令和2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
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令和2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号
令和2年9月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
令和2年9月17日(木曜日)
午前10時開議
第1 議案第114号から議案第130号まで(質疑)
第2 一般質問
第3 議案の付託
第4 議案第114号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
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会議に付した事件
第1 議案第114号から議案第130号まで(質疑)
第2 一般質問
第3 議案の付託
第4 議案第114号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
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出席議員(42人)
1番 鈴木德久
2番 山家敏宏
3番 中本浩精
4番 堀 龍雄
5番 藤山将材
6番 岸本 健
7番 井出益弘
8番 宇治田栄蔵
9番 北山慎一
10番 玄素彰人
11番 中西峰雄
12番 秋月史成
13番 森 礼子
14番 濱口太史
15番 尾崎要二
16番 冨安民浩
17番 川畑哲哉
18番 玉木久登
19番 鈴木太雄
20番 岩田弘彦
21番 吉井和視
22番 谷 洋一
23番 佐藤武治
24番 岩井弘次
25番 中 拓哉
26番 多田純一
27番 新島 雄
28番 山下直也
29番 中西 徹
30番 谷口和樹
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 林 隆一
36番 楠本文郎
37番 高田由一
38番 杉山俊雄
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 細川一也
危機管理監 森田康友
総務部長 田村一郎
企画部長 田嶋久嗣
環境生活部長 田中一寿
福祉保健部長 宮本浩之
商工観光労働部長 大山 茂
農林水産部長 角谷博史
県土整備部長 庄司 勝
会計管理者 城本 剛
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員長 中野幸生
警察本部長 親家和仁
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 保田栄一
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 中川敦之
次長 井邊正人
議事課長 山田修平
議事課副課長 岩井紀生
議事課議事班長 岸裏真延
議事課主査 松田太郎
議事課主査 伊賀顕正
議事課主事 浅田晃秀
総務課長 嶋岡真志
政策調査課長 神川充夫
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午前10時0分開議
〇議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第114号から議案第130号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
31番藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
〇藤本眞利子君 おはようございます。
2日目の1番目の質問ということで、昨日、佐藤議員が質問されたことと少し重なる部分はあるんですが、御容赦いただきまして質問をさせていただきたいと思います。しばらくの間、御清聴よろしくお願いいたします。
これからの県立高等学校の在り方について、何点か質問したいと思います。
第6期のきのくに教育審議会から、これからの県立高等学校の在り方についての答申が出されました。「高等学校が地域とともに持続可能な存在であるために」という副題がつけられています。
15名から成る審議会委員の皆様には、大変御尽力をいただき、答申をまとめていただいたものと推測し、感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
答申では、さらなる生徒数減少への対応と高等学校教育の充実の二つを大きな柱として、出生数から予測可能な15年を想定して答申を取りまとめたとあります。
県教育委員会においては、15年後を想定した県立高等学校の在り方や再編整備に係る本答申を踏まえ、今後、どのような段階を経て整備していくのかということについて、広く県民の理解を得ながら、本県教育の一層の充実発展に向けた不断の取組を進めることを期待するものであるとしています。
答申では、大きな改革を提言されました。これを受けて、県教育委員会は、現在の高校再編の道筋を具体的に示していかなければなりません。
8月に出された答申ですので、教育委員会としてはこれからの作業になってくると思いますが、今回それに先立ち、幾つかの点について意見なり質問をお願いしたいと思います。
毎年、和歌山市中学校PTA連合会から、和歌山県高等学校入学者選抜実施についての要望が議会と教育委員会に出されています。その中では、県立学校選抜試験の全県1区制度が行われてから17年が経過しましたが、その弊害が毎年指摘され、改善が求められてきました。
私も、2013年に、全県1区という学区制の問題について質問いたしました。
弊害について改めて申し上げるまでもありませんが、和歌山市においては、全県的に学力的に高い生徒は和歌山市内の人気のある学校に進学を求め、学力的に低位とされている生徒は和歌山市内の高校に進学がかなわず、和歌山市外の高校に進学せざるを得ない状況になっています。ちなみに、人気の高い高校では、約半数が和歌山市以外からの生徒で占められているという状況です。
また、昔は、それぞれの地域に根づき、地元の名門と呼ばれた個性的な学校が、今や県下の高校の序列の中に組み込まれ、その中で地域の誇りすら持てないような状況になっています。
選抜試験の範囲を全県1区にしたため、高校間格差は広がり、高校の個性化、多様化を図るという目的は成し遂げられなかったと言っても言い過ぎではないと思います。
保護者によく聞くのは、「うちの子、勉強いっこもせえへんので、行く学校ないわ」という言葉です。中学校の進路指導は点数で高校を割り振り、それこそ点数に届く高校にと進路を導きます。高校間格差が厳然と存在する中で、保護者も中学校も地域も偏差値による普通科志向から脱皮できない現実をまず念頭に、高校再編問題を根本から考えるべきだと思います。
先日、改新クラブの会派で串本古座高校に視察に行ってまいりました。串本古座高校となって今年は初めての卒業生を送り出しました。定員360人という規模の高校で、現在の生徒数は219人と、答申のいう適正規模には届いていないのですが、その内容は大変すばらしく、これからの高校の在り方を考える上で大変参考になると考えます。
昨日も佐藤議員のほうからもお話があったのですが、少し皆様にも御紹介したいと思います。
串本古座高校では、1年生は全員同じカリキュラムを学びますが、2年生から三つのコースに分かれていきます。地域が持つ自然、文化、歴史などをそのまま教材に活用し、将来的にはふるさとの活性化に貢献できる人材を育成する地域未来創造コースのグローカルコース、ここでは県外からの生徒も受け入れていると聞いております。専門学校、短期大学を中心に多様な進路希望に対応するクリエイティブコース、国公立、私立を中心とした4年制大学への進学、難関の高等看護専門学校、国家Ⅲ種、地方初級の事務職などを希望する生徒に対応するアドバンストコースとあります。2年生で3コースに分かれるため、その時点で自分の進路について考え、選択をすることになります。
また、串本古座高校ならではの大きな取組として、学校の魅力と地域人材の育成のため、地域まるごとキャンパス構想という取組が行われています。串本町、商工会、古座川町、町教育委員会、漁業組合、観光協会、森林組合、JA等の町の全ての団体を巻き込んだ串本古座高校学校地域協議会が設立されており、串本古座高校の地域まるごとキャンパス構想の取組を支えています。
串本、古座両町の役場、近隣に所在する官公庁、民間企業やトルコ大使館など様々な機関が協力しながら、串本古座高校の生徒の活動を支えています。
例えば、スキューバダイビング、これは科目はマリンスポーツという科目で行われています。長期インターンシップ、科目は串本デュアルという科目です。地域の福祉施設と連携した介護職員養成──この科目は介護福祉──など、地域の持つ魅力を活用した特色ある授業を展開されています。
このような授業を展開するために、地域と学校を結ぶコーディネーターが2人配置されており、外部関係機関との折衝や探求的な学習活動のファシリテーションに係る業務、外部指導者や施設設備の発掘とマッチングなどの業務を担っていただいています。このコーディネーターが大変大きな役割を果たしていただいています。
昨日も佐藤議員にも御紹介していただきましたが、新しい学習支援の場としても放課後のくろしお塾も展開されていて、今年度は、進路指導の充実、地元中学生を対象として、漢検、英検の実施、高校・大学交流や文化的行事を実施しているとのことでした。
今年は、取組を始めて初めての卒業生を送り出していますが、「地域に魅力や愛着を感じ、地域の発展に貢献したいという目的意識を持った生徒が以前に比べて増えている。また、進路選択の面でも意識の変化が見られる」と校長先生がおっしゃっていました。確かに、地元に愛情を持つ生徒の割合が増えているという調査の結果でありました。
今、地域とともにある学校が求められていると思います。高校教育の未来は偏差値による序列化ではなく、それぞれの学校の特徴を生かした学校づくり、地域の特色を生かし、自分の地域に誇りと愛情の持てる人材の育成が欠かせないものと考えます。そのためには、保護者も教育委員会も高等学校も変わっていかなければなりません。
そこで、2点お伺いします。
答申では、大胆な改革を提言されています。これからの人口減少が進む中、高校再編は致し方のないことだとの理解は得られると思います。ただ、大同小異で再編には同意しても、それぞれの高校には歴史、伝統がある。そんな中で、具体的に高校を減らすとなると、納得していただくのは困難を要すると予想されます。
そこで、答申を受け、教育委員会としての信念と、今後どのような形で進めていくのか、お伺いします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 答申を受けて、信念と今後の進め方でございますが、人口減少が進み、活力の低下が懸念される本県にとって、地域社会を担う人材の育成は大きな課題です。それには、和歌山の子供たちを和歌山で育てるという思いの下、地域に応じた高校の在り方を検討し、地域社会の持続的な維持発展につながる魅力的な高校をそれぞれの地域において整備していくことが大前提と考えています。
今後、県立高校の在り方を具体化していく中で、議員御指摘のとおり、総論では賛成でも、詳細については様々な意見が出てくることは十分に予想されます。
県教育委員会といたしましては、本県の将来を担う子供たちへの責任を果たすという立場から、どこの学校が残るのか、なくなるのかという議論にとどまらず、大局的な立場から県全体の議論を深めていかなければなりません。どの地域の方々にも県全体のこととして捉えていただけるよう、理解を求めていきたいと思っています。
答申に示された15年後のあるべき姿に向けて、今後どのような段階を経て整備していくかについては、早急に再編整備実施プログラムにまとめてまいります。年内に案を作成し、パブリックコメントを経て、年度内に策定することとしています。
なお、実施プログラムの作成に当たっては、9月末から10月中旬にかけて、PTA、同窓会などの学校関係者や一般の方々を対象として、県内5会場で地域別懇談会を開催することとしています。多くの方々とともに議論を深め、和歌山県の明るい将来展望につながる実施プログラムの策定につなげてまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
〇藤本眞利子君 御答弁ありがとうございました。
再編整備実施プログラムをまとめるのは大変な労力が求められていくと思います。まして、地域に応じた高校の在り方を検討し、地域社会の持続的な維持発展につながる魅力的な高校をそれぞれの地域に整備することが大前提であると考えているとの御答弁でありました。
今の偏差値一辺倒の教育を変えていくのは並大抵なことではありませんが、そのためには教育委員会だけが奮闘してもなかなか前に進めることは難しいと感じています。県民の意識を変える、学校や教師の意識を変える、子供たちの意識を変えるための行動につながる再編整備をお願いしたいと思っています。地域にやはり高校は大変大事な存在ですので、よろしくお願いしたいと思います。
もう一点について質問させていただきます。
先ほどから串本古座高校の事例を紹介させていただいているんですが、校長先生ともお話ししながら、本当にここの取組、参考になるなあというふうに思いました。
答申では四つのエリアごとに普通科と商業科、工業科、農業科、総合学科などの在り方が記載されているんですが、普通科志向の強い中で、今後の普通科の在り方と、専門学科をどのような形で設置していくのがよいのかというのを、ちょっと見解をお聞きしたいと思います。
それから、特別支援学校についても言及されていますが、高等特別支援学校の新設についての考えをお聞きしたいと思います。
それと、学力的にしんどい子供たちとか、不登校などで集団での学習に不安のある生徒たちの受皿は、現状では昼間や夜間の定時制とか分校というふうなところが進学先になっていたりするわけですが、再編整備する中で、どのようにこの子たちの教育を保障していこうとしているのか、お伺いしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 普通科高校、専門学科高校、それから高等特別支援学校の新設等についてお答えをいたします。
