。改めて、党員同志をはじめ御支援くださった県民の方々に感謝申し上げます。
政権も引き続き自民公明の連立で岸田内閣を組織し、一昨日召集の臨時国会に36兆円に及ぶ補正予算を提案したところです。
政府提案の経済対策の円滑な実施をサポートすべく、公明党内に地方議員も参画しての経済対策の給付金等執行推進本部を設置しました。
国においては、子育て世帯を応援する高校3年生までの子供1人当たり10万円相当を給付する事業、住民税非課税の困窮世帯にプッシュ型で10万円を支援する事業、修学支援を必要とする学生や専門学校生に10万円の緊急給付金を支給する事業、自立支援金30万円再支給、求職者支援、中小企業などへの事業復活支援、事業再構築支援、マイナンバーカードなどの普及と消費喚起のマイナポイント付与施策などと重層的な支援が予算化されております。
コロナ克服・新時代開拓のための経済対策、11月19日閣議決定の各種支援策ですので、和歌山県としても、生活、暮らしへの支援として迅速、円滑な実施が不可欠でございます。
先ほど知事からも追加の提案がございました。仁坂知事のことですから抜かりないものとお察ししますが、本県の取組を知事よりお示しください。
○議長(森 礼子君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先般閣議決定されました国の経済対策において、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、様々な困難に直面した方々に速やかな生活、暮らしの支援を届けるため、議員御指摘の各種給付金の支給やマイナンバーカードを活用したマイナポイントの付与などの事業が盛り込まれたものと承知しております。
県としては、先ほど上程いたしました県分の予算と併せて、各事業の事務の執行を担う市町村等と協力いたしまして、遺漏なく事務が進むように取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。
いろいろ質問通告を出して打合せしている中で、答弁を考えてくれているんやと思います。そんな中で、まだ予算に上がっていないからみたいなこともあって、なかなかはかどらんとこもあったんですけど、今日はお話しになられたんで、またこの後、ここの議員さんがいろいろ質疑やら進めるんやと思いますんで、期待したいところでございます。
それで次に、新型コロナウイルスの感染症対策について伺います。
昨年2月からのパンデミック以来、世界中が混乱する中、本年夏の東京五輪も大成功し、本県においても紀の国わかやま文化祭2021や全国障害者芸術・文化祭わかやま大会、紀の国わかやま総文2021も無事成功のうちに終えることができました。改めて関係者皆様の御奮闘に敬意をささげ、感謝の意を表する次第でございます。
ワシントン・ポストがガバナー仁坂をたたえ、NHKスペシャルでのドクター野?の活躍ぶりを見るにつけ、和歌山県民として誇らしく思っております。
本県での感染状況は、毎日送られてくる報告を見ましても、収まったものと安心したいところです。もういよいよあと1人の入院が退院したら全くのゼロに、始まる前に戻るかと思うんですけど、ここに来ましてオミクロン株と称する変異株が席巻の兆しとの報道でございます。このオミクロンの名前を、政府のいつも説明してくれる尾身茂さんが苦労するからオミクロン、そんな名前やというて駄じゃれを言う人もありましたですけども、これからの拡大が心配されるところでございます。
ワクチン接種も3回目が始まりました。過去2回接種の教訓もあり、心配は無用かと思いますが、私自身2度目の接種の折に38度9分の高熱にうなされただけに、不安が付きまといます。
また、いまだワクチン接種の危険性を叫ぶ専門家もいるようです。
今朝の「あさイチ」なんかでもこういう国民のいろんな不安について専門家が答えてくれていましたですけども、和歌山県の保健衛生に格段の見識をお持ちの仁坂知事に、3回目の接種がなぜ必要なのか、お示し願いたいと思います。
○議長(森 礼子君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 新型コロナウイルスワクチンは高い発症予防効果があり、またそれ以上に感染や重症化を予防する効果も確認されておりますけれども、感染予防効果や高齢者においては重症化予防効果についても、時間の経過に伴い徐々に低下していくということが様々な研究結果から示唆されております。県の独自調査においても同様の結果が出ております。
一方、追加接種により、低下した感染予防効果や重症化予防効果を高める効果があることが、令和3年10月28日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において海外の臨床試験等として報告されております。
既に追加接種の薬事承認を受けたファイザー社製ワクチンにおいては、追加接種の効果として、60歳以上でファイザー社製ワクチンを2回接種後、5か月以降に追加接種したグループは、追加接種していないグループと比較して、感染例の発生率比が11.3分の1、重症例の発生率比が19.5分の1であったとの報告がなされております。したがって、打ったほうがいいということだろうと思います。
さらに、交互接種というのがございます。これは、ファイザーとモデルナが二つありますので、これを混ぜてええのか悪いのかという話がありまして、万事慎重な厚労省が「混ぜてよろしい」と言っているので、逆であるとちょっと心配なんですけど、多分大丈夫だろうと、多分というか大丈夫であろうと私は確信をしています。
ただ、もうちょっとそれについて、以前はやっていなかったわけですから、大丈夫ですということをもっとPRしてほしいなあというのが我々の望みであり、知事会からもそういう要請をしているところです。
アメリカの10施設を対象とした調査におきましては、交互接種による追加接種したグループと同種ワクチンを追加接種したグループを比較した研究結果が示されておりまして、追加接種後に中和抗体価が同種接種で10.2倍から20倍に、それから交互接種で11.5倍から31.7倍に増加したと報告されているところでございます。これ、「から」というのは「アンド」というほうがよろしいかと思います、2種類ありますものですから。
したがって、交互接種のほうが効果がよりあるかもしれないというのが、僅かな差ですが、報告をされております。
このように追加接種の効果もありまして、ワクチンを2回接種済みの海外の国において感染が再拡大している状況を勘案すると、感染拡大防止及び重症化予防の観点から、3回目接種の機会を設け、個人のためにも社会のためにも可能な限り接種いただくほうがよろしいかと思います。
また、御質問にはございませんでしたが、1回もまだ打っていない人、あるいは2回目を打っていない人も僅かにいるかもしれないし、それから、今までは打ちたくなかったという人もいるかもしれません。体がそれを許さないような人は別でございますが。そういう方がやっぱり大丈夫そうだからもう打とうかなというふうに思っておられる人は打っていただいたほうが安全ですし、1回も打っていない、あるいは2回打っていないという人は、3回目どうのこうのというよりももっと本質的な問題だというふうに思いますので、今からでも打たれたほうがいいと考えます。これは、制度的にはもう締切りというわけではございませんので、接種券があれば今でも予約はできますし、接種券をなくしてしまった人は市町村の担当の方と相談していただければと思います。
ただ、市町村によっては、もう希望者が一時ほとんどいなくなってしまったんで、一時休止しているというところがあります。そういうところへ行って、「やっぱり考え直したので、すぐ打ってくれ」と言っても、これワクチンを解凍するプロセスとかいろいろありますんで、6人集まらないとなかなか技術的に難しいんだそうです。ですから、少しお待たせするかもしれませんが、それは必ず打てますので、そういう方も打っていただいたらいいし、3回目も積極的に打っていただいたらいいと私は思っております。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。
知事が最初におっしゃった打っていない人もまだ2割、3割ありますし、これから打とうかと当然あると思います。ただ、市町村の事務で、そういう市町村の準備ができていないときは、もっと融通してあげたらええかなと思います。
それで、今度、福祉保健部長にお尋ねします。
先ほど知事からもありましたけど、3回目はファイザー製とは限らず、モデルナ製との交互接種になるとの報道に接します。そのほうがええようなこともおっしゃっていましたけど、そしたらそっち待とうかというようなことにもなりますんで、市町村や職場接種などもこれから進めていかなければなりませんけど、前のような混乱のないように、迅速に速やかに打ってもらえるものなのかどうか、福祉保健部長にお尋ねしたいと思います。
○議長(森 礼子君) 福祉保健部長志場紀之君。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) 3回目のワクチン接種については、現時点では原則8か月以上経過した方に対して市町村から接種券が段階的に送付され、接種券が届いた方から順に予約をしていただくことになります。このため、1回目や2回目接種のように希望者が集中して予約が取りづらいといったことはないと考えています。
また、1・2回目接種時に各市町村や医療機関の御努力で接種する体制は整えられていること、さらに今回は1回で接種が完了することから、国から接種に必要なワクチンが必要な時期に十分に配分されれば、遅滞なく接種が進むものと考えております。
しかしながら、2月接種分からは、ファイザー社製ワクチンだけでなく、モデルナ社製ワクチンも一定量が国から配分される予定であり、新たに市町村で取り扱っていく必要があります。そのため、先ほど知事から御説明申し上げましたとおり、国に対して交互接種の有効性や安全性についての情報発信を要請するとともに、市町村でモデルナ社製ワクチンを接種できる体制が構築できるよう市町村に助言をしてまいります。
また、12月6日の首相所信表明で述べられた3回目接種を8か月を待たずにできる限り前倒しするとの発言につきましては、詳細が判明次第、市町村とも情報共有し、対応を考えていきたいと思います。
3月には職域接種も始まる予定であり、実施する団体が速やかに接種できるよう、連絡調整や助言をしてまいります。
県といたしましては、これまでと同様に、市町村の状況を把握し、必要に応じてワクチンの配分に係る国への働きかけや希望する市町村へのフォローなど必要な支援を行い、3回目の接種を希望する方がスムーズに接種できるよう市町村や医療機関と力を合わせて取り組んでまいります。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。
聞けば、ファイザー社が55%でモデルナ社が45%というようなことのお話もございますし、モデルナ製は薄め方が違うとか、あるいは1回で15回取れるとか、また各医療機関も扱い方が違うんで、またどっかでミス起こって騒ぎになるようなことのないように、慎重かつ、その上で迅速にお願いしたいと思います。
続きまして、先ほど中本議員も聞いていましたけど、水道事業についてお伺いします。
御案内のとおり、水道事業は市町村が担っております。県庁の水も和歌山市から買っております。
去る10月3日午後、突如として六十谷の水管橋の一部が崩落し、和歌山市北部への供給がストップしてしまいました。6万世帯、13万8000人が断水で大混乱に陥りました。
あの日の午前、砂山消防団の一員として、あの水管橋の真下で放水の訓練を行い、穏やかな秋晴れの下、真っ青な空に向けて筒先を向けて快適な訓練をしておりました。平和な風景にそそられて、スマホで水面の写真も撮りました。私の撮った写真が水管橋が落ちる前の最後の写真ではないかなと思っておりますけども、そういうのどかな日でございました。
まさにその3時間後に事件が勃発し、夜のニュースで水管橋の崩落を知り、断水の危機を覚え、直ちに浮島代議士に一報を入れて、国土交通省と厚生労働省への援助要請を依頼した次第であります。
ちょうど白浜での活動を終えて上京の途上にあります浮島代議士から、「あした、菅内閣から岸田内閣への交代に伴い、斉藤鉄夫代議士が国土交通大臣に就任予定なので連絡を取り、また厚生労働省も幸い副大臣が公明党の山本博司参議院議員なので相談する」との御返事をいただいておりました。公明党の和歌山市議団と共に現地にも足を運び、浮島・門両代議士にも同行願い、尾花市長からの要請を現場で受けた次第です。
両代議士の尽力のかいもあって、早期の仮復旧にこぎ着け、本復旧への予算措置にも結びつきました。先ほど中本さんの当局の答弁にもありましたけど、いろんな措置を緩和してもうて、40年以上のこういうことについてもお金が使えると。こんなことで国のお金も6億円ほど使えることになったようでございます。また当然、間には県当局も入っていただいて御尽力いただきましたことを改めて御礼申し上げます。
そこで、たしか2年ほど前に水道事業の改革に関する冊子を受け取ったなあということを思い出しまして探しましたところ、こういうきれいな「和歌山県『水』道ビジョン」という冊子を(冊子を示す)頂きました。
全国的に高度成長期に布設した水道管の更新期を迎え、耐用年数40年を超えた管路の経年化率は上昇の一途で、漏水・破損事故も絶えることなく増える一方とのことでございます。
水道事業者の財政基盤や広域連携が期待されるとして、本県水道ビジョンでは各市町村の行う水道事業を五つの水系別にまとめているようですが、国土の強靱化からも改正水道法に基づく水道事業の経営基盤強化に資する本県の取組状況をお示し願います。よろしくお願いします。
○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。
〔生駒 享君、登壇〕
○環境生活部長(生駒 享君) 水道事業は、人口減少等で料金収入が減少する一方、老朽化施設の更新、耐震化などの施設投資は増大するなど、経営状況は厳しさを増しております。
安心・安全な水道水を供給する水道事業を持続的に運営し、災害に強い水道を構築するためには、水道事業のさらなる経営基盤強化に向けた取組が必要となっており、平成30年には水道法が改正され、経営基盤強化のために都道府県には広域的な水道事業の連携に取り組むことが求められております。
本県においては、令和元年に策定した和歌山県水道ビジョンに基づき、現在、水道の広域化の方向性を示す水道広域化推進プランについて検討中であり、今後も、市町村と議論を深め、水道事業の経営基盤強化に取り組んでいきたいと考えております。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 なかなか大きな事業ですんで難しいと思いますけど、水は当たり前のように日本は安い水道を飲ませてもうています。しかし、その裏には、水道事業者、市町村の御苦労があるわけですし、なるべく広域化してやっていけば安心になるんかなあと思いますんで、難しいですけど、よろしくお願いしたいと思います。
それで、続きまして、消費者の安全確保。
長期総合計画では、消費者被害の防止ということでうたってくれております。
県民生活課の事業の中で消費生活相談員を養成する講座の開催、仁坂知事も役人のときに経企庁か何かに出向されて消費者問題のことに取り組んでいただいたとお聞きしております。こういう講座の開催や、消費生活サポーターを育成するプログラムがあり、私もサポーターとして2年前に10年表彰も受けさせてもらいました。
