令和2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


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令和2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号

令和2年2月
和歌山県議会定例会会議録
第7号
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議事日程 第7号
 令和2年3月9日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 休会決定の件
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出席議員(42人)
 1番 鈴木德久
 2番 山家敏宏
 3番 中本浩精
 4番 堀 龍雄
 5番 藤山将材
 6番 岸本 健
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 北山慎一
 10番 中西峰雄
 11番 秋月史成
 12番 森 礼子
 13番 濱口太史
 14番 尾崎要二
 15番 冨安民浩
 16番 川畑哲哉
 17番 玉木久登
 18番 鈴木太雄
 19番 岩田弘彦
 20番 吉井和視
 21番 谷 洋一
 22番 佐藤武治
 23番 岩井弘次
 24番 中 拓哉
 25番 多田純一
 26番 新島 雄
 27番 山下直也
 28番 中西 徹
 29番 玄素彰人
 30番 谷口和樹
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 林 隆一
 36番 楠本文郎
 37番 高田由一
 38番 杉山俊雄
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       細川一也
 危機管理監      森田康友
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     田中一寿
 福祉保健部長     宮本浩之
 商工観光労働部長   稲本英介
 農林水産部長     角谷博史
 県土整備部長     髙松 諭
 会計管理者      飯島孝志
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員長   中野幸生
 警察本部長      檜垣重臣
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中川敦之
 次長         中谷政紀
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     山田修平
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主任      保田良春
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      大森圭悟

 総務課長       井邊正人
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時0分開議
〇議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 2番山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)
〇山家敏宏君 おはようございます。
 3回目の一般質問です。1回目、2回目と大変お聞き苦しい点も多々ございましたけども、今回もお聞き苦しい点が多々ございますが、御了承いただきますようお願い申し上げます。
 現在、世界的に新型コロナウイルスが大流行しています。本県においても、2月13日に疑いのある患者に新型コロナウイルス検査を実施し、陽性であることが判明しました。その後も数人の感染者、そして、本県で1名の死亡患者を出してしまうという残念な結果を招きました。お亡くなりになられた方に心よりお悔やみ申し上げるとともに、療養中の方々に心よりお見舞い申し上げます。
 和歌山県では、知事の早急な対応と措置、県民の皆様への正確な情報発信を連日の記者会見を通じて行っていただいたことにより、感染者の拡大が最小限に食い止められていること、県民の皆様が安心できましたことは、知事をはじめ職員の方々、また、先輩議員、同僚議員の方々の御尽力のおかげであります。この場をお借りして、心よりお礼申し上げます。
 今回、済生会有田病院から感染者が出たことにより、湯浅町ではふるさと納税の返礼品のキャンセル等もあったことは事実ですが、逆に応援の意味合いでふるさと納税を行っていただいた方が大勢いると聞いております。また、町民の不安払拭のため、町職員が一丸となり、連日丁寧な対応を行っていただいたおかげで、町民の方々も安心していただけたと思います。このことに対し、町長はじめ町職員の方々には心より敬意を表します。
 湯浅町内の商売人の方にお話をお伺いいたしましたが、「確かに売上げが落ちていますが、悩んでいてもどうしようもない。先のことを前向きに考えていこら」という話をしていただきました。
 全国的に収束してからではございますが、湯浅町の名前が全国に広がったことを発想転換し、ポジティブに捉え、湯浅にはしょうゆ、みそ、ミカン、シラス、魚介類等の地元の名産品、観光スポットでは伝統的建造物群保存地区もございます。そして、何よりも一番の力は、逆境を乗り越える力を持っている湯浅町民の皆様です。
 湯浅町は、官民一体となり逆転に向けて取り組んでいくと確信していますので、引き続き県の御協力をお願いいたします。
 まだまだ新型コロナウイルスが猛威を振るっている大変厳しい状況であります。また、そのほかにもマスク等の物資の供給不足、供給不足による高額取引、誤報による国民の方々のさらなる不安、風評被害、経済の悪化等、いち早くこの状況の改善を心より願い、県民の皆様に安心して過ごしていただけるよう、微力ではございますが、できる限りのことを実践し、努めてまいりたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告書に従い、一般質問を行います。
 まず、各市町村の水道事業の組織強化について質問いたします。
 1月8日、和歌山市で漏水が判明したため、1月16日17時に「1月19日22時から22日22時まで、市全体の5分の1に当たる約3万5000世帯、約8万人を対象に断水を行う」という発表がありました。
 1月20日の「産経新聞」には、「実施僅か3日前の発表を受け、市民らは飲料水を買い求めスーパーなどに殺到し、飲食店や宿泊施設も相次ぎ休業を決めるなどという混乱が広がった。具体的な漏水場所は不明のまま、現場の掘削を始めたところ、基幹水道管ではなく、枝分かれした細い管での漏水が判明したもので、市は断水せずに細い管の修繕を進め、翌20日未明に完了した。市によると、市内の水道管の総延長は約1500キロで、大半が昭和30年から40年代に施工を終えている。一方で、水道管の法定耐用年数は約40年であり、これを超えた水道管は全体の約17%に当たる約250キロに及んでいる。ただ、市では水道管に水を供給する浄水・配水施設も老朽化しており、予算などの制約上、施設建て替え事業を優先。今年度から当面4か年の計画で、年約10億円の事業費で水道管の更新を始めたばかりだった。このような水道管の老朽化が引き起こす問題は、和歌山市のみならず各地で浮上している。全国で法定耐用年数の40年を超えた水道管は15%を占めており、専門家は『どこでも起き得る問題だ』と警鐘を鳴らしている」と書かれている記事を読みました。
 水道管の老朽化の問題は、和歌山県の至るところの自治体で今後起こっても不思議ではございません。
 この大規模断水実施の発表は、3日前ということもあり、新聞にも書かれていたような混乱が起きております。
 大規模断水実施は、やむを得ないこともございますが、飲食店や宿泊施設も休業を余儀なくされ、収入源の低下につながります。また、高齢者の方々は、準備が間に合わず不安を抱えたまま当日を迎え、たとえ十分な準備ができる日数があったとしても、高齢者や小さいお子さんのいる家にとって、トイレなどの急を要する事態にはどうすればよいのか、ましてや、夜間のことを考えると、もっと困ることが想定されます。
 今回は、幸いなことに断水せず事態が収束しましたが、水道管の老朽化の工事に当たっては様々な問題があります。そのことを踏まえ、工事に当たって十分な配慮が必要不可欠だと私は考えます。
 県では、新水道ビジョン(平成25年3月)に掲げられた持続、安全、強靱の理念に基づき、昨年6月に策定した和歌山県水道ビジョンの中に、一つの手段として、5地域に区分けをした広域化の推進を明記しています。この計画は、少子高齢化に伴った人口減少に対する計画ではありますが、私の根本的理念でもある人口増加には相反するのが悲しいことでもございます。しかし、事業に対してのスケールメリットを生かす広域化可能な事業は、今後も推進すべきだと考えております。
 現在、市町村の水道事業所では、経験豊富な技術職員が定年退職を迎え、減少しております。そのため、安心・安全な水道水の供給、災害に強い水道の構築に対応できる技術職員不足が最重要問題となっています。
 各自治体間で技術継承するための体制を県がマッチング、そして指導、助言することが必要であると考えますが、環境生活部長の答弁を求めます。
〇議長(岸本 健君) ただいまの山家敏宏君の質問に対する答弁を求めます。
 環境生活部長田中一寿君。
  〔田中一寿君、登壇〕
〇環境生活部長(田中一寿君) 市町村の水道事業に従事する職員数は、1996年から年々減少し、2017年には444人と20年間で3分の2になっており、今後も定年退職により経験豊富な職員が減っていくことが予想されます。
 一方で、配水池だけでも557か所に及ぶなど、水道施設の数は非常に多いことから、維持管理に係る職員1人当たりの業務量はますます増加すると思われます。
 特に、小規模な水道事業者においては、専門的な知識の習得や技術力の向上も図りづらい状況にあり、必要な人員を確保しつつ、どのようにして技術と事業経営に関するノウハウを継承していくかが課題となっています。
 こうした課題を解決するため、県では、小規模な工事における発注を簡素化するための設計方法や、水質事故に対応するための管理手法など、事務量の削減や技術力の継承を目的とした研修会を開催し、水道事業者の技術力を維持するための支援に取り組んでまいりました。
 しかしながら、ますます厳しい経営が予想される中で、水道事業の安定的な運営を維持するためには、水道事業者である市町村自身において、技術を継承する職員をいかに確保するかが、経営戦略を策定する上で大変重要なポイントと考えられます。
 そのため、水道広域化推進プランでは、それぞれの水道事業者が実施している水質検査や浄水場の運転監視、施設の保守点検等の業務を共同で行う手法、施設を統廃合し管理を一体化することで全体の業務量の削減を図り、少ない職員で管理運営を行う手法、さらには、統合した水道事業を既存の一部事務組合など広域的な事務処理を担っている組織で運営する手法など、地域の実情や連携の進み具合に応じた組織体制の強化につながる提案をしたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 ありがとうございます。
 水道広域化推進プラン策定においても組織体制の強化を提案していただけるということですので、少しでも早く脆弱な組織の改善をお願いいたします。
 それと、私は建築設計の技術屋ですけども、当然監理業務として現場にもよく行きました。若い頃は施工業者さんの意見に対して反論もできず、私の意見はほとんど採用されず、悔しい経験をいたしました。それは、業務時間のほとんどが机上で図面を引くのが仕事でしたので、現場の詳細な事柄が分からなかったためだと思っております。
 このままでは駄目だと考えて、大阪で現場監督の経験を積みました。そのかいあって、今では現場での詳細な収まり、工程管理、コスト管理、安全管理も理解していますので、意見もきっちりと反映させることができ、総括的な監理が可能になりました。
 それらの経験から考えますと、水道事業の総括的な指導、助言を行うためにも、机上だけでなく、やはり上水道の実務経験を積んだ県職員も必要だと考えております。
 上水道は、県民の生命に関わる大変重要なことですので、今後とも注視してまいります。
 続いて、河川管理について質問いたします。
 河川管理の一つとして、定期的にしゅんせつ工事を行っていただいております。これは、堤防護岸工事と同等に住民生活を守る上で非常に重要な工事です。
 最近、異常気象の一つでもあるゲリラ豪雨や超大型台風の発生による河川に関連した被害が全国的に多発しています。この異常気象という言葉は報道からもよく耳にしますが、気象庁が発表している本来の定義は「過去30年の気候に対して著しい偏りを示した天候」であるとしています。
 しかし、この異常気象と呼ばれているゲリラ豪雨、超大型台風は、30年に一度等のレベルではなく、近年では1年に何度も起こっているのが現状であります。
 これらの災害防止のためにも、限られた予算の中で少しでも多くの掘削工事を行う必要があるという観点から質問いたします。
 まずは、河川の掘削工事土砂の処分方法は、現状どのように行っているのか、県土整備部長の答弁を求めます。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 河川の掘削工事土砂の処分方法につきまして、御質問をいただきました。
 河川の掘削土砂を含めた建設発生土につきましては、土砂の有効活用や工事費縮減の観点から、まずは工事の間で流用することを原則としてございます。
 その流用に当たりましては、運搬距離や受入れ時期、土質等の条件が合致する必要があり、例えば、今年度では有田川の掘削土砂を海岸工事に流用していると、こういった対応を実施しているところでございます。
 また、掘削土砂が骨材等に利用可能な場合につきましては、施工業者に有効活用していただくことで、工事費の縮減を図っております。具体的には、施工業者が掘削土砂を砂利採取業者に売却することで利益が発生いたしますので、その利益相当額を工事の予定価格から、あらかじめ控除するものでございます。
 さらに、河川法第20条の規定に基づき、市町村が自らの希望により河川管理者の代行として掘削工事を行う場合につきましても、掘削土砂を有効活用できるよう要綱を定めております。
 以上のような有効活用が困難な場合につきましては、県の指定を受けた処分場に搬出すると、このような対応を実施しているところでございます。
 これらの様々な取組により、河川の掘削工事費の縮減や掘削土砂の有効活用に努めているところでございます。
