令和3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

令和3年6月

和歌山県議会定例会会議録

第4号

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議事日程 第4号

 令和3年6月17日(木曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第104号から議案第116号まで、報第3号及び報第4号並びに諮問第1号(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第104号から議案第116号まで、報第3号及び報第4号並びに諮問第1号(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       田村一郎

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   中野幸生

 警察本部長      親家和仁

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     保田栄一

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

                                        岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第104号から議案第116号まで、地方自治法第179条第1項の規定による知事専決処分報告報第3号及び報第4号並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 42番長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)

○長坂隆司君 皆さん、おはようございます。

 議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。

 一つ目に、和歌川河口干潟の生物環境についてであります。

 和歌川河口干潟は、環境省の「日本の重要湿地500」に選定されておりますが、和歌の浦の片男波干潟と呼ばれる場所だけでなく、和歌川については塩屋の水門まで、その水門南側で和歌川と合流する和田川についてはさらに上流側の、潮の干満の影響を受ける地点まで、少なくとも紀勢本線の鉄橋より東、紀三井寺川と中津川、そしてあしべ通りに沿って流れ不老橋に続く市町川についてはほぼ全域を指すと、平成21年度に刊行された「和歌の浦学術報告書」にあります。名草の浜を含めれば、面積47ヘクタールは近畿最大だそうです。

 平成22年8月、名勝和歌の浦は、和歌の浦干潟35ヘクタールを中心として、玉津島神社、妹背山多宝塔など、約90万平方メートルが国指定記念物、すなわち名勝として指定されました。私は、その中の和歌の浦干潟に生息する生物と環境についてお尋ねしたいと思います。

 現在工事中ですが、三断橋を渡って妹背山へ向かう際に干潟を観察すると、いろんな種類のカニ、その中に片方のはさみだけが白くて大きいハクセンシオマネキを見かけたり、砂の上から飛びはねるトビハゼをはじめとするハゼ類やカレイの稚魚、さらにはチヌの稚魚カイズを見つけることもありますし、片男波公園の万葉館東側の干潟沿いを歩くと、砂地に小さな穴が無数にあり、出たり入ったりしている小さいコメツキガニがたくさんいて、細長い巻貝もいっぱい見かけます。

 子供の頃はちょうど今の時期になると、家族と一緒に潮干狩りに来て、砂浜を少し掘るとアサリや、たまにハマグリ、それに併せてゴカイ類がたくさん出てきたことを思い出します。

 2010年当時、そういった底生動物が281種、硬骨魚類58種が生息していると先述の報告書には記載されていました。底生動物相の豊かさにかけては全国屈指と言われています。ただ一般向けに行われていた潮干狩りは、アサリの激減により現在行われていないことは残念であります。その原因は諸説ありますが、専門家に聞いた話によりますと、温暖化の影響で増えた南方系のエイがアサリを捕食していることも一つの要因ではないかとのことでした。

 こうした干潟において、和歌山大学教育学部生物学教室わかのうらひがた倶楽部が主催する和歌の浦干潟観察会は、2002年以降春と秋、年2回開催され、先月30日にも子供から大人まで、過去最多の約250人が参加して、干潟の様々な生物を観察されています。

 また、塩屋の水門を北上して和歌川沿いにある和歌川河川公園の高松地区宇須の辺りを川伝いに歩いて川面を眺めていますと、干潮時に40センチから50センチぐらいのチヌやキビレが群遊していたり、60センチ前後はあると思われるスズキが3~4匹で泳いでいる光景にも出会います。随分水がきれいになったなあと実感する和歌川下流域であります。

 続いて、和歌川には、和歌川河川公園よりさらに上流、小雑賀の辺りに平成24年まで仮堰がありました。和歌山市の市街地の工場化による排水及び都市化による雑排水の増加により、和歌川の水質が著しく悪化、河口周辺の和歌の浦の江戸時代末期からの特産物であった養殖ノリが枯死するようになり、昭和25年、和歌浦に汚濁物が流れないよう河川内に横断工作物、仮堰が設置されました。このため水が下流に流れなくなり、仮堰上流ではますます水質が悪化、ヘドロの堆積が進んで、水質改善のため、国は紀の川から浄化用水を入れ、県は和歌浦のほうから浄化用水を入れ、底の汚泥のしゅんせつを行っていただき、和歌山市は下水道整備と排出水の色抜き条例を施行、民間でも内川をきれいにする会が住民運動を展開しました。

 おかげさまで水質も随分と改善され、和歌川の流れを阻害し、土砂、ヘドロが堆積する原因となっている仮堰を撤去しようということで調査、解析に入り、県の御尽力で平成24年に撤去が完了、そして、捨て石の美しい護岸を造っていただきました。今では白っぽい捨て石護岸が3~4月には和歌川河川公園の七色桜や青い水面と空とともにベストマッチングして、美しい光景を浮き立たせてくれています。

 一方、最近マスコミでも指摘されているのが、きれいになり過ぎた海であります。瀬戸内海では窒素やリンの排出を規制し、水質改善が図られた結果、赤潮件数は減少し、海水の透明度は回復したものの、貧栄養化で不漁、そして養殖のアサリ、カキの生育不足やノリの色落ちが指摘されています。

 そこで質問ですが、一つ目、平成21年度に実施された和歌の浦学術調査報告以降、和歌川河口干潟、主に和歌の浦干潟でありますが、和歌川の水質改善の手だても図られ、仮堰も撤去されましたが、その後の和歌川河口干潟に生息する生物の現況について、県はどのように認識されているのでしょうか。環境生活部長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。

 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 和歌川河口干潟は、面積が約35ヘクタールと県内では最大規模で、議員お話しのとおり、環境省が選定する日本の重要湿地500に選ばれるなど、生物多様性和歌山戦略を推進する上で重要な場所と認識しております。

 干潟の生物の生息状況につきましては、和歌の浦学術調査報告書が刊行された平成22年以降も、大学の研究室や専門家による調査等が行われており、現在も多くの生物の生息が確認されています。

 例えば、環境省レッドリスト2020に記載されている希少生物では、ハクセンシオマネキに加え、ハゼ科のチワラスボや巻貝のイボウミニナなどの生息が確認されており、希少生物以外にもカニ類や貝類、魚類など、多種多様な生物を観察することができます。

 こうしたことから、本干潟では、和歌山大学と中学・高校との連携による干潟実習や、自然博物館、民間団体等による干潟観察会が定期的に実施されるなど、生き物に触れ合い、学習できる身近な現場として活用されており、今後もこうした取組が継続されることを期待しています。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 アサリ資源の再生を阻害するものとして、ツメタガイという軟体部がやたら大きく露出している肉食性の巻貝についても最近増加しているということで、除去活動が民間で行われています。これは繁殖力が強く、時に大発生して潮干狩り会場を全滅させることもあると聞きます。要注意な存在ではないかと思います。

 地元の和歌浦漁協でも、近年アサリの再生活動に熱心に取り組まれています。ぜひ県のサポートもよろしくお願いいたします。

 2点目に、和歌川の河口から天然の砂嘴である片男波にかけての干潟は、朝、昼、夕方と潮の満ち・引きによっていろんな絶景が浮かんでは消える、まさに724年に行幸された聖武天皇がめでて称賛されたような神の宿る美しさが今に残っています。

 その後、765年には御息女の称徳天皇、さらに805年には桓武天皇もまさに和歌浦に行幸されています。その干潟には、全国でも群を抜く希少な底生生物などが今なお生息しているわけでありますが、私は名勝と言われる和歌の浦の海浜が未来永劫その生物環境とともに美しさが保たれることを熱望しております。

 和歌川河口干潟の今後の環境保全について、知事はどのようにお考えでしょうか。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 和歌の浦は、万葉の時代から風光明媚な景勝地として、多くの人々から愛されてきた本県を代表する名勝の一つで、平成29年には「絶景の宝庫 和歌の浦」が日本遺産に認定されております。

 昨年は新型コロナの影響で中止になりましたが、和歌祭や和歌山ジャズマラソンなどの文化、スポーツ行事も多く、年間を通じて県内外からの大勢の方々に和歌の浦の自然や歴史、文化等を楽しんでいただいております。

 和歌川河口干潟は、和歌の浦の景観を構成する要であるとともに、希少種を含む多種多様な生物が生息する貴重な場所であり、この干潟を研究対象にしている人もいて、例えば現在、県の自然博の評議員をしていただいています和田恵次奈良女子大学名誉教授もその海生甲殻類の生態研究の原点はここであります。

 このように文化、歴史、あるいは博物学の知識を経て、その価値を知って眺めると、この和歌の浦や干潟の風景は、さらによく見えてくるというふうに考えます。

 本干潟については、自然そのものの価値はもとより、歴史や文化、教育的にも貴重な財産でございますので、専門家と連携しながら、地域の方々と共に保全に努め、後世に引き継いでまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 知事も御指摘のとおり、和歌の浦干潟は、今も昔も子供たちのかけがえのない学習フィールドです。たくさんの生物の宝庫から子供たちは多くを学び、将来への夢も描き、生き物を、そして自然環境を大切にしようという気持ちも生まれます。

 また、真に和歌川河口干潟が本来の自然の姿を取り戻すのは、塩屋の水門が将来開閉式になって、防災上の配慮もしながら和歌川の流れを正常な状態に取り戻したときではないかと思います。

 そんな和歌川河口干潟の天与の自然資源をどうか今後とも大切に保全いただけますよう、何とぞよろしく御配慮お願いいたします。

 2点目に、新型コロナウイルス感染症についてであります。

 一つ目、新型コロナ患者の後遺症対策について。

 新型コロナに感染後、病院を退院して復帰された方の中には、老若男女を問わず、味覚や嗅覚が戻ってこないとか、いつまでも体がだるい、脱毛が長く続く、また、呼吸が苦しい、せきが止まらないなどの後遺症に何か月も悩んでおられる方が少なくありません。重症者だけでなく、軽、中等症の患者や若年者にも新型コロナの後遺症が長く続くことがあるということであります。現段階では後遺症の原因は不明で、確立された治療法はないと言われています。

 また、PCR検査がなかなか受けられなかったために症状が悪化し、後遺症が長引く原因となったという声もあります。

 本県における新型コロナ感染者の後遺症についての調査状況や後遺症対策について、福祉保健部長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 新型コロナウイルス感染症の後遺症については、昨年度に実施した県独自の調査から感染症患者の約半数の方が、議員御指摘のように嗅覚障害、倦怠感、脱毛など、様々な症状を訴えており、中には長期に継続する方もおられることが分かりました。

 この調査結果については、広く県民に周知するとともに、後遺症に悩む方が医療機関を受診した場合、診察時の参考としてもらうため、県内の医療機関に情報提供を行いました。

 現在、その後の感染拡大や新型コロナウイルスの変異を踏まえ、2回目の調査準備を進めているところです。

 また、新型コロナウイルス感染症が軽快後にあっても経過観察が必要な方々については、その後に見られる病状に応じて、入院していた医療機関において退院後のフォローを行っていただいているところですが、各保健所においても健康相談やかかりつけ医への受診を勧奨し、後遺症に悩む方々に引き続き寄り添った対応をしてまいります。

 加えて、新型コロナウイルス感染症の後遺症については、その原因が明確になっていないため、今年度、国に対し、後遺症の発生機序の早期解明と後遺症に関する情報発信、後遺症に悩む方に対する専門相談窓口設置の推進、後遺症が長期に及ぶ場合の受診費用を支援する制度の創設を提案したところです。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 新型コロナウイルス感染症対策、そしてワクチン接種で全国屈指の対応を行って、感染の流行を最大限抑えてきている和歌山県であります。今後の流行に備えるためにも、後遺症対策は大きな意味を持ってくると思われます。新型コロナ制圧のため、引き続きの後遺症についての調査とそのデータを踏まえた効果的な後遺症対策をよろしくお願いいたします。

 2点目に、新型コロナの流行に伴うがん検診の状況とがん対策についてであります。

 新型コロナの感染が増加することによって、がん検診を受けた人が減少したと言われています。昨春の緊急事態宣言以降、自治体や企業ががん検診を中止、延期したところも多かったのではないでしょうか。

 日本対がん協会によると、2020年の日本では少なく見積もっても1万人以上のがんが未発見になっていることが懸念されると言っておられます。必然的にがんの発見ができずにがんが進行しているケースも間々あると思います。

 昨年の新型コロナの流行以降、本県におけるがん検診の状況はどうなっているのか。また、がんによる死亡原因の第1位肺がんをはじめ、本県においてがんによる死亡者は増加していないのかどうかが大変気になるところであります。がんの進行は決して待ってはくれません。できるだけ早急に状況を把握いただいて、新型コロナウイルス感染症対策とともに、がん対策も鋭意進めていただきたいと要望させていただきます。

 3点目、病院内でのWi-Fi使用についてであります。

 病院でも、電波の使用が様々な医療器具に影響を与えるため、電波使用を禁止しているところと使用可能なところとがあると聞きます。本年2月から2か月をかけて日赤和歌山医療センターでは、全館で24時間無料のWi-Fiに接続できるよう整備したと聞いています。

