令和3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
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令和3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号
令和3年6月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
令和3年6月16日(水曜日)
午前10時開議
第1 議案第104号から議案第116号まで、報第3号及び報第4号並びに諮問第1号(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第104号から議案第116号まで、報第3号及び報第4号並びに諮問第1号(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(42人)
1番 鈴木德久
2番 山家敏宏
3番 中本浩精
4番 堀 龍雄
5番 藤山将材
6番 岸本 健
7番 井出益弘
8番 宇治田栄蔵
9番 北山慎一
10番 玄素彰人
11番 中西峰雄
12番 秋月史成
13番 森 礼子
14番 濱口太史
15番 尾崎要二
16番 冨安民浩
17番 川畑哲哉
18番 玉木久登
19番 鈴木太雄
20番 岩田弘彦
21番 吉井和視
22番 谷 洋一
23番 佐藤武治
24番 岩井弘次
25番 中 拓哉
26番 多田純一
27番 新島 雄
28番 山下直也
29番 中西 徹
30番 谷口和樹
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 林 隆一
36番 楠本文郎
37番 高田由一
38番 杉山俊雄
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
理事 田嶋久嗣
知事室長 赤坂武彦
危機管理監 細川一也
総務部長 田村一郎
企画部長 横山達伸
環境生活部長 生駒 享
福祉保健部長 志場紀之
商工観光労働部長 寺本雅哉
農林水産部長 岩本和也
県土整備部長 安部勝也
会計管理者 真田 昭
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員 竹田純久
警察本部長 親家和仁
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 保田栄一
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 出津野孝昭
次長 中井 寛
議事課長 山田修平
議事課副課長 岩井紀生
議事課課長補佐兼議事班長
岩﨑 亮
議事課主任 伊賀顕正
議事課主査 菅野清久
議事課主事 松本 悠
総務課長 須田剛司
政策調査課長 神川充夫
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午前10時0分開議
○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第104号から議案第116号まで、地方自治法第179条第1項の規定による知事専決処分報告報第3号及び報第4号並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
3番中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○中本浩精君 皆さん、おはようございます。令和3年6月定例会、質疑・一般質問のトップバッターとして登壇をさせていただきます。
先輩・同僚議員の皆様の御配慮に心から感謝を申し上げ、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。よろしくお願いいたします。
まず初めに、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種についてお尋ねいたします。
質問に入る前に、新型コロナウイルス感染症により、本県を含め全国でお亡くなりになった方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、現在も闘病されている方々にお見舞いを申し上げます。
さて、全世界を混乱に陥れている新型コロナウイルス感染症は、第3波による感染拡大が収束に向かう頃、変異株の広がりにより、再び感染者数が増加に転じました。
この第4波と呼ばれる感染拡大は、4月5日には、特定の地域を中心にした新規感染者の拡大などから、大阪府、兵庫県、宮城県がまん延防止等重点措置を実施すべき区域に指定され、その後、東京都、京都府などの1都2府7県まで広がるなど、全国的に急速な広がりを見せました。さらに、ゴールデンウイーク前の4月25日には、飲食の対策を強化するとともに、一旦人の流れを止めるための強力な措置を講じるものとして、東京都、大阪府、兵庫県、京都府に緊急事態が宣言される状況になりました。
我が県の状況を見ると、県当局から、感染が拡大している地域に出かけての会食や接待を伴った飲食をしない、症状が出れば、通勤・通学を控えて直ちにクリニックを受診するなどの感染防止対策をこれまでも呼びかけていたところですが、4月20日には1日当たりの感染者が55人となるなど、感染が急拡大しました。このような状況から、県民に対し、これまでのお願いから踏み込んだ対応として、県内における不要不急の外出を控えることや学校の部活動の制限などに続き、4月22日からは、和歌山市内における飲食店などの営業時間短縮を求めるなど、矢継ぎ早に対応を取られました。
このような県当局の必死な対策の結果、感染者数が減少したことは、全国の状況を見ると決して予断を許す状況ではありませんが、喜ばしいところであり、感染が大きく拡大する中、懸命に対応に当たってこられた知事はじめ県職員の皆さん、そして、最前線で対応されている医療従事者の方々に深く敬意と感謝を申し上げます。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症蔓延により、県民の生活は一変しました。人と人との接触が制限され、移動の自由にも制限がかかり、各種イベントも縮小や延期、中止、日常においても、マスクを常時着用することで、肌のトラブルなど不快な思いを持たれている方もおります。このように、蔓延前の社会生活では想像もできなかった状況になったことから、そのストレスは大きく、苦痛を感じられる方も多いと思います。
こうした状況下において、新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、蔓延の防止を図り、一刻も早く新型コロナウイルス感染症が蔓延する前の生活を取り戻すためには、ワクチン接種が最も有効な方法の一つだと考えられます。新聞報道などを見ていると、ワクチンの接種が進んでいる国においては、ワクチン接種前の感染状況と比較すると大幅に感染者数が減少しているように見受けられます。
我が国においても、今年の2月から医療従事者のワクチン接種が始まり、65歳以上の高齢者についても4月から接種が開始されているところです。当初は、ワクチンの供給が十分でなく、接種がなかなか進まない時期もありましたが、5月以降にはワクチンが安定的に供給されるようになり、65歳以上の高齢者分のワクチンは6月末までに、国内の接種対象者全員分のワクチンも9月末までに供給できるという政府の見通しが示され、全国的にも徐々に接種が進み始めているように感じます。また、政府によると、接種を希望する65歳以上の高齢者については、7月末までに接種が完了できるよう政府を挙げて取り組んでいくことも示されているところです。
そうした中、和歌山県のワクチン接種は、知事をはじめ各市町村や医療機関の皆さんが大変な努力をされた結果、現在、和歌山のワクチン接種は全国的にもかなり進んでいる県であると報道されており、また、知事の熱心な働きかけの結果、政府からワクチンの確保について協力を得られるということは、大変うれしいことであります。
そこで、今後、さらなるスピードアップを図ってワクチン接種を進めていくとのことですが、65歳以上の高齢者の接種について、和歌山県内の現在の接種はどの程度進んでおり、基礎疾患を持っている人など、次の接種順位の方への接種はいつ頃から開始されるのか、また、ワクチンは新型コロナウイルス感染症終息の切り札であると思いますが、どの程度の効果を期待していいのか、併せて知事にお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の65歳以上の高齢者の1回目の接種率は、直近では全国平均35.32%に対し46.56%となっており、医療機関の御協力と各市町村の努力の結果、7月末までの接種完了に向け、本県は全国的にも速いペースで接種が進んでいるところでございます。
7月末までというのは、菅総理が言われて、それで、みんなそうしようということで、和歌山県も調べた結果、ちゃんとやりますと言って申告をしている状況ですから、一種の公約みたいなもので、これは当然なんでございますけども、むしろそれで終わる話ではなくて、全体として早く終わってしまうというのが一番大事なことなんでございます。
何分和歌山県は、例えば和歌山市など、個別接種で地道にやっているところが多いわけでございますので、都市部で集団接種を急にスピードアップした他県よりは、順位はだんだんと低くなりがちでございます。しかし、和歌山県が一時トップということで話題になりまして、他県や国を刺激して、全国的にワクチン接種のスピードアップに貢献したかなあという点については、自負はございます。
県では、市町村の接種状況を把握いたしまして、効果的にワクチン配分を行ってまいりました。ところが、考えてみますと、ワクチン接種率が早い、あるいは高いということは、ワクチンの全国配分は大体公平になされているわけですから、和歌山県が、一番在庫がなくなってしまってピンチという、ピンチ度ナンバーワンということと実は同義なんでございます。実際、5月中旬には在庫切れで、接種のスピードが比較的速い市町で希望するワクチンの配分量が確保できなくて、高齢者から次のステップに移りたい、次のステップとは基礎疾患のある人とか60歳以上の方でございますけれども、そういうところに行けないということが判明してきたわけでございます。
そこで、進捗が早いところに重点配分をして、止めるようなことはしないでくださいということを表明し、河野大臣のところにも、直接お目にかかってワクチン確保の要望を行いましたし、知事会やそのほかのところでもそのような考えを申し述べました。その結果、接種率の高い上位5県については、6月下旬の配分で、高齢者分に加えて、基礎疾患のある方や一般の方の分も含めたワクチンが希望どおり配分されたということで、大変ありがたいことだと思いますし、国の決定に最大限の評価を申し上げたいと思います。
それによって、高齢者接種が進んだ市町においては、計画を前倒しにして、次の接種順位である基礎疾患のある方、さらにはその次の一般の人々への接種準備を始めることができました。高野町や太地町では、既に接種を開始いたしまして、県内で人口が最も多い和歌山市では、次の順位の方も6月下旬から接種を開始する予定ということになっております。
また、従来の個別接種や集団接種に加え、これはファイザー社のワクチンで、今、申し上げましたようなことをやっとるわけでございますが、一定以上の従業員を有する職場で実施する職域接種、これを政府も大いに進めております。これについては、ファイザー社はあんまりないので、モデルナ社をどんどん供給してあげるからねということを言われているわけです。そこで、これはいいことだということで、積極的に和歌山県内でも働きかけをいたしました結果、現在6団体、約2万人を対象として政府に既に申請をしておりまして、これによって接種のスピードを加速させていきたいと思っております。
しかし、この職域接種というのは、そう容易ではないこともございます。なぜならば、政府の基準では、1か所1000人以上の人を集めて行うことということだし、自ら、この職域接種の主体が接種の段取りを全部できるということでないと困るわけでございます。
一方というか、これは二つの意味がございます。まず、接種ラインを増やして、その分、従来の接種ラインへの負担、混雑を軽減するという効果があります。つまり、職域接種でたくさん済ませてしまえば、一般のところで予約が殺到して混雑するということがそれだけ少なくなるわけでございます。したがって、できるだけ多くのところに、もっとできないかということを継続的に働きかけておるところでございますし、この際、県庁でも警察官なども含めて自らやって、市町村の混雑を軽減、解消というか緩和して、それで、できるだけ全体が早く終わるようにしようかなあということで、今、検討をしているところでございます。
また、もう一つの意味は、ファイザー社の品薄を──これは本当に品薄なようでございます。そこで、モデルナ社で補うということができるもんですから、集団接種や職域接種はモデルナ社でということができるわけでございます。一方、接種ラインで現に貢献しているお医者様などを奪ってしまうということになると困るわけでございます。
その次に、ワクチンの接種効果でございますが、現在使用されているワクチンは2種類ございます。それぞれ2回の接種によりまして、ファイザー社のワクチンは95%、モデルナ社のワクチンは94%の高い発症予防効果が報告をされております。ただ、時々間違って考える方がいらっしゃって、1回打ったからもう私は安心だといって、ちょっと羽目を外す方がいらっしゃるので、それは間違いでございます。
また、県内の医療機関において、ファイザー社のワクチンを接種した医療従事者474人を対象といたしまして、2回目接種の3週間から4週間後に抗体を調査させていただきました。そういたしますと、全員に抗体が確認されまして、そのうち98%の人には高い抗体価が確認されたというふうに聞いております。
これらのことから、ワクチン接種は、副反応のリスクを強調する人もいらっしゃいますけれども、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化、後遺症といったリスクを考慮すると、これで一生懸命やっても何人もの方が亡くなるということもございますので、圧倒的に接種したほうが有益性があると思われます。そこで、できるだけ大勢の県民の方に接種していただきたいと考えているところでございます。
また、今後も、市町村の動きを注視し、きちんと接種を展開しているかどうか見守っていきたいと思っておりますし、医療従事者の確保が困難などなど問題を抱える市町村が今後出てまいりますと、そこから要請があれば、県が応援を出すなどいたしまして、ワクチン接種を希望する方ができるだけ早く全体として終わってしまえるように、全力で取り組んでいく所存でございます。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ワクチン接種について、和歌山県は本当によく頑張っていただいていることがよく分かりました。これから広く一般にも接種を開始することになるかと思いますので、引き続き、県民の方がスムーズに接種できるよう、市町村や医療機関と連携を取りながらよろしくお願いしたいと思います。
少し話は変わりますが、ワクチンを2回接種すれば、もう私は無敵だ、新型コロナウイルスにかからないし、人にもうつさない、だからもうマスクを外して前の生活に戻れるんだと思っている方もおられると思います。
そこで、1点だけ要望させていただきたいと思います。
知事の答弁により、ワクチンを2回接種することによって、非常に高い有効率、発症予防効果があることがよく分かり、大変安心しました。