〇議長(岸本 健君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 ありがとうございます。
 続いて、河川の掘削工事における土砂処分費が占める割合についてですけども、工事場所からの運搬費と処分費を合わせた合計金額から安い組合せで処分地を選定し、設計金額に反映させていると思います。もちろん、工事規模や工事箇所等にもよって変動があることは理解しております。その上で、設計金額ベースを基に工事費に対しての処分費の割合がどれくらいになっているのでしょうか。県土整備部長の答弁を求めます。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 河川の掘削工事における土砂処分費が占める割合につきまして、御質問をいただきました。
 一般的に河川の掘削工事費は、工事間の流用を行う場合などを除き、掘削費、運搬費及び処分費で構成されております。
 これらの費用は、工事方法、運搬距離等の現場条件や処分場の処分単価によって異なり、例えば掘削費につきましては、工事台船を用いた水上工事と標準的な掘削機械を用いました陸上工事とでは大きく異なります。
 このようなことから、工事によって幅があるものの、河川の掘削工事費のうち運搬費と処分費を合わせた金額が占める割合は、主な工事実績を見ますと約4割から9割程度となっているものが大半を占めてございます。
〇議長(岸本 健君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 ありがとうございます。
 河川の掘削工事土砂の有効活用について質問いたします。
 答弁にもありましたように、処分費は当然開きもございます。4割から9割という大きな割合を占めております。これらは対策の一環として、以前から工事間流用も実施していただいていることは承知しております。
 現在、紀の川では、処分費削減のために伐採樹木を必要な方に提供することで有効活用につなげていると聞いております。
 また、私の地元有田川のしゅんせつ土砂は、先輩の玉木議員から教えていただいたのですけども、昔から農家の方々が喉から手が出るくらい欲しい土だと教えていただきました。その土を使って農産物を栽培するとすばらしい作物ができるので、農家の方々は「金肥」という名称でその土を呼んでいるようです。しかし、残念なことに、この金肥はまだ有効活用されておりません。
 そこで、掘削土砂についても処分費削減と有効活用の観点から、必要な方に提供できないものでしょうか。県土整備部長の答弁を求めます。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 河川の掘削工事土砂の有効活用につきまして、御質問をいただきました。
 有田川など県管理の6つの河川につきましては、平成23年の紀伊半島大水害を契機に、治水安全度の向上につながることを期待して、原則禁止としていました民間事業者による河川砂利の採取、いわゆる一般砂利採取を認めることに変更しております。
 これは、民間事業者の採算に合う箇所については、まずは民間事業者に一般砂利採取を行っていただき、民間事業者の採算に合わないが治水上対策が必要な箇所については、河川管理者が掘削工事を行うということを基本に見直してコスト縮減を図ったものでございます。
 さらに、議員御指摘の土砂の提供につきましては、一般砂利採取を解禁した6河川以外についても従前から県管理の全河川において、河川法第25条の許可を受けることにより、砂利と同様に希望者が自ら採取することが可能となっており、適宜申請を受け付けているところでございます。なお、この場合は骨材として使用しないことが前提であり、採取料も必要となります。
 また、議員御提案の農家の方々等の希望者への掘削土砂を提供する場合は、軽トラックでの土砂の引取りとなることが想定され、県の工事の場合で用いられる10トンダンプトラックの約30分の1の積載量となり、掘削工事の施工効率が低下すること、あるいは、一般車両の侵入に備え追加の安全管理対策が必要となることなどから、費用が増大する可能性もございます。
 このようなことから、希望者への掘削土砂の提供については、現時点では難しいのではないかと考えますが、掘削工事費の大半を占めます運搬費、処分費を削減するためにも、効果的、効率的手法がないか、必要な法令上の手続も含め、今後よく検討してまいりたいと、このように考えております。
〇議長(岸本 健君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 農家の方々等への掘削土砂を提供するのは現時点では難しいということでございますけども、答弁にもありましたように、法令上の手続を含め、効果的、効率的手法がないか検討をよろしくお願いいたします。
 続いて、河川敷の有効活用について質問いたします。
 以前は、河川敷には不法占拠の畑も多く見受けられていました。最近では、それらも減少して、随分きれいになっております。しかし、管理する人がいないため、手入れされず、数年後には耕作放棄地のようになり、樹木や草木が生い茂り、伐採するのにも費用がかかっています。
 また、平成30年の台風20号のとき、私は町の消防団員として管轄範囲の広川の水位を監視していました。水位が上がる中、物すごく速い流れとともにたくさんの樹木、ごみが橋脚に引っかかり、流れを阻害しているのを目の当たりにし、とても恐怖を感じたことを今も覚えています。
 命を守ることはもちろん、水害を防止するためにも、河川敷を各自治体、民間団体等に利用していただき、有効活用を行っていただくことが重要だと考えています。
 そこで、県の現状の取組状況について、県土整備部長の答弁を求めます。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 河川敷の有効活用につきまして、御質問をいただきました。
 河川敷につきましては、原則として一般公衆の自由な使用に供されるべきものでありますが、市町村が管理する公園や広場等であれば、河川法第24条の許可を受けることにより占用することができます。
 そのため、県内の各河川では、市町村の占用により公園や広場等として活用されている事例が多数ございます。例えば、有田川沿川においては、ふるさとの川総合公園や花の里河川公園等の施設が市町によって既に整備されております。
 そのような場所では、頻繁に人の出入りもあり、また、占用者の管理も行き届いていることから、占用の副次的効果として樹木等の再繁茂の抑制が図られております。
 ただし、河川敷は一定規模の出水によりまして一時的に冠水することが前提となっている区域でございますし、市町村としても公園や広場等を一定以上供給する必要もありませんので、こういった占用だけにより樹木等の再繁茂を抑制することはおのずと限界がございます。
 そこで、市町による占用以外で河川敷を継続的に使用してもらえる方法はないか検討するため、平成30年12月に有田川町等の広報誌を通じて、地元の方々から幅広く河川敷の利活用についてのアイデアを募集したところでございます。これにより幾つかのアイデアが寄せられましたが、そのほとんどがグラウンドゴルフ場等の施設整備を行政に対して求めるものでございました。
 しかし、下徳田地区河川愛護会のアイデアであるコスモス畑の造園については、県と協力して維持管理に携わりたいとの意向であったことから、県の趣旨とも合致いたしましたので、令和元年度からコスモス畑の造園を試験的に行うことといたしました。
 県といたしましては、この取組を効果的かつ経済的に成功させて、県内全体に展開していきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 ありがとうございます。
 河川敷でのコスモス畑の造園はすばらしい取組だと思いますので、また今後、県全体に広げていただけますようお願い申し上げます。
 それでは、次の質問に移ります。
 次代につなぐ漁村づくり支援事業についてを質問いたします。
 私の地元湯浅町は、昔からの漁師町です。自宅の隣には2軒の魚屋があり、また、漁師からは取れたての魚を頂くなど、食卓に魚が並ばない日はないほどでした。もはや、魚はおかずではなく付け合わせのような存在で、あまりにも魚に囲まれていたためか、18歳で独り暮らしを始めたときには肉ばかり食べていたのを思い出します。
 家族を持ち、息子と釣りを楽しむようになった頃からは、釣った魚を食べ、改めて魚のおいしさが分かり、今では率先して魚を食べております。残念なことですけども、隣にあった2軒の魚屋は廃業してしまい、寂しい思いです。
 このように湯浅町は漁師町でしたが、今では担い手不足が問題になっております。
 担い手不足を解決するために、今年度より和歌山県では漁業の新規担い手育成、地域活性化支援のため、第一次産業の漁業の将来を見据え、県では取り組んでいますけども、私も後継者不足問題は大変重要な事案だと考えております。
 そこで、次代につなぐ漁村づくり支援事業の事業内容と、漁村体験、トライアル研修、技能承継実践研修のそれぞれの実績について、農林水産部長の答弁を求めます。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 事業内容と漁業研修、各研修の令和元年度の実績についてお答えいたします。
 次代につなぐ漁村づくり支援事業は、漁業の新規就業者を確保するため、漁協や市町などで構成する協議会が作成する実行計画に基づき、就業希望者に対して実施する漁業研修や研修生への給付金支給等を支援する事業でございます。
 具体的には、1日漁業体験、1か月のトライアル研修を経て、最長23か月の技能承継実践研修修了後に、漁業に就業していただくこととしております。
 本年度のこれまでの実績は、湯浅町や広川町をはじめ5地区で取り組んでおり、漁業体験が2名、トライアル研修が5名、技能承継実践研修が2名となっております。
 今後も、漁協や市町と連携を図りながら、漁業就業者の確保にしっかりと取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君)  山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 今年度始めたばかりの事業ということもあって、利用人数については一定の理解はいたします。また、さらなる利用者の拡大に努めていただきますよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 続いて、次代につなぐ漁村づくり支援事業の要件緩和について質問いたします。
 私ごとではありますが、同居の祖父も漁師を営んでいましたが、後継者が見つからず廃業しております。私と同年代の知人も数名漁業を継ぎましたけども、ここ10年間の間に親とともに漁師を廃業した方や、途中で親だけが漁師を続けて、子供は別の職業に就いてしまったという方も多くいるのが現状です。
 漁業というのは、毎日漁に出て、簡単に魚が取れ、取れば取るほどもうかるというイメージを持ってる方もいらっしゃいますけども、実際には船の購入費、修繕費、管理費、維持費、燃料費などがかかります。これらは高額なため、収入が必要経費を上回るのは大変難しく、その上、最近の日本人の魚離れ、漁獲量、買取り価格の安価問題、天候にも左右されるため、安定した収入を得ることが難しいのが現状です。
 そのほかにも要因はいろいろとありますけども、やはり経済的な理由が一番です。この流れから、漁家、すなわち漁業を家業として営む家で生まれ育った子供でさえも後継者にならず、高い所得を求め、漁村から都会へと出ていってしまい、人口減少、高齢化社会にもつながる重要な問題になっております。
 現状の事業では、3親等以内の親族でない者を要件としています。しかし、親族でさえも後継者になりづらいということを踏まえると、未経験者が漁業に携わり、継続し、続けていくことは誠に困難であると考えております。まずは、親族の方に後継者になっていただくことが、担い手不足解消について有効だと考えております。
 この事業要件では3親等以内は対象外になっておりますけども、担い手不足解消のために、この要件を見直す必要があるのではないでしょうか。農林水産部長の答弁を求めます。
〇議長(岸本 健君)  農林水産部長。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 事業の要件緩和についてお答えいたします。
 漁業研修の対象者につきましては、国の基準と合わせ、指導者との関係が3親等以内を除くこととしておりましたが、本県での担い手の減少が大きいこと、また、漁業者等からの要望が強いことから、議員の御指摘を踏まえ、要件の見直しを検討してまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 要件の見直しを検討していただけるということなので、ぜひ見直しをよろしくお願い申し上げます。
 当然給付金については期間が決まっておりますので、給付金ありきの事業承継だけでは難しい面もございます。取組として、漁業収入の向上による収入の安定を目指し、また、冒頭に述べさせていただきました新型コロナウイルスによる物資の供給不足の混乱、経済の悪化から学んだ地場産業で賄えるということも重要ですので、今後とも漁業関係者と協力しながら、プレミア和歌山の水産物の拡大、また、水産物のブランド化を徹底していただくよう要望いたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、山家敏宏君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕(拍手)
〇林 隆一君 皆様、おはようございます。日本維新の会の林隆一でございます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 まず、職員等の旅費に関する条例における特別車両、いわゆるグリーン車の料金の支給に係る規定について質問をさせていただきます。
 知事や副知事、職員が公務のために旅行する、いわゆる出張をする際には、条例により旅費が支給されます。また、私たち県議会議員につきましては、招集に応じ、もしくは委員会に出席するためや公務のために旅行する場合には、条例により費用弁償として旅費が支給されることとなっております。
 今回質問させていただくグリーン車料金についてですが、職員等の旅費に関する条例第12条の規定では、知事、副知事が出張する際には、旅費の鉄道賃について、グリーン車料金を徴する客車を運行する路線における場合で一定の距離を利用する場合に、運賃、急行料金、座席指定料金に加え、グリーン車料金を支給することと定められております。