 昨年末の新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、各病院は入院患者への面会を禁止しておりますが、今回、日赤和歌山医療センターは、入院患者の療養環境の整備と全ての患者、来院者に対するサービス向上を第一の目的に計画が進められ、本年整備されたそうです。

 このたび設置されたWi-Fiのアンテナは約150基、アンテナ1基で同時に100台のデバイスが接続でき、フロア内を移動しても接続が途切れないよう工夫されているとのことです。面会がかなわず御家族に会えない患者さんも、アプリによって顔の見える通話ができるし、動画も見られるということで大変好評のようです。病院側にとってもWi-Fiの整備は災害時にも有用だと言われています。

 そこで以下、福祉保健部長に2点併せてお伺いいたします。

 1点目は、本県ではどれくらいの病院でWi-Fi使用が普及しているのでしょうか。

 2点目、病院内のWi-Fiと患者が持ち込んだルーター等のWi-Fiで電波障害が起きることはないのでしょうか。仮に電波障害が起き、ペースメーカーなど医療電気機器への影響があるとなると、患者の命に関わる大きな問題となります。Wi-Fi使用を認めている病院では、Wi-Fiの普及に当たって、安全性についてもアクセスポイントの設置場所や周波数帯域を競合させないようにする工夫、使用に伴って他の周囲の患者の方々に支障が出ないよう、使用場所や時間帯等のルールの徹底は必要だと思いますが、県としての対応はどうお考えでしょうか。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 議員御質問の本県の病院におけるWi-Fi使用の普及状況について及びWi-Fiによる電波障害とWi-Fi使用のルールの徹底について、一括してお答えします。

 県内病院のWi-Fi普及状況については、83病院のうち8割以上の70病院において導入されており、そのうち2割の14病院において、患者及び来院者のWi-Fi利用が可能となっております。

 しかしながら、患者個人が持ち込んだWi-Fiルーターや携帯ゲーム機といった端末が近接して使用された場合は、ごくまれに電波干渉を起こして病院内の検査機器や医療機器に支障が生じることがあり、本県でもそうした事例が報告されております。

 その対策としては、個人所有のWi-Fiルーター等の持込禁止や、エリアごとの使用ルールの設定、適切な使用場所への誘導、患者専用のネットワーク整備等、通信機器の使用について管理を徹底する必要があります。

 電波が医療機器に与える影響については、国において平成28年に、医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引きが公表されております。

 県としましては、安全な医療提供体制を確保した上で、患者のWi-Fi等電波通信機器の使用による利便性や療養生活の質の向上を図ることが望ましいと考えるため、手引を周知徹底するとともに、毎年行っている病院の立入検査を通じて、各医療機関の管理体制の確認に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 コロナ禍の中、身内でさえお見舞いにも面会にも行けない状況が続いておりまして、家族はもちろん、精神的にも肉体的にも一番不安を覚えているのは入院患者さん御自身であります。

 安全な医療環境を確保した上で、患者さんの心身ともに健全な回復が図れるよう、Wi-Fi環境のさらなる普及と安全・安心な管理体制が確保されますよう、県当局もどうかよろしく御指導お願いいたします。

 4点目、サイクルトレインについてであります。

 サイクリングの最近の話題といえば、太平洋岸自転車道が本年5月31日にナショナルサイクルルートに指定されましたが、もう一つ、岬町深日港と淡路島洲本港を結ぶ深日洲本ライナーが、本年6月26日から11月28日までの土日と祝日に運航されることが決定しました。1999年に廃止された航路ですが、地元岬町やサイクリング愛好者の熱意で2017年度に運航の社会実験を実施、和歌山県のサイクリング愛好者もバックアップし、我が和歌山サイクリングクラブWCCもたくさんの会員が乗船して、アワイチで有名な淡路島でのサイクリングを楽しませていただきました。

 乗船料は中学生以上が1500円、小学生が500円で、スポーツサイクル持込み料が追加で300円です。定員は68名、自転車は最大31台まで積載可能です。ぜひ和歌山県民の皆様も御利用されてはと思います。

 さて、もう随分前になりますが、2004年12月25日から29日までと翌2005年1月5日から10日までの計11日間、当時の南海電鉄貴志川線の利用促進を図るため、自転車をたたまずに自転車ごと乗車するサイクルトレインの試験運用が実施されました。次いで2005年4月29日から5月8日まで、ゴールデンウイーク期間の昼間の時間限定でサイクルトレインが試験実施されました。

 また、2007年11月10日土曜日から11日日曜日まで、日本サイクリング協会主催の全国サイクリング大会が和歌山県で開催されましたが、その際、和歌山電鐵貴志川線の貴志駅から田中口駅まで自転車を電車に乗せるサイクリング&ライドを行いました。

 また、JR和歌山線でも、2011年10月のバイコロジー・シンポジウム2011in紀の川でサイクルトレイン、そして、2017年11月に毎週1回上下1本ずつ、きのかわサイクルトレインの実証運行が試験的に行われました。

 基礎収入源である通勤、通学客が減少傾向にあるローカル線が、例えば土日とか祭日、また平日でも、時間帯をあらかじめ設定して自転車をたたまずに自転車ごと乗れるよう、さらにサイクリング王国わかやまのサイクリング観光にももっと利用されるよう、各鉄道会社へのサイクルトレイン実施の呼びかけをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。商工観光労働部長に御答弁をお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) サイクルトレインは、専用の袋に詰めて持ち込む輪行とは異なり、分解することなく持ち込むことが可能で、目的地の駅で下車してすぐに自転車に乗り移動することができ、サイクリストにとって利便性の向上につながるものと考えています。

 運行実績としては、県主催のわかやまサイクリングフェスタでは、貸切り電車に自転車をそのまま持ち込み、車内で観光案内や地元スイーツのおもてなしを行ってきたほか、紀の川エリア観光サイクリング推進協議会などが、地域のサイクリングイベントにおいて同様の取組を行ってきたところです。

 県では、これまでも鉄道事業者にサイクルトレインの定期運行を要望してきたところですが、採算性や専用車両の確保が困難なことから、残念ながら実現には至っておりません。

 今回、太平洋岸自転車道がナショナルサイクルルートに指定され、サイクリストの需要も増えることが予想されるため、サイクルトレインの定期的な運行が実現できるよう、引き続き鉄道事業者に働きかけを行ってまいります。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 自転車愛好者からすれば、平日、土日、祝日を問わず毎日自転車ごと電車に乗れれば、サイクリングでもふだんの買物でも気軽に楽しめるというものです。

 全国でもサイクルトレインの試験運行の取組はたくさん見られます。そのほとんどは土日、祝日に時間帯をあらかじめ定めて行われています。

 今回、西武多摩川線で全線、といっても計8.0キロメートル区間でありますが、本年7月1日から9月30日までの3か月間、時間帯は平日が約10時から16時まで、土・休日が約8時から18時までに限定はされますが、毎日サイクルトレインが実証実験されます。まさに定期運行列車を使って、サイクリングだけでなく、ふだんのお買物に至るまで行動範囲を広げ、CO2排出量の少ない電車と自転車を組み合わせて、SDGsの取組として自然環境、地球環境に配慮した移動手段の選択肢を提供すると打ち出しました。

 SDGsに言及したのも面白いことだと思いますが、この取組結果も踏まえて、日頃乗客がさほど多くないローカル線でのサイクルトレインの採算性というものにも調査、着目してみては面白いんじゃないかと思っております。以上、要望とさせていただきます。

 これで私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 17番川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)

○川畑哲哉君 皆さん、おはようございます。

 議長よりお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして、思いを持って一般質問をさせていただきます。

 「記憶とは、情報ではなく感情である」。私の大好きな言葉の一つである。つまり、共有すべきは情報ではなく、感情だということだ。

 これは音楽評論家の伊藤政則氏が、昨日発売されましたジャーマンメタルの雄、HELLOWEENが往年のメンバーを迎え、7人編成となって作り上げましたニューアルバム「HELLOWEEN」のライナーノーツ冒頭で記されている言葉でございます。

 さらに伊藤氏の言葉は続きます。「感情を共有しているからこそ、長い時を経て再会した際にも、ちょっとした刺激であの日の景色が突然鮮明に見えてくる、そういうものだと思う」。

 このことは、子供の頃の同級生にもそのまま当てはめられると思います。学校で毎日顔を合わせ、感情を共有していたからこそ、まちや同窓会などで久々に再会した際にも当時のままのニックネームで呼び合うことができるのだと思います。

 より豊かな人生を送る上で、子供の頃、学校生活に専心できるということは極めて大切なことではないでしょうか。

 子供の育ちの過程で、虐待、ひきこもり、障害など、社会の支援が必要な事案の種類は複数ございます。その中で、新しい概念として注目され出した「ヤングケアラー」について、文部科学省、厚生労働省による全国調査の結果及びプロジェクトチームの報告が今春まとめられました。

 その調査によりますと、ヤングケアラーは、中学2年生の5.7%、約17人に1人、高校2年生では4.1%、約24人に1人に上るとのことで、さきの埼玉県の調査と比べてみますと、高校2年生ではほぼ同率ですが、中学2年生の比率は今回の全国調査のほうが高くなっています。また、その介護、看護の対象は、中学2年生で「きょうだい」が61.8%、「父母」23.5%、「祖父母」14.7%、高校2年生では「きょうだい」が44.3%、「父母」29.6%、「祖父母」22.5%と、いずれも「きょうだい」が非常に高くなっています。

 この調査、報告に先立ち、2月定例会にて質問させていただいた際には、ヤングケアラーへの課題認識に加えて啓発グッズを作成するという御答弁をいただいていました。

 まずはその啓発グッズ作成の進捗についてお尋ねいたします。

 また、和歌山県として精度の高いヤングケアラー支援施策を実施していくに際し、啓発に続いて県内の全中学2年生や全高校2年生を対象とした実態調査を行うことが必須であり、それによってヤングケアラーの気づきを早め、ヤングケアラー支援の確実性を高めることにつながると今も私は考えています。

 2月定例会でも実態調査の実施を提案させていただきましたが、その際には、国の全国調査結果も踏まえて検討するとの御答弁でございました。

 その後、実態調査につきましてはいかがお考えでしょうか。併せて福祉保健部長の御答弁をよろしくお願い申し上げます。

○議長(森 礼子君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) ヤングケアラーへの対応については、まず、ヤングケアラーという問題があること自体がまだまだ子供たちや学校教員、市町村の福祉担当者などの支援者にも十分知られていないことから、周知啓発を進めていくことが第一歩と考えています。

 このため、今年度、県内の中学生、高校生を対象として啓発物品を配付し、その中でヤングケアラーという問題があることや、困った際の相談先として、学校のほか、教育委員会や福祉の相談窓口があることを周知することとしており、現在、教育委員会や市町村と内容の調整を行い、作成を進めています。

 あわせて、学校現場における子供からの相談を適切な支援につなげられるよう、福祉の各種制度についてのマニュアルを作成し学校の教員等に配付してまいります。

 また、本県において、ヤングケアラーに対する適切な支援を行っていくためには、議員御指摘のとおり、県独自の調査によって、ヤングケアラーの実態を把握する必要があると考えております。

 本県でも、全国調査の結果との比較が可能となるよう、調査対象として中学校、高等学校の2年生を想定し、教育委員会との連携の下、学校を通じての実施を検討しているところです。

 この調査は、生徒の抱える悩みに立ち入るものであることから、生徒に精神的な負担をかけることのないよう配慮しつつ、しっかりと実態を把握できるように調査を行います。

 今後、1人でも多くのヤングケアラーを学校現場から福祉につなげ、必要となる福祉施策を総動員して適切に支援してまいります。

○議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 極めて積極的に取り組んでいっていただけるということで、心から感謝を申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、次に教育長にお尋ねをいたします。

 ただいま福祉保健部長より御答弁いただきました啓発物品や教職員向けのマニュアルの配付、また実態調査の実施におきましては、担任の先生方をはじめ学校現場との連携具合が肝となります。

 児童生徒にじかに接する方々のヤングケアラーへの理解の濃淡により、支援につなげられる可能性や支援までの期間に幅ができてはいけないと思います。

 1人でも多くの支援を必要とする児童生徒が一日も早く支援を受けられるように教職員の皆様の御理解を深めていただき、学校現場一丸となった対処をしていただくことが大切であると思います。

 つきましては、教職員の皆様への啓発や研修はどのように行うのでしょうか。御答弁のほどよろしくお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 学校の教職員は、日常のコミュニケーションを通じて、日々の子供の状況を把握し、必要に応じて面談や家庭との連絡、訪問等を行っています。そういう意味では、ヤングケアラー等、子供が抱える様々な生活課題に気づきやすい立場にあります。

 子供からの相談や様子を観察する中でそのような状況にあると気づいた場合、関係部局や市町村による適切な支援が一日でも早く受けられるよう、学校のスタッフが一体となって対応してまいります。

 そのために、福祉部局が作成する資料等を有効に活用するとともに、専門家を講師に招聘するなど、教職員の研修を充実させ、学校組織としての対応力の向上に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 どうぞよろしくお願いいたします。メディアも含め、ヤングケアラーに関する様々な報告や記事に目を通していますと、就職活動の際、ヤングケアラーであることを履歴書に書けるはずもなく、介護や看護が原因で遅刻や早退、欠席が増えたことや学業に集中し切れなかったことに対して企業から理解が得られないという訴えもございました。