しかし、ワクチンには高い有効性が認められているものの、ほかの方への感染をどの程度予防できるか、医学的にはまだ分かっていないのが現状だと思います。特に県民全体のワクチン接種が終了するまでは、ワクチンをまだ接種できていない方と共に社会生活を送ることになりますので、6月2日の記者会見でも知事から県民の皆様に呼びかけをされていますが、ワクチン接種後も油断することなく、マスク着用や手指消毒用アルコールによる消毒などの感染予防対策がしっかり行われるよう、様々な媒体を活用し、県民の皆様に広く呼びかけていただくことを要望しまして、次の質問に入ります。
県民の方がワクチン接種を受けるに当たり、ワクチンの接種は受けたいけれども、副反応について気になるという方が数多くいらっしゃいます。先ほど知事もおっしゃってくれていました。マスコミなどでも連日ワクチンに関する報道がされているところであり、県民の方に一定の周知が進んでいるかとは思いますが、改めて、ワクチン接種後の副反応としてはどのような症状が多く発生しているのか、また、県民の方がワクチン接種後に副反応が起こったときは、どのような体制でケアをすることとなっているのか、併せて福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) 福祉保健部長志場紀之君。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) 現在、県内で使用されているファイザー社のワクチンに係る副反応は、令和3年2月17日から5月30日までの医療機関から国への報告によりますと、一番多いのが発熱、次いで倦怠感、頭痛の順となっています。また、アナフィラキシーにつきましては、100万回接種当たり13件となっています。
国においては、副反応疑い報告について、頻繁に厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の部会を開催しており、現在のところ、安全性において重大な懸念は認められないと評価されているところです。
副反応が起こった場合については、ワクチンを接種した直後は、アナフィラキシー等の症状が出ないか接種会場で15分以上経過観察することとなっており、万一アナフィラキシーが発生したときには、応急処置や救急搬送が行える体制が講じられているところです。後に、ワクチン接種の副反応症状が出て、被接種者が受診を希望する際には、まず、かかりつけ医や接種医療機関などを受診していただき、受診した医療機関が専門的な対応が必要であると判断した場合には、専門の医療機関が紹介されることとなっております。
なお、県においては、ワクチンに関する相談窓口を3月16日から設置しており、県民からのワクチン接種後に係る副反応も含め、専門的な相談対応を行っているところです。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 福祉保健部長より答弁いただきました。
副反応については、一定の確率で生じるかと思いますので、今後も引き続き、万全の体制でワクチン接種を進めていただきますようよろしくお願いいたします。
次の質問に入ります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による県内事業者の状況と今後の取組についてお尋ねいたします。
さきの質問でも述べたとおり、昨年からの新型コロナウイルス感染症の蔓延は、人と人との接触が制限されるなど、県民の生活を一変させました。特に、この春からの新型コロナの第4波の影響による感染の急拡大は、まん延防止等重点措置を実施すべき区域ではないものの、和歌山市内の飲食店に対する営業時間の短縮要請や県民の方々への不要不急の外出自粛要請が実施されるまでにもなりました。
そのような状況下において、地域や業種を問わず、多くの事業者の方々が感染拡大防止に協力しながら事業継続や雇用の継続に尽力されており、その御努力には敬意を表します。
これまで県では、事業継続支援金や事業継続推進補助金、飲食・宿泊・旅行業給付金など、事業者への救済策を実施されてきました。さらに、今年度、営業時間の短縮要請に伴い、協力いただいた和歌山市内の飲食店に対し、迅速に和歌山県営業時間短縮要請協力金が支給されています。知事をはじめ県当局の方々の日々の御尽力に大変感謝申し上げます。
そこで、新型コロナウイルスの感染拡大第4波における県内事業者の状況と今後の県の取組について、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。
〔寺本雅哉君、登壇〕
○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 現在の県内経済の動向ですが、有効求人倍率は、昨年の年末に0.91でありましたが、本年4月には1.08まで回復しています。また、鉱工業生産指数は、昨年11月の82.6から、本年3月では96.2まで回復しています。
しかしながら、県が5月に実施したヒアリングやアンケート調査では、飲食業や宿泊業で深刻な状況が続いています。また、そうした産業に関連する卸売・小売業や対事業所サービス業なども厳しい状況にあると認識しています。
そこで、特に影響が大きい飲食業や宿泊業、それに関連するサービス業などを主な対象業種とした飲食・宿泊・サービス業等支援金を本議会に上程したところです。さらに、宿泊事業者が行う安全・安心を確保する取組や新たな需要の創出につながる前向きな取組を支援する宿泊事業者事業継続支援事業、及び飲食店における感染拡大防止に向け、県の飲食店認証制度を取得された事業者の方々に必要な経費を助成する飲食店感染拡大防止対策補助金についても上程しています。
また、事業再構築補助金など、新型コロナ後を見据えた国の施策なども大いに活用していただきたいと思います。
そのような施策を活用いただくため、国の施策も含めた新型コロナウイルス感染症に係る支援策を取りまとめ、県ホームページなどで周知し、県内商工会・商工会議所などの経済団体や市町村にも配架と周知をお願いしています。さらに、県内の商工会・商工会議所及びわかやま産業振興財団などに相談窓口を設けるなど、県内事業者の方々をしっかりとサポートしてまいります。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 商工観光労働部長より御答弁いただきました。
我が県の経済が、日本国内はもとより、世界経済の回復に遅れを取らず迅速に回復できるよう、今後も時期を逸することなく施策を実施していただくことをお願い申し上げて、次の質問に入ります。
高齢化社会における県営住宅の在り方についてお尋ねいたします。
内閣府の令和2年度版高齢社会白書によれば、我が国の65歳以上の人口は、平成6年には14%を超え、令和元年10月1日時点では28.4%に達しています。本県については、令和2年1月1日時点で32.4%と全国より高い率を示すように、県政において高齢化の視点は欠かせないものとなっています。今後、一層の高齢化の進行が見込まれる中、高齢者を含めた全ての県民が安全で安心して暮らせる社会を構築するために、福祉や医療、まちづくり、交通、住環境など、様々な分野において高齢化の視点から政策を鋭意進める必要があります。
高齢化を考える上で重要な視点がつながりです。平成28年度に内閣府が実施した高齢者の経済・生活環境に関する調査によると、「社会的な活動をしていてよかったことは」という問いに対し、半数以上の方が「新しい友人を得ることができた」、「地域に安心して生活するためのつながりができた」と答えています。つまり、高齢者が安心して暮らせるためには、地域コミュニティーにおける人と人とのつながりが重要であり、具体的には、若い世代による高齢者の見守り、高齢者の居場所づくり、高齢者による子供の見守りや子育て支援等、多様な世代がつながり、支え合うための政策が不可欠だと言えます。
住環境もしかりです。高齢者が安全で安心して暮らしていくためには、良質な住環境の整備が必要です。県では、県営住宅を管理運営しておられますが、高齢者世代が増え、居住者の世代が固まりつつあることで、多様な世代が地域コミュニティーを形成し、交流し、協力し合う機会が失われつつあると聞きます。特に災害発生時の助け合いなど、安全・安心の観点からも、県営住宅における多様な地域コミュニティーを維持する必要があるのではないでしょうか。
そこで、高齢化社会に向けて、県営住宅に居住する高齢者が安全で安心して暮らせるよう、どのような取組をされているのか、また、今後どのように考えておられるのか、県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。
〔安部勝也君、登壇〕
○県土整備部長(安部勝也君) 令和2年3月末現在、県営住宅全67団地に入居している8838名のうち、65歳以上の高齢者が占める割合は約33%に上るなど、高齢者の視点からの県営住宅の運営は欠かせないものとなっています。
このため、例えば県では、手すりの設置や段差解消などバリアフリー化を進めるとともに、高齢者に対する生活指導に対応するための生活援助員、容体の急変に対応するための緊急通報システムを導入しているところです。
一方、議員御指摘のとおり、若い世代も含めた多様な世代が参加する地域コミュニティーを維持することも重要な視点だと認識しています。
つきましては、若い世代の入居者を増やすために、例えば、子育て世帯や新婚世帯を対象とした優先入居や入居に当たっての所得要件の緩和を平成30年度に実施し、これまで192世帯が入居したところです。今後とも、継続的にこれらの取組を進めてまいります。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 県土整備部長より御答弁いただきました。
次の質問に入ります。
先ほども申し上げたとおり、高齢化社会においては、住民が相互に支え合う地域コミュニティーが重要であり、その中心的な組織が自治会です。自治会は、住民自治の基礎的組織です。
県営住宅の場合、自治会は、入居者同士が助け合い、協力し合うことで住みやすく安心・安全な住環境を維持する役割を担っています。また、入居者が利用する共用部分の運営や維持管理、浄化槽の維持管理費用、階段の電灯代などの費用の徴収や支払いを行うなど、最低限の生活の質を確保するためのセーフティーネットの役割も果たしています。
しかし、現在、自治会役員やメンバーが高齢化し、組織が弱体化し、成り手の不足が顕著になっています。一部県営住宅では、自治会機能が失われつつあるとの話を聞きます。
そこで、このような現在の自治会が直面する課題に対して、県はどのような対応を取られているのか、もしくは取ろうとしているのか、県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) 県土整備部長。
〔安部勝也君、登壇〕
○県土整備部長(安部勝也君) 県営住宅の自治会は、浄化槽などの共同施設の維持運営、入居者の交流の場の提供など、住民自治のための基礎的な組織であると考えています。しかしながら、高齢化社会の進展や価値観の多様化により、自治会の加入率は減少傾向にあるだけでなく、一部では自治会機能が著しく低下している団地もあります。
そのため県では、各団地の実情を踏まえつつ、入居者に対する自治会への加入依頼や共益費の未納入居者に対する納付指導等を実施しているところです。その結果、多くの団地では自治会機能を維持しておりますけれども、一部の団地においては、共同施設の維持運営のための共益費の徴収すら困難になっています。
つきましては、自治会が決議した場合などに限り、共益費を自治会に代わり県が徴収できるように、さきの2月議会に条例改正案を提案し、継続的に御審議をいただいているところでございます。
県といたしましては、2月定例会の建設委員会において委員からいただいた御指摘に対し、本議会の建設委員会において、その調査結果や対応方針を報告するなど真摯に対応するとともに、もとより自治会が代行徴収を要請せざるを得ない状況にならないよう、継続的に自治会の活動を支援してまいる所存でございます。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 県営住宅には、多くの高齢者の方が生活を営んでおります。これらの方々が安全に豊かな暮らしを営めるよう住環境の整備を進めるとともに、公平性を確保しつつ自治会活動を支援し、全ての住民の利便性向上を図っていただくよう要望しまして、最後の質問に入ります。
IR誘致についてお尋ねいたします。
IRについては、滞在型観光の核として、本県の観光振興、雇用の増加に貢献し、地域経済活性化の起爆剤となり得、ひいては人口減少の抑制も大いに期待できるものと捉え、また、新型コロナウイルス感染症終息後の県経済回復のエンジンとなるものであることから、我が自民党は以前より、その誘致を全面的に支援しているところです。
そうした中、先日、優先権者候補の選定について発表がありました。当局の御努力により、他の誘致自治体に先駆けて日本で最初の事業者選定に至り、いち早く事業者と共同して区域整備計画の作成に取りかかれることについては、大変頼もしく感じている次第です。
しかし一方で、1月15日の提案書提出後、6月2日の選定まで5か月近くかかった理由や、提案書の評価点が高かったサンシティの突然の辞退など、県民の皆さんには見えにくいところもあり、これまで全面的に支援をしてきた我が自民党としては、そのあたりについて、やはり詳しくお聞きしたいところです。
また、サンシティは、新型コロナの影響と日本のIR制度の不透明さを撤退の理由に挙げられていましたが、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州によるクラウン社にまつわる調査報告書に記載されたサンシティに関する問題が影響しているのかという疑問や、また、クレアベストの提案内容については大丈夫なのかという懸念もあるところです。
そこで、選定公表の際には当局から丁寧な説明がありましたが、改めて、選定の方法や選定まで5か月近くかかった理由、サンシティ撤退の経緯、また、最終的にクレアベストを選定した経緯について、田嶋IR担当理事にお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) 理事田嶋久嗣君。
〔田嶋久嗣君、登壇〕
○理事(田嶋久嗣君) 事業者選定に係る一連の経緯についての御質問のうち、まず、選定の方法についてですが、本県では、提案審査書類の評価結果及び予備調査──背面調査でございますが──の結果を踏まえ、事業者選定を行いました。
提案審査書類の評価につきましては、日本を代表する各分野の専門家により構成された事業者選定委員会において、公平かつ公正に審査し、採点をいただいたところです。また、予備調査、背面調査につきましては、カジノ免許の基準を踏まえ、事業者の適格性について問題がないか、県としてできる範囲で確認を行ってまいりました。この両方の結果を踏まえて事業者を選定することになりますが、議員御質問の選定まで5か月近くかかった理由につきましては、予備調査に時間を要したことが主因でございます。
県では、1月15日にクレアベスト、サンシティの2者から提案審査書類の提出を受け、以降、計3回にわたり選定委員会を開催して審査をしていただき、4月30日には、選定委員会から提案審査の結果として、両者ともに審査基準を満たしているとした上で、サンシティ、クレアベストの順に評価点が高い旨の報告を受けました。
しかしながら、一方で予備調査につきましては、提案審査の結果を受け取った4月30日以降も2者に対する確認作業を丁寧に進め、結果、最終の取りまとめが5月下旬となったことから、優先権者候補の発表までに時間を要した次第です。
次に、サンシティ撤退の経緯についてですが、議員御発言のとおり、オーストラリアのニューサウスウェールズ州政府がクラウン社に対して行った新設カジノへのライセンス付与の適格性に関する調査の結果報告書に、サンシティの適格性について確認を要する事案が記載されたことから、予備調査として、サンシティに記載内容の事実確認を行っていたことは間違いありません。