 また、私たち県会議員が出張する際に支給される費用弁償は、議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例第5条第2項の規定により、「職員等の旅費に関する条例の規定による副知事に支給する旅費相当額とする。」と定められていることから、鉄道賃については、グリーン車料金が支給されることとなっております。
 私が問題であると考えているのは、グリーン車を利用しなかったり利用できなかったりしたとしても、また、利用しないことが明らかな場合でも、グリーン車料金を含む旅費や費用弁償が一律に支給されるということでございます。
 私は、知事、副知事、議員が鉄道を使って出張する際にグリーン車を利用すること、また、その際にグリーン車料金が支給されることを問題としているのではございません。知事や議員の職務内容や県民の代表であるという立場からすれば、グリーン車の利用については多くの県民の方も理解していただけるものと考えておりますが、利用しない場合についてもグリーン車料金を支給するという取扱いは、条例に定められているとしても、県民の理解を得にくいものではないでしょうか。
 この旅費や費用弁償が税金から支払われているということに鑑みますと、グリーン車料金の支給に関する取扱いをどのように考えてるのかということは、知事、副知事、議員、ひいては和歌山県の財政の問題でもあると考えております。
 ちなみに、和歌山市も県と同様に、市長、副市長、市議会議員については、出張で鉄道を利用する場合にはグリーン車料金が一律に支給されております。
 御存じの方も多いと思いますが、私は、和歌山市議会議員であった際に、グリーン車を利用しなかったことによりグリーン車料金を返還しようとしましたが、議員の場合は返還することも旅費を請求しないということも、公職選挙法の寄附に該当する可能性があるためにできませんでした。このことについては、私は市議会で代表質問及び一般質問を合計4回にわたり問題提起しましたが、状況は一向に変わりませんでした。
 そこで、私は、作為的に既成事実をつくり、住民監査請求をした後、2018年6月に、旅費のうち鉄道賃部分にグリーン車料金を加算したことが違法か否かを争点として、弁護士を2人つけ、和歌山市を相手に住民訴訟を提起しました。
 私は、地方自治法と旅費条例は、議員に支給する旅費にグリーン車料金を加算する要件として、実際にグリーン車を利用していることを要求していると訴えました。実際に利用していないグリーン車料金を旅費として一律に支給するというのは、グリーン車を利用した効果が得られない場合にもその経費を支出することになり、最少の経費で最大の効果を挙げなければならないと規定している地方自治法第2条第14項や「旅費は、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算する。」と規定する職員等の旅費に関する条例第7条に反する。そして、仮に旅費条例がグリーン車料金について一律に支給する方式を採用していることが妥当だとしても、出張者が事前にグリーン車を利用しない旨の申出をするなど、グリーン車を利用しないことがあらかじめ判明していて、実際にも利用しなかった場合にまでグリーン車料金を含めた金額を一律に支給することは、著しく合理性を欠くとして私は主張いたしました。
 残念ながら、本年1月24日に和歌山地方裁判所でその請求は棄却されましたが、現在、県会議員であるという立場を考慮し、控訴はしておりません。
 判決では、和歌山市の旅費条例が、鉄道賃につき、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の路程に応じた運賃を定額で支給することを前提に、一定の距離要件を満たす場合には、急行料金及び座席指定料金を徴する客車の利用を最も経済的な通常の経路とみなして、加えて、市長等及び議員については、一定の距離要件を満たす場合には、グリーン車の利用を最も経済的な通常の方法とみなし、これに該当する旅行については、実際に当該客車を利用したか否かを問わず、旅費に急行料金及び座席指定料金並びにグリーン車料金を加算して支給する趣旨であることは明らかであるとされました。
 また、市長等及び議員については、一定の距離要件を満たす場合には、グリーン車の利用を通常の方法と想定しているのは、市長等及び議員の職務内容、責任その他の地位の特殊性に鑑み、グリーン車の利用を通常の方法と想定したものと理解でき、一定の合理性を有するものと言えるとされました。
 簡単に言えば、実際にグリーン車を利用したか否かを問わず一律にグリーン車料金を支給するのが条例の趣旨であり、グリーン車料金を含んだ金額を旅費として支給することは条例に違反するものでないという解釈でございます。
 これは、県の条例についても同様であり、知事、副知事及び県会議員の旅費の鉄道賃におけるグリーン車料金の支給については、グリーン車を利用するか否かをその要件としないということであると考えます。
 しかし、事前にグリーン車を利用しない申出をするなどグリーン車を利用しないことがあらかじめ判明しており、実際にも利用しなかった場合については加算すべきでないという私の主張については、判決では、条例は前述のようにこのような趣旨で定められていないことは明らかであるとしながらも、仮にこのような趣旨であると解釈するのであれば、一部違法、無効になるものと理解できるとされました。
 そして、一部違法、無効となる場合があるとしても、旅費の請求書または概算払い精算書にグリーン車を利用しない旨を明示的に記載しているか、これと同視することが可能な程度に旅費支給の担当者にグリーン車を利用しないことが確定的に認識できることを要するとされました。
 結論としましては、一定の場合には、グリーン車を利用しなかった議員に支給する旅費にグリーン車料金を加算してはならないという限定解釈をする余地があるとしても、私の件の場合はそのような場合に当たらず、グリーン車料金を加算した旅費を支給したことは違法、無効となることはないというものでした。
 私の件というのを簡単に説明すれば、グリーン車を利用しないと口頭で言うだけでは足りず、少なくとも書面で通知する必要があったということでございます。
 この判決を受け、私は条例の解釈上、グリーン車を利用するか否かを問わずグリーン車料金を一律支給することとなっているのであれば、この際、グリーン車を利用した場合にのみ支給するというように条例を改正すればいいのではないか、そのように考えております。
 このグリーン車料金の一律支給については、岐阜県大垣市で同様の住民訴訟が提起されました。その判決においても原告の請求は棄却されましたが、大垣市では、判決を受け、職員の旅費条例のグリーン車料金の支給を定める規定に、ただし書として「当該料金の請求がない場合は、支給しない。」という文言を追加し改正されました。グリーン車を利用するか否かを問わずグリーン車料金を一律支給する条例の趣旨を踏まえつつ、一定の場合にはグリーン車料金を加算しないとする旨の改正でございます。
 私は、本県においても、大垣市の条例とは文言等は変わるかもしれませんが、グリーン車を利用しない旨を明示的、確定的に認識できる場合には、グリーン車料金を支給しないとするような条例改正をぜひ行うべきだと考えております。
 何度も言いますが、知事、副知事、議員が出張の際に鉄道を利用する場合にグリーン車を利用することは、その職務内容や職責から認められるものであり、県民の皆様も御理解いただけるものであると考えておりますが、しかし、グリーン車を利用しなかったり、利用できなかったり、また、あらかじめ利用しないという意思表示をしている場合にまで支給することは、県民の理解を得られないと思っております。
 そして、グリーン車料金を一律支給しかできない足かせが条例の規定なのであれば、適切な形に改正すべきだと考えております。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 グリーン車を利用しない旨の意思表示をしている場合等においては、グリーン車料金を支給しないとするように職員等の旅費に関する条例を改正すべきだと私は考えておりますが、いかがでしょうか。お答えください。
〇議長(岸本 健君) ただいまの林隆一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 旅費は、本来公務の旅行に対する実費弁償という性格を持つものでございますが、地方自治法逐条解説によりますと、厳密な意味での実費と必ずしも一致するものとは限らないとされております。
 鉄道を利用した場合の旅費は、その路程に応じて一定の金額が見込まれ、時期等による金額の変動も少ないことから、標準的な実費として定額で機械的に支給することとしております。
 これは、領収書等の証拠資料により精算することをなくし、旅行者や旅行事務担当職員の事務の軽減を図り、効率的な業務の遂行ができることから、合理的な手法であると思います。
 なお、航空機利用の旅費においては、同じ路線であっても航空会社や予約方法によって料金体系が大きく変わることから、旅行者に搭乗券の半券の提出を求めるなど、実費額を支給しております。
 私や副知事の旅費については、職員等の旅費に関する条例によって、新幹線や特急電車を利用した場合、グリーン車の料金に相当する金額が、その利用の有無に関わらず支給される定めとなっていることは御指摘のとおりであります。
 議員は、グリーン車を利用しない場合にも支給されるような定めはおかしいのではないかとお考えのようでございますが、最高裁判決において、旅費を費用弁償として支給するに当たり、実際に費消した額の多寡に関わらず、条例であらかじめ定めた事由に該当するときに標準的な実費である一定額を支給することは許され、いかなる事由を支給事由とし、標準的な実費として幾らとするかは立法裁量である旨、示されております。
 このことからも、グリーン車の料金を支給する要件を実際の利用の有無とするかは、政策判断であるというふうに言えるかと思います。
 このことは、議員が提起された訴訟の和歌山地裁確定判決においても「市長等及び議員の職務内容、責任その他の地位の特殊性に鑑み、グリーン車の利用を通常の方法と想定したものと理解でき、一定の合理性を有するものと言える」とされておりまして、同様の考え方が判示されております。
 議員は控訴されておりませんから、これが司法の判断となっております。
 林議員のような方には釈迦に説法でございますけれども、行政とは現実に立脚したものであります。行政は、林議員の言うように厳密性を追求することも時には大事なこともありますけれども、一方、効率性なども考えることも大事でございます。
 一般には、県議会議員のような方は、人格高潔が想定されておりまして、いつも人目にさらされている人には、グリーン料金が支給されたらそのとおり乗られるはずだという信頼性においても、手続等の煩瑣に鑑み、おかしくはないと考えるべきだろうというふうに思います。司法の判断もそういうラインに乗ったものと思われます。
 実務上で見た場合、実際、議員の御質問のようにグリーン車を利用しない場合に、その料金の旅費を支給しないということになれば、毎回出張の都度、グリーン車の利用の有無や、乗継ぎを要する出張では区間ごとにグリーン車の利用の確認が必要となってまいります。
 その上、一件一件、個々の路程に応じた旅費額の計算、点検、旅費システムへの入力など、現行では必要のない事務を新たに旅費事務担当職員が行うことになります。
 また、通例、JRの場合などは、切符を買ったときに領収証をくれるわけではございません。それを一々持ってきてくださり、そして、それを確認しというような作業があるわけで、職員が、通俗的な言葉で申し上げますと、泣くということになるわけであります。
 なお、この点は、例えば林議員は、私はグリーン車に常に乗らないので、私の場合、いつも通常料金で計算する制度ならどうかという点を考えても、これは、程度の差はあるけれども、妥当いたします。
 出張旅費を計算する議会事務局の職員が、「あ、今回は林議員だ。それならば単価を変えて計算しなきゃいけない」というのは、やはり煩瑣で時間もかかるし、正確性も時には間違うということになります。
 繰り返しになりますけれども、行政は現実を相手にしておりますので、その点も踏まえたプラスとマイナスの比較衡量が大事でございます。
 以上のことから、議員の御質問の趣旨での条例の改正を行う必要はないと考えておりますので、少なくとも条例改正案を当局から提案することはございません。
 議員がどうしても質問の趣旨の条例改正を必要と考えるのであれば、議員の旅費については御指摘の条例に基づき支給されるものであることから、その条例の改正の要否については、林議員が発議することまでは止めることはできません。議会のほうで協議をいただきたいと思います。
 ただし、その際でも、改正の法益の適否に加え、行政が煩瑣になるマイナスも、県当局としては意見として申し上げさせていただきます。
〇議長(岸本 健君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
〇林 隆一君 知事、御答弁ありがとうございます。
 それでは、再質問をさせていただきます。
 議会のほうで協議いただきたいとのことですが、仮に議会で協議し、議員の旅費については、例えばグリーン車を利用しなかった場合等にはグリーン車料金を支給しないというように、議会の議員の議員報酬及び費用弁償条例を改正すべきであるという結論になった場合、それに合わせて職員等の旅費に関する条例を改正するおつもりはあるのかどうか、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 議会のほうに対しても、先ほど申し上げましたように、「それはちょっと困るんではないでしょうか。私たち泣きます」というふうに申し上げるつもりでございますので、ましてや、自分たちに関するものについては、そのとおり、現行どおりさせていただきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
〇林 隆一君 知事、御答弁ありがとうございます。
 私は、グリーン車料金の支給に当たっての要件については、グリーン車を利用しない場合には支給しないとするなど、県民の理解の得られる透明性のある形にすべきであり、そのためには条例の改正が必要であると考えております。
 議員の旅費については議会の中で検討していただきたいとのことですので、良識ある先輩・同僚議員の方々の意見を聞きながら、この件につきましては引き続き問題意識を持って取り組み、機会があれば改めて一般質問をさせていただきます。
 それでは次に、県職員の海外、中央省庁等への派遣についての質問をさせていただきます。
 私は最近、県から海外や中央省庁等への派遣が非常に多くなってきているという話をよく耳にいたします。和歌山県のホームページで、公表資料の人事行政の運営状況を見ますと、職員数の推移が掲載されておりますが、一般行政職で令和元年度、3251人となっており、5年前の平成26年度と比較して64人減っております。