高校生の約7割が学ぶ普通科の教育においては、根強い普通科志向の中で、どの高校で学ぶかということよりも、合格できる高校、学科選びが優先される傾向にあり、このことが高校入学後の学習意欲に少なからず影響を及ぼしているという問題があります。今後は、この現状を改め、適性や興味・関心に基づいた高校選びへ転換していかなければなりません。
一方、専門学科の教育においては、これまで培ってきた各学科の専門性を担保するとともに、これからの時代を見据え、高度で専門的な技術や知識を身につけた人材を育成していくことも求められています。そのため、レベルの高い専門教育を担う拠点校や、紀北と紀南に多様な専門教育を受けることができる高校を整備していくことが必要になります。
また、議員御指摘のとおり、支援を必要とする生徒への学びの保障についても重要であると考えています。答申に示されたように、軽度の知的障害のある生徒の一部を対象に、職業教育に特化した高等特別支援学校を設置することや、不登校や発達障害等により義務教育段階での学びが十分にできていない生徒を対象として、学び直しに特化した教育を行う少人数学級を設置することなどについて検討し、全ての子供が活躍できる教育環境の整備を進めることが必要だと考えています。
〇議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
〇藤本眞利子君 ちょっとしんどい子供たちとか不登校とか、そういう子たちの学びというのは再編整備してもしっかりと整えていただけることを強く要望して、次の質問に移りたいというふうに思います。
二つ目の質問として、災害時における避難所の在り方についてお伺いしたいと思います。
近年の災害は毎年大きな被害をもたらしておりまして、2018年の台風は和歌山も大きな被害を受けまして、強風による停電は広範囲にわたったことは記憶に新しいところです。関西国際空港の橋の崩壊も、皆さんの記憶に残っているかと思います。
また、令和元年の東日本台風は、東海、関東、甲信、北陸など広範囲にわたって大きな被害をもたらしました。各地で河川の氾濫が起こり、死者も91人に上っているというふう聞いております。
このように、地震、台風などの災害が毎年のように起こる状況で、どこでどのような災害が起こるか他人事ではありません。
先日の台風10号も近年にはない大きな台風で、大きな被害がなかったことがよかったなあとは思っているんですが、台風も大型化しているというふうな状況です。
このように誰もが被害に遭うという中で、今回は避難所の在り方について質問したいと思います。
日本でいう避難所は、体育館などの床に段ボールやマットを敷いて毛布で寝ている大勢の被災者の姿が想像されます。このような避難所の姿は、欧米先進国ではあり得ない様子であると、新潟大学大学院の特任教授の榛沢和彦氏が指摘しています。
榛沢教授は、2004年の中越地震のときに車中泊をしている方が大勢亡くなられ、その原因がエコノミー症候群ではないかと推測し、調査を始めたと話されています。
エコノミー症候群とは、窮屈な姿勢で長時間いると血の流れが悪くなり、血管の中に血の塊ができる病気です。血の塊が剥がれ、血管の中を流れ、肺に詰まると肺塞栓などを誘発すると言われています。血栓は足にできた段階で治療すればいいのですが、放置した場合、肺、脳、心臓への血栓のリスクを高めることになる怖い病気です。
榛沢教授は、その後も避難所を調査され、避難所でたくさんの血栓のある方を発見し、「避難所の環境が影響していると確信した」とおっしゃっています。
岩手・宮城内陸地震の際に、人がいっぱいで雑魚寝をしている避難所と、広々として日常に近い生活をしている避難所を比べたそうです。「日常に近い生活をしている避難所の方に血栓は見つからなかった」と話されています。
長期の避難になった場合、せっかく助かった命を雑魚寝状態の避難所の中でなくすことになっては、何のための避難であったのかと問われることになります。
また、避難所には体育館などが利用されるけれども、環境が変わることで過度なストレス、エコノミー症候群の発症、健康2次被害の問題等が取り沙汰され、経験された人からは、「苛酷で劣悪な環境である」と言われています。
1998年、人道憲章と人道対応に関する最低基準、通称・スフィア基準が設けられています。人道憲章、権利保護の原則、コア基準、この三つの共通の土台と、生命保護のための必要不可欠な四つの要素が示されています。1は、給水です。2は、食糧の確保と栄養。3は、シェルター、居留地、非食糧物資。4が、保健活動。これらの各分野における最低基準を定めています。例えば1人当たりの居住空間は最低3.5平方メートル、トイレは20人に1基、男性1対女性3の割合で設置するなどであります。災害に遭われた方々にストレスなく快適に過ごしてもらうための世界基準と言われています。
コロナ禍の避難ということになれば、3密を避けなければならない状況で、なおさらこれまでの避難所の環境を考え直さなければならないと考えます。
毎日新聞の調べによると、新型コロナの感染拡大を受けて地域防災計画を修正したと回答した自治体が9自治体であるとのことです。
県としても、新型コロナに限らず、集団感染に備えた防災計画の見直しを検討しているとお聞きしています。世界基準と言われているスフィア基準も参考に見直しを行っていただきたいと要望します。
近年、避難所の中に段ボールベッドを設置する市町村が増えてきています。コロナ禍では、パーティションも用意されている避難所も増えてきました。しかし、被災した方全員に段ボール製簡易ベッドが用意されているのでしょうか。プライバシー保護のためのパーティションや女性のための授乳室や更衣室も必要だと思います。
県は、要請があれば、協定している段ボール会社に発注し、市町村に配布するというスタンスと聞いていますが、それでは時間を要するのではないでしょうか。やはり避難所ごとに標準化した数の備蓄が必要かと思います。
どの場所でも被災された方全員に段ボールベッドやパーティションの迅速な配布ができるよう対応していただきたいと思いますが、どのように進められておられるのか、お聞きします。
コロナ禍をきっかけに、苛酷な避難所を改善する必要があると痛烈に感じています。ソフィア基準を参考に、まず避難所の1人当たりの面積の問題を改善する必要があると思います。また、コロナ禍後の避難所は空間を必要とするため、避難できる人数に限りがあると思いますが、今の避難所だけでは避難できない被災者も出てくると思います。県としてどのような対応を検討しているのか、お聞きします。
〇議長(岸本 健君) 危機管理監森田康友君。
〔森田康友君、登壇〕
〇危機管理監(森田康友君) 避難所の住環境を含めた運営方法につきましては、過去の災害等の教訓や経験を踏まえ、市町村避難所運営マニュアル作成モデルをその都度改定し、市町村に対して助言を行ってきたところです。
具体的には、避難所を開設した際の資機材として、簡易ベッド、段ボールベッドやマット等のほか、プライバシー確保や女性への配慮として専用スペースを設けるための室内テントやパーティションなども加え、その整備を促し、わかやま防災力パワーアップ補助金により財政支援も行ってきたところです。
特に、パーティションについては、今般の新型コロナウイルス感染症を踏まえ、飛沫感染防止のための間仕切りとして緊急に全市町村に整備するため、県において一括で調達し、配布しているところです。
また、避難所における1人当たりの区画面積については、議員から御紹介のありましたスフィア基準では3.5平方メートルとなっていますが、県でも従来の市町村避難所運営マニュアル作成モデルにおいて、ほぼ同等の1人当たり3平方メートル、要配慮者にあっては1人当たり4平方メートルを確保するように求めているところでございます。
避難所に避難できる人数については、この1人当たりの区画面積と避難所の広さを勘案して判断することになりますが、今回の新型コロナウイルス感染症の発生を受け、感染症予防のため、世帯間で2メートルの間隔を設けるよう避難所内の配置基準を見直ししたため、収容人数が減ることになります。その対策として、できるだけ多くの避難所の開設や新規の避難所の指定、さらにはホテルや旅館等を活用するなど、収容人数を増やす取組を市町村に働きかけています。
今後も、より良好な生活環境が確保された避難所運営となるよう、市町村とともに取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
〇藤本眞利子君 避難所の住環境も、このコロナ禍で見直しを進めているとお聞きしました。
発災して避難所に避難した際に、迅速にパーティションや段ボールベッド等が用意できるような準備が重要だというふうに思ってまして、市町村や関係団体との連携を基に、各地域の避難訓練等でも日頃より訓練していく必要があるなあと、組立て方もはじめ、そういうことも必要であると思っていますので、発災後の混乱した中での避難所の環境整備についても、備蓄もなるべくたくさんしていただけるように、できるだけ迅速に整えていけるような、そんな取組を要望したいというふうに思います。よろしくお願いします。
次に、避難所での食事についてお聞きしたいと思います。
私たちは、テレビ等で避難された方がパンとかおにぎりとかをもらっている姿やお弁当を頂いて食べている姿を見ています。避難所ではそれが当たり前かと思っていました。しかし、欧米では、避難所では食事を作ることが必須となっているとお聞きしました。というのも、食事は調理してすぐ食べるのが安全でおいしいからだということです。これはごく当たり前のことですが、日本では栄養学的に、飢餓にならないために炭水化物だけあればよいと考えられているようです。
イタリアの避難所の様子に詳しい先ほどの榛沢教授は、「欧米の避難所では、食事の重要性は単に栄養摂取というだけではなく、心理的な効果も考慮されている」と話されています。
被災して疲れ切った人たちが、温かい、おいしい食事を取れば、きっとほっとして、励まされるでしょう。逆に、冷たい味気ない食事を毎日提供されたら、きっと惨めな気持ちになるでしょう。
欧米は、徹底的に人間中心、ヒューマニズムのある避難所運営をしていると言われています。片や日本では、管理が中心となり、人間らしい食事を提供するといった視点が欠けていると言わざるを得ません。緊急のことだから仕方がないという考え方を変えていかなければならないと思います。
地域の避難訓練の際には、よく非常食が配布されることがあります。日本の被災したときの食事を非常食でということが一般的になっており、被災したときも温かい食事をという発想ができていないと思います。被災した直後は仕方ないとしても、長期にわたる避難所での食事は、そういうわけにはいきません。
イタリアのことを言うんですが、災害があり、避難所が開設されたときは、キッチンカーが即座に被災地に駆けつけるようになっているということです。しかも、食事を作るのは専門職ボランティアで、発災した直後から温かい食事が提供されると聞いています。片や日本では、炊き出しについても避難所の中から人員を確保するとあります。これからの生活をどうしようと不安な中で、避難している方々が毎日の食事を担当しなければならないとしたら、その心労は計り知れません。
まず、避難所での食事についてどのように考えているのか。また、食事の提供についてどのような取組を進められているのか、お伺いします。
避難所に必要な食材や物資、人材の提供には、県は多くの事業者や団体と協定を結んでいるとお聞きしています。迅速な提供が必須と思うのですが、どれくらいの事業者や団体とどのような協定を結ばれているのか、お聞きします。
〇議長(岸本 健君) 危機管理監。
〔森田康友君、登壇〕
〇危機管理監(森田康友君) 避難所における食事については、発災直後3日間は、県、市町村、県民の3者が備蓄している食糧により賄うことを基本方針とし、県、市町村で備蓄に取り組むとともに、県民の皆さんにも周知しているところでございます。それ以上、避難所生活が長期化する場合には、県や市町村が食品関係企業等と締結している協定等に基づき、お弁当などが提供されることとなります。
これらに加え、炊き出しによる温かい食事が提供されることは、多様な食事の提供に資するということや、さらには避難者の精神疲労を癒やすという意味からも有意義であるため、市町村避難所運営マニュアル作成モデルにおいて、炊き出し等の食事の支援体制の整備を市町村に促し、必要な調理器具等の整備については、わかやま防災力パワーアップ補助金で支援を行っているところでございます。
多くの市町村では、炊き出しに係る調理器具について整備を進めており、必要となる食材については地元スーパー等との協定等により調達し、調理を行う人材については避難所運営スタッフや自主防災組織等の地域の住民の方々のほか、ボランティアの方々にお願いすることとしています。
県では、現在、食事や食材の提供をはじめ、災害時に様々な分野で支援いただける関係団体等との協定を237団体と締結しているところでございますが、今後は、調理を行う人材やキッチンカーの派遣など、さらなる協定の充実を図りたいと考えているところです。
今後も、市町村及び関係団体等と連携を図り、避難者へのよりよい食事提供が円滑に行えるよう取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
〇藤本眞利子君 237団体と協定を結ばれているということですよね。そこで、今後は食材の調達とか調理を行う人材についてもさらに協定を充実させたいということですので、できれば、そういうふうに調理を担っていただける方なんかを事前に名前まで分かるぐらいになっておくと、確実にそういった方がボランティアとして入っていただけるんじゃないかなというふうに思っておりますので、迅速に早く避難所に駆けつけていただけるような、そんな体制をもよろしくお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。
犬・猫殺処分ゼロの実現に向けての取組についてお伺いしたいと思います。
このことは大変皆さん、興味があるようでして、この質問をするというと、いろいろと御意見をいただいたりもしてきたんですが、そのことについてお聞きしたいと思います。
