令和2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


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令和2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号

令和2年6月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
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議事日程 第6号
 令和2年6月22日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第91号から議案第100号まで及び議案第103号から議案第105号まで並びに諮問第1号(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案等の付託

 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第91号から議案第100号まで及び議案第103号から議案第105号まで並びに諮問第1号(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案等の付託

 第4 請願の付託

 第5 休会決定の件
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出席議員(42人)
 1番 鈴木德久
 2番 山家敏宏
 3番 中本浩精
 4番 堀 龍雄
 5番 藤山将材
 6番 岸本 健
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 北山慎一
 10番 玄素彰人
 11番 中西峰雄
 12番 秋月史成
 13番 森 礼子
 14番 濱口太史
 15番 尾崎要二
 16番 冨安民浩
 17番 川畑哲哉
 18番 玉木久登
 19番 鈴木太雄
 20番 岩田弘彦
 21番 吉井和視
 22番 谷 洋一
 23番 佐藤武治
 24番 岩井弘次
 25番 中 拓哉
 26番 多田純一
 27番 新島 雄
 28番 山下直也
 29番 中西 徹
 30番 谷口和樹
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 林 隆一
 36番 楠本文郎
 37番 高田由一
 38番 杉山俊雄
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       細川一也
 危機管理監      森田康友
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     田中一寿
 福祉保健部長     宮本浩之
 商工観光労働部長   大山 茂
 農林水産部長     角谷博史
 県土整備部長     庄司 勝
 会計管理者      城本 剛
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    細江美則
 警察本部長      檜垣重臣
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中川敦之
 次長         井邊正人
 議事課長       山田修平
 議事課副課長     岩井紀生
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主査      松田太郎
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       嶋岡真志
 政策調査課長     神川充夫
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  午前10時0分開議
〇議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第91号から議案第100号まで及び議案第103号から議案第105号まで並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 9番北山慎一君。
  〔北山慎一君、登壇〕(拍手)
〇北山慎一君 おはようございます。
 本日で一般質問の最終日となりました。そのトップバッターで登壇させていただけることは大変光栄に思います。その気持ちを込めまして、以下、通告に従い、一般質問を行ってまいりたいと思います。
 まずは、大項目1のコロナ禍における県内への修学旅行の取組についてお尋ねいたします。
 新型コロナウイルスの感染が全国で拡大していく中、県内でも感染者数が少数ではありますが発生している状況が続いていた4月7日、安倍総理から全国かつ急速な蔓延による国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態が発生したと判断し、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項の規定に基づき、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県及び福岡県の7都府県に緊急事態宣言が発出されました。その後、緊急事態宣言は全国に拡大、和歌山県もその対象となりました。
 そのような状況下、県内の情勢を知るべく、自民党県議団では3人1組でチームをつくり、5月の緊急事態宣言解除後に各種業界、各種団体に新型コロナウイルスの影響や要望等の聞き取り調査を行いました。
 私は、濱口議員、堀議員の御同行さしていただき、数社訪問さしていただきました。
 その中で、公益社団法人和歌山県バス協会に聞き取りに伺った際に、学校行事のキャンセルが相次いでいる現状をお聞きしました。それは外出の自粛や全国で新型コロナウイルスの感染者数が増加している状況だったということで無理もないことでしたが、緊急事態宣言が解除された今、安全を確保した上で、安全な行き先なら中止や延期となっている学校行事も実施が可能ではないかという話題になっていきました。
 そこで出た話を元に、「県内の学校を県内へ修学旅行に行かせてあげることはできないか」をテーマに意見交換をさせていただきました。熱の籠もった意見交換は約1時間、修学旅行が延期となり、やるせない思いでいる児童生徒に光が差す、実施に向けた一つの打開策にバス協会が御協力いただけた、また、今後も御協力いただける、内容のある意見交換の場となりました。
 確かに他府県への越境はなるべく避けるという状況で、県内の学校も修学旅行を延期にしている状態であると聞いていましたので、これはこのコロナ禍の終息がいまだ見えてこない状況でも、修学旅行を中止せず実施の方向へ持っていけるのではと思い、幾つかの市町村の教育委員会に聞き取りをさせていただいたところ、あるところでは、このコロナ禍の状況が変わらないのであれば県内も一つの選択肢と考え、修学旅行を中止するのではなく、児童生徒に何とかして行かせてあげたい、そういう思いで実施できる方法を模索しているということでした。
 聞き取りをさせていただいた我々も何とか力になりたいと思い、今日に至っているわけですが、ここで皆さん、修学旅行を思い出してみてください。皆さんもよき思い出としていまだに記憶に残っていると思いますが、児童生徒にとっては本当に楽しみにしている、一番と言っても過言ではない大切な学校行事となっています。
 私の周りにも小学6年生のお子さんを持つ御父兄がいるのですが、やはり修学旅行に行けるのかどうか心配されておりました。その御父兄との会話の中で「修学旅行の中止、これが子供たちにとって一番残念な結果となる。新型コロナウイルスの感染状況等にもよるが、この際、無理は言えない。場所はどこでもいい。クラスのみんなで移動、食事を共にしたり、就寝を共にしたりする、そういったことが子供たちの心に一番残るのでは」とおっしゃっておりました。
 もちろん、各地に赴き、学ぶことも大切です。しかし、クラスのみんなで行動を共にする、そのような過程が一番の思い出となることは間違いありません。通常どおり修学旅行が実施されることが望ましいことでありますが、新型コロナウイルスで不安な状況が続き、他府県での修学旅行の実施が困難となり断念することだけは、児童生徒たちのためにも避けなければなりません。
 先ほども言いましたが、修学旅行に行けないことが一番残念な結果となります。そこで、実施できる可能性を探っていくと、新型コロナウイルス感染者がゼロとなった和歌山県では、安全で安心な修学旅行を行うことができ、県内の学校が行き先を県内に変えることで修学旅行の実施が可能になってくるのではないかと考えられます。
 和歌山県は縦に長く、山もあり、海もあり、川もあり、また、果物や水産物も豊富に取れ、自然豊かで北から南まで魅力ある資源にあふれ、そして、世界遺産もあり、歴史や文化に触れることもでき、学べるところもたくさんあります。こんなすばらしい資源が身近にあるのに、県内の児童生徒が知らないでいることは非常にもったいない。もっと深く知ってもらいたいと思います。
 我々の世代でも、和歌山県民でありながら和歌山県をよく知らない方々もたくさんおられます。それは、どうしても身近なところにはあまり目が行かず、外に目を向けてしまう傾向があるからではないでしょうか。
 未来ある児童生徒が、和歌山の魅力を知ることで郷土愛が育まれ、和歌山への愛着も生まれ、和歌山にとどまってくれるかもしれません。そのような状況を考えてみましても、県内への修学旅行や校外学習を私は実施してもいいのではないかと思っております。
 観光交流課が他府県の学校向けに修学旅行や体験学習を誘致するために作成した和歌山県の魅力を網羅した和歌山県教育旅行ガイドブックというものがあります。このガイドブックは非常によくできており、各エリアごとに分けたモデルコースが詳しく記載されています。現地に行かずとも行き先を決める参考資料として活用いただける内容のものとなっており、ぜひ各市町村、各学校へお配りしていただき、判断材料の一つとして利用いただければと思います。
 絶対に県内へというわけではありません。6月19日に全国で県をまたぐ越境が可能となり、今後の状況がどのようになっていくのかというところもありますが、このコロナ禍の状況が収まるまでは、行くことの意義や児童生徒の思いを踏まえ、県内が安全な状況であることは前提となりますが、私は県内への修学旅行は選択肢の一つとして加えてもいいのではと考えています。
 また、修学旅行を県内へ変更することで何が生まれてくるかを私なりに考えてみました。ここでの状況は、あくまで国内の新型コロナウイルス感染症が完全に終息していない中、県内の感染状況は落ち着いているという条件での話になりますが、修学旅行を県内に変更することで、まず一つ目として、県内の児童生徒が安全で安心な修学旅行が行える、二つ目として、県内の児童生徒が和歌山県をより知ることができる機会となる、三つ目としては、落ち込んでいる県内の経済支援にもつながっていく、そこには宿泊施設であるホテル業や旅館業、また、移動手段となるバス業界、そして飲食業など、関係する様々な業種に需要が見込まれ、県内の経済にもよい効果が生まれると思われます。
 ただ、一つ懸念することは、児童生徒が新型コロナウイルス感染症の終息が見込めず、通常どおり他府県への修学旅行に行けない悔しさ、寂しさといった残念な思いも生まれてしまうのは否定できません。しかし、その残念な気持ち以上の中身を充実させた県内修学旅行を組むことで、カバーできるところもあると思います。
 ただ、その中身を重視することももちろん大切ですが、一番重要なことは、児童生徒が新型コロナウイルスに感染しないようしっかりと対策し、安全で安心して修学旅行を行えることが、これが一番重要となります。
 その対策には、3密を避けることは必須となり、目的地までの移動がバス移動なのであれば、密を避けるため、通常よりバスの台数を増やし座席の間隔を空ける、宿泊する場合であれば、密を避けるため、通常より部屋数を多く借り、1部屋当たりの人数を減らすなど、様々な対策が必要となります。しかし、その分、通常どおりに実施する修学旅行より1人当たりのコストが当然上がってしまいます。
 こうした中で、修学旅行の実施を促進するような施策が必要ではないかと考えております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 修学旅行は、児童生徒にとって非常に思い出深い学校行事であることから、コロナ禍の終息がいまだ見えてこない状況の中、安全・安心な修学旅行の行き先として、県内の公立学校に地元和歌山での修学旅行を一つの選択肢とすることに対してどのように思われるのか。また、県内修学旅行の実施を促進するための施策についてお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの北山慎一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 県内の公立学校の修学旅行については、その教育的意義や児童生徒の心情等を踏まえ、各学校では、当面の措置として中止ではなくて延期扱いとしていると聞いております。
 長期間にわたる臨時休業、部活動における公式大会やコンクール等の中止など、子供たちには新型コロナウイルス感染症の拡大等によって、様々な制約を強いてまいりました。
 このようなときだからこそ、子供たちの思い出に残る修学旅行にしてあげたい、私も思っております。
 当初の予定どおりの修学旅行を実施できることが望ましいことではございますが、県外の感染状況や長距離移動のリスクを踏まえ、修学旅行の行き先を再検討する動きも出てくるであろうというふうに考えます。