最近の研修で、インターネット取引に関する相談対応に必要な法律知識として、山田茂樹さんという司法書士の講座がありまして、こういうテキストで(テキストを示す)勉強してまいりました。
デジタルプラットフォームの発達によりまして電子商取引の市場が急拡大を遂げ、フリマアプリ、ネットオークション、ショッピングモールに関する消費者トラブルの増加が問題となっております。現に、私の娘やせがれも、アマゾンや楽天、ヤフーといったデジタルプラットフォームでしきりに買物をしております。物販総合オンラインモール運営事業者と位置づけるそうでございます。
また、アプリストアの運営事業者として、App StoreやGoogle Playストアがあるということで今回の法律で規定されたそうです。
取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律、DPF取引法と略称しますが、来年の5月までに施行される予定です。
一方、事業者向けの特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律は既に施行されております。
毎日パソコンのメールをチェックするたびにインチキメールや副業の誘い、ポイント稼ぎの画面に触れさせられます。幸い私はまだ引っかかった経験はありませんが、スマホで注文したバックがなかなか届かずに、だまされたんかなあと思って冷やっとした経験もありました。
最近提供された令和3年度上半期の消費生活相談の概要によりますと、副業に関する相談やマッチングアプリでの──出会い系やと思いますけど──有料会員詐欺など、インターネット関連が増加しているとのことです。
また、うれしいことに、消費者庁が推奨しておりますLINEでの消費者トラブルの相談にも和歌山県は手を挙げて参加してくれております。
泣き寝入りすることなく、解約、クーリングオフや損害賠償など、消費者の保護、自立につながるような取組の強化が急がれます。
孤独な高齢者や事理弁識能力に欠ける社会的弱者の被害も埋もれたままかもしれません。不幸な人をなくす、誰一人見捨てない、置き去りにしないためにも、消費生活の相談の窓口につながることが非常に大切です。
和歌山県のこういった相談窓口はお役に立ってくれておりますでしょうか。環境生活部長、お答えください。
○議長(森 礼子君) 環境生活部長。
〔生駒 享君、登壇〕
○環境生活部長(生駒 享君) インターネットの普及に伴い、様々な消費者トラブルが発生しています。そうしたトラブルで困っている全ての方が消費生活相談などの支援を受けられるようにすることは非常に大切です。
現在、県内には、お住まいの地域で相談を受けられるよう、県消費生活センターのほか、広域設置も含め、全ての市町村に消費生活相談員による相談窓口を開設しております。
消費生活相談窓口については、県や市町村のホームページや広報紙などでお知らせしており、電話で最寄りの相談窓口につながる消費者ホットライン188の利用も広めているところです。
また、県消費生活センターでは、テレビ、ラジオのほか、情報誌やセミナー、研修会において注意喚起が必要な時宜を得た情報を発信し、消費者トラブルを未然に防ぐ取組も行っています。
さらに、悪質業者に狙われやすい高齢者等の被害防止のため、地域での見守りネットワークづくりを進めているところです。
県では、これらの施策を進め、消費者トラブルで困っている方を支援できるよう、引き続き取り組んでまいります。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。
相談窓口をつくっているというんですけど、それこそ北山村や高野山に相談員が常駐しているわけではないようでございます。県各振興局から派遣して順番でやっているというようなことなんで、もっと充実できたらいいのになあ、そんなことを思います。
また、10数年前ですか、愛染蔵の呉服屋が閉じ込めて無理やり買わすという商法がありました。私の母親も残念ながら誘われて行って、靴を隠されてなかなか帰れなんで、孫を迎えに行かんなんのにというて嫌々ながら、その中では一番安いものを契約して帰ってしもた。同居している弟にはなかなか相談できやんので、別居している私に相談があって、私もこれはえらいこっちゃということで県の相談員に相談しまして、いやいや、これはまだ今の時点やったらクーリングオフできますよと言って、はがきの書き方まで教えてもらって、無事難を逃れたことがあります。そのように非常にうれしいことがありますので、あちこちでやってもらいたいし、御発言にありました見守りネットワークも、国のほうはこれからどんどんどんどん推奨していこうということですんで、やってもらいたいと思います。
そしてまた、先ほど触れました新たに──LINEでなかってもええですけど──SNSを使って、なかなか若い子は電話をしないという時代で、自殺相談なんかでもSNSでやろうかというような時代でございますんで、今、実証的にやってくれていますけど、和歌山県で本格的に取り組んだら喜んでくれるのかなと。和歌山県民だけでないか分かりません、SNSになりますとね。そんなところについてどうでしょうか、お取組のおつもりはありますか、お答えください。
○議長(森 礼子君) 環境生活部長。
〔生駒 享君、登壇〕
○環境生活部長(生駒 享君) 今現在、消費者庁では、若者の被害防止に向けて、コミュニケーションの中心でありますSNSを使った消費生活相談を令和元年度から試験的に導入いたしまして、課題や問題点の検証を行っており、本県も今年度、その実証実験に参加をしてございます。
SNSの相談につきましては、電話や対面に加えまして、新たに相談をする機会を増やすツールでございます。しかしながら、その実施につきましては、消費生活相談として有効に機能するのか、また必要な実施体制はどのようなものかなど、実証実験の結果を踏まえながら当面は研究してまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 電話でやり取りするだけということで、SNSは打たんなんですから文章も残りますし大変だと思います。一方で、文章で打つからこそ、法律名や条文や適用するところがはっきり分かっていいんじゃないかというようなこともありますんで、ぜひ進めていただけたらと思います。
続きまして、県民からよく寄せられる、尋ねられることをお教えください。
紀伊半島一周の高速道路や紀南への4車線化も大きな関心事でございます。これは、先ほど中本さんも説明してくれましたように、年末には印南までの4車線化になりますし、串本から勝浦までの高速道路も工事が始まるとのことでございます。うれしく思いますし、関係者の皆様の尽力に改めて感謝申し上げます。
先月、三重県の亀山から紀伊半島を南下して自動車道を走ってまいりました。それが尾鷲まででございました。尾鷲から熊野までもつながっているんですけど、点検の工事か何かで、お昼やのに残念ながら通れませんでした。紀北パーキングエリアって、こんな紀南やのに何で紀北というんかなというようなところのパーキングエリアでもありましたけども、尾鷲から熊野までが走れなかったのが非常に残念でございます。
一方、熊野から新宮までもあと一息、新宮大橋もあと一歩かと思います。
その一方で、和歌山市内の都市計画道路の進み具合もよく住民から聞かれますので、分かりやすくお示し願います。
幾つか挙げますので御答弁してください。
西脇山口線の歩道未整備による2車線区間、せっかく通ったのに川永団地のところは狭いまんまで、ガードレールが邪魔しております。これの4車線化はどうなりますか。
あるいは、南港山東線、今福神前線、市駅和佐線、それぞれ工事に着手していて、県民から問われますので、県土整備部長、御答弁お願いします。
○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。
〔安部勝也君、登壇〕
○県土整備部長(安部勝也君) 西脇山口線の川永工区約1.3キロメートルについては、県が事業主体として進めており、既に用地取得が完了し、今年度末の4車線完成を目指して電線共同溝等残る工事を推進しています。
次に、南港山東線の西浜地区から関戸地区までの920メートルは、県が事業主体として用地取得や4車線の拡幅工事を進めています。交通量の多い区間であることから、5か所の信号交差点に右折レーンを設置し、すぐに運用を開始するなど、並行して渋滞対策も進めています。
なお、事業の加速化を図るため、平成27年度に事業主体を和歌山市から引き継ぎ、今年度中の完成を目標に鋭意推進してまいりましたが、完成年度の目標を来年度にしたところです。これは、用地取得や用地契約後の建物撤去に時間を要したことによるものです。
また、今福神前線と市駅和佐線については、市が事業主体として進めており、前者は用地取得が約6割完成し、取得箇所から順次排水施設等の工事を推進し、後者は来年度末の完成を目指し擁壁等の工事を推進していると聞いています。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 水軒口から和工までの間、もう随分進んでいると思います。ただ、もう、残っているとこあるんでしょうけど、できたところは暫定供用もしてもうて、ちょっとでも使えるところは使ってほしいなあ、そういうことを要望しておきます。
また、神明さんの前から大浦街道を抜ける道です。浦口さんのところなんかも関係するんか分かりませんけども、これも市民から進んでいるのかどうか、聞いたら市の仕事やということでなかなかここでは難しいですけど、また協力したっていただけたらと思います。
それで、以前からここの一般質問でも何度かお尋ねしています大浦街道です。舟津から西浜までの歩道の整備状況です。歩行者や乳母車、シニアカー、自転車の通行をあの狭い歩道を見るたびに冷や冷やしているんですけども、新和歌浦梅原線の歩道整備の状況も県土整備部長からお示しいただいたらと思います。お願いします。
○議長(森 礼子君) 県土整備部長。
〔安部勝也君、登壇〕
○県土整備部長(安部勝也君) 県は、県道新和歌浦梅原線、いわゆる大浦街道の西浜交差点から舟津町交差点までの1.8キロ区間において歩道を整備しています。
本事業は、都市部に位置し、関係する権利者が多いことから、花王橋東交差点から舟津町交差点までの700メートル区間に集中して用地を買収しており、現時点で約6割が買収済みです。買収後、物件の撤去が完了した区間から順次工事に着手しており、現在、約120メートルの歩道が完成しています。
県といたしましては、早期完成のためには地元協力が必要なことから、所有者に対して粘り強く事業の必要性を説明し、御理解いただくとともに、やむを得ない場合は土地収用法の活用も視野に入れながら事業を推進してまいります。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 いろいろ難しいですよ。けども、ぜひよろしくお願いします。危のうて仕方ないんで、よろしくお願いします。
同じく最近よく聞かれるんですけど、道に描いている青いマークの件でございます。聞けば、矢羽根型路面標示と言うそうです。
少し前には、同じ青い真っすぐな線、100メートルごとに5メーターのラインを引いて、県が進めているサイクリングロードの自転車を誘導するためのものだということでした。自転車しか通らへん紀の川の河川敷にまで、別に青いのを引かんでもええのに、ずっと青い線を引いてくれております。
そういうことも今までありましたけど、ここに来ましてずっと目立っているのが、最近描き出した、和歌山市内だけらしいですけど、矢羽根のマークです。交差点の中にまで矢羽根のマークが5メーターごとに、これでもかと言わんばかりの間隔の狭さで描かれております。
私、バイクに乗るもんですから、雨にぬれているときなどバイクでブレーキをかけるとスリップしそうで、危険この上ない不安でございます。一体あれは何でしょうか、県土整備部長、お答えください。
○議長(森 礼子君) 県土整備部長。
〔安部勝也君、登壇〕
○県土整備部長(安部勝也君) 自転車は、道路交通法上、軽車両と位置づけられ、歩道と車道の区分がある場合には車道の左側を通行することが原則です。
矢羽根型路面標示は、自転車の利用者が走行する車道の空間と走行する向きを示すとともに、自動車の運転手に自転車が走行する空間であることを示す目的があります。その目的を達成するために、運転手が認知しやすいような形で、青色、幅75センチメートル、設置間隔は単路部では10メートルを標準とし、交差点部では密にすることなどが国土交通省と警察庁の連名のガイドラインに規定されています。
県では、歩行者と自転車の通行の多い市街地の歩道上において、双方が錯綜するなどにより事故の危険性が高い区間を対象に、自転車を車道へ誘導するため、国や和歌山市と連携し、矢羽根型路面標示を整備しています。
なお、その標示については、施工と同時に表面に滑り止め剤を散布し、滑りにくい加工としています。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 国からの計画だということですけども、改めて、あんなことが始まったんでどんどん聞かれるし、私なりに勉強しました。和歌山県もこういう京都の(冊子を示す)これは自転車条例ですけども、和歌山県も自転車条例というのをつくっています。これにそんなこと書いているのかなあと思って調べても、全然今回のことは、自転車を車道に追い出すんやというようなことも、新たなことは触れていませんし、警察関係にもいろいろ聞きました。ところが、なかなか、せっかく引いたことやから、お巡りさんが制服を着て、通学の高校生やら一般の人に「もう歩道走らんといてよ。こっちやで」と誘導してくれるようなことでもすれば、自転車は車道やなということで、青い線の上、走ってくれるんかなと思うんですけど、警察の交通規制の担当課の方は、道路交通法第63条の4に自転車のことを書いていまして、いろいろ整理やら何やらたどっていくと、結局もともと法律で13歳未満の子やら70歳以上の御年配の方は車道を走らんと歩道を走ってええということだそうです。また、歩道通行可になっている県庁の大通りなんかそうですね。日赤の前まで行くところなんかもどんどん通行可と書いていますから、あれは僕らも走っていいわけです。
また、全然、歩道がありながら走ってはいかんところだから、私が車道を走っていたとしても、車道に、左側に車が駐車していたり道路工事があったりして、私自身が危険やと思ったら、どうぞ歩道へ入ってもええという条文まであるわけですよ。
そうなると、なかなか「おい、こら」──こらとは言いませんか、今は、「おい、中学生、高校生、こっち走れよ」と言うたところで、法律を勉強した高校生やったら理屈を言うか分かりません。「何言うているんです。私、危ないからこっちに乗ったんですよ」。
そんなことで、なかなか警察も権力を使うてというか制服の力で持っていくわけにはいかんというようなことでございました。
それで、そういう中で、県土整備部はお金まで使って、和歌山市内を円滑にしようかとしたわけですから、どんな形でこの先進めていくおつもりなのか、お答えください。
○議長(森 礼子君) 県土整備部長。
〔安部勝也君、登壇〕
○県土整備部長(安部勝也君) 自転車の利用が進む中、歩行者と自転車の錯綜による事故などを削減するため、自転車が安全かつ快適に走行できる空間を確保するだけでなく、道路の利用者に対して交通ルールを周知啓発することも重要だと考えています。