 就労支援という意味でも、県当局の皆さんはもちろんでございますが、学校現場でもあらゆる機会を捉えて、地域や企業、事業所の皆様にヤングケアラーへの御理解が深まりますよう御尽力いただきたいということを強く要望申し上げます。

 それでは、次の項目に入らせていただきます。

 2018年1月頃であったと記憶していますが、イラン人タレント、サヘル・ローズ氏の著作「戦場から女優へ」を拝読しました。サヘル氏のこれまでを著した自伝的な内容でございまして、悲喜こもごも至る思いが募りました。

 この著作によりますと、サヘル氏が4歳のときにイラン・イラク戦争での空爆によって住んでいた村が全滅し、ただ一人生き残った彼女はボランティアの女学生に救出されて孤児院に預けられます。そして、このボランティアの女学生が養女としてサヘル氏を引き取りますが、養母となったこのボランティアの女学生は、自分の両親からは勘当されてしまいます。その後、日本で働く養母の婚約者を頼って2人で来日しますが、養母は連れ子の存在が原因で離別することになり、それからは公園でのホームレス生活やクラスメートからのいじめなどを経験します。

 養母はサヘル氏を養うために、文字どおり必死に働き、サヘル氏も学校に通いながら仕事の手伝いをして苦しい家計を助けます。そして、高校時代に受けたFMレポーターのオーディションに合格し、大学へ進学してはITを専攻、現在はタレント活動に加えて映画や舞台にも御出演され、国際人権NGOで親善大使を務められるなど、幅広く御活躍されています。

 孤児院での養子として引き取る子供探しのイベントの様子や、日本へ来てから受けた辛辣ないじめのシーン、また、養母との衝突などが書かれているこの著作の終わりに、サヘル氏は「血のつながりが、いちばん強い絆といわれていますが、でも、私はそうは思わない。血がつながっていなくても、深い愛情で結びついている親子はたくさんいます。私は、育ててくれたいまの母を愛しています」と記されています。

 また、芥川賞作家平野啓一郎氏の著作「ある男」では、売買による戸籍の交換がテーマとなっています。作中、戸籍の交換は2回行われることが専らであるとも書かれています。犯罪者や反社会的勢力の構成員の子供として生まれたなど、自分の人生の過去を完全に変えてしまいたい人が他人の過去で上書きするためだそうです。

 こちらはあくまで小説でございますが、実在する数多くの取材協力者や主要参考文献が存在することから、高い現実性を帯びた内容であると推察しています。

 そもそも子供は親を選ぶことができず、生まれる環境を選ぶこともできません。それだけに子供を授かった親は、情愛を持って子育てに向き合っていく責任を負います。

 元埼玉県教育委員会委員長の松居和氏は、その著作「なぜわたしたちは0歳児を授かるのか 親心の幸福論」の中で、「『親心』という『人間が子どもたちの信頼に応えようとする心』で、人々が一つになっていることが、社会を作る絶対条件になっているということが分かってきました」と「親心」が社会に満ちる大切さについて述べられています。

 一方で、親心に恵まれず、様々な事情から実の両親の元を離れて生活しなければならない子供たちが現実にはいます。そんな子供たちのために、我が国では里親制度及び特別養子縁組制度が設けられています。

 里親制度とは、児童福祉法に基づいて、県が里親として登録した方に児童相談所からの委託によって、原則として18歳までの子供の養育をお願いするものであり、特別養子縁組制度とは、家庭裁判所の決定により、原則として15歳未満の子供を、原則として25歳以上の夫婦が実子として迎える1987年に民法の特例法として誕生した制度でございます。

 また、特別養子縁組は普通養子縁組とは違い、生みの親や血族との親族関係が法的に消滅する点に特徴があります。

 私は今日に至るまで、多くの幼稚園、保育所など、子育てに関わる皆様からお話を聞かせていただいてまいりました。その上で、確信を持って申し上げます。子供にとっては、実の両親の元で育てられるかどうかではなく、子供に対して情や責任感を持って接する親の元で育てられることが重要でございます。

 あと、御関係の皆様は共通して「貧困や虐待は往々にして連鎖する」、「里親を必要とする子供は残念ながら今後も増加する」という御認識をお持ちでございました。中室牧子慶応義塾大学教授も「母親のストレスホルモンであるコルチゾールの上昇にさらされた胎児は、生まれた後の健康や学歴に悪影響があることを明らかにした研究が有名だ」とそのコラムの中で記されています。

 里親に預けられた後、生みの御家庭の元に戻る子供が多いわけであり、それが理想であるとは思います。しかし、司法統計年報によりますと、現実には里親制度を介したり法律に定める許可を受けた民間の特別養子縁組あっせん機関などを通じたりして、平成23年に374件だった特別養子縁組の成立件数は、令和元年には711件と8年でほぼ倍増となっています。

 本県におきましては、令和2年度の38組70人で20.8%という里親委託率を令和11年までに44.1%に引き上げる目標を立てているとお聞きしています。本県での里親登録数は、近年増加傾向にありますが、里親を必要とする子供がさらに増加することを見込みますと、里親委託率を上げるためには登録里親数のさらなる増加が期待されます。

 そして、登録される里親を増やす取組が必要とされつつ、ただ増やすだけではなく、子育てに理解の深い「親心」のある里親を増やすことが求められます。

 加えまして、里親制度は18歳までであり、先日、毎日新聞が報じました「児童養護施設や里親家庭などで育ったことがある若者の最終学歴は、中学卒・高校卒が8割を占める一方、大学や短大、専門学校などを卒業したのは1割強にとどまった」という記事に鑑み、里子の将来を考えますと、子供の充実した育ちの環境づくりの一つの柱として特別養子縁組をより丁寧に促し、より太くしていくことも今後は必要ではないかと私は考えています。

 同時に、社会の里親制度、特別養子縁組制度への理解を深めることも大切でございます。実の血縁関係にない子供を育てるということに対して、不要な誹謗中傷や風評被害が起こらないようにしなくてはいけません。親が「親心」を持って子供を育て、子供が幸せを感じているのであれば、他人がとやかく言う必要はないわけでございます。

 子供の豊かな養育環境を守っていくことは、その子供の幸せを願う上で大切であるというだけではなく、すばらしい人材として世に輩出されることで社会としても大きな利益を得ることになります。

 そこで、里親制度、特別養子縁組制度について、子供の視点を大切にした制度活用のさらなる充実に向けた県の考え方や取組を福祉保健部長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県におきましては、令和2年4月から、和歌山県社会的養育推進計画に基づき、児童が家庭において健やかに養育されるよう保護者を支援することを原則とした上で、家庭における養育が困難または適当でない場合には、養子縁組や里親委託を推進しているところです。

 里親制度につきましては、市町村と連携した制度説明会や出前講座の開催、広報紙やラジオなど、様々な媒体を活用した啓発活動を通じ、制度理解の促進や新規里親の開拓に取り組んでおります。

 また、今年度から、里親になるための研修について、より実践的な研修内容を法定プログラムに追加したり、児童養護施設入所中の児童と触れ合う機会を充実させるなどにより、様々な事情を抱える児童に適切に対応できるよう、里親の養育能力の向上にも力を入れているところです。

 さらに、里親家庭に対しては、定期的に家庭訪問を実施し、ニーズや家庭環境の把握を行うとともに、児童を迎えるに当たっての不安や迎えた後の子育ての悩み等に対し、土曜日や夜間も相談に応じる体制を整え、これまで以上にきめ細かな支援を実施しております。

 一方、特別養子縁組の対象となる児童の数は年間数名程度でありますが、児童相談所において丁寧なマッチングを実施していることから、全ての児童について縁組を成立させることができております。さらに今後は、市町村や産科医療機関とも連携し、新生児委託にも取り組んでまいります。

 なお、特別養子縁組については、里親として委託している期間はもちろん、縁組成立後も継続して相談に応じるなど、寄り添った支援を行っているところです。

 県といたしましては、今後もこうした取組を継続し、保護者の元で養育されることが困難な全ての児童が、家庭と同様に養育される環境づくりを進めてまいります。

○議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 今日までに、様々な事情からどうしても子供を授かれなかった御夫婦の思いや、必死の思いで不妊治療に臨まれた御夫婦の体験談を複数お聞きしてまいりました。

 厚生労働省が作成した特別養子縁組制度のリーフレットには「子どもを育てたいと願う人へ」というタイトルが書かれています。親心を必要とする子供が、子供を必要としている温かい親心を持つ御夫婦と出会うことに対して、子供の視点を大切にするということで、今よりもう少し理解が深まればいいのではと思います。県当局の皆様にもぜひ御一緒にお考えいただきますようにお願いを申し上げます。

 それでは、最後の大項目に入らせていただきます。

 先日、フリーマーケットアプリ運営のメルカリが、今夏にも人工知能AIを使った独自の与信審査を本格的に始めると報じられました。今年4月に改正割賦販売法が施行され、AIやビッグデータを駆使した与信審査が全面的に解禁されたわけでございますが、AIの本格活用はメルカリが初めてと見られるとのことです。

 また、5月12日には、デジタル改革関連6法が成立し、今年9月1日にはデジタル庁が新設され、マイナンバー活用拡大、地方自治体の行政システム統一化が進められ、行政手続のオンライン化推進や利便性向上が目指されることとなります。

 情報社会の延長線上に置かれる新たな社会とされる今日においては、官民による様々なアプリの開発が進み、会議のオンライン・オフラインによるハイブリッド開催は一般化しつつあり、モバイルスタンプラリーやキャッシュレスなど、アナログとデジタルの融合は日々の暮らしに着々と浸透してきています。

 時を遡り、パーソナルコンピューター、いわゆるパソコンに着目しますと、我が国では1978年頃より初期御三家と呼ばれるNEC、日立、シャープ、後に富士通を中心としてパーソナル用途向けの安価なコンピューターが発売され出しました。

 1983年6月27日には、アメリカ、マイクロソフト社の極東担当副社長であり、アスキー社の社長であった西和彦氏が主導し、国内家電メーカーの大同団結を背景として考案された統一規格MSXが発表され、同時期に発売されたファミリーコンピューターやセガ・エンタープライゼス社のゲーム機等としのぎを削っていくことになります。

 ゲーム機導入を禁じられていた御家庭でもパソコンなら大丈夫ということで、このMSXが導入されたという御家庭も多いのではないでしょうか。ゲーム目的で導入されたパソコンではありましても、やはりパソコンはパソコンであり、プログラミングのイロハをMSXで学んだユーザーも少なくないと推察しています。私もその1人でございます。

 それからおよそ40年がたち、趣味でプログラミングを楽しむ時代から授業でプログラミングを習う時代となりました。

 県民の皆様の暮らしの利便性向上には、オンライン化やデジタル化の普及が必須であり、行政サービスの充実には行政職員の皆様のスキルアップが必須であると私は考えています。

 2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン、ウメオ大学教授が提唱されたとされるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させるという概念だそうですが、デジタル化は外国人雇用と並ぶ人手不足の二大解消策にも位置づけられています。

 人手不足は民間事業所や企業だけではなく、多くの県内自治体も抱える共通の課題であると思いますが、当然の法理により、外国人の雇用が許されていない我が国の自治体において、デジタル化は行政サービスの施行効率や精度を上げるためにはもちろん、マンパワー不足を補って庁内の作業効率を上げるためにも重要でございます。

 とはいえ、デジタル化に向けたDX専任職員の確保や職員のデジタル技術向上に向けた取組を当該自治体任せにしていては、数年の後に、自治体間におけるデジタル化への対応状況に大きな乖離が発生することが往々にして想定されます。

 自治体間の乖離はでき得る限り小さくする必要があり、そのためには県も市町村のデジタル化の取組を支援していく必要があると私は考えますが、県のお考えはいかがでしょうか。県の取組も含め、田村一郎総務部長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 様々な分野においてデジタル化に向けた動きがある中で、市町村に行政のデジタル化についてお聞きしましたところ、「取り組むべき内容や方向性が分からない」や「情報主管課職員やデジタルに関わる専門知識を有する外部人材を確保できない」といった意見が多く寄せられたところでございます。

 こういった状況を踏まえ、県においては、本年5月に和歌山デジタル化推進検討会議を設置し、国が昨年12月に示した自治体DX推進計画や、一部の市町村で行われている先行的な取組も参考にしながら、各市町村において重点的に取り組んでいただくべき事項、内容について議論を進めているところでございます。

 市町村における行政のデジタル化に関わる大きな課題は、これまで各自治体が独自に情報システムを開発してきた結果、制度改正による改修を個別に行う必要が生じたり、システムベンダーの乗換えが困難になったりするなど、自治体にとって人的、財政的負担が大きくなっていることでございます。

 このような状況を踏まえ、国からは自治体の情報システムの標準化・共通化の方向性が示されており、県としても、先ほど申し上げました検討会議等において、各市町村に具体的な作業方針を示した上で、標準化等への対応を促し、できるだけ多くの市町村が同じ情報システムを利用する、そうすることで各市町村の負担を中長期的に減らすとともに、デジタル人材に乏しい市町村が今後のデジタル化の動きに乗り遅れないようにしていきたいというふうに考えているところでございます。