近年は、大変なペットブームでして、ペットの数が子供の数より多いと言われているようになりました。ペットを我が子のようにかわいがる人も多くて、子供の話をしてるんかなあと思ったらペットの話ということがよくあります。
我が家にも盲導犬協会から譲渡していただいたラブラドールを飼っているんですが、本当にかわいくて、彼が来たおかげでうちの夫婦の会話も増えたというふうな、そんなことがありまして、よかったなあと思っているんですが、でも結構お金がかかりまして、餌代や予防接種とか、病院代もばかになりませんし、ペットに係る産業というのは今後も右肩上がりで、だあっと上がっていくんだなというふうに思っています。
それで、五月晴れのすごい天気のいい日に、ドライブがてら紀美野町にある動物愛護センターのほうにお邪魔いたしまして、様子を伺ってきました。
動物愛護センターは、平成12年に、動物愛護、適正飼養の普及啓発を行う拠点として、人と動物が共生する潤いのある社会づくりを目指して設置されました。譲渡事業、動物愛護教室、体験教室、イベント事業、小学校における動物愛護教室の開催、調査研究等、様々な仕事をしていただいています。職員の皆さんは本当に動物が好きで仕事をされているんだなあと思います。
しかし、残念ながら、令和元年の犬や猫の収容合計は2158匹、返還譲渡数は941匹、殺処分と自然死を合わせて1635匹となっています。そのうち、殺処分の件数は815件ですが、680件が猫で占められているという状況です。
愛護センターの獣医師さんは、動物を救いたいと思って獣医になったのにと、殺処分をしなければならない現状を嘆いていると聞きました。
犬や猫の保護活動を一生懸命されている知り合いの方がおりまして、ここは動物愛護センターかと思うぐらいたくさんの犬や猫を保護する活動をされています。飼い主が高齢になり認知症のため、犬の面倒を見られなくなり、家中が何十匹もの犬で大変な状況になっているといった相談もあるようで、もう家中汚れて、ふんまみれになった犬を全て引き取って、汚れを落とし、きれいにした後、譲渡会を開き、飼い主を見つける活動というふうなこともされている方です。本当に頭が下がる思いです。
飼い主が高齢になって世話ができなくなるなどの事例も増えてきており、ペットにとっても受難の社会だと思います。
先ほど御紹介したように、動物が好きで、1匹でも殺処分を減らしたいというボランティアをしていただいてる方や団体はたくさんいらっしゃいます。子猫にミルクを与えるミルクボランティア、譲渡会を開催して保護犬を譲渡する活動をされているボランティア、一時預かりをしていただいてるボランティアに熱心に取り組んでいただいていると聞いています。
このように熱心に取り組んでいただいている方々は別として、一般的に、不幸な猫をなくすプロジェクトはなかなか周知されておらず、いまだ野良猫に餌をやり続け、その結果、子猫がどんどん殖えている状況もあります。また、自治会の理解が得られず、取組が難しい例や、手続の書類が煩雑で住民の同意が得られないなど、事業を進めていく上で課題がたくさんあるように聞いています。
そこで、環境生活部長にお伺いします。
平成28年に動物の愛護及び管理に関する条例を改正し、不幸な猫をなくすプロジェクトを開始されていますが、地域猫対策の現状はどうなっているか、お伺いします。
〇議長(岸本 健君) 環境生活部長田中一寿君。
〔田中一寿君、登壇〕
〇環境生活部長(田中一寿君) 野良猫への無秩序な餌やり等による地域の生活環境への被害防止や、保健所に持ち込まれ殺処分される猫を救うため、野良猫を排除するのではなく、不妊去勢手術を行い、それ以上殖えないようにして地域で管理をしていく地域猫対策が最も有効な方法であると考え、動物の愛護及び管理に関する条例を改正し、野良猫に不妊去勢手術を行うための費用を全額助成することなどを盛り込んだ不幸な猫をなくすプロジェクトを平成28年度に立ち上げ、地域猫対策を推進してきました。
これまで、広報紙や動物愛護フェスティバル等において、県民に広く地域猫対策を周知するとともに、保健所の職員が、市町村職員や県が委嘱する動物愛護推進員と連携しながら、野良猫による生活環境被害が発生している地域に出向き、住民や自治会に地域猫対策の必要性とその効果を粘り強く説明して、取組を促してきたところです。
さらに、最近では、地域猫対策に取り組んでこられた方々が、問題が発生している地域を自発的にサポートしてくださるなど、活動の輪も広がっています。
こうした取組の結果、地域猫対策は全県的に浸透し、現在、492の地域で延べ1206名の方々によって3823匹の野良猫が地域猫として管理され、猫に関する苦情や相談件数は、プロジェクト開始前の平成27年度の1725件から1203件に、また、保健所に持ち込まれる所有者不明の猫も2579匹から1786匹にと、それぞれ約3割減り、着実にその成果を上げています。
〇議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
〇藤本眞利子君 次に、県の動物愛護管理推進計画における令和3年度における犬・猫の殺処分ゼロという数値目標を掲げていますが、その達成に向けて、今後どのような取組を考えているのか、お聞きします。
〇議長(岸本 健君) 環境生活部長。
〔田中一寿君、登壇〕
〇環境生活部長(田中一寿君) 大変失礼いたしました。先ほどの答弁の中で、苦情や相談件数について、プロジェクト開始前の平成27年度の件数を1725件と申し上げましたけども、1752件の誤りでございました。失礼しました。
それでは、犬・猫の殺処分のゼロを目指した今後の取組についてお答えいたします。
殺処分数を減らすためには、地域猫対策により保健所に持ち込まれる猫の数を減らすことに加え、保健所がやむなく引き取らざるを得なかった犬・猫を可能な限り新たな飼い主に譲渡していくことが重要です。そのため、議員御質問のとおり、生後間もない子犬や子猫への授乳やしつけを行ったり、新たな飼い主を探してくれる譲渡ボランティアの登録制度を設け、その活動を支援しています。現在、譲渡ボランティアは257名を数え、この方々の協力で、昨年度は犬97頭、猫295匹を譲渡することができました。
これらの取組の結果、プロジェクト開始前の平成27年度には2750匹の犬・猫を殺処分していましたが、令和元年度には1100匹以上減って1635匹になりました。
引き続き、殺処分数を減らすため、より多くの方々に協力していただけるように、現在、地域猫対策を行っていただいている方々だけではなく、地域で様々な活動をされている方々にも働きかけるなど、譲渡ボランティアのさらなる登録と活動への支援を行ってまいります。
さらに、地域猫対策に興味のある方々に向け、セミナーを各地で開催し、地域猫対策の一層の浸透を図るとともに、飼い方講習会やイベント等において広くペットの適正飼養と終生飼養の普及を図ることにより、令和3年度末の犬・猫の殺処分ゼロを目指してまいります。
〇議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
〇藤本眞利子君 不幸な猫をなくすプロジェクトってね、なかなかの名前が、ネーミングですが、開始されて4年が経過しようとしています。成果も上がっているとのことです。ただ、継続していかなければ、すぐに元の木阿弥になるというふうに言われておりまして、新しいまた新たな猫が加わったりして、そんなふうに言われています。
個人で続けるのはなかなか難しいことも多いし、自治会等で地域ぐるみで取り組むことが一番効果があるというふうに、ちょっとある方にアドバイスいただいたんですが、セミナー等を開催されているのをきめ細かく、やっぱり自治会の住民の皆さんに届くように、興味のない方にも届くようなやり方をしていかないと、興味のある方がセミナーに来るというのではなくて、地域に住んでる人たちにそのことを伝えていけるような取組が必要なんかなあというふうに思っておりますので、啓発と周知ですよね、にも力を入れていただいて、1人でも多くの方に御協力をいただけるように力を尽くしていただけるようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
これで一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
29番中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕(拍手)
〇中西 徹君 皆さん、おはようございます。
それでは、議長の許可を得ましたので、一般質問を始めさせていただきます。
新型コロナウイルス感染症は、2020年9月15日現在、全世界での感染者数は約2908万人に上り、亡くなられた方は約92万人となっています。日本国内でも、9月14日時点で確認された累計感染者数は7万6036人に上り、1454名の方が亡くなられています。和歌山県においても、9月14日時点で確認された累計感染者数は236人に上り、4名の方が亡くなられています。お亡くなりになられた方々に対して謹んで御冥福をお祈りいたします。
また、昼夜を通して対応に当たられている医療従事者の皆様方、知事をはじめ対策に当たられている職員の皆様方、関係各位に心から感謝を申し上げます。
それでは、大項目1、新型コロナウイルス感染症対策について質問させていただきます。
新型コロナウイルス感染症の影響は、全国的に様々な業種に影響を与えています。観光客の減少により廃業を余儀なくされた場合や、感染拡大を防ぐために休業するところもあり、また、突然解雇を言い渡される人も増え、収入減や失業で生活に困窮する人が増加する中、公的支援を頼る人も増えています。
厚生労働省が全国のハローワークなどを通じて把握した新型コロナウイルスの影響による解雇や雇い止めは、8月末時点で5万326人と集計されていますが、同省が把握できるのは一部にとどまり、実際の数はさらに多いと思われます。
業種別で見ると、7月末時点では、訪日客の減少により、これまでトップであった宿泊業の順位が下がり、代わりに需要減に伴う雇用情勢の悪化が進む製造業における解雇や雇い止めが一番多くなっています。
新型コロナウイルスの影響による収入減や失業で生活に困窮する人が増加する中、生活困窮者自立支援制度を活用する方が増加しています。
生活困窮者自立支援制度は、平成27年4月に法律が施行され、生活に困窮し、現在は生活保護を受給していないが、生活保護を受ける状況に追い込まれている人を自立した生活が送れるように、福祉事務所を設置する自治体、県や市が実施主体となって支援する制度です。
支援内容は、必須事業と任意事業があり、自立相談支援事業と住宅確保給付金の支給は必須事業ですが、それ以外の事業、就労準備支援、一時生活支援、家計相談支援、生活困窮世帯の子供の学習支援は任意事業になっており、各地域で実施状況が異なります。
令和2年3月3日、厚生労働省生活困窮者自立支援室より、都道府県、指定都市、中核市の生活困窮者自立支援制度主管部局宛てに、新型コロナウイルスに関連した生活困窮者自立支援制度の活用についての事務連絡も出されています。
その内容は、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う全国的な学校の一斉休校や、事業所の一時休業等により就労環境が悪化し、生活が困窮する方々に対しては、家計や仕事、生活上の困り事など、従来よりさらにきめ細やかな支援が求められる状況に対して、積極的に生活困窮者自立支援制度を活用して対応をというものであります。
コロナ禍前の生活困窮者自立支援制度の任意事業の実施状況を調べてみた結果では、令和元年度の状況は、就労準備支援事業は全国平均54%に対し和歌山県は60%、家計相談支援事業は全国平均53%に対し和歌山県は30%、一時生活支援事業では全国平均32%に対し和歌山県は30%、子供の学習支援事業は全国平均62%に対して和歌山県は10%と全国で一番低い数値となっています。4事業実施割合平均も、全国50.3%に対し32.5%と低くなっています。今回のコロナ禍においては、制度に対するニーズは非常に高いものと考えます。
質問ですが、今回のコロナ禍で、生活困窮者自立支援制度の活用状況はどうなっていますか。また、和歌山県として、今後、生活困窮者自立支援制度の任意事業の活用をどのように考えていくのか、福祉保健部長にお伺いします。
以上で、登壇での質問を終わります。
〇議長(岸本 健君) ただいまの中西徹君の質問に対する答弁を求めます。
福祉保健部長宮本浩之君。
〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 生活困窮者自立支援制度については、福祉事務所それぞれが実施する制度となっており、県の福祉事務所では、自立支援相談員を設置し、生活困窮者から様々な相談を受け、個々の状況に応じて、就労支援、家計に関する助言などの相談支援を行っているところであり、今年度については、新型コロナウイルス感染症に起因する相談が増えている状況となっています。
今回の新型コロナウイルス感染症への対策については、休業等に伴う収入減少により住居を失うおそれのある世帯に対しては、家賃相当額を給付する住居確保給付金事業で、8月末までに6048万円の給付を、当面の生活費が必要となった世帯に対しては、一時的な資金を貸し付ける生活福祉資金貸付制度で、8月末までに31億7930万円の貸付けを行っております。
また、さらに生活困窮の状況が続く世帯については、自立支援相談員が相談支援を行い、貸付けを延長するとともに、一時的な居住の場を提供する一時生活支援事業や、専門的な観点から家計に関して的確な助言を行う家計改善支援事業、直ちに就労が困難な方への就労準備支援事業を実施しており、子供に対する学習支援についても関係機関と連携して取り組んでいるところです。
今後も、新型コロナウイルス感染症による生活の影響が長期化することも見据え、生活困窮者に様々な観点から積極的に関わりを持って、きめ細やかな支援を行うため、本制度の全県的な広がりを目指し、各市の福祉事務所に対しても制度の積極的な活用を助言してまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
〇中西 徹君 答弁ありがとうございます。
コロナ禍において、補正予算も組み、対応していただいています。生活困窮者自立支援制度の全県的な広がりを目指し、各市の福祉事務所に対しても制度の積極的な活用の助言をよろしくお願いします。