 和歌山県には、御指摘のように歴史・文化をはじめ、美しい自然や地域に密着した体験プログラムがあり、安全・安心な修学旅行の目的地として、クリーンな自然環境に囲まれた和歌山県は、これまでも国内外の学校から高い評価を得てまいりました。
 地元和歌山で修学旅行をすることは、和歌山の子供たちにとってもすばらしい経験になると考えます。
 この機会に、県内の児童生徒や保護者に、和歌山のすばらしい観光資源等を体験してもらい、県内での修学旅行も選択肢の一つとしてもらえるように取り組んでいきたいと考えます。
 さらに、現在準備が進められている国のGo To トラベル事業や、本定例会に提案をしております県民リフレッシュプラン販売促進推進事業などを活用した県内修学旅行が行われ、子供たちのよい思い出となることを願っております。
〇議長(岸本 健君) 北山慎一君。
  〔北山慎一君、登壇〕
〇北山慎一君 答弁ありがとうございました。
 今、知事がお答えいただいたように、私も、今後の状況にもよりますが、中止されることなく、県内修学旅行も視野に入れながら、修学旅行が行われ、児童生徒がよい思い出をつくれることとなるよう願っております。
 遅れている学習は、頑張って努力すれば取り戻すことは可能だと思いますが、思い出というものは体験や経験をしないとつくることができません。頑張っても取り戻すことができないものなのです。児童生徒の大切な思い出づくりを後押ししていただけますようお願い申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、大項目2のスポーツ大会の今後の開催の方向性と県の支援についてお尋ねいたします。
 この質問は、18日に行われた長坂議員の一般質問でも取り上げられ、少し質問的には重複してくるところはあるかと思いますが、私もスポーツをやっていた人間として、また、こよなくスポーツを愛している人間として、そして、指導者という立場からも少し質問したいと思います。
 新型コロナウイルスの感染が全国に拡大、スポーツ界にも大きな影響を及ぼすこととなりました。
 皆様の記憶にも新しいかと思いますが、選手が中止の一報を聞き涙した選抜高校野球の中止、また、今年一番のビッグイベントである東京2020オリンピックが延期になるなど、プロスポーツやアマスポーツの各種スポーツが軒並み延期や中止という判断がなされました。
 プロスポーツに関しては、観客やファンなどを動員しての興行性を持っていることから、トーナメント方式のような一発勝負の大会ではなく、リーグ戦のように長期的に試合を行うケースが多いのですが、アマチュアスポーツ、今回は学生スポーツに焦点を置かせていただきますが、学生スポーツは、競技によればリーグ戦方式もあるのですが、大多数はトーナメント方式で開催される場合が多くなっています。
 しかし、学生スポーツは全国大会につながる公式な大会が少なく、予選会を含めても大会は年間を通じて数回しかありません。特に学生に関していえば、最終学年で迎える公式な大会は、ほとんどの競技が1回ないし2回となっており、今回の新型コロナウイルスの影響でその数少ない大会が中止となってしまいました。
 これは、選手にとって非常につらく、やるせない気持ちになる出来事であり、全ての学年の選手はもちろんのことですが、特に高校3年生にとっては集大成で臨むため、家族や指導者、そして、多くの方々の支えや思いを背負いながら厳しい練習やトレーニングを重ねています。その成果を発揮すべく迎えるであろう大会が、今までの全てをぶつけるはずの大会が開催されない。本当に言葉に言い表せないくらいつらい気持ちでいることでしょう。
 私も学生時代、野球というスポーツに打ち込んできましたので、同じ状況に置かれたときを想像すると、やはりそのように悲痛な思いになります。選手によっては、本当に幼少期の頃から競技を始め、目標を定め、夢を描きながら日々努力し、練習をし、時には喜び、時には悔しさも味わいながら成長し、自分の設定した目標へ一歩一歩近づいていきます。その多くの選手が目標設定したであろう大会が開催されない、このことがいかに重要なことか、そこをしっかり御理解いただきたい。
 高校3年生にとっては、部活動の終わりを迎える一つの節目の役割を持つ大会でもあります。もちろん中学3年生も最終学年ですから同じです。
 しかし、そんな厳しい状況でしたが、5月初旬に県内に発令されていました緊急事態宣言が解除され、5月中旬以降、県内におきましては新型コロナウイルスの感染も落ち着き、徐々に日常が戻りつつあることから、先日、非常に明るいニュースが飛び込んできました。それは、和歌山県高等学校野球連盟による和歌山県独自大会を開催するという発表でした。選手たちの活躍の場ができる、緊張感のある真剣勝負の場ができる、これは非常に喜ばしくすばらしいことだと思います。決断していただきました関係者の皆様には、本当に感謝申し上げます。
 また、高等学校におかれましても、各競技団体が県独自大会の開催を検討、県も運営費の補助など必要経費の支援をすべく、今議会において補正予算案として上程されました。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 学生スポーツは、部活動を含め、各年代、各世代ごとに分かれ大会が開催されますが、小学生、中学生、高校生の今後のスポーツ大会の開催の方向性と、県はどのような支援をしていくのかをお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) スポーツ大会の今後の開催の方向性と県の支援についてでございます。
 これまで部活動に励んできた中学校、高等学校の最終学年の生徒にとって、その集大成となる場が用意されることは、教育的にも、その生徒の人生にとっても大きな意義があると考えています。
 県教育委員会では、感染症予防はもとより、熱中症防止等への対策のため、部活動再開のガイドラインや、今後の感染状況と大会開催についての目安を示しております。
 このような中、高等学校では、県独自の大会が予定されており、中学校では、各地方において、地域の実情を踏まえ、地方大会や近隣校との交流戦等の開催を検討されています。
 また、小学生につきましては、スポーツ少年団をはじめ各競技団体が主催する全国大会及び県大会の8月以降の開催が予定されております。
 県教育委員会といたしましても、安全・安心な大会運営となるよう様々な面で支援してまいります。
〇議長(岸本 健君) 北山慎一君。
  〔北山慎一君、登壇〕
〇北山慎一君 答弁いただきました。
 先週の金曜日、延期されていたプロ野球がようやく開幕いたしました。当面は無観客で試合が行われ、テレビでの観戦となりますが、スポーツというものは、選手はプレーする楽しさ、喜びを味わえ、そして見る者、応援する人には元気や勇気、また、感動も与えます。それは、プロスポーツやアマスポーツ、学生スポーツ関係なく共通することです。
 今後、延期されていた各種競技の様々なスポーツ大会が開催され、新型コロナウイルスの影響でもやもやした県民の気持ちを払うべく、県内を、そして日本国内を、大きくは世界中を明るく元気に活気づけてもらいたいと思います。そのための後押しや支援をぜひともよろしくお願いいたします。
 続きましての質問は、新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者のための宿泊支援事業についてお尋ねしたいと思います。
 この事業は、新型コロナウイルスの感染拡大を阻み、県民の命を守るために最前線で奮闘する医療従事者の疲労負担を軽減し、医療体制の維持を図るため、医療従事者が、県が指定した宿泊施設で滞在する場合、その利用料を県が負担するといった内容の事業となっています。
 この事業を始めるには、まず、医療従事者の皆様が宿泊できる施設があるということが前提となってくるわけですが、コロナ禍で大変な状況にもかかわりませず募集したところ、御協力いただける宿泊施設が和歌山市内に5、那賀地域に1、伊都地域に2、有田地域に1、西牟婁地域に1と合計10の施設が受入れにお応えいただけることとなっているとのことです。もちろん、県当局の働きかけもあり、後押ししていることかと思います。
 そんな中、私はこれまでの期間、医療従事者がこの制度をどのくらい利用しているのか気になり、当局より聞き取りさせていただきました。結果、利用状況は10施設中、和歌山市内の3施設、那賀地域の1施設の計4施設、宿泊人数は18人となっておりました。
 この数字を聞いて、正直私は戸惑いました。もう少し利用者がたくさんいるものかと思っておりましたので、利用者が少ない状況には少し驚きました。和歌山県が爆発的な感染拡大が起こっていない状況もあるかと思いますが、医療従事者の方々が本当に利用しやすい制度となっているのかと感じています。
 平時であれば、勤務が終了した後は自宅でリラックスをしてくつろぐことが一番かと思いますが、新型コロナウイルス感染症に対応するという厳しい環境の下、勤務に従事せざるを得ない状況では、心身の負担を少しでも軽減させることができる環境を整えてあげることが何よりも大事なのではないかと私は思います。
 そのような観点から、この事業の中身を、今、新型コロナウイルスの感染者が出ていないこの状況下に見直してみるというのはどうでしょうか。もちろん、このまま終息に向かうことが何よりも一番いいことですが、第2波が来ないとも言い切れない状況です。第2波が来てからでは対応が遅れます。
 実際に利用された方の声を聞いてみてください。利用者の生の声を聞くことは非常に大切であり、大変参考になると思います。また、医療従事者の方々の現場の声も聞き、それが制度にしっかりと反映されているのかなど、利用する側の声、御協力いただいている宿泊施設の声、それを確実に吸い上げ、今以上によりよい制度となるように見直してみてはいかがでしょうか。
 現状では、勤務日に限って利用できる制度となっていますが、このあたりもしっかり検討していく必要があるのではないでしょうか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 新型コロナウイルス感染症患者に対応する医療従事者は、感染予防を徹底するために、強い緊張の続く状況下で長時間集中力を求められるとともに、高い使命感も加わって勤務時間が長くなる傾向があることから、県においては、医療従事者の心身の負担軽減を図ることを目的に、ホテル等に宿泊することのできる支援制度を創設しています。
 対象者は、県内の帰国者接触者外来と感染症患者入院受入れ病院で新型コロナウイルス感染症に対応する業務に従事する医療従事者としており、宿泊施設については、4月末から募集を行い、現在10施設で利用できることになっています。施設の利用は5月1日から開始しましたが、幸いにも県内での感染がピークを過ぎて、新たな感染者の発生がうまく抑えられていたことから、利用実績は少なくなっているものと考えています。
 医療従事者からは、勤務する医療機関の近隣ホテルでの指定を求める声が寄せられており、現在も施設の公募を継続し、より宿泊しやすい環境の確保に努めているところです。
 県としましては、今後の感染の第2波に備え、引き続き、医療従事者の心身の負担軽減を図るため、積極的に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 北山慎一君。
  〔北山慎一君、登壇〕
〇北山慎一君 答弁いただきました。
 このまま新型コロナウイルス感染症が終息していくことを願っておりますが、今後来るかもしれない第2波にしっかり備え、医療従事者の方々がより利用しやすい制度となるよう取り組んでいただきたいと思います。備えあれば憂いなしです。よろしくお願いいたします。
 続きまして、最後に大項目4の家賃支援給付金について要望をさせていただきたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症対策を契機とした5月の緊急事態宣言の延長等により、売上げの急減に直面する事業者の事業継続を下支えするため、地代、家賃の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して給付金を支給する家賃支援給付金制度が、国の第2次補正予算により新しくできました。
 県においても、今議会に補正予算として、国の給付額の4分の1相当額を上乗せ支給する和歌山県家賃支援金が上程されているところです。
 制度の中身については、国のほうでまだもまれている状態でいまだ決まっておりませんが、持続化給付金と同様に、どこかで対象者の線引きをすると思われます。
 そうした中で、自分のところは給付の対象となるのかどうかと心配される方が多くいます。例えば、賃貸契約している倉庫が支給対象に含まれないのではないか、また、売上げ減少の対象月について、3月から12月であれば対象となるかもしれないのに、5月から12月までの設定となってしまえば、支給対象から外れてしまうのではないかなど、国が線引きしたところから外れてしまい、対象外となってしまう方々が県内に多くいるかもしれません。
 そうした場合には、状況をしっかりと把握していただき、当局におかれましては、より多くの事業者が救済される支援策を考えていただけますよう要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、北山慎一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
〇谷口和樹君 皆さん、おはようございます。30番谷口和樹でございます。
 まず初めに、このたびの新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた皆様方に、謹んで御冥福をお祈りいたします。
 また、県内発症以来、昼夜を通して対応に当たられた医療従事者の皆様方、知事をはじめ対策に当たられた職員の皆様方、関係各位に心から感謝を申し上げます。
