令和2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
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令和2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号
令和2年2月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
令和2年3月5日(木曜日)
午前10時開議
第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(42人)
1番 鈴木德久
2番 山家敏宏
3番 中本浩精
4番 堀 龍雄
5番 藤山将材
6番 岸本 健
7番 井出益弘
8番 宇治田栄蔵
9番 北山慎一
10番 中西峰雄
11番 秋月史成
12番 森 礼子
13番 濱口太史
14番 尾崎要二
15番 冨安民浩
16番 川畑哲哉
17番 玉木久登
18番 鈴木太雄
19番 岩田弘彦
20番 吉井和視
21番 谷 洋一
22番 佐藤武治
23番 岩井弘次
24番 中 拓哉
25番 多田純一
26番 新島 雄
27番 山下直也
28番 中西 徹
29番 玄素彰人
30番 谷口和樹
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 林 隆一
36番 楠本文郎
37番 高田由一
38番 杉山俊雄
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 細川一也
危機管理監 森田康友
総務部長 田村一郎
企画部長 田嶋久嗣
環境生活部長 田中一寿
福祉保健部長 宮本浩之
商工観光労働部長 稲本英介
農林水産部長 角谷博史
県土整備部長 髙松 諭
会計管理者 飯島孝志
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員 竹田純久
警察本部長 檜垣重臣
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 保田栄一
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 中川敦之
次長 中谷政紀
議事課長 松山 博
議事課副課長 山田修平
議事課議事班長 岸裏真延
議事課主任 保田良春
議事課主査 伊賀顕正
議事課主事 浅田晃秀
総務課長 井邊正人
政策調査課長 中平 博
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午前10時0分開議
〇議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
11番秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
〇秋月史成君 おはようございます。
一般質問3日目、朝一番の登壇者となります。私の記憶が正しければ、今回で通算11回目の一般質問となります。
昨年、健康診断にて不整脈が発見され、心房細動と診断されました。10月末から公務と公務の間でカテーテルアブレーションという手術を受け、人生初の入院生活を送りました。こんな私でも、意外と心臓が弱いことが判明しました。
11回目の登壇ですが、今もなお心臓がどきどきしていますが、最後まで精いっぱい頑張りますので、お付き合いのほどよろしくお願いします。県当局の皆様、ガラスの心臓の私でございますので、ぜひとも心臓にストレスを与えないような前向きな御答弁、よろしくお願いいたします。
それでは、議長の許可をいただきましたので、以下、通告に従い一般質問を行います。
戦後植林された木々が大きくなり、全国的に収穫期を迎えております。そのような状況から、林野庁では、切って、使って、植えての循環型林業を進めています。しかしながら、林業就業者の減少、高齢化によって、森林の適切な経営管理に支障を来す状況となってきております。
これまで伐採現場では、高性能林業機械の導入が進められ、生産性の向上と省力化が図られてはきましたが、今後は、発展が目覚ましいICTやロボット技術、AI等の最新技術の活用が期待されます。林業の特性を踏まえた新技術を活用した林業イノベーションを推進することが大事だと言われております。
こうしたことから今回は、私は、本県における林業イノベーションの取組として、1、集材機の開発について、2、ドローンの活用について、3、路網整備について質問させていただきます。