 私は常々、県の職員の方はよく働き、いつも非常に忙しくされていると、そういうふうに感じております。行政の仕事というのは、増えることがあっても減ることはほとんどなく、県民の多様な行政ニーズに対応していくためには、県庁各課での業務が以前に比べて増え、その分1人当たりの業務負担が大きくなっていると私は思っています。もちろん、そんな中でも、県の職員の方々はいろいろな工夫を凝らして最大限の成果が得られるように頑張っておられる、そういうふうに私は思っております。
 一方で、県では、海外や中央省庁等へ多くの職員を派遣しており、本年度では約80名の職員が派遣されているということを聞いております。全体の職員数が減ってきている中で、これほど大勢の職員を派遣することには問題や弊害がないのでしょうか。
 場合によっては人事交流ということで、県から派遣した人数と同じ、もしくはそれ以上の人数の職員が派遣先から県に派遣されてきていて、人数的には減っていないこともあるかもしれません。しかし、そうではなく県から派遣しているだけであれば、人員が足りないという状況になっているのではないでしょうか。
 私は、省庁等への派遣により、県庁の職員数が減少し、職員の業務の一部を圧迫しているのではないかというような問題意識を持っております。
 先ほども申し上げましたように、県の職員の方は、現状の人数で最大限の成果が得られるように仕事をされてますので、派遣で人数が足りなくても、それを補うべく頑張っておられることだと思っております。
 しかし、仮に派遣されていなければ、その分人員には余裕ができ、仕事はより円滑に進むでしょう。できた余裕でさらにすばらしい施策を実施できると思いますし、職員の負担も軽減できるのではないでしょうか。
 そこで、質問させていただきます。
 直近5年間の派遣人数の推移と今年度の海外及び中央省庁等への派遣の現状、特に中央省庁と海外への派遣先については、個別の名称と人数をお答えください。また、派遣先から県に戻った際の配属先とその後の異動先について、さらに、派遣先でどのような研修を行うのか、総務部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 総務部長田村一郎君。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) まず、直近5か年の中央省庁等への派遣者数の年度当初の状況についてお答え申し上げます。
 平成26年度は65名、平成27年度は68名、平成28年度は72名、平成29年度は78名、平成30年度は82名の職員を派遣してきました。
 今年度は、年度当初で80名を派遣しております。そのうち、中央省庁には計25名を派遣しており、内閣官房に1名、復興庁に1名、消費者庁に1名、総務省に2名、財務省に2名、文化庁に1名、外務省に1名、宮内庁に1名、厚生労働省に2名、経済産業省に4名、中小企業庁に1名、資源エネルギー庁に1名、農林水産省に3名、国土交通省に4名となっております。
 また、国内での派遣準備も含め、海外には計10名を派遣しており、その内訳は自治体国際化協会のニューヨーク、ロンドン、シドニー事務所及び派遣準備も含め計4名、中国山東省及び派遣準備も含め3名、インド・マハラシュトラ州に1名、日本貿易振興機構のシンガポール事務所への派遣準備で1名、国際観光振興機構のシドニー事務所に1名となっております。その他、他府県に9名、市町村に14名、海洋研究開発機構など民間企業に13名、自治大学校など大学等に9名を派遣しております。
 なお、派遣先では、例えば総務省の財政課であれば、総務省の職員と机を並べ、地方財政計画の策定業務や他省庁との調整業務などに従事しております。その他省庁や海外などにおいても同様に派遣先での具体的業務を担当、遂行し、様々な経験をする中で、職員個人のスキルを高めているところでございます。
 次に、派遣先から帰庁後の配属先ですが、派遣研修で学んだ知識、経験を発揮してもらうべく、例えば総務省であれば財政課や市町村課、税務課、財務省であれば財政課、経済産業省であれば商工観光労働総務課や企業振興課、商工振興課など、関係部署に配置し、即戦力として活躍いただいているところであります。その後の人事配置については、本人の適性や所属長の意見等を踏まえ配置しているところでございます。
〇議長(岸本 健君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
〇林 隆一君 派遣先等の状況について、先ほど総務部長の答弁にもありましたが、省庁はじめ様々な国、地域にも職員が派遣されております。
 私は、派遣される職員はどのような職員が選考されているのか、あるいは、どのように選考されているのか、疑問に感じております。
 海外への派遣であれば、その国の言語を話せる職員でなければ派遣先での十分な職務が遂行できないことも想定できます。本人が希望しないで派遣されるのであれば、仕事に対するモチベーションや意欲も高まらないのではないか、そのように思います。
 また、私は、派遣によって和歌山県にとってメリットがあるのか疑問に感じております。省庁等への派遣により、限られた人員が、県庁の職員数が減少し、職員の負担が増していると考えられている中で、それを補って余るだけのメリットがなければ派遣することに意味がないのではないか、そういうふうに私は思っております。
 もちろん、そうしたメリットがあるからこそ派遣していることだと思いますが、総務部長にお伺いいたします。
 職員を派遣するに当たり、どういった基準で職員を選定しているのか。そして、派遣研修後、どのような効果が和歌山県にもたらされておるのか、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 派遣職員の選定については、より意欲のある人材を発掘することを目的に、年齢などの派遣条件を提示した上で庁内公募により行い、応募のあった職員の中から、日頃の職務に対する取組姿勢や行動力、また所属長の意見等、幅広い視点から本人の適性を判断し、選考しているところでございます。
 次に、派遣研修の効果についてでございますが、研修修了者には、派遣研修で培った知識や経験、人的ネットワークを十分に生かし、県勢発展のために即戦力として活躍していただけるよう期待しているところであります。また、その職員の職務行動が、周囲の職員に対してもよい刺激となり、組織の活性化にも寄与するといった波及効果も期待できると考えております。
〇議長(岸本 健君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
〇林 隆一君 総務部長の答弁で、派遣の効果、派遣を期待する効果についてはよく分かりました。
 派遣による効果については、数値で表せるようなはっきりしたものではないので、どうしても理論的になってしまうのは仕方がないことだと思いますし、私も派遣が全く何の効果もないと考えてるわけではございません。
 何度も申し上げますが、私は、限られた人員の中で、派遣によって県庁職員の業務の一部が圧迫されることのデメリットを上回るだけのメリットが省庁等への派遣にあるか、そのように考えております。
 そこで、最後になりましたが、知事にお伺いいたします。
 職員数が減少する中で、各職場では限られた人員で行政の様々なニーズ、課題に対応していくに当たり、海外をはじめ様々な派遣先で血税を使い研修を行うことの意義について、また、今後は派遣人数を減らすことができないのか、知事の見解をお答えください。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 私は、知事就任以来、県職員が県民の幸せのためにどうすることが必要かと常に考え、情熱を持って行動し、そして、その考える力と行動する技術を身につけさせること、これが必要であるという思いから、和歌山県の将来を見据えた人材育成に取り組んでまいりました。
 本県では、本格的な人口減少社会の到来や相次ぐ大規模災害の発生、経済、社会のグローバル化の進展、情報通信技術等の急速な進歩など、様々な課題に直面しているわけでございますが、こうした課題に適切に対応し、かつ、多様化する行政ニーズに即応するためには、県庁での業務を通じてだけでは得られない高度な知識や能力、経験を備えた人材を育成していく必要があると考えております。
 井の中の蛙では蛙のことしか考えられないし、技術や知識がなければ人の役に立たないのであります。
 したがって、このような能力アップのため、県職員を国や海外等に研修派遣し、例えば国の最前線で政策立案や法案作成、利害調整等を行っている中央省庁の職員と一緒になって、かなり大変でございますけども、働く中で、仕事のノウハウや論理立った考え方等を吸収したり、海外においては、語学力を高めるのみならず、現地のビジネス風土や生活習慣等を理解し、国際的な感覚を身につけ、現地での人的ネットワークを構築することにより、職員の能力を高めているところでございます。
 以上のことは、抽象的な掛け声だけで言っているわけではありません。私の就任時、例えば県職員の立法能力、法律技術は国の職員に比べてかなり劣っていると思いました。そこで、法律業務をたくさんこなしている国の部局に県の有為な人材を送り込んで鍛えてもらってるわけであります。昔は条例に「等」を連発するような条文しか書けなかった職員が、今では民泊条例など、私は民泊法そのものよりもレベルの高いものを県はつくり得たと思っております。
 また、海外や大学での語学研修もそうでございます。今では、たくさんの中堅・若手職員が海外に1人で営業に出ることができるようになりまして、県の富を増大さしていると確信しております。
 派遣によって、県庁で働く人が少し少なくなるということはそうでございますけれども、能力を高めて帰ってきた職員が、県民のために大いに働いてもらえば、これは長期的に見れば県民にとって大きなプラスになると確信しております。
 目の前にある課題に全力で対処することは当然大切であるわけですが、泣くような仕事はできるだけ少ないほうがよろしゅうございますが、目の前にあることだけにとらわれていては物事が見えていないのと同じでございまして、県民の未来の幸せもしっかりと視野に入れて、県職員の育成は県庁100年の大計であるという考え方に立って、引き続き取り組んでいきたいと思います。
 かつて、日本の移民、和歌山の移民もたくさんいらっしゃいましたが、海外で当初は爪に火をともすような生活でございました。しかし、そういう方にあっても日本人は子弟の教育だけは怠らなかった。それが現在の日系人の立派な生活、あるいは立派な人間になったということの原因となってると思います。また、「米百俵」というお話もあります。
 以上でございます。
〇議長(岸本 健君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
〇林 隆一君 知事、御答弁ありがとうございます。
 ただ、職員数が減少する中で、これまでどおりの人数を派遣していくのでは、この県庁に残された人員で様々な課題に対応し、業務を遂行していくのは非常に大変だという声を多く聞くところでございますので、県庁の職員が疲弊し切ってしまっては本末転倒ではないか、そのように思っております。
 今後は、県庁全体の職員数や職員の勤務状況、特に健康状態等を十分踏まえた上で、派遣者数を減らしていくべきだと考えておりますので、ぜひ御検討をお願いいたしたいと思っております。
 それでは、次に県営住宅の共益費集金について質問をいたします。
 県営住宅の共益費集金の問題点については、昨年の6月議会において一般質問をして指摘させていただきました。県が自治会に集金をお願いしているということによる県営住宅の自治会役員の負担や、入居者に自治会役員による共益費の使い込みリスクを負わせている現状をなくすこと、そして、県として効率的、効果的に管理するためにも、共益費は家賃と合わせて県が徴収するよう要望させていただきました。
 6月議会での私の質問に対する答弁として、年内をめどに県営住宅団地の入居者アンケートや自治会にヒアリングを行い検討するとのことでしたが、その前提条件とアンケート調査等の結果を、県土整備部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 県営住宅団地において実施いたしましたアンケート等に関しまして、御質問を頂きました。
 昨年の6月議会において申し上げましたとおり、県では、県営住宅団地の入居者アンケートや団地自治会ヒアリングを昨年8月から12月末にかけて実施いたしました。
 アンケートにつきましては、4613戸の入居者を対象に行い、約52%に当たる2417戸から回答を頂きました。その内容は、住戸内以外の光熱水費や浄化槽の維持点検清掃費を共益費として、県が徴収することについてお聞きしたものでございます。
 その際の前提条件につきましては、県が共益費を徴収した場合の入居者に対してのメリットとして、共益費徴収に係る負担軽減を挙げ、デメリットとして、県による徴収等の事務手数料が1戸当たり毎月数百円必要となることを明記してございました。
 結果は、「県による徴収を希望する」「どちらかと言えば希望する」両者を合わせますと、回答者の56.4%、「希望しない」「どちらかと言えば希望しない」両者合わせますと、22.6%でございました。
 団地自治会ヒアリングにつきましては、対象となります75の団地自治会役員に対して実施をいたしました。
 アンケートと同様の前提条件で行った結果は、「希望する」「将来的には希望する」両者を合わせますと、全自治会の32%に当たる24の自治会で、「希望しない」は41%に当たる31の自治会でございました。
 アンケート及びヒアリング結果における賛否の理由についてでございますけれども、希望するとした理由については、「自治会役員の責任や労力の負担軽減」のほか、「高齢者の増加や入居者の意識変化に伴う役員の担い手不足」でございました。
 一方、希望しないとされました理由といたしましては、「県が共益費を徴収したとしても、引き続き自治会が親睦費等を集めることとなるので非効率である」「徴収経費が負担増となる」「人間関係の希薄化を増長する」あるいは「現状では支障なく運営ができており、その必要がない」というものが主なものでございました。
〇議長(岸本 健君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
〇林 隆一君 アンケートの結果等につきましては、よく分かりました。約束を守りアンケート調査等をしてくれたことに対して、感謝申し上げたいと思っております。
 ただ、今回のアンケート調査は、入居者負担額が月額数百円と不明確で、具体的な負担額を説明しておくべきだったこと、また、県は共益費の会計には関与しないのだから、共益費の使い込みに係るリスクも説明しておくべきだった、そういうふうに私は思っております。そうしていれば、もっと県による徴収を希望する方が多くなったと考えております。