 遠く海を越えて評価された皆様方の奮闘は、後世県史に残るのではないかと思います。そして、結果、自粛期間をひたすら耐え、感染者ゼロの今日を迎えられたのは、休校措置を耐え抜いた子供たちをはじめ、全ての和歌山県民、互いにたたえ合うことであると思います。今後は、この経験を教訓に、さらにすばらしいふるさとづくりに共に邁進することをお誓い申し上げて、質問に入ります。
 一つ目、県立中学校、高等学校の今後について。
 県立中学校、高校の授業及びクラブ活動の日程について質問します。
 国の休校要請から始まった3か月に及ぶ長期休校措置ですが、もちろん先生方のフォローもありながらですが、小・中・高はじめ子供たちが在宅で勉強、トレーニングに御家庭共々一丸となって、本当に苦労して頑張った方々が多かったと思います。
 この休校の間における県内県立中学校、高等学校生徒の学業の遅れと最終学年の進路について、その認識と今後の対策と予定、併せてウェブ端末配付の進捗を教育長にお聞きいたします。
 また、インターハイなどをはじめ、高校生の全国大会が次々中止になる中、特に最終年度の学生は最後の大会がなくなり、非常にやるせない思いでありましたが、県内各競技団体の御尽力で総体に代わる県内大会の実施が発表され、決まった競技の生徒、保護者の皆さんも喜ばれていることと思います。
 生徒の皆さんの御健闘を心からお祈りするとともに、万全の状態で当日を迎え、全力を出し切って悔いのない大会にしてほしいと思います。
 そして、今後は目標が決まった生徒たちは、大会に向けて約3か月のブランクを埋め、万全の体制で臨めるように急ピッチで練習を重ねていくわけですが、県教育委員会としても感染症対策のガイドラインの指導というのは当然ですが、大会までの練習で生徒や現場の指導者が感染症対策をしつつも、伸び伸び全力で当たれるようにしてあげていただきたいところでございます。
 今後のクラブ活動と大会について、そこに至るまでの十分な練習環境等の確保について、教育長にお聞きいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 県立中学校、高等学校の授業及びクラブ活動の日程についてでございますが、年度をまたいだ3か月に及ぶ臨時休業は前例のないことであり、この間、課題による家庭学習を中心として、学業の遅れを軽減させる取組が行われました。また、ICTを用いたオンライン授業など、これまでになかった新たな学びが実践されるようになりましたが、子供たちの学習や心身の発達に大きな影響を与えたと思います。
 県立中学校や県立高等学校では、6月1日から学校を再開し、感染対策に留意しながら、15日以降は通常の授業や部活動を行っています。臨時休業中の生徒の学習状況や学業への意識、姿勢に差異が生じているため、一人一人の状況を丁寧に捉え、必要な指導を実施しています。また、生徒が余裕を持って学べるよう、夏季休業を9日間に短縮して授業日数、時数を十分に確保することとしています。
 3年生の進路に関して、国は、大学等の入試で臨時休業による影響を最小限に抑える配慮を要請し、就職選考では開始を例年より1か月遅い10月16日以降とするなどの通知を出しています。県教育委員会といたしましても、生徒、保護者の進路に関する不安感を払拭できるよう、個別の指導や面談の充実を図ってまいります。
 コンピューター等の端末の配備については、県立中学校では1人1台、県立高等学校では家庭に端末がない生徒への対応として約1000台の端末の調達に向けて、6月の最終週での入札を進めています。さらに、新型コロナウイルス感染症の第2波への備えとして、県立高等学校の全生徒に同質の端末が行き渡るよう、本議会において補正予算案を上程しているところでございます。
 部活動につきましては、生徒の心身の健全な成長にとって重要なものですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、各競技の全国大会が相次いで中止となりました。しかしながら、各競技団体等において、最終学年の生徒がこれまでの活動成果を発揮できる県内大会等の開催を準備、検討しています。県教育委員会といたしましても、開催に向けた取組を支援してまいります。
 これからも、感染症予防への注意や対応は不可欠でありますが、最終学年の皆さんには、伸び伸びと練習に打ち込み、未来に向かって胸を張り、有終の美を飾る活躍を期待します。
〇議長(岸本 健君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 ありがとうございます。ぜひ、大会の支援もそうなんですけども、そこに至るまでというのは学校での練習等になると思います。そこでしっかり生徒たちが悔いのない練習を重ねて当日を迎えられるように、ぜひとも教育委員会でもしっかり現場と話し合って進めていただけたらなあと、サポートしていただけたらなあと思っています。
 続きまして、二つ目の質問に入ります。
 変化した授業スタイルへの対応について。
 長期の休校措置による授業の遅れや分散登校、感染症対策の徹底、ウェブ授業対策など、生徒たちと同じく教員の環境も大きく変わっています。
 大幅に変わる学校のスタイルに対応するために、生徒と同じく教員も今まで以上の努力が求められる中、心身ともにかかる負担も大変大きなものであろうかと危惧しています。
 今後の教育現場への教員補充や教員の負担軽減への考え方について、教育長にお聞きをいたします。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 変化した授業スタイルへの対応についてでございますが、これまで主流であった教室での対面授業に加えて、ICTや課題を活用した家庭学習の充実を含めた新たな学びが今、必要とされています。
 臨時休業で生じた児童生徒の学習の遅れを取り戻すため、放課後等の補充学習や習熟度別授業などを実施するための学習指導員等の配置に係る予算を本会議でお願いしているところでございます。特に進路決定を控えた生徒にとって不安感は大きく、それぞれの教員による一層きめ細やかな指導が必要です。
 このような状況を支援するために、学習指導員を各学校に1名配置し、さらに、学校の規模に応じて配置を増やすことで、教員の過度な負担を招くことなく、生徒が安心して学習できる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 ぜひよろしくお願いいたします。
 続いて、3番目の質問に入ります。
 田辺西牟婁の県立高等学校のクラス数についてということで質問さしていただきます。昨年の12月にも質問さしていただいた内容の続きということです。
 昨年度の県立高校選抜試験は、田辺高校と南部高校普通科が1クラス減であったが、12月議会での一般質問で「田辺高校普通科ではなく、定員割れする南部高校の食と農園科で定数減し、入学者調整をすべきではないか」、こういうような内容を質問の中で申し上げました。
 今春、田辺高校普通科で最終11人あふれる一方で、南部高校食と農園科は3クラス120人定員のところ、1クラスちょっとの52人の入学者でありました。
 なぜ田辺高校普通科を希望する田辺西牟婁地域の子供たちに門戸を絞り、そこまで食と農園科に誘導をしようとするのか、その方針というのは理解に苦しみます。
 自主性を育てるということは、教育において大変大事なことだと考えますが、15歳なりに、自主的に人生の進む方向を考え進もうとしている子供たちを、大人の価値観でゆがめていないでしょうか。
 12月議会で「田辺高校普通科を戻し、ずっと定員割れしている食と農園科定員120人を80人に再調整すべき」と申し上げましたが、令和2年度の結果を見て、総括をお願いいたします。
 また、田辺高校の普通科定員を元に戻せないか、教育長にお聞きをいたします。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 田辺西牟婁の県立高等学校のクラス数についてでございますが、和歌山の子供は和歌山で育てるという方針の下、高校進学希望者を全て受け入れることができるよう募集定員を定めています。
 その結果、昨年度の高校入試における全日制課程の本出願倍率は0.90倍となりました。みなべ、田辺・西牟婁地域においては、志願者が定員を超過した学校があったものの、多くの生徒が行きたい学校に進学したものと考えています。
 南部高等学校では、新しい実習棟も完成し、地域の特産物を生かした加工品等を生徒が製造し、販売するなど、地域に根差した取組を進めています。本県の基幹産業である農業を学ぶ学科は重要であり、県教育委員会といたしましては、長期的な視点を持って支援してまいりたいと考えています。
 現状でも普通科が多い中で、さらに希望が多いから、人気があるからといってそれに迎合していくことは、かえって子供たちが将来を見据えて社会的に自立していくことを遅らせることになります。高等学校で農業や工業などの専門的なことを学び、地域に貢献できる若者を育てていくことが重要です。
 令和3年度の県立高等学校募集定員につきましては、地域の子供たちの人数や各学校、学科の特徴を踏まえ、10月末に総合的に判断いたします。
〇議長(岸本 健君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 現状でも普通科が多い中で、さらに希望が多いから、人気があるからといってそれに迎合していくことは、かえって子供たちの将来のためにならない、高等学校で農業や工業などの専門的なことを学び、地域に貢献できる若者を育てていくことが重要だと、そういう答弁がありました。長期的な視点を持って支援していきたいと、そういうことも今のお答えでいただいています。
 しかしながら、1クラス少しの入学生に対して3クラス120人分の定員を保持して用意しているわけでございます。それは、先ほど言われた地域に貢献できる若者を育てていきたいという教育委員会の言い分とはクラス数の設置の理由にはならないんじゃないかなと思います。
 そちらの方向に思いを持って進めようと、誘導という言葉がいいかどうか分かりませんけども、もしそうしても、結果、今年の1年にしてみると、行きたい人の数が足りなくて、行きたかった子供たちの、そういう行きたいところの場所をなくしてしまった、そういう結果なだけなんじゃないかなと思います。
 当然、長期的な視点というのは大事なもんだと思うんです。でも、毎年、試験を受ける子供たちというのは、一年一年そこに節目を持ってずっと進んできて、当然大人の過ごす1年と15歳の過ごす1年というのは、多分同じ1年ではないんじゃないかなと。自分も子供を生み育ててきて、そういうふうに感じるわけでございます。一年一年の間隔が、どちらが正しいかというのは見る方向にもよって違うかと思いますけども、私は、やっぱりそこは一年一年、生徒たちの自主性を持ってこの道を進もうと、そういう思いに沿ってあげるのが、一番やってあげたいなと思います。そういうことを教育委員会にも望んでいるところでございます。
 今後とも、しっかりそういう思いを教育委員会に伝えながらやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、二つ目の質問に入ります。
 県内飲食街の復興について質問さしていただきます。
 周辺の漁業や葉物野菜農業や果物のうち、足の早い産物を隣接する飲食街で鮮度の高いうちに安く食すことは、その地域の特色ある食文化であり、食による観光を生み出しますが、県内飲食業者、飲食街は、今回緊急事態宣言が明けてもなお壊滅的な売上げ減少が長引いています。
 例えば、紀伊田辺駅周辺の飲食街「味光路」などは、田辺西牟婁の地域の台所であり、今回のように新型コロナウイルス感染症とその対策である自粛要請による壊滅的な売上げ減少が長引くと、取引価格の激しい低迷など、周辺漁業者や農業者も継続が厳しくなってきて、経済低迷、産業減少とともに過疎、人口減少に拍車がかかります。
 地域の台所である地方飲食街の今後の再興活性化について、商工観光労働部長にお聞きをいたします。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長大山 茂君。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 新型コロナウイルス感染症は、飲食業に大きな影響をもたらし、5月の調査においては、売上げが50%以上減少する見込みとした事業者が約8割ありました。
 そこで県では、事業者が実施するデリバリーやテークアウトなどの新しい取組を支援するため、県内事業者事業継続推進事業により、事業継続のための事業、危機的状況を乗り越えるための事業、安全・安心を確保するための事業に対し支援を行っています。
 地域の飲食店の皆様に、こういった県や国、市町村の施策を御活用いただき、お客様に安心して利用いただくための対策や、新たなサービスの提供等に取り組んでいただくことで、地域の飲食街の魅力や安心感をさらに高めていただけるものと考えています。
 さらに、県内飲食店の活性化のために、今後展開されるGo To キャンペーンを周知し、活用を促すとともに、県内飲食街のPRに取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 御答弁ありがとうございます。
 地域の食文化による観光、ソウルフードによるツーリズム、これらにとって支える地域の飲食街というのは、本当に欠かせないファクターであります。そういう意味でも、これからぜひともプロモーション等のサポートをよろしくお願いしたいと思います。
 続いて、三つ目の質問に入ります。
 急激な魚価の下落に対する和歌山県の対策について、質問いたします。
 せんだって、田辺市の江川漁港から船に乗せていただいて、イサギ漁を体験さしていただきました。午前4時に出港して30分余り走って水深70メーターほどの漁場に向かいます。サバやアジも交じりますが、大体イサギは15キロほどで、少し落ちる、いまいちの水揚げでございました。前日の売値は1キロ380円だったとお聞きしました。恐らく売上げは5700円、6000円切るぐらいであると思います。