本県は古くから「木の国」と歌に歌われるように、杉やヒノキなどが繁茂し、林業が盛んな地であります。現在、戦後から多くの先人たちの手で丁寧に育てられてきた人工林は成熟期を迎え、森林資源は充実しており、林業再生の好機となっています。
こうした中、全国的には路網整備を伴った集材効率の高いトラクター系の車両系機械による集材が主流ですが、地形が急峻な本県では、林地を荒らさない架線集材が健全な森林を育成するために特に重要な技術と伺っております。
しかしながら、架線集材に必要な集材機の構造は、何十年もの間、開発が進まず、熟練作業員でないと操作が難しいなど、機械の改良、開発が望まれています。
こうした中、昨年11月28日に、私の地元、上富田町で、県主催による機械化、ICT技術による省力化の研修会が開催されました。当日は、林業関係者をはじめ市町村など関係者約200名が集まり、午前中は基調講演による意見交換、午後は最先端機械の展示、実習などが行われ、小雨が降る中、参加された方々は熱心に各種機械の説明を聞き、近い将来の本県の林業のイメージを描かれたと聞いております。
私は、急峻な地形の本県において、架線による集材技術の継承はとても大切だと考えますが、本県における集材機の開発状況と今後の取組方針について、農林水産部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。
農林水産部長角谷博史君。
〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 架線集材機の開発状況と今後の取組方針についてお答えをさせていただきます。
議員御指摘のとおり、急峻な地形が多い本県では、架線集材による効率的な作業システムを確立することが重要であるため、県から林業事業体や林業機械会社等に呼びかけ、架線集材の低コスト化・省力化技術研究会を平成24年度に設立をいたしました。
平成26年度には、同研究会が主体となって、全国で初めて無線で簡単に操作できる油圧式集材機を開発し、現在では、架線集材作業において最も危険な荷かけ作業を、遠隔操作によりクレーンゲームのように木材をつかむことができる機械の開発に取り組んでいるところでございます。
完成すると、集材、造材に必要な人員が4名から2名になるなど、画期的に生産性が向上するとともに、安全性の向上が図られるものと考えております。
今後、AI技術を導入し、完全自動化が可能な機械へと改良を進めるとともに、現地での実演会の開催などにより普及が図れるよう、しっかりと取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 これからの本県の林業にとりまして、集材機の開発は欠かせないものとなると思います。開発の推進と導入の促進をよろしくお願いいたします。
次に、林業におけるドローンの活用についてお尋ねします。
近年、小型で飛行安定性の高いドローン技術の進展は目覚ましく、様々な分野においてドローンの活用が急速に広まっています。林業分野においても現場の人手不足が深刻な問題となっている中、従来、人の手で行ってきた作業においてドローンを活用することで、省力化と労働軽減につながると思います。
そこで、農林水産部長にお尋ねします。
本県の林業におけるドローンの活用状況と今後の取組方針についてお答えください。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長。
〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 林業におけるドローンの活用状況と今後の取組方針についてお答えいたします。
ドローンについては、架線の索張り時にはほとんどの現場で活用されており、植栽地における獣害防止ネットの見回りや森林の生育状況調査にも活用されております。
また、資材運搬用ドローンが新宮市の林業機械会社において開発され、苗木や獣害防止ネット等資材の運搬に活用されております。このドローンを使った場合、約12キログラムのコンテナ苗木を250メートル運搬するのに、人力運搬では約30分かかるものがドローンでは約4分と、8分の1の時間に短縮されるなど、作業の効率化や省力化を図ることが可能となります。
今後、ドローン導入のための補助制度の創設を国へ要望し、現場への普及に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 ドローンの技術は日々進歩しております。
先日、私の自衛隊の学校の同期会に参加してまいりました。陸上自衛隊における回転翼の今後について質問したところ、観測・偵察用のヘリコプターにおいては無人化が進むようであります。