次に、生活困窮者に対する支援体制に関する対策についてお伺いします。
生活困窮者に対する支援については、関係者間での会議体が法定化されていないことから、情報共有が進まず、深刻な困窮状態を見過ごしてしまったり、予防的な措置を取ることが困難であったりすることなどが問題視されてきました。
このため、平成30年、生活困窮者自立支援法を改正し、福祉事務所を設置する自治体は支援会議を組織し、会議体の構成員に対して守秘義務をかけることによって、支援関係者間の積極的な情報交換や連携が可能となる仕組みを創設しています。
私としては、課題解決に向け、特に生活困窮者の早期把握を行うことが重要であると考えていますが、和歌山県における生活困窮者に対する支援体制はどのような対策を講じられているのか、福祉保健部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 議員御指摘のとおり、平成30年の生活困窮者自立支援法の改正により、守秘義務を課すことを条件に、一定の要件の下で個人情報を共有することが可能となったことから、生活困窮者はもとより、ひきこもりやニートなどといった様々な課題を複合的に抱え、地域や社会から孤立する世帯を早期の支援につなげるため、県の福祉事務所が管内の町村、社会福祉協議会などの支援機関と連携を進める体制を整えてきたところです。
今後、民生委員、児童委員等の協力を得て、さらなる地域住民の埋もれた課題の把握に努め、課題の総合的な対策に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
〇中西 徹君 答弁ありがとうございます。
法改正によって、守秘義務を課すことにより、本人の同意なしで、関係機関で個々の困窮が疑われるようなケースの情報共有が可能となります。支援会議を組織することにより、早いめの対策が打てることで、地域から孤立している割合が多い生活困窮者の早期把握ができると考えます。今のコロナ禍において生活困窮者が増えないよう、国も県も様々な支援メニューを出して対応していただいております。
ただ、コロナ禍前の厚生労働省から出ている生活困窮者自立支援法の令和元年の集計結果では、数字だけを見ると、和歌山県が任意事業で、特に子どもの学習・生活支援事業の実施割合で後れを取っているように見え、このことによる対応への遅れがないか危惧しました。コロナ禍で特に気になるところですが、ただ、それに関して子供学習支援事業については、実際は子ども未来課も教育委員会も連携して取り組まれていることと聞きました。ただ、厚生労働省の数字には上がってきていないというのが現状です。これから行う支援体制の中で生活困窮者自立支援制度をうまく生かしていただき、また、各市の福祉事務所に対しても制度の活用を勧めていただき、伴走支援型で取り組んでいただきたいと思います。
ひきこもりやニート、不登校などの若い世代の生活困窮者も増えています。また、県内の2019年度に寄せられた虐待相談は4年連続で増加しており、DV、身体的虐待、ネグレクトが多くなっています。この問題と生活困窮者問題との関係性は私はないとは思えませんので、支援会議の中で情報共有しながら早期把握に努めていただければと思います。
次に、インフルエンザ予防接種費用の補助についてお伺いします。
この問題に関しては、昨日の一般質問で、多田議員、また岩田議員が、体制強化に向け、取り上げられました。
これから秋から冬にかけて第3波が予想される新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行という未曽有の事態に備え、全国的に都道府県または市町村が、高齢者の重症化を防ぎ、医療供給体制の逼迫を防ぐことを目的として、インフルエンザ予防接種費用の補助を拡大する動きが広がっています。
流行が重なった場合、症状の区別がつきにくく、医療機関の負担がさらに増大すると予想されます。
県内においても、インフルエンザの全額補助や一部補助をするために、この9月議会補正予算案に事業費を計上している市町村もあります。県外では、都道府県が65歳以上の重症リスクの高い高齢者に対し、予防接種の全額負担補助や一部補助を実行されています。
これから冬にかけて同時流行という未曽有の事態に備え、和歌山県においてもインフルエンザ予防接種に対する補助など、県を挙げて取組を行っていくべきだとは考えますが、県としての考えを福祉保健部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 季節性インフルエンザの流行期には、例年、多数の発熱患者が発生し、今年度も同程度の患者が発生することが想定されますが、県においては、インフルエンザによる重症化を予防するため、市町村とともに予防接種の勧奨を行っていきたいと考えています。
一方、予防接種法においては、伝染のおそれがある疾病の発生及び蔓延を防止するため、市町村が実施主体となり、公衆衛生上の見地から予防接種を定期的に実施することとしており、接種が必要な疾病や接種対象者を規定しています。
また、定期接種に要する費用は市町村負担と規定され、一部は地方交付税で手当てされるほか、接種者からの実費徴収も可能とする制度とされていることから考えても、県が対象者全ての費用を負担することは現時点では困難であると考えています。
今年度は、秋から冬にかけて新型コロナウイルス感染症の流行が懸念される中、季節性インフルエンザワクチンの需要がより一層高まることが予想されており、国においては、予防接種法に基づく定期接種対象者である65歳以上の高齢者及び60歳から65歳未満の基礎疾患のある方から優先に接種できるよう、接種時期についての協力を呼びかけているところです。
県としては、季節性インフルエンザの重症化を未然に防ぐことが医療機関の負担軽減につながることから、高齢者など特に重症化リスクが高い方にワクチンを確実に接種できるよう、市町村や医療機関に対し強く働きかけてまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
〇中西 徹君 答弁ありがとうございます。
富山県では、生後6か月から小学校6年生までの子供を対象に、また、大阪府や神奈川県では、重症化するリスクの高い高齢者に対し、費用の助成を行っています。府や県が負担に取り組むことで、市町村がそれに呼応し、支援の拡大に乗り出す動きにつながっています。和歌山県においても一部助成を考えていただくことを、これは要望とさせていただきます。よろしくお願いします。
次に、新型コロナウイルス感染症に関連した人権への配慮についてお伺いします。
誰が、いつ感染するか分からない中で、残念ですが、全国的に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、感染へのおそれや不安などから、感染者やその家族に対する誹謗中傷、インターネット上での悪質な書き込み等が行われています。
また、医療機関や介護施設、物流・交通事業、小売業等で働いておられる、私たちの命を守り、暮らしを支えてくださっている方々とそれぞれの御家族、県外から来られた方などへの差別的言動も発生しております。
このような、人権を侵害し、仕事や暮らしを脅かす行為は決して許されるものではありません。不確かな情報や根拠のないうわさ等に惑わされることなく、県や国等の公的機関が提供する正しい情報に基づき、人権に配慮した冷静な行動を取っていただきたいと思いますが、和歌山県として、感染者に対するデマ、誹謗中傷への対策はどのようにされているのか、福祉保健部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 感染者やその御家族及び医療従事者など、治療、対策に携わった方々、さらには県外からの来訪者等に対し、SNS等において心ない誹謗中傷やデマの拡散、個人情報の詮索など、人権が脅かされる事例が見受けられています。
県庁に設置する新型コロナウイルス感染症相談ダイヤルにおいても、一定数の人権に関する相談が寄せられているところであり、県が開設するツイッター上に感染者の個人情報に関する書き込みがあるとの連絡を受け、県から管理会社に記載事項の削除を依頼する事案も発生したところです。
多くの方が新型コロナウイルス感染症に対し不安を感じることは理解できますが、いかなる場合であっても、差別やいじめ等は決して許されるものではありません。誰もが感染する可能性があることを理解し、不確かな情報に惑わされることなく、正しい情報に基づいた冷静な判断の下、一人一人がお互いを思いやる気持ちを持って行動することが求められます。
県では、定例記者会見などの場において、知事が直接、新聞やテレビ等メディアを通じ、広く県民に訴えかけを行うとともに、県民の皆様へのお願いとして、感染予防に加え、人権への配慮についての理解を求めているところです。さらに、動画サイトでのメッセージ配信やホームページ、広報紙への掲載、各市町村や関係機関等への啓発ポスターの配布など、様々な機会を捉えて人権への配慮に関する啓発を行っているところであり、引き続き、感染症に対する正しい認識の普及に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
〇中西 徹君 感染者に対するデマや誹謗中傷は絶対にあってはならないことだと考えるので、しっかりと対策に取り組んでいただきたいと思います。
次に、大項目2、ICT教育についてお伺いします。
令和2年6月9日、文部科学省より、「ICTの積極的な活用による『学びの保障』について」という資料が出ております。新型コロナウイルス禍が長期にわたることが予想される中、感染症対策と子供たちの健やかな学びの保障の両立を目指し、GIGAスクール構想の早期の実現等、ICTの環境整備による活用の推進がうたわれています。
GIGAスクール構想では、1人1台端末の早期実現や家庭でもつながる通信機器の整備など、ハード・ソフト人材を一体とした整備を加速することで、災害や感染症の発生等による学校の臨時休業等の緊急時においても、全ての子供たちの学びを保障できる環境を早急に実現することが可能となる取組であり、全体として4610億円の予算が組まれ、進捗状況については、9月11日の文部科学省の発表では、8月末までに端末の納品が済んだところは1811自治体のうち37自治体で、2%にとどまっていると発表されています。
メーカーの供給が追いついていない部分もある中で、和歌山県は年度末までには全ての市町村で配備が完了すると聞いています。
Society5.0時代を生きる子供たちにとって、ICTスキルを身につけることは重要であります。
今回のコロナ禍において、2月末から約3か月間、学校が休業となりました。私も、中学校3年生と中学校1年生の子供を持つ親なので──今は一つずつ学年が上がってますが──子供たちの授業の遅れも気になりながら、特にこの時期は中学校3年生の高校受験のことを心配しました。新学期になっても休業要請は解除されず、一部では9月入学の議論もなされています。私個人的には、9月入学については早く進めたほうがいいという思いですが、まず、今の状況で授業が受けられない子供たちのためにどうすればよいのか、そのときは考えていました。
そんな中で、オンラインの授業をすぐに取り入れた学習塾の話なども耳に入り、また、諸外国では、ふだんから学校でも家庭でも学習にICTを使うのが当たり前で、パソコンやタブレット端末は文房具の一つのような考えで、問題なくすぐにオンライン授業に切り替えられたと聞いており、日本のICT教育への取組の遅さを痛感したところです。
ただ、全国的にも、すぐにオンライン授業に対応できた市町村もあると聞き、また、和歌山県内の一部の県立高校、県立中学校、私立中・高においてもオンライン授業ができたところもあると聞いております。
和歌山県教育委員会においては、児童生徒にコンピューターをさらに効果的に使いこなす力や論理的思考力を養うプログラミング教育であるきのくにICT教育を全国に先駆け実施しています。
今回の新型コロナウイルス感染症の拡大で、教育のICT化への関心が急速に高まりました。オンライン授業のよさを多くの人が今回のコロナ禍で実感したということも聞いています。このオンライン授業については、6月議会に玄素議員も質問されています。
新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波に備え、とりわけ義務教育機関である小中学校においてオンライン授業を充実させるべきと考えますが、教育長の見解をお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 小中学校の休業に備えたオンライン学習の充実ということでございます。
オンライン授業は、今回のような長期の臨時休業時においても学びを保障できる有効な手段であり、県教育委員会としては強く進めてまいります。
市町村教育委員会では、それぞれのICT教育の整備状況に応じてオンライン学習の準備を行っています。その一例として、双方向のオンライン授業に慣れるため、各教室を児童生徒の自宅とみなしてテレビ会議システムでつなぎ、双方向授業の習熟に取り組んでいます。10月には全ての小中学校でオンライン授業の準備が整うと考えています。
今後も、オンライン授業が充実できるよう、市町村教育委員会を積極的に支援してまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
〇中西 徹君 答弁ありがとうございます。
オンライン学習において生徒の習熟度を高めるには、教師と生徒、また保護者が双方で日常的に連絡応答や情報共有など、コミュニケーションを取れる体制づくりが重要であると考えます。10月には全ての市町村でオンライン授業の準備が整うと答弁いただきました。ただ、現場ではまだまだ準備することが多く、双方向の段階にはまだまだ至っていないようです。
今後において、市町村に対し積極的な支援を行い、オンライン授業の充実を図っていただけるようお願いいたします。
次に、大項目3、少子化に伴う中学校部活動の在り方についてお伺いします。