 また、行政手続のオンライン化や電子マネーを利用した公金の納付など、県民の利便性向上に直結する施策については、各市町村における取組状況に大きなばらつきを生じさせず、かつ、住民サービスの向上にもつながるよう、検討会議では施策の実施に当たっての手順や留意点について整理、議論を進めているところでございまして、こうした取組を市町村課長が推進のエンジンとなって、強力に前に進めております。

 お住まいの地域にかかわらず、県民の方々がデジタル化の恩恵を享受できるよう、市町村の足並みにも常に意を用いながら、県として行政のデジタル化を進めてまいります。

○議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 それでは、次に企画部長にお尋ねいたします。

 ただいま総務部長より、情報主管課職員の確保をはじめとする様々な課題や意見に対し、国が示している方向性を踏まえながらデジタル人材に乏しい市町村のデジタル化を支援していく旨の御答弁をいただきましたが、デジタル化に向けた技術支援となりますと、極めて専門的な知識や技術を有していくことへの支援ということになります。

 知識や技術がなければ発想へも至り難く、効率のよい行政サービスを立案すること自体がそもそも実現し得ません。

 県内の自治体が、それぞれの特色や戦略を持ってデジタル施策を立案して施行させつつ、自治体間でデジタル化への対応状況に大きな乖離が起こらないよう、市町村に対して具体的にはどのような技術支援施策をお考えでしょうか。

 また、先ほど申し上げました市町村職員のデジタル技術向上に向けた取組として想定されるICT研修につきましては、どのように進めるべきとお考えでしょうか。御答弁どうぞよろしくお願い申し上げます。

○議長(森 礼子君) 企画部長横山達伸君。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) 技術支援施策やICT研修について御答弁申し上げます。

 県では、市町村への具体的な技術支援を行うため、本年度、県内デジタル行政専門人材派遣制度を新設し、希望する市町村に対し、県内ICT企業の技術者をアドバイザーとして派遣し、技術的な支援を行うこととしています。

 この制度は、技術力など一定の条件を満たす県内に本店を有する企業が自社の技術者を市町村に派遣するものであり、まずは喫緊の課題となっている行政手続のオンライン化について、技術支援を行いたいと考えております。

 また、県と全ての市町村で構成する和歌山県電子自治体推進協議会を通じて、先進的な取組や効果が高いと考えられる取組を紹介してまいります。

 さらに、ICT研修につきましては、地方公共団体情報システム機構が豊富なメニューを無償で提供しており、引き続き、市町村において積極的な活用を促してまいります。

○議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 おいおい各自治体のデジタル化への段階を見ながら、県独自の研修メニュー等も御検討いただければと思います。人材不足という大きな課題を抱えている市町村への御支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 最後に、もうしばらく時間をいただきます。

 出版科学研究所によりますと、昨年のコミック市場の規模が前年比23.0%増の6126億円となり、1978年の統計開始以来で最大となったそうでございます。人気漫画「鬼滅の刃」の爆発的なヒットに加え、緊急事態宣言に伴う巣籠もり需要が追い風となったとのことです。

 「鬼滅の刃」は、私も全23巻を読ませていただき、映画も見させていただきましたが、過激な描写がある一方で、敵、味方いずれもが心を打つ歴史を背負い、真っすぐな友情が描かれているところに男女問わず、大人子供問わず共感を呼んだのだと思います。県庁内にもコミックの大人買いに走られた職員の方は多いのではないでしょうか。

 次に、ある中学2年生に勧められまして、「進撃の巨人」も全34巻を読ませていただきました。こちらもダークファンタジーとも称される描写がふんだんに出てきますが、深遠なストーリーの中で、胸が熱くなるような友情や愛情が濃く描かれています。世界累計発行部数1億部を突破したという大傑作で、「争いはなくならないかもしれない。しかし、人が人を思う強い気持ちは人を救う」ということがテーマだったのではと感じています。

 そのほか、我が母校の小学校で今春行われたアンケートにより、今最も夢中になっている漫画として「ドラえもん」を抑えた「呪術廻戦」や、過日アニメ化及びリアル脱出ゲーム化の決定が発表されました和歌山市出身の田中靖規氏が作者の友ヶ島を舞台にした離島脱出ストーリー漫画「サマータイムレンダ」も、やはり深い友情や愛情、淡い恋愛感情がちりばめられています。

 いつの時代でも多くの皆様が共感を覚えるのは、人の感情だと思います。人が人の感情に共感し、共有することで、大きな輪ができたり、大きなエネルギーが生まれたりします。

 今回はヤングケアラー、里親制度、特別養子縁組制度、そしてデジタル化を取り上げさせていただきました。

 本年は、ロールプレイングゲームのレジェンドこと「ドラゴンクエスト」が誕生して35周年となる記念の年でもあります。

 本県より、生まれた境遇に左右されず、大きな共感、共有を生む偉大なシステムやソフトの開発者あるいは研究者が輩出されますことを心より願い上げまして、私の人生14度目の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時6分休憩

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  午後1時0分再開

○副議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 39番片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)

○片桐章浩君 こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。

 鈴木副議長のデビュー戦ということなんで、しっかりと務めさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 まず1点目、ふるさとの偉人顕彰について質問をさせていただきたいと思います。

 我がふるさとは、全国に誇れる偉人を数多く輩出しておりますが、その功績があまり知られていない人物も存在していると思います。コロナ禍の今、伝えたい人物が、江戸時代後期の医師で、イギリスのジェンナーによる種痘開発から半世紀遅れたものの、日本で初めて国産天然痘ワクチンの開発に成功した小山肆成です。

 小山肆成は、天然痘は治癒よりも予防すべきと考えて、医学の先進地である京都で研究に没頭します。ワクチンの概念がなかった時代にあって、牛痘からワクチンを作り出した発想と行動力、忍耐力はすばらしく、それが成功するまでにおよそ8年の歳月を要しているということも、特筆されるべきだと思います。

 しかし、当時の人は、牛痘を接種すると牛になると思い、なかなか接種してくれませんでしたが、決して諦めることなく、天然痘に効果があることを証明していくのです。新型コロナウイルス感染症との闘いの最中にある現在、小山肆成の諦めない姿を学び、ふるさとから発信したいと思います。

 人類が唯一ウイルスに勝利したのが天然痘との闘いですから、我が国でそのきっかけをつくった小山肆成は、ふるさとの偉人として語られるべき人物だと思います。

 ウイルスの存在が確認されていなかった時代にあって、予防としてワクチンを開発したこの医師の進歩性、先見性はすばらしいと思いますし、まさに郷土が誇るべき医師だと思います。

 小山肆成は、西牟婁郡日置川町、久木村出身──今の白浜町の久木になるわけですが、その出身地にある久木小学校は、昭和45年に安居小学校と統合していますが、この小学校で昨年、学校内の文化祭で、小山肆成物語の劇を実施するなど、ふるさとの顕彰に取り組んでおります。これが、偉人教育の姿だと思います。

 今年になってNHKの番組で取り上げてくれたことは、大きな励みになるもので、ふるさとの医師に脚光が当たったこの機会をふるさと教育に生かす絶好の機会だというふうに思います。

 そこで1問目です。

 小山肆成をはじめ、ふるさとの偉人教育の今後の在り方について、日本で初めて国産天然痘ワクチンの開発に成功した小山肆成ですが、知名度はまだまだ低く、その功績もあまり知られていない、むしろ全国的には無名に近い存在だと思います。

 ふるさとの偉人を敬い、その功績を学ぶために、小山肆成をはじめとするふるさとの偉人教育の在り方について、教育長に質問したいと思います。

 このまま続けます。

 幕末に解体される寸前の紀伊藩、藩主を青年時に救い、壮年期には明治政府の要人となり、最重要課題であった不平等条約を改正し、私たちのふるさと和歌山県、日本国を守った陸奥宗光外務大臣。我が国の独立を確立し、病にて他界した陸奥宗光は、伯爵位を授けられております。陸奥宗光公とたたえられ、外務省と和歌山市の岡公園にその全身像が建立されております。目の前のパネルが岡公園の銅像でございます。

 ここで、あえて新たな知見を加え、陸奥宗光伯が生きた時代を振り返らしていただきたいと思います。

 幕末期の世界は、欧、米、露の列強諸国が競って植民地を網羅していた帝国主義時代でありました。列強諸国以外で植民地ではなかったのは、アジア、アフリカ大陸では日本とシャム王国──現在のタイ王国ですが、この2国でありました。

 幕末は、我が国を植民地にするがために列強諸国が押しかけ、黒船をはじめとする圧倒的な軍事力を見せつけて不平等な条約を交わし、我が国の国土を揺るがしていた時代だったのです。

 国内では、慶応2年12月25日、孝明天皇が崩御され、皇太子睦仁親王は、年が明けた慶応3年1月9日に践祚、慶応4年8月27日に即位の礼、明治天皇の御代の始まりです。

 そして、9月8日には元号が明治に改元されます。大政奉還、王政復古の大号令、鳥羽伏見の戦いと、幕末から近代へと移り変わる明治維新がスタートしたわけです。

 明治元年の末、薩長土肥を中心として形成された明治新政府は、鳥羽伏見の戦いの勝利において、徳川親藩である紀伊藩を窮地に追い込みます。藩主・茂承が束縛され、藩への圧力による解体を防ぐため、藩老たちは新政府の高官となっていた青年・陸奥陽之助に助けを請います。

 陽之助の父・伊達宗広は、紀伊藩の藩政を動かし、財政を発展させ、藩を富ませた重臣であり、かつ国学者としても高名な存在でありましたが、対立勢力で幕府に近い立場でいた紀伊藩江戸付家老・水野忠央によって、陽之助が9歳のときに父・宗広は失脚され、田辺城幽閉の身とされるのです。翌年、家族は高野山の麓に所払いを受け、1日の食のため、勤労雑務の生活を強いられることになります。

 武芸を携れない身の上に負けず、勉学に励み、独学を続け、15歳になった陽之助は、九度山、高野山周囲の方々の支援を受け、江戸に出してもらい、苦学、蛍雪し、その後、二十歳で勝海舟の海舟塾及び神戸村海軍操練所で坂本龍馬たちと航海術、万国公法を学び、亀山社中、海援隊時には英語、商法を取得し、龍馬亡き後は、英国公使・パークスの意を新政府の岩倉具視に伝え、王政復古の大号令を実現させます。

 その実力から、新政府開設時に外国事務局御用掛として活躍し、会計官──大蔵省の前身でありますが──判事で実績を上げ、大阪府権判事となって初代兵庫県知事の伊藤博文と共に盛んに往来し、国家将来の大計を協議していた25歳のときに紀伊藩主・茂承の懇願を伝えに来た藩老の話を受けたわけです。

 紀伊藩主・茂承救済を求められた陸奥伯は、政府重鎮の岩倉具視に、紀伊藩を新国家形成、これは郡県制度のひな形に育てることを提案し、了承を得たことによって茂承は解放され、藩への圧力は止まり、紀伊藩解体の危急を救いました。

 その後、版籍奉還を経て和歌山藩となった我が県を、陸奥伯は津田出、北畠道龍たちと共に、兵制度をはじめとする産業、生活様式などの藩政改革を行い、新国家形成のモデルとして和歌山を近代化させ、新しい和歌山の誕生に深く関わりました。

 このことで、徳川親藩であった尾張藩、水戸藩、会津藩は廃藩置県後に県名が変わっていますが、和歌山藩は県名を和歌山県として残されたわけです。

 これだけでも歴史に残る功績ですが、活躍の場は、この後、外交へと向かいます。

 当時の我が国は、列強諸国から対等国とはみなされず、日本は、裁判、関税について自由権を持たない、不平等を甘受しなければならない後進国にされていたのです。

 時を経て明治21年6月15日、外務省米国特命全権公使としてワシントンに着いた陸奥宗光伯は、11月30日、当時の大国・メキシコと互いに裁判、関税について自由権を持ち、両者を最恵国と認め合う我が国最初の対等条約を結び、列強諸国が敷いた策略の投網に大穴を開けたのです。

 そして、外務大臣時代の明治27年7月16日、イギリスとの間に締結されていた不平等条約の改正に成功することになります。これを機に、在任中に欧、米、露の列強15か国と交わされていた不平等条約の全てを改正し、明治政府の第1課題であった条約改正を成し遂げ、我が国の独立を守ったんです。教科書に載っている「不平等条約を改正した外務大臣、陸奥宗光」と記されているゆえんであり、欧、米、露、列強による帝国主義時代の流れを変える歴史を刻んだのです。

 私たちの和歌山を救い、近代国家の礎を築いてくれたふるさとの偉人の功績をたたえ、後世に引き継ごうと建立されたのが、この岡公園にある「陸奥宗光先生乃像」なのです。繰り返しますが、当時の市井の方々や有識者が伯の精神と志を後世に引き継ごうとしたのが、この像ということになります。