 漁港に隣接する飲食街で消費される魚種の価格が3月以降暴落し、沿岸の漁業に従事する方々を直撃しています。
 今回の新型コロナウイルス感染症による売上げ減少への復旧策とコロナショックからの県内沿岸漁業の維持、担い手育成のための取組について、農林水産部長にお聞きをいたします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 急激な魚価の下落に対する本県の対策についてお答えします。
 新型コロナウイルス感染症による影響により、水産業においても、地域によって差はあるものの、主な産地市場の本年5月の水揚げ金額を前年同月と比較すると、平均して5割減少しております。
 県では、こうした厳しい状況を乗り越え、漁業を継続できるよう、県内事業者事業継続推進事業など独自の支援策をはじめ、持続化給付金などの国の制度により、影響を受けた漁業者への支援を行っております。
 また、漁業者からの要望も踏まえ、運転資金を低利で融資する漁業振興資金の申込みを4月27日から開始をいたしました。さらに、同資金に県が全額利子補給を行うことにより、5年間無利子とするための予算を今議会にお願いしております。
 これらの取組に加え、国の2次補正で予算化された経営継続補助金や県単独事業により、事業継続のための機械設備の導入や販路開拓、加工等による高付加価値化などの取組を支援し、漁業者の経営安定はもとより、沿岸漁業の発展や担い手の確保、育成を図ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 ありがとうございます。
 前の質問にも関係しますが、地域の食文化による観光でありましたり、ソウル・フード・ツーリズム、これを支える文化としても、沿岸の漁業というのは本当に大事なものであると思います。ぜひとも、農林水産部には今後ともよろしくお願いします。
 続きまして、四つ目の質問に入ります。
 IR──外国人専用カジノについて、質問させていただきます。
 まず一つ目、小項目の1、県民の多数の賛成を得られているか、こういう題材で質問さしていただきたいと思います。
 大学生の社会デザインという授業の中に、「パレート改善」という言葉があります。誰の効用も悪化させることなく、少なくとも1人の効用を高めることができるように資源配分を改善することであるということです。そして、政策というのは、誰をも不幸にすることなく、誰かの幸せを生み出すことを目指すべき、そういうことも言われています。
 しかし、現実は、何らかの社会経済状態の変化を考えるときに、誰もが幸福になる「パレート改善」というのはまれであって、誰かの利益は誰かの犠牲の上に成り立っている場合が往々にしてあります。その中で、誰かの犠牲や不利益を容認するわけではないが、トリアージして優先順位をつけて政策をつくるケースがあります。
 善悪は別として、IR誘致は、経済効果に優先上位順位が置かれ、治安や依存症などは少しだけ下位のほうにトリアージされたものであるように感じています。
 そもそも、実際日本人が出入りできるカジノがあるIR設置に、どれだけの県民が反対ではなく、どれだけの県民が賛成していると考えておられるのか、大多数の賛成を確信しているのか、企画部長にお聞きをいたします。
〇議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) IRに関して、県民の多数の賛成を得られているかという御質問でございますが、県では、IRに関する県民の理解を深めるためにシンポジウムや説明会などを開催しており、その際に、IR設置に伴う社会的リスクへの対応策についても説明しています。説明後の参加者へのアンケートでは、IRの誘致について「賛成」または「どちらかと言えば賛成」とされた方が約8割、「反対」または「どちらかと言えば反対」とされた方が約2割となっています。
 また、本年2月には、県内の経営者有志等により、IR誘致に賛同する4164筆の署名が提出されたところです。もちろん、これらをもって県民の大多数の賛成と考えているわけではございません。今後も引き続き、社会的リスクへの対応策を含めた正確な情報の発信に努め、県民の皆様の理解を求めてまいります。
 また、最終的には、IR整備法の規定に基づき県民の御意見を聞くため、パブリックコメントの実施や立地自治体である和歌山市の同意などの手続を経た上で、住民の代表である県議会の議決をいただき、国への申請を行ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 続いて、二つ目の、小項目2の質問に入ります。
 カジノによるギャンブル依存症は今の対策でゼロにできるのか、このことをお聞きしたいと思います。
 今回の国による新型コロナウイルス感染症感染拡大阻止のために、県境をまたいでの往来自粛においてさえ、大阪─和歌山間のパチンコ店への往来が最後まで問題になりました。パチンコどうこうではなく、自分の命だけでなく他人の命を危険にさらしてまでギャンブルに通うギャンブル依存症の恐ろしさ、これを改めて確認をしたところでございます。
 カジノができた後のカジノによるギャンブル依存症はゼロに抑えられるのか、企画部長にお聞きをいたします。
〇議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) ギャンブル依存症の問題につきましては、IR整備法において、国が、マイナンバーカードを利用した入場回数制限や入場料の設定、本人・家族申告による入場制限措置、クレジットカードの使用不可など、重層的で多段階的な規制を設けたことに加え、本県独自の取組として、使用上限額を設定して現金をチャージするIRカードの導入や、賭け事に熱くなっている人に休憩や退場を促す依存症対策専門員の配置などを事業者に求めており、これらの運用を行うことによって、論理的に考えてギャンブル依存症は排除できると考えております。
〇議長(岸本 健君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 続きまして、三つ目の質問に入ります。
 外国人専用カジノに改めるように国に掛け合わないか、こういうことについてお聞きをしたいと思います。
 学校の休校措置で子供たちが家で閉じ籠もっているにもかかわらず、他府県間の移動自粛要請期間にもかかわらず、越境してパチンコ店に行った者、訪れた者も多数いました。対応策に苦慮されたと思いますが、それだけギャンブル依存症は通常の行政の常識や予測というのを上回るものであると思います。もう一度、日本人に新たに新しい分野のギャンブルを提供する愚かさというのを考え直すべきかと思います。
 外国人専用カジノになるよう国に掛け合うお気持ちはないか、企画部長にお聞きをいたします。
〇議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 本県では、IR整備法が制定される前は、県民の皆様がギャンブル依存症に陥るリスクがあるならば、カジノ施設に関しては外国人専用にするということを考えておりましたが、さきに述べた依存症対策を行えば、外国人専用とする論理的な理由はないため、国に掛け合うつもりはございません。
 国は、シンガポールをモデルとして成長戦略としてのIRを考えており、国際会議場や展示施設、宿泊施設等をカジノ施設と一体として大規模に整備し、日本人を含む多くの観光客、ビジネス客に来ていただくことを目的に制度設計がなされております。
 外国人専用のカジノは想定されておらず、そういう計画をつくっても政府が認定する可能性はないと考えております。
〇議長(岸本 健君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 誰かの利益の一方で、誰かがギャンブルを苦に命を落とすというようなことがあってはなりませんし、自己責任や運営者責任ということももちろんありますけれども、一方で県民の命を守るという責任も誘致に名のりを上げる和歌山県には存在すると思います。
 御答弁いただいた内容で今後進めていかれるということですけれども、言われた、答弁いただいた内容をゆめゆめずっと考えていただいて、ぜひとも、我が和歌山県でギャンブルを苦に命をなくされる方が出ないように、よろしくお願いしたいと思います。
 続いて、五つ目の質問に入ります。
 和歌山県の少子化対策について質問いたします。
 令和2年4月1日付の和歌山県の推計人口は91万7252人で、1万556人の減少でした。3年連続1万人超えで減少をしています。
 日本の少子化政策は、今まで格段明確なターゲットエージを定めずに、第3子への奨励金などに見られる出生数増を促す事業が行われています。
 しかしながら、当然何歳で出産することの是非ということではもちろんなくて、急激な人口減少と少子化が止まらない我が県の少子化政策としてお話しさせていただくとすれば、政策として考えなければならないのは、若くして子供を持つと生活が苦しいという状況から、意識的に、また、無意識に婚期や出産を遅らせざるを得ない現状が現実としてあり、特に我が県のように若い年齢の所得が日本の都市部と比べて極端に低い状況では、顕著に常識として定着していることから、出産年齢が高い年齢のほうにオフセットしていかざるを得ない状況にあります。
 社会的にも経済的にも少子化解消に20代早期に安心して産み育てる環境を整備することによって、データやグラフ上での20代早期での出産数が回復、安定するように、申請による助成制度を整えていくことが必要ではないかと考えます。
 先ほどデータやグラフと申し上げましたが、参考までにお示しいたしますと、よく皆さんも御存じの人口動態調査による15歳以上49歳以下の女性の出産数を示す合計特殊出生率で、1947年、第1次ベビーブームでは4.54人でしたが、現在は1.36人、ちなみに和歌山県は1.46人ですが、高い県になりますと、宮崎1.73、沖縄1.82などがあります。減少とともに、現在の年齢別人口のアンバランスも見てとれます。
 高齢出産に関わるデータで見てみますと、あくまでもデータとして、20歳から35歳の出産数というのが1947年と現在ではほぼ同じ70%前後になっていますが、内容には大きな違いがあり、データとして20歳から24歳までの出産が24%から10%以下に激減しています。その分、あくまでデータとして30歳から35歳の割合が増えているのが見てとれます。
 特に1980年以降、データ上の高い年齢での出産傾向への急激なシフトが始まっています。
 年間1万人以上ずつ減る県人口と少子多高齢のアンバランスな人口構造の回復を実現するには、漠然とした年齢層に対して1世帯当たりの出生数の増加を目指す、そういう政策のつくり方よりも、少子化対策のターゲットエージを20代早期に設定し、生活必需品などをサポートできる制度をつくる政策に新しく取り組むべきではないかと考えます。
 例えば、前回も質問の中でお示しいたしましたが、市町村と折半してでも、毎月2万円ずつ、おむつや粉ミルクほか子育て経費、家庭的保育の費用などを領収書と交換で期限付の地域振興券で渡すなどして、若くして産み育てやすい制度をつくり、環境を整えていくほうが、少子化の回復に対する効果が出るのではないでしょうか。
 ちなみに、県のデータによると、2019年の出生数は5869人、仮に資料の数値、20歳から24歳の比率11.4%に当てはめますと、対象人数は669人、小学校に入るまでの6年間で掛ける6、そして、年間24万円の半分としますと、県の支出を予想しますと約4.8億円となります。仮に市町村を私の住んでいる田辺市に当てはめますと、対象は約400人。仮にですが、支出を計算しますと約4800万ということになります。
 社会的にも経済的にもターゲットエージの一番苦しいときに手が届き、若くして安心して2子、3子を産み育てる環境を整えることにつながった場合、和歌山県の女性活躍推進政策が成果を上げていれば、育児後の女性の社会復帰が若いうちに実現され、今後危惧される県内での労働力不足の課題とともに、人口バランスの安定と少子化解消につながると考えます。
 万が一、2子につながらなくとも、PTAや子供会活動など、コミュニティー運営に参加する年齢が若くなりますし、40代で子育てが一段落することで、男女とも会社での若い感性を生かした生産能力向上や、当然独立や起業挑戦という地域社会への経済効果というものが生まれてくると考えられます。
 当然、結婚、出産は自由でございます。ですので、その方の考え方、状況に応じて、使う自由が担保される申請による助成制度が倫理的に求められるものであることも付け足しておきます。
 また、当然、人によってはよいことばかりではありません。しかしながら、政策として高齢出産のリスクが近づく年齢に第3子出産優遇を用意することと同時に、20歳代早期への産み育てやすい環境整備というのは、より現実的ではないかと思っています。
 繰り返しますが、給付ではなく制度として用意することは、利用する方の自由も担保されると考えています。
 少子化解消に向けた、若くして産み育てやすい環境整備を目的とするターゲットエージを20歳代早期に置いた助成制度の創設について、知事にお聞きをいたします。
〇議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 本県としては、子育てや教育にかかる費用の負担が子育て世代への負担となっていることが、少子化問題の一因であるともともと認識しておりまして、特に保護者の経済的負担が大きくなるのが、子供の就学前と大学在学中であることから、この時期の負担を軽減する対策が必要であると考え、これまでも第3子や第2子の保育料等の無償化を進めているところでございます。