 しかし、アンケート調査の内容が不十分であったと考えられるにもかかわらず、アンケートに回答された入居者数の半数以上が県による徴収を希望されているという調査結果が出ております。
 アンケート調査結果を鑑み、私といたしましては、県営住宅条例を改正し、具体的な取組を進めていただきたいと思っております。
 県による1戸当たりの徴収に係る経費は、おおむね幾らぐらいと考えておられるのか、お答えください。また、アンケートに回答された入居者数の半数以上が県による徴収を希望しているが、県による徴収に対する当局の見解と今後の取組方針について、県土整備部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 共益費徴収に関する取組方針等についての御質問をいただきました。
 県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、県民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的に整備しているものでございます。
 この県営住宅の共用部分等の維持運営に関しましては、公営住宅法第27条で「公営住宅の入居者は、当該公営住宅又は共同施設について必要な注意を払い、これらを正常な状態において維持しなければならない。」と規定されていること、並びに国が示します標準条例に準じた和歌山県営住宅条例に、入居者が費用を負担して行うことを規定していることから、入居者が組織した自治会が共益費を集金して維持運営しております。
 しかしながら、先ほど申し上げました高齢者の増加や役員の担い手不足等を考慮いたしますと、県による共益費徴収の仕組みの用意の検討も必要と考えております。
 その際には、本来入居者が行わなければならないことを県が代わりに行うことになることから、それに係る徴収経費は入居者の負担とすることが適当であると考えますが、入居者の皆様に支払い義務を課すことになりますことから、慎重に制度を考えることが必要であると、このように考えております。
 このため、入居者が当該経費を負担することに合意形成が図られた団地自治会について、県による徴収を実施する方法等を考えていくこととしているところでございます。
 なお、この場合の徴収に係る経費は、徴収システムの整備や団地自治会ごとの徴収や支払いに要する経費等を基に試算すれば、団地の戸数等にもよりますが、おおむね1戸当たり月額100円から300円程度になるのではないかと想定しております。
 県による共益費の徴収を実施するならば、パブリックコメントの実施、県営住宅条例の改正及び徴収システムの整備等が必要となりますので、入居者の方や団地自治会に制度案を丁寧に説明し、また、多くの皆様に御理解いただけるよう詳細な検討を進めてまいりたいと、このように考えております。
〇議長(岸本 健君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
〇林 隆一君 県営住宅の共益費の県による徴収に向けて、非常に前向きな御答弁をいただき、どうもありがとうございます。
 今後は、条例の改正等も含め、県による共益費徴収の導入に係る事務をできるだけ早く進めていただきますよう要望するとともに、導入に当たりましては、徴収に係る手数料等の住民負担ができるだけ少なくなるよう御検討していただくことを強く要望し、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴いただきありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、林隆一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時31分休憩
────────────────────
  午後0時59分再開
〇議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)
〇中西峰雄君 それでは、私の一般質問をさしていただきたいと思います。
 新型コロナウイルスの感染の終息は、いまだ見通せない時期ではございますけれども、和歌山県におきましては、知事及び職員さんの的確な対応によりまして、これまで感染の拡大が防げておりますことに心より感謝申し上げまして、質問を始めさせていただきます。
 私の最初の質問は、紀の川水系の治水対策としてのダムの事前放流についてであります。
 その中で、まず大滝ダムの事前放流についてお尋ねいたします。
 気象の変動による近年の豪雨は、各地で激甚な被害をもたらしております。記憶に新しいところでは、昨年も台風19号によって甲信地方や関東地方、東北地方に大きな被害が出ました。多量の降雨により幾つものダムが満杯になって異常洪水時防災操作、これは聞き慣れない言葉なんですけども、いわゆる報道で言っております緊急放流ですけども、これをせざるを得なくなりました。
 国は、これを受け、ダムの洪水調節機能を強化するため、2019年11月に、既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議を設け、その中で発電や水道などの利水容量を治水に活用するようダムの運用方法を見直し、水害発生が予想される前に利水容量の一部を事前放流して治水容量に活用する方針──利水容量の治水活用、洪水調節機能の強化──を示しました。本年5月までに運用方法の導入を目指し、その後の出水期から運用を開始したいとしております。
 また、利水容量を治水に活用する事前放流には、利水者との合意の形成が必要ですけれども、利水者との合意を得やすくするために、事前放流後に利水者に損失が出た場合に損失を補?する新制度も創設するとしております。
 この国の方針が示された中、紀の川上流の大滝ダムの事前放流がどうなるかについてお尋ねします。
 大滝ダムは、国土交通省が管理する治水、利水両方の機能を兼ねた多目的ダムですが、もし大滝ダムが異常洪水時防災操作、いわゆる緊急放流せざるを得ない事態になれば、それまでダムで行われていた洪水調節の効果がなくなることから、堤防越水、決壊によって流域に甚大な被害が出ることが懸念されます。
 以前に私が調べたところでは、大滝ダムに毎秒4000トン以上の流入がある豪雨が続いた場合には、大滝ダムで洪水調節機能を果たせる時間は17時間ぐらいしかありません。20時間ももちません。洪水リスクを少しでも下げるため、事前放流により洪水調節時間を延ばすことが望まれます。
 そこで、お尋ねいたします。
 大滝ダムは利水容量を放流し、洪水調節に活用することが可能なゲートを備えているでしょうか。また、大滝ダムが事前放流の対象となる見込みはいかがでしょうか。御答弁、よろしくお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長髙松 諭君。
 〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 大滝ダムの事前放流に関しまして、2点御質問をいただきました。
 まず1点目、大滝ダムは利水容量を放流し、洪水調節に活用することが可能なゲートを備えているかについてお答え申し上げます。
 一般的に多目的ダムの貯水池には、利水用に常に水をためている利水容量が下のほうに、治水用に水をためずに空けている洪水調節容量が上のほうにあります。台風等による豪雨に備えるため、下のほうにためている利水容量の水を捨てることで洪水調節容量を増やす、これを事前放流と呼んでおりますけれども、ダムの構造上、その実施が時間的に不可能である場合がございます。
 具体的には、その水を捨てることができるゲートが小さいなどの理由によりまして、利水容量の水を半分捨てるのにも、例えば1週間以上かかり、台風等の襲来に間に合わない場合でございます。
 このような構造のダムでは、仮に1週間前から利水容量の水を捨て、台風等による豪雨に備えたとしても、台風等が接近し始め、徐々に増えていく河川の流量のうち、本来であれば、まだダムにためなくてもよい洪水の最初の部分をダムから流すこともできません。そのため、洪水をダムにためたいという状況になったときには、せっかく空けておいた容量は使い切った状態にもなり得ますので、事前放流を行っていても効果はあまり見込めないことになります。
 逆に、利水容量の水を速やかに捨てることができ、かつその後に洪水の最初の部分をダムから流すことができるゲートを有しておれば、事前放流の効果が比較的高いダムであるということが言えます。
 大滝ダムにつきましては、このようなゲートを備えておりますので、ダムの構造といたしましては、事前放流を行うことが可能であり、事前放流の効果が見込めるダムであると、このように認識してございます。
 次に、2点目でございますけれども、大滝ダムが事前放流の対象となる見込みにつきましてお答え申し上げます。
 議員御指摘のとおり、ダムの事前放流について検討するため、昨年11月に国が既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議を設置したところでございます。翌12月には、既存ダムの洪水調節機能強化に向けた基本方針が策定され、その中で、国管理の一級水系について、令和2年の出水期から新たな運用を開始するとされております。
 近畿地方におきましては、去る1月21日に、紀の川水系既存ダムの洪水調節機能強化に向けた協議の場を含みます近畿地方全ての水系合同による第1回目の検討会が開催され、紀の川水系につきましては、さらに同日、大滝ダムの事前放流の検討の方向性について関係者へ説明があったところでございます。
 今後、本年5月までに、河川管理者であります国土交通省と利水ダムを含む全てのダム管理者及び関係利水者との間で事前放流等に関する治水協定が締結され、本年の出水期からその運用が行われるものと認識してございます。
 今回の大滝ダムをはじめ、紀の川水系の農業用のダムを含めた全てのダムに関する事前放流の協議につきましては、河川管理者としての国土交通省、和歌山県及び奈良県、利水ダム管理者としての農林水産省、利水者としての関西電力株式会社、土地改良区、和歌山県、奈良県及び両県の関連市町といったように、大変多岐にわたる関係者間で協議を行う必要がありますので、相当の調整が必要になると考えてございます。
 しかしながら、大滝ダムの事前放流につきましては、県民の安全・安心を守る手段の一つとして大変有効な取組であり、また、和歌山県では、平成23年の紀伊半島大水害を受け、関西電力株式会社と治水協定を締結し、国に先行してダムの事前放流に取り組んできました知識、経験もあることから、多岐にわたる関係者との協議をぜひとも成立させるため、紀の川上流の吉野川の管理者でございます奈良県とともに、国土交通省に対し、積極的に協力してまいりたいと考えてございます。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 それで、今、答弁の中にも一部あったんですけども、ダムの事前放流には利水者との調整というものが必要になります。
 ただ、この洪水リスクを少しでも下げるためには、大滝ダムの水位を可能な限り低下させるということが望ましいわけです。しかし、一方で、水位を低下させるということは、実際の雨量が予測雨量を下回った場合、いわゆる空振りしたときに水位が回復しないリスクがございます。
 これ、私も以前に大滝ダムの管理事務所に行って、所長とお話ししたんですけども、私は当時よく分かってなくて、台風が来るというのは事前に分かるだろうと。雨がもう降るのは分かるだろうという話をしたら、いやいや、それがなかなか当たらないんですよということを言っておられました。取りあえず、出水期どれだけの雨量があるかというのは、正確に知るということは難しいことのようでございます。
 そういう空振りをしたときに、水位が回復しないリスクがあります。そうなりますと、本来使える水がないために、利水者に多大な影響が出ます。このリスクを踏まえますと、事前放流において、どのような条件のときに、いつ、どれだけ放流するかについては、慎重な判断が必要です。各利水者間で事情は異なるでしょうが、可能な限り事前放流に協力する方向で、大滝ダムの利水者間の合意形成に県が調整役として積極的に関与していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 現在、紀の川の管理責任を有する国において、紀の川水系既存ダムの洪水調節機能強化に向けた協議の場が設置され、ダム利水者である県、和歌山市及び橋本市が参加しています。
 議員御指摘のとおり、大滝ダムの水は水道用水等に使用されており、水道用水の不足は、給水制限や断水につながるリスクはありますが、いざというときに事前放流を行わない場合に発生する下流域の洪水リスクのほうがはるかに大きいと考えられます。したがって、国から要請があった場合は、利水容量の事前放流に協力する方向で積極的に和歌山市及び橋本市と調整してまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 和歌山市や橋本市だけじゃなくて、全ての利水者との合意の形成に努めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 その次に、農業用ダムの事前放流についてお尋ねいたします。
 国が示した方針は、全てのダムを対象に検討を行うとしており、本来、治水目的のない農業用ダムも例外ではありません。紀の川水系には、大滝ダム以外に、大迫ダム、津風呂ダム、山田ダムの3基の農業用利水ダムがございます。利水ダムには、事前放流することのできるゲートを有していないダムも多いと聞きますけれども、3基の利水ダムはゲートを備えているでしょうか。また、事前放流の対象となる見込みはどうでしょうか。また、対象となる場合には、県はどのような役割を果たすことができるでしょうか。御答弁、お願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 農業用ダムの事前放流についてお答えします。
 議員お話しのとおり、紀の川水系には3基の農業用ダムが設置されており、いずれも農林水産省所管でございます。
 3基の農業用ダムは、事前放流に活用できる洪水調節用のゲートを備えていないものの、大迫ダム、津風呂ダムでは、利水用のゲートを利用して、農業用水の需要が少ない時期に、洪水調節容量を確保するための水位調整が行われてございます。
 現在、農林水産省や関係土地改良区が、紀の川水系既存ダムの洪水調節機能強化に向けた協議の場に参加し、3基のダムを対象に、具体的な事前放流の方法について検討されていると聞いております。
 国では、本年5月までに事前放流の導入を目指して検討を進め、その後の出水期から実施したいとの意向を示しております。