ただ、サンシティから5月12日付で提出された辞退届に記載された理由は、新型コロナウイルス感染症拡大等の様々な要因により、世界経済の先行きが不透明であることや世界中の企業にとっての不確実性が長く続くおそれがあること、日本のIR区域認定手続は、区域認定までの間に長時間を要することやいまだに多くの事項が不透明であること等、事業者としてリスクを感じていることとなっており、オーストラリアの問題には触れられておりません。
最後に、クレアベスト選定の経緯ですが、これにつきましては、サンシティが5月12日付で公募を辞退されたことから、残るクレアベストについて、所定の手順にのっとり、提案審査書類の評価及び予備調査の結果を踏まえて選定し、6月2日に優先権者候補として発表した次第です。選定委員会での評価点ではサンシティが上回っていましたが、クレアベストの提案についても審査基準を満たしており、十分に評価できる内容となっていたこと、また、予備調査において適格性に問題がないと確認できたことから選定に至りました。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ただいま、田嶋IR担当理事より、選定の方法や選定まで5か月近くかかった理由、サンシティ撤退の経緯、クレアベストを選定した経緯について答弁をいただきました。
そこで、最後にお尋ねいたします。
今後、IR誘致競争を勝ち抜き、全国で3か所が上限とされているうちの一つに選ばれるためには、何より地元和歌山が一体となって誘致に向けた取組を進めていくことが重要と考えます。
その上で、事業者として選定したクレアベストに今後どのようなことを求めていくのか、誘致実現に向けた意気込みとともに、併せて知事にお尋ねいたします。
○議長(森 礼子君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) IRの導入は、地域の活性化に有効な方策でありまして、雇用創出や経済成長、人口減少抑制などの効果について大いに期待できることから、またとないチャンスと捉え、これまで全力で取り組んでまいりました。
このたび、全国で初めて事業者選定を進めたわけでございますが、今後は、選んだクレアベストと共同して本格的に区域整備計画を作成するステージに入ることになりまして、一層奮励努力しなきゃならないと考えております。議員御指摘のとおり、その際には、県やクレアベストに加えて、地元経済界が一体となり、議会の御理解をいただいた上で取組を進めていくことが重要であります。そのために、クレアベストに対しては、地元調達や地元雇用の創出等により地域経済の発展に寄与するため、事業実施体制の強化に当たっては、県内事業者が広く参画できるよう、オール和歌山の体制づくりを求めていく所存であります。
一方で、幾ら県経済の発展に資するからといって、社会的リスクをないがしろにしてはいけないわけでございますので、県民の皆様が不安に感じておられるカジノ施設に起因するギャンブル依存症や破産リスクについては、徹底的に排除するのは当然でございます。
県といたしましては、IR整備法で定めている世界最高水準の重層的で多段階的な規制に加え──これはかなりきついもんでございまして、見たこともないようなものでございますけれども、それに加えて、さらに、IRカードの導入や依存症対策専門員の配置といった県独自の取組をクレアベストに求めておりまして、これを実現すれば、懸念していることはなくなるはずだというふうに思っている所存でございます。
ところが、そういう法律や県の工夫などには目と耳を塞いで、カジノができたら地元の人がどんどんギャンブル依存症になるぞと信じ込む、また、そう言われたらそうかなあというふうに思う、そういう人がいらっしゃったり、そもそも賭け事はみんな嫌い、したがって絶対反対という方もいて、これは困ったもんだなあというふうに思っております。
そういう人には、どうしたら法や和歌山の制度の下で地元の人々がギャンブル依存症に本当になり得るのか、そういうシミュレーションをしてから言ってほしいというふうに私は思いますし、県民の総所得が10%弱ぐらいですけれども成長し、雇用が増えるというせっかくの機会なのに、それを放棄あるいは潰そうとしているという自覚と見識を持ってほしいなあと、チャンスを逃したら和歌山が寂しくなるのになあというふうに私は思って困っております。
今後は、区域認定の上限数である国全体で3か所の一つに選ばれるよう、クレアベストの提案内容をさらにブラッシュアップするとともに、事業実施体制を強化した上で、地域振興に寄与し、国の観光立国政策に貢献する優れた区域整備計画の作成に全力を挙げる所存であります。その上で、国の認定を受けて、日本で最初のIRの開業を目指す所存でございます。
議員御指摘のように、何事も和歌山は一体となってやらないといけないということでございますので、議会の皆様をはじめ県民の皆様にも、その都度、いろいろ説明をして御理解を深めながらやっていきたいと考えております。
○議長(森 礼子君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 知事の答弁を聞かせていただき、IR誘致実現に向けた本当に熱い気持ち、いろいろと考えていただいていることがよく分かりました。
まさにオール和歌山で、知事もおっしゃいましたが、大同団結し、IR誘致実現に向けて頑張っていくことで、県経済の大きな発展があり、その恩恵を県民がひとしく受けられることが重要です。
今後は、区域整備計画の作成という非常に重要なステージに入りますが、クレアベストと共に優れた計画づくりに励んでいただきたいと思います。また、都度都度には、計画の内容について公表できるところは広く発信し、より県民の理解を深めるよう努力をしていただくことを要望いたします。
IRについては、我が自民党も引き続き誘致実現に向けて応援してまいりますので、是が非でも国の認定をいただけるよう全力で取り組んでいただくことをお願いいたしまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(森 礼子君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
24番岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)
○岩井弘次君 おはようございます。一般質問の初日2番手という登壇の機会をいただきました。ありがとうございます。
それでは、早速、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
まず、大項目の1点目、新型コロナウイルスワクチン接種についてですが、今、中本浩精先輩議員も種々質問されましたので、その内容、質問事項等、重複を避けながら何点かお伺いしますが、御容赦ください。
和歌山県におけます新型コロナウイルス感染症の発生状況は、昨年2月13日、最初の陽性患者が発生して以来、今第4波の収まりであってほしいのですが、昨日時点、感染者数累計が2654人、亡くなられた方が48人となっています。改めてお亡くなりになられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、現在、入院治療されておられる方々に、一日も早い回復をお祈りいたします。
新型コロナウイルス感染症、特に変異株の感染は、これまでより強く、早く、広く拡大していきました。これまでの感染の波において、よく抑えてこられたほうと言える和歌山県ですら多くの感染者が出ています。一時は病床使用率が96.3%まで逼迫し、本県の感染された方は全員入院するというシステムが危機に瀕するというところまでいきましたが、何とかとどまりました。
仁坂知事のリーダーシップと福祉保健部長の御尽力の下、野尻技監が連日のテレビ画面を通して県の感染状況や感染防止に対する県民の皆さんへのお願いなど話されているのを拝見しますと、感染しない、させない正しい行動が大切なのだと、日々再確認させていただきました。また、技監の収束に向けた強い決意がにじみ出て、心構えは仁王立ちされているように私には感じました。本当にいつも、感染防止への緊張感と何か安心感、癒やされる感を与えていただきながら拝見しておりました。誠に頼もしい限りです。
そして、保健医療行政に携わる県当局の皆さんはもとより、不要不急の外出自粛に耐えて守ってこられた県民の皆様の御協力により、感染の拡大には歯止めがかかりつつあります。改めて全ての方々に敬意を表します。
しかし、現在は新型コロナの陽性者の発生も落ち着き、感染している方は全員入院するという体制は堅持されていますが、この先、新型コロナウイルスが変異し、いつまた感染拡大していくかもしれません。知事も「この手ごわい新型コロナをコントロールするには、もうワクチンしかないと思う」と述べられました。
新型コロナウイルスワクチンの接種に関して、千葉大学病院が接種データから、その有効性についての研究経過を発表されています。それによりますと、ファイザー製の新型コロナワクチンを2回接種した病院職員、男女1774人について調査を行い、ほぼ全員で抗体量が増加したとのこと、さらに分析の結果、男性よりも女性、また、年齢が若いほど抗体の量が多くなる傾向にあったことが分かりました。抗体の量が感染のしやすさに関連するかどうかはまだ不明ですが、今後研究していくとのことでありました。
また、お酒を全く飲まない人に比べると、毎日飲酒する人は2割ぐらい抗体の量が少なかったという結果も出ているそうです。ただし、そういった抗体がつきにくいケースでも、接種によってウイルスと闘うための十分な量の抗体ができるということでありましたので、私も少し安心いたしました。
いずれにせよ、現時点では、ワクチン接種により感染しにくくなるほか、感染した場合でも症状は軽くなることが期待されますので、接種後の副反応などについても周知しながら、より多くの方に接種していただけるように努めることが感染防止の希望の光であると考えます。
「ワクチン接種率日本一」、6月3日の知事からのメッセージがありました。何か先に明るいものが見える喜びを感じましたし、また、多くの方から「和歌山日本一やなあ」といったお声をいただきました。順位はともかく、様々な課題を乗り越え、今も全国を牽引するワクチン接種を行っていただいていることに、医師会、看護師会などの御協力や各市町村の皆様の御尽力にも改めて感謝申し上げます。
市町村により様々ですが、65歳以上の高齢者への接種も進み、既に完了した北山村を除きますと、県内の5市町で基礎疾患のある方への申込みも始まっているとお聞きしました。特に和歌山市は、12歳から64歳までの市民に対しても7月から接種を開始すると発表されました。職域での接種につきましても、現在、和歌山市内の4事業所が名のりを上げられ、県内全てで──和歌山市内3事業所プラス市外の3事業所、合わせて6事業所が名のりを上げられているとのことです。
そして、これから一般の方への接種も始まりますと、接種体制の整備がより求められると思います。特に、平日の日中は仕事などのため、土曜、日曜及び夜間の接種についても取り組めるようにしていく必要があろうかと考えます。
そこで質問ですが、土日、夜間の接種体制について、福祉保健部長、お答えください。
○議長(森 礼子君) ただいまの岩井弘次君の質問に対する答弁を求めます。
福祉保健部長志場紀之君。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) 高齢者と高齢者以外では生活のリズムが異なるため、接種方法を工夫する必要があると認識しています。
各市町村においても、一般接種に向け、土日の集団接種を行う医療従事者や個別接種への協力医療機関を増やすなど、接種体制の強化を図っているところです。
また、夜間の接種については、現在19時頃まで接種を行っている医療機関もあると聞いていますが、さらなる延長の必要性や可能性について、市町村と協議してまいります。
○議長(森 礼子君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございました。
報道によりますと、企業によっては、有給休暇を使いワクチン接種をしたり、勤務時間中でも接種に行けたりと、従業員を守るために工夫されているところもあります。紀陽銀行さんも、パートを含む全ての従業員にワクチン休暇を導入されたと昨夜のNHKニュースで報じられておりました。
しかし、事業所等において、その余裕がないところも多いのではないかと思います。ぜひ、ワクチン接種について安全に、また、より加速させるためにも、臨機応変な対応ができるように、そして土日、夜間の接種体制の構築についても、市町を支え、お取組いただきますように切にお願いいたします。
それでは、この項目の2点目に移ります。
国は、高齢者への接種を7月末までに完了させるとの目標を掲げ、ほぼその見通しが立ってきているとのことであります。和歌山県も、先ほどもありましたが、30市町村、そのめどはついており、北山村は、村の人口を上回るワクチンが供給されたこともあり、高齢者だけでなく16歳以上への接種も進め、6月7日、高校生など5人が2回目の接種を受け、希望する全ての住民への接種が終わったというすばらしいニュースも流れました。
過日、私ども公明党和歌山県本部として、議員が在籍する県内の14市町において、ワクチン接種に係る各自治体の課題等、聞き取り調査をいたしました。そして、浮かび上がった医師、看護師等の確保や高齢者への支援など、その時点での諸課題について、県としても、各市町村に対し、でき得る限りのサポートをしていっていただきますようにと、県議団として先日、仁坂知事に申入れの場を取っていただき、懇談させていただきました。
ワクチン接種における課題というか、要望事項として多かったうちの一つに、接種場所への移動が困難な高齢者の方に対して、訪問接種や移動のための援助を求める声がありました。
そこで質問ですが、ワクチン接種に出向くことが困難な高齢者への支援についてのお考えを福祉保健部長、お答えください。
○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) ワクチンの接種会場に出向くことが困難な高齢者については、既に多くの市町村で、かかりつけ医による訪問診療時の接種やデイサービス利用時の接種、また、高齢者が集団接種会場へ移動する際に、市町村社会福祉協議会や市町村の職員による送迎などの支援が行われているところです。
県といたしましては、こうした市町村の取組を情報共有することによって、接種に出向くことが困難な高齢者のワクチン接種がスムーズに進むよう働きかけてまいります。
○議長(森 礼子君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございました。
訪問接種や移動支援について、市町によってばらつきがあるようです。ぜひしっかりと寄り添っていただいて、お取組いただきますようお願いいたします。
次に、この大項目の最後の質問に移らせていただきます。
ワクチン接種について、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引きによりますと、対象者の範囲は、「接種を受ける日に、住民基本台帳に記録されている者を対象として行うものとする」となっています。
理由があって居住が安定せず、接種券が届かないホームレスの方についても進めていかなくてはならないと思いますが、接種券が届かないホームレスの方への接種についてはどのような対応となるのか、福祉保健部長、お答えをお願いいたします。