県は、例えば和歌山市内においては、今年6月より、国や市、警察と連携して、市内の約34キロにわたる道路について、自転車道や自転車専用通行帯、矢羽根型路面標示などを集中的に整備しています。
その際、周知啓発に係るチラシを作成し、8月から運転免許更新時における配布、11月から中学校や高等学校における交通安全教育での活用をしています。また、警察、教育委員会と連携し、路上における交通安全指導などに取り組んでいるところでございます。
今後も、あらゆる機会を捉えて、安全で快適な自転車の通行空間の整備とともに、道路利用者への周知啓発も継続していく所存でございます。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 御答弁となったらそうなるんでしょうけど、こういうチラシも配っているというんですね。しかし、当たり前のことですけど、自転車は車道が原則、歩道が例外、車道は左側と堂々と書くわけですよ。また、こういう警察の人はチケットも配って、違反者にはいきなり赤切符を切るわけにいきませんから、警告を発するそうです。しかし、もう皆さん御存じのとおり、そんなん見かけませんわね。たまに自転車のスポーツバイクみたいなんで颯爽に走る方はありますけども、なかなか走っていません。また、ここから県庁西側に水門筋があります。歩道もほとんど歩いている人はおりません。そんな中で青い線を引いています。自転車、どっち寄ったら、もう歩道を平気で走っていますし、わざわざ車道に出やんなんかいという感覚なんで、たまたまこの前、歩道もすいているのに自転車で走っているおっちゃんを見たんで、ああ、立派やなと思いましたですけど、なかなか進まんのん違うかなと思ったんで、これからもどんどん進めてもらいたいし、せっかくお金かけてやったんですから、せんなんのかなと思います。
続きまして、次の質問に行きます。
最近、同じく県民の方から聞かれたりする一つの提案でございますけど、学校には生徒心得と称する一般的に校則と呼ばれるものがあります。今は市立和歌山高校になっていますが、元の市立和歌山商業高校、市和商ですね、この名物行事に市和商デパートという、生徒が仕入れやら販売を経験するイベントがございまして、とても廉価なもんですから市民に非常に好評でして、大変にぎわっておりました。
市議会議員の頃に政務調査の一環として見学に行って驚きました。それは制服姿の女学生のほとんどがお化粧をしているんです。「これでいいんですか」と聞くと、「校則では禁止で、化粧はあきません」と先生は言うんですね。「だけども、当たり前になり過ぎて、今さら教師が言うたところで直りません」という先生の返答でした。自由なんでしょうね。
そこで、県民の方から、制服は自由にならないものかという問いを受けました。最近、LGBT、LGBTQ、さらにはLGBTQ+と、表現も目まぐるしく変わっております。また、最近では、SOGIハラスメントといって、性的指向や性的自認といったセンシティブなことに触れる言い回しについて注意が必要ということでございます。
性の自認等で生きづらさを感じる生徒への配慮が求められている教育現場であります。承れば、高校生や中学生でスカートに抵抗のある生徒にはスラックス、ズボンでもええですよと校長先生の裁量で認めていらっしゃるようです。ところが、調べてみれば、先ほど申し上げました生徒心得や校則には、男はズボン、女はスカートと、ちゃんと着用すべしと書いているんですね。その上で、運用として許すというのであれば、先ほど申し上げたお化粧と同じことなんですね。
そこで提案です。
このたびの衆議院総選挙の立候補の告示事項におきましても性別の表記をなくしたそうです。また、最近、和歌山の県営住宅でも同性同士の入居も可というふうに方針を変えたそうでございます。そういったことから、本県の学校でも性別欄をなくしてはいかがでしょうか。校則の性別欄をなくせば、自然と制服に書いていますズボン、スカート、あるいはネクタイ、スカーフ、こういう区別が男・女関係なく自由になると思いますが、いかがでしょうか。
たまたま自由化と言えば、半世紀も前になりますけど、私、海南高校2年生の頃に制服自由化の実験がありまして、私、夏に黒いズボンがもう不快で仕方なかったんで、バミューダの、半ズボンで1週間通うて、とても快適だったことを思い出しました。ところが、当時担任の小関先生、後に教育長になられた方ですけど、「君たち、今、粋がっているけど、大人になったら詰め襟が懐かしく思うよ」というようなことをおっしゃったことも今思い出しました。
同じく校則に関して自転車通学のヘルメットのこともそうですけども、県立中学にはヘルメットをかぶれと書いています。先ほどの矢羽根型道路標示の議論でもお分かりのとおり、13歳未満の子供や70歳以上の高齢者は除かれますし、自転車は車両として左端を走れとなっていますけども、高校生の自転車も当然立派な大人ですから、大人というか13歳以上でございますから、車道の左を走ることが本来のようでございます。こういったことを生徒に推奨するのはいかがでしょうか。また、推奨するとしたら危ないですよね。危ないからヘルメットをかぶるように、生徒にこの際、生徒心得、校則にそういったことを書いてみてはどうでしょうか。教育長、お答えください。
○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 校則についてでございます。県教育委員会では、令和2年度県立高等学校入学者選抜から、県立高校の入学願書の性別欄を廃止いたしました。また、各学校に対しては、性別にかかわらず制服を自由に選択できるよう、個別の事情に寄り添った丁寧な対応に努めるように働きかけてまいりました。
こうした中、制服の見直しの機会を捉えて、制服の選択制や性別にとらわれない男女共用の制服を導入する学校も増えています。
県教育委員会では、性の多様性を尊重することを重視し、議員御指摘の校則における男女を区別した記載がある場合は見直しを進めるよう各学校に指導・助言をしてまいります。
次に、通学時の高校生のヘルメット着用についてでございますが、県内において、通行区分が整備され、自転車が車道を走る機会が増えたことから、運転者の安全面を考慮すると自転車乗車時のヘルメット着用は大切であると考えます。
今後、各学校における交通安全指導で取り上げたり、交通安全の啓発に係る文書に記載したりするなど、あらゆる機会を通じて高校生への啓発を広く進め、安全確保に努めてまいります。
また、学校が定めている生徒心得や校則への記載については、生徒や保護者等と共通理解を図りながら適切に対応するよう各学校に伝えてまいります。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 高校生、3ない運動でバイクに乗れないんですよね。法律的には乗ってもええのに、一応校則というかそういう縛りで、よっぽど遠い子でないと認めないということで、人の権利を、16歳からバイクに乗れる権利を縛っているわけですね。一方で、こういう自転車については、本来は左端を走れというんやけど、ずるずるのまんまですよね。ヘルメットかぶったらええのになあと思って言うたら、教育委員会のほうから強く言うてくれたら、県立中学校ではやっているわけですから県立高校でもできるんかいなあと思うけど、何か各学校と相談してみたいなことでありますね。
そこで、宮﨑さん、さっきの入試要項には男女と書いていないというんですから、制服についても男女は書かんというのをここではっきりは言えませんか。お願いします。
○議長(森 礼子君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) そもそも、例えばヘルメットに関してですけども、危ないからヘルメットをかぶっていこうとする、そういう共通理解、共通認識が必要だと思います。その上で生徒が積極的にそうなることが大切でありますし、そのようにしむけていきたいと思っているし、その上で校則ができるのではないかなというふうに思います。
男女の記載に関しましても、やはり共通認識が必要だと考えておりますので、そのとおりだと思います。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。
見直しという言葉も発してというようなことも言うてくれてましたんで、お尋ねした次第でございます。恐らく校則を教育委員会が直接消すわけにいきませんか知りませんけど、校長先生がそういう方向で教育委員会が言うんであれば、どんどん学校は聞いていくと思いますので、よろしくお願いします。
最後に、県立高等学校の再編についてお尋ねします。
昨年8月、きのくに教育審議会答申を受けて始まった高校再編の騒動は燎原の火のごとく広まり、県民の一大関心事となりました。
私も文教委員会のちょうど委員長をさせてもらっておりましたんで、坂本先輩と共に全教育委員のお宅を訪問して御意見を伺うなど、精力的に取り組みました。私が秘書としてお仕えしました西博義元代議士も教育のことには非常に熱心でございまして、「高校入試はもういらない!」という著作もあり、和歌山の高校について関心を示し、お互い議論を深めてまいりました。
その後、県教育委員会が見直すとして、地域の中核校、特認校というふうな概念を導いて、何かランクづけにつながるような新たな議論も呼び起こしました。そして、今回の発表です。資料提供した後、各新聞社やメディアが質問して、それで取り上げて報道してくれるということになっていますけども、先ほど申し上げたように、きのくに教育審議会から始まった、県議会でも大騒動になった問題でございますんで、この本会議場において説明すべきが本来の姿だと思いますので、教育長のお考えをお示しください。
○議長(森 礼子君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 県立高校の再編整備につきましては、令和2年8月のきのくに教育審議会答申で、今後15年間の大幅な生徒減少を見据え、再編整備が必要との提言をいただきました。同年秋に合計25会場で1000人以上に御参加をいただき懇談会を開催し、29校が20校程度になるイメージであることなど、生徒数減少の厳しい状況を御認識いただく一方、母校や地域の高校に対する県民の皆様の関心は高まったかなというふうに感じました。
そのような中、県議会や県民の皆様、それからいろんな方から、結論を急がず、時間をかけて様々な願いを聞くべきだとの御要望や、将来の高校教育の在り方についての議論が十分進んでいない状況がありました。そのため、本年2月、各学校の役割や使命についての考え方を提示し、御意見を伺う説明・懇談会を15会場で行い、1000人以上に御参加をいただきました。このような取組を通じて、高校の再編整備についての相互の認識は段階的に深まったと考えております。
こうした状況を受けて、令和3年4月には、望ましい高校教育について県民に直接問いかけるとともに、県内の各市町村長や教育長から地域の状況も伺ってまいりました。県民の期待や願いは県教育委員会が懇談会等で説明してきた再編整備の理念と重なるものであると考えております。
このたび公表した「県立高等学校の再編整備の基本的な考え方」は約1年にわたって伺った意見や要望等を取りまとめたもので、その内容は県立高校の再編整備における合意事項と認識しております。さらに、この合意事項に基づく各地域のおおむね10数年先までの高校の在り方については、「各地域における今後の県立高等学校の在り方」として提示いたしました。
今後、これらの考え方、在り方に基づいて、仮称ではありますが、現在作成・調整している「これからの県立高等学校教育の充実と再編整備」を速やかに公表し、パブリックコメントを経て策定に至りたいと考えています。
大切なことは、各地域で望ましい高校や高校教育について議論を深めていくことであり、その意味で、策定はゴールではなく、今後の高校教育の充実と再編整備に向けたスタートと捉まえております。
既に様々な方々で構成される協議会を発足させ、熱心な議論がなされている地域もあり、今後は全ての地域でこのような取組を推進していく必要があると考えます。
県立高校の再編整備は、高校にとどまらない教育全体に関わる課題であり、総合的、体系的に取り組む必要があると考えております。
教育委員会といたしましても、今後の教育について県民の皆様と共に考え、期待感や安心感につながる高校教育の実現に努めていく所存でございます。
○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 我が県の高校生からオリンピックのゴールドメダリストも出ましたし、非常にうれしいことやと思います。いろんな形で高校教育が充実することを念願しています。
結びに、昭和42年から44年にかけての2年間、和歌山県議会議員として活躍し、その後、24年にわたり和歌山1区選出の衆議院議員として国政並びに郷土和歌山の発展に尽くされました、また、ふるさとを汚すなということで原発誘致にもずっと拒み続けたんでございますけども、私の政治の師匠、坂井弘一元代議士が去る11月22日、92歳の天寿を全うされました。秘書としてお仕え申し上げた15年は、私の人生の宝の15年であり、その後、西代議士と共に新進党、自由党に身を置いたときや、私が市議会議員、県議会議員の節目ごとに種々御指導を賜りました。我が人生の大恩人であります坂井先生に哀悼の誠をささげ、その薫陶に恥じぬよう、一層県議会議員としての精進をお誓い申し上げ、私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。
以上でございます。(拍手)
○議長(森 礼子君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時45分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
10番玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕(拍手)
今般、12月議会において一般質問をさせていただく機会をいただきました。ここ3回ぐらいはお昼からの登壇ということで、眠たくなる時間帯でありますけども、皆様方の眠りを誘うことのないよう、しっかり務めさせていただきたいので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。(「了解」と呼ぶ者あり)
なお、いつものことでありますけども、時に厳しい指摘、再質問させていただくこともあろうかと思います。そこは県を思う玄素の思いということで、当局の皆様方にはお付き合いをいただけたらと思います。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず1点目でありますけども、御坊工業団地、これは熊野の団地なんですけども、整備についてを質問させていただきます。
今年の8月17日のことでありますけども、和歌山市駅のビルにある県データ利活用推進センターで、高校生を対象にしたデータサイエンス講座が開催されました。次世代の日本を担うデータサイエンス人材を育成する目的で、県と総務省が共催したとのこと。前向き、未来志向でいいことだと思います。
そして、その講義の中で、岡山大学の中村良平特任教授が「地域の人口を1万人増やしたければ、農林水産業や製造業など基盤部分の雇用を新たに770人創出しなければならない」という統計的な見方を示したとのことでした。770人の新規雇用で人口1万人増、まあこれからしばらく毎年8000人から1万人ぐらい和歌山県でも人口減少が進む中で、逆に毎年770人の新規雇用をつくり出せば人口は維持できるんだと考えると同時に、人口を減らさないためにも、県はこれぐらいの雇用を増やす目標を持ってやるべきだという考えにも至りました。