 県といたしましては、農業用ダムは、事前放流できる量が少なく、紀の川流域での氾濫防止への効果は小さいものの、治水対策を一たび間違えると、下流の農地などへの影響が懸念されるため、事前放流を確実に行うよう、国に対して働きかけてまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 ダムの洪水調節機能がより一層充実するように、よろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、次の項目に移らせていただきます。
 次は、最近、職員につきまして、必要な人材とか優秀な人材がなかなか採用できない、しにくいというようなことを聞きます。新卒者が減少して、労働市場自体が縮小しています。また、民間の採用意欲も強い中、優れた人材が民間に流れがちでもあります。また、和歌山県職員に採用されても、後年、和歌山市の採用試験に受かると、和歌山市にくら替えする職員もいるというふうに聞いております。
 こういう話を聞きますとちょっと心配になりまして、県は、人材市場において採り負けてるんじゃないかと、採用し負けてるんじゃないかということが心配になります。ここも今後、考えていく課題かなというふうには思ってございます。
 そういう中で、県の職員の業務量が増加しております。例えば、県土整備部では、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の予算や災害対応、紀勢線の4車線化などに伴う業務が急増し、現場では人が足りないという声を聞きます。また、福祉の分野でも、虐待への対応等難しい業務が増加しています。他の部局でも、1人当たり業務が増えているということをお聞きいたします。
 適材がいないため、足らない部署に人を張りつけできていないんじゃないかなと。業務と人材配置は、適正に行われているのでしょうか。認識をお伺いいたします。
 また、平成29年3月に策定しました中期行財政経営プランでは、令和3年度までに一般行政及び公営企業等の部門の職員をさらに50数名削減する目標を掲げてございます。業務のスクラップや効率化に向けた取組を行い、職員の過度の負担増にならないことが必要ですが、特に仕事を減らすスクラップが大切と考えますが、どう考えておられるのか、お伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 総務部長田村一郎君。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 議員御指摘のとおり、国土強靱化の推進等に伴い事業費が増加していることに加え、児童虐待相談件数の増加や紀の国わかやま文化祭2021の開催準備、IR誘致の推進等、新たな行政需要による業務量が増加しているところでございます。
 他方、近年、定年退職者に加え、早期退職者も増加しており、また、土木職など一部職種では、人手不足による採用の競争激化にさらされております。
 こうした中、人員の確保については、公務員合同就職説明会や公務員志向の学生が多い大学ゼミへのPR活動の実施、UIターン就職説明会への参加等、様々な手法を講じているところであり、他の自治体や企業等に人材を採り負けることがないよう努力しているところでございます。
 人員の配置については、各所属の状況を十分聴取し、限られた人員の中で、業務量を踏まえた配置に努めているところであり、年度当初においては、適切に配置が行えていると認識しております。
 しかし、年度途中の退職者の発生等により業務の多寡が生じている現状にもありますので、臨時的任用職員を配置する等、適宜、柔軟な対応を行っております。
 仕事量を減らす取組として、新政策プロセスにおいて進捗状況を反映した施策の見直し、施策の重点化及びスクラップを行っているほか、音声を自動で文字化する議事録作成支援システム、パソコン上で人が操作する代わりに自動で動くRPAの導入等、ICTを活用した業務効率化や事務の合理化により、職員の負担軽減に取り組んでいるところです。
 今後も、これらの取組を通じて職員の業務量に常に目を配りながら、県民サービスの低下につながることがないよう努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 答弁いただきましたけども、年度当初には適正な人材が配置されてると考えているということですけども、私は、そうは思えないんですよね。年度途中から退職であるとか、病欠であるとか、いろんな理由で人が足りなくなっているわけではなくて、もう恒常的に人が足りない場所が発生しているんではないかというふうに私は感じておりますんで、ここは十分よくお考えいただいて、今後の人の配置をしていただきたいなあというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは次に、管理職についてお尋ねしたいと思います。
 管理職の時間管理は、一体どないなってるんかなというふうに思いました。といいますのは、これ、新聞か何か読んでたら、民間の調査会社が管理職へのアンケート調査を行ったら、仕事量が以前よりも随分と増えたという回答が多かったということなんですよね。管理職ですから、自己管理をしていただくのは原則なんで、時間管理についてちゃんとされてるんかなというふうに感じました。また、管理職が実際に仕事中に倒れられて、労災認定を受けるということも発生しているようです。
 管理職といえども、ワーク・ライフ・バランスが大切なことは言うまでもありませんし、そして、自己管理をするんだけれども、それが実際、管理職の働き方がどうなっているんかということを客観的に分かるようなシステムをやっぱりつくっておくべきだろうというふうに思いますんで、管理職の働き方について、時間管理等はどうされているのか、お尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 管理職につきましては、部下の勤怠管理をはじめ、部下の健康管理、業務の進捗管理、組織目標の設定、部下の育成や人事評価など、様々な役割と責任があると認識しております。特に働き方改革の柱であります長時間労働の是正を実現するためには、管理職自らが率先して時間外労働の縮減や年次有給休暇の積極的取得など、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組むことが重要であると考えます。
 また、管理職の上司が職場に残っていると、部下も帰りづらくなるといったこともありますことから、管理職自身が定時退庁に努めれば、組織全体の時間外勤務縮減につながると認識しております。
 昨年4月から時間外労働是正のため、地方公務員においても、民間企業や国家公務員と同様に時間外労働の上限規制が導入され、本県でも超過勤務の上限時間が設定されました。超過勤務時間の上限は、管理職を含む全ての職員が対象となっておりますが、管理職は、その立場や職務の性格上、業務を自ら管理できる地位におり、超過勤務手当の支給対象から除外されていることから、超過勤務の実態は十分に把握できてない状況です。
 議員御指摘のように、働き方改革の推進のためには、管理職の勤務実態を把握して、管理職自らが働き方を見直すことが重要であると認識しております。今後とも、管理職についても、超過勤務を命じられた際には、超過勤務管理システムへの入力を行うとともに、上司である部長や局長、振興局長が所属長等とのコミュニケーションを密にし、業務の進捗はもちろん、勤務状況や健康状態を把握して適切に労務管理を行うよう周知徹底を図ることにより、管理職のワーク・ライフ・バランスの取れた働き方の実現に向けて取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 管理職が働き方改革の対象外ということではないんで、管理職もきちっとワーク・ライフ・バランスの取れた働き方のできるような仕事の県庁にしていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の3番目に参りますけれども、3番目は、独り親世帯の養育費について、養育費を払うのが当たり前の社会の実現についてということで質問をさせていただきます。
 この質問は、既に平成30年12月議会に先輩議員がされておりますけれども、私なりの視点から再度、当局にお尋ねいたします。
 独り親世帯の貧困は深刻です。国の調査では、独り親世帯の貧困率は51%、県の調査でも年間収入が200万円未満の世帯が46.6%となっており、子供を抱える独り親の収入水準の低さが子供の貧困につながっていると思われます。
 それに加えて、養育費の負担義務のある離婚相手から養育費を受けていないことが多く、国の調査では、養育費を受け取っている母子家庭は僅か24%にすぎません。
 県の資料でも、母子家庭では、離婚時に養育費の取決めのある割合は54.8%、取決めのない割合が42.6%となっており、また、取決めがあっても支払いが最初からなかったり、支払い金額が減少したりする割合が28.4%ということで、実際に養育費をきちっと受けている割合というのは2割強ぐらいかなあというふうに思います。また、父子世帯では、取決めがされているのは、たったの10.6%、1割ぐらいしかありません。
 養育費の取決めをしていないとか、養育費を受け取っていない理由は、もう関わりたくないと、別れた相手といろいろやりたくないと、関わりたくない。それから、相手に支払い能力がないというのが主な、一番多い理由のようです。
 このように、養育費を受けていないことが独り親世帯の困窮、子供の貧困に拍車をかけています。養育費を受けられるようにすることが事態を改善することにつながると考えます。
 明石市では、養育費を払わないのが当然の社会を変えたいとの思いから、市が保証会社に保証料を払い、支払いが滞った養育費を保証会社が立替払いをして、保証会社が回収する取組を始めています。この取組については、大阪市も19年に保証料の補助を始めましたし、東京都などでも検討がされているようでございます。
 子供の健やかな成長のために、私たちは、養育費を払わないのは当然から、払うのが当たり前の社会の実現を目指さなければならないと思います。
 養育費の不払いをなくすためには、2段の取組が必要です。まず、離婚時に養育費の取決めをきちっとすること。しかも、ただ単に書いたものじゃなくて、執行力のある債務名義となる文書ですること。すなわち、公正証書、調停調書、家事審判取決めによる取決めをするのが当たり前になる社会を目指さなければなりません。債務名義を得ておけば、支払いのない場合でも裁判を経ずに強制執行の申立てをすることができますので、後日の支払いを担保できます。
 国のほうでも、改正された民法第766条第1項において、協議上の離婚の際には、子の監護の費用の分担に関することを定めることとしておりますが、離婚が認められる必要条件、必須条件とはされていません。また、法務省も、こういう事態を改善したいということで、「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」という冊子を作って、市町村の窓口に配っているんです。いるんですけれども、現場では、この協議書のQ&Aという冊子を離婚届用紙とセットで渡しているところもあるんですけども、ほとんどは置いてあるだけ。言われれば出すというような状態なんですね。
 これは、私は、やっぱり法務省のこういうことについての典型的な役所仕事かなあというふうに思ってます。やはり、何のためにするんかと。これは、やっぱり離婚のときにきちっと養育費についての取決めをするように変えていきたいと、それが目的ですから、そうであるならば、法務省は本来、この用紙を送りつけるだけじゃなくて、その市町村に出向いて、これをセットで渡してくださいね、説明してくださいねという協力依頼をしっかりせないかんのですね。これは、もう配ってしまったらそれでいいという感じで、全くこれ、典型的な役所仕事かなあというふうに思っております。
 とにかく離婚の際には別れることを急いでおりまして、養育費の取決めが二の次になったり、様々な事情から話がこじれて困難なことも多いです。明石市の取組もありますけれども、そんなときに県はどのような支援をしておられますでしょうか。また、その支援がどれだけ有効に機能しているとお考えでしょうか。もっと踏み込んだ支援をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
 次に、養育費の取決めのない場合や養育費の支払いが滞る場合に支払いを受けるための支援が必要です。離婚時に養育費の取決めがなくても、離婚相手の養育費支払い義務がなくなるわけではありません。親が自分の子の養育に必要な費用を負担することは、道義的にも、人の道としても当然のことですし、法的にも負担義務がございます。離婚後でも請求は可能です。
 しかし、改めて債務名義をやるための手続や、債務名義はあっても強制執行をすることは、独り親世帯にとっては、手間や費用の点で極めてハードルが高いことから、そのままになってしまうのが多いのが実情です。
 このような場合に、県はどのような支援をされているでしょうか。また、その支援の有効性をどう考えておられますでしょうか。法務省のように、支援策があるからそれでよしとなってはいないでしょうか。もっと踏み込んだ支援を考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
 離婚は、まあ親の勝手です。また、養育費の負担をどうするかは、基本的には当人同士で解決するのが当たり前ではありますけれども、しかし、離婚による独り親家庭の数が無視できないほどに増えていること、養育費を受けている独り親家庭が2割程度しかない現実、独り親世帯の低所得が子供の貧困となり、子供の健やかな成長の妨げとなっている現実を考えると、そのまま放置していいのかというと、私はそうではなかろうと考えるわけです。
 私たちは、この理不尽な現実を変えていくことに努めなければならないと思います。本来、国がもっと考え取り組むべき課題ではあります。しかし、国が有効な制度をつくらない以上、都道府県と市町村が協力してこの現実を変えていく努力をしなければならないと考えます。答弁よろしくお願いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 県では、各振興局、女性相談所等に相談員を配置し、親権や養育費、面会交流、子供の学校、財産分与等、離婚に伴う様々な事案について相談に応じ、関連する諸制度について説明した上で、現況や課題を共に整理し、相談者が自己決定できるまで寄り添いながら相談に応じています。
 中でも、養育費については、離婚後の子供の生活基盤となるため、金額や支払い期間、支払い時期等につき、あらかじめ書面で具体的に取り決めておくよう、強く促しているところです。また、養育費の取決めをしないまま離婚した場合や取り決めたとおりに養育費を支払ってもらえない場合についても、調停の申立てから履行勧告の申出、強制執行の申立てに至るまでの手続等、養育費の確保に向けた具体的な手法について提案し、相談者の意向を尊重しつつ、子供の利益を最優先に考えた方針が立てられるよう支援しています。