○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) 居住が安定しないホームレスの方については、ワクチン接種の周知が行き届かず、接種券が手元に届かないことから、市町村の相談窓口に来所した際に可能な範囲で周知を行うとともに、ホームレス支援団体とも連携して所要手続の援助を行うよう、厚生労働省の通知で示されているところです。
ホームレスの方が接種を希望する場合には、住民票の有無を確認した上で、相談を受けた市町村が接種券を発行することとなっています。
○議長(森 礼子君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
対象となる方は少ないかと思いますが、よろしくお願いいたします。
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について何点か伺いました。東京、大阪で実施している大規模接種について、予約状況にかなりの空きが生じているため、その対象を64歳以下の一般の方にも拡大し、対象者の居住地にも制限は設けず、接種券があれば誰でも申し込めることになりました。本日より予約を受け付け、17日から接種を開始する予定であると報道されておりました。
今後、自治体からの接種券の送付が進み、また、接種体制の充実などにより、大きなうねりとなってワクチン接種が進んでいくと思われます。県内においても同様に、その勢いは加速していくと思います。
確かに接種主体は各市町村ですが、この先、市町においてその対応に目詰まりが生じないように、また、自治体でのばらつきに関しては、成功事例を共有できるように、県としてもぜひ県内全体のグランドデザインを描きながらお取組いただきますようお願いいたします。
そして、先ほど中本先輩もおっしゃっておりましたが、その先、安心感からマスクの着用をしない方も増えてくるかもしれません。ワクチン接種後もこれまでどおり、マスク、手洗い、3密回避の習慣について啓発していっていただきますよう、併せてお願いいたします。
それでは、大項目の二つ目、新型コロナウイルスワクチン接種に係る誹謗中傷等への対策について伺います。
厚生労働省のホームページには、新型コロナウイルスワクチンの接種は、政府が新型コロナウイルス感染症対策の決め手と位置づけ、国民の皆様に受けていただくよう進めていますが、接種を受けることは強制ではなく、昨年12月に施行された改正予防接種法では、接種は国民の努力義務とされ、実質は任意で、接種しなくても罰則はありません。しっかりと情報提供を行った上で、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種が行われます。予防接種を受ける方には、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、自らの意思で接種を受けていただきますと説明しております。要するに、ワクチン接種は任意であり、強制されることではありません。
約1年前、この感染症が県内において発症し始めた頃、時に心ない問合せがあったことを以前の質問の折に述べました。「新型コロナ出たけど、どこの誰」、悪意はないと思いますが、感染への不安からか、そういった問合せ、会話がよくありました。
今後、ワクチン接種がより一層進むことと思います。そして、考えられるのが、「もうワクチン打ったん」といった会話が挨拶代わりのようになるのではないか。これまで感染者や医療従事者、マスクを着用したくても着用できない人などに対する誹謗中傷等がクローズアップされてきましたが、「ワクチン打ったん」、そういった会話の先に、打てない人や打たない人、いわゆる打っていない人に対する誹謗中傷が発生するのではないかと憂慮いたします。決して職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることは許されません。
和歌山県は、全国で初めて新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行った人に対する説示や勧告を明記した新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等対策に関する条例が施行されています。条例において、新型コロナウイルス感染症に感染したことやそのおそれがあること、または、感染防止対策を適切に講じていないおそれがあることを理由に誹謗中傷等を行うことが禁じられています。つまり、マスクをつけていないことやワクチン接種を受けていないことが感染防止対策をきちんと行っていないと思って、誹謗中傷等をしてはいけないということになっています。
そこで、企画部長にお伺いいたします。
新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでくることが見込まれる中、病気等により接種することができない県民等もおられます。この人たちがワクチン接種をしていないことなどを理由とした誹謗中傷等に対する県のお取組についてお答えください。
○議長(森 礼子君) 企画部長横山達伸君。
〔横山達伸君、登壇〕
○企画部長(横山達伸君) 県では、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等は許さないという思いから、昨年12月に新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等対策に関する条例を施行し、様々な取組を進めているところでございます。
誹謗中傷等は、名誉毀損罪や業務妨害罪などの刑事上の責任が問われ、懲役などの刑事罰が科されたり、被害者から損害賠償を請求されたりする場合もあり、誹謗中傷等を行った人自身の人生も変えてしまうものであることをテレビや広報紙などにより周知し、人権に配慮し、冷静に行動していただくよう呼びかけています。また、誹謗中傷等に悩んでいる人が1人で悩まず相談していただけるよう、専用の相談窓口「コロナ差別相談ダイヤル」を設置し、心情に寄り添った対応を行っています。
このような状況にもかかわらず、誹謗中傷等が発生した場合には、誹謗中傷等を行った人から聞き取りを実施し、本条例に基づき、誹謗中傷等を行わないことやインターネット上に投稿した情報を削除するよう説示し、従わない場合には、やめるよう勧告を行います。
県としましては、感染者や医療従事者はもちろんのこと、病気や障害などにより、マスクの着用やワクチン接種ができない人等に対する誹謗中傷等は絶対に許さないという覚悟で、引き続き、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等への対策に取り組んでまいります。
○議長(森 礼子君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございます。
先日、これとちょっと関連するんですけど、ネットニュースでも、イスラエルにおきまして、ずっとワクチン接種が進んで、もう今は規制も全て解除され、ほぼ日常に戻っている。そんな中で、やっぱりどうしても打てない方もおられ、また、打たない方もおられるそうです。そういった方に何が起こっているかというと、企業によっては、ワクチン接種をしていない方については、例えば出社を拒否するであるとか、スーパーが入場を拒否するであるとか、遊戯施設が入場を断るといったことも起こっているというふうに報道されておりました。
日本ではそういうことがないというふうに、私は、日本国民はそういうことをしないというふうに信じておりますけども、また違った形でいろんなことも出てくるかと思います。今、ワクチンパスポートという言葉も、ワードも出ましたし、国会のほうでもいろいろと議論はされているそうでございますけども、いろんな意味でのワクチンを打っての安心感と、また、その陰の部分というのも出てこないように、ぜひぜひ、この打たない方も含めて、打てない方に対する誹謗中傷等につきまして、その方たちが不利益を被ることのないように一層の啓発活動など、お取組をよろしくお願いいたします。
それでは、大項目の三つ目、飲食店への営業時間短縮要請協力金について伺います。
4月22日、仁坂知事は、臨時の記者会見を開き、和歌山市内の飲食店に対して、営業時間を午後9時までに短縮するよう要請すると発表されました。要請の背景には、緊急事態宣言を発出している大阪などの近隣府県から和歌山市に流れる動きが出始めているとのことや、尾花和歌山市長からの御相談もあり、市内の100軒以上の店舗を調査されたところ、1割強の飲食店において大阪府からの客が確認されたことから、感染拡大を予防するため、飲食店への営業時間の短縮を要請すると決められました。
営業時間の短縮要請期間は、4月22日から5月11日、そして延長され、5月31日までとなりました。御協力いただいた飲食店を運営する事業者に対し、営業規模にもよりますが、1日当たり2万5000円から20万円の和歌山県営業時間短縮要請協力金を支給するとなっています。
感染予防措置として時短要請をかけたのですが、和歌山市以外の飲食店も大きな影響を受けているのにといった御意見も多々いただきました。いずれにせよ和歌山市への営業時間の短縮要請は、現状を見ますと、感染拡大の歯止めに一定の効果があったと思います。
全国各地で、飲食店等への営業時間短縮を要請し、協力金を支給する対策を取っている地域もありますが、新聞報道等によると、その支給率にはばらつきがあり、今年1月の2回目の緊急事態宣言の際に要請した時短に係る協力金の支給をほぼ終えたところから、いまだ6割強にとどまっているところもあるそうです。
御協力いただいた事業者の皆さんの中には、日々の売上げがあって営業が続けられるところも多いかと思います。一日も早い支給に努めていただきたいと望むところですが、今回の飲食店への営業時間短縮要請協力金について、その申請状況及び支払いの迅速化について、商工観光労働部長、お答えください。
○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。
〔寺本雅哉君、登壇〕
○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 営業時間短縮要請協力金の申請については、当初の要請期間である4月22日から5月11日までの分を第1期分として5月17日から、延長した5月12日から5月31日までの分を第2期分として6月1日から、受付を開始しております。6月10日時点で、第1期分を約1300件、第2期分を約800件受け付けているところです。
協力金の支払いについては、現在、申請の受付後、申請書類に不備等がなければ3週間程度で支払いができるよう事務手続を進めており、6月10日時点において、第1期分として約200件の支払いを行っています。
引き続き、営業時間短縮要請に御協力いただきました皆様に、できる限り早く協力金を届けることができるよう取り組んでまいります。
○議長(森 礼子君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
申請に不備がなければ3週間程度でお支払いできる。また、もう既に第1期分では約200件がお支払い済みということでございました。携わる職員の方々も大変だと思いますけども、申請された方の気持ちになっていただいて、頑張っていただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、大項目の四つ目、コスモパーク加太の利活用について質問させていただきます。
このことにつきましては、これまでに先輩議員の方々がもう度々質問され、様々な御提言をされておりますので、端的にお伺いいたします。
御承知のとおり、コスモパーク加太構想は、昭和60年、和歌山県、和歌山市、そして県土地開発公社の3者で、加太地域開発整備推進協議会を設け、関西国際空港埋立て用土砂採取跡地を中心とした約230ヘクタールの土地を活用して、自然環境と調和の取れた研究開発、リゾート、住宅等の機能を持つ国際的な複合都市コスモパーク加太を建設して、和歌山県の経済活性化に寄与する目的で進められました。
その後、社会経済情勢の厳しい変化により、本計画にも大きな影響を及ぼしました。そのため、公的利用、公共事業等の公共支援も進めることとなりました。そして、地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律に基づく和歌山県基本計画には、特に重点的に促進を図るべき区域にも指定されております。企業誘致や防災対策用地としての利活用を進めるとともに、長期的な展望の中での公共施設用地としての活用も検討がなされてきましたが、県消防学校など、ごく一部にとどまっております。
これまでにも、総合運動公園やスポーツ施設などの公共施設としての活用について提言されてきましたが、改めてコスモパーク加太の利活用について、企画部長、お答えください。
○議長(森 礼子君) 企画部長。
〔横山達伸君、登壇〕
○企画部長(横山達伸君) コスモパーク加太につきましては、企業用地、公共施設用地、防災対策用地としての利活用に向け取り組んでおります。
現在、企業用地として、高砂建材工業株式会社をはじめ、製造業を営む企業等5社を誘致しております。また、公共施設用地としては、県消防学校の設置に加え、県ドクターヘリ格納庫及びヘリ給油施設の整備を予定しております。さらに、防災対策用地としては、県の第1広域防災拠点として、災害時に備えた各種防災訓練等に活用しております。
今後も、大規模用地が確保できること、自然災害に強いこと、京奈和自動車道や第二阪和国道などへのアクセスがよいことをアピールし、商工観光労働部と連携をして、雇用を創出する企業の誘致などに取り組んでまいります。
○議長(森 礼子君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
企業用地としての売却、公共施設用地としては、県消防学校に加え、ドクターヘリの格納庫及びヘリ給油施設を整備する予定であるとのことでした。
確かに大変な御努力をされておられると思いますが、当初掲げた国際的な複合都市コスモパーク加太を建設して、和歌山県の経済活性化に寄与することに向かって取り組んでいただきたいと願っております。やはり、これまでにも提案がなされた総合的なスポーツ施設など、県民の皆さんや国内外から集える施設も検討いただきますよう要望し、次の項目に移らせていただきます。
平成15年7月、県土地開発公社の金融機関からの借入金438億1530万円の借換えについて、6月末の償還期限までに金融機関との間で合意に至らなかったため、県土地開発公社は、特定調停の方法で債務額の確定、支払い方法の協定を求めるための申立てを和歌山地方裁判所に対して行いました。以後9回の調停の結果、平成15年11月25日、和歌山地方裁判所において調停に代わる決定がなされました。決定内容の主な要旨は、債務額の確認と返済方法などです。
その中において、平成45年、いわゆる令和15年3月31日を弁済期限とし、債務を分割払いにすること、また、令和15年3月末に保証義務を履行しなくてはならない。県の債務保証額は265億円、そして、公社所有土地に108億円の根抵当権が設定されました。また、県が年間賃借料約6億円で県土地開発公社からその所有土地の一部を借り上げる形を取っており、それが毎年3月、9月の債務分割償還金に充てられております。
そして、令和6年1月31日を期限に、県と県土地開発公社の間で交わされている土地の賃借契約が満了日を迎えます。以降は、県土地開発公社が独自で運用するのか、仮に万が一解散となった場合には債権者が抵当権を執行する、要するに土地を債権者に移譲されるなどの選択肢になると思いますが、令和6年2月以降の見通しにつきまして、企画部長、お答えください。
○議長(森 礼子君) 企画部長。
〔横山達伸君、登壇〕
○企画部長(横山達伸君) 令和6年2月以降につきましては、調停に代わる決定の返済スキームに基づき、県土地開発公社は、令和15年3月末までにコスモパーク加太の土地を売却し、債務を返済することとなっております。