 そして、昭和46年8月24日、これは陸奥伯の命日に当たりますが、岡公園「陸奥宗光先生乃像」建立除幕式が、和歌山県政100年・和歌山市政80年の記念式典として実施されております。

 当時の和歌山県知事、和歌山市長をはじめとする関係者が岡公園に集まり、建立の趣旨から、ふるさとの外務大臣の功績をたたえ、その精神を未来に伝えていくことを誓い合ったのだと思います。

 建立の意味は、偉人とそれをたたえる発起人の名前を歴史に記すことであり、未来につなげる誓いとなるものです。

 明治政府最大の課題であった不平等条約改正に努めた外務大臣の精神を誇りに思い、昭和46年の建立に関係した県民、市民の皆様や政治家、企業の方々は、未来を生きる子供たちのためにこの像を建立したと思います。

 建立から50年、陸奥宗光伯の生きざまや志を私たちは伝えることを少し怠ってきたように思います。全国における学校教育であまり触れられていないこと、我が県でも陸奥宗光伯のことを語れる人が少ないこと、偉人としての名前が全国に広まっていない、そういうところから思うわけであります。幕末の坂本龍馬や西郷隆盛は言うに及ばず、同じ時代のほかの偉人と比べても全国的には知名度が低いように思うのです。

 地元を改めて見てみますと、顕彰館や学習のできる記念館がないこと、例えば教育委員会発刊の外務大臣偉人伝などの読み物がないことなど、これまで訪問した偉人の記念館を有している県や市と比較しても、偉人の功績を伝える環境が整っていないように思います。

 和歌山県と和歌山市、そして県・市教育委員会には後援をいただいていますが、主催者と同じく、ふるさとの偉人をたたえ、その功績を引き継ぐ気持ちを持ってくれての後援だというふうに思います。

 来る8月21日、和歌山県誕生150年・和歌山市政130年を記念して、「陸奥宗光先生乃像」建立50周年記念事業として、記念講演会と記念式典を行う予定がありますが、この講演というのは、今回の主催は、陸奥宗光外務大臣の功績を教育に活かす実行委員会が担当させていただくことになります。

 もう一つの思いがあります。この記念式典には、外務省大臣官房総務課長──当時でございますが──和田幸浩さんも出席してくれる予定でした。御存じのとおり、和田さんは和歌山県出身で、外務省のエースと呼ばれた方で、和歌山県が誇るべき人物でした。特に、北米第一課長時代の活躍は、郷土の誇りと言ってもいいぐらいのふさわしいものでありました。

 令和3年1月2日、突然の訃報の知らせを受けたのは昨日のことのように思います。昨年、この企画の話をして出席依頼したところ、ふるさとのために出席を快諾してくれて、講演もしていただく予定でした。外務省の和田さんは、ふるさとの外務大臣が成し遂げた偉大な功績と志を熟知してくれていますから、快く出席の返事をしてくれていたのだと思います。

 この記念式典においては、和田さんの志と功績も共にたたえたいと思っております。

 今から50年前、「陸奥宗光先生乃像」の建立除幕式かつ和歌山県政100年・和歌山市政80年の記念式典の記録がなく、今では分からなくなっていますが、今回は実施することが記録に残るよう、ここで取り上げました。

 記念講演では、陸奥宗光外務大臣の築いた歴史を外務省外交史料館「日本外交文書」編纂室長の冨塚一彦氏から──氏は何度も和歌山市に来ていただいたことがございます──陸奥外相が成し得た業績が我が国にとって外交上どのような価値があるものか、史料から読み解いていただき、外務省に今も語り継がれているエピソードなどの講話をしていただきます。

 また、「宗光と龍馬が夢見た世界」と題するシンポジウムでは、外務省の冨塚室長と坂本家10代目から、宗光・龍馬両雄に成り代わり、熱い議論を交わしていただく予定であります。

 この日の午前中──この記念式典の午前中ですが──令和3年度一般社団法人全国龍馬社中近畿・北陸ブロック会議和歌山大会も同時に開催することになりました。龍馬社中というのは、坂本龍馬のファンクラブみたいなもんで全国組織でありますが、その参加者はそのまま記念講演会と記念式典に参加していただくことになり、翌日は和歌山電鐵貴志川線に乗車して、紀伊の国一之宮神社などを訪ねる「陸奥宗光伯と和歌山名刹三社参り」に参加してくれる予定になっております。

 和歌山県の偉人の式典に、陸奥宗光伯と子弟関係にあった坂本龍馬の会の皆さんが参加してくれる広がりを持った式典になろうかと思います。

 御存じかも分かりませんが、全国龍馬社中の全国大会というのは非常に規模が大きくて、どの開催県におきましても、開催県の知事、開催市の市長が出席してくれるものであり、全国からは500名から1000名が参加する大会規模となっております。

 来る8月21日は、近畿・北陸ブロックに属する龍馬会代表者の集いであり、また、コロナ禍のため、人数を絞って、やや小規模なものになりますが、龍馬を愛する皆さんが我が和歌山県に来て建立記念式典でお祝いしてくれることは、坂本龍馬の意志を引き継いで新国家を目指した陸奥宗光伯を、そして和歌山県を全国に知らしめる絶好の機会になると思います。

 この和歌山県誕生150年・和歌山市政130年を記念した「陸奥宗光先生乃像」建立50周年記念式典をどう思うのか。ふるさとの子供たちに対してのメッセージも併せて伝えてほしいと思いますが、この点に関しては知事の答弁をお願いしたいと思います。

 そして、この項目、三つ目に入ります。

 和歌山市では、陸奥宗光伯銅像建立50周年の取組を既に行ってくれております。今年6月1日から8月1日まで、和歌山市立博物館常設展示室において「陸奥宗光と和歌山」を開催しております。8月16日から8月24日までは、和歌山市役所1階市民ギャラリーにおいて、仮称ですが、陸奥宗光伯銅像建立50周年記念展を予定してくれております。

 また、市民図書館では、機運を醸成するため、陸奥宗光書籍コーナーのスペースを確保してくれております。今回、議場に、ここに置かしてもらっていますパネルは、和歌山市教育委員会が作ってくれたものであり、企画展などの場でこの式典をPRしてくれているものであります。

 今年は、和歌山県誕生150年の年ですから「陸奥宗光先生乃像」建立50年の記念講演会や記念式典などの事業と連携した取組を検討してほしいと思いますが、この点に関しては環境生活部長の答弁をお願いしたいと思います。

 また、教育者の観点から、同じくこの項目につきまして、教育長のお答えをお願いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 陸奥宗光は、彼が存在していなければ欧米諸国と対等な近代国家日本が成立するのははるかに遅れていたと言われるほど、我が国外交史上において不滅の名を残す人物でありまして、これがまた和歌山出身だということで、偉大な郷土の先人の1人だと大変誇りに思っております。

 外務省の本省の敷地内には、長い日本外交の歴史にもかかわらず、たった1人だけ銅像が建っているんでございますが、これが陸奥宗光さんなんでございます。それで、和歌山県でも、過去何度かこの方を高く評価しようという動きが盛り上がったというのが何度もあるんですけれども、50年前に民間の有志の方々がたくさんお金を出されて銅像を建立されたというのも、その一つだというふうに思います。

 最近では、再評価の先鞭をつけたのは、就任以来の私ではないかと自負しております。偉人シンポジウムというのがあるんですが、ここで陸奥宗光を取り上げて、東京で大変な方々の下にシンポジウムを行いました。そのときには、陸奥宗光さんの一族の岡崎家の──これはまた外務省の大先輩なのですが、岡崎久彦さんに汗をかいてもらって、大変お世話になり、インパクトのあるシンポジウムができたと思います。

 その後も、同じようなシンポジウムを和歌山で度々県庁の主催で行っておりまして、何かきっかけがあったら陸奥宗光さんを顕彰するというのが、私どもの最近の習いになっております。

 これは、うまくいっておりませんが、NHKの大河ドラマでも絶対に取り上げるべきだと言って何度か運動したんですが、これはうまくいきませんでした。

 陸奥宗光は、明治2年から4年の紀州藩において、地租改正、四民平等、洋式軍隊、廃藩置県の構想をもって藩政改革を行ったわけでございまして、これは実は明治日本国家の基になると、いろいろないきさつがあるんですが、そういうふうに私は思っておって、明治維新は和歌山モデルだと言って主張をしているわけでございます。

 実は、その後、よく調べますと、さらにその視野と足跡は、立憲主義、それから民主主義まで踏まえているすごい人だというふうに思います。

 今申し上げましたことをもう一度申し上げますと、県では、平成24年に、外務大臣就任120周年記念陸奥宗光シンポジウムというものをやりました。それから、平成29年度には没後120年陸奥宗光シンポジウムというのをやりました。平成30年度には明治150年シンポジウム、令和元年度には外交資料展「外交史料と近代日本のあゆみ」と、機会があるごとに陸奥宗光さんを言わば主役として顕彰をしてまいりました。

 このたび、民間の方々も盛り上がってくださって、「陸奥宗光先生乃像」建立のときみたいに皆さん盛り上がっていただいて、その50周年記念式典が挙行されるとのことでございます。50年の節目で有志の方々が集い、顕彰されることは、誠に結構なことだというふうに思っております。

 あえて言うと、50年前の先達の方々も顕彰してさしあげたらいいのになあというふうに思っております。

 今度は、子供たちに対する影響でございますが、和歌山は何てつまらないところなんだなどと、本当に知らなくて、または知っていても半ば自虐的に言う人が結構います。子供たちがそれを信じたら、誇り高い気宇壮大な志を持った人間はなかなか生まれにくいというふうに思います。

 陸奥宗光をはじめとした先人の功績を知るということは、ふるさとへの愛着や誇りにつながり、それが子供を大成させる基になるというふうに私は思いまして、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」を作成して、学校教育の場でふるさと教育を今やっていただいているところでございます。

 子供たちには、こういうものを使って、さらにそれから発展して自分でいろいろ調べて勉強して、それで誇りを持って、それぞれの道で自らの勉強をして雄飛してもらいたいなあと、そんなふうに考えております。

○副議長(鈴木太雄君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 県では、和歌山県誕生150年を迎え、記念事業の準備を進めるとともに、その啓発にも力を入れているところです。

 今回、「陸奥宗光先生乃像」建立50周年記念事業が有志の方々により催されると伺い、150年を祝う機運の醸成につながるものと期待しております。

 県の記念事業においては、和歌山県の歴史を振り返る講演会や記録映像の上映、県内各地を巡回するパネル展などを考えており、その中で陸奥宗光の功績につきましても大いに県民に紹介することとしております。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) まず、小山肆成をはじめとする本県の偉人教育についてでございます。

 天然痘を予防するワクチンの開発という医学の進歩に大きな役割を果たした本県が誇る先人の1人である小山肆成をはじめ、本県には世界に誇る先人が数多くいます。

 県教育委員会では、全ての中学生に1人1冊及び全ての学校に配布しております、先ほど知事が申し上げましたふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」において、本県にゆかりのある先人を掲載し、各教科等で活用しているところでございます。また、県独自の道徳教科書である小学校版「心のとびら」には、小山肆成についての業績も取り上げており、中学校版「希望へのかけはし」とともに先人の生き方を通した教材として道徳科の授業に生かしています。

 こうした和歌山にゆかりのある先人の功績を学ぶことで、児童生徒にふるさと和歌山を誇りに思う心情を育ててまいります。

 それから、陸奥宗光先生の像についてでございますが、各学校では、子供たちが日頃からふるさとの先人やその業績について学んでおります。

 今回の「陸奥宗光先生乃像」建立50周年記念のような節目の機会を捉え、その業績を見直すことは、偉業を風化させないこととともに、子供たちが先人についての見識を深めることができるよい機会になると考えます。

 今後も、様々な機会に本県ふるさとにゆかりのある先人について学び、ふるさと和歌山に誇りと愛着を持てるよう、ふるさと教育の充実に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 御答弁いただきましてありがとうございます。

 まず、8月の建立50周年につきましては、50年前、当時の発起人の発案者というんでしょうか、これが日吉染業の川口さんでございまして、この先達のところにも今回の事業の説明は行い、協力等々そういったことは、お話は行かせてもらっております。ただ、御高齢とかいろいろな諸事情によりまして出席はかないませんでしたが、先達も同時に、一緒に顕彰はさせていただく予定でございます。

 そして、和歌山県誕生150年、そして銅像建立50周年ということで、こういうバッジも作っていただいておりますが、やはり和歌山藩が和歌山県になったときの苦難というんでしょうか、その生い立ちを知らないことには、150年といってもうれしさは感じないだろうし、お祝いのしようもないと思います。実際、この県誕生の趣旨とか含めて、しっかりと歴史というのを、ふるさと教育というのを進めていただけたらなあというふうに思ってございます。

 続きまして、質問項目2点目の大和街道について、質問に入らせていただきます。

 和歌山市には身近なところに歴史の跡がありますが、和歌山市本町1丁目1番地の道路元標記念碑もその一つです。

 江戸時代、京橋──和歌山市の京橋なんですけども、和歌山城の表玄関で、南には城内の三の丸に通じ、北詰からは本町通りを経て諸国へと街道が通じていました。このため、和歌山城から何里という表現は、全て京橋北詰からの距離でありました。