 そのほか、雇用がたくさんないと、どうしても人口も減ってくるし、それでその結果として少子化の進捗もどんどん進んでしまうということで、これまでの議論があったように様々なプロジェクトを、弊害を除去しながらどんどん進めていくということを一生懸命やってるところでございます。
 しかしながら、現状では、このような保育料無償なんかもちょっと効いた節があるんですけれども、まだターゲットとなっております合計特殊出生率2.07までは程遠いというところでございまして、谷口議員の提案なんかにばっと飛びついて、「よし、それでいこう」というように物すごく言いたくなるというぐらいの感じなんでございますが、ちょっと待て待てと、よく考えてみようということで考えた結果なんですが、少子化の原因といたしましては、未婚化とか晩婚化とか、子育てしやすい職場環境がまだまだ整っていないということとか、いろいろ複合的な要因が影響しているということもあると思われます。
 特に、結婚がなかなか進まないということでございますので、出会いの場の創出による晩婚化の解消や、結婚をちゅうちょするのに仕事と子育ての両立ができないというときは困るので、それの両立支援など、総合的な対策を進めているところでございます。
 特に、議員御指摘の20代前半の方については、仕事や学業に打ち込みたいとか、まだ必要性を感じないとか、適当な相手に巡り会えないなどの理由があるように調査結果で出ておりまして、未婚率が、御指摘もありましたが、約9割とまだ結婚をしていない方が圧倒的に多いわけであります。
 したがって、議員御提案のような経済的負担をぱんと与えるということ以上に、まず結婚していただくためのいろんな仕掛けをつくる。すなわち、まずは出会いの場の創出など、結婚への支援が重要であると考えております。
 議員御提案の地域振興券による20代前半の子育て世帯への経済的支援について考えてみますと、ただいま申し上げましたように、この年代層は結婚への支援のほうが重要であるということと、それから既に保育料の無償化や児童手当といった制度があることに加えまして、実は特定の年齢層のみに対する支援というのがいいんかという公平性の観点でいつも疑問があるわけでございまして、なかなか採用ということが難しいのではないかというふうに考えます。
 いずれにしても、少子化対策、現状の結果で満足というわけでは決してありませんので、今後も子育て世帯への経済的支援など、安心して子供を産み育てやすい環境整備を考えて、それで熱心に進めていかなきゃいけない、そんなふうに考えております。
〇議長(岸本 健君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 私は、昭和46年生まれです。48年までが第2次ベビーブームということで、そのときの出生数が269万。昨年の出生数が94万ということで、本当に半分以下──間違えました。209万ですね。209万から94万人に出生数自体がなってるということで、本当に人口の減少とともに、これから命を生み出す世代の方々がどんどん少なくなってる状況を見る中で、やっぱり皆さん一緒やと思うんですけど、自分たちが住んでるふるさとがどこまで健全に続いていけるんか、笑いながら住んでいけるんか、そういうことを危惧していると思います。
 やっぱり人生にはいろんな幸せというか、感じるものがあると思うんですけども、子供を産んで育てていく、こういうことにやっぱり夢を持てたり希望を持てたり、そういうふるさとであってほしいなと思うんです。
 和歌山県で人生を生きていく上で、幾つか目標であったり希望であったり、夢見ることであったり、その中の一つとして、やっぱり和歌山で子供を産んで育てていく、こういうことに希望を持ってる、そういう和歌山であってほしいなと。その礎をぜひ仁坂知事にはつくっていただきたいなと強く思っています。
 感じるところは、やはり若くして産み育てにくい、そういう状況を私は感じているので、そういう社会の障害というのを少しでもなくしていけるようにやっていきたいと思いますので、これからも、幾つか御提言も申し上げさせていただきますけれども、今後とも御答弁よろしくお願いします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時22分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
〇議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕(拍手)
〇玉木久登君 皆さん、こんにちは。
 何を言うのかちょっと忘れるぐらい緊張しております。
 21日の日ですけど、WHOの発表がありました。日本はこの新型コロナウイルス、だんだんと終息に向かっている状況でありますけども、世界では最大感染数を記録したということで、まだまだ世界的には終息に向かっていないという状況だと思います。
 そんな中で一番多いのがやっぱり北米、中南米、これが非常に増えているということで、世界で活躍していただいている日本人の方はもちろんではございますけども、やはり世界大会、去年開かれました和歌山県人会の皆様のことも大変気になるところです。やっぱり県議会としてもそこら辺を何とかエールを送れないかなと、私自身も考えておる次第でございます。
 そんな中で、週末、県外に渡ることというかな、行くことが解除されたということで、有田の高速道路も非常に渋滞をしておりました。有田では辰ヶ浜に新しい「浜のうたせ」という産直市場がオープンしております。もう昨日、土曜日、日曜日、県外の車がたくさん来て5倍の売上げがあったという話も聞いております。
 また、これから和歌山県、やっぱり観光立県でありますので、やっぱりそういう県外からのお客さんをどんどん迎えていかなければなりませんけども、やはり新型コロナウイルスも気になるところでございます。
 今回、補正予算でかなりの金額を補正予算として上程されております。その金額の中には、医療従事者の方、また、事業継続に向けての支援策、様々なことがございます。それをしっかり明日からの委員会でも審議してまいりたいなと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問のほうに入らしていただきたいと思います。
 まず、1項目めです。
 和歌山県福祉のまちづくり条例についてお伺いいたします。
 福祉とは、人々の幸せで安定した生活を公的に達成しようとすることであります。
 和歌山県福祉のまちづくり条例の前文には、「私たち一人一人が自立し、生きがいを持ち、住み慣れた地域で安心して生活を営むことができる真に豊かな福祉社会の実現は、私たちすべての願いである。 このような社会を実現するためには、一人一人が個人として尊重され、社会からのサービスを平等に享受でき、個性と可能性に応じたあらゆる分野での社会参加の機会が平等にもたらされなければならない。 このためには、障害者や高齢者等の行動や社会参加の機会を阻んでいる様々な障壁を取り除き、すべての人が自らの意思で自由に行動し、主体的に社会参加ができ、共に地域社会で快適に暮らせる福祉のまちづくりを推進していくことが必要である。 ここに、私たち県民は、福祉のまちづくりを推進するために、共に力を合わせ、不断の努力を傾けることを決意し、この条例を制定する。」と明記されています。
 この前文の下、条例は制定をされ、県は社会情勢の変化とともに改正を行いながら今日に至っています。
 この条例の取組状況について、福祉保健部長にお伺いをいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの玉木久登君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 和歌山県福祉のまちづくり条例については、障害のある人、高齢者等が安全で円滑に利用できる施設等の整備を進めることを目的に平成8年に制定いたしました。
 条例では、官公庁舎、社会福祉施設、病院、ホテル、道路等の多くの人が利用する施設等について、段差の解消、スロープや点字ブロックの設置等、全ての人が利用しやすい施設等の整備を進めるための基準を定めており、一定規模以上の施設等が新築や増改築等を行う際には工事の着手前に届出を行うことを義務づけ、基準に適合した整備を行うこととしております。
 整備基準については県ホームページで周知するとともに、建築関係団体に対しては、団体の研修の機会等を通して、条例の趣旨や基準の周知徹底、技術的指導や助言等を行っております。
 また、県有施設、市町村有施設のバリアフリー化につきましては、定期的に調査を実施しておるところでございまして、エレベーター等の大規模な改修が必要なものについてはまだ十分ではございませんが、階段手すりの設置や段差の解消等、障害のある人や高齢者等が日常的に必要とするものにつきましては、多くの施設で整備が進んでおります。
 引き続き、障害のある人等が安全で利用しやすい施設整備を推進してまいります。
〇議長(岸本 健君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 ありがとうございます。
 主に行政主導によるハード整備としてのバリアフリー化についての取組状況をお答えいただきました。障害者、高齢者の方々に配慮されて、施設の計画や整備基準等を設け、規制などを行いながら使いやすいまちづくりへと進んでいます。
 一方で、ユニバーサルデザインという言葉があります。バリアフリー化は、主に障害者、高齢者の方々を対象として、ハード事業としての認識がやや強いのに対して、ユニバーサルデザインの考え方は、全ての人に優しく、個人差や国籍の違いなどに配慮したハードとソフトの両面を併せ持つ形と言えます。
 また、バリアフリー化は法律や条例等で規制することで普及される行政指導型ですが、ユニバーサルデザインは、良いものを推奨する民間主導型とも言えます。いずれにしても、バリアフリー化もユニバーサルデザインも個々を尊重して思いやる心が大切です。行政主導、民間主導にとらわれることなく取り組まなければなりません。
 条例の中で「私たち県民は、福祉のまちづくりを推進するために、共に力を合わせ、不断の努力を傾けることを決意し、この条例を制定する。」、まさにそのことを示しているのだと思います。
 さて、バリアフリー化とユニバーサルデザインについて述べましたが、物や施設などのハード面のバリアフリー化やユニバーサルデザインが整備されたとしても、サービスを提供する人の心の優しさや思いやりがなければ、本当の意味でのバリアフリー化、ユニバーサルデザインとはならないと考えます。
 福祉のまちづくりをより推進するには、ソフトへの取組が重要と考えますが、ソフト事業への取組について、福祉保健部長にお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 障害のある人が、あらゆる活動に参加し、地域で生き生きと暮らしていくためには、県民の方々に障害に対する理解を深めていただくことが重要であると考えております。
 県では、「県民の友」、テレビ、ラジオ等の広報媒体を活用し、障害の特性、障害のある人に対する配慮や必要な支援等、障害のある人に対する理解を広めていくための啓発を行っております。
 さらに、平成28年からは、障害のある人に対して、さりげないサポートや配慮を行うことで、誰もが暮らしやすい地域社会づくりを目指す「あいサポート運動」に取り組んでおり、民生委員・児童委員等の地域で活動している団体の研修会や企業での職員研修等の様々な機会を生かし、あいサポーターの養成を進めております。
 加えて、公共施設や店舗等に設置されている障害者等用駐車区画の適正利用の推進や、外見からは障害のあることが分からない人が周囲に配慮を必要としていることを知らせるヘルプマークの普及に取り組む等、障害のある人の社会参加を進め、地域で自立し、安心して生活することができる環境づくりを進めております。
 引き続き、障害のある人もない人も、共に快適に暮らせる福祉のまちづくりに取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 お答えいただきました。ありがとうございます。
 バリアフリー化とユニバーサルデザイン、どちらとも全ての人が心の優しさと思いやりを持つことによって、ハード事業だけでは足りない部分、その部分を補うという点では共通していると思います。心の優しさや思いやり、これを全ての人が持てるようになればいいなと思います。やはり小さい声、また、そういう声にぜひとも耳を傾けていただいて、よりよいまちづくりへとお願いしたいなと思います。
 また、機能性や危険に感じることなど、アドバイスを福祉団体の方々からの意見などを取り入れることは非常に重要だと思います、大変有意義な手段であると考えますので、ぜひとも実現していただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 福祉施設を訪れて、よく団体の方とお話しする機会が最近多くあります。そんな中でノーマライゼーションという言葉をよく耳にするんですけども、今、宮本部長おっしゃっていただいたとおり、障害のある人もない人も、共に快適に暮らせる福祉のまちづくり、まさにそのことだと思いますんで、どうか今後ともよろしくお願い申し上げます。
 次の質問に移ります。
 和歌山県における総合的な自殺対策の推進についてお伺いいたします。
 昨年9月定例会一般質問において、自由民主党県議団・山下直也議員がこの問題を取り上げ、様々な提言をされております。中でも、どのような原因で自死、自ら死に至るのかを分析し、1人でも多くの県民の命を守る取組の一つとして、有識者会議の必要性を唱え、知事はその答弁の中で、有識者会議の立ち上げを表明されました。その後、10月29日には、自殺防止対策に取り組む和歌山県自殺防止対策の推進に関する有識者会議が開かれ、協議が行われたことは承知いたしております。
 私も、この問題については重要であると考え、山下議員から教示をいただきながら取り組んでおります。