ドローンにおいても、今後さらなる活用の幅が広がることは間違いないと思いますので、今後も積極的な取組をお願いいたします。
次に、林道や森林作業道等の路網整備についてお尋ねします。
路網は、造林、保育、素材生産等の施業を効率的に行うためのネットワークであり、林業の最も重要な生産基盤でもあります。また、作業現場へのアクセスの改善や災害時の緊急搬送等、林業の労働条件の向上に付与するものであります。
こうしたことから、これまでも県では林道や森林作業道等の整備を推進していますが、その整備状況、整備に対する課題を農林水産部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長。
〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 林道や森林作業道等の整備状況と整備に対する課題についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、林内路網は高性能林業機械による作業や木材の運搬を効率的に行うための重要な生産基盤であると考えております。
このため、県では、森林・林業総合戦略に基づき、国庫補助事業の活用や県単独事業により、林道や作業道等の整備を計画的に進めているところです。毎年、林道、作業道等を合わせて約100キロメートルを整備しており、令和3年度末までの目標に対し、林道は約60%、作業道等は約70%と計画どおりに進んでおります。
しかしながら、今後、伐期に達する森林が増大してくることから、木材運搬の効率化を図るため、作業現場の近くまで大型トラックが入れるような路網整備が必要となってくるものと考えております。
今後も、国庫事業の活用や県単独事業により、森林資源の状況や経済効果等を勘案し、林道や作業道等の整備を計画的に進めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 林業イノベーションとして最先端の技術を活用することは重要ですが、路網整備が進まないと生かすことはできません。林道整備推進について、よろしくお願いします。
近年では、山側の土場に木材を集積し、原木市場を通さず、土場から加工場へ直接運搬するなど、木材輸送費の縮減が図られています。木材輸送費を縮減するためには、できるだけ大きなトラックで運ぶことが有利となります。そのためには、林道のみならず、そこからつながる下方の市町村道や県道などの整備も重要です。県内道路ネットワーク整備の推進についてもよろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
昨年11月19日から21日までの間、テーマを設け、森議員、岩田議員、堀議員、玉木議員、山家議員、私の6名で視察を行ってまいりました。
まず、初めの訪問先は、筑波大学附属学校教育局・熊谷恵子教授の研究室を訪ねさせていただき、アーレンシンドロームについてのお話を聞かせていただきました。
アーレンシンドローム、聞き慣れない言葉だと思います。アーレンシンドロームは、残念ながら医学的な診断名でも症候群の名称でもなく、その改善方法を見つけたヘレン・アーレン氏に敬意を表して熊谷教授がアーレンシンドロームという名称を使っているとのことでしたが、臨床心理士でもある熊谷教授は、幻冬舎発行の自身の著書「アーレンシンドローム 光に鋭敏なために生きづらい子どもたち」に、近年の研究において、アーレンシンドロームの有症率は6%とも書かれています。
また、お話によると、アーレンシンドロームには、光に対して過敏に反応し、光がまぶしい、文字がよく見えない、文字がゆがむ、目が疲れるなどの症状があり、学習障害の原因になっている場合があるそうです。アーレンシンドロームの調査を行うまでは、ほぼ何も知らないのが現状でありました。
皆様、今までは発達障害という言葉をよく聞くようになり、それを取り上げた新聞記事やテレビ番組を見かけることもありますが、過去を振り返ってみてください。学生の頃、クラスに少し他の人とは違う特性のある子供が1人や2人はいたはずです。あの子、ちょっと他の子とは違うという子供が、その後、医学の発達により、様々な傷病名がつくことになりました。私たちが小さい頃は、発達障害などという言葉を聞くこともほぼなかったと思います。
そこで、お尋ねいたします。
このような医学、専門分野の研究が進む中で、発達障害を含め、障害のある人の症状や様々な困難さが明らかになっています。例えば、図形の認識ができない、光がまぶし過ぎ、日常生活に支障を来しているなど、視知覚が過敏に反応し過ぎることにより困ってる人もいると伺います。