 この橋が架かっている市堀川は、江戸時代には和歌山城の外堀であった場所であり、京橋は城内と城外の境界にあった場所でもあります。つまり、江戸などから紀州を目指す人々はこの京橋を目指し、紀州から江戸に向かう人は京橋から最初の一歩を踏み出していたわけであります。和歌山城を中心としたまちの起点に、そして終点にもなった場所がこの京橋だと言えます。

 例えば、参勤交代もこの地点を通り、江戸から紀州に帰ってきた行列もこの地点を目指して帰ってきたわけであります。江戸時代の紀州の原点とも言える場所が道路元標記念碑という形で残されておりますが、現在では訪れる人も極めて少なく、注目されることも少ないことを残念に思います。先日、有志の皆さんと共にこの場所の清掃を行いましたが、雑草が茂り、ごみが散らかっており、はたまたこの道路元標記念碑の前には自転車が放置されていると、このような状況で、ふるさとの原景を大切にしていない気持ちが表れているのかなあと残念に感じたところであります。

 紀州から旅立つ人たちは、この場所に立って、これから行く江戸のまちを思ったことでしょうし、ふるさとに帰ってきた人たちは、この場所にたどり着くとふるさとに包まれて安堵したのではないでしょうか。

 当時の「紀伊国名所図会」というのがあるんですが、この絵を見ると、行き交う人々も多かったことを示す描写がありますし、この交通の要所は商売人のまちであったこともうかがい知ることができます。

 この大和街道に関して、和歌山県発刊の「わかやま歴史物語100」から一部を引用したいと思います。大和街道の景観がよく浮かんできます。

 「紀ノ川に沿って、東西に延びる大和街道。奈良時代、都が置かれていた大和から紀伊、淡路、四国を結ぶ官道として整備された南海道の一部にあたり、人びとの往来はもちろん、歴代天皇の行幸、紀州藩主の参勤交代などにも利用されてきました」、「多くの歴史遺産が点在する大和街道は、ファンならずとも胸躍る歴史の宝庫。全国津々浦々に古い街道は数あれ、大和街道を歴史の宝庫と呼びたくなるのは、歴史遺産が多いということだけに留まりません。数の多さに加え、万葉から江戸の時代に至るまで時間的な幅も大きい。つまり街道とその土地の歴史を重層的に見られることこそ、大和街道の魅力」、このように紹介されています。非常に分かりやすい表現だというふうに思います。

 観光に携わっている方から、こういう話をいただきました。「コロナ禍にあって、最近はウオーキングを楽しむ人が増えていますよ。特に案内所には、他府県から1人で来て、大和街道を歩きたい、こういう案内をしてほしいという依頼が来ている」、こういう話も実はいただいておりますし、ウオークを楽しむ人を対象とした大和街道ウオークマップを作成することもアイデアかなと思います。現在はありません。

 先日、和歌山市の京橋から一里塚辺りまでの道のりを観光ガイドに案内をしてもらいながら歩いてまいりました。これまで、この道が大和街道だと深く意識して歩いたことはありませんでしたが、ふだんの行動範囲にあるこの道が歴史街道だったんだと思い、とても新鮮な光景が広がりました。日頃は意識していない歴史の道ですが、その歴史を知ることで、和歌山県が誇るべき歴史街道になるかもしれません。

 熊野古道がまだ世界遺産に認定されていなかった当時、梅原猛氏や西口勇元和歌山県知事の著書でその歴史や魅力を学びましたが、知識を得てから歩くとその価値を理解することができます。

 今では、熊野古道は県や市町の粘り強いPRや情報発信によって、その由来や価値が容易に分かるようになり、世界に誇る歴史の道、信仰の道としてその地位を不動のものにしておりますが、この大和街道もそうなるように、ぜひ力を入れていただけたらと思います。

 そして、この大和街道に関する調査、裏づけみたいなものですが、昭和55年に和歌山県教育委員会が「南海道・大和街道他」のタイトルで、和歌山県文化財研究会として報告書を編さんしていて、そこで歴史の道としての意味づけがなされているようであります。

 京橋から旧高野口町名古曽にある十里松まで、陸奥宗光伯がまだ牛麿と呼ばれていた頃に、父・宗広の田辺城幽閉に続いて所払いに遭ったのですが、そのたどり着いたのが十里松。その跡地には、今は5代目となる松の木を十里松顕彰会会長である西岡裕宣さんが管理してくださっていることも申し伝えたいと思います。

 この牛麿の話からも、大和街道は観光につながるような物語というんでしょうか、歴史の道としての物語を記すことができるのではないでしょうか。

 そこで、大和街道を観光資源として活用することについて、質問に入ります。

 大和街道の始発点であり終着点の京橋は、今で言うところのターミナルですから、多くの人が行き交い、人の数だけ物語があったはずです。交通の要所ですから、歩いて回れる町なかに紀州の歴史がひっそりとたたずんでいるわけです。

 この道は、江戸時代の生活の拠点であり、生き生きとした姿があった場所であり、経済交流、文化交流、そして維新へとつながった道です。歴史の跡を残すと同時に、文化も残さなければ、当時の人々の思いや志を知るすべはありません。

 この大和街道を歴史を楽しみながらまち歩きができる道としてPRし、観光資源としての活用に向け、今後、街道沿いにある市町と連携して取り組んではいかがかと思いますが、商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 紀の川に沿って東西に延びる大和街道は、奈良時代に整備された南海道の一部に当たり、江戸時代には参勤交代や紀州藩領である三重県の松坂城などを結ぶ重要な街道として栄え、京橋を始点として、街道沿いには国指定史跡の四箇郷一里塚や旧名手宿本陣をはじめ、妹山・背山、隅田八幡神社、真土山などがあります。さらに、周辺には根來寺、粉河寺といった名刹、大畑才蔵ゆかりの小田井用水路など、観光資源が豊富にあります。

 また、街道沿いは、果樹王国和歌山を代表する産地であり、旬のフルーツを味わうカフェや購入できる農産物直売所があり、歴史、文化に触れながら楽しくまち歩きすることができます。

 現在、わかやま歴史物語で、春林軒といった華岡青洲ゆかりの地と旧名手宿本陣や、万葉集で詠まれた歌碑や紀伊国と大和国の国境にある飛び越え石といった万葉歌人の足跡が残る橋本エリアなどを周遊できる複数のモデルコースを設定し、紹介しています。

 また、最近実施したスタンプラリーでも多くの方に参加いただいたところです。

 今後も、大和街道のまち歩きを楽しんでいただき、周遊促進につながるよう、関係市町と連携して観光地のさらなる魅力アップを図るとともに、雑誌やメディア等を活用した情報発信等にも取り組んでまいりたいと考えています。

○副議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 答弁をいただきましてありがとうございます。

 この大和街道沿いを僕も歩いてみたら気づくんですけど、古民家を再生したレストランとかカフェとかお茶どころとか、いろいろ車で走っていては気づかないようなポイントもありまして、ウオーキングしながら休憩、ウオーキング、こういうコース取りもできますし、結構幅広いですから、ちょうど和歌山線沿いということもありまして、ポイントを歩いて和歌山線でまた起点へ戻る、こういう活用の仕方もできようかと思います。JRとか貴志川線と協力をしながらコースがつくれるんではないかなと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そして、最後の項目三つ目であります。コロナ禍における支援の仕組みについて、質問に入らせていただきたいと思います。

 コロナ禍における休業、時短要請を受けた飲食店などの支援についての質問となります。

 コロナ禍の支援に関して問題だと考えているのは、緊急事態宣言の出された都道府県とそれ以外の県への不公平さを感じることです。緊急事態宣言の都道府県の飲食店においては、1日3万円から10万円の支給を受けていますが、当県はこれらの府県と近接しており、同じように影響が出ていますが、我が県の飲食店にはこれが適用されていません。この差は、あまりにも不公平であると感じています。このことは、全国知事会議で仁坂知事も発言しているところから、そう理解できようかと思います。

 少し知事の発言を引用させていただきます。「首都圏で大爆発して広がり、急所は飲食だと専門家に言われ、地域経済も一気に駄目になった。踏んだり蹴ったりの地方に助成がほとんど来ていない。一方、感染を広がらせた首都圏に依然としてたくさんのお金がいっている。これはおかしいなあと思う。少しは実態に応じて困っている残りの地域にも救済があってしかるべきだ。実態に即して政府からの救済があっていい」、このようなコメントだと思います。

 知事は、緊急事態宣言地域外においても宣言地域と同等の支援を求めてくれているのは、地元の飲食店などが置かれた状況を的確に把握した上で、不公平感や県民の方々の外食を控えるといったムードを察して提言してくれたものだと思っています。

 そこで、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置区域と、それ以外の区域での飲食店などへの支援については、不公平感がありますから、和歌山県として国に強く訴えていただきたいと思います。県内の飲食店から要望がありますように、政府の財政の配分の見直しや休業や時短などへの協力金を全国に公平に配分できることを強く求めてほしいと思いますが、知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 緊急事態宣言の発令をされた地域とそれ以外の地域において、国の支援が不公平であるという問題意識を共有する知事が申し合わせまして、緊急事態宣言地域外の飲食店や観光、宿泊、交通も含めた関連事業者への支援について、3月に国に対して連名で緊急要望を行いました。

 首謀者は、平井鳥取県知事と私なんですけれども、大分県の広瀬知事をトップに担ぎまして、それでいろいろ協力をして働きかけをいたしました。メニューの中で一つを除いてうまくいったんですけど、一つは、未遂に終わっております。

 このような緊急提言を受けていただいたと思いますけど、感染状況がステージ2相当とされる都道府県が行う県内旅行の割引事業を支援する地域観光支援事業が創設されるとともに、一時支援金についても弾力的な運用が実現をいたしました。また、新型コロナウイルス地方創生臨時交付金の事業者支援分が創設されまして、ここはまあ一定の成果があったなあというふうに思っておるわけでございます。

 なお、今申し上げました地域観光支援事業については、その後新型コロナの第4波の大感染があっちこっちに広がってしまったもんですから、ちょっと足踏みになっておりますが、またいずれこれからやっていこうと思いますし、残りの交付金等々については、これから事業者の方々を支援していく原資にさせていただくということになるわけでございます。

 しかしながら、議員御指摘のとおり、要望項目の中で一つだけ、営業時間短縮要請協力金に対する国の支給単価において、緊急事態措置区域やまん延防止等重点措置区域とそれ以外の区域で、現状において格差が存在しているのはおかしいのではないか、これを直してほしいということについては未遂に終わっております。

 理屈から言えば、緊急事態措置区域等であるかどうかにかかわらず、営業時間短縮要請による影響は同じでありまして、本県のように保健医療行政で新型コロナの感染をできるだけ抑えながら頑張ってきた地域が差を設けられているということは、これは不公平じゃないかというふうに私は思っております。

 そこで、再び6月4日に政府に対して、緊急事態措置区域等の内外にかかわらず、支給要件や単価等を同条件とすることを、和歌山県として政府要望の中で提案、要望してきたところでありますけれども、そんなに楽観的にまだ目先が見通せるわけではございません。引き続き、政府に対して働きかけをしていきたいと考えております。

○副議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 答弁、知事からもいただきまして、ぜひ、緊急事態宣言が解かれるという事態にはなっていますが、今後来ないにこしたことはありませんが、新型コロナの第5波等々に備えて今政府に働きかけていく手を緩めず、しっかり働きかけていただくことをお願い申し上げまして、一般質問とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 12番秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)

○秋月史成君 一般質問2日目最終登壇者となります。皆様、お疲れでしょうが、もうしばらくお付き合いいただきますことをお願い申し上げます。

 本日、私のもう一つの地元であります日置川から、県道日置川大塔線改修促進協議会の皆様が議会の傍聴に来られております。県当局の皆様におかれましては、何とぞ前向きな御答弁、よろしくお願いいたします。

 それでは、議長の許可をいただきましたので、以下、通告に従い一般質問を行います。

 まず初めに、前議会から引き続き、県職員の心の健康管理についてお伺いいたします。

 前2月議会では、田村総務部長より「ここ3年間の長期休職職員数につきましては、平成29年度は31名、平成30年度は29名、令和元年度は33名となっております。長期休職の主な原因につきましては、約8割が心の病によるものでございます。続きまして、中途退職職員の状況につきましては、平成29年度は36名、平成30年度は47名、令和元年度は61名となっております」とお答えをいただきました。

 その御答弁を受けて、私の印象は、多いなあというものでした。長期休職ではなくとも、御答弁には表れない短期の心の疲れによる休職もあるのではないかと思っております。

 私は、自衛隊の学校時代、小部隊の指揮官になるための指揮官教育を受けてまいりました。常に隊員の健康状態の掌握を行うこと。例えば、行軍訓練の際の休憩時における隊員の健康状態の掌握や、足にまめができることの防止のため靴下の交換や、士気の低下につながるため、ぬれた靴下の交換を行わせることなどの教育を上官から受けました。精強な部隊の基礎は、隊員の一人一人の健康にあります。