そこで、思い出したのは、ほぼ全て埋まる見通しとなった御坊工業団地の近くにあり、更地にすれば12ヘクタールにもなる御坊(熊野)工業団地、かつてかなりの高額で用地買収したものの、造成費用がかかるとか、高い値段で買ったので安く売れないなどの理由から、現在はオーダーメード方式といって、造成については要望があった時点で造って引き渡しますという、一見さもありなんとは思いますが、同時に、事業者からすれば土地の金額も分からない、造成費も分からない、すぐに使えない、保安林が外れていないなどというデメリットが多く、また、企業用地の案内パンフにも掲載されていない、結果として有効活用がされていない県所有の土地があります。
最近では、衰退する産業がある一方、金融緩和の中、積極投資で成長している産業もあるように思いますし、大手企業や成長産業での企業進出は地域の雇用、年収を押し上げることにつながります。
ワーケーション、農業の大規模化、起業などで雇用を増やすことは可能です。和歌山県のIR候補のクレアベストによると、開業4年目の雇用予定が1.4万人、さきに御紹介した雇用と人口のデータを単純に当てはめれば、18万近く人口が増える計算もできます。しかしながら、前者は雇用する数が絶対的に足りないという問題で、後者は実現可能性の問題が残っています。雇用と人口減少の相関性は非常に高いと思いますし、雇用の問題が改善していけば、少なからず高齢化、財政、地域活性化、過疎化、治安、教育など県が抱える多くの問題を解消できていくように思います。
輸送コスト、人材確保など、かつて1自治体の首長として企業誘致活動をしていた際、企業誘致には、場所だけでなく他の要素も必要であることを理解しましたが、御坊工業団地の全ての用地が埋まりつつある中で、そのベースである企業用地がないというのは致命的であることは言うまでもありません。
用地造成にお金はかかりますが、雇用が確保できればそれ以上の効果を生み出すことは可能です。知事も、海外に出ていた製造業の国内回帰をはじめ、製造業の受皿が必要という趣旨のコメントを常に発せられていると思います。
県所有の用地があるわけでありますから、県単独で起債をしてでも、各種基金を活用してでも、当該企業用地の整備をすべきと考えますが、商工観光労働部長の見解を求めます。
以降は、対面式演壇にて質問、再質問を行わせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(森 礼子君) ただいまの玄素彰人君の質問に対する答弁を求めます。
商工観光労働部長寺本雅哉君。
〔寺本雅哉君、登壇〕
○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 御坊工業団地熊野地区の造成につきましては、これまでの議会においても何度か質問がありましたが、過去に用地は購入しているものの、採算性において問題があり、事業を進めることは大変厳しい状況です。
一方、雇用を創出するためには、企業誘致の推進が重要であり、とりわけ紀中・紀南については条件的に不利な地域となるため、奨励金の交付要件を緩和するなどして取り組んできた結果、一定の成果があったと考えています。
現在、御坊工業団地にほぼ空きがない状況で、かつ、湯浅御坊道路等の4車線化で交通アクセスが向上することもあり、日高地方における企業用地の需要が高まることが想定され、用地確保の必要性は十分認識しています。
しかしながら、御坊工業団地熊野地区については、今この時期に造成を計画することは困難であり、県としましては近隣市町と民間用地等の情報を共有し、企業用地の確保に取り組んでまいります。
○議長(森 礼子君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
いろいろ悩まれているなということを感じ取ったわけでありますけども、私はやっぱり造成をしたらいいというふうに思っているんです。
これからちょっとお時間をいただいて、その理由を少し述べさせていただきたいと思います。
まず、この令和2年度から5か年遡って、御坊と日高地域の県における雇用というのはどれくらいかというのを調べていただいたんですね。そしたら、5年間で46人、年間9人なんです。大体和歌山県では、毎年250人ぐらいの雇用は確保していただいているんですけども、どうしても利便性がいい紀北のほうが中心になってしまって、紀南のほうというのは放っておかれるということでもないんでしょうけども、地政学的にちょっと難しいというところはあるのかなというふうに思うんです。ただ、先ほど答弁いただいたみたいに、道もよくなっているわけですからということと、やっぱり南のほうの発展もあって、全体的な発展もあるという考えからすれば、これ何とかしてほしいってまず思ったんですね。
それから、この熊野の工業団地、これからまだ造成していないこの工業団地ですけども、大体3万6000坪ぐらいあるんです。今現状お金がかかっているのは、僕が聞いている範囲では取得費が11億円、ということは坪3万ぐらいで山買うたということになるんです。それはそれで結構な値段だと思うんですけども、それに、お聞きしているところから言うと造成費がかかるんだということなんですね。僕の把握というのは12億円ぐらいだと思っているんですけども、県の方にお伺いしたら18億ぐらいかかるんだと。
これ、民間の査定と公的な査定の差はあるんでしょうけども、ざっくりで申し訳ないんですけども、造成費15億だとしましょう。土地の取得が11億円で造成費が15億円なんで、大体26億ぐらいやっぱり先行投資をしないと駄目だということになるんだと思います。それが、採算が取れないとか費用対効果が悪いということになるのかなというふうに思うんです。ただ造成して、仮に造成して3万6000坪の造成が完了して、全部売り切ることがもちろん前提条件になってくるんですけども、3万6000坪、坪3万ぐらいなんですね、今の御坊工業団地の坪当たり単価が。ですからそこ、熊野も近いですから当てはめると10億8000万ぐらいの利益は出ると、これで取得費はまず何とかなるなというふうに思うんです。
それからもう一つあって、それは固定資産税なんですね。御坊市のほうで令和2年決算をベースにちょっと調べていただいたら、7700万ぐらいあったと思うんです。御坊(熊野)工業団地と、今の工業団地の面積比というのが大体10対6で、熊野のほうが少ないんですけども、それを単純に案分したら、毎年4600万ぐらいの固定資産税が入ってくるという計算になるんです。でも、御坊工業団地の今の企業というのは、固定資産でいうと土地の固定資産、建物の固定資産、設備に対する固定資産というのがあると思うんです。当時はもっと設備も新しかったんで、減価償却する前ですから1億円以上の固定資産税もあったんだろうなって想像がつくんですけども、これから減価償却は下がっていくんで、もう固定資産税も下がっていく傾向にあると思うんです。ちょうど中間ぐらいの金額になるのかな。
これ4600万を10年置いていただいたら4億6000万、20年いててくれたら9億2000万、30年いててくれたら13億8000万になってくるわけなんです。そしたら、造成費に係る費用15億円近いのも、これもクリアできるのかなというふうに思うんです。
だけど、残念ながらこの固定資産税というのは市町村税なんですよね。だから、御坊市さんに入ると。そういうことから言うと、県からしたら採算取れんというような考え方もできるんですけども、少なくとも御坊市は和歌山県の一部でありますから、そんな細かい話を言うべきではないかなというふうに思うと、こういうことも申し上げたいと思います。
そして、さらにまだあるんです。それは、県税2税なんです。法人県民税と法人事業税かな、二つの税金があります。これも自分なりに調べました。そしたら、さっきの面積案分なんかで計算をすると、やっぱり4500~4600万ぐらい上がるんです。これも10年企業いててくれたら大体4億6000万、20年いててくれたら9億2000万、30年いててくれたらやっぱり13億8000万、これ県へ入るということになるんですね。そうしたら、やっぱりやらんよりやったほうがええかなあというふうに単純に思うんです。そんな計算、今まで当局の方でされたのかなというのも疑問に思うんですけども。
さらに申し上げると、当然企業が来ると従業員もそこで雇用することになるんですね。100人なのか200人なのか300人なのか、それは分からないですけども、その方々というのは当然所得を得るわけですから、所得税、住民税というのを払われることになると思うんです。職場結婚もするかも分かりません。結婚したら家を建てることになります。また固定資産税、家を建ててもうたら払っていただけることになるんですね。
それからすれば、また子供も生まれるかも分からない。人1人増えれば消費支出も当然上がります。近くのスーパーやコンビニや周りで買物もしてくれるわけですから、消費支出も上がります。これ、自治体の関係者から見てもそうだと思うんです。人1人増えれば、大体印南町ぐらいのとこだと交付税が20万弱ぐらい、1人頭カウントで入ってくることになるんですね。周辺の自治体にとってもいいんじゃないかというふうにも思うんです。
さらに、そうやって人口減少に歯止めをかけることになってくれたら、地域の行事をやろかと言うたって、その支えを確保することもできる。医療や介護や年金やっていっても、その支えをその方々が支えてくれることにもつながるんです。そう考えて積み上げていったら、今現状で放っておいたら11億の取得費の赤字、維持管理費もかかるでしょう。聞くところによれば、周辺の河川改修も池の整備も、その予算でやっているんだというような話も聞きました。もちろん、今のままでいっていたら雇用も生まれやんですよね。話半分に今の私の話聞いていただいても、やったほうがええのかなというふうに、私は県民の前で部長と2人立たしてもうて討論会させていただいたら、勝つ自信はあるなと、そんなに思うんです。
今の話を部長に聞いていただいた上で、それでもまだやっぱり採算性の問題で、今のままのほうがいいと思われているんか、費用対効果においても問題があるというような答弁がされるのかというのを、非常に興味を持って思っているんですけども、もしそう思われているんだったら、その理由も含めて私に御教授をいただきたいと思うんです。御答弁をお願いします。
○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長。
〔寺本雅哉君、登壇〕
○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 先ほど先生が18億円というふうに言っていただきましたけれども、現時点の試算では、資材単価等の上昇によりまして、概算で約22億円程度の造成費がかかるというふうに考えております。
それとあと、売却額につきましては、先生言っていただいたとおり、約11億円程度というふうに考えてございます。
費用対効果というのを考えるのは、政策を立案する上で非常に重要なことであるということについては分かってはおるんですけれども、企業会計の大原則からして、造成費すら回収できない状況で新しく事業に踏み切るということは難しいと考えております。
○議長(森 礼子君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
やっぱり僕の言うてるほうが説得力があると思うんですね。企業会計が赤字になるからというふうに今答弁があったんですけども、これどこ向いて仕事しているんですかと、企業会計さえよくなればいいんですかというふうに僕なんかは今の答弁聞いていて捉えたんですね。県全体がよくなれるということのほうが優先だと思うんです。聞いていたら、何か企業会計、企業会計って、いやいや、全体的なことを見るのが和歌山県の仕事だし、和歌山県に仕える部長の仕事だと思うんですね。そこは、やっぱり誤ってもうたら困る。今こんだけ言われたら、それは答えようもなかったというのは私も理解しますけども、ただもう一つ、あとお聞かせをいただきたいんです。
今、オーダーメード方式って言われてやるんだということなんですね。ほんで取得費22億円かかると、だからこそよりやらなあかんなというふうに思うんですけども、これ、企業側から見れば、一体幾らかかるんですかということをまず疑問に思うんです。どれくらいでできるんですかというのもやっぱり疑問を持つんです。これ行政だったら、いや雨が多くて繰越しするんです、仕方ないですって言ってしまえばそれは通るんですけども、企業は期限の利益というのがあって、ちょっと遅れたらそれは全て損失につながるという理解はちゃんとしてもらわないと駄目なんです、そういうような観点。
それから、保安林も今あると思うんです。保安林、林野庁と協議するのもそうそう簡単に外れるものではないんです。最初どうオーダーメード方式で、これをクライアントが仮に食いついてきたとしても、いや、いつになるか分からないんです、林野庁の許可はないんでというようなことを言っていて、誰が買うんですかというふうに思うんです。ですから、今申し上げた3点、幾らになるんですかということと、保安林はどれくらいで解除できるんですかということと、一体どれくらいの期間で造成にかかったら出来上がるんですかということについて再度お伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長。
〔寺本雅哉君、登壇〕
○商工観光労働部長(寺本雅哉君) まず、スケジュールについてお答えいたしますが、保安林の解除につきましては、協議を含めまして約9か月程度かかるというふうに見込んでございます。
造成工事につきましては、詳細設計を含め約3年、その他調整も合わせて約4年かかる見込みというふうに考えておるところでございます。
売却の価格につきましては、先ほども述べました金額というのがベースになってくるとは思いますけれども、企業が希望する造成の規模、方法、用地の状況等により様々なものがありまして、現時点で確かな価格を提示するということは困難であります。
○議長(森 礼子君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 答弁ありがとうございました。
まあ4年もかかってと言われたらね、それは無理やと思いますよ、考え方がね、ということをまず申し上げたいと思います。
それから、用地の価格についても、詳細というか実際の価格の提示は今なかったんですけども、要は企業会計の下で元取らなあかんねん、22億円の造成費に対して11億円の取得費だから33億円ぐらいで売ることを想定しているのかなというふうに僕は捉えたんですけど、部長、そういう理解でよろしいんですかね。そうでもない。
だけど、さっきの言い方聞いていたらそんなんに捉えてしまった。だけどね、さっき僕が申し上げたように、周辺価格って全体の工業団地のうちで4000坪欲しいですよ、5000坪欲しいですよって言った方には坪3万で売っているんです、今、御坊工業団地のほうは。当然、熊野でやってもそれぐらいの価格でないと駄目やと思うんです、坪3万ぐらい。だけど、今の例えば33億を企業会計で取り戻そうとしたら、坪9万で売らなあかんという話になるんですよ、買いますか。普通面積を小さく見るんじゃなくて、例えば12ヘクタール3万6000坪全部欲しいですよと言ったら、4000坪、5000坪は3万でも、大きくなれば普通、単価って下げるんですよ、2万とか。