児童生徒については、特に学習能力等に影響が出るものと考えられますが、そういった過敏症状のある方や児童生徒への支援策はどのような対応がなされているのか、県教育長、福祉保健部長、それぞれお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 視知覚の過敏症状、学びの困難さのある児童生徒への対応についてでございます。
学校においては、発達障害等特別な支援が必要な児童生徒に対して、学びの困難さの原因等について丁寧に実態を把握し、個々に応じた適切な指導を行っています。
視知覚の過敏などにより学びの困難さがある児童生徒も含め、早めに児童生徒の障害に気づくことが大切であると考えます。
今後も、引き続き児童生徒の特性への理解を深め、一人一人に応じた指導や支援の充実に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 教育長の答弁にもありましたように、就学期における児童生徒については、学校生活の中で学びにくさの原因等を把握して対応しているところですが、気づかれないまま大人になった方については、認知機能の異常から、社会生活において支障が生じていることなどから、発達障害の専門機関である和歌山県発達障害者支援センター「ポラリス」で相談対応しているところです。
ポラリスでは、相談者の現状を把握し、相談者個々に応じた文字や図形を認知するための方法を的確に判断し助言することで、症状の軽減が図れるよう対応しております。
県としましては、視知覚認知障害だけに関わらず、様々な症状により困っている方が専門機関ポラリスをはじめ県内の相談機関へ相談いただけるよう、今後とも積極的に周知を図ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
平成27年9月議会において、私の一般質問、初登壇で問題提起させていただいた南紀支援学校老朽化による建て替え問題についての質問を受け、その後、その問題の重要性を認識していただき、県当局の絶大な御尽力のおかげをもちまして、建て替え及びはまゆう支援学校との統合が決まりました。そして、今まさに工事が始まり、まず初めに令和元年10月から令和2年3月をめどに解体工事が着々と進められております。
そこで、質問です。
目に見えた進捗状況では、順調に解体工事が進んでいるように見えます。現在の工事全体における進捗状況及び今後のタイムスケジュールについて、県教育長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 南紀・はまゆう統合支援学校の工事についてでございます。
工事の進捗についてでございますが、南紀支援学校の敷地に統合校を整備するため、昨年8月、南紀支援学校側の工事のための進入路を設置し、9月に仮設体育館、自立活動棟の建設を完了しております。現在、既設の特別教室棟、体育館、プールの解体工事を行っており、今月中に完了いたします。
撤去したところに、肢体不自由棟、寄宿舎棟を整備し、第1期本体工事を令和3年12月まで完成させることとしております。
第2期工事では、新たに管理棟、体育館及びプールを整備し、令和5年4月の全面開校を目指してまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 先日、私に南紀支援学校の建て替えについて初めて陳情に来られた保護者の方と、久しぶりにお電話でお話しさせていただきました。「建て替えについての不安や不満、御心配、不審な点、要望はございませんか」という私の問いかけに対し、「一切ありません。あとは完成するのが楽しみで楽しみで」とおっしゃられておりました。
以前、その保護者の方は、「県教育委員会の皆様は本当に誠心誠意、私たちの意見を丁寧に聴いてくれて感謝しています」との御発言もありました。
また、縁あって設計担当なされた方とお話しする機会もありました。その設計担当なされた方は、県教育委員会のからの指示で、保護者だけではなく、学校職員の皆様にも様々な御意見を丁寧に聴取したとのこと。その御意見を限られた予算の中で最大限に反映したとのこと。
この南紀支援学校の建て替えに際し、県教育委員会の対応に賛辞の声が多数、私の元に届けられております。建て替えに関わりました者の一人として、また、保護者の皆様に成り代わりまして、この場を借りまして県教育委員会に厚くお礼申し上げます。ありがとうございます。令和5年4月、全面開校、その日を私も楽しみにしておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
次に、はまゆう支援学校の跡地利用についてお尋ねします。