 また、全く無学で職人かたぎの父から事業を引き継ぐ際、まず経営者の一番の役目は、自分の健康管理と社員の健康管理と教えられたことがあります。自分と社員の健康を守るのがトップの仕事と言われました。その言葉は、生涯私の中で生き続けることでしょう。

 前議会の質問の御答弁の状況を踏まえ、和歌山県のトップとして、今後の県職員の心の健康管理に対する知事のお考えをお聞かせください。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 県の活性化のためには、県職員一人一人が心身ともに健康で、その能力を十分に発揮し、県政に取り組んでいくことが肝要であります。

 昨今、新型コロナウイルス対策、あるいは鳥インフルエンザ対策、豚熱対策など、これまでなかった業務が発生しておりまして、職員は多忙にもなっておるんですが、それぞれ職務に責任感を持ち、高いモチベーションを維持しながら業務に当たってくれていると思います。

 ただ、あまりにもオーバーワークになると、心身の障害のおそれが出てまいります。あるいは、そこまでいかなくても、能力やあるいは能率が落ちてくる、そういう点にも我々は配慮していかないといけないということでございます。

 そこで、応援を出したり、放置しといたらいかんので、分担をちょっと変えたり、交代をしてもらったり増員をしたり、いろんなことをしながら、何とか大事な業務がいっぱいあるということをこなしていかないかんと言って頑張っているところでございます。

 また、これだけではなくて、オーバーワークとかそういうことだけじゃなくて、本県を含め全国的な傾向として、心の病を原因として休職等に至る職員が増加しているわけでございます。

 心の健康管理におきましては、早期発見、それから早期対処が最も重要と考えます。長くたてばたつほどなかなか回復しないということであります。本人がそういうことをちょっと不調かと思ったら、相談をしてくれれば一番よろしいんですけれども、なかなか頑張っちゃうという人がいまして、それも難しいんで、まず周囲の職員がいち早く気づいて相談窓口につなげていくということが大切だろうというふうに思います。

 とはいえ、上司がパワハラの当事者となるなど、周囲が気づいても早期対処につながりにくい場合もございますので、例えば、全庁的に行われるストレスチェックの活用などによりまして、早期発見につなげていきたいと考えております。

 心の病に至る原因といたしましては、今申し上げました職場でのハラスメントなどの人間関係、一番初めに申し上げました過重労働、あるいは個人の問題、例えば家庭の問題とか、そういう様々な問題がありますので、原因に応じた対応が必要でございます。

 例えば、原因がハラスメントの場合は、行為者に是正をさせないといけませんが、時として、その行為者を異動させるということが必要になってくる場合もありまして、時々実行もしております。過重労働の場合は、先ほど言いましたように放置しといたらいかんので、応援や分担やあるいは交代や、そういうことをしながら、業務量をあまりひどくならないようにするということが大事であろうかと思います。

 また、職員本人が自分に対するケアをすることももちろん大事でございまして、言葉は悪いんですけれども、私は時々、倒れそうになったら倒れてしまえと言うとります。これは、早めの治療を促して、場合によっては休暇取得を勧めるという趣旨でございまして、早く対応すれば早く治ってまた復帰できるということを期待しております。

 その間、ほかの人が補ってあげなければいけないわけでございますが、それはお互いにそういうことをして、今後はその方が、故障していて休んでいた人が復帰したら、今度は別の人が倒れたときに補ってあげようということで、そういう助け合いの職場にしたいなあというふうに思っているわけでございます。

 こうした取組を通じて、職員が心の病で休職や退職などにならないように、今後とも心の健康管理に努めていきたいと考えております。

○副議長(鈴木太雄君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 心の病に至る原因は、職場でのハラスメントなどの人間関係、過重労働、家庭問題等、原因は様々なようですが、人間関係や過重労働等の職場環境の是正は、トップである知事の大きな仕事かと思います。県職員の皆様は、和歌山県民の幸福を支える縁の下の力持ちであります。その職員の皆様が病んでいては、和歌山県民を支えることはできません。職員の皆様にも最大のエールを送りたいと思います。

 次の質問に移ります。

 平成28年9月定例会において、公用車の交通事故防止策について質問いたしました。しかし、その後も議会ごとに知事専決処分報告で公用車の交通事故についての報告が出されております。私の平成28年の質問以降、減少していない感覚があります。

 近年の公用車での交通事故の発生状況と事故防止対策について、総務部長、お聞かせください。

○副議長(鈴木太雄君) 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 知事部局の公用車に係る公務中の交通事故の発生状況につきましては、昨年度は減少しているものの、議員御指摘のとおり、平成28年度からの傾向を見ますと減少しているとは言い難い状況であると考えております。

 平成28年度以降の被害事故を除く公用車の事故発生件数は、平成28年度は37件、平成29年度は38件、平成30年度は39件、令和元年度は49件であり、令和2年度は33件となっております。

 公用車の事故防止対策としましては、従来の全職員を対象とした職場研修や新規採用職員研修を通じた交通ルールの遵守等の徹底、事故を起こした職員に対する交通センターでの研修による交通安全技術の向上はもとより、機会あるごとに事故防止を呼びかけているところでございます。また、重大な交通事故を起こした職員については、勤勉手当の支給割合を引き下げることとしております。さらに、今年度からは、過去に発生した公務中の事故の内容等を分析し、特に留意すべきポイント等を全職員に複数回周知することにより、直接注意を促しているところでございます。

 加えて、平成28年度からは、全ての新規購入車両にドライブレコーダーを導入できるよう、また、昨年度からは、新規に購入する車両、購入後5年以内の車両及び購入後5年以上で走行距離5万キロメートル以下の車両の全てにバックモニターやコーナーセンサーを導入できるよう予算措置を行い、順次導入を進めておるところでございます。

○副議長(鈴木太雄君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 県当局よりお答えいただいた取組の中で、ドライブレコーダーの導入状況については、平成28年度以降令和2年度末までに任意保険に加入している公用車859台中511台、率として59.5%に導入、また、新規購入車及び既存車を対象としたコーナーセンサー及びバックモニターについては859台中247台、28.8%の公用車に導入済みであるとお聞きしております。

 昨年度、私は、和歌山県議会に同意をいただき、知事より和歌山県監査委員に任命されておりました。各部局及び出先機関である振興局に出向き、監査業務を行ってまいりました。そのたびに、公用車の交通事故が多発しており、所属長が謝罪及びその対策について述べられております。どの答えも判を押したような内容であり、本当に交通事故防止につながるようには感じないものでありました。

 人間は、常にミスを犯す動物であります。どんなに注意をしていても、どんなに注意を促しても、人は常にミスや過ちを犯す動物です。そのミスを回避するため、人間は英知を絞り、様々な技術革新を行ってまいりました。

 この4月で、県議会議員改選後2年が経過いたしました。思い起こせば一昨年、無事改選を終え、先輩・同僚議員から私が自動車の修理、販売を行う会社の経営者ということもあり、衝突防止機能を備えた車両についての御相談を多数受けさせていただきました。加齢により感覚が鈍り、大きな事故ではなくとも、軽微な車両事故が多くなる可能性があります。近年では、高齢者の交通事故の報道がなされております。

 前回の質問時にはあまりなかった車両の衝突防止装置及び自動運転の機能を有する車両も多数販売されるようになってまいりました。昨今、当社のお客様である高齢者及び若年層のドライバーでも、衝突防止装置及び自動運転機能を有する車両に買い換えたり、装置付車両を選択されるお客様も増えております。衝突防止装置は、軽自動車でも10万円以下の安価で装着できるものが主流となっております。お客様も、10万円以下なら事故を起こすよりは安い買物とおっしゃられます。

 県の公用車でも同じことが言えると思います。今後、公用車を購入する際、代替車両には必ず安全装置付車両を購入してはいかがかと思いますが、総務部長の御所見をお伺いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 過去5年間の交通事故の傾向を見ますと、駐車場における事故の割合が4割程度と多く、こうした事故を防止する安全装置として、まずはバックモニターやコーナーセンサーの導入が有効であると考えていることから、昨年度から予算措置をしているところでございますけども、来年度以降においても、公用車の更新に合わせて順次導入を進め、職員の交通事故件数の減少につなげていきたいと考えております。

 なお、国土交通省が乗用車等に衝突被害軽減ブレーキ等を備えるよう順次義務づけを行うこととしていることでありますので、その状況も注視してまいりたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 今朝、議員会館のほうで、先輩議員と少しお話しさせていただいたんですけど、「さすがに車止まって当たらなよ」というようなお話もありました。私も最近、車を買い換えたんですけど、衝突しそうになったら自動で止まってしまうということで、先輩議員のお車も1年ないし2年ぐらいたっていると思います。非常にきれいな状態で、傷一つないようなお車やと思いますので、交通事故防止にはぜひとも御一考いただけたらと思います。

 次の質問に移ります。

 現在、コロナ禍であります。和歌山県では、国の成長戦略の施策の一つとして、観光事業を、和歌山県の特性を生かし、力強く推し進めておりました。その成果も顕著に現れ、和歌山県を訪れる訪日外国人客及び国内の観光客も増加傾向にあり、全世界に和歌山県の魅力を伝えることができておりました。

 しかし、武漢ウイルスとも呼ばれる新型コロナウイルスが蔓延し、今まで行ってきた様々な観光施策も音を立てて崩れてまいりました。

 現在、国、県、市町村、自治体が一丸となり、ワクチン接種に取り組んでいるところではあります。ワクチン接種が国内のみならず世界各国で進めば、元の世界に戻ることと思います。もう間もなくのことと私は感じております。コロナ禍の長いトンネルから脱出し、ようやくその目先に明るい日差しが見えてきたと思っております。

 しかし、コロナ禍から脱出したとしても、全世界の人々に刷り込まれた感染症の恐怖心を克服するのには、相当な時間を要することと思われます。

 このような状況の中、昨年より報道等でよく耳にしているのが、密閉、密集、密接、いわゆる3密の回避、また、他人との接触を回避する非接触がこれまでの生活スタイルの中に定着しつつあります。観光スタイルもその二つのキーワードが重視され、選択されています。また、企業の働き方なども、コロナ禍において見直され、いわゆる働き方改革の動きも出てきております。

 幸い、和歌山県の以前からの観光スタイルは、自然、歴史、文化を生かした観光スタイルだったと思います。ショッピングなどを重視した観光スタイルとは違って、地域の自然や文化を体験してもらい、地域の特色を生かした持続可能な観光地づくりが可能かと思われます。

 本年2月には、世界で最も読まれている旅行ガイドブック「ロンリープラネット」が旬な旅行先を紹介するベスト・イン・トラベル2021の読者投票で、サステーナビリティー部門において和歌山が世界で唯一選出されたところですし、和歌山県が評価されている持続可能な観光地という部分をさらに強化できる絶好のチャンスだと思います。

 高野山や熊野は、もともと欧米豪の富裕層が多く、地域の人々の営みなどに魅力を感じてくれていますので、自然、歴史、文化の宝庫の和歌山県は、アドベンチャーツーリズムとの親和性も非常に高いことと思います。

 コロナ禍以前の和歌山県の観光施策に加え、先ほどから申し上げた新たな観光スタイルを他府県に先駆けて確立、推進してはいかがかと考えますが、商工観光労働部長の御所見をお聞かせください。

○副議長(鈴木太雄君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 県内には、世界遺産「高野山・熊野」をはじめ、雄大な自然、食といった世界に誇れる観光資源が豊富にあり、世界的旅行ガイドブック「ロンリープラネット」など多くのメディアからも高く評価されています。

 また、本県の世界遺産や風光明媚な海岸線を通る太平洋岸自転車道が本年5月31日にナショナルサイクルルートに指定されたほか、10月には和歌山版ミシュランガイドの発行が予定されるなど、今後も本県の観光地としての評価がさらに高まっていくと考えています。

 このチャンスを契機に、国の地域観光事業支援事業を活用し、安全・安心を確保するための事業やワーケーション利用促進のための受入れ環境整備、マイクロツーリズム需要に対応したコンテンツ開発、バリアフリーの促進など、前向きな取組を支援する宿泊事業者事業継続支援事業を本議会に上程させていただいているところです。

 また、ポストコロナを見据えた取組として、観光地のデジタル化を進めるため、昨年度は高野山内のバスや観光施設等のチケットの決済から利用までをスマートフォン一つで可能とする実証事業を行い、今年度は高野山の山麓エリアへも拡大を予定しています。

 さらに、ワーケーションにつきましても、リゾート地や温泉地等、ふだんの職場とは異なる場所で働きながら地域の魅力に触れていただき、非日常での活動を通したイノベーション創出の機会が提供できる場として、都市部の企業に対しプロモーションを強化してまいります。

 今後も、新型コロナウイルス感染症対策に留意しながら、旅行者の多様なニーズに対応した持続可能な観光地づくりを推進していくとともに、これまで培った体験型観光を発展させることで、アドベンチャーツーリズムなど新たな観光スタイルの推進に積極的に取り組み、国内外から多くの観光客を迎えられるよう頑張ってまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 現在、和歌山県の観光産業は大打撃を受けております。私は、寺本商工観光労働部長の手腕に期待を寄せる1人でもあります。私も、一議員として最大限の御協力をする覚悟であります。寺本部長、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 昨年6月定例会の私の一般質問、はまゆう支援学校の跡地利用についての質問において、県教育長より「はまゆう支援学校の跡地を統合校の屋外運動場として利用する場合、児童生徒の移動の際に安全面等に課題が生じるということについては認識をしております。屋外運動場は児童生徒の心身の健全な育成のためには一日も欠かせない不可欠な施設であり、子供たちが安全・安心に学ぶことができるよう、隣接土地を所有する社会福祉法人和歌山県福祉事業団を含め、地元の関係機関等と協議を重ねながら柔軟に対応してまいりたいと考えております」との御答弁がございました。