昨年夏に行われました第46回全日本中学校陸上競技選手権大会の女子400メートルリレーで、県立桐蔭中学校が47秒04の日本中学新記録で優勝しました。これまでの日本中学記録を0.26秒短縮し、10年ぶりに記録を更新する快挙となりました。桐蔭中学校の生徒の皆さん、指導いただいた先生方に敬意を表し、県民の1人として素直に喜びたいと思います。
このようにすばらしい記録を残すまでに至らなくても、中学校時代、仲間とともに部活動で汗を流し、支え合い、切磋琢磨しながら活動を続けることは、子供たちにとって何物にも代え難い貴重な経験となりますし、そのことが将来の心の糧になり得ることもあります。
一方で、少子化による中学校生徒数の減少により、部活動、特に団体競技を単独校で行う部活動の運営は大変厳しく、小規模校では部活数そのものを減少させることはもちろん、実施競技も団体競技から個人競技へと移り変わっているという現状があると聞いています。
また、複数の学校でチームを編成して練習したり、大会に参加したりすることも承知しております。
部活動は、中学校学習指導要領・総則において、「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」と規定されており、また、総則の解説には、「部活動は、教育課程において学習したことなども踏まえ、自らの適性や興味・関心等をより深く追求していく機会である」と示されていることから、本来は、生徒が望む部活動を設置し、生徒自身が自主的、主体的に取り組むことが重要ではないかと私は考えています。
しかしながら、生徒が望む部活動を全て設置するということなどは到底困難なことですし、先ほど私が述べたように、時代の変化とともに、部活動の在り方そのものに様々な課題が生じていると感じています。
団体競技においては、単独1校でチームが組めない場合、複数校で合同チームを組んで練習したり大会に参加したりすることがあります。この制度そのものはよいと思いますが、仮に夏の大会で合同チームを組んだとして、秋の新人戦になると、部員数が変動するので、夏とは違う学校と合同チームを組まなければならないなど、相手校がその都度変わってしまうということがあります。生徒が少ないことや指導者不足による影響であると考えられますが、これから先、特にこういうことが起こってくると考えます。
少子化に伴う中学校部活動の運営が難しくなってきている中、生徒の多様な興味関心に応えることができる部活動について、県教育委員会はどのような方針で臨まれようとしているのか、教育長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 少子化に伴う中学校部活動の運営についてでございますが、県教育委員会では、各学校における部活動を含めた多様な活動が実施できるよう、中学校の適正規模を示し、積極的に検討すべきとしています。
また、生徒のニーズを踏まえた活動機会が確保されるよう、通学区域の弾力的運用や近隣校との合同部活動等についても、中学校部活動等の指針に示しています。
こうした中、単一の学校で部活動をはじめ多様な教育活動が実現できるよう、中学校の統廃合を計画し、進めようとしている市町村もあります。
このような動向に加えて、県教育委員会といたしましては、当該競技の専門性を持つ部活動指導員を配置することで、技術の向上等、生徒のニーズに応じた専門的な指導を可能とするなど、部活動の充実に向け、支援をしてまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
〇中西 徹君 少子化が進む中で、中学校の卒業生徒数の推移を見ても、平成元年では1万8014人だった数が平成31年では8607人まで激減しており、さらに令和16年の予想では5974人まで減少するとされています。
答弁でもありました部活動指針の中において、生徒数の多様なニーズ等を踏まえ、部の再編や合同部活動の積極的な運用を図ると書かれていますが、生徒数の極端な減少による影響と、和歌山県中学校体育連盟複数校合同チーム参加規程があります。その参加規程の条件などで、毎年合同チーム編成を見直ししなければならないような結構複雑な仕組みとなっております。大会参加条件の緩和などがこれから行わなければ、私は今のままでは限界もあるのではと考えます。
この状況を考えると、部活動を学校単位から地域単位にするような取組も考えていかなければならないと思います。また、この問題は、県教育委員会が示している中学校の適正規模化の指針だけではなく、生徒数の減少による中学校の統廃合とも関連してくることから、各市町村との連携も強化していただき、必要な支援を取れるよう検討をよろしくお願いします。
次に、国の部活動改革方針への対応についてお伺いします。
9月1日、文部科学省は、長時間労働による教員の負担を減らすため、休日の部活動については運営を民間に移行していく方策をまとめました。部活動の指導をめぐっては、教員の長時間労働の原因や、指導経験がない教員の負担になっているといった声が上がっており、これを踏まえ、学校における働き方改革推進本部で、休日の部活動については民間のスポーツクラブや芸術文化団体などに運営を移行していく方策を示しました。地域のスポーツ指導者や退職した教員などの人材を確保する一方で、希望する教員は引き続き指導するということになります。文部科学省は、来年度から各都道府県の拠点校で試行した上で、公立中学・高校を中心に2023年度から段階的に実施するとしています。
質問ですが、今回、部活動改革の国の方針が示されましたが、県教育委員会としてどのように対応されるのか、教育長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 国の部活動改革方針への対応についてでございます。
県教育委員会では、部活動の在り方を指針に示し、活動時間の適正化や外部人材の登用など、生徒の健全な成長と教員の負担軽減に向け、取組を進めているところです。
議員御指摘のとおり、国の通知では、休日の部活動を地域の活動として実施できる環境整備に向け、拠点地域を定め、実践研究をすることなどが示されました。
県教育委員会といたしましては、中学校の部活動の活性化と教員の働き方改革の両立を図るという趣旨もあることから、各地域の実情や状況に応じて地域や高校との連携、協働などを検討し、部活動の充実に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
〇中西 徹君 答弁ありがとうございます。
今回の文部科学省からの部活動の方策をまとめられている目的というのは、教員の長時間労働の是正と、土日の部活を地域のスポーツクラブなどに委託することになると思うんですが、平日については今までどおりで、土日だけの委託で教員の長時間労働は改善できるのか。毎日であれば理解できるんですが、そもそも土日の部活は私の経験上、試合ばかりだったような気がしますし、土日だけ違う指導者ということもなかなか難しいのではと考えます。まず、生徒が困らないかという心配もしますし、また、先生、教員の中では部活にパワーを注ぐことを目的で教員になられた先生もいらっしゃる中で、そういう方の思いも大切にしていただきたいと考えます。
1番目の質問の中でも言いましたように、統廃合の問題なども関係してくると思うので、地域の状況に応じた対応をお願いします。
以上で、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、中西徹君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時28分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
〇議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
12番秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
〇秋月史成君 本日、私の地元西牟婁郡より白浜町議会副議長・堀副議長が、また、堅田町議が議会傍聴に来られております。そして、日置川中流域安居地区より有志の皆様も議会傍聴に来られております。昼食を終え、眠くなる時間となりますが、県当局の皆様におかれましては、目の覚めるような前向きな御答弁、よろしくお願いいたします。
それでは、議長の許可を得ましたので、通告に従い一般質問を行います。
本年6月定例会、私の一般質問、県道白浜久木線の進捗状況と今後の取組について、知事並びに県当局の皆様の格段の御配慮により、安全な走行が可能となるよう新たなトンネルを含めたルートの検討を行っている旨の御答弁をいただきました。この道路が完成されると、白浜海岸から富田川流域庄川地区を通り、日置川中流域久木地区へと一直線に結ばれるルートとなります。また、富田川から最短で清流日置川へとつながる道路となります。白浜海岸で遊び、日置川流域で川遊びという新たな観光ルートにもなります。
県道白浜久木線改修促進協議会発足の当時は、地域の利便性向上、また、災害時の新たな輸送ルートの構築、それに近年の観光振興では、地域の観光周遊ルートとして期待が寄せられる道路となります。今後、白浜町としても、県道白浜久木線の利活用に資する施策を検討することが重要な地域課題となります。
日置川中流域は、久木地区を含め三舞地区と地元の皆様は呼んでいますが、郷土の偉人として天然痘の研究に生涯尽力した小山肆成が有名です。県道日置川大塔線の沿線に、小山肆成の石碑が往来する車から見ることができ、車を止めてその生家跡を訪ねることもできます。私も、日置川大塔線を通行の際、車を止めて見学し、先人の偉業に思いをはせることがあります。
議員に当選させていただき、はや5年が経過いたしました。議員当選当時、久木地区の隣接地である安居地区の住民の方から言われたことがありました。「議員、鈴木七右衛門重秋って知ってるか」と。私の実家は旧日置川町ではありますが、上富田町で生まれ育った私は知る由もありませんでした。もし議員に当選していなかったら、鈴木七右衛門重秋という名を知ることもなく、私は生涯を終えることとなったことでしょう。
その後、地域の方から鈴木七右衛門重秋の功績を教えていただきました。鈴木七右衛門重秋は、寛保元年(1741年)牟婁郡安居村の庄屋に生まれました。鈴木家は代々安宅川、現在の日置川にかんがい用水を求め、水田を開拓し、安居村を裕福な土地にしたいと念願していました。
重秋は、祖父の遺志を受け継ぎ、寛政11年(1799年)に、かんがい用水の工事に着手しました。安居村始まって以来の大工事は言語に絶する難工事で、私財をなげうち借財をしながら村のために尽力する重秋の姿に、村人も協力を始めました。村を挙げての働きにより、文化2年(1805年)、安居暗渠が完成し、水通しの日を迎えました。この年、藩主に招かれた重秋は、地士を拝命することとなりました。
重秋の名声は、安居村だけでなく藩内でも高くなり、農民の救世主として仰がれることとなりました。その後、20年にわたり、村の発展と農業の振興に努め、村民の協力も得て事業による債務を整理することができました。村人から慈父のごとく敬愛されながら、文政11年(1828年)9月3日、88歳の生涯を閉じました。
その後、重秋の功績をたたえ、紀州藩第11代藩主徳川斉順の命により、漢学者の仁井田好古の撰文による安居暗渠碑が建てられました。昭和40年に、暗渠完成160周年を機に、この碑は安居地区の三須和神社境内に移設され、併せて県道日置川大塔線沿いにはもう一つの碑が設置されました。しかし、もう一つの碑は、現在、県道日置川大塔線沿いからは確認しづらい状況となっております。
安居暗渠と水路及び暗渠碑は、昭和57年1月26日に日置川町、現在の白浜町指定文化財として指定されております。現在でも、当時の暗渠及び開渠の一部は現存しており、用水路として機能しておりますが、紀伊半島大水害で甚大な被害を受けたということも地元の皆様からお聞かせいただいたことがあります。
地域の人々のために尽力した鈴木七右衛門重秋については、残念ながら現在、日置川流域の住民の皆様も知る方が少なくなっております。「失敗を恐れるな」なんていう本は山ほど出ていますが、実際に一歩踏み出せる人はそういません。しかし、成功するのは、その一歩を踏み出せた人なんだと強く感じました。
また、この鈴木七右衛門重秋の功績に触れることができ、今後の私の人生が少し豊かになったと感じております。その反面、もし議員になっていなかったら、郷土の偉人を知ることもなく、その偉業も知ることがなかったのではないかと考えたとき、悔しさも去来いたします。
そこで質問です。現在、県当局は地域の偉人や伝統、文化について、和歌山県の次代を担う子供に教育していますが、この鈴木七右衛門重秋の功績についても、ふるさと教育として学校教育で活用できないものかと思いますが、県教育長のお考えをお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。
教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 村民のためにかんがい用水の大工事に着手した鈴木七右衛門重秋のように、地域の発展にその生涯を尽くした先人の功績を取り上げ、児童生徒が自ら調べ、まとめたことを発表する等の学習に取り組むことは大切だと考えています。
県教育委員会といたしましては、各地域の先人や歴史、文化への理解を深めるとともに、ふるさとへの愛着と誇りを持ち、社会に貢献しようとする意欲を育むため、今後もふるさと教育を推進してまいります。
私も、議員のおかげで鈴木七右衛門重秋の名と功績を知ることができました。ありがとうございました。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 次に、安居暗渠と水路、安居暗渠碑においては、白浜町指定文化財として指定されていますが、過疎化が急激に進む三舞地域であることから、地元や町での保全、史跡としての活用が今後困難になるのではないかと感じております。
また、安居近世用水路は、和歌山県における近世かんがい用水路の代表的事例であるとともに、近世における土木技術の高さを物語る貴重な史跡であることから、和歌山県指定文化財に指定してはいかがかと思いますが、県教育長の御所見をお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 和歌山県指定文化財への指定についてでございますが、安居近世用水路のように岩を掘り抜いた暗渠を持つ近世の用水路は珍しく、県内で数例しか確認されていません。また、その施工方法からは当時の土木技術の高さがうかがえ、貴重なものであると考えられます。