 さらに、その方針の決定に当たり、より専門的な司法のアドバイスが必要な方に対しては、弁護士相談を実施し、助言や指導を行う等、きめ細やかな支援を行っているところです。加えて、養育費確保のための裁判や強制執行の手続を進めることに決めた相談者に対しては、弁護士費用や養育費が確保されるまでの生活費について、母子父子寡婦福祉資金で対応することとしており、各振興局の母子・父子自立支援員が継続的に相談に応じるなど、体制を整えているところです。
 このように、県では、離婚前から離婚後に至るまできめ細やかな相談支援体制を整えることができていると考えますが、実際の養育費の受給率の低さを鑑みると、まだまだ1人で悩んでいる方も多いと思われるため、来年度からは、さらに離婚したばかり等で生活に不安を抱える独り親の方々の御自宅を全戸訪問し、支援員が生活全般の相談に応じるとともに、養育費が受け取れず悩んでいる方々については、相談窓口にしっかりつなげていくこととしています。また、各振興局、女性相談所等の相談員や市町村職員を対象に、離婚の各手続に係る実務的な研修会を実施し、相談員の資質向上を図ることにより、さらに相談支援体制を強化していく予定としております。
 引き続き、経済的支援や就業支援等、独り親家庭の生活の安定と自立に向けた施策の推進に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 答弁をいただいたわけですけれども、養育費の支払いを確保するために、県の施策がどれだけ有効に機能してるかという点につきましては、甚だ疑問に感じております。
 これは、2018年のデータですけども、和歌山県の離婚件数は約1700件ございます。先輩議員の質問の議事録によりますと、平成29年度の相談件数、これ278件なんです。1700件の離婚があって、278人の相談しかない。これは、しかも養育費だけじゃないですね。いろんな相談を全て含めて278件なんです。また、平成27年から29年の3か年の養育費に係る弁護士の相談件数は、たったの5件というふうに答弁されてますよね。
 こういうことを見ますと、いろんな支援策を講じておられるとおっしゃいますが、実際にどれだけ機能しているかというのは、甚だ心もとないというふうに感じます。
 また、この離婚を考えている人の中で、県の支援を知っている人は果たしてどれだけいるんかなというのも疑問に思います。
 これは、ある調査によりますと、養育費について県や市町村に相談した人は数%、3%とか5%もない人が県とか市町村に相談をしたというのが実態なんですね。ここは、もっともっと工夫の余地があるというふうに感じます。
 ただ、この問題は、県や市町村だけで解決するのは難しいことも事実でして、いろいろ調べておりますと、やっぱり国がこの養育費ということについて、もっとしっかりした制度設計をせんといかんのですね。諸外国と比べても、日本の養育費の受給率というのは大変低いです。まず第一に、離婚の際に養育費の取決めをするということが離婚の要件になってないですね。必要条件になってない。ここは、何とか変えていかないかんですね、まず。国でね。
 もう一つは、支払いの実効性を確保する手段がやっぱり欠けている。例えば、支払い義務者がどこに行ったか分からんようになったと。そんなときに、居どころの調査はどこができるのよという、そういう制度もないんですよね。ここも、やっぱり養育費についての支払いが悪いということになっているんだと思います。要するに、支払い義務者から取り立てて、そして、それを独り親に渡すということをしている国もあるんですけども、残念ながら日本はそうはなっておりません。
 ただ、やはり養育費については、払うのは当たり前の社会を私たちは目指していきたいと思いますので、難しい課題ではございますけども、県もなお一層の努力をしていただきますことをお願い申し上げます。
 それで、次の問題に行かしていただきたいと思います。
 次は、「水の国、わかやま。」に釣りの魅力をということで、釣りの魅力をもっと強く訴えて誘客をということについて質問いたします。
 和歌山県の自然は、本当に美しいと感じます。美しい和歌山の中で、特に海と川の美しさに着目した「水の国、わかやま。」のキャンペーンは、優れたアイデアだと思います。また、この冊子も大変よくできていると感じます。
 ただ、その中で、和歌山での釣りの魅力をもっと強く打ち出してほしいなというふうに感じます。この「水の国、わかやま。」の冊子には、「水と遊ぶ」というページがありまして、そこで、フィッシングカヤックは載っていますけども、これだけなんですね。
 また、「わかやまほんまもん体験」という冊子がありまして、ここでも各種アクティビティーを掲載、紹介してくれてますけども、ここでも釣りの魅力の打ち出し方が弱いというふうに思います。古座川、日置川、日高川、有田川、紀の川、それらの支川の清流でのアマゴ釣りとか、アユ釣りとか、また、海辺での磯釣り、あるいは、へら竿の里の橋本でのヘラブナ釣りは、自然を満喫できる楽しさ、人を引きつける魅力があると思います。
 私は、ここで感じたことは、釣りについては、日本人にあまり訴えても効果ないんじゃないかなというふうに思ったわけです。なぜかというと、国内の釣り人って大体釣り雑誌もありますし、各種メディアもあったり、口コミであったりで、いつ大体どこで何が釣れてるかというのは分かってて、釣り場もよく知ってるんですね。そういう方々にアピールしても、効果が薄いかなあというふうに思いますんで、アピールするんであれば、海外の人にアピールしてほしいなと。海外の人にどう訴求していくかということに知恵を絞っていただきたなというふうに思います。
 釣りは、結構奥が深いです。はまる人も絶対出てきますわね。どうすればはまるかが知恵の絞りどころかなというふうに思います。はまればリピーターになります。
 県の担当者に聞きますと、例えば、アユ釣りでは、中辺路で1か所だけ釣り師の指導を受けられるメニューが「わかやまほんまもん体験」の中であるそうですけれども、そのメニューをブラッシュアップして、各河川で、また磯で展開してはどうでしょうか。釣りに来ていただければ、宿泊もするし、食事もします。お土産も買っていただけることでしょう。それが和歌山の観光経済の一つになると思います。前向きな御答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。
  〔稲本英介君、登壇〕
〇商工観光労働部長(稲本英介君) 本県は、黒潮の恩恵を受ける温暖な海と、紀の川や古座川、日置川などの清流に恵まれ、魚の種類も豊富なことから、県内外の釣り人を引きつける魅力ある釣り場が数多く存在しています。
 県では、自然、歴史文化、農林漁業、伝統産業などの体験型観光メニューを網羅した「わかやまほんまもん体験」において、中辺路でのアユ釣りのほか、すさみ町の磯釣りや橋本市のヘラブナ釣りなど、合わせて12の釣りに関連する体験メニューを紹介しているところです。
 議員御提案の釣りの魅力をもっと強く訴えて誘客を行うことについては、水を切り口に県内周遊に取り組んでいる「水の国、わかやま。」において、本県が誇る清流での体験メニューの一つとして、5月1日に日本一早く解禁となるアユ釣り等を新たに追加するとともに、「わかやまほんまもん体験」においても、さらにメニューを充実させ、釣りの魅力発信を強化してまいります。
 また、外国人観光客につきましても、釣りに対するニーズがあることから、海外旅行会社の視察やメディア取材の際にフィッシングカヤックなどを紹介してきたところです。
 引き続き、和歌山ならではの体験メニューの一つとして情報を発信する一方で、外国人観光客の受入れに当たっては、多言語対応など受入れ体制も課題であることから、事業者のインバウンド対応の取組も支援してまいります。これらの取組を通じて、国内外からの釣りファンの来県を増やすとともに、リピーターの獲得につなげていきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 なかなか難しいかなとは思うんですけども、釣りというのは、奥は大変深いんで、これをやったらはまる人が出てくるんで、ここはやっぱり工夫をしていただいて、釣りで誘客をもっと増やしていただきますようにお願いを再度申し上げて、私の一般質問を終わらしていただきます。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 7番井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
〇井出益弘君 いよいよ最後のバッターですんで、お疲れのところ、皆さん申し訳ないんやけど、しばらく御清聴、そしてまた、知事はじめ当局の新型コロナウイルス対策、大変知事も疲れてるなと思うんですけど、私らはなかなか、もう次が出やんようにというのを祈るしかないんで、なかなか、私らもかからんように、あるいは周りで出さんように、そしてまた、後、出てこないようにというようなことを祈っておりますけども、なかなか疲れてる知事に、厳しく質問なりというか。
 やはり今年もこの「新六ヶ井堰の撤去に向けて」ということでタイトルを出しておるんですけど、多分、この新六箇井堰のことは、取らんことには、あそこで水位がずっと4メートルも、5メートルも上がっとるというのが、そしてまた、七瀬川とかああいう川から、紀の川の水位のほうが高いからゲートを閉めたりするような異常なことが起こってて、今年もまた夏とか秋に出荷していただくべき農産物が泥をかぶって出荷できなくなって、また廃却というようなことが数年続いてるんで、ぜひこれは何とかこの水位を下げるためにということで、今回も質問させていただきます。
 まず、1番目の「新六ヶ井堰の撤去に向けて」の1、新六箇井堰と紀の川大堰の目的について。
 平成30年12月議会に引き続き、紀の川大堰の関係で1点だけ深く掘り下げて、今回質問したいと思います。
 この新六箇井堰に係る質問については、公明党の多田議員も随分勉強されて、一生懸命取り組んでいただいてますし、また、ほかの県議の皆さんも、多くの皆さんがこの件に関しては取り組んで、勉強して、いろんな要望活動されてますけども、なかなか進まないというか結論が出ない。こんなんもうすぐに結論が出やなあかんようなもんやのに出ない。
 そして、平成30年の2月議会でも、私も質問させていただいてるんですけど、和歌山市内の紀の川流域では、和歌山市西田井や北の紀伊地区、または直川地区などで、これまで台風に伴う大雨や局地的な大雨により、幾度となく家屋浸水被害が発生しております。また、周辺農地も広範囲で水につかり、多くの農作物の被害が発生しております。
 この資料の1枚目にも書かしてもらってるんですけど、この資料、随分多くの、平成29年の21号台風のときには、床上浸水が92件、床下が108件、非住、住んでない家の分で22件、合計222件というような浸水被害が出てまして、私もそこの写真をたくさん見してもらったり、あるいは家の浸水も大変被害が出てるんですけども、庭へ置いとった車がどっぷりつかってしまってる、多くの車がつかってる。そして、それについては全く見舞金も出ないというか、そんなもんどころじゃなくて、これは、この原因をやっぱり追求しないと駄目だと思います。
 そうした中、紀の川を見ると、至るところに土砂が堆積し、また、大きな樹木も多く存在して、紀の川の中に森があるのではといった状態になっているところもあります。これらの土砂や樹木は、水の流れを阻害する障害物となり、豪雨に伴う出水時において、紀の川本川水位を上昇させた要因の一つであろうと考え、堆積土砂の撤去や樹木の伐採について、計画的に実施していくべきではないかと強く訴えてきたところ、紀の川沿川地域における浸水被害の軽減に向けた紀の川本川の堆積土砂の撤去、河道内樹木の伐採については、国、県、市町を構成機関とする紀の川流域における浸水対策検討会の場で、県から流下断面の確保や支川の排水の円滑化に資する河道内樹木の伐採をはじめ、円滑な流下を阻害する堆積土砂の撤去をより計画的かつ効果的に実施されるよう、継続して国に働きかけを行ってくれており、七瀬川合流点の対岸に当たる小豆島の堤防等に繁茂した樹木の伐採や南田井ノ瀬橋上流左岸付近に堆積している土砂の撤去など、順次進められていることについては、地元の方々もありがたく思っております。
 こうした堆積土砂の撤去や河道内樹木の伐採の地道な作業は、重要であることは承知していますが、10年先や、いや100年たっても終わらないかも、気の遠くなるような進捗状況であり、いつ発生するか分からない豪雨に対して、抜本的、即効性のある解決策にはなりません。
 それで、ずっと言い続けているのですが、和歌山市西田井や北の紀伊地区、または直川地区などの浸水被害が発生する原因については、紀の川本川の水位が長時間にわたり高い状況が継続する中、沿川地域において内水排水が困難になるほどの記録的な雨量が原因であると考えており、平成29年に大規模な浸水被害をもたらした台風第21号の浸水についても、県もそのようなことが主な原因と考えていると答弁されております。
 内水の排水には、紀の川本川の水位を下げることが最も有効的な対策であると考えることから、新六箇井堰の撤去に向けての行動をとにかく起こしてほしいという県民の、市民の皆さんの声をこの場で訴えているわけですが、今回、原点に戻って皆さんと考えたいと思います。
 まず、新六箇井堰は何のためにあったのか。紀の川大堰は何のために建設したのか。県土整備部長にまず答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの井出益弘君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 新六箇井堰の建設目的及び紀の川大堰の建設目的について、それぞれ御質問をいただきました。
 新六箇井堰は、現在の和歌山市松江方面までの農業用水の取水を目的として、江戸時代末期に築造されましたが、農業水利施設の近代化のため、紀の川本川にありました既設の11の頭首工を四つの頭首工に統合再編いたします十津川・紀の川土地改良事業計画に位置づけられ、昭和32年に新六箇頭首工として建設された施設と聞いております。
 なお、この新六箇頭首工が正式名称でありますが、地元では、統合再編前と変わらず新六箇井堰と呼ばれているようでございます。
 また、この新六箇井堰は、いわゆる固定堰でございました。紀の川大堰は、この新六箇井堰を撤去することで洪水を安全に流下させる治水目的、上水道や工業用水などの既得用水の安定取水を確保した上で、新規水道用水を確保する利水目的、魚類の遡上に必要な維持流量を確保する環境目的、これらの目的のために建設されており、堰本体の工事自体は、平成15年3月に完成したところでございます。