県としても、引き続きコスモパーク加太の土地の売却に努めてまいります。
○議長(森 礼子君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
調停に代わる決定による債務返済スキームに基づき、借入金の計画的な返済に努めるとともに、コスモパーク加太の分譲を進めることで、令和15年3月末までに土地を売却して、債務の返済に向け、県として売却に協力していくとのことでありました。現時点では、もうただひたすらに頑張っていくしかないと思います。
それと、令和6年2月以降の県と県土地開発公社との土地賃借契約については、とにかく今は土地を売却して返済に努めるとしか言いようがなく、その先の賃借契約の継続については言及できないと解釈いたします。もうそのときは約3年後に迫っております。県としても適切な対応をよろしくお願いいたします。
余談ですが、私もコスモパーク加太を含む土地への企業進出を考えておられる事案に少し絡んでおりますが、相談に行きますと、大変親切丁寧に御対応いただきますので、大変感謝しております。
しかし、県も公社もプロの不動産屋さんや分譲会社でもありませんので仕方のないことかと思いますが、いい意味での厚かましさとか、何とか企業進出していただこうという意欲がやや上品過ぎるのではないかと感じております。いろいろ申し上げましたが、とにかく頑張ってまいりたいと思います。
それでは、最後の項目に移らせていただきます。
平成13年の6月8日、大阪教育大学附属池田小学校に宅間守元死刑囚が侵入し、児童8人が殺害され、児童13人と教員2人がけがを負うという大変痛ましい事件が発生いたしました。
去る6月8日、事件から20年を迎え、学校で追悼の集いが開かれ、事件当時6年生の担任をされていた眞田巧校長は、学校の安全を確保する取組は20年の節目がゴールではないとした上で、犠牲になった児童に対し、「学校が安全で安心して学べる場所であるように、これからも努力を続けます」と語りかけられました。また、児童代表からは、「事件のことをいつまでも語り伝え、二度とこのような悲しい思いをする人が出ないようにし、亡くなった皆さんの分まで精いっぱい生きていきたい」と誓いの言葉を述べられ、学校の前に設けられた献花台には、終日、訪れた方が花を手向けたり、手を合わせたりしておられる模様が報道されておりました。
この事件をきっかけに、小学校や幼稚園、保育所などの児童、生徒、幼児が頻繁に利用する教育関連施設にも、「警察官立寄所」の看板またはシールが貼られたり、学校にも部外者の学校施設内への立入りを厳しく規制し、警備体制の強化も図られました。
新聞報道によりますと、全国の県庁所在地などへアンケート調査を実施したところ、登下校中など校門が開いている際に、各学校の教職員らが校門に立って見張りをしているかどうかを把握していない自治体が全体の6割に及ぶことが判明しました。事件の風化が指摘されてもおりました。
大阪教育大学附属池田小学校の事件から20年がたち、事件の風化や侵入者に対する学校安全の意識低下が懸念されますが、校門の警備を含め、県内の小学校における不審者侵入を防止するための対策について、また、改めて、学校の防犯意識を高めるためにどのような取組をされておられるのか、教育長にお伺いいたします。
○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 大阪教育大学附属池田小学校での大変痛ましい事件から20年が経過いたしました。犠牲になられた方々や御家族をはじめ、関係された方々に改めて哀悼の意を表します。
本来、学校は最も安全で安心な場所であるべきです。このような事件の教訓を風化させないために、教職員が常に緊張感と危機感を持って学校の安全管理に努めることが大切であると考えます。
そのため、毎年テーマを変えながら防犯に関する研修を実施し、教職員の防犯意識の向上を図るとともに、県内全ての小学校では、危機管理マニュアルを整備し、マニュアルに基づいた定期的な訓練や研修を実施しています。さらに、不審者の侵入防止対策については、校門の開閉や来校者の入校手続に関するルールを定め、適切に運用する等、安全管理の徹底に努めております。
全ての学校において、児童生徒の命を守るため、日頃の安全管理について再認識をしながら、防犯対策を徹底してまいります。
○議長(森 礼子君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 教育長ありがとうございました。
学校は本来、地域に開かれた施設でありました。しかし、この事件以来、安全対策重視の閉ざされた施設に方針転換するきっかけとなってしまいました。
それまでは、地域のコミュニティーに重要な役割を果たしており、校庭などは子供たちの遊び場にもなっていたように思います。身近にボール遊びをする場所がない子供たちが、安全な学校で、近隣の方とも交流しながら思いっ切り遊べる場になることを願い、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(森 礼子君) 以上で、岩井弘次君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時30分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
37番高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
最初に、新型コロナウイルス感染症対策のワクチン接種の状況について伺います。
ワクチン接種が始まり、医療従事者に続き、高齢者への接種が進められています。当初は、予約方法の問題などで現場の市町村は大変な混乱と苦労がありました。今でも過重な仕事が続いています。そんな中でも和歌山県は接種が進んでいるということで、この間の県当局、市町村の職員、地域の医師や看護師の皆様の御努力に心から敬意を表したいと思います。
さて、このワクチンですが、新型コロナの発症や重症化を防ぐ効果は確認されているものの、感染そのものを防げるのかどうかは分かっておりません。そんな中、デルタ型と言われる新たな変異株が不気味に広がってきています。ワクチンによる集団免疫が日本全体に広がるには、まだまだ時間がかかります。接種を済ませたから安心ということではなく、従来の感染対策や検査体制のさらなる充実は間断なく進められなくてはならないと思います。この点で、私ども日本共産党は、今からでも東京オリンピックやパラリンピックは中止すべきだと考えていることを表明しておきます。
その上で、ワクチン接種の状況について伺います。
午前中の議論で、高齢者への接種状況や接種場所に行けない人への対応などは分かりました。
そこで、重複を避け、私なりの視点と、この間、高齢者施設等の皆さんから聞いた御意見を基に伺いたいのは、施設の職員への接種状況です。この間、クラスターが発生した入所系施設や通所系のデイサービスでは、外部からのウイルスの持込みが原因となってきました。それを防ぐためにも、入所系、通所系あるいは訪問系を問わず施設の職員へのワクチン接種も急がれると思いますが、どのような状況になっているのでしょうか。福祉保健部長の答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(森 礼子君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
福祉保健部長志場紀之君。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) 高齢者が入所する施設の従事者は高齢者に次ぐ基礎疾患のある方と同じ優先接種の対象ですが、施設内のクラスター対策の重要性から、入所者と同時にワクチンを接種することが認められており、多くの高齢者施設では、入所者と従事者の同時接種が行われています。
現在、高齢者が入所する施設については、約6割の施設において1回目の接種を終え、今後、従事者も含め、7月中の完了を予定しております。
また、通所や訪問系サービスの従事者についても、県では、クラスター対策の観点から早期の接種が必要と考え、市町村に対し、地域の実情に応じて優先接種の対象にできるとの考えを示したところであり、現在、接種が進んでいるところです。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
通所系や訪問系も優先接種できると明確に答弁をいただいたので、ぜひ推進方のほう、よろしくお願いしたいと思います。
次に、県が医療機関や福祉施設などに配付した抗原検査キットの活用状況について伺います。
この抗原検査キットは、正確さはPCR検査に若干劣るものの、感染リスクも少ない検体採取方法で、現場ですぐに結果が分かることから、今年の2月議会の補正予算では8万8000回分の検査キットを購入し、高齢者施設や障害者施設など各所に配付がされました。
この使い方としては、新規に施設入所された方やちょっと調子の悪くなった職員などに使うという趣旨でありました。それが、新型コロナの第4波を受け、4月27日、知事が記者会見をされ、方針を変えたと表明され、高齢者施設で働く職員に対し、無症状の人も対象に、1週間に1回検査をしてくださいとなりました。特に5月を検査の強化期間ということで取り組まれ、配付した検査キットは16万回分を超えていると伺います。これだけ大量の検査キットを使ったスクリーニングの方針は和歌山県が初めてではないかと思います。
新型コロナウイルスの社会的な幅広い検査については、これは前の福祉保健部長さんとも昨年の12月議会で議論をさせていただきました。私は、成功してきた和歌山方式と併せて、特に高齢者施設での社会的検査が大切だと強調いたしました。今回、それがPCR検査ではなく抗原検査キットという形ですが、実施されたことは大きな前進だと考えます。
そこで、この抗原検査キットを使った無症状者への検査に踏み切った理由、その後の施設での活用状況、成果など、福祉保健部長の答弁をお願いします。
さらに、5月の検査強化期間は終わりましたが、障害者施設を含む高齢者施設等への今後の対応はどのようになるのでしょうか。併せて御答弁をお願いします。
○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) 高齢者は、新型コロナウイルスに感染した場合に重篤化するおそれがあり、また、高齢者や障害者が集団生活する施設等では集団感染のリスクがあるため、県では、施設等に対し、手洗い、手指消毒、マスク着用、検温等の基本的な感染予防対策の徹底を指導してきたところです。
加えて、本年3月から、施設等への新規入所や職員が体調に不安がある、あるいは仕事でやむを得ず県外を訪問した場合に、抗原検査キットを用いて迅速に検査できるようにしたところです。
ところが、新型コロナの第4波におけるとりわけ変異株の影響により感染者が急増し、高齢者施設等で集団感染が複数件発生したことを踏まえ、感染をより早い段階で発見するため、4月末からは、特に高齢者施設等の職員が1週間に1回、定期的に検査できるよう強化し、県から各施設等に対し抗原検査キットを配付しました。
その際には、検査強化の趣旨や具体的な検査方法の説明動画等を県ホームページに掲載するなど、各施設等で検査が円滑かつ適切に実施できるよう、丁寧に説明しながら、感染拡大防止の徹底を指導してきたところです。
その結果、これまでに少なくとも職員5名に陽性反応があり、医療機関でのPCR検査の結果、3名は陰性となったものの2名の陽性が確定し、速やかに入院につなげるなど、施設内での感染拡大を未然に防ぐことができたものと考えております。
なお、感染者数の減少や病床利用率の低下など状況が改善してきたことから、6月からは、従来の体調に不安がある職員等を対象に随時検査を行う方式に戻したところです。
県では、引き続き、基本的な感染予防対策はもちろんのこと、より効果的に抗原検査キットを活用し、施設等への感染の持込みや感染拡大の未然防止の徹底を図ってまいります。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 これから、また新たな変異株の心配もございます。必要とあれば、素早く高齢者施設に限らず活用していただけるように要望をしておきます。
次に、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者への支援について伺います。
まず、県の制度として実施した和歌山市内の飲食店への時短要請協力金の給付状況並びに飲食・宿泊・旅行業給付金の状況についてお示しください。
あわせて、6月に追加される予定の飲食・宿泊・サービス業等支援金の対象業種はどのように考えておられるのでしょうか。
さらに、県の給付金は、対象期間のうち一定以上の売上げがあることが要件になっておりますが、この売上要件に引っかかって支援の対象にならないという事業者もいらっしゃいました。制度の改善をしてほしいという声もありますが、どう応えられますか。商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。
○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。
〔寺本雅哉君、登壇〕
○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 和歌山市内の飲食店を対象とした営業時間短縮要請協力金については、6月10日時点で約2100件の申請を受け付け、そのうち約200件の給付を行ったところです。
また、本年の2月定例会にて議決をいただいた飲食・宿泊・旅行業給付金については、6月10日時点で約3000件の申請を受け付け、そのうち約2000件の給付を行ったところです。
本議会に上程している飲食・宿泊・サービス業等支援金の対象業種としては、新型コロナウイルス感染拡大第4波による影響が特に大きい飲食業や宿泊業に加え、それらに関連する卸売・小売業や対事業所サービス業などを主な対象業種と考えています。
売上要件については、産業施策として実施をするという観点から、飲食・宿泊・旅行業給付金においては2か月間で15万円以上の売上げを要件としているところであり、本議会に上程中の飲食・宿泊・サービス業等支援金についても一定の売上要件を設けていく予定です。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 給付金や支援金については今後も一定の売上要件を設けると言われましたが、まさに事業者には、自分の頂いている年金と事業収入を合わせて生活をしているという方々もいらっしゃいます。私は、営業実態があればこの売上要件は変えていくべきではないかというふうに思いますので、今後の検討をよろしくお願いしたいと思います。
次に、国制度の周知について伺います。
相次ぐ緊急事態宣言を受けて、国のほうでも事業者への各種支援策がつくられました。この間の国の事業者支援策でも特に分かりにくかったのが、1月の緊急事態宣言に伴う一時支援金という制度です。昨年や一昨年と比べて売上げが半減以下になっていれば個人で30万円、法人で60万円が最大で支給されるということです。緊急事態宣言の影響を緩和する制度としてつくられましたが、和歌山県内の事業者でも、宣言地域と取引がある場合や旅行関連事業者については対象となりました。
では、旅行関連事業者とは何かというと、制度紹介のホームページで確認しますと、飲食事業者、宿泊事業者、旅客運送事業者、自動車賃貸業、旅行代理店事業者、文化・娯楽サービス事業者、小売事業者などとなっていますが、実際に今申し上げたホームページに明示されていない幅広い業種でも給付されている状況があります。