この安居近世用水路及び安居暗渠碑は、現在、白浜町指定文化財に指定されているところではありますが、県教育委員会といたしましては、さらなる文化財的評価に向け、地元の方々の御協力も得ながら白浜町教育委員会とともに調査を進めたいと考えております。
その上で、和歌山県指定文化財への指定等、文化財としての保存、活用の方策を検討してまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 私は、現在、自由民主党県議団に所属させていただいております。自由民主党は、言わずと知れた保守政党であります。県議当選以来、真の保守党とは何ぞやと禅問答のように自分に問いかけてはいますが、明確な答えに私はまだ行き着いておりません。辞書で「保守」の意味を調べますと、保守とは「保ち守ること」という意味があり、「それまで続けられてきた状態を維持し続けること及び維持するための取組、あるいはそのような主義主張を指す表現である」とあります。
本日、議会傍聴に来られております安居地区の皆様は、先人が残し、保ち、守ってこられた安居近世用水路及び安居暗渠やその石碑を守ろうと取り組んでこられましたが、その力にも限界がございます。御答弁にもありましたとおり、安居近世用水路や岩を掘り抜いた暗渠は、県内では数例しか確認されていないような、言わば先人が残した和歌山県の宝物でございます。県のお力添えをいただき、何とか後世に引き継ぎたいと存じます。何とぞお力添えをよろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
現在、日本、和歌山県、いえ、全世界が武漢ウイルス、武漢肺炎とも呼ばれる新型コロナウイルス感染症の蔓延で混迷を極めております。和歌山県でも、全ての産業でその影響を受けております。観光立県和歌山であることから、飲食業を含めた観光産業は特にその打撃を受けております。
和歌山県は、他府県からの誘客に含め、海外からの誘客にも努め、近年その成果は顕著に現れておりました。海外からの誘客はほぼゼロに等しい状態となり、他府県からの往来も、自粛ムードの影響で著しく減少しております。
その現状を打破するため、和歌山県では令和2年7月8日から、県内在住の皆様に向け、わかやまリフレッシュプランを打ち出し、県内宿泊施設等を利用する際、宿泊費等を一部割引できるお得な電子チケット、わかやまリフレッシュプランチケットを販売しております。その売行きも顕著に現れ、県民の皆様から好評を得、私の地元の皆様からも高い評価を得ております。「灯台下暗し」のことわざのとおり、地元和歌山県民は意外と和歌山の魅力を知らなかったりいたします。
また、近年、週休2日制が定着しつつあり、働き方改革も進む中、余暇の過ごし方、生き方にも重きを置く風潮にもなっております。
そこで質問です。新型コロナウイルス感染症も、全世界の英知を絞り、いつか克服すると私は信じております。県外からの誘客、海外からの誘客に加え、マイクロツーリズムも新型コロナウイルス感染症を見据えた観光施策のもう一つの柱として推進してはいかがかと考えます。
毛利元就の三本の矢の例えのとおり、折れない観光施策に進化させてはいかがかと考えますが、県当局の御所見をお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長大山 茂君。
〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、県外からの訪問客の受入れ自粛などにより、本県の観光客数は大きく減少し、とりわけ主要観光地におけるゴールデンウイークの観光入り込み客数は、宿泊ベースで対前年97.5%減と壊滅的な打撃を受けたところです。
このような状況の中、県民の方々に、コロナ禍による閉塞感からのリフレッシュを図っていただき、また、県内の需要を喚起するため、「蘇りの地、わかやま」キャンペーンの取組を進めているところです。その一環として、県内にある宿泊施設や観光施設の利用促進、さらには、県民による県内の魅力再発見につなげるため、県民リフレッシュプラン販売促進事業を7月8日から開始し、夏休みを含め現在も多くの方に御利用いただいております。
マイクロツーリズムは、自宅から地元または近隣への宿泊や日帰りの観光であり、安心・安全に過ごしながら、地域の魅力を深く知るきっかけにもつながり、コロナ禍においては大変有意義な旅行形態であると考えております。
県では、現在、日本書紀編さん1300年記念として、本県ゆかりの地を巡るわかやま記紀の旅周遊スタンプラリーなどを実施し、繰り返し県内観光地を訪れてもらえるよう様々な楽しみ方を提供するとともに、県公式フェイスブックやインスタグラムといったSNSなどにより、旅行動機をかき立てる情報を発信しているところです。
今後も、県民の方々に県内観光を行っていただくとともに、新型コロナウイルス感染症の終息状況を見ながら、これまで展開してきた県外及び海外からの誘客に取り組んでいきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 リフレッシュプラン販売促進事業は、非常に好評を得ております。私の友人、知人、また家内の友人、知人、私の会社のお客様の話題にも多く上っております。ぜひとも、このコロナ禍を乗り切るためにも、続けていっていただきたく思います。
次の質問に移ります。
私は、皆様も御存じのとおり、まちの自動車整備及び販売を行う会社の経営者であります。私が若い頃は、4ドアセダン車及びスポーツカーが流行しておりました。その後、顧客のニーズも多様化し、生活様式が変わっていく中、ワンボックスカーの需要、長引く経済の低迷から維持経費が比較的安い軽自動車の需要も多くなっております。
近年は、インターネットやオークション会場でもキャンピングカーの情報や出品も増えております。軽自動車を改造した軽四キャンピングと言われる車両も多く市場に出回っております。インターネット通販では、キャンピングカーとまではいかなくても、現在所有車両の車中で宿泊する車中泊キットも販売されております。他府県では、キャンピングカーに特化したレンタカー会社もテレビ報道で紹介されておりました。テレビのコマーシャルでは、手ぶらでキャンプを楽しめるグランピング施設の紹介も放映されております。
また、本年6月の定例会の私の一般質問、高級ホテル誘致に向けた今後の取組についてでは、商工観光労働部長は、「今後の誘致活動につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けることになりますが、一方で、安全で安心な環境が備わったホテルに対する消費者のニーズが強くなるのではないかと考えられます。例えば、個別露天風呂を設けた開放感ある客室で食事を提供し、ゆったりとリラックスした時間を過ごしていただくというような他のお客様との接触機会を回避できるヴィラタイプや、離れの客室を有するホテルなどに需要が高まるのではないかと考えております」とお答えになられました。以前に比べ、ホテル誘致の難度も高くなっているということを示唆いたしました。
このお盆休み、コロナ禍でありながら、県内屈指の観光地である白浜はにぎわいを見せておりました。私も、車窓からではありますが、町内の観光地を巡回。私が着目したのは、キャンプ場であります。以前は、キャンプ場にテントを張り、宿泊するのが主流でしたが、キャンピングカー及び車中泊が可能な車種が多く見られることになりました。キャンプイコール夏のものという従来の考え方も、近年では、比較的混雑せず、虫が少ない時期である冬のキャンプ、いわゆる冬キャンという新たな楽しみ方も増えていると聞きます。一年中キャンプを行う人々が増えていると思います。
そこで質問です。ウィズコロナ、アフターコロナを見据えたキャンピングカーを含めたキャンプ施設の利用促進やグランピングの促進に向けてのお考えを、商工観光労働部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) キャンピングカーを含めたキャンプは、コロナ禍では他の利用客との接触機会を比較的回避できることから、和歌山県をはじめ全国的に人気が高まっており、本県の強みである自然を生かした観光の形態であると考えております。
また、近年増加傾向にあるグランピングについても、アウトドア愛好家のみならず幅広い層の方から、テント設営や食事の準備などの煩わしさから解放され、快適さを兼ね備えた新しい体験型旅行として注目されています。
県では、現在取り組んでいる「水の国、わかやま。」やサイクリング王国わかやまに加え、わかやまほんまもん体験などにおいて、本県の自然を存分に体験できるメニューを紹介し、その魅力を発信しているところです。
今後も、市町村などに働きかけながらキャンプやグランピングをより多くの方に御利用いただけるよう充実を図っていくとともに、利用者に対しては、自然体験メニューなどと併せ、効果的に発信してまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 風のうわさでは、私の選挙区すさみ町では、冬も使えるキャンプ施設を造りたいという構想をお持ちのようです。先ほどの御答弁にもございましたとおり、市町村などにも働きかけながら、キャンプやグランピングを多くの方に御利用いただけるよう、充実を図れるよう、ぜひとも手助けをお願いいたします。
次の質問に移ります。
昨年11月、第1回和歌山県人会世界大会が開催されました。私もブラジル、アルゼンチン、メキシコ、ペルーの周年事業及び交流会に参加させていただいたことから、南米4か国の県人会の皆様と久々の再会をさせていただき、心通い合う交流を深めたひとときでありました。私の感覚では、大成功と思われます。私の目には何の失敗も反省点もなく、成功裏に終了したと感じております。特に、絶大な御尽力をいただいた知事や企画部国際課の職員の皆様には、その労をねぎらいますとともに、深く感謝申し上げます。
さて、私の目には一切失敗や反省点は映りませんでした。しかし、謙虚で前向きなお考えを持つ企画部国際課の皆様のことです。第1回大会をしっかり反省し、失敗点をあぶり出し、第2回世界大会に向けての糧にしていることと思われます。
反省するけど、後悔しない。人間は後悔すると前に進めない生き物です。自分の生きる道を全力で突き進むとき、人は精いっぱい悩み続け、悩み抜く。しかし、後悔で悩んでいては、それを克服することは到底できません。後悔はおびえにつながります。ゆえに、後悔するよりも反省すること、反省して悩み、それまでの失敗を両手で受け止めて前に進めば、それが糧となり、大きく飛躍できるものです。そうして初めて、輝く明日が見えてくると思います。
そこで質問です。第1回和歌山県人会世界大会の反省点について、企画部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 昨年11月24日から27日にかけて、県内で初めて開催した第1回和歌山県人会世界大会は、「県民総出のおもてなし」を目標に掲げ、記念式典のほか、地域での交流会、学校での歓迎など、様々なイベントが行われ、成功裏に幕を閉じました。
在外県人会から280名、国内県人会などから168名、計448名が参加するなど、多くの参加者を得ましたことは、在外県人会の周年事業への御参加など、長年にわたり友好を重ね、信頼関係の構築に携わってこられた議員の皆様のお力によるところが大きいと考えております。
議員の皆様におかれましては、大会期間中、県内各地で来県された方々を温かく迎えていただくとともに、大会の成功に向けて御尽力いただいたことに深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
大会を通して、海外で幾多の困難を乗り越え、今なお各国で幅広く活躍されている在外県人会の方々の元気で活力あふれる姿を目の当たりにし、感銘を受けた一方、2点ばかり課題があったと考えております。
まず一つ目は、移民の歴史の県民への浸透であります。和歌山が全国有数の移民県であり、多くの先人が海を渡り活躍してきた歴史が、県民の皆様に広く周知されていなかったことが挙げられます。
二つ目は、県人会との交流強化であります。時代の変遷とともに県人会の高齢化が進む中で、これまで大切にしてきたつながりが途絶えてしまうことが危惧され、今後いかに幅広い世代との交流を図っていくかが大きな課題であると考えております。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 次の質問に移ります。
盛会のうちに終えることができた第1回和歌山県人会世界大会開催の経験及び反省点、改善点を踏まえ、第2回和歌山県人会世界大会に向けての今後の取組について、企画部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 企画部長。
〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、今後の課題として、移民の歴史の県民への浸透、県人会との交流強化の2点が挙げられると考えております。
まず、一つ目の課題である移民の歴史の県民への浸透につきましては、第2回和歌山県人会世界大会のプレイベントや教育機関などと連携したふるさとへの誇りを高めるための教育を実施するなど、様々な機会を捉え、県民への浸透を着実に図ろうと考えております。また、前回大会で協力していただいた方々を含め、さらに多くの皆様に参画いただき、一緒に大会を盛り上げていけるような方策を検討してまいります。
次に、二つ目の課題である県人会との交流強化につきましては、引き続き在外県人会周年事業などへの参加や県人会子弟の受入れに取り組むことにより、幅広い世代の方々と交流を図ってまいります。また、若年層を含め、より多くの会員の皆様が気軽に参加できるSNSなども活用し、交流の活性化を図ってまいります。