というようなことを考えたら、プランとしてはどうなのかなというふうに思いますということをお伝えすると同時に、もうこれちょっと詰めるようで申し訳ないんですけども、これが今、部長が答弁された内容が、県民に対して胸張って説明責任を果たせる内容かというと、私はそうではないと思うんです。それでも部長は今現状でいることが県民に対して説明責任を果たせるというふうにお考えなのか。私は、もしできるんなら、やっぱり今よりももうちょっとだけ踏み込んで考えていただきたいと思うんです。ちょっと検討していただけんかと思うんですけども、いかがでしょうか。再検討です。部長、すみません、答弁お願いします。
○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長。
〔寺本雅哉君、登壇〕
○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 議員のおっしゃることも非常によく理解はできるんですけれども、現時点におきましては、売却価格が非常に造成費等含めて低い状況にありまして、現時点でそれをやるということは難しいなと思ってはおります。(「説明責任が果たせると思っているかというふうに聞いたんです。再検討はされるんですかというふうにお伺いしたわけです。それについてお答え」と呼ぶ者あり)今のところ、それについての説明責任は果たせるものと考えております。
○議長(森 礼子君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 もうこれ以上言いませんので、あれなんですけども、実は現状においても、私の元にも、御坊・日高で工業用地があるんなら、3000坪、4000坪欲しいという事業者もいらっしゃるんです。あそこを造成したら、すぐにでも多分欲しいと言ってくれると思うんですね。
先月だったと思うんですけども、電気機器メーカーで、年間売上げ1兆数千億円の企業の関係者、連結で従業員だと7万人ぐらいになる企業の関係者の方と食事をする機会があったんです。半導体関係なんで、これからどんどん時代の要請に応えて、次から次へと工場も新設をしていかなければならないというような状況にあるというふうに聞いたんで、私ね、もうすかさず、私の自分の政治生命をかけてでもこの地域に来てくれませんか、もしそんなことがあったら私にお声がけいただけませんかとお願いをしたんです。
ただね、それでも4年もかかるとか、単価は周辺よりも3倍になるとか、そんな話はやっぱり突っ込んで言えないんです。ぜひとも来てくださいって言えないんです。私の政治生命をかけるのもちょっとどうかなと思ってしまうんですね。だから、そういうこともお考えいただきたい。
最近、都道府県の議員さんの研修会で言われていたことなんですけども、最近、Iターン、Uターンが増えてきていると、全体的に田舎と言われる府県は増えているというような話だったんです。そういう方の一番の悩みは何かっていうたら、帰ったら職業あるんですか、仕事あるんですかということなんです。だから、そういう受皿をつくるという意味においても、さっきから部長の話をお伺いしていたら、どうしても役所目線で単眼的なんですね。もっと複眼的に見ていただきたい。こんなこと言うて僕、部長に嫌われるの分かっているんですけども、だけど何とかしたいという思いが強いんです。
知事にも再質問しようと思ったんですけども、もう十分分かっていただいたと思うんで、いやいや、構わんです、時間ない、時間ないんで。(発言する者あり)知事、ほんなら、すいません、ちょっと僕やり込めてしまいたいんですけど、ちょっとコメントをいただきたい。それじゃ、どうぞお願いします。あんまり長いこと時間取らんといてください、時間なくなってくるので。
○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 結論を言うと、ここについては、どう考えても採算が合わんなあということについては、私はそう思っています。
ただ、全体として幾つか申し上げますと、まず議員が一番初めに言われた造成費入れて考えると苦しいねと言われたことについては全く同意でございまして、過去どういう高値で買ったかによって、これがあるからかえって企業立地が進まないなんていうのはばかばかしい話なんで、過去赤字になって、要するにバランスシートが悪くなっているというのは、まあいいじゃないかという損切りをすればいいというふうに思うんですよ。
ただ、これから幾らかかって、それをどう売れるかということは大事なことなんで、議員の発言を聞いていると、そんな4倍も出せますかと言われたんですが、そんなことでは買ってくれません。そうすると、逆に議員の言葉尻を捉えているようなんですが、どうしてもよそよりも少し安いぐらいの価格で売ってうまくいく、少しぐらい赤字出るかもしれないけど、大体そのぐらいでうまくいくぐらいの建設費でちゃんと造成できるようなプロジェクトじゃないとなかなか採用できないと、これが正しいことじゃないかと思うんです。
続いて申し上げますと、この中紀・御坊の周辺、これにもう熊野以外に立地できるところが永久にない状態で置いておくかというのは、これ全然違う話だと。需要があったらまた造ればいいと、過去のものは置いといて、今度は採算のあるものを造ればいいと、私はそう思います。現に、紀の川市でそういうこともいたしました。
以上です。
○議長(森 礼子君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、このような予想外の登壇、ありがとうございました。
複眼的に物事を見ていただいているんだと信じて、待ちたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それでは、次に進みます。
2点目、地域おこし協力隊の受入れ拡大についてであります。
総務省は、都市部から過疎地などに移住して地域振興に取り組む地域おこし協力隊の推進に力を入れる方針で、2022年度の概算要求では、21年度予算に計上した1億5000万から3倍となる4億5000万程度に大幅に増額すると報じられています。
協力隊は、自治体、主に市町村が募集し、おおむね1年から3年の任期で農業や住民の生活支援、具体的には日本語学校での交流業務、町のイベント運営、観光誘致、修行体験サポート、カフェや宿泊施設の運営、特産物の販売促進などを行うというもので、2024年度に隊員数を8000人に増やす目標が掲げられております。
隊員の報償費や活動費については、今年度は1人当たり470万円を上限に特別交付税から支給されるなど、自治体への財政支援もあると同時に隊員の任期終了後に定住する割合が、地方移住への関心が高まりを見せている中、約6割と比較的高いものとなっております。隊員数では、北海道の東川町で50人、新潟の三条市で49人という自治体もあるなど、フル活用をしているところもあるようです。
全国の自治体が一律に隊員を募集することから、隊員を募集しても応募がない自治体があるとか、任期途中で辞めてしまうとか、地域の人となじめないなどミスマッチもあるみたいで、そのことが決断を阻害している側面もあるようですが、よそ者、若者、変わり者こそが地域活性化の鍵を握っていると私は考えております。
人口減少と相まって地域が衰退していくのを座して待つのであれば、地域おこし協力隊に一度チャレンジしてはというのが私の思いでもあります。俗に言う地方といわれるところと比較して、和歌山県の導入実績が少ないのも気にかかります。地域おこし協力隊の積極導入、県においても市町村においてもやってはどうかと考えますが、企画部長の見解を求めます。
○議長(森 礼子君) 企画部長横山達伸君。
〔横山達伸君、登壇〕
○企画部長(横山達伸君) 地域おこし協力隊についてお答えをいたします。
地域おこし協力隊は、地域課題の解決に貢献するとともに、活動終了後もその地にとどまって産業の後継者や地域づくりの担い手となるなど、人口減少と高齢化が進む地域においては大変重要な役割を担っているものと考えております。
本県におきましては、活動を終えた後、6割を超える隊員がその地域に定着をしており、全国平均並みとなっておりますが、一方で、活動している隊員数は、令和2年度で52名と、全国的に見るとまだまだ少ない状況でございます。
やはり同じような条件の他地域と比べて和歌山県が少ないということは、何か本県の取組に至らぬ点とか不十分な点があるんだろうということを謙虚に受け止めまして、市町村にいろいろとヒアリングを行うとともに、全国の状況を調査したところ、多くの隊員を受け入れている市町村と比べますと、本県・和歌山県では、活用分野や活用方法が固定化されている、単独の市町村で隊員募集を行っても応募者が集まりにくい、また、市町村の受入れ体制が十分ではないなどの課題が明らかとなりました。
このような状況を踏まえまして、市町村に対しては、全国の様々な活用方法や活用分野を紹介するなどにより、採用数の増加を図るとともに、県が中心となって希望する市町村による合同募集説明会を行うことで、応募者の拡大につなげていきたいと考えております。
さらに、新たに来られた隊員さんが早く地域に溶け込んで、存分に活動できるように、本県に定着をした先輩隊員による支援組織を構築して、県内で活動する現役隊員のサポート体制を充実したいと考えておりまして、これらを10月に発表した新政策方針に位置づけたところでございます。
今後、施策をより具体的に検討し、令和4年度新政策としてつくり上げて、地域おこし協力隊の受入れ拡大に、市町村と共により積極的に取り組んでいきたいと考えております。
○議長(森 礼子君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
今答弁をお聞きしていたら、非常に前向きにやっていただいている、来年度の予算においても、何らかの形で予算化をしていただくというふうに捉えました。ありがとうございますと私からも言いたいですし、引き続きお願いをしたいし、また何か聞くところによれば、部長自ら県下の市町村を回っていただいて、何か協力をお願いしたというふうにも聞いております。私も共感しているところなんで、引き続きよろしくお願いしますとエールを送らせていただいて、次に移りたいと思います。
続いては、自転車保険の義務加入についてでございます。
小学生や高校生が自転車事故を起こし、相手に後遺障害など損害を与え、1億円近い賠償を支払うような判決が出たこと、自転車に乗る機会の多い16歳から19歳が最も自転車事故件数が多く全体の38%を占めていること、信号機のない交差点で事故が発生した場合、基本は自転車対歩行者では85対15と自転車の過失割合が高いことなどもあって、県においては平成31年3月に和歌山県自転車の安全利用の促進に関する条例を制定し、自転車損害賠償保険等への加入努力義務化について定め、その年の10月1日から施行しているところです。
あれから2年がたちました。コロナ禍ということもあって、密にならないという意味においては自転車が見直されるようになっていると思いますし、新型コロナ後においても新しい生活様式の中で利用者増も見込まれます。
また、県においては現在、自転車活用推進法に基づく和歌山県自転車推進計画を作成し、長期総合計画においてもサイクリング王国わかやまの実現ということで、サイクリングコースマップを作成したり、県道に自転車のための青線を引いたり、市町村においてもサイクルツーリズム協議会が設置されるなど、自転車の利活用を強力に推進しているところですが、23の都道府県において既に自転車保険の加入が義務化されている一方で、近畿の中では和歌山県だけが努力義務でとどまっているのは、自転車事故に対するリスクヘッジという点においてはアクセルとブレーキを一緒に踏んでいるような気がしてなりません。当然の結果と言えますが、自転車保険の加入率については、近畿において和歌山県が最下位となっております。
現状、県においても、チラシやポスター、テレビ、ラジオを使った広報、学校を通じた啓発、自転車小売事業者や業界組合を通じて保険への加入を勧奨するよう要請等されていると思いますが、義務化をすればそういった努力やそれにかける予算を軽減しつつ加入率を上げることができるということは、自転車保険加入を努力義務から義務に変更した都道府県の数字が物語っていると言えますし、努力義務のままで啓発等を続けていても、費用対効果の低い事業実施といえ、県民に説明責任が果たせないとも考えます。
義務化したからといって、罰金まで科している都道府県はありません。ゆえに、義務化により加入率が5割から7割程度にしかならないという考えもあるかもしれませんが、この2割の差が後々、禍根を残す原因にならないとも限りません。また努力義務から義務化することによる特段のデメリットもないように思います。関連した質問は、令和元年9月議会において中西徹議員からもありました。早期に義務化を図るべきと考えますが、環境生活部長の答弁を求めます。
○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。
〔生駒 享君、登壇〕
○環境生活部長(生駒 享君) 議員御指摘の自転車損害賠償保険の加入義務化については、条例制定当時、経済的な負担も含め様々な角度から検討しましたが、自動車やバイクのように自賠責保険制度が確立されておらず、保険の種類も多種多様であるなど、その加入状況を容易に確認できる仕組みがないことから、未加入者に指導や警告が事実上できないと判断し、努力義務としました。
現在もそういった状況について変わりはなく、保険加入については努力義務が相応と考えております。
しかしながら、自転車事故による不幸な状況を少しでもなくすため、自転車保険に加入すべきとの思いは、議員と変わりはございません。
県では、条例制定以降、チラシやポスター、ラジオ、テレビ等といった広報啓発のほか、各季の交通安全運動において、関係機関や交通安全ボランティア団体と連携して街頭啓発を行うなど、自転車を利用する方全てが保険に加入していただくよう様々な取組を行っているところです。
こうした取組により、自転車を利用する機会が多い県立高校生の保険加入率は、条例制定前である平成30年の73.1%から令和3年は86.9%と大幅に上昇するなど、着実にその成果が現れております。
引き続き、関係機関や団体等と連携して、自転車保険への加入を促進してまいります。
○議長(森 礼子君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
現状のままでということの答弁であったと思うんですけども、現状、先ほどの質問で申し上げたとおり、au損保という会社が、この調査が広く渡っているというか知られているところだと思うんですけども、自転車保険の加入率について調査をされております。
その結果、前年度、2020年度で京都が73%、兵庫と滋賀が71%、大阪が──ごめんなさい、約ですね──大阪で約70%、奈良が61%、ただ、これ奈良に関しては去年度、2020年度から努力義務から義務に方針転換したんですね。だから、ちょっと低いということなんですけども、我が和歌山というと53%です。それなりによくやっているという見方もできるんですけども、1番の京都との差というたら20%、20ポイントというんかな、差があるんですね。
全国的に見ても、やっぱり義務加入で、努力義務と義務とでは16.6%、全国平均で差が出ていると。私この16.6%が、自転車、スポーツ用自転車をお願いしますねというふうに和歌山県が進めていながら、いや、事故起こったときのリスクヘッジができていないというようなことにつながらないかなということを危惧する観点でこの質問をさせていただいたんです。