この支援金の申請は5月の末で締切りとなったため、もう今言っても遅いわけですが、県内事業者でももっと活用ができた制度であったと思います。この制度については、地域の商工会の会員さんたちには比較的情報が伝わっていましたが、そうでない場合は、本当に知らない人が多くありました。
この一時支援金制度は終了しましたが、4月からの緊急事態宣言を受け、月次支援金という新たな制度がつくられました。こうした国制度をしっかり県内事業者も利用できるよう周知が必要です。
そこで、商工観光労働部長に伺います。
県として、国制度の周知の状況についてどう考えておられますのでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長。
〔寺本雅哉君、登壇〕
○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 国の支援制度については、国のホームページでの掲載や商工会、商工会議所などを通じて周知が図られているものと認識しています。
県においては、独自で取りまとめている「新型コロナウイルス感染症に係る支援策」にも国制度を含めて掲載し、県のホームページなどで周知するとともに、県内の商工会、商工会議所などの経済団体や市町村にも配架と周知をお願いしているところです。
また、各種情報をメール配信する「商工通信」や、県独自の制度である「産業別担当者」などを活用し、県内事業者への周知に取り組んでいます。
今後も、国や県の支援策を積極的に周知するとともに、様々な意見を国に伝えるなど、より多くの事業者が活用できるよう取り組んでまいります。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ぜひ周知のほうをよろしくお願いしたいと思います。
次に、災害時の福祉避難所の積極的な活用と個別避難計画について伺います。
先日の地方紙でも紹介をされましたが、白浜町では、ホテルと協定を結び、災害時に高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を必要とする人が避難をする福祉避難所を新たに指定しました。
福祉避難所については、今年に入ってその運用や位置づけが大きく見直されています。内閣府の福祉避難所の確保・運営ガイドラインが改正されました。この改正により、これまでは二次的避難所とされてきた福祉避難所への直接避難も促進をしていくことになりました。
背景には、近年の災害を踏まえた政府内での検討があります。例えば、令和2年7月の豪雨災害では、死者のうち約79%が65歳以上の高齢者だったことなどの分析があります。
また、高齢者や障害者などの要支援者の家族からは、ふだん行き慣れていない一次避難所には避難すること自体に無理があることが言われ続けています。
さらに、この間の福祉行政の働きかけの下、施設でのケアから地域でのケアが増えており、地域で暮らす高齢者、重度の障害者が増えてきていることもあります。
最近の災害では、福祉施設自体が河川の氾濫や土砂災害に襲われる事例も多々あります。県の調べによりますと、全ての高齢者や障害者の県内入所施設、863あるそうですが、この863施設のうち、各種ハザードマップ等で危険な区域内に施設が入っている状況は、津波警戒区域では約3%、水防法に基づく洪水浸水想定区域では約40%が、土砂災害警戒区域では約9%がということで、かなりの数の施設がハザードマップ内の危険な区域に存在します。場合によっては福祉施設全体が避難することも想定しなくてはならない状況です。福祉避難所の位置づけは、ますます重要だと考えます。
そこで、福祉保健部長に伺います。
県内の福祉避難所の指定状況並びに過去3年間の災害時に開設された実績はどのようになっているのでしょうか。
また、現状では、県有施設で福祉避難所に指定されているのは1か所のみと聞いておりますが、もっと県有施設も活用していってはいかがでしょうか。答弁をお願いいたします。
○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) 福祉避難所の指定状況につきましては、令和2年12月1日時点で、県内全市町村において264か所となっております。
また、過去3年間の福祉避難所の開設実績は、平成30年度は三つの台風の到来に伴い14か所、令和元年度は二つの台風に伴い4か所の開設があり、令和2年度は開設実績がありませんでした。
次に、県有施設の福祉避難所としての活用につきましては、まずは最寄りの避難所に避難して災害から命を守ることが前提となりますが、地域や要支援者の実情を踏まえた市町村からの要請があれば、検討してまいります。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
例えば、大変な災害があった熊本市では、既に、福祉子ども避難所として市内にある特別支援学校や盲学校など八つの国立、県立施設を福祉避難所として指定をして、在校生やその家族が直接避難をできるようにしています。和歌山県でも、そうした取組をぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に、個別避難計画について伺います。
先ほども触れましたが、災害時に福祉避難所への直接避難も可能とされました。それを可能とするためには、あらかじめ誰がその福祉避難所を利用するのか把握する必要があります。そうでないと、障害や体の特性に合わせた適切な避難生活ができないからであります。
また、福祉避難所に一般の避難者が押し寄せるということになっても困ったことになります。
災害時、要支援者を守り、福祉避難所を円滑に活用するためにも必要なのが、一人一人の状況に対応した個別避難計画と言われる計画です。今年5月の災害対策基本法の改正により、個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされました。
この個別避難計画の作成では、今、大きな動きが出てきています。それは、ふだんから要支援者の介護や支援に携わっているケアマネジャーなどが防災担当と連携を取って個別避難計画をつくる取組です。災害時ケアプランという名称で、ふだんのケアプランと併せて、災害時にどう避難し、生活を維持するのかをあらかじめ福祉の専門職が関わって決めておくというものです。都道府県レベルでは、兵庫県で防災と福祉の連携モデル事業として先行的に取り組まれております。
そこで、伺います。
避難行動要支援者の個別避難計画の具体化の状況はどうなっているのでしょうか。主体は市町村ですが、県としてどう支援の取組をしていくのか、福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。
〔志場紀之君、登壇〕
○福祉保健部長(志場紀之君) 災害による犠牲者ゼロを目指す本県では、避難行動要支援者名簿や個別避難計画を早期に作成することが極めて重要と考えており、毎年、市町村主管課長会議や市町村ヒアリングを開催し、市町村に対してそれらの作成について強く働きかけてきたところです。
その結果、令和2年10月1日現在、県内全市町村で要支援者名簿は作成されており、個別避難計画についても県内23市町村で作成が進められているところですが、市町村の進捗状況には開きがあり、8割程度作成できている市町村もあれば、いまだ着手できていない市町村もあります。
今後、さらに個別避難計画の作成を進めるためには、議員御指摘のとおり、日頃からケアプラン等の作成を通じて避難行動要支援者本人の状況をよく把握している介護支援専門員や相談支援専門員など、福祉専門職の参画を得ることも有効な手段の一つであると考えます。
また、それ以外にも、自主防災組織、民生委員等、地域住民の状況をよく知る団体との連携も重要です。
県としても、市町村に対し、こうした団体と連携して計画をつくるよう促すとともに、福祉専門職や民生委員等に対しても、研修等の機会に個別避難計画の作成方法等について説明してまいります。
さらに、今後は、ハザードマップ上、危険な場所に居住するなど、計画作成の優先度が高い方については、おおむね5年程度で全ての計画が作成できるよう市町村に工程表の作成を促し、その進捗状況をしっかりと把握しながら、個別避難計画の作成が進むよう強く働きかけてまいります。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
私も、実は地域の自主防災会の運営に携わっていますが、個別避難計画はあるんですが、見ましても、要支援者を支援する人が御家族の方だけだったり身内の方だけだったりする場合が大変多いんです。これでは、地域の人がふだんから外部の者が要支援者に目が向くことにはなかなかならないという状況がございます。
また、市町村へ行きましても、福祉と災害担当の連携が、人手不足もあって、なかなか難しいという状況もございます。実際に役に立つ個別避難計画になるよう、ぜひ県のほうからもよろしく御提案をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、3点目の高校生の就職活動における1社推薦制度について伺います。
高校生の就職活動については、主に、企業側が高校を指定して求人をする指定校求人と、公開求人の2通りがあります。例年9月16日に応募が解禁され、9月30日までは1人1社のみの応募・推薦とし、10月1日からは1人2社まで応募が可能となります。これが現在の制度で、1人1社制とか1社推薦制と言われています。こうした制度により、高校生の就職希望者に対する内定率は、和歌山労働局の調べでは、令和元年度で9月末までに67%以上、卒業までに99%以上となっている状況です。
知事は、「県民の友」の5月号で、高校生の就職活動についてメッセージを出されました。「高卒で就職した人の離職率が大卒者に比べて高い。その原因は就職先の決め方にある」と結論づけられています。そして、次のように述べられています。「調べてみたら、(中略)まだ学校の一社推薦制度が温存され、それによって生徒の就職活動によって就職先を決めるのではなく、先生の指導で決めているところもあることに気がつきました」と言われて、その上で、「制度的にも一社推薦制度から生徒の就職活動支援に完全に舵を切りました」という内容になっております。
こうした結果、今年の見直しにより、県内企業に限り、9月16日の解禁日から複数社への応募を可能とすることに変更されました。
この「県民の友」の文章を見た高校の就職指導の現場からは、次のような意見が寄せられています。「高校生に求人票の見方を指導したり、生徒の職場訪問を引率したり、生徒の意向を聞きながら応募先を決めていく。丁寧な指導がなく、一方的に就職先を割り振っているような印象になっている。1社推薦制度イコール先生が決めているという結びつけ方は飛躍的過ぎる」、あるいは「生徒たちをより競争的なシステムに投げ込むのではないのか」、あるいは「高校生の求人はこれまで培われてきた事業所と学校の信頼関係で成り立っている。この制度だと生徒も業者も困るのではないのか」など、批判と心配の声が出ています。
この議論のきっかけは、政府の規制改革推進会議などでの議論だと考えています。今年2月に発表された同会議の高等学校就職問題検討会議ワーキングチームの報告というのがありますが、それでも1人1社制、つまり1社推薦制度を全て見直せとは書いていません。逆に、高等学校卒業者の早期の離職率の高さの理由が、そうした高卒の就職慣行に起因すると断じることはできないとしておられます。
知事のメッセージでは、高校生についてですが、次のようにも言われています。「就活をさせることにしようということを教育委員会と話し合って決めました。その後、随分離職率は下がりましたが、どうも下がりきりません」と述べられています。知事が就任されたのは平成18年だったと思いますが、それ以降、確かにしばらくは高校生の3年以内の離職率というものは下がりました。しかし、その後は逆に高止まりをしています。
実は、調べてみますと、これは全国的に同じ傾向で、私は、高校生の離職率が上がったり下がったりするのは、景気や雇用の状況など、全国的な変動の中で起こったことであり、大学生より高校生の離職率が高いのは、就活の方法の違いというよりは、年齢による差ではないのかなと思います。
そこで、知事に伺います。
知事は、離職率の高さを1社推薦制の影響と見ておられるようですが、こうした認識に至った理由をお示しいただけたらと思います。
○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私が知事にならせていただきました当時、大学卒業者はそれほどではなかったんですけれども、就職した高校生が僅か2~3年以内に、私としては信じ難いほど多く離職をしていました。離職の差は、これは何だろうなあといっていろいろ考えたわけでございます。教育委員会などにお聞きして、いろいろ個別の意見なんかどうなんと言って聞きましたところ、「実は職場が想像と大分違ったんだ」とか、あるいは「本当は別の業種が希望だったんだけど、先生が指導してくださるから、そうやって決めたんだ」と、まあこんなような話が実はたくさんあったわけでございます。
私は、経済産業省で就職担当もやっておりましたから、就活ということについての実態を結構よく知っております。相思相愛になったら非常によろしいと、こういうことなんでございます。
そこで、どうもこれは高校生と大学生、大学生は就活をしますから、就職の決め方に違いがあるのと違うのかというのが私の結論でありました。相手の企業に納得してから内定をもらって就職を決めている、心を落ち着かせて決めている大学生に対して、高校生は、校内で選考された生徒が応募する1人1社制であって、応募先の決定には先生の指導も大きく影響していたかなという感じでございます。
もちろん、多くの先生方ができるだけ多くの生徒をきちんと就職させてあげたいという気持ちから、本当に好意から校内選考に当たられていたということを私は疑ったことは1回もありません。
しかし、未成年とはいえ、生徒は17歳とか18歳にもなると、自分の就職先としての好みとか希望とか、あるいは人生の設計とか何かあるはずなんですね。できれば行きたいなあという職種や企業のイメージもあるわけであります。
一方、まだ高校生ですから、先生に対しては非常に尊敬をしておりますから、先生に対する絶大な信頼があるから、先生が善意で好意から決めていただいた就職先というのは、「えっ、そんなの嫌だ」というようなことはなかなか言えないというのも当然なんじゃないかなというふうに思ったわけでございます。
それなら、まず高校生にも大学生のように希望先、希望する企業を訪問して、それでいろいろ自分の気持ちも確かめたり勉強したりして、それで、かつ企業からも当然この子はうちで働くのは向いているかどうかということは判断しますので、適性を見てもらう、いわゆる就活をさせたほうがよいという考えに至ったわけでございます。
そこで、当時の教育委員会と徹底的に話合いをいたしました。教育委員会は、やっぱりずっと前からやっていたことには自信がありますし、悪い言葉で言うと前例踏襲なんですけど、一生懸命考えているわけですから、私が言った企業訪問とかそういうのはインターンシップという形でもう既に実施しておりますよとか、そういうことで、もうそれやっている、やっているというような、そういう答えが多いわけであります。
それで、あんまりそう言うので、私はこの実態を見て、若い身空で、20歳にも満たないときに職を失ってしまう。それは自分で辞めるということかもしれませんが、そういう現状を是認して、果たして教育者と言えるのですかというようなことまで申し上げたこともあります。そこでだんだん納得していただいて、大体平成21年頃からだと思いますが、高校生の就職の仕組み、就活を中心にしてやるんだということで、これは私は改善されたと思っておりました。