第2回和歌山県人会世界大会につきましては、2023年の開催を予定しております。前回大会で得られた経験や教訓を生かし、県人会員、県民の双方にとって、ふるさと和歌山への誇りと愛情を高められる大会となるよう、早い段階から県民の皆様にも御協力をいただきながら、今後の取組を着実に進めていく所存です。議員の皆様におかれましても、引き続き御協力をよろしくお願いします。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 私は、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、ペルーの南米4か国を訪問する機会をいただいたわけではありますが、どの国もカラオケが盛んな様子でした。それも演歌を楽しんでおられるようで、宴席の最後には、各県人会の皆様とふるさとを思い、演歌を熱唱いたしました。なぜか「北国の春」でした。
和歌山県といえば、我が郷里上富田町出身演歌歌手の坂本冬美さんが有名であります。私の同級生の姉でありまして、よく坂本冬美さんの実家に、中学時代、遊びに行かせていただきました。
私も最大限の協力はいたします。ぜひとも、第2回和歌山県人会世界大会には、各県人会の皆様に、和歌山県が誇る郷土の星、坂本冬美さんの歌声を聴かせてあげればと思っております。ぜひともよろしくお願いします。
それと、2023年に第2回県人会世界大会開催の予定と。第2回大会も参加し、大会のお手伝いを微力ながらできますよう、次回の統一選挙も勝ち抜きたいと思います。
最後の質問に移ります。
和歌山県は、県土面積の77%を占める森林県であり、県土の保全、豊かな水資源の確保、自然環境の保全、地球温暖化の防止、林産物の供給等、多岐にわたる機能の発揮を通じ、県民生活及び県経済の安定に古くから重要な役割を担っております。森林資源の適正な整備及び保全を図ることは、本県にとりまして、多面的な機能が持続的に発揮されることから、極めて重要な行政課題であります。
しかしながら、戦後すぐに植林された人工林が利用可能な時期を迎えつつある一方、これらの林資源の利用は、社会構造の変化により極めて低調であり、木材価格も低迷を極めております。
よく私は、地元の林業関係者の方から陳情を受けます。「秋月さん、林道を整備して」と。収穫された木材を搬出し、市場に安易に供給するには、林道整備が不可欠となります。しかし、木材需要が低迷する中、林道整備を進めるのは、時代背景もあり熟慮が必要であると認識しております。
一般的な事業に例えますと、需要が少ないのに道路を整備しろでは、道路整備が進みません。需要が増えてこそ、道路整備が進むと思われます。卵が先か鶏が先かの議論となりますが、まちの小規模事業の経営者である私は、林道整備の前に、まずは木材利用の推進を図るほうが先決ではないかと考えます。
しかし、一般住宅の木材利用も減少し、木材需要が低迷する中、民業、マーケットに需要を委ねなくてはならないこともあり、劇的に木材利用を増やすことは非常に難度が高いと思われます。
和歌山県では、和歌山県木材利用方針をまとめ、公共建築物における紀州材の利用を力強く推し進めております。この方針では、低層、高さ16メートル以下、かつ階数4未満で、延べ床面積3000平方メートル以下の建築物であって、建築基準法において耐火性を求めないものは、原則木造化を図るものとされております。
近年では、那智勝浦町に建築されました土砂災害啓発センター、串本町に建築されましたジオパークセンターなどがあります。今後の予定では、コスモパーク加太に建築される予定のドクターヘリの格納庫や、私の地元上富田町に所在する県立熊野高等学校の講堂が、創立100周年を記念して木造で建築されることと聞いております。
近年、木造耐震技術の確立、木造耐火技術の確立により、規模または用途上鉄筋コンクリート造や鉄骨造でしか建てられなかった建物が木造で建築が可能となっております。和歌山県の建物は、地域の山林から木材を調達、加工し、それらを用いて大規模建築物を造ることで地域経済の活力を向上させ、また、設計士や建築従事者の技術向上が図られることになると思われます。知り合いの建築士に聞いたところ、設計を学ぶ専門学校や大学でも木造に関する学習は少ないと聞いております。
また、近年では、現場の建築従事者である大工もくぎの打てない大工が増えていると聞いております。日本の伝統建築技術は、木造であります。その伝統技術である木造技術の維持、継承を図る上でも、公共建築物の木造化は林業振興を図る上でも有効な手段となることでしょう。
先ほど述べました土砂災害啓発センターやジオパークセンターも、比較的小規模で和歌山県が他府県に誇るランドマーク的公共建築物とは言い難いかと思います。建築に関わる様々な法律があり、それをクリアすることは難しいこともあるでしょう。
しかし、和歌山県木材利用方針では、耐火建築物や主要構造部を耐火構造とすることが求められる建築物であっても、木材の耐火性等に関する技術開発の推進や木造化に係るコスト面の課題の解決状況等を踏まえ、木造化が可能と判断されるものについては木造化を図ることとされています。
こうしたことから、和歌山県の公共建築物は、小規模のみでなく、新技術等を駆使し、可能な限り木造化を進めることを強く望みます。
紀の国和歌山、その語源は様々な説がありますが、私は木材の「木の国」和歌山だと思っております。少々コストが高くとも、木の国和歌山を目指す、一歩踏み出す勇気を持ってはいかがかと思います。
そこで質問です。大規模公共建築物の木造化に向けた今後の取組について、知事の御所見をお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、大規模公共建築物の木造化については、平成24年2月に策定した和歌山県木材利用方針において、木造化が可能と判断されるものは木造化を図るよう努めることとしております。
そのようなことから、今後大規模な公共建築物を建築する場合には、建築基準法で求められる耐火性能や構造強度、コスト等の課題はあるものの、耐火性能に関する国の認定を受けた民間事業者の新しい技術や工法の活用を検討するとともに、国が4階建ての木造庁舎を対象に作成、公表した中規模木造庁舎の試設計例を参考とするなど、課題を一つ一つ解決することにより、より一層の木造化に取り組む所存でございます。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 ぜひとも、さらに一層公共建築物の木造化にお取組いただきますことをお願い申し上げ、私の一般質問を終わります。最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
13番森 礼子君。
〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
〇森 礼子君 皆さん、こんにちは。森礼子です。2年半ぶりの質問の機会をいただきまして大変緊張しておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
では初めに、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い質問に入らせていただきます。
初めに、地域課題の解決に向けた取組について……。
〇議長(岸本 健君) 森議員に申し上げます。通告で対面になって。(「既設」と呼ぶ者あり)ごめん、既設からですね。1回目は既設となっています。
〇森 礼子君 既設って、ここちゃうん。はい、すみません。
それでは、申し訳ございません。改めまして、森礼子でございます。
では、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い質問を始めさせていただきます。
初めに、地域課題の解決に向けた取組について伺います。
最近は、IoTという言葉をよく聞くようになりました。コンピューターだけでなく、世の中の様々なものをインターネットでつなぎ、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うことで、日々の暮らしから広く産業分野まで劇的な進歩をもたらしています。例えば、テレビCMの高齢者の見守りをする象印のポットや、IoTを防災につなげる活動が印象的であります。
本年6月3日、和歌山市南部を流れる和田川に、西山東地区が和歌山大学の協力を得て、IoTを活用した簡易水位計を設置しました。私も設置作業の様子を見学してきましたが、その水位計が大変すばらしいので、ぜひ議会でも御紹介し、その普及について質問させていただきます。
西山東地区は、これまで大雨のたびに和田川が氾濫し、住宅や農地が浸水する被害が発生するなど、地区の皆様方を大変苦しめてきました。しかし、平成24年6月22日の大水害を受けて、国、県、市が協力し、和田川大改修が行われることになりました。数年にわたり約67億円の事業費で総延長約6キロの事業が実施され、本年3月には、和田川の支流、前代川のバイパス河川工事が完成いたしました。おかげさまで、住民はこれまでのような浸水被害の心配は随分薄らぎました。この機会に、お世話になった仁坂知事、二階幹事長、門代議士、尾花市長はじめ関係の皆様方にお礼を申し上げます。
しかし、和田川に流れ込む支流や用水路は多数あり、和歌山南インターの開設に伴う開発が今後とも予想される中、水害の心配が完全になくなったわけではありません。何しろ和田川中流域は縄文時代には海だったところですから、浸水がなくなるということはなかなか困難であります。
そこで、一計を案じた地域の役員さんが、避難の判断が早くできるよう、和田川の水位を観測できないものかと和歌山大学の秋山演亮先生に御相談したところ、LoRaWANという通信方法を用いた水位計を御提案いただきました。
LoRaWANとは、低速ながら低消費電力で長距離通信を実現するIoT向けネットワーク規格の一つであります。広範囲に配置されたセンサー機器からのデータを少ない消費電力で収集することができるのです。今回設置した水位計は、河川横に設置した機材が常時水位を観測し、そのデータを定期的に中継局に送信し、インターネットを通じてメールやLINEで受信するというものです。現場に出向くことなく観察ができるので、大変安全です。
しかもこの機材は、安価で使いやすく、LoRaWANを用いることにより、低消費電力で広域をカバーします。単3電池2本程度の電力で半年間以上作動します。太陽光発電を使えば、ランニングコストはほぼ無料です。
この水位計の大きな特徴は、機材が安価なおかげで、住民自身の手で設置し、行政が対応できない地域の生の防災情報を住民が共有できることです。つまり、防災情報においても自助、共助で実施できる新しい試みと言えます。
この西山東地区の住民設置型水位計は、自助、共助、公助の基本理念を兼ね備えた和歌山モデルとして注目され、8月には山梨県議会や山梨大学が視察に来られました。
この水位計は、県内では御坊市丸山地区の斉川にも地元防災会が設置しておりますが、全国各地で毎年のように豪雨災害が発生する中、今後、県内各地、また全国に普及することを期待しておりますが、この住民設置型水位計のような地域の取組に対する評価と今後の県の考え方について、知事の御所見をお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 近年激甚化する豪雨災害から住民の生命や財産を守るためには、我々河川管理者が築堤や河道掘削、ダムの事前放流など、豪雨による被害を最小限にするための努力を続けることだけではなくて、流域の住民が被害軽減のために、自らの命は自ら守るという自助と、隣近所でお互い助け合うという共助の取組も重要だと思います。
議員御指摘の取組は、西山東地区の住民が自らの生命を守るために、和田川やその支川に簡易型の水位計を設置して、水位を把握することで避難に結びつける取組と聞いております。これはまさしく自助、共助の取組であり、その取組を高く評価したいと思います。
ただし、この簡易型水位計は、観測に用いられてる技術や観測精度において、当たり前でございますけれども、中長期的に検証が必要な開発途上のものと認識しております。
県では、和田川も含め、和田川は広見橋の水位観測所なんですけれども、全県87か所に水位計を設置しておりまして、これはホームページやテレビなどにより、正確な水位情報をリアルタイムでいつも見れるということでございます。
住民の意向に応じて、全ての場所に本当は設置したいんですけども、それは予算の問題とか県としての性格上、ちょっと無理なんですが、そういうときにこれを補完するものとして、地域の身近な情報として、御指摘の簡易型水位計が設置されて、それで両方相まって地域防災力が向上していけば、まさに理想的であると私は思っております。
〇議長(岸本 健君) 森 礼子君。
〔森 礼子君、登壇〕
〇森 礼子君 御答弁をいただきまして、取組について高い評価をいただきましてありがとうございます。
コロナ対応では、和歌山モデルとして、知事の手腕が全国的にもすごく高い評価をいただきまして、この住民設置型の水位計は、今徐々に和歌山モデルとして注目され出しています。聞くところによると、県内でも幾つかの市町で設置計画をしてくださっているということですけれども、ぜひ県内各地に普及が広まりますように、公助の役割ということでお力添えいただけますように御指導ください。どうぞよろしくお願いします。
では、次の質問に移らせていただきます。
次は、LoRaWANの普及について伺います。
ただいま御紹介した住民設置型水位計に用いられているLoRaWANは、ほかの分野にも応用できるのではないでしょうか。
今やあらゆるものがインターネットにつながり、情報のやり取りをすることで、IoTで変わる生活、スマートな暮らしが身近なものとなっています。
農業新聞を読んでいると、スマート農業が花盛りであります。県内でも、紀美野町では、和歌山大学と協力して、鳥獣対策としてIoTセンサーと連携した箱わな捕獲検知システムなどによる見回り作業の効率化などの実証実験を計画しています。加太漁協では、タイの漁業を効率的に行うための海水温データの計測の実証実験も開始しています。
安価で便利な通信システムLoRaWANは、防災や産業、県民生活の様々な分野に活用できますが、さきに述べた実証例を踏まえ、農林水産分野でも活用できると思いますが、農林水産部長の御所見についてお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。
〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 農林水産分野におけるLoRaWANの活用についてお答えします。