現在の南紀支援学校の敷地内に新校舎を建設し、建て替えが完了後、隣接地に所在するはまゆう支援学校と統合するという計画と聞いております。
また、南紀支援学校、はまゆう支援学校、県立学校教育課特別支援教育室及び教育総務課での基本計画では、はまゆう支援学校の跡地はグラウンドとして利用する方向で検討を進めていると聞いております。
しかし、現場の状況を見ますと、南紀支援学校敷地からはまゆう支援学校の敷地までは、隣接地とはいえ、障害のある児童生徒には移動等がかなり困難になることが予測されますし、移動の補助を行う職員の皆様にも負担をかけることになります。
そこで、県教育長に質問です。
はまゆう支援学校の跡地利用について、今後の方向性をお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) はまゆう支援学校の跡地利用についてでございます。
新校舎は、隣接する施設等との連携も含め、基本計画を策定しました。はまゆう支援学校の跡地については、統合校の屋外運動場として利用する計画です。
今後は、両校統合委員会や市町等地元の関係機関との検討を重ね、教育環境の充実を図るとともに、児童生徒が安全・安心に学ぶことができる環境づくりを行ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 児童生徒の安全面を考え、柔軟な発想で対応していただきますよう、よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
昨年の9月議会において、人権学習パンフレット「差別のない社会をめざして」に記載された韓国併合の歴史についての私の一般質問を受け、その後、素早く対応していただき、各市町村教育委員会教育長に向け、令和元年11月13日付、和歌山県教育庁生涯学習局生涯学習課人権教育推進室長名で通知文書、留意事項等の文書が添えられ送られました。素早い対応に感謝する次第でございます。
しかし、他の問題でも事あるごとに教育委員会から文書や説明会、会議等で文部科学省及び県教育委員会からの指導を市町村教育委員会及び学校に向け行ってはいるものの、その指導等が学校、教員にまで浸透してない現状があります。
その証拠に、校内人事では、参考とはいえ、投票箱を設け投票を行っていた学校が判明し、また、認識の差はあろうとはいえ、職員会議において挙手による意向の確認を行った学校が3校あったことが判明しております。これは、平成26年の文部科学省の校内人事及び職員会議の在り方についての通知に沿ったものであります。
また、同じく昨年の9月議会で問題提起させていただきましたが、学校内で特定の候補者のビラが職員間で渡されるという政治的中立を欠く事実が判明しております。
教員は、児童生徒には「先生の言うことを聞きなさい」と恐らく指導していると思います。私も、学生時代、そのように指導されてまいりました。議場におられる皆様も恐らく私同様の指導を受けてきたものと思われます。現在、教壇に立つ教員も同じような指導を受けてきたことでしょう。
しかし、なぜ教育現場には教育を統括する文部科学省及び県教育委員会の指導や通知の内容が浸透せず、実行できていないのでしょうか。複雑な問題なら、実行に時間がかかったり実行が困難であることも理解はできます。しかし、私の認識では、そんなに難しくない問題でも実行できていないように思われます。他の行政機関では、もっとガバナンスが利いており、内部統制が取れていると私は思います。
平成29年2月議会での私の一般質問、自衛官、自衛隊各種学校の募集についてでは、「高校生に様々な機会を通して進学先や就職先の情報を提供することは、自己の目的や適性に応じた進路を考えさせる上で大切でございます。自衛隊の各種学校、課程につきましても、他の進路先と同様、仕事の内容や勤務の条件、また各校の学習内容等が分かる情報の提供に努めるよう、改めて各学校を指導してまいります」との御答弁を当時の宮下教育長にお答えいただいております。
しかし、自衛隊の募集相談員を行う私の耳には、紀南では田辺高校、神島高校が、学校の管理者である校長、教頭は協力的であっても、その他の教員は非協力的もしくは生徒に情報を与えていないなどの事例が届いております。いつも教育委員会は、掛け声ばかりで実効性のない組織と言わざるを得ません。つまり、組織全体として管理体制や指揮命令系統が機能してないということだと思います。
そこで、質問です。
県教育委員会のガバナンスについて、県教育長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) ガバナンスに関しては、県教育委員会自体の問題であるとともに、県教育委員会と学校の関係、さらに学校内においても重要な問題であります。