そこで、部長に再度ちょっとお聞きをしたいんですけども、なぜほかの近畿にある和歌山県以外の府県が義務加入に踏み込んで、最初からやっているところと途中から変更したところもあるんですけども、そういうことにつながって、要は義務加入に移行したのか、お考えになられたのかということと、なぜ和歌山県は現状、近畿で最下位の加入率なのか。au損保の調査一つだけを取って申し訳ないところもあるんですけども、そのことに対する部長の御所見をいただけたらと思います。お願いします。
○議長(森 礼子君) 環境生活部長。
〔生駒 享君、登壇〕
○環境生活部長(生駒 享君) 議員お話しのau損保の全国調査、令和2年の全国調査で、本県の自転車加入率が全国では21位と中位ではありますものの、近畿では最も加入率が低かった、そういった状況については承知をしてございます。
その調査の対象でありますとか、方法とかについては、詳細については存じ上げておりませんけれども、その結果については真摯に受け止めてございます。
奈良を除きまして、上位の府県が全国でも1位から4位を占めてございます。その原因についてはしっかりと分析したわけではございませんけれども、その上位の4府県につきましては、全国でも早くから条例を施行されておられまして、十分に加入の必要性を周知する期間があったというのも一つの要因ではないかというふうに考えてございます。
努力義務から義務化に移行されました理由につきましては、他府県のことでございますので承知はしてございません。
以上でございます。
○議長(森 礼子君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
そんな難しい話では僕はないと思うんです。何で和歌山だけというか、近畿のほかの府県が義務化しているかというのが、加入率が単純に上がるからということと、また加入率が上がっていく過程で事務費、要はチラシ、ポスターや、説明に行くというような人件費とか、そういうのも要らないということと、だからかなというふうに単純に思うんですね。だけど、今の部長の答弁聞いていたら、なかなか苦しそうな答弁だったというふうに私は理解をするんですけども、そしたらもう一個お聞きしたいのは、じゃ今の状況を和歌山県が近畿でau損保の調査においては一番低いところにあるのを上げていくためには、部長はどうしたらいいとお考えになられているのかということと。
あと、どうしても僕らコスト計算をイメージするんです、頑張っていますって、チラシ・ポスター配っていますと言うても、それ幾らかかっているんですかということも比較考量した上で政策の成果というのは見ないと駄目だと思うんです。その辺は幾らぐらいになっている、そんな細かい数字は要らないんですけども、どれくらいかお答えをいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(森 礼子君) 環境生活部長。
〔生駒 享君、登壇〕
○環境生活部長(生駒 享君) 自転車の保険加入を促進するための広報啓発に関する予算につきましては、おおむね80万余りであったというふうに記憶をしてございます。
これからどうやって加入率を向上していくかということについての御質問についてですけれども、これまでも広報啓発をしっかりやってきてございます。先ほど議員に御紹介いただきました調査におきましても、1年で一定の加入率、本県向上してございますし、順位も上げてございますので、引き続きしっかりと広報啓発をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(森 礼子君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
頑張りやんのは理解はするんです。だけど、義務加入にしたほうが、早いこと加入率も上がって県民の皆さんへの説明責任を果たしやすい、僕が部長の立場だったらすぐしますというようなことをお伝えはしておかなければならないかなというふうに思うんです。
さっきちょっと引っかかったんですけども、答弁の中に、加入率を正確に把握するものがないからとか、それによって指導監督とか警告監督かな、言われていたかな、できないから努力義務にしたんだというくだりがあったように思うんです。だけど、僕ね、これ反対だと思うんです。実効性を担保できるものがないんだったら、とにかく加入率を上げましょうというのは部長も私も同じ考えであり、先ほどの答弁聞いていたら、上げることに対しては賛成やということで言われていたと思うんです。実効性担保するんだったら義務加入に本来すべきやというふうに、言葉尻つかまえて悪いんですけども、そう思うんです。なぜ加入状況を容易に確認できないから、それによる警告指導ができないから努力義務にしたのかというのは、僕ちょっと理解に苦しむんですけども、その理由を教えていただけないですか。お願いします。
○議長(森 礼子君) 環境生活部長。
〔生駒 享君、登壇〕
○環境生活部長(生駒 享君) 加入率を正確に把握できないからという理由ではございませんで、自転車を利用する方がその保険に加入しているのか、そうでないのかということをすぐに把握するすべがないから。ですので、義務化をすると、未加入の方に、あなたは未加入でしょうと、しっかりと加入しないといけませんよという指導警告をしないといけません。ですので、加入しているか未加入であるかということをしっかりと把握する仕組みが必要なので、そういったものがない現状においては、努力義務とすることが相応ではないかというふうに答弁いたしました。
○議長(森 礼子君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 すいません、部長、ありがとうございました。
警告とかする対象を探すんではなくて、そんなことしなくてええように義務にしておけば、加入率上がっていくんですから、そうしたらどうですかという単純な僕の思いで質問させていただいたんですね。これ以上やっても駄目だと思うんで、もうこの程度にとどめておきたいと思うんですけども。
僕、この夏に息子の自転車を買いに行ったんです。そしたら、買うとこまではスムーズにいくんですけども、いざ保険の話になってね、努力義務と義務の端境で、僕もちょっと意地悪な質問したら、物すごくやっぱり説明しにくそうにされるんですよ。それはそうだと思うんです。義務ですと言えば加入率も上がるんだしね、店員さんも説明しやすいんです。だから、現場のことを考えても、やっぱりしたほうがええんじゃないでしょうかと、改善を求めてこの質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、4点目であります。これは要請であります。県道田辺印南線その他の県道に対する整備・補修についてであります。
知事はじめ県当局の御尽力で本年、約38年かかって印南町側の国道425号の整備は完了いたしました。まずはこのことに対して感謝を申し上げると同時に、引き続き田辺市側の整備促進についても要請するところです。
そんな中、みなべ町と印南町において、国道424号と425号を内陸部で南北に連絡する道路として位置づけられる県道田辺印南線の整備については、現状、県単独事業の小規模道路改良事業において対応されているところです。
この道路は、古くから生活道路として利用され、みなべ町側も印南町側もほぼ完成しているのですが、特に印南町の樮川からみなべ町熊瀬川のおよそ3.5キロの区間については、道路が狭く、大型車の対向ができない状況です。
そんなこともあり、平成28年度に印南・みなべ両町で県道田辺印南線改良促進協議会が発足し、平成29年には知事要望、平成30年から令和2年にかけては県土整備部長要望、令和3年には知事要望を行っているところです。
当該道路の重要性・整備については、過去に県議会においても一般質問が行われ、県知事からは、「国道424号と425号とを内陸部で南北に連絡する道路として位置づけられると思いまして、そういう意味では大変重要だと思います。」、「まずは今やってるところを完成させなきゃいけませんが、その次の段階で整備をしていかないといけない、そういう道路だと思っております。」との答弁をされております。
国道424号と425号を東西に完成させることの優先順位、必要性については私も理解するところですが、今年度は国土強靱化5か年の最初の年度、この5年の間に何とか整備の道筋をつけたいと思っております。
国道425号の印南町側については、先ほど申し上げたとおり工事が完了いたしました。その辺の事情も察せられ、促進協議会と連携し、最初の一歩を踏み出されるよう強く要請すると同時に、県単独事業である小規模道路改良事業については、引き続き県道日高印南線の美里地区、県道田辺印南線の古井地区の要望箇所についての予算措置、滝之口古井口線、たかの金屋線についても、時期を見て順次要請してまいりますので、御承知おきいただければと思います。
なお、今月、有田─印南間の高速4車線化が実現いたします。これまでの道路工事期間中、工事車両の通行が多い県道では、度々アスファルトの舗装がえぐられ、それによってけがをしたり、車を傷つけた方もいらっしゃいます。都度補修の要請をしておりますが、特に工事車両の多かった県道の補修に関する維持修繕予算の配分については、特段の配慮をされるよう、以上要請し、この項目を終了したいと思います。
以上で、私が今議会に予定しておりました質問項目は全部終了いたしました。いつもながら、拙い質問にお付き合いをいただきましてありがとうございました。感謝を申し上げまして、今議会における一般質問を終結したいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(森 礼子君) 以上で、玄素彰人君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
37番高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、早速一般質問をさせていただきます。
最初に、新型コロナウイルス感染症について伺います。
このたび、日本でも新しい変異株への感染者が発見され、世界の株価にも影響するほど心配されています。
政府は、11月に入って、「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」という新しい方針を示されました。それを受けた全国知事会の緊急提言では、新たな感染状況を評価する指標について、これまでのような新規感染者の数ではなくて、医療逼迫の状況に応じてレベル分けしたことについて心配されています。
これまで和歌山県でも取り組んできたように、新規感染者を基に早期対策を講じて、感染の波を小さくすることが重要であり、新規感染者の周囲の囲い込みが十分にできなければ、囲い込みから漏れた感染者がさらなる感染拡大の要因となり、医療提供体制の崩壊を招く結果となりかねません。新規感染者数より医療の逼迫状況を重視したことについての知事会の心配は、私も同感です。結局、都道府県が実情に合った取組をしていくことが何よりも重要だと思います。
そこで、福祉保健部長に伺います。政府の示した取組の全体像では、医療提供体制の強化が最初に挙げられていますが、この新しい政府方針に基づく病床確保や宿泊療養への対応について、県としてどう取り組んでいかれるでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
○議長(森 礼子君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
福祉保健部長志場紀之君。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) 本県では、次の感染拡大に備え、保健・医療提供体制の強化に取り組んでいるところです。
まず、第6波の確保病床の考え方として、今後、感染力が2倍となった場合にも対応できるよう、国の方向性も考慮しつつ、最大確保すべき病床数を790床と推計し、これを入院病床と宿泊療養施設で確保、運用することとしております。
入院病床については、第5波のピーク時から15床を追加し、最大620床の確保を見込んでいるところです。
次に、宿泊療養施設は1施設151室を運用していますが、さらなる施設の確保に向けて取り組んでいるところです。
なお、第5波では、これまで蓄積したデータを基にした退院基準の見直しにより、退院患者を出口ベースとして宿泊療養施設に移行し、入院病床を円滑に運用しましたが、第6波の病床逼迫時には、入院待機施設として入り口ベースでの柔軟な活用も想定しているところです。
いずれにしても、県としましては、引き続き保健医療行政の努力が重要と考え、感染者の早期発見のためのPCR検査、早期隔離のための全員入院の堅持、感染者や濃厚接触者の特定のための調査を保健所の統合ネットワークにより実施することとしております。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
今、部長に答弁いただいた病床数などを全国と比べてみましても、人口10万人当たりのピーク時の病床は全国でも飛び抜けてトップということになっております。その計画自体、大変ありがたいことだと思いますが、ぜひ宿泊療養施設については紀南地方でもきちっと確保できるように、この際、要望をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
続いてお願いします。
次に、検査の拡大について伺います。
政府の新しい方針では、日常生活の回復についても述べられています。感染拡大を防止しながら日常生活や経済社会活動を継続できるよう、行動制限の緩和の取組を進めていくとなっています。そこで言われているのが、誰もが簡易かつ迅速に利用できる検査の拡大・環境整備という方針です。これについては、何らかの理由でワクチン接種できないものを対象として、経済社会活動を行う際の検査を予約不要、無料とすることができるよう支援することになっております。
そこで、危機管理監に伺います。この政府方針を和歌山県内で実際に行う場合に、どのような課題があるでしょうか。また、自らの意思でワクチンを接種していないという県民もいらっしゃいますが、この方々については無料検査の対象となるのでしょうか。さらに、感染拡大時に都道府県の判断により、感染の不安がある無症状者に対し、検査を無料とできるよう支援するということにもなっていますけれども、これについても県内で具体化する場合、どのような課題があるとお考えでしょうか、危機管理監の御答弁をお願いします。
○議長(森 礼子君) 危機管理監細川一也君。
〔細川一也君、登壇〕
○危機管理監(細川一也君) 政府が発表した次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像を踏まえた基本的対処方針において、日常生活や社会経済活動による感染リスクを抑制するために、緊急事態宣言下等における制限緩和のためのワクチン・検査パッケージ制度及び飲食、イベント、旅行等の活動に際し、ワクチン接種歴や陰性の検査結果を確認する取組を推奨する旨示されております。
また併せて、感染拡大の傾向が見られる場合に、都道府県知事の判断により、ワクチン接種者を含め感染の不安がある無症状の方に対し、検査を受けることを要請することが明記されました。