〇議長(岸本 健君) 井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕
〇井出益弘君 次に、2番目の新六箇井堰の存置について。存置といいますか、なぜあるかという、残ってるかということであります。
 この皆さんに配付させていただいてる資料をちょっと大きく、私も手持ちのコピーをさせていただいたんですけど、この部分がもう既に撤去されております。
 そして、あと下半分、ここが残ってるんです、川の底やから。(「知事に見せたれや、知事に」と呼ぶ者あり)ちょっと待ってよ。
 「既に撤去済」と書いてある拡大した図面ですけど、ここが撤去済みです。そして、川の底にまだこの半分下が残ってる。この下が残ってることが大問題であります。
 これは、国土交通省の和歌山河川国道事務所から頂いた資料を基に作らせてもらって、皆さんに、お手元に配付させていただいております。
 これだけ大きな構造物がまだ水中に残っているわけで、この構造物が撤去されれば、ぐんと水位が下がるといいますか、川底もどんと下がります。ですから、これがなぜ残ってるのかなあと。たしか、私らが紀の川大堰完成の説明とか、いろんな工事の進捗状況を聞いとるときには、大堰が完成したら新六箇井堰は撤去しますと、そして、撤去しなかったら、なかなか水位が大変な上昇になって、この堰のところは堰上げ現象という現象があって、何メートルも高くまでこの水位が上がってしまうんで、とにかく撤去しますということで説明を受けてきたんですけども、なかなかそれは撤去されないままに、そして、半分撤去したその残りがずっと残っています。なぜこれが撤去されないままに残ってるのかということを部長に御答弁願います。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 紀の川大堰が完了したにも関わらず、なぜ今なお新六箇井堰の一部が存置しているのかとの御質問をいただきました。
 紀の川の改修につきましては、昭和34年の伊勢湾台風を契機に本格的に検討が開始され、昭和40年に紀の川水系工事実施基本計画が策定されました。
 昭和40年代の紀の川では、昭和40年台風第24号、昭和47年台風第20号と相次ぐ出水により甚大な浸水被害が発生いたしました。
 一方で、昭和48年に和歌山市で民家約2万5000戸の断水が発生するなど、渇水被害も度々発生しており、水道用水をはじめといたしました既得用水の安定的な確保が課題でございました。
 また、大阪府では、関西国際空港の泉南沖への立地を想定しました水需要の増加予測並びに人口増による水需要の増加への対応として、新たな水源を確保しなければならない事情もございました。
 これらを受け、昭和49年に紀の川水系工事実施基本計画が改定され、船戸地点において、計画高水流量が毎秒6100立方メートルから毎秒1万2000立方メートルに変更されますとともに、岩出から河口までの区間については、新六箇井堰を含む井堰の改修等を行うことが新たに位置づけられました。
 その後、昭和53年に紀の川大堰の事業着手を意味いたします実施計画調査が開始されました。昭和63年には、特定多目的ダム法に基づく紀の川大堰の建設に関する基本計画が策定され、この基本計画では、水害への対策や利水の確保等を目的とする紀の川大堰の建設や、大堰完成後の新六箇井堰の全撤去についても位置づけられました。
 紀の川大堰の本体自体は、昭和62年に着工し、平成15年に完成いたしましたけれども、平成20年に紀の川大堰の建設に関する基本計画が改定され、大阪府の水需要の変化に伴う水源計画の見直しにより、必要となる利水容量が縮小されました。これに伴い、紀の川の治水計画についても、紀の川の流域全体の治水バランスを考慮した河川整備を実施することとなり、戦後最大規模の洪水である昭和34年9月の伊勢湾台風と同等の洪水規模でございます毎秒8500立方メートルを安全に流下させる河道を整備することがこの基本計画に位置づけられました。この変更により、新六箇井堰については、堰の全部を撤去するのではなく、堰の基礎より上部の部分の撤去並びに必要な堰上流の河床掘削を行うことになったものでございます。
 このため、平成20年の時点で、部分撤去をもって新六箇井堰の対策は完了し、平成23年には、必要な堰上流の河床掘削が完了してございます。
 なお、計画の見直しに伴い、直川地区などの内水被害軽減の効果が減少することへの対応として、国は、直川地区の排水ポンプの設置、鴨井樋門の改築などを行いました。県につきましても、七瀬川の河川整備を行っているところであり、これまでに下流から国道24号までの約900メートルの区間については概成しており、鴨居川合流点までの残る区間につきましても、令和2年度の完成を目指して事業の進捗を図っているところでございます。
〇議長(岸本 健君) 井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕
〇井出益弘君 大変、部長から、整然とまとめて状況を答弁いただきました。
 今回、私は、国へも去年の年末から、年明けてから、有志の皆さんとも何回か行かしていただいて、そして知事にも、非公式ですけど、なかなか感触としては、何とかこれ取らなあかんのと違うかなというような感触を持ってくれてるかなと。国も何か、国へどうですかと、地元ではこういうことを市議会も県議会も言うてるんですけどというような、そういうことが随分伝わってくれてるような気がしながら、ありがたいと思いながら、何かもう一個そやけど後送り、後送りまでされていってるような状況もあるんで、大変努力していただいてるような気もするんで、失礼な質問か分からんですけど、やはり私たちは、県民の皆さんの声を代弁して、あるいは現場の声を代弁して発言する、あるいは取り組むのが我々の使命と思ってますから、ちょっとそういうことから、はっきり要望なり質問なりさしていただいておるんですけど。
 次に、3番目の新六箇井堰撤去についてお伺いします。
 今、県土整備部長から説明がありましたが、農業用水の取水堰である新六箇井堰については、当初、紀の川大堰の建設に関する基本計画においては、水害対策や利水の確保などを目的とする紀の川大堰の建設後、新六箇井堰は撤去されることになっていました。
 ところが、紀の川大堰本体の完成後、大阪府の水源計画の見直しにより、必要とする利水の量が縮小されるとともに、治水計画についても安全に流下させる流量の規模が縮小され、段階的な整備目標への変更が平成20年になされました。
 この変更に伴い、新六箇井堰については、堰の全部を撤去するのではなく、堰の基礎より上部の部分を撤去、つまり、完全に撤去をせずに上部だけの撤去にとどまったわけです。その結果、何度も言いますが、今なお、堰の基礎部分の約3メーターが存置されています。堰より上流での紀の川の水位は十分に下がらず、内水被害が発生していると私は考えております。
 平成30年2月議会において、浸水被害を受けている地元の関係者より、基礎部分が存置されている新六箇井堰の全撤去を求める強い要望があるが、新六箇井堰の全撤去に向け、県としてはどう考えているのかについて、県土整備部長にお尋ねしました。部長は、現在の紀の川の河川整備は、平成24年度に策定された紀の川水系河川整備計画に基づき実施されており、この計画では、下流部についての一定の整備が完了していることを受けて、上流の岩出狭窄部や藤崎狭窄部を広げる整備を進めることが位置づけられている。そして、県としては、新六箇井堰の早期撤去を求める要望があるとも把握しており、まずは、現在実施している上流の岩出狭窄部対策などの着実な事業進捗を国に働きかけるとともに、要望があることを国に伝えるというものでした。
 そして、平成30年12月議会において、和歌山市や和歌山市議会も新六箇井堰の撤去に向けた国への要望の動きがある中、やはり1年でも早く、このようなことを繰り返すことがないように、すぐに全撤去といかなくても、まずは3分の1、4分の1だけでも撤去をすることができないものかと、そして、この地域で農作物の生産に励んでおられる皆さんや、田畑が池のようになり、道路がどこなのか分からなくなって通行止めになる地域住民の思いを、やはり県が一緒になって、県が後押しをしてくれれば、ぐんと実現に近づくと思うことから、県も一緒になって新六箇井堰の全撤去に向けて、国に対して要望活動を展開するなど取り組んでいただけないか、知事にお伺いしたところ、知事からは、現在、紀の川の河川整備は、平成24年12月に策定された紀の川水系河川整備計画に基づき実施されている計画は、下流部についての一定の整備が完了していることを受けて、岩出狭窄部や藤崎狭窄部など中流部、上流部における整備を先に進めるということを位置づけており、上流、中流が終われば、下流の新六箇井堰に戻ってくるという理解ではあるが、こうした大きな枠組みとは別に、和歌山市内の紀の川沿岸地域で発生している度々重なる浸水被害の軽減については、喫緊の課題と認識していただき、浸水被害の軽減に向けて、平成30年1月に設置された紀の川流域における浸水対策検討会において、仮に新六箇井堰の撤去が今起こっている浸水被害を防ぐ唯一の対策だということになれば、県も国に対して何とかしてくれるように言おうということでもあったかと思います。
 この件は、今後も引き続き私たちも尽力してまいりますが、やはり県も一緒になって、新六箇井堰の全撤去に向けて国に対して要望活動を展開していただきたい。県は、このようにかなりの年月にわたり結論が後送りになっているのに、新六箇井堰の撤去について国に働きかけをされないのか、知事に答弁を求めます。
〇議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君)  これまでの経緯につきましては、井出議員から今、私が答えるまでもなく、いろいろ御説明いただきましたので、私、ちょうど就任したばっかりの頃だったんですけど、一応、六箇井堰のところ、部分的にできましたので、それで論理的に言うと、その中流、上流もやらないと不公平になるんで、先にそれをやらしていただいた後、また戻ってきますと。全部やってくれよと初めから言ってたんですけど、そういうような話があるから、まあしゃあないかなというふうに思っておりましたが、どうもやっぱりもう待てないという気持ちもありまして、国に対してどうですかというようなことをかなり働きかけをした結果、国土交通省が国、県、市町を構成機関とする紀の川流域における浸水対策検討会、これを平成30年1月に設置をしてくれました。現在までに4回の幹事会と3回の検討会が開催されまして、これまでに大体、浸水発生要因の分析が完了したところであります。
 新六箇井堰の撤去については、国が浸水対策の一つの手段案として、堰の部分撤去を含め、あらゆる可能性を排除せず検討し、その軽減効果や費用対効果などを分析してるものと認識しております。
 県としては、これも井出議員が既にもう言っていただきましたけれども、仮に新六箇井堰の撤去が平成29年10月の浸水被害の再発を防ぐ唯一の対策だということになれば、紀の川水系河川整備計画に基づいて順次行われていく岩出、藤崎、小田の各狭窄部対策など、中上流部の整備、そして、これら一連の整備が終わり、下流に戻ってからの新六箇井堰撤去工事の着手という従来の枠組みを変えることも視野に入れていかなきゃならないと考えておりまして、この方針に変更はございません。
 なお、今月中には、第5回幹事会を開催する予定と国からは聞いております。平成29年10月の台風から2年以上が経過する中、新六箇井堰の件も含めた検討結果を国からお示しいただけるものと考えております。県としては、国から結果が示され次第、従来の枠組みを変えて、新六箇井堰の撤去を国に働きかけるかどうか、判断をしていきたいというふうに思います。
 また、国土交通省では、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に基づく河道内樹木の伐木や堆積土砂の撤去など、集中的に取り組んでいただいておりますけれども、その効果であったり、国が主体となって取り組んでいる紀の川流域における浸水対策検討会での内容が、必ずしも地域に伝わっていないということも事実だと思います。
 そこで、地域の住民の皆さんが安心を持っていただけるような情報提供をもっとちゃんとしたらどうですかというようなことも、国に対して働きかけていきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕
〇井出益弘君 大変丁寧な御答弁ありがとうございました。
 今度は、ちょっと最後に、知事と一緒になって国へ物を申したいというところがあります。
 先ほど部長が答弁いただいた中で、紀の川大堰を造るときに6100立米、この水量としては確保のやつを、大阪へ売るというか分けるから、約2倍の1万2000立米に大きくして、紀の川の水系のいろんな会議でも認めた。
 ところが、大阪が水を要らんようになった途端、1万2000立米要るというて計画した紀の川大堰の計画が、大阪が要らんと言うたら8500立米にどんと計画を下げた。だけど、私は思うのは、この8500に下げたから六箇井堰は半分でええという、撤去が半分でええという話にちょっと無理があるんと違うかと。やはり、今、ゲリラ豪雨という雨は、もうそんなんに関係なく、紀の川の水量計画に関係なく、ばあっと降ったりするわけですよ。そしたら、この六箇井堰は、やっぱり当初の計画のとおり撤去するということを、やっぱり治水ということを優先せなあかんと思うし、治水率、今、両方別にあって造った紀の川大堰ですけど、最近のゲリラ雨に対して、その堰を半分残しておくということも非常に理由にはならんと思うんで、これは国にぜひ当初のとおり全部取ってほしいということを、特に特急で取ってほしいということを知事も我々と一緒に言うてほしいなと、そういうことで強く要望して終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、井出益弘君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第1号から議案第17号までは予算特別委員会に、また、議案第43号は人権・少子高齢化問題等対策特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第34号から議案第42号まで、議案第44号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。3月10日から13日までは、委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、3月10日から13日までは休会とすることに決定いたしました。
 次会は、3月16日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時21分散会 

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