県では、農業での人材不足を解消するため、対策の一つとしてICTやロボット技術を活用したスマート農業を推進しております。
具体的には、農家の方々に知っていただくためのスマート農業フェアの開催をはじめ、生産現場での実証や操作講習会の開催に加え、機器導入に支援しているところでございます。フェア等では、施設園芸で使う環境制御装置や、遠隔操作でかん水作業を行うシステム、また、自動飛行可能な農薬散布用ドローン等の機器を紹介しており、これらの機器では、データの自動収集や遠隔操作ができるような通信システムが使われております。
また、鳥獣害対策においても、遠隔操作が可能なICT捕獲わなを県内で12基設置しておりまして、平成26年度から現地での実証を行っております。
議員お話しのLoRaWANは、低コストで導入や通信が可能な反面、画像など大容量データが通信できないと聞いております。
今後、和歌山大学が参画して県内で実施される実証試験の結果やスマート農業フェア等での農林漁業者のニーズを踏まえ、LoRaWANの活用について判断してまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 森 礼子君。
〔森 礼子君、登壇〕
〇森 礼子君 LoRaWANは多様な用途があるというふうに伺っておりまして、例えば日照と降雨量を測定して作物の収穫時期のタイミングを計ったりとか、静岡県では、茶畑で霜の降りるタイミングを計るために設置していると伺っております。当県においても、ニーズに合った活用につなげていけばと思っております。
また、ぜひ農業フェアでは、和歌山大学さんにも参加いただいて、実証例などをアピールしていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次の質問に移らせてください。
次は、SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)の活用について伺います。
官民連携の一つとして、SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)という手法があります。行政サービスを民間に委託し、課題が解決され、うまくいけば行政から報酬が支払われる仕組みですが、経済産業省もヘルスケア分野で推奨しており、昨年の経済産業省の資料によりますと、世界中22か国130件、4億2400万ドルの実績があります。例えば、持続可能な都市経営、生活環境の向上、自然環境の保全、防災等、まちの抱える多様な課題を、民間資金を活用して解決してくれる考え方です。
株式会社日本総合研究所の報告によりますと、防災のための活用の一例として、迅速、効率的な避難と記されています。私は、先ほどの住民設置型水位計にも応用できるのではないかと考えました。
SIBの先行事例としては、滋賀県東近江市の地元産の木材を活用したおもちゃの商品化、空き店舗を改修した地域拠点整備、また、愛媛県の西条市の西条市特産品開発事業などが成果を上げています。
地域社会の課題を官民の連携で解決するSIBの活用は、今後、今まで以上に問題解決に積極的に取り組む地域が増え、活性化につながると考えます。
そこで、SIBについて、県として活用する考えについて総務部長に伺います。
〇議長(岸本 健君) 総務部長田村一郎君。
〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 議員御指摘のソーシャル・インパクト・ボンドは、社会課題の解決のために民間資金やノウハウを活用する投資スキームの一種で、言い換えれば、行政がある社会課題を解決することを目指す際に、行政自身が事業を行うのではなく、民間に事業の実施を依頼するとともに、その事業資金についても、当初は投資家の資金を原資とし、行政はその成果に応じて投資家に成功報酬を支払うというものでございます。
この手法は、イギリスで2010年に受刑者の再犯率低下を目指し、民間から投資を募り、その資金をもってボランティア団体が支援プログラムを提供し、再犯率が他の受刑者よりも有意に低下した場合に、投資家に成功報酬を支払うというスキームで始まりました。
ソーシャル・インパクト・ボンドについては、そのシステムから考えてみますと、民間主導による社会課題の解決が期待されるほか、ニーズに応じた民間事業者からの適切なサービスの提供、資金出資者へのリターン、新たなビジネス機会の提供といった効果が期待されるところであります。
一方、導入に当たっては、対象とする社会課題の適切な選定、サービス実施主体の存在、事業成果を計測するための客観的基準、資金提供者の確保等、多くの課題があり、国内では試験的導入にとどまっていると認識しており、今後、他の自治体の先進事例を踏まえ、研究してまいります。
〇議長(岸本 健君) 森 礼子君。
〔森 礼子君、登壇〕
〇森 礼子君 御答弁をいただきました。さきに述べたんですが、本当は、先ほど御紹介した水位計の設置が、このSIBの対象として進んでいかないかなあというふうには思っていたんですが、なかなか、何が成果なのかということまで挙げられないというのが今の段階だということで残念だったんですけれども、私の思いとしては、各住民が自分らで逃げる目安を構築できるということが成果につながっていくのかなというふうな思いもあったんですが、まずはここは勉強していきたいと思っておりますが、SIBに関しましては、当県が抱える社会問題の中でもこのソーシャル・インパクト・ボンドの対象となることもあるかもしれませんので、前向きな研究をお願いいたします。
それでは、最後の質問に移ります。コロナ禍における学生の就職活動に対する支援について伺います。
2020年9月、過去最大と言われた台風10号が、ほぼ九州全域を暴風域に巻き込み、大きな被害をもたらしました。被害に遭われた方々には心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
9月といえどもまだまだ暑い日が続いております。町なかでは、リクルートスーツを着て汗をかきながら就職活動に励む学生の姿を見かけます。
調査してみたところ、今年は全国的に新型コロナウイルスの影響で就活のスタートが全体的に遅れ、県境をまたいだ移動制限が災いし、選考はおろか説明会や採用人数が減少し、中には内定が取り消されるケースもあり、大変苦難の就職活動であると報道されています。
就職活動は長期化し、今春入社目前に内定取消しとなった学生、また、今なお就職活動に苦しむ来春卒業予定の学生がいる中、2022年3月卒業予定の学生のインターンシップへの参加などの活動も既に始まっているそうです。このことは、リクルートワークス研究所が、来春卒業予定の大学生、大学院生に対する企業の求人数が、対前年比15.1%減の68万3000人とする推計にも表れています。
また、リクルートキャリアの調査によると、8月1日時点の来春卒業予定の大学生の全国の就職内定率は81.2%と対前年比10%減となっており、これは採用活動が長期化している影響もあるものと推察されます。
県の対応としては、UIわかやま就職ガイドによる就活アプリやガイドブック、ウェブによる合同説明会やセミナー等の取組をいただいております。また、和歌山労働局は、内定を取り消された新卒者を応援しようと、新卒者内定取消等特別相談窓口をわかやま新卒応援ハローワーク内に設置しております。
このように、就職活動の長期化により、2020年2月頃から新型コロナウイルスの流行が始まり、いまだなお就活に苦しむ2021年3月卒業予定の大学生が全国にも多くいると思われます。
当県において、雇用が確実に図られる具体的な対策が必要であると考えますが、コロナ禍における来春卒業予定の大学生に対する県の就職支援の取組について、商工観光労働部長にお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長大山 茂君。
〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 和歌山県では、産業人材を確保するため、高校生の県内就職や大学生のUIターン就職に重点的に取り組んでおり、そのうち大学生については、これまで県が就職支援協定を締結している12の大学等とも連携し、県内就職をサポートしてきました。
しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染拡大により、これまでのように学生と企業が一堂に会する合同企業説明会の開催が困難となったため、ウェブを活用した合同企業説明会に切り替えて学生と企業をつなぐ機会を設け、5月、6月及び8月に説明会を開催したところ、3回合わせて延べ91企業と学生約400人の参加を得ました。
また、県のウェブサイトのUIわかやま就職ガイド内に企業の採用情報とPR動画を新たに掲載し、動画視聴を通じて企業の採用担当者とつながる場も設けるなど工夫を加え、学生の県内就職をサポートしています。
一方、夏休みの帰省時期に合わせて実施しているUターンフェアは、学生側、企業側双方から対面式での説明会開催を望む声もあり、今年度も、帰省できない学生のためのウェブ面談も併用しながら、新型ウイルス感染防止対策を十分に講じた上で、対面式で開催しました。
さらに、10月と12月にも未内定者向けにウェブでの説明会を開催するとともに、新宮や橋本地域等のエリア単位での対面式の企業説明会も行うなど、大学生の県内就職と企業の採用活動の支援を継続してまいります。
今後とも、新型コロナウイルスの感染状況を注視しながら、県のウェブサイト等での情報発信を強化するとともに、ウェブと対面式の両方をうまく組み合わせて大学生の県内就職を支援し、産業人材の確保に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 森 礼子君。
〔森 礼子君、登壇〕
〇森 礼子君 10月、12月にももう一度企業との出会いの機会をいただけるということは、学生にとっても大変喜ばしいことだと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
他府県の対策としては、例えば大阪府では、来年3月までの失業対策として、次の採用が決まるまで直接雇用する制度を設け、50人を採用しました。また、同様に大阪市でも26人が臨時採用されました。
また、大阪府はこのほど、今年4月以降に失業した府民らを採用した事業者に対して、正規雇用で1人当たり25万円、非正規雇用で12万5000円の支援金を支給する制度を設けることになりました。約36億円の予算で約2万人の雇用の促進を目指しているということですが、同じような取組は難しいとしても、当県においても雇用が確実に図られるような対策をお願いしたいというふうに思っております。
同時に、高校生はこれからが就職活動の本番が始まっていくと思いますが、障害のある学生も同様にコロナの影響を最大限に回避できるような対策と対応をお願いしたいと思います。
以上をもって、私の一般質問を終わります。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
お諮りいたします。議案第114号に対する質疑を終結することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、議案第114号に対する質疑を終結いたします。
次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第114号は所管の常任委員会に付託いたします。
この際、暫時休憩いたします。
午後2時10分休憩
────────────────────
午後3時39分再開
〇議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
日程第4、議案第114号を議題とし、順次、常任委員会委員長の報告を求めます。
経済警察委員会委員長堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)
〇経済警察委員会委員長(堀 龍雄君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案1件であります。
委員会は、本日9月17日、第3委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第114号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願いいたします。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 総務委員会委員長中西峰雄君。
〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)
〇総務委員会委員長(中西峰雄君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案1件であります。
委員会は、本日9月17日に、第1委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第114号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、常任委員会委員長の報告が終わりました。
これより委員長報告に対する質疑に入ります。
質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 質疑なしと認めます。
お諮りいたします。ただいま議題となっております案件については討論の通告がありませんので、これより直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
これより採決に入ります。
議案第114号を採決いたします。
本案に対する委員長報告は、原案可決であります。
本案を委員長報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
〔賛成者起立〕
〇議長(岸本 健君) 起立全員であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後3時43分散会