これらに必要な受検に際し、健康上の理由や副反応の懸念等により、ワクチン接種を受けられない方も含め、都道府県が実施するPCR検査等の無料化を国が支援していくことも併せて示されております。
これを受けて、本県では、費用全額を国の支援の下、PCR検査及び抗原定性検査を合わせて約50万回分に係る経費等を計上し、今議会での補正予算の審議をお願いしているところでございます。
課題といたしましては、本県は地理的に南北に長く、採取した検体を検査機関に運搬する時間に地理的な差が生じてしまうことや、検査を実施する薬局等の数にやはり地域差があることから、検査を希望する県民の検査機会が不均衡にならない体制を構築することが課題であると考えております。
このため、一般社団法人和歌山県薬剤師会など関係団体との連携等により、これまで申し上げた課題を克服し、できる限り公平性を確保できる体制づくりを迅速に進めてまいりたいと思っております。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
ワクチンの副反応などが心配ということで打っていない方も、無料の検査の対象ということでお答えをいただいたと思います。確認をしたいと思います。
それで、危機管理監の御答弁にもあった県内で大体PCRも含めて50万回という検査の数なんですが、抗原検査も入った数字ということなんですけれども、新型コロナが始まってから約2年近いこの間に、和歌山県でのPCR検査の総数は7万回に届いていないという状態だと思います。そこへ新しい政府方針が出て、年度末までに50万回だと言われても、本当に一体どこでそんな検査数をこなせるのかと大変心配をしております。
和歌山県内でそれだけの検査が必要な状況ということになりますと、これはかなり感染も広がっている中でのことだと思いますから、大阪や京都や兵庫などもっとすごい数の検査が出てくると思うんです、需要があると思うんです。となれば、県外の民間の大手の検査会社、幾つかございますけれども、そこにお願いするというのも大変これは厳しい状況ができないかなと心配をしております。ぜひ、しっかりと準備をお願いしたいと思います。
また、感染拡大時には無症状の方も含めて無料検査と言われますが、タイミング的に遅くならないかと、これも心配をしております。先ほども申し上げていましたように、感染者が少ないうちに囲い込んでしまうということが大切です。3回目のワクチン接種については、政府の方針も前倒し、前倒しということでおっしゃられておるんで、検査についてもぜひそういう状況の場合は前倒しというような形でお願いをできればと思っております。
以上、要望とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
次に、これは要望ですが、県では感染状況に応じて、これまで高齢者や障害者施設、あるいは感染の震源地となっている地域に抗原検査キットの配布をして、無症状者を含めて検査を行い、感染の広がりを抑え込むという成果を上げてこられました。こうしたこれまでの取組に加えて、児童の入所施設や保育園、幼稚園、小学校、学童保育など、ワクチンの接種の対象年齢に満たない子供たちが利用する施設では、クラスター発生を防ぐためにも、感染状況が一定のレベルを超えた段階で、やはり以前やったような定期的な検査というのを実施していくことが必要だと考えます。
今回は、このことについて答弁は求めませんが、ぜひこれまで以上のしっかりした取組となるよう、教育関係も入っておりますので、ぜひ全体でよろしくお願いをしたいと思います。以上、要望とさせていただきます。
次に、土砂崩落と各種規制の強化について伺います。
今年7月3日に起こった熱海の土砂災害を教訓に、盛土については、政府においても、盛土による災害の防止に関する検討会を設置し、法的な規制について検討がされています。
そこで伺います。和歌山県でも、緊急の盛土の総点検を行われましたが、その調査結果と今後の対応について、県土整備部長に伺います。どうぞよろしくお願いします。
○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。
〔安部勝也君、登壇〕
○県土整備部長(安部勝也君) 県は、危険な盛土を早期に発見し、適切に対策を行うことで災害リスクを低下させることを目的に、今年7月より盛土の総点検に着手し、航空測量データ等を活用して5838か所の盛土箇所を抽出いたしました。
現在、現地点検が必要とされた561か所のうち、土砂災害警戒区域に位置する76か所において点検を先行し、対策工事が必要な箇所を2か所特定いたしました。1か所目は、湯浅町山田地区に位置し、行為者である民間事業者が盛土撤去に着手しています。もう1か所は、日高川町寒川地区に位置し、所有者の日高川町と土砂撤去に向けた協議を行っています。
一方、現地点検が必要とされた残りの箇所については、年末までに点検を完了させるべく、現地点検を現在鋭意進めているところです。
県といたしましては、今後さらに対策が必要な箇所を特定した場合には、当該箇所の盛土状況を踏まえ、所有者等に指導や監督を行うなど、適正に対応してまいります。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 よろしくお願いいたします。
次に、盛土やソーラーパネルの設置規制について伺います。
和歌山県条例である産業廃棄物の保管及び土砂等の埋立て等の不適正処理防止に関する条例、以下、省略をして土砂条例と言いますが、この条例と和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例、以下、これを太陽光条例と言いますが、この二つの県条例での規制強化について伺います。
まず、土砂条例についてです。
2009年に制定され、この条例によって11月1日現在までに151件の申請が審査され、条例に基づいた許可やその後の点検等が行われてきたと伺いました。和歌山県では、この条例と当局の御努力により、この間、住民の安全と環境を守れてきたというふうに思います。また、この条例制定の経過では、当時、日本共産党県議団の松坂県議が、初当選以来繰り返し湯浅町山田山の不法投棄の問題を県議会で取り上げ、条例制定を熱心に働きかけていたことの役割も大きかったと思います。
この土砂条例ですが、今回の熱海の災害を受け、県条例としてどうした強化が今必要だと考えておられるかをお尋ねします。
私は、盛土などの事業中や完了後の定期検査の義務づけや監視、加えて土砂流出など不測の事態が起きた場合の対応策などが必要ではないかと考えていますが、いかがでしょうか。
また、傾斜地へのソーラーパネル設置についても、この間、問題点が指摘されています。NHKの報道によりますと、専門家のデータを基に全国の中規模以上の太陽光発電施設の立地を分析すると、災害リスクのある土砂災害危険箇所と一部でも重なっている施設は全国で1100か所余りあり、このうち249か所は土砂災害特別警戒区域になっているといいます。2018年の西日本豪雨などでは、各地のソーラーパネルが崩壊する事故が多発をいたしました。特に太陽光発電の特徴として、平地はもちろんなんですが、山林部分の地山に直接設置をしても機能はします。
県内には、山の急斜面のところに、まるで山のところに黒い大きなばんそうこうを貼り付けたようにソーラーパネルが設置されているところもあります。このようなものについては、例えば今、鳥取県のほうで条例が検討されているんですが、傾斜30度以上の斜面には原則禁止というふうにするなど太陽光発電条例の規制を強化してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。土砂条例と太陽光条例、二つの条例の規制強化について、環境生活部長の答弁をお願いいたします。
○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。
〔生駒 享君、登壇〕
○環境生活部長(生駒 享君) 議員から御提示のありました鳥取県の盛土等に係る斜面の安全確保に関する条例案につきましては、制定前であり、詳細は把握できていませんが、盛土等や斜面に設置する工作物の安全性を確保するため、事業内容や現地の状況にかかわらず一律の基準で規制するといった内容であると承知しています。
一方、本県では、盛土などの土砂の埋立てについては、産業廃棄物の保管及び土砂等の埋立て等の不適正処理防止に関する条例により、外部からの土砂による埋立面積が3000平方メートル以上となる特定事業場においては、計画の安全性を十分審査した上で許可を行うとともに、事業実施中の定期的な立入調査や完了時の検査により基準に適合していることを確認しています。
また、斜面に太陽光発電施設を設置する場合につきましては、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例により、地域の住民に対する十分な説明を求めるとともに、住民等の意見を踏まえた上で、盛土の有無や傾斜の角度といった一律の基準ではなく、安全性が確保され、環境との調和が図られているものに限り、認定を行っています。
盛土や斜面に設置する太陽光発電施設に対しては、これらの二つの条例により、県民生活の安全確保を最優先に審査を行っており、県内の盛土や太陽光発電施設の安全性は十分確保されているものと考えています。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
現状の対応で十分安全性も確保できているというお話でした。確かに、この間の太陽光条例での審査の経過や、あるいは実際、盛土に対する職員さんの現地への立入調査など、本当によくやっていただいているという側面があると思います。
ただ、今後新たな問題点も折々出てくるというふうに思うんです。そのときには、やはりこの二つの条例がありますが、これを見直すことや強化することなども、ちゅうちょなく検討されるということを、ぜひこの機会に要望しておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、森林法による規制、林地開発の許可制度について伺います。
現行の森林法では、個々の開発行為については、林地開発の制度を使って規制がされていますが、総量規制という観点はありません。私は、これが必要ではないかと考えています。県で定める地域森林計画や市町村森林整備計画面積の何%まではいいとか、地域、地域で総量を規制していかないと、心配されている和泉山脈のように、あちこちにメガソーラー計画が乱立をするという事態になりかねません。かつてのバブルの時代は、ゴルフ場の開発計画が乱立しました。現在はメガソーラーなどの計画と、森林の開発ということをめぐってはそれぞれの時代で様相は違いますが、常に保全か開発かのせめぎ合いがあるというふうに考えます。
農業なら農業振興地域にある農用地とそれ以外の農地というふうに分けられていますが、林業では保安林制度がありますけれども、林業そのものを振興する地域だという位置づけが法的にありません。和歌山県の三つの地域森林計画はありますが、あるからといって、開発をしようと思えば、林地開発の基準さえ守ればできるわけです。森林法による開発規制の在り方を総量で規制するよう見直す、そんな時期に来ているのではないかと私は考えているんですが、農林水産部長の見解をお示しください。
○議長(森 礼子君) 農林水産部長岩本和也君。
〔岩本和也君、登壇〕
○農林水産部長(岩本和也君) 森林は、水源の涵養や災害の防止といった様々な公益的機能を有しており、森林法に基づく林地開発許可制度により適正な利用を図るとともに、特に重要な役割を果たしている森林に対しては、保安林制度で開発等の制限を行っております。
また、本県では、環境にふさわしい太陽光発電事業の普及を図ることを目的とした和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例を平成30年3月に制定し、より規制を強化しているところです。
近年、山林を開発する太陽光発電の計画が増加していますが、カーボンニュートラルの達成に資するとはいえ、二酸化炭素の吸収源である森林を開発してまで太陽光発電施設が設置されることには違和感を持ちます。
議員お話しの総量規制につきましては、盛土の流出や太陽光発電施設等の崩落が生じた場合、人命に重大な危険性を及ぼすことから、県としては、森林法や太陽光条例等に基づき個別の開発計画を厳正に審査すべきであり、総量で規制する必要はないものと考えます。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
総量規制の考えはないということですが、今すぐにそういう制度をしようという提案ではないんですが、今の森林法では立木の伐採は保安林以外、届出制となっているんですけども、実はいろいろ調べてみましたら、昭和37年に森林法が改正されるまでは、たとえ民有林でも伐採は許可制だったと伺いました。都道府県が伐採の許容限度と造林を行う箇所を年度計画で定めていたということです。許認可権が県にはあったわけです。森林の利用という場合、どうしても環境への負荷がかかることから、こうした許可制がしかれていたのではないかと思います。
また、先ほど申し上げたゴルフ場乱開発の時期がありましたが、そのときは、これは直接森林法での規制という形ではございませんでしたが、幾つかの県でゴルフ場は凍結あるいは総量規制何%までということが行われておりました。
こうして過去を振り返るなら、森林法による林地開発の制度も見直し、総量規制や年度ごとの許可制というのもあり得るんじゃないかなというふうに考えました。私もさらに勉強したいと思いますが、ぜひこうした観点も研究をしていただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
最後に、要望を申し上げます。
盛土等の法的規制が、現在、政府において検討をされています。報道で最近出ましたが、宅地造成等規制法、いわゆる宅造法を大幅改正する、そんな中身のようです。私は、法制化に当たっては地方自治体の独自規制を妨げない内容とすべきではないかと考えます。政府の定める基準が地方自治体のより強力な規制を弱めてしまうような、そんな方向では困ります。私どもも国会を通じて働きかけていきたいとは思いますが、県当局においても国への要請等、よろしくお願いしたいと思います。
続けていきます。
次に、子ども・女性・障害者相談センターでの職員による犯罪について伺います。
去る11月16日、県子ども・女性・障害者相談センターの職員が、一時保護していた10代の少女に児童相談所内でわいせつな行為をさせたという容疑で逮捕されました。報道によると、職員は、同センターで宿泊勤務中に深夜時間、施設内の部屋に少女を呼び出すなどしていたといいます。心や体が傷つけられ、一時保護の対象となった子供に最も平穏な環境を与えなければならないところで起きたこの犯罪に、私は衝撃を受けました。
さらに驚いたのは、この事件の記事をインターネットで検索をしていますと、同様のわいせつ事件が今年の5月横浜市でも起き、職員2人が逮捕されています。また、2019年には福岡市や仙台市でもわいせつ事件が起き、逮捕者が出ているとのことです。こうしたことがなぜ児童相談所で起こるのか、ここまで繰り返されるということは組織運営上の課題があると思わざるを得ません。
そこで伺います。今回の事件はなぜ起きたのでしょうか。二度と起こさないため、今後どのような対策を取るんでしょうか。また、被害を受けた子供への対応はどうなっているでしょうか、福祉保健部長の答弁をお願いします。