 その御答弁を読み解きますと、現在工事が鋭意進められております南紀支援学校・はまゆう支援学校統合校──仮称であります──の立地に隣接する和歌山県福祉事業団南紀医療福祉センターを解体し、その跡地を統合校の運動場に活用、南紀医療福祉センターを元のはまゆう支援学校跡地に移転し建設すると読み解かれます。今後、統合校に通う児童生徒、また、統合校の教職員にとりましては、安全性の確保や利便性の向上に資する案だと思います。

 その答弁を受け、私も同席させていただき、県教育委員会及び福祉保健部職員、和歌山県福祉事業団の幹部と、昨年11月9日に県庁内で打合せを行いました。その時期からいたしますと、具体的な条件やスケジュールなどの話もなく、単なる顔合わせ程度の会談だったと記憶しております。

 その後、昨年の6月定例会の一般質問の教育長の御答弁から約1年が経過し、現在どのように進んでいるのか。11月9日の打合せ以来、本年5月27日につじつま合わせのように一度福祉事業団幹部と打合せをしただけで、私の感覚では1ミリも前進したとは言い難い状況だと思います。

 私は、暇があると、統合校の工事現場を近くの河川管理道から眺めております。かなり工事が進んでおります。令和5年秋頃には、統合校が完成すると聞いております。もう完成が目の前と言っても過言ではありません。

 新校舎建設が進む中、屋外運動場の整備も急がれるものと思います。統合校完成の暁には、隣の南紀医療福祉センターに運動場が完成していることが理想と考えます。そのためには、南紀医療福祉センター及びはまゆう支援学校の校舎解体及び新築工事等、タイムスケジュールについては、かなりの緊密な連携及び協議が急がれることと思います。

 しかし、現在の県教育委員会の仕事の進め方では、統合校の運動場整備に御協力いただく和歌山県福祉事業団も戸惑いを隠せない状況だと推測いたします。結局、このままだと、泣くのは県教育委員会、福祉事業団ではなく、統合校に通う児童生徒や教職員ということになります。その教育委員会の仕事の進め方には、私は強い憤りを感じる次第であります。

 和歌山県の子供のことを一番考え、愛情を持って考えておられる、また、ある意味、教育長の部下でもある教職員の負担軽減を考えなくてはならない県教育長の今後の整備方針及びスケジュールについてお聞かせください。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) はまゆう支援学校の跡地利用についてでございます。

 今回は、統合校の屋外運動場の設置に向けた費用面や学校教育活動への影響等に係る課題が多々あることが判明をいたしました。しかしながら、スピード感のある対応となっていなかったことは遺憾でございまして、今後迅速に、かつ適切に対応してまいります。

 屋外運動場は、児童生徒の心身の健全な育成のためには一日も欠かせない施設であり、子供たちが安心・安全に学べることが大切です。今後、早急に課題整理を進め、社会福祉法人和歌山県福祉事業団及び関係機関と協議を重ね、屋外運動場の整備を行ってまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 一日も欠かせない不可欠な施設と言いながら、この1年、何の進展もないのが問題です。しかし、私が心底信頼を寄せる宮﨑教育長のことです。その1年の遅れを挽回し、判明した課題を克服し、きっと統合校に通う子供たちの安心・安全、教職員の負担軽減に向け、社会福祉法人和歌山県福祉事業団南紀医療福祉センターの敷地に屋外運動場が整備されるものと信じております。

 宮﨑教育長、いえ、宮﨑泉さん、私はあなたを心底信頼しております。よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 本年3月29日の和歌山県ホームページ、知事からのメッセージに、「クライエントファースト」という題目で教育委員会の生徒への就職活動に関しての在り方について述べられております。県民の友5月号でも、知事メッセージでは同じ文章が掲載されております。読まれた方も多いと存じます。

 その知事の文章の趣旨は、就職先を生徒の希望や適性ではなく、先生の指導で決めていることもあり、それは生徒ファーストではない、教育におけるクライエントは生徒だとありました。私も同感であります。

 私の実体験からお話しさせていただきます。もう社会人になった娘の大学進学においての進路指導の在り方です。

 当時、娘は、家族で話し合い、娘が希望する東京の私立大学に進学することを熱望しておりました。しかし、当時の高校の進路指導及び担任の先生は、娘の意思とは別の国公立大学を強く推す傾向にありました。最初は、娘と家内に任せておりましたが、あまりにも娘や家庭の希望する進路とは違う進路指導に憤りを感じ、私が3者面談に参加し、娘の希望する大学に進学させることを強く訴えました。まさに、クライエントファーストとは程遠い進路指導だったと記憶しておりました。

 進路指導を行う教員や担任の先生の個別個別の考え方だと思ってはおりました。県議会議員になり、現在はコロナ禍でありますので、あまり県職員の皆様と食事を共にすることはありませんが、コロナ禍以前は、たまに県職員の方々と食事を共にする機会もございました。その際、同年代の子供を持つ親世代の県職員の皆様とも感覚を同じくする進路指導があったそうでございます。

 私は長年、地元上富田町長の委嘱を受け、自衛官募集相談員を拝命しております。ということもあり、高校を卒業する生徒の自衛官募集に関する情報も容易に手に入れることが可能であります。生徒や保護者が、自衛隊及び自衛隊の課程、自衛隊の各種学校に進路を見いだしても、学校の教員の考え方が足かせになることがあると耳にすることがあります。

 生徒の進路は、生徒の意思を一番に尊重することが大切であります。自分の進学先や進路をうまく見いだせない生徒には、生徒の特性や立場に立ち、生徒の将来像に寄り添って見いだすお手伝いをするのが進路指導だと思います。

 自分の物差しでしか他人のことを見られない者は悲しいと思います。自分の中に基準をつくることは大切だと思います。しかし、それを他人に押しつけるものではありません。

 私も、これまで他人が思いつかないようなことを数々やってまいりました。その中には、ばかにされたり否定されることもありました。しかし、私自身は、誰かが何かをやろうとしていることに関して、ばかにしたことはありません。何かをやり遂げようとしている人間と同じ境遇になったつもりで考えれば、否定できるはずもありません。夢に向かっている人を、その人の気持ちになって逆に応援したいという考え方で今日まで歩んでまいりました。

 教員の中には、みんなが自分と同じように考えていると勝手に思い込んでいる方が多いのかと思います。思い込みの危険であります。

 そこで質問です。知事からのメッセージを受け、クライエントファーストに向けて、高校の進路指導も1社推薦制度から生徒の就職活動支援にかじを切ったと存じますが、今後の進学及び就職における進路指導の在り方について、県教育長の御所見をお聞かせください。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 高校生にとって、将来への展望をもって主体的に進路を選択することが極めて大切であり、そのことを通じて、自らの人生を切り開こうとする力が備わっていきます。

 一方で、学校や教員は、生徒の進路選択が失敗しないようにとの思いが強くなり、自らの経験や価値観によった指導や助言になることもあります。

 このような学校や教員の転ばぬ先のつえ的な対応は、生徒が進路選択を通じて自らの課題と向き合うことや、社会の仕組みや常識、モラルなど、様々な価値を学び、大きく成長することにマイナスに働いてしまうことにもなりかねません。

 本年度から、就職においては、複数の企業に応募できるように改められたことで、生徒がより主体的に就職先を選択し、進路実現をかなえることが期待されます。

 進路指導においては、就職、進学にかかわらず、生徒自らの選択を尊重する指導が大前提であり、教員が生徒のよき伴走者として指導、支援していくよう取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 進路指導の教員、担任等々、進路指導に関し、クライエントの希望を無視し、中には信じ難い発言を行っている教員の情報も私には寄せられております。主体は生徒であります。先ほどの御答弁にもありましたとおり、よき伴走者として指導、支援をよろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 平成27年9月定例会、平成28年2月定例会、平成29年2月定例会に続き、県道日置川大塔線についてお聞きいたします。

 県道日置川大塔線は、日置川沿いに中山間地域の集落を結ぶ唯一の生活道路であるとともに、観光産業の振興を願った観光道路でもあり、地域住民にとって必要不可欠な道路であります。一部の集落間では、2車線整備がされているものの、道路は狭隘かつ見通しが悪く、カーブが多いことから、早期改修の実現を願うものであります。

 また、平成29年2月定例会では、当時の県土整備部長より「紀勢自動車道日置川インターチェンジをはじめ、これまで整備してきた県道上富田すさみ線や県道市鹿野鮎川線などと連絡していることから、災害時における国道311号の代替機能などを有する主要な路線であると考えてございます」と御答弁をいただき、生活道路、観光道路、災害時における国道311号の代替道路の三つの機能を有する西牟婁郡内では重要な路線となっております。

 平成28年10月には、日置川沿川の地元区長や各種団体の皆様から成る県道日置川大塔線改修促進協議会が発足し、平成30年10月、令和2年10月に県土整備部長に整備促進の要望を行いました。

 その結果、平成29年3月には口ケ谷工区約300メートル、令和2年9月にはJR紀伊日置駅前の矢田工区約200メートルが完成し、引き続き久木工区の整備を行っていただいております。久木工区は、比較的平たんな地形で、用地取得が完了すれば一気に工事が進むものと思われます。現在整備を行っている久木工区の進捗状況について、県土整備部長、お答えください。

○副議長(鈴木太雄君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) ただいま御質問のありました県道日置川大塔線の久木工区に係る進捗状況についてお答えいたします。

 当該区間は、白浜町による地籍の調査が完了したことから、平成30年度より、久木橋南側約900メートル区間の測量設計に着手しております。現在、用地の約7割が完了しており、用地取得が完了した区間から順次、路側工事や排水工事を進めています。これまでに、国道42号側の約100メートル区間が令和元年9月に完成したところでございます。

 県といたしましては、残る用地取得と工事を推進し、早期の完成を図ってまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 最後の質問に移ります。

 現在、県土整備部長より久木工区の進捗状況についてお答えいただきました。久木工区の工事完了のゴールも近いと、現場を何度も何度も訪れている私には手に取るように分かります。

 県道日置川大塔線におきましては、かつて用地取得等が困難な箇所も多く、相対的に整備が遅れてきたことと思います。現在では、白浜町の理解もあり、県道日置川大塔線改修に向けた地籍調査も順次行われているところではあります。久木工区のゴールが見える今、次の工区をそろそろ検討してもよい時期ではないかと思われます。

 地籍調査の進捗状況、白浜町の考え方、促進協議会の皆様及び地域住民の皆様の考え方もほぼ一致していることと思います。次の工区はここしかないと言っても過言ではありません。

 久木工区が完了したときの次に整備を行う工区の選定の考え方について、県土整備部長、お聞かせください。

○副議長(鈴木太雄君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) ただいま御質問のありました県道日置川大塔線の久木工区が完了したときの次に整備する工区選定の考え方についてお答えいたします。

 当該路線全体に係る工区選定は、幅員や線形など現道の状況、地籍の調査、他工区の工事の進捗状況等を総合的に勘案した上で、交通の支障となる箇所を対象に順次着手することとしています。

 残る未整備区間のうち、例えば幅員が狭小で線形が不良である宇津木橋から玉伝口間については、宇津木地区や大地区は地籍の調整が完了しており、玉伝地区は白浜町において調査を実施中という状況でございます。久木工区の次に整備する区間については、このように現道の状況や地籍の調査の進捗状況を踏まえ、検討してまいる所存でございます。

 県といたしましては、円滑な事業進捗に必要である用地の取得について、白浜町や県道日置川大塔線改修促進協議会をはじめとする地元の皆様方の御協力を得ながら、県道日置川大塔線の整備に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 現在、安部部長の御答弁で、宇津木、大、玉伝の三つのキーワードが述べられました。慎重な県土整備部職員の皆様のことです。今のところ、これ以上は言いにくいかと存じます。しかし、次の工区は、私には、日置川大塔線改修促進協議会の皆様にははっきり見えました。何とぞよろしくお願いいたします。

 それと、本年3月13日に上富田町文化会館で開催されたサイクリングイベント「クマイチ・シンポジウム」に私もお招きにあずかり、参加させていただきました。安部部長も、当日はシンポジウムに参加し、その後に行われたモニターツアーにも参加し、自ら自転車に乗り、文化会館を出発し、上富田すさみ線から日置川大塔線を走られました。

 のり面が崩れ、数年置きっ放しの大型土のうやバリケード、路面にばらつく大小の石等を見て、道路管理者として大変恥ずかしい思いをしたことと思います。責任感の強い安部部長のことです。早期に解消していただけることと思います。何とぞよろしくお願いいたします。

 これで、私の一般質問を終わります。最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時41分散会

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