 今回は、改めて昨年6月に公表された人口動態の後の和歌山県の自殺死亡者数の状況並びに現在の取組、また、今後の新たな取組について、福祉保健部長にお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 本県の自殺者数は、近年、全国の中でも多い傾向にあり、平成30年の自殺者数は197人となり、人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率は、全国16.1に対し21.2と全国で最も高い結果となりました。
 そのため、これまで行ってきた自殺予防のための啓発や教育の充実、自殺リスクのある人を早期に精神科医療につなぐための取組に加え、さらなる対策を実施してまいりました。
 まず、相談体制の充実を図る観点から、スマートフォンなどの普及が若年層のみならず中高年にまで広がりつつある中、リアルタイムでコミュニケーションができるSNSを活用し、平成31年1月から全国でも例のない年間を通した相談を開始しました。
 さらに、自殺者が日中に次いで深夜に多く、曜日では日曜日が最も多い傾向にあることから、平成31年4月には、これまでの電話相談を365日24時間体制に拡充しました。この相談体制についても全国で本県のみの取組となっています。
 また、過去に自殺未遂歴がある人の割合が全国に比べ高いという状況があったことから、自殺未遂者の再企図防止を図るため、重症・重篤患者に対応する3次救急医療機関の協力を得て、自殺未遂で搬送された方やその家族の同意を得て、保健所の職員が本人、家族と連絡を取って、自殺の原因となった問題の解決に向けた相談を行う取組を始めました。
 こうした中、今年6月5日に発表されました令和元年の人口動態統計の概数によれば、自殺者数は160人となり、前年比で37人減となっており、自殺死亡率も全国15.7に対し17.4となり、対前年比で3.8ポイント減少し、大幅な改善が見られたところです。
 さらに、令和元年10月からは、全国の医療、司法、民間支援団体をはじめ様々な分野の有識者により立ち上げた和歌山県自殺防止に関する有識者会議において、本県独自の自殺の傾向を分析し、その分析結果を踏まえ、より長期的な自殺防止対策を現在検討しているところです。
 今年度の新たな取組といたしましては、自殺未遂者の再企図防止について、より多くの人を支援するため、24時間体制で救急患者を受け入れる2次救急の医療機関を対象として拡大を図っているところです。
 今後とも、自殺の多い地域で周辺エリアの見守りを実施してくれている民間団体の地道な取組を支援する等、関連団体と連携しながら、引き続き総合的な自殺対策の充実を図ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 ありがとうございます。自殺防止に向けた様々な取組内容、それと今後の新たな取組について御答弁をいただきました。
 答弁の中で、平成30年の自殺者197人、死亡率10万人当たり21.2から、前年度比で37人減の160人、死亡率17.4との結果に一定の効果が見られているということは、これは取組の成果だと思います。しかしながら、全国平均死亡率15.7に対して17.4という数字の表す意味は、今後も継続してしっかりと取り組んでいかなくてはならない重要課題であることに変わりはないと思います。
 また、新型コロナウイルス感染症による経済的負担や自粛等によるストレス、こういうところから自死に至る可能性もあり、今後の経過が大変気になるところです。より精神的なケアが必要ではないかと考えます。引き続き、取組の強化をよろしくお願い申し上げます。
 有識者会議については、今後、その分析結果を踏まえ、より長期的な自殺防止対策を検討することとありますが、今状況下での開催も慎重に慎重を期さなければならないと思います。リモート会議等含め、早期に再開を希望いたします。一歩でも前に進めていただきたいと思います。
 ここで、県内の大学生でつくる学生団体が自殺防止策を考えるシンポジウム、これを企画し、中高生による参加を呼びかけている、そういうことがございます。それについて少しお話をさせていただきたいなと思います。
 この学生団体は、2018年に発足して、前回は発達障害に目を向けて、中高生の目線で啓発や聞き取り調査を実施、その結果の発表を行っています。今回は第2弾としてメンタルヘルス、自殺についてをテーマに取り組むということです。若年層の悩みを調査し、どのような原因で自ら死を選ぶのかを考える、この行動力には感銘をいたしました。
 先般、SNSによる心ない誹謗中傷によって、1人の若い女性が命を絶ったニュースは記憶に新しいところです。私個人の思いとしては、憤りと、日本人として美徳とされてきた相手のことを思いやる心が失われつつあることに危機感さえ覚えます。でも、このニュースだけではございません。日々、やはり若者はSNSの誹謗中傷にさらされ、自ら命を絶つと、そういう事案も日々起こっているのではないかと思います。
 このような悲しい出来事が二度と起こらないためにも、若者の心理状態を知る上で、この取組との連携、これは大変有意義ではないかと考えます。
 昨日、この会議というか、この学生団体、このリーダー的存在の方とリモート会議をする機会がございました。その方は、私たちというか、若者自身がやっぱりこのことをしっかり考えていく、そして、社会の中でそのことを捉えてもらえる。やっぱり何かと政治の中では、若者自身が発言して行動を起こすということがいかにも少なかった、そう彼女は感じているようです。そんな中で、やっぱり若者が発言して、それが政策に反映される、そういうことを望んでいるというお話でございました。非常にいいことだなと私も思います。成果を発表するシンポジウムは9月に予定されているということです。ぜひとも連携をいただいて、その内容を注視していただければなと思います。
 この問題を考える中で、脳科学者である中野信子先生の著書「人は、なぜ他人を許せないのか?」という本に出会いました。全ての人の心に潜む正義中毒という快楽を最新の脳科学で解き明かすという内容です。内容については割愛しますが、正義中毒という誰もが持ち得る感情、そのことを理解することができ、参考になりました。機会があればぜひ読んでみてはどうかと思います。
 次の質問に移ります。
 三つ目です。和歌山県遠隔救急支援システムの県全域での展開についてお伺いをいたします。
 本県は、県内の病院の約半数が和歌山市に集中し、救急救命を担う救急担当医などの専門医の地域偏在が見られ、県内の各医療圏において、県民が安心できる救急医療体制をどのように構築していくのかが大きな課題であります。
 それぞれの医療圏では、救急医療を守るため、公立・公的病院が中心的な役割を果たすべく、懸命な努力をいただいていることに、まずは感謝申し上げます。しかしながら、現在は勤務医の確保が困難な状況の中、救急担当医に大きな負担を強いている状況にあるとお聞きしております。
 また、2次医療圏では、処置の難しい重篤な救急患者については、県立医科大学附属病院、日赤和歌山医療センター、南和歌山医療センターに設置している救命救急センターへの搬送で対応していますが、ドクターヘリが運航できない状況下などでは、長距離の搬送に時間を要するケースもあり、処置までに時間がかかるといった課題もあります。
 県では、こうした課題を解決する手段の一つとして、昨年4月から、各医療圏の中核病院をオンラインで結ぶスマートフォンアプリである汎用画像診断装置用プログラム「Join」とモバイル端末を活用し、県全域を対象とした遠隔救急支援システムを全国で初めて構築、本格的に稼働を始めました。
 また、本年2月には、新型コロナウイルス感染症患者の入院調整において、このシステムを活用するとの発表もありました。勤務医の確保が困難な状況の中、IT、AI技術と医療の融合は、次世代移動通信システム5Gによる僻地遠隔診療とともに、医師が不足する地域の救急をはじめ、不足がより深刻な産科、小児科等の地域医療の充実にもつながる取組であると期待しています。
 そこで、本システムが導入に至った経緯、本システムの特徴と現在の運用状況並びに今後の展開についてどのように考えているか、福祉保健部長にお聞きいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 県では、県内の3次救急、2次救急を担う公立・公的医療機関がその役割を十分に果たせるよう協議を重ねながら、全県的な連携づくりに取り組んできました。
 その中で、本県の不利な地理的特性を解消するために、遠隔地の医療機関を結ぶネットワークを構築することが必要であるとの共通認識に至り、平成28年には、情報通信技術を活用した遠隔救急の試みをスタートさせました。
 そして、平成31年4月からは、民間企業が提供する医療従事者間のコミュニケーションツールを利用して、県内13の公立・公的医療機関を情報通信ネットワークでつなぐ遠隔救急支援システムの本格的な運用を開始しました。
 本システムの特徴は、モバイル端末を用いて検査画像の送受信を行うことで、医師間、病院間での正確かつ迅速な情報共有が可能となり、休日夜間における当直医の負担軽減や病院間転送の判断、転送後の処置開始までの時間短縮などの効果が期待できます。
 運用状況については、令和2年5月末時点で、試験運用期間も含め86件の利用があり、中には事前の画像送付により手術開始までの時間が60分以上短縮でき、患者の救命につながった事例や、検査画像を確認して転送不要と判断できたことで患者の負担を軽減できた事例もあります。
 また、新型コロナウイルス感染症への対応では、肺炎のCT画像等を感染症専門医と共有することで、感染が疑われる患者の画像診断や受入れ病院の選定にも活用することができ、感染症対策としても有効であることを認識しました。
 遠隔救急支援システムは、地域の限られた医療資源を効果的に活用する上で有用であることから、県としては、引き続き本システムの利用を促進してまいります。
〇議長(岸本 健君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 ありがとうございます。
 本県の不利な地理的特性がやっぱりあります。平素から地域医療の在り方をやっぱり研究いただいているからこそ、全国で初めてこのシステムが県全域で運用することができたのだと理解することができました。
 また、和歌山県立医大から各医療圏が有する公立・公的病院への医師派遣、これによって、やっぱり人のネットワーク、これが構築できていることもシステム導入がスムーズに行えた要因ではないかなと考えます。オール和歌山で各医療圏をカバーすることの大事さ、これを改めて痛切に感じます。とはいえ、常々申してるんですけども、勤務医、これの地域偏在、これの根本的な解決にはなかなか至りません。引き続き、勤務医確保への取組を切に願います。
 一方で、国の動向に目を向けますと、地域医療構想を進める中で、全国の公立・公的病院の医療機能を数値のみで判断し、再編・統合すべきとして424の医療機関の名前を公表されました。そのうち和歌山県も五つの医療機関が名指しされたところであります。
 地域医療構想、その医療圏の特性を重視すること、これはもう当たり前のことだと私も思います。これを前提として、今後しっかり、やっぱりきちっと、これは地方に任すべきであると私は考えています。今後の新型コロナウイルスの患者に対する対応のために病床を確保する、今議会でも上程をされておりますけども、やっぱりお医者さんがいないと、それにも対応できなくなってくる、それはもう現実的なことだと私は思います。
 また、実際、これ働き方改革がお医者様に適用される時期がもうすぐ来ます。そうなってくると、和歌山県立医大でさえ、やっぱり医師を確保していくということは非常に難しい状況になることも考えられます。そんな中で、やっぱり地域偏在の問題はより深刻になってくるのではないかなと思います。
 来年4月、薬学部が開設されます。やっぱり若者が和歌山県に定着する、そういう意味では非常に注目もされてますし、非常にいいことだと思うんですけども、先日そのお話を聞かしていただいた中で、やはり県民枠というのが15人推薦枠があるということでお聞きもしております。ただ、やはり薬学部ですから、薬剤師の方の県内状況はどうなんですかとお聞きすると、やはりこれも地域偏在がある、そういう現実もお話をいただいております。
 やはり県立医大では、地域医療支援センターもございます。そんな中で地域医療枠、また県民医療枠の中でしっかりと医学生を育てていただいてるというのは重々分かっている上でのお話をさしていただきますと、やはりしっかりと和歌山県に定着していただくお医者様、そのお医者さんがしっかりと指導医として各公立病院で手腕を発揮していただいて、そのいい指導医の先生にまた教わりたいという学生がどんどん増えていくようなシステムを構築していくことが、僕は重要ではないかなと思っております。
 そんな中で、もちろん県議会としてもしっかりと支えていくと、取り組んでいくと思いますけども、知事の発信力もしっかりと出していただいて、リーダーシップ執っていただいて、やはりこの医師の偏在問題については取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 最後の項目に移ります。
 4番目、農業後継者の育成についてお伺いいたします。
 平成29年9月定例会では、新規就農者の現状と支援策について、平成30年9月定例会においては、新規就農者の確保目標とする人数とその数値の根拠についてをお伺いいたしました。その内容に触れながら、今回は農業後継者の状況について取り上げたいと思います。
 まず、取組内容について少しお話をさしていただきます。
 まず、新規就農者確保への取組です。国が行う新規就農者に対して資金を助成する農業次世代人材投資事業があります。
 本県の取組では、新規就農者の確保を図るため、振興品目や研修、資金等の支援策を掲載した産地提案型就農モデルプランを策定し、就農相談会への出展を行う産地の取組を支援するわかやま版新規就農者産地受入体制整備。