○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) このたびの子ども・女性・障害者相談センター職員の逮捕・起訴につきまして、被害者及び保護者の方並びに県民の皆様に対しまして深くおわび申し上げます。
児童を守るべき立場にある職員としてあるまじき行為であり、本県の児童福祉行政に対する信用を大きく失墜させることとなってしまい、誠に申し訳ございません。
県といたしましては、今回の事件を重く受け止め、今後二度とこのようなことが起こることのないよう、再発防止に全力で取り組んでいるところです。
今回事件が起こった原因としまして、当該職員が一時保護所職員として当然持ち合わせるべき倫理観に欠けていた点と、夜間の職員体制について、職員配置が十分でなかった点が挙げられると考えます。
事件発覚後、職員に対して、一時保護所運営マニュアル、職員服務規程について再徹底するため研修を実施したところです。今後は、異性児童に対する心理的、物理的な距離の取り方や児童の特性に応じた処遇方法等につき、ロールプレーや事例検討を交えたより実践的な研修を実施し、職員の資質向上に努めてまいります。
一時保護所の職員体制につきましては、国の基準を上回る職員を配置しているところですが、シフトの都合上やむを得ず男性職員だけ、もしくは女性職員だけで夜間勤務する場合が発生しておりました。事件発覚後、早急にシフトを見直し、夜間帯には必ず男性職員と女性職員の両方が勤務することとし、夜間の居室の見回りについては複数人で対応するよう体制を整えたところです。
被害児童に対しましては、児童相談所の児童福祉司、児童心理司が家庭訪問による定期的な面談を継続するとともに、性暴力救援センター「わかやまmine(マイン)」への通所を支援するなど、全力でフォローを行っているところです。性被害を受けた後に想定される抑鬱、フラッシュバックなど、今後起こり得る様々な心身の不調を見逃すことのないよう、寄り添う姿勢を基本に置いた長期的な支援に努めてまいります。
今後とも、事件の再発防止に向け、また、県民の皆様の信頼を取り戻すため、職員一丸となってこうした取組を徹底してまいります。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 次に、これも報道によりますが、今回の事件は外部の第三者から情報提供があり、職員をただしたところ行為を認めたとのことであります。事の発端が被害を受けた子供からの告発ではなかったとするなら、保護中の子供が施設の職員になぜ話ができなかったのか、大変疑問です。
厚生労働省の一時保護ガイドラインでは、保護される子供の権利擁護として、入所時に子供向けのしおりなどで子供の権利について明記することや、子供の権利ノートを配布することを求めています。このノートは、子どもの権利条約を基に作られ、一人一人の子供が幸せに生き、安心して地域や学校、家庭で生活できる権利を持っていることを書いたものです。困ったときの相談窓口も紹介しています。
こうしたノートの配布などにより、子供の権利やそれが侵害されたときの解決方法について、保護された子供に説明をするようになっています。センターでは、被害を受けた子供からの相談を受け付ける体制がきちんとできていたのでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いします。
○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) 子供の権利ノートにつきましては、平成13年度から活用し、令和2年度には児童の年齢に配慮した内容に見直し、入所する際、職員から丁寧に説明を行い、手渡しているところです。
また、一時保護所内に意見箱を設置し、職員に直接言いづらいことでも匿名で意見できるよう配慮しております。
さらに、今年度から、外部の弁護士や社会福祉士等が児童と面談し直接声を聞くアドボケイト事業を、希望する児童に対して試行しており、今後拡充してまいります。
今回、児童から被害の相談を受けることができなかった点については真摯に受け止め、このような新たな取組も取り入れながら、今後より一層児童の権利擁護に努めてまいります。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 大変な被害を受けた子供さんが、こんな目に遭ったんだよと率直に言えなかったという環境というのは、本当に本人にとっては耐え難いものになっていたんだというふうに思います。ぜひ厳しく取組を見直していただくお願いをしたいと思います。
この問題の最後に、児童相談所全体の人員体制について伺います。
児童相談所の人員体制は、政府の方針もあり、この間強化されてきたと伺っておりますが、現状と今後の取組はどうなっているでしょうか。様々な複雑な事例に対応するのに、十分な体制となっているでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) 年々複雑・困難化する児童虐待事案に対応するため、令和元年度の児童福祉法改正において児童相談所の体制強化が定められたところであり、本県におきましても、令和4年度までに児童福祉司、児童心理司、保健師等の採用・配置を計画的に進めるなど組織体制を整備しているところです。
具体的には、県内2か所の児童相談所を合わせて、平成30年度は30名だった児童福祉司を令和4年度には47名に、児童心理司については13名から23名に増員するとともに、研修を通じて職員の資質向上にも努めてまいります。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 今御答弁いただいた職員さんの数の上では、本当に充実をしてきている、1.5倍以上になってきているということだと思うんですが、ただ、私、心配するのは、そういう増やした方が数的にはそうなんだけど、その反面、業務の質といいますか、本当に子供へきちっと対応できるスキルを身につけていけるのかどうか、こういうことが逆に心配な点もございます。こういうことに対してしっかり、先ほど研修等と言われましたけれども、本当に人間としての基本の部分となります。しっかり研修もしていただけるように、これは要望させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
最後に、昨年の12月県議会でも取り上げました障害者に優しい観光地づくりというテーマで質問をさせていただきます。
今、全国でも高齢や障害等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行づくり、観光地づくりに向けた取組が広がりを見せています。観光庁ではユニバーサルツーリズムと呼んでいます。私は、バリアフリー観光という言葉のほうが分かりやすいと思っているんですが、今回はユニバーサルツーリズムということで統一したいと思います。
昨年に続いてこの問題を取り上げるのは、新型コロナウイルス感染症の影響が現時点で考えても、まだまだ世界的な終息を見込めないどころか、感染再拡大も起こっており、観光もインバウンドに頼るのではなくて、これまで旅行需要が掘り起こされてこなかった高齢者や障害を持った方にこそ外に出てもらう、観光に来てもらうことが、当事者にとっても観光地にとってもウィン・ウィンの関係として求められているのではないかと考えたからです。
ユニバーサルツーリズムに国内で先進的に取り組む地域では、事実として観光客が増加をしています。その理由は一つ、ユニバーサルツーリズムの主な対象者層である高齢者、障害者、乳幼児等の数が国内人口の3分の1に達し、これらの方々を含む家族旅行やグループ旅行などが大きなシェアとなること、二つは、ユニバーサルツーリズムに取り組むことで高質なおもてなしができる地域や施設として捉えられ、結果として、健常者である一般観光客も増加するためとされています。
私自身、先日体験したのは、地元の白良浜でTシャツアート展という紀の国わかやま文化祭のイベントです。障害福祉サービス事業所等から募集した絵画の作品を印刷したTシャツを、白良浜で洗濯物を干すようにつるして展示するという企画ですが、900枚を超えるTシャツの展示は圧巻でした。お配りしている資料の右側におつけしておりますが、その様子です。
この会場には、車椅子使用者の下に見えております青いビーチマットというマットが敷かれています。普通のマットではありません。普通の一般の車椅子でもビーチにそのまま入っていけるという特殊なマットで、買うと10メートルで30万円ほどするそうです。それが設置をされており、また、写真にあるような大きな風船のようなタイヤがついたビーチ専用の車椅子も用意されており、実際に行った車椅子使用者も久しぶりに波打ち際まで行けたと喜んでおりました。海水浴シーズンの白良浜ではもちろん無理ですが、その他の時期に常設でこうしたものと、そしてお手伝いをしてくれる方がいれば、もっと幅広い人に白良浜を楽しんでもらえるのになあというふうに実感をした次第です。
話を戻します。観光客増加の実例を一つ紹介しますと、伊勢神宮です。現在、伊勢おもてなしヘルパーという常設の有償ボランティアが活躍をされていますが、こうした取組もあり、車椅子使用者の観光が以前と比べて約12倍、年間1万7000人以上の利用となっているそうです。こうした実例は全国にも広がっており、各地で力を入れ始めています。
例えば、高知県では昨年、高知市内の2か所に県としてバリアフリー観光相談窓口を設置しています。配付した資料の左半分がその高知の取組であるイベントのチラシですが、オンラインのセミナーということでZoomで私も参加をさせていただきましたが、豊かな自然をオンラインで、障害を持った方々にも楽しんでもらうという積極的な取組を、まさに県が音頭を取って推進をしています。
兵庫県では、神戸市で来年、世界パラ陸上競技選手権大会が開かれます。これはパラ陸上の10回目の節目となる大会で、東アジアでは初の開催となります。これに合わせるように、ユニバーサルツーリズムを普及させるための県条例化を兵庫では目指しています。新しく就任した知事は、世界一を目指すとまで宣言をしています。和歌山県としても、本格的に取り組むことが必要な時期に来ていると考えます。
そこで、商工観光労働部長に伺います。これまでも取組はしていただいておりますが、県としてのさらなる推進が必要ではないでしょうか。その意気込みについて伺いたいと思います。
また、受け入れる側の意識のバリアを取ることも大切です。日頃から障害者を受け入れているホテルや観光施設にお話を伺いますと、なじみ客ができて定着しています。県内の特別支援学校や障害者施設などの遠足や修学旅行で地元体験するなど、まず足元から促進をしていくことも大事ではないでしょうか。そうした意味で、観光行政のサイドから教育や福祉分野への働きかけも進めていってはどうかと思いますが、いかがでしょうか。商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。
〔寺本雅哉君、登壇〕
○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 観光客の皆さんに安全・安心・快適に本県にお越しいただくため、受入れ地域の宿泊・観光施設などのバリアフリー対応を推進していくことは重要と考えております。
そのため、県では、県内の宿泊・観光事業者を対象にしたおもてなしセミナーを実施する中で、バリアフリー観光に対する意識の向上を図るとともに、市町村が設置する公衆トイレのバリアフリー対応を含めた整備に対し補助してきたところです。
さらに、今年度は、国の感染防止対策等支援を活用した和歌山県宿泊事業者事業継続支援補助金により、宿泊施設のバリアフリー改修など、利用者の安全・安心を確保する取組を支援してまいりました。
加えて、市町村にも協力いただきながら、観光施設のバリアフリー対応の点検や調査を行い、県で作成している観光パンフレットやウェブサイトに反映させるなど、観光地のバリアフリー情報の発信についても充実させています。
また、議員御提案の特別支援学校や地元障害者施設などの遠足で地元体験してもらうことにつきましては、既に特別支援学校では、県内で体験学習を含む修学旅行や遠足を行っていると聞いておりますが、引き続き観光における和歌山ならではの地元体験プログラムについて、関係部局へも情報提供してまいります。
今後も、県内宿泊・観光事業者をはじめ、関係機関と連携しながら、ユニバーサルツーリズムの取組を推進してまいりたいと考えております。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
このユニバーサルツーリズムの推進については、今日議事を進めていただいています森議長が、2014年の2月の県議会でも取り上げられました。そのときの会議録も見ました。しっかりやっていきたいというふうに答弁をされておりますが、その後どんどん追い越されているような状況もあるように思います。ぜひ、この機会に本格的に推進をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
最後に要望です。これは、1人では外出困難な障害を持った方たちにこそ外出をしてリフレッシュしてもらおうという提案です。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、本来自由に外出できていた障害者施設に入所している方たちが感染防止ということで、本当に厳しい外出制限が続いてきました。感染が落ち着いている今でさえ、行けるのは施設の隣のスーパーまでとかいう状況もあります。施設入所の方が例えば旅行や外出をしようとすると、大体はいつもお世話になっている施設の職員さんにボランティアとして、仕事じゃなくてボランティアとして、休暇のときに同行をお願いする。そのときの食費や交通費はお願いした障害者自身が負担をするというのがよくある例です。
つまり、お出かけをするのにヘルパーの分まで負担をする、1泊旅行で障害の重い人だと、2人分のヘルパーさんの分まで負担することもあり、1人で行くときの費用より2倍、3倍お金がかかることもあります。近頃はそうした方々に特化をした旅行業者も出てきたようですが、それにしても、随分高いお金がかかることになります。
これまでGoToトラベルやリフレッシュプランが利用されてきました。もちろん、障害を持った方がそれを利用できないということではありませんが、金銭的な負担は、自由に移動ができる健常者と比べて大きいものがあります。
そこで、私は、そうした障害者の方も利用しやすいリフレッシュプランを企画して、例えばボランティアの介助者の分などは補助率を上げるなど、ユニバーサルツーリズムに特化をしたスペシャルなリフレッシュプランとして旅行代金の補助を実施することなどを提案したいと思います。私は、そのこと自体が受入れ側のユニバーサルツーリズムの推進にもつながり、大きく役立つと考えます。
この提案は複数の部局にまたがって、なかなか検討が難しいということでして時間がかかるようですので、今回は要望という形にしておきますが、次回の質問までには、ぜひ検討をお願いできればと思っております。
以上で、私の一般質問とさせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(森 礼子君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時50分散会