県教育委員会では、これまでも教職員に研修会等の機会を捉まえて、服務規律を含めた指導を直接行っており、学校訪問など機会あるごとに通知等が教職員に徹底され実行できているか、併せて検証をしております。
今後、校長の強力なリーダーシップの下、学校が組織として充実した機能を発揮し、全教職員に対して一人一人に指導が徹底するよう努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 「全教職員に対して一人一人に指導が徹底するよう努めてまいります」と力強い御答弁でありましたが、宮﨑教育長の御発言なら、なぜか信じられるものです。信頼を裏切らぬよう御指導よろしくお願いいたします。
また、「教職員に研修会等の機会を捉まえて、服務規律を含めた指導を直接行っており、学校訪問など機会あるごとに通知等が教職員に徹底され実行できているか、併せて検証をしています」とのこと。機会を見て、その検証結果を議場で再度お聞かせ願いたいと思います。
次の質問に移ります。
私は、皆様も御存じのとおり、現在も零細企業の経営者であります。以前の質問にもありましたとおり、私の友人、知人は、その大半が中小零細企業の経営者であります。
私は、日本自動車車体整備協同組合連合会青年部のチャーターメンバーでもあり、車体整備業に従事する者の経済的及び社会的地位向上に向け、全国の若手経営者を募り、青年部の創設に尽力した時代もありました。全国青年部の役員にも就任させていただき、講演活動や各種勉強会及びセミナー等も開催させていただきました。東京駅八重洲口の会議室を借り、独占禁止法及び下請代金支払遅延等防止法に特化した弁護士を招聘し、勉強会を開催したことを昨日のように覚えております。業界内の商慣習と思っていたことが、実は下請法に抵触することがよく理解でき、不遇な下請取引を強いられてることが認識されることになりました。
日本の産業構造を見ますと、そのほとんどが中小零細企業で占められていると聞いております。
和歌山県の産業構造を見ますと、その99%が中小零細企業であります。その中小零細企業の経済的浮揚が日本経済の底上げになるという理念の下、本県選出の世耕弘成元経済産業大臣が大臣在任中に監視を強化し、本県では全国初の取組として、平成30年7月、経済産業省との間で下請等中小企業者の取引条件改善に関する連携協定を締結、平成30年度より、県内企業の取引実態把握のためにヒアリングを開始しました。
そこで、質問です。
県内企業の取引に対する取引実態ヒアリングの結果、成果状況及び今後の取組について、商工観光労働部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。
〔稲本英介君、登壇〕
〇商工観光労働部長(稲本英介君) 日本経済は、安倍内閣の経済政策・アベノミクスの効果により、輸出採算を取っている企業の稼ぐ力が高まり、大企業の雇用・所得環境が大きく改善されてきていますが、その大企業を支える本県のような地方の下請中小企業まで、その効果が及んでいないのが現状であり、また、議員御指摘のとおり、業界内での商慣習と思われていたことが、実は法律等に抵触し、地方の下請中小企業は不当な取引を強いられている場合があると認識しております。
そのような状況の中、平成29年12月、不適正な商慣習により、事業からの撤退を余儀なくされた事例が発生し、当時の世耕経済産業大臣に商取引慣行の改善を要望するとともに、平成30年7月に経済産業省と県との間で、全国初の取組として、下請等中小企業者の取引条件改善に関する連携協定を締結しました。
協定を締結した平成30年度においては、181社からヒアリングを実施。令和元年度においては、12月末時点で132社からヒアリングを実施した結果、売上単価で「増加」と回答した企業の割合が、平成30年度と比べ、少しであるが増加し、価格転嫁が徐々に進んでいるという印象です。
また、ヒアリングにより把握した不適正な取引慣行については、国に報告した結果、国による業界全体への改善指導などにつながり、県内事業者の方から、取引が改善されたという声も聞いています。
本県では、ヒアリングを継続し、不当や違法なものだけではなく、不適正な商慣行でつらい思いをしているなどの話があれば、事業者の方々が不利益な目に遭うことがないような形で処理していきますので、引き続きヒアリング調査に御協力をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 和歌山県の地域経済を支える中小零細企業を不遇な下請取引から救っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