 また、幅広い年代を対象に、農林大学校や就農支援センターでの技能研修に加え、農業経営セミナー、車座座談会、わかやま農業MBA塾の開催及び専門アドバイザーを派遣する等による総合的な経営発展支援を行い、地域を牽引する強い経営体を育成する農業経営発展サポート。
 また、本県独自に各地域に設置した農地活用協議会による農地あっせんに加え、担い手への農地集約を進めるために、農地中間管理機構が一団農地に含まれる遊休農地をリフォームし、貸付け、売渡しを行う取組を支援する和歌山版遊休農地リフォーム化支援。
 協業組織の育成と農協の営農参画を強力に推進するため、生産拡大や販売促進、人材育成を総合的に支援する攻めの農業実践支援。
 また、資金面での取組では、日本政策金融公庫が行う無利子貸付金制度の活用支援などがあります。
 その取組の様々な情報発信として、就農研修メニューを掲載した案内冊子の作成や県内外で開催する就農や移住に関する相談会での説明や配布など、様々な取組が行われています。
 これらの取組は、和歌山県長期総合計画に明記する農林水産業の担い手の育成と確保についての現状と課題に対応する主な施策であります。
 新規就農者の確保を示す進捗管理目標は、計画当時の中核的農家6000戸と同水準を今後も確保するため、就業年数を勘案して設定された10年間で1800人確保する、これが目標であります。ですから、年間約180人ということになります。この内容を踏まえ、現時点での県内の新規就農者の状況について、農林水産部長にお聞きいたします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 新規就農者の状況についてお答えします。
 令和元年度の新規就農者は133名で、現行の和歌山県長期総合計画を策定した平成29年度から令和元年度までの3年間の年平均は132名となっております。
 作物別、地域別で見ますと、果樹関係への就農者が約6割で最も多く、特に基幹作物であるミカンの価格が安定している有田地域の就農者が最も多くなっております。
〇議長(岸本 健君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 部長、ありがとうございます。
 133、132、平均です。いろんな施策やっていただいてるんですけども、なかなかやっぱり数字的に難しいなということだと思いますが、次にちょっと移りますね。
 次に、農業次世代人材投資事業における親元就農への支援と後継者育成の今後の取組についてお聞きいたします。
 農業次世代人材投資事業は、就農初期の不安定な時期の経営安定を目的として、新規就農者に対して資金を助成する制度ですが、農家子弟、農家の子供さんが親元に帰り就農する者に対しても、同様の支援が受けられる制度です。
 しかしながら、新規参入者と同様の経営リスクが要件となるために、事業認定を受けるためにはハードルが高く、生産者から事業認定の要件緩和をしてくれということが多く寄せられております。
 そのことから、今後は国に対して要件緩和を働きかけていかなければならないと考えておりますが、それまでの間、県として独自に支援できないかと考えています。
 そこで、農業次世代人材投資事業における親元就農への県の支援と、後継者育成の今後の取組について、県の考え方を農林水産部長に再度お聞きいたします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 農業次世代人材投資事業における親元就農への支援と、後継者育成の今後の取組についてお答えします。
 まず、農業次世代人材投資事業における親元就農への支援についてですが、議員お話しのとおり、農家子弟が親元就農をする場合、5年以内に親から経営を継承するとともに、新たな品目導入や経営の多角化などに取り組み、農業に新規参入する者と同等の経営リスクを負った就農計画であると市町村長に認定されることが事業の交付要件となっております。
 このため、県では、農地のあっせんをはじめ、ハウス栽培の導入や加工品づくり、販路開拓への支援などにより、事業要件を満たし資金の交付が受けられるようサポートしてきた結果、資金の交付を受けた者の約6割が親元就農した農家の子弟となっており、引き続き、こうした支援を通じて、より多くの農家子弟が農業次世代人材投資事業を活用できるよう取り組んでまいります。
 次に、後継者育成の今後の取組についてですが、農業者の減少や高齢化が進む中で、後継者の育成を進めていくことが重要であると考えております。先ほど来、玉木議員からいろいろお話しいただきましたように、農林大学校等での人材養成をはじめ、経営力向上のための農業経営塾の開催に加え、所得向上を図るための生産、販売対策に取り組んでまいります。
 また、今年度の新政策として、革新的技術を活用したスマート農業の導入を加速化するとともに、労働力確保や協業組織の育成、就農モデルプランにより産地から求める人材を発信する取組や遊休農地のリフォーム化などを支援し、後継者の確保、育成にしっかりと取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 御答弁いただきました。ありがとうございます。
 この項の冒頭に申し上げましたとおり、様々な施策を考えて、新規就農者の獲得と育成に懸命に取り組んでいただいているということがよく分かりました。今後の新しい取組についても、私もしっかりとサポートしてまいりたいと思います。
 最後に、私が考えていることについてお話をさしていただきたいと思います。
 私の地元は、御存じのとおり本場有田みかんの産地です。私自身は農家子弟ではなく、ミカンについてはずぶの素人、県議会議員になってから、改めて地元の特産品である有田みかんがどれだけのすばらしいブランドであるかということを再認識いたしました。
 それからは、ミカン農家の皆さんにいろいろお話を聞いたり、篤農家の方々の勉強会に参加させてもらったりして、それなりに知識も得ることができるようになった頃から、腹を割った農家の皆さんの思いを聞くことができるようになったと思います。このすばらしいブランドである有田みかんを支えてくれている農家さんこそが本当のブランドなんだと思う気持ちがだんだん強くなってまいりました。
 今、和歌山県産温州ミカンの収穫量は16年連続で日本一です。近年は価格も安定し、多くの農家の皆さんは、今まで以上にミカン作りに誇りを持っています。ミカンの底値を知る皆さんも「今なら継がせたい」とおっしゃる方も多くなってきました。農業次世代人材投資事業による就農者の中でも、新規参入者より農家子弟の親元就農の割合が多いのもうなずけるところです。
 今、コロナ禍と向き合う中、先行きの不安は農業についても同じですが、都会の住みづらさや今後の雇い止め、就職難も予想される中、今こそ「和歌山へお帰り」を合言葉に、親元就農希望者に今しかできない県独自の施策をと切に願い、要望したいと思います。
 10年間で1800人の就農者を確保目標とする和歌山県の長期総合計画、これを達成するには、このピンチをチャンスに変えることではないかと考えます。
 先般、県当局はじめ関係各位の御尽力により、有田みかん地域農業遺産推進協議会設立総会が開かれました。生産者としてこの協議会の立ち上げに御尽力をいただいた代表の1人であります株式会社早和果樹園会長の秋竹新吾さんは、私にこう言いました。「私たち年寄りが頑張れる時間はあと少ししかない。今、若者に残せるものは、有田みかんを世界のブランドにすること」、そうおっしゃいました。その言葉の重みに応えて、これからも頑張ってまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、玉木久登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
〇新島 雄君 議長のお許しをいただきました。今議会最後の質問者として登壇をさせていただきますこと、御配慮いただきました先輩・同僚議員各位に感謝を申し上げます。
 早いもので、今年も半年が過ぎようとしています。暦の上では、昨日が夏至であります。今年も厳しい夏に向かって頑張っていくんだなあ、そんなことを実感しております。
 また、父の日でもありました。案外ニュースなんかでも取り上げられません。ところが昨日、プレゼントを頂きました、家族ではなしに違うところから。おいしい食べ物だったもんですから、本来ならそれをさかなにビールをぐいっとやるのですが、なかなか強いもんですから、家では一切飲んでおりません。
 皆さんは、お子さんから頂きましたでしょうか。家族は冷たくても、そんなプレゼントをくれる温かい日曜日でありました。
 世界各地で多くの人々が感染し、たくさんの方々が亡くなる事態となりました。心からお悔やみを申し上げ、御冥福をお祈り申し上げますとともに、感染された皆さん方にお見舞いを申し上げます。そして、一日も早い収束を願っています。
 また、医療関係に従事される皆様方に対し、心よりお礼と感謝を申し上げます。危険と隣り合わせの上、情報の少ないウイルスとの対峙に関して、最前線で使命感を持ち働いていただいてますことに感服いたしております。ありがとうございます。
 県民の皆様には、自粛、自粛と言われ、大変つらい中、御協力をいただきました。本当に感謝いたしております。店を閉めたり、営業を休んだり、仕事が窮地に陥りながらも、感染を広げないために大きな犠牲を払っていただきました。御協力ありがとうございます。
 人類は、新しいウイルスと共存をしていかねばならない、そんな使命を背負っていると言われています。そのためには何をしないといけないか、それを皆さんとともに考え、行動していきたいと思っています。
 そんな中、先日、自粛要請を緩和することが発表されました。緩和をされましたが、ここで私のところに連絡のあった要望を申し上げたいと思います。10日ほど前のことであります。「実は、高齢の女性が入院をしとるんだ。骨折なんだ」と。「御主人が『見舞いに行きたい、面会に行きたい』、そう言うんやけども、行けやんのや。何とかならんか」、そんなお電話をいただきました。付け加えて、「放っておいたら認知症が進んでいくように思うて心配なんや。和歌山県に感染者出てないやんか。何とかならんかい」ということであります。そのような電話は、病院のほうやこの県庁にもたくさん寄せられていることは承知をいたしております。
 病院などでは、院内感染の対策上、厳しい面もあろうかと思いますが、患者さんや御家族の意向も酌んでいただき、可能な限りの対応をしていただくよう、県として医療関係機関に御助言をいただきますよう要望させていただきたいと思います。
 質問に入ります。
 今議会において、議案第91号令和2年度和歌山県一般会計補正予算の中で、債務負担行為の補正に関連して、指定管理者制度についての質問をいたします。
 指定管理者制度とは、経費の削減と行政サービスの向上を目的に導入された制度であります。それには、民間活力が大前提であります。
 和歌山県では、指定管理者制度の導入施設は39施設あります。どの施設も契約期限があり、5施設においては5年または1年であります。残り34施設は3年となっています。現在の制度はおおむね3年が一区切りとなっているのですが、私が経営すると考えてみますと、3年だと随分短いように感じてしまいます。企業として考えれば、思い切った投資や人材の雇用、そんなことも不安を抱えながら運営をしていかねばならない、そう思います。
 ましてや、今年のように新型コロナウイルスの世界的蔓延により営業すらできない状況になり、大変苦しんでおられる指定管理者の方も多くいます。
 地方自治法第244条の2第5項には「指定管理者の指定は、期間を定めて行うものとする。」とされています。法令上期間の定めはありません。条例において、5年以内を上限とするよう規定をされています。私の記憶が正しければ、指定管理者制度ができた当初はたしか5年だったと思います。それが、現在ではほとんどの施設が3年となっています。なぜなんですか。
 もう一つデータを報告します。知事は知っていることと思いますが、全国的な状況では、制度導入当時、これは平成18年、3年が47.3%、5年が28.9%、そこから徐々に3年が減り5年が増える傾向にあり、平成30年の調査では、3年が15.0%、5年が71.5%となっています。
 「それがどうした」と知事に言われそうですが、和歌山県は逆行してます。人材を確保しつつ、県民へのサービスを向上するという目的達成のためには、原則3年にこだわらず、施設の設置目的や利用者の状況などを考え、指定管理期間を5年にするなど柔軟に対処していく考えはありませんか。今日までの評価と併せて、知事、お答えください。
〇議長(岸本 健君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 指定管理者制度は、施設所有者である県が、何年かに1度はサービスの提供の現状を検証し、仕様書の見直しを行い、改めて最も優れた提案を行った者を管理者に指定し直すことで、サービスの向上を実現しようという制度であります。
 指定管理期間について、議員御指摘のとおり、制度導入当初はほとんどの施設の指定管理期間を5年としておりましたが、急速な時代の動きの中での県民のニーズの変化などに応じた業務の見直しの必要があるとの観点から、和歌山県は原則3年に変更したところでございます。
 指定管理期間をいかに設定するかは、指定管理者が行う業務に応じた施設の類型によると考えられます。このため、改めてこの観点でかつて検討した結果、現在は、維持管理が主たる業務となる施設は原則3年を維持する一方、創意工夫の余地が大きいソフト事業の業務割合が高く、指定管理者のノウハウ蓄積に時間を要する施設は例外的に5年ということにいたしました。
 この考え方に基づきまして、青少年の家については、指定管理者の指導員による青少年指導が主たる業務でございますんで、指導員のノウハウ蓄積が指定管理の実を上げる上で重要となることから、5年間の指定管理としたところでございます。