そこで、学校現場にも、当然、教育委員会から指導していただいております。それで、私はその旨を広く県民に語っていたわけでございまして、行政報告会でもしょっちゅう言っていたし、それから折に触れてテレビなんかでも言っておりましたし、さらには、これはかなり最近になってからですが、高校生向けの就職サマーガイダンスという大集会なんかがございますから、そういうときに、「諸君、就活を一生懸命やって、先生が指導してくれると思うから、自分で一生懸命決めるんだよ」というようなことを語っていたわけです。
この21年の後ぐらいから随分離職率が改善されてきたわけです。よしよしと思っておったんですが、どうも期待したほどではなくて、途中で、さっき議員が高止まりと言われましたが、そんな感じが若干あって、おかしいなあと思っていたら、実は昨年になって、従来の、つまりもともとの1社推薦制度が温存されているということを、変わっていないということを知ったわけでございます。そこで、これは話が違うねと言って直していただいたということでございまして、別に昨年からころっと制度を変えたわけじゃなくて、もともと変わっておったというのが現状であります。
教育委員会の幹部は、就活を中心とする実態の変更と制度、それの矛盾に気がつかなかったということ、あるいは能力がなかったということだと思っております。その結果、学校現場では高校生の諸君にどんどん就活をさせて、自ら就職先を考えて、それで決めていこうねというような動きをしている現場と、それから、制度としての1社推薦制度を重く見て、生徒の就活よりも先生による選考を重く見る、そういう現場が多分混在していたんじゃないかな、そんなふうに思います。恐らく前者の現場では、今回の決定は、そんなものは当たり前だと、ただの制度的な追認だとお考えになったと思いますし、それから、後者の現場では、自分たちの権限を無視するもんだというふうに受け止められたんだろうなあというふうに思うわけです。
しかし、一番大事なことは、就職活動って誰のためかというと生徒のためでありますので、幾ら立派な、あるいは能力のある先生が御指導なさっても、就職による職業生活というのは実はその生徒のものなんでございまして、その生徒がどういうふうに自主的に考えていくかということがやっぱり一番尊重されるべきじゃないかなというふうに思うわけであります。
では、なぜ1人1社の制度があったのかと考えるわけでございます。考えてみると、これは論理と歴史の両方があると思いますが、恐らく企業のためにあるんだろうというふうに思います。つまり企業、私も就職担当やっていましてねと言ったんですが、やっぱり雇うほうからいうと、逃げられるのは物すごく困るわけです。したがって、学校が1社推薦制度できちんと保証してくれるというのは物すごくありがたい制度なんです。
一方、学校や、あるいは生徒のほうからいっても、就職難の時代はできるだけ学校に求人を出してもらいたい。協力する学校にはたくさん求人を出す。それから、きちんと割り振りをして、漏れなく多くの子供たちが就職先に就けるようにしてもらいたい。そういうことが当然その頃はあったんで、これは持ちつ持たれつの関係である。
ところが、今はどうかというと、実は就職難ではございません。むしろ求人難の時代でございますから、そんなメリットは学校にとっては多分ないんじゃないかと思います。かつ、やっぱり大事なことは生徒そのものなんで、企業の論理で就職指導をしてはいけない。生徒本位で就職のお助けを先生がしてさしあげたらいいじゃないかと、こんなふうに今思っておるわけでございます。
ただ、ある生徒が例えば人気ある生徒で、多くの企業のところへ行って、多くの企業から内定をどんどんもらって、それを隠しておいて、それで後で裏切るということになるのは、それは信義上の問題としてもよくありません。
それから、お友達が、多分その人が独り占めをするもんですから、就職先を失うということになりかねません。
したがって、これは、これだと悩んで、よく考えて、これだと内定をもらった企業には、ちゃんと約束を守って、ほかのところに浮気をしたりしないということは、これは道徳の問題として先生は指導すべきだというふうに思うわけでございます。
道徳の指導というのは、その子供の将来の人生を考えると絶対に大事なことになるはずなんで、それよりも、そういう説得の代わりに1社推薦制度という制度で縛るんだという考え方は、これは、そう考える先生がいたら、ちょっと権力志向的だなあとか全体主義的だなあと何となく感想を持つ次第でございます。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
先ほど知事は、高校の職場にも二通りあって、前者の方と後者の方という表現をされましたけども、私がお話を聞いた先生方は後者の方が多いのかなというふうにも思いましたが、私がお話を伺っていて思ったのは、大学生と同じように就職活動という、自分で自ら開拓をしていくということの大切さを言われたんですが、やはりそこにはそれまでの指導の時間とか量もあると思いますし、高校生ならではの授業をしながら、また部活をしながら就活もせなあかんという極めてタイトな時間の中で決めなあかんということの中で育まれてきたのが、今の制度かなというような気もしております。
そういうことでいえば、私は、この問題はやはり生徒のためということを考えて、ぜひ学校現場の、知事に言わせれば後者の方が多いと言うかも分かりませんが、学校現場の意見をぜひ丁寧に聞いて対応していただきたいなということを思いました。
それから、もう御存じだと思いますが、実は全国では秋田県と沖縄県がこの1社推薦制を早くからやめて、複数応募制をしているというふうに聞いております。秋田県の労働局に伺いましたら、平成15年度から複数応募制ということでやってきたんですけれども、その後の10年以上の高校生の離職率の推移をグラフで見ましても、全国平均と比べて大きく改善されたようにはなっていないんです。ですから、1社推薦制のみに離職率の原因を求めるということは私は無理があると思いますし、現に国のレポートのほうでも、それだけが原因ではないんだよということも書かれております。
いずれにしましても、既にこの新たな就活制度で現場は動き出しております。今後、大きな混乱が起きないように、学校現場の意見を丁寧に聞いて対応していただきたいということを要望しておきたいと思います。
次に、グリーンスローモビリティーの県内での活用について伺います。
グリーンスローモビリティーとは、時速20キロメートル未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービスで、その車両も含めた総称です。
お配りしている資料にあるような電気自動車ですが、国土交通省では、高齢化が進む地域での地域内交通の確保や観光資源となるような新たな観光モビリティーの展開など、グリーンスローモビリティーの推進を行っています。ジオガイドや観光ガイドとも、地域を巡るガイドツアーなどと非常に相性がよく、観光地にとっても大きなメリットが期待されています。
また、平成30年度からはグリーンスローモビリティーの活用検討に向けた実証調査支援事業が始められており、これまでに18の自治体での実証実験が行われました。また、石川県輪島市や島根県松江市、広島県福山市などでは、既に恒常的な運用が開始されています。
これまで和歌山県内では、こうした実証調査などの取組事例はありませんが、身近なところでもバス停や駅などへ自宅から行き来する場合の、いわゆるラストワンマイルと呼ばれる、このことで困っている地域が多数あります。
そこで、こうしたラストワンマイルの課題解消に向け、県としても市町村と連携をしてグリーンスローモビリティーの実証実験などの取組を進めてはどうかと思いますが、企画部長の御答弁をお願いします。
○議長(森 礼子君) 企画部長横山達伸君。
〔横山達伸君、登壇〕
○企画部長(横山達伸君) 地域における移動手段の在り方については、県では、これまで各市町村を訪問し、地域公共交通の確保に向けた意見交換を実施するなど、市町村と一緒になって検討をしているところでございます。
議員御指摘のグリーンスローモビリティーについては、環境への負荷が少ないという利点もあり、県外の自治体で運行されている事例も見受けられます。
しかし、地域交通として活用するに当たっては、初期導入費用が高額で、維持費についても一般的な車両と比較して安価とは言えないなどの課題があるため、国土交通省が公募をする実証調査支援事業を希望する市町村はない状況でございます。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 今のところ、この実証調査に手を挙げる市町村はないということでございますが、私も最近勉強し出したんで、こういう議場の場でこういう発言をすることによって、こういう手段もあるんだなあということを大勢の方に知っていただきたいという思いで今回は発言をさせていただきました。
また、私の地元でも、こうした取組、民間等を通じてやれたらなあというふうに思っておりますので、そのときにはぜひよろしくお願いしたいと思います。
最後に、サイクリングの安全対策について伺います。
5月31日、千葉県銚子市から太平洋岸沿いを通り和歌山市に至る全長1487キロメートルの太平洋岸自転車道が、ナショナルサイクルルートに指定をされました。これまでの関係者の皆様の御努力に敬意を表したいと思います。このことが「WAKAYAMA800」のサイクリングロードと併せて県内観光の発展につながるよう期待しております。
一方で、自転車の通行量が増えることで、安全対策の強化がこれまで以上に求められていると思います。サイクリストに伺いますと、特にトンネル区間で危ない目に遭うことが多いという声が寄せられています。ナショナルサイクルルートの審査委員会でも、走行環境に関する意見として、暗いトンネルへの対策が求められています。
ナショナルサイクルルートに指定されたことで、今後、多くのサイクリストが訪れることが考えられますが、ナショナルサイクルルート上の国管理国道の部分と併せて、暗いトンネルについて県としてどのように安全性向上に取り組んでいかれるのかを県土整備部長に伺いたいと思います。
○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。
〔安部勝也君、登壇〕
○県土整備部長(安部勝也君) ただいま御質問のありました太平洋岸自転車道におけるサイクリストのためのトンネル内の安全対策についてお答えいたします。
当該自転車道の走行環境については、矢羽根型路面標示等、ルート指定に必要な環境は整備されているものの、議員御指摘の暗いトンネルの安全対策については、審査委員からも御指摘されるなど、継続的な対策が必要であると認識しています。
当該自転車道の県内区間323キロメートルには32か所のトンネルがあり、国管理が17か所、県管理が13か所、市町管理が2か所です。15メートル程度の短いトンネルもあれば、十分な幅員を有するトンネルもあるなど、個々に検証する必要があると認識しています。
つきましては、国土交通省などと連携しながら、トンネル一つ一つについて交通量や延長、明るさ、幅員等をサイクリストの交通安全の観点から検証し、追加的な対策の必要性について検討を進めているところでございます。
○議長(森 礼子君) 高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
まず、ナショナルサイクルルートのそうした環境整備ということでお話があったと思います。ぜひ、そうした整備を通じて得られたノウハウをまた「WAKAYAMA800」のこのサイクリングルートにも生かしていただいて、本当によりよい観光資源、そして安全・安心なサイクリングということで頑張っていただけたらと思っております。どうぞよろしくお願いします。
以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御協力ありがとうございました。(拍手)
○議長(森 礼子君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
35番林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕(拍手)
○林 隆一君 こんにちは。日本維新の会の林隆一でございます。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
まず初めに、新型コロナウイルス感染症対策に関する質問を行うに当たり、改めて、お亡くなりになられました皆様の御冥福をお祈りいたしますとともに、現在も闘病されている方々に心よりお見舞い申し上げます。
さて、私は、昨年6月の県議会において、県立学校における新型コロナウイルス感染症対策を想定した夏季の熱中症対策について質問をいたしたところでございます。昨年においては、休業措置等に伴う児童生徒の学習の遅れを補うため、夏休みの短縮や登校日を設けて授業を行うような状況であったため、その対応について質問をしたところ、教育長から、「児童生徒の感染症防止対策に加え、熱中症等による健康被害が生じないよう、例年以上に万全を期す」との御答弁をいただいたところでございます。
あれから1年がたち、今も新型コロナウイルス感染症が終息しない状況が続く中、私は、ある報道を目にいたしました。大阪府高槻市の小学校で、本年2月、体育の授業で持久走をした当時5年生の児童が死亡し、死因は特定できていないものの、その児童はマスクをしたまま走っていた可能性があるというものであり、児童の父親は、マスクと死亡との関連性はまだ調査中とした上で、運動中のマスク着用の危険性を改めて周知してほしいと訴えているとの報道でした。
この報道を受け、本県の保護者からも不安の声が届いていることを踏まえ、今回は特に小中学校におけるマスクの着用に焦点を絞って質問をいたします。
言うまでもなく、学校における新型コロナウイルス感染症対策は多岐にわたりますし、県及び市町村の教育委員会や教職員の方々は日々様々な取組をなされていることと思います。しかしながら、学校生活にはあらゆる場面があり、判断能力が成熟していない小学生の場合、いつマスクを着用すべきか、いつマスクを外すべきかが分からない状況もあるのではないかと思われます。
そこで、質問いたします。
学校におけるマスク着用に関する県教育委員会の考え方と小中学校への周知の徹底について、教育長、お答えください。
○議長(森 礼子君) ただいまの林隆一君の質問に対する答弁を求めます。
教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 大阪府において、持久走をした後に児童が死亡したということについては、大変痛ましく思っております。
学校におけるマスク着用については、文部科学省の衛生管理マニュアルに基づき、身体的距離が十分取れないときはマスクを着用することを原則とした上で、運動時においては、身体へのリスクを考慮し、マスクの着用は必要なしとしています。特に呼気が激しくなる運動を行う際や、気温や湿度、暑さ指数が高い日には、十分な感染症対策を講じた上でマスクを外すこととしています。
一方で、場合に応じてマスクを外すことに難しさのある子供もいます。そうした子供に対しては、保護者の協力を得ながら、運動時や登下校時など、教育活動の内容や環境に応じて周囲の大人が状況を判断し、積極的に声をかける必要があると考えております。
こうしたことを踏まえて、先般、気候条件や児童生徒一人一人の状況を十分考慮したマスク着脱に関する丁寧な指導について再度文書を発出し、注意を促してきたところでございます。
今後も、市町村教育委員会の担当者会などあらゆる機会を捉まえて、小中学校への周知徹底を図ってまいります。
○議長(森 礼子君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁いただきました。
先ほど申し上げたように、特に小学校低学年の児童については、判断能力が成熟していない上、コロナ禍の状況が続く中、児童生徒はマスクを着用することが習慣化していることもあり、加えて、教員についても、先ほどの御答弁の対処方針は概念として理解していても、様々な場面においてのきめ細やかな指導はなかなか困難な場面もあろうかと思います。