最後の質問に移ります。
働き方改革が県内企業に及ぼす影響について質問いたします。
働き方改革とは、一億総活躍社会に向け、最大のチャレンジとして、これまで当たり前だった日本企業の労働環境を大幅に見直す取組です。長時間労働の常態化や、それに起因する過労死、非正規労働者に対する不合理な待遇差の問題に伴う弊害は、昨今、至るところで浮き彫りになっており、早急な対応が求められることから、安倍政権が打ち出した成長戦略の一つです。労働時間の長時間化の是正、正規・非正規の不合理格差の解消、柔軟な働き方の実現が三本柱となり、経営者、労働者ともに厳正な対応が求められることになります。
先ほどの質問にもありましたとおり、本県の産業構造を見ますと、その99%が中小零細企業であります。中小企業といえば、地域にとりましては大きな企業となります。零細企業、まちの商店がその大半を占めると言っても過言ではありません。
事業規模が小さければ小さいほど、その対応に応えることは困難を極めることになると思います。柔軟性に富む若い経営者なら対応することが可能かも分かりませんが、長年、自分の形で経営を行ってきたベテラン経営者には、変化に対応するのが困難となるおそれがあります。対応ができないから廃業を考える経営者も少なからずいるかもしれません。
また、近年、グローバリゼーションの名の下、アメリカナイゼーションされ、給与体系も細分化され、労働者の中には残業代に依存する方もおられるように思われます。
物事には功罪が付きまとうものです。働き方改革でも同じことだと思います。働き方改革が県内企業に及ぼす影響について、知事の見解をお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 働き方改革は、日本の人口の減少に伴い労働力不足が懸念される中、労働生産性を高め、誰もが働きやすい職場環境を創出することにより、多様な働き方が選択できる社会を実現し、働く人一人一人がよりよい将来の展望を持てるようにすることと認識しております。
その実現のためには、省力化による生産性の向上や長時間労働の是正、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差の解消などによる働きやすい魅力ある職場環境づくりが大変重要と考えております。
ただし、世の中の動きを見ておりますと、「残業するな」ということだけが意識をされているように思います。「残業するな」のほかに、例えばテレワークとか当県が推奨しているワーケーションモデルとか、働き方の方法を改革しているということもその一つの方策と思うのでございますが、まだ「残業するな」ばかりの印象が世の中に広がっております。
県内の企業は大多数が中小企業であり、大企業と比べて人的資源が十分でないということや、資金不足のために設備投資ができない、あるいは効率改善に向けた業務の洗い出しができていないというようなことから、とにかく残業をやめなさい型の働き方改革を直ちに実施せよとすることは、円滑な企業活動に支障を来すなどの影響が考えられ、心配であります。
このため、県では、来年度の新政策として、まず労働生産性の向上支援のため、中小企業等が自ら策定する経営力向上に向けた計画に基づき、ロボットの導入とか生産ラインの更新などの省力化に関する設備投資を行う場合、経済的負担を一部補助する制度を設けたいと考えております。
また、県内企業の働きやすい職場環境づくり支援のため、経済団体や労働団体等と連携しながら、働き方改革に対する不安を払拭するための相談支援などを実施するとともに、時間や場所の制約を受けない働き方を可能にするテレワークの導入を促進し、併せて労働力の確保へも対応してまいりたいと考えております。
中小企業は大企業に1年遅れて本年4月から長時間労働是正が始まり、その他の改革も順次実施していくことになりますけれども、県内企業には、県の支援などを活用し、規模の大小を問わず準備をしっかり整え、この局面をうまく乗り切っていただき、働く全ての人が働きやすく、多様な人生を楽しめるように取り組んでいただきたいと考えます。
しかし、うまくいかなかったり悩みが多い場合は、ぜひ県に相談をいただきたいと思っております。県としては、企業の実情を踏まえ、必要に応じて国に対して制度改正や柔軟な運用を働きかけてまいりたいと思っております。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 県内中小企業に力強い支援策をよろしくお願いします。