 こうした方針の下、本県では指定管理者制度を運用しているが、その評価については、指定管理者において、それぞれの指定管理期間の中で、開館日数を増加させるといった運用面での工夫や、知恵を絞った各種教室などの自主事業を展開するなど、サービスの向上が図られており、施設利用者の増加にもつながっていることから、全体としては適切に運用してるというふうに考えております。
 さらに、現在指定を受けている事業者が、引き続き長期にわたって指定を受けようとするならば、次の指定獲得に向けて様々なサービス向上に取り組まれるであろうし、次回の提案も優れたアイデアを含んだものにしようということで、常にいろいろ考えるというようなインセンティブもあるというふうに思います。
 こうしたことから、指定管理期間を一律5年にしたらどうだという話があって、和歌山県だけ時代逆行だと、こういう話がございますが、今のところこっちのほうがいいんじゃないかと思ってやってきたんでございますけれども、あまり時代逆行だと言われて、あまり素っ気ない答弁をいたしますと叱られそうな気がいたしますので、これについてもまたよく考えてまいりたいというふうに思っております。
〇議長(岸本 健君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
〇新島 雄君 別にけんかをするつもりでも何でもないんですが、3年はあまりにも短いかなと思います。というのは、なかなかこの3年間で答えの出ないこともあるだろうし、青少年の家も3か所5年でやっておるんですが、それと同じような状況の指定管理者もあると思うんですね。だから、もうちょっと柔軟に考えてもいいのかなと。全部が全部5年にしてしまえということでもないんですが、考えていってもいいのかなあ、そのようにも思っています。
 知事も我々も任期は4年です。それよりも短いわけですね。私は、この任期4年でも随分短いなあと、10年ぐらい任期あればいいのになあ、なんてことを思ったりもするんですが、もうちょっと考えていけるような状況を私もつくりたいと思いますし、つくれたら、もっとよい結果が出るかもしれませんので。
 ただ、「君子は豹変す」という言葉があるんです。昔、私はこの言葉を間違って覚えてました。教えていただいたときに「ああ、なるほど」と思ったわけです。知事が豹変することを大いに期待して、次の質問に移ります。
 次は、メタンハイドレートのことであります。
 現在、和歌山県沖でメタンハイドレートという新しいエネルギー資源の調査が進んでいます。何がどうなっているのか、何も前に進んでないようにも思いますし、私のような者には理解できないことも多くあります。「それ何」という程度であります、私は。
 全国的にも日本の周りの海底には多く眠っているであろうと言われていますし、主に日本海沖では国の調査が入っています。早く和歌山県の調査も国のほうでやっていただけないかと思っています。
 和歌山県が単独で調査を始めたのが平成24年、8年前になります。結果を出すには多くの時間と多くの費用が必要と考えます。ですから、早く国の調査が入ってくれるのを願うとともに、今後のことが気がかりであります。
 国の技術開発では、世界的にどの程度の技術力なのか、よい結果が出れば、我が国が自前の資源が持てるようになる。それは大変喜ばしいことだと思っています。調査ですから、簡単に「はい、出来上がりました」というわけにはいかないと思いますが、これまで投じた調査費は幾らになるのか、何がどうなれば終了するのか、国の支援が受けられない場合はどうなるのか、そんないろんなことを県民に分かりやすく説明をお願いしたいと思います。
 この事業は、子供たちに夢を与える事業だと思います。私たちの時代には、答えが出ないかもしれません。それでもやる価値はあると思います。私たちの子や孫の時代に日の目を見るかもしれません。そうなれば大変楽しみな事業であります。
 そこで、商工観光労働部長に質問です。
 国における技術開発はどの程度進んでいるのか、県の取組と現在までの投資金額、また、今年度の予算額、どのようになれば県にとって効果が出るんか、今後、和歌山県としてどのように取り組んでいくんか、お答えをいただきたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長大山 茂君。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) メタンハイドレートに対する御質問にお答えいたします。
 まず、国における技術開発についてですが、海底に存在するメタンハイドレートの開発は、海底地下構造の把握、採掘、貯蔵、輸送などの各工程において多岐にわたる高度な技術が必要です。
 国におきましては、平成13年度以降、資源量調査や技術開発が進められてきたところで、現在は、海洋基本計画に基づき、令和9年度頃までに、民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることを目指し、大学、研究機関等が事業参入に関心を持つ企業等と連携して、生産技術の研究開発等が進められているところであり、国によると、その研究は世界最先端であるとのことです。
 次に、本県における取組と、現在までの投資金額、今年度の予算額についてですが、県では、国による調査が実施されていない和歌山県沖において、平成24年度から毎年、県の調査船による賦存状況調査を実施しております。
 その調査の海域選定や取得したデータの解析等に係る委託費用は、昨年までの8年間で合計約1730万円となっており、今年度予算では委託費用として約240万円を計上しております。
 これまでの調査において、メタンハイドレートが存在する可能性を強く示唆するプルームが観測されていることから、平成25年以降、掘削調査を実施するよう政府提案をしてきているところです。
 次に、県にとっての効果ですが、メタンハイドレートの開発は、長期にわたる一大プロジェクトであり、すぐにその投資効果は現れるものではありませんが、将来的に掘削から運搬までの一連の生産システムが確立され、和歌山県沖でメタンハイドレートの存在が確認されれば、採取されたメタンハイドレートを基に、県内で関連産業が創出されるなど、地域の発展に大きく寄与するものと考えております。
 また、今後の県としての取組につきましては、民間企業による商業化に向けたプロジェクトが開始されるときに、和歌山県沖でメタンハイドレートの生産が進められるよう、引き続き県独自の調査を進めるとともに、国に対し、掘削調査を働きかけてまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
〇新島 雄君 なかなか時間のかかりそうな話なんですが、本当にこれが物になれば大変すばらしいことだと思っています。ただ、日本海のほうで、新潟のほうで進められてる国の政策があります。何とかして太平洋側は和歌山県沖だというような御努力をいただきますよう、そして、国への要望の中には必ず入っておるんで、もっとこれを推し進めて、和歌山県の財政からいえば、そんなにそんなにべらぼうなお金をかけていくわけにはいきませんので、仕方のないことだと思いますが、なるべく早く国のほうに調査をしていただけるように、力強く要望をしてほしいと思います。
 本当に子供や孫の時代でもいいんです。そのまだ孫の時代でもいいんです。それが日の目を見れば、大変うれしいことなので。それと、もっともっと県民へのアピールを、こんなことやっとるよと、長いスパンかかるけどもやっとるよというのをやってほしいなと思いますし、担当する部局の熱意に大いに期待をいたしますんで、よろしくお願いをしたいと思います。
 では、最後の質問に移ります。
 5月、新型コロナウイルスに日本全国が揺れている中、何度も震度4であるとか大きな地震が各地で起こったのを覚えています。こんなときに、そんな心配もいたしました。天災は忘れた頃にやってくる、常に自然災害を忘れては駄目だと思い出していました。
 そこで、以前から気になっていたことがあります。
 これは地域の人からの要望もありましたが、紀の川の中にたくさんの樹木や竹林が茂っています。そんな場所がちょくちょくと土手を走ると目につきます。もしこの場所に地震があり、大きなせき止められるようなものが流れてきて、川が氾濫するようなことがあったら大変なことになる。ましてや、水というものは高いところから低いところに向かって一気に流れ込んでくる。そうなると、我々の逃げる時間なんていうのは、本当に短いものであります。
 東北の大震災の折、大きな川を上がっていく津波を見てぞっとした方もたくさんおられると思います。ですから、この川を何とかして安全な川に、もっともっと安全な川に変えていく必要があると考えます。
 また、この紀の川には古い堰が残っています。川底に沈んでおるのですが、これを取ることもまたいずれは考えていかないかん、そう思っています。
 それと、この頃の異常気象であります。それに備える必要もあろうと思います。自然災害を未然に防ぎ、犠牲者をゼロにするには、防災に対する準備を怠らないことだと思います。「その程度のことはちゃんと考えてますよ」と言われそうで心配をしていますが、自然の力は人類の想定をいつも裏切って、上回ってきます。万が一を考えると、常に常に大きな災害を考えておかねばならない、そのように思います。
 そこで質問です。
 現在の紀の川の状況を把握するため、管理者である国土交通省と連携をして情報を共有していくべきではないかと考えますし、安全・安心のため、樹木の伐採を含め洪水対策など、紀の川の整備をしっかりと進めていくことが重要ではないかと私は思います。県土整備部長の答弁を求めます。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長庄司 勝君。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 紀の川の河川整備に関し、2点御質問をいただきました。
 まず、1点目の国との情報共有についてでございますが、紀の川本川については国が管理し、七瀬川などの支川については主に県が管理していることから、議員御指摘のとおり、相互の整備状況等の情報共有を図りながら河川整備を進めることが重要であると考えております。
 そこで、定期的に近畿地方整備局との事業連絡調整会議を開催し、事業の進捗状況や実施予定等の共有に努めるとともに、実務レベルでも、事業進捗に当たっての様々な課題の解決に向け、調整を行っているところでございます。
 県といたしましては、引き続き、日頃から国との連絡を密にし、円滑な事業の実施を図ってまいります。
 次に、2点目の紀の川の整備についてでございますが、現在、本川を管理する国では、平成24年12月に策定された紀の川水系河川整備計画に基づき、戦後最大規模である昭和34年9月の伊勢湾台風を対象とした洪水を安全に流すことを目標に整備を進めています。
 具体的には、通常予算に加え、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の予算などを活用し、流下能力が不足している中上流部における狭窄部対策や堤防整備、堆積土砂の撤去、河道内樹木の伐採などを集中的に実施しているところです。
 例えば、和歌山市内では、今年度、繁茂の著しい小豆島付近や小倉付近において、河道内樹木の伐採を実施する予定と聞いております。
 あわせて、紀の川水系にある既存ダムの利水容量を活用して洪水調節機能を強化するため、事前にダムの水位を低下させ空き容量を確保する事前放流について、河川管理者、ダム管理者及び関係利水者間で5月29日に協定を締結し、今出水期より運用を開始してございます。
 これにより、洪水調節に活用できる容量が新たに約1600万立方メートル確保され、これらを有効に活用することにより下流域の洪水被害の軽減が図られるものと認識してございます。
 県といたしましては、国に対し、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策が終了する来年度以降も予算を継続的に確保し、紀の川本川の河川整備を着実に推進するよう働きかけるとともに、今年度運用を開始しました事前放流について、国と協力して治水効果を検証し、洪水調節機能のさらなる強化に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
〇新島 雄君 紀の川は、和歌山県が誇る天の恵みであります。そして、母なる大河であります。和歌山県民、特に紀の川筋と言われる紀北地方にとって、大きな豊かな財産であります。この川を生かし、有効利用することが我々の使命ですし、今後も大切に紀の川とともに生活していかねばなりません。
 それだけ紀の川にかける河川整備は重要であることを再認識するとともに、国に対し、1級河川としてさらなる適切な管理とより一層の予算の投入を要望していただきますよう切にお願い申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第91号から議案第100号まで及び議案第103号から議案第105号まで並びに諮問第1号は所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。6月23日及び24日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、6月23日及び24日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、6月25日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時24分散会  

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