熱中症のリスクが高まる季節を迎える中、学校におけるマスクの着用の在り方については、教員がそれを自覚し、児童生徒にきめ細やかな指導を行うことが重要であると思いますし、児童生徒の安全を守ることはもちろんのこと、あらゆる機会を通じてアナウンスすることが保護者の方々の安心にもつながると思いますので、昨年の6月議会の御答弁と同様、このことについても万全を期していただくことを強く要望して、この質問を終わります。
次に、ICTを活用した学びの充実についてお伺いいたします。
そもそも、文部科学省が掲げたGIGAスクール構想は、令和元年12月に閣議決定された補正予算において、児童生徒向けの1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するための経費が盛り込まれたことを契機として、令和時代のスタンダードとして1人1台端末環境の実現を目指したものであり、その後、新型コロナウイルス感染症対策として、学校休業時における児童生徒の学びの保障を確保するためのオンライン学習等の必要も相まって、本県においても小・中・高等学校におけるICT環境は加速的に整備されてきたことは、皆様御承知のとおりと思います。
現在も新型コロナウイルス感染症が終息しておらず、今後も予断を許さない状況の中、第5波の襲来によって休校措置を余儀なくされる場合のオンライン学習等の必要な準備については、引き続き万全を期していただきたいと思いますが、ICT環境の整備はあくまで手段であり、目的ではないことは言うまでもございません。今後、コロナ禍にかかわらず、せっかく整ったICT環境をいかに有効に活用していくかが重要になりますので、今回、私は、特に県立高等学校におけるICTを活用した教育の推進について質問をしたいと思います。
その観点から、改めて和歌山県の令和3年度新政策を見てみますと、「オンライン授業で学びの深化」と称し、その施策体系の中で、優れた学習指導動画や実験・観察動画を作成し、その動画を活用して授業の質を向上させる施策が打ち出されております。
そこで、まず第1点の質問です。
この施策の目的や動画の内容、活用方法、教員への普及等、その具体的な取組について、教育長、お答えください。
○議長(森 礼子君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 「オンライン授業で学びの深化」事業についてお答えをいたします。
どの生徒も最も質の高い授業を受講できるようになることがこの事業の目的であり、現在、授業動画の作成、配信に取り組んでいます。講義や実験及び実習等様々な授業動画を作成し、授業での活用とともに、生徒の家庭での予習、復習等にも活用できると考えております。
さらに、授業動画を作成、活用することは、教員の指導力向上にもつながると考えており、全ての教員が携われるよう、動画配信についてマニュアルを作成したところです。
このように、授業動画の配信システムを構築し、生徒が主体的かつ意欲的に学習に取り組むことができるよう、県全体の学力向上に努めてまいります。
○議長(森 礼子君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁をいただきました。
この取組を通じて生徒が質の高い学びを享受できるよう、今後もその仕組みを充実していただきたいと思います。非常に有意義な取組だと思う反面、ICTを活用した学びの充実はまだまだこれからだという認識を持っております。今後、ICTの活用については、教科ごとにその対応も異なってくるでしょうし、また、それらを使いこなす教員の習熟等の問題もあろうかと思いますし、さらに、通信環境等の問題もあろうかと思います。思いつくままに何点か申し上げましたが、今後、ICTを効果的に活用していくためには様々な課題があるのではないでしょうか。
そこで、2点目の質問です。
ICTを活用した教育の推進をしていく上において、県教育委員会として課題と考えていることについて、教育長、お答えください。
○議長(森 礼子君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) ICT教育がこれからの教育を大きく変える可能性があり、そのためには、全ての教員が動画を作成する等、授業でICTをいかに有効活用するかが今後の課題であると考えます。
昨年度から教員向けの研修を実施しており、多くの教員が研修に参加をいたしました。
今後も、引き続き教員のICT活用能力の向上に努めてまいります。
また、通信環境についても、普通教室へのWi-Fi環境も整備済みであり、ICTを活用した授業が円滑にできるよう、各学校をサポートしてまいります。
○議長(森 礼子君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁をいただきました。
教員のICT活用能力の向上が重要な課題とのことですので、研修体制の強化をお願いいたします。
さて、御答弁いただいたように様々な課題があるわけですが、今後これらの課題を解消しつつ、これからの高校教育は将来的には劇的に変わっていく可能性があると思っております。
それでは、私の経験から説明させていただきます。
昨年度、私は、ある専門学校の校長から、私が美容師と教員専修免許を持っているということで、週1限程度の非常勤講師の依頼がありました。開講当初は、コロナ禍なのでオンラインによる講義をしてほしいとのことでした。それで、オンラインによる講義をインターネットで調べていると、オンラインだけで卒業ができる大学という広告がありました。それを検索すると、授業料も安く、学士入学制度もあるということで、半分興味本位で私は3年次編入学をし、現在、通信制大学の4年生でもあります。
この大学の特徴は、24時間いつでも受講でき、期末テスト等もオンラインで受けられます。私にとっては、大学や大学院は5校目になるのですが、対面授業や紙ベースのテストではなく、オンラインという時代の移り変わりを強く感じております。生徒としての立場から、また講師としての立場からも、オンラインでの授業は効率的であり、全く問題がないと実感しております。
そこで、高校教育におきましても、全日制課程の高校では、学びのスタイルが多様化され、オンラインでの講義は再生でき、何度でも繰り返し講義が聞けるので、生徒のメリットとしては記憶の定着、理解を深めやすい、分からない部分を切り取り復習できることなどが考えられております。
また、教育者側のメリットとして、生徒からのアンケートによる評価、ほかの教師からのアドバイスを得やすい、教師が自分自身で動画を客観視できるなど、チェック機能が働き、教員の資質の向上にもつながると考えております。
そして、通学等の負担が軽減されれば、現在進めている高校再編と相まってうまく機能していくこととも思いますし、特色ある学校づくりにも寄与するものではないかと考えております。
また、ICTをうまく活用すれば、定時制、通信制高校の在り方もよい方向に変えていける可能性があると思います。現在、定時制高校9校の生徒数は5月1日現在で599名、教員が169名とお聞きしております。定時制高校の中にはクラスで1人、2人というところもあり、非効率的で、生徒にとってもプレッシャーがあると思われます。教育課程には体育や実技があるなど、全ての教育課程がオンライン授業に変わっていくとは思いませんが、ICT化により、教育体制の効率化、集約化も図れるでしょうし、何より時間の制約で苦労している生徒が学びたいときに学べる機会が増えていくと考えられております。
そこで、3点目の質問です。
ICTを活用した教育の推進に関する今後の方向性について、教育長、お答えください。
○議長(森 礼子君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 学校におけるICT環境の充実は、様々な学び方を可能にし、個々の生徒の理解度や教育的ニーズに応じた学習活動を展開することができます。定時制や通信制のみならず、小規模な学校においても、対面授業やオンライン授業等を適切に組み合わせたハイブリッドな授業を展開することで、教育の質の向上と多様性への対応をかなえることができると考えております。
○議長(森 礼子君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁をいただきました。
教育長が答弁された御見解に基づき、今後、教育課程におけるICT活用の具体的な方策がこれから徐々に明らかになっていくことだと思います。スピード感を持って進めていただくことを要望し、この質問を終わります。
次の質問に移ります。
去る4月17日、一般財団法人日本熊森協会が無許可で飼養していたツキノワグマを和歌山県内に移送し、同協会の和歌山県支部が4月30日にその旨を和歌山県に報告、和歌山県は5月12日に飼養の変更を許可したことが発表されました。
この熊は、もともと石川県内で猟師が狩猟捕獲した子熊で、自宅において無許可で飼養し、その後、日本熊森協会が猟師から譲り受け、金沢市内の倉庫に9か月以上にわたって無許可で飼養していたということでございます。金沢市は、協会に対し、許可施設に移送するよう指導を行ってきたとのことですが、協会は、本県の有田川町生石高原内の特定飼養施設に移送し、同施設の管理人は熊の逃亡や放獣による危険を避けるため、緊急避難的な措置として許可施設の空きおりにこの熊を受け入れたそうでございます。
そこで、まず1点目の質問です。
本県の対応に関する経過や許可に至った経緯、今後の対応について、環境生活部長、お答えください。
○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。
〔生駒 享君、登壇〕
○環境生活部長(生駒 享君) 議員御質問のツキノワグマにつきましては、一般財団法人日本熊森協会が、石川県内において、動物の愛護及び管理に関する法律に基づく許可を受けずに飼養していた上、さらに、法的手続を踏まずに、本県生石高原内にある熊用の施設に持ち込んだものであり、今なお非常に憤慨しています。同協会の違法かつ危険な行為は断じて許されるものではありません。本来であれば、直ちに石川県内の元の場所に強制的に戻すべきところですが、石川県内の飼養施設や今回使われた移送用おりはいずれも無許可であり、和歌山県内における熊の逃亡や放獣による危険も回避しなければならず、県民の安全確保及び動物愛護の観点から、やむを得ず受入れを許可したものです。
許可に至った経緯を申し上げますと、同協会和歌山県支部の代表者から、生石高原内の特定飼養施設において当該熊を飼養しているとの報告を受け、直ちに職員を現地に派遣して熊の状況及び施設の安全性を確認し、施設管理人に熊及び施設の管理の徹底を指示する一方、石川県及び金沢市の動物愛護管理担当部局に対し、当該熊が本県内に持ち込まれたことを伝えるとともに、これまでの経緯について事実確認を行いました。
なお、報告を受けた金沢市は、直ちに石川県警察に通報しております。
当該熊の移送を行った日本熊森協会に対しては、移送を主導した名誉会長らを呼び出し、事情聴取するとともに、法違反はもとより、人命等に危害を及ぼしかねない危険な行為であると厳重に注意を行う一方、施設管理人に対しては、当該熊による県民の生命、身体及び財産の侵害防止の観点から、同法律に基づく飼養の変更を許可しました。
現在、当該熊は生石高原内の特定飼養施設において適正に飼養されていますが、引き続き施設管理人に対し、安全確保の徹底を促すとともに、定期的な監視を継続してまいります。
○議長(森 礼子君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁いただきました。
本県としては適正に法定手続を行ったということだと思いますが、それは結果としてそうなったわけであって、そもそも移送される際に許可を取っていなかったわけですから、本県としてはいわゆる追認的な行為とも言えますし、そもそも和歌山県で受け入れる必要もなかったのではないかとも思いたくもなります。県としては、この熊による県民の生命、身体及び財産に侵害が及ぶことのないよう、施設管理人に安全確保の徹底を促すとともに、定期的な監視を継続するとの御答弁でしたが、県民の中には不安を感じる方もいらっしゃると思います。
そもそも、飼養されている熊というよりは野生の熊が大半でしょうが、ツキノワグマによる人身被害が全国的に報じられています。県民に被害が及ぶおそれのある場合、本県の行政はどのような対応を取ることになるのか、そのことについて関心のある方もいらっしゃいます。
紀伊半島のツキノワグマは、環境省レッドリスト2020では、絶滅のおそれのある地域個体群に属する希少動物となっており、いわゆる鳥獣保護管理法では、特に保護を図る必要があると認める対象狩猟鳥獣として、本県を含む10県では捕獲等が禁止されているという現状からも、県民に被害が及ぶような状況において迅速な対応を行うことができない場合もあるのではないかと危惧しております。
そこで、2点目の質問です。
過去5年間のツキノワグマによる人身被害に係る全国の被害者数と本県の被害状況、そして、県民に被害が及ぶおそれがある場合、行政はどのような対応をされるのか。法的根拠を含めて、環境生活部長、お答えください。
○議長(森 礼子君) 環境生活部長。
〔生駒 享君、登壇〕
○環境生活部長(生駒 享君) まず、過去5年間のツキノワグマによる人身被害状況ですが、環境省により公表されている全国の被害者数は、平成28年度及び平成29年度がいずれも104人、以降、平成30年度が50人、令和元年度が154人、直近の令和2年度が156人となっています。
本県における過去5年間の人身被害は、残念ながら令和元年度に1件だけ発生しており、被害内容は、70代の女性が手首などに軽傷を負ったものです。
次に、県民に被害が及ぶおそれがある場合の対応についてですが、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律第12条に基づき、本県では、ツキノワグマの狩猟捕獲が禁止されているため、緊急を要する場合を除き、関係機関等と協議の上、同法第9条に基づく許可捕獲を行い、個体を識別できる処置を講じた後に、人里から離れた場所に放獣することとしています。
しかしながら、緊急を要する場合については、人命最優先の観点から、許可捕獲の手段として、ハンターによる駆除もやむを得ない対応としているところです。
今後も、ツキノワグマの出没状況等に注意を払いながら、県民の生命、身体、財産を守るため、適切に対応してまいります。
○議長(森 礼子君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁にありましたように、ツキノワグマによる人身被害は増加傾向にありますし、私は定かなデータを持っていませんが、人口減少・過疎化の進行や自然環境の変化に伴い、人里に現れてくる熊も多くなってきております。今後さらに人身被害が増加するのではないかと懸念しております。
もちろん、人それぞれの価値観があり、絶滅危惧種としてツキノワグマを扱うことのほうが重要と考える方もいらっしゃるでしょうし、熊を殺すのはかわいそうだ思われる方もいらっしゃると思います。
県では、今後も、県民の生命、身体、財産を守るために適切に対応してくれるとのことですので、自然環境や社会情勢等の変化も考慮して、しっかり対応していただくことを強く要望し、私の一般質問を終了いたします。御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)
○議長(森 礼子君) 以上で、林隆一君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時26分散会