私、この政治の現場に立たせていただき、約5年になるんですけども、商売人のたくましさとか柔軟さというのは、私はすごいものだと感じております。きっと中小零細企業の経営者も、また労働者も含めまして、その働き方改革に柔軟に対応してくれると思っております。今後とも、よろしくお願いいたします。
これで、私の一般質問を終わります。最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
39番片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
〇片桐章浩君 おはようございます。
議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。最後までどうかよろしくお願い申し上げます。
1問目であります。わかやまスケートパーク設置及び管理条例について質問をさせていただきます。
待望のスケートパークが、令和2年、今年3月29日から供用開始、運行されるということになりました。これまで何度か現場を訪れて状況を確認さしてもらっているところでありますが、多くの愛好家の皆様は、オープンの日を楽しみに待ちながら、しかし利用に関してのルールを自分たちでつくっていこう、それを守っていこうという気持ちで今か今かとオープンの日を待ち望んでいるようであります。
今回、条例が提案されておりますが、条文からは利用方法、運営方法がよく分からないような気がします。利用する皆さんが気持ちよく滑れる、あるいは応援できるような仕組みを整えてほしいと思います。
このスケートボード施設の設置に関しては、平成30年2月定例会で知事と次のような質疑を交わしております。「東京2020オリンピック開催までの機会を逃すと、この先長く和歌山県にスケボー文化を定着させることが難しいと危機感を持っています」と知事の見解をただしたところ、知事からは、「スケートボード練習場の整備を検討するに当たっては、場所のみならず、施設の管理主体は誰が担うのか、利用料を含めた施設を維持するための費用をどう確保するか、施設を運営していくためのスキームづくりが必要ではないかと思います。造るよりも、むしろこういうことを愛好家の方々と一緒になって考えていくことが大事なんじゃないかな。とはいえ、県庁といたしましては、こういう新しい風に積極的に関与していきたい」、こういうお答えをいただきました。
今回、スケートパークの設置とともに、教育委員会が今まで愛好家の皆さんと形をつくり上げてくれた姿勢を頼もしく思いますし、これから運営を行うに当たっても、しっかりと運営の仕組みが必要だと思います。
そこで、第1問目に入ります。
第3条第1項の「競技会のためにスケートパークを使用すること」に関して、利用に関しての規定はありません。スケートパークを利用する人は、どのように利用すればよいのでしょうか。また、施設の今後の利活用について、どのように考えているのでしょうか。教育長の答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) スケートボードは、東京オリンピックの正式種目に採用され、伊都中央高校の四十住さくら選手も出場を目指して頑張っているなど、近年、第2次スケートボードブームが到来しているところです。
スケートボード競技においては、コースの設定の仕方に工夫が必要であることから、わかやまスケートパークの開設に当たって県スケートボード協会にも御協力をいただき、初心者が滑りやすいだけでなく、中・上級者にも十分楽しんでいただける施設となっています。
利用に当たっては、ヘルメットやプロテクターなど、スケートボードに適した用具、服装を着用し、公共の施設であることを理解した上で、他の利用者の迷惑にならないようなルールやマナーを守っていただきたいと考えています。
オープン後は、競技団体をはじめ関係機関等に御協力をいただきながら、スケートボード体験会や教室等を開催するなど、競技人口のさらなる拡大に取り組んでまいります。
また、この施設は観覧スペースを備えることから、競技会等も誘致し、本県の競技力向上につなげて、未来のトップアスリートを輩出していきたいと考えています。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 続きまして、第3条第1項にあります「教育委員会の許可を受けなければならない」の規定についてお尋ねいたします。
第1号にある「競技会」とは、どのような大会を指すのでしょうか。また、第2号「その他教育委員会の指定する行為」とは、どのような場合を指すのでしょうか。教育長の答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) わかやまスケートパーク設置及び管理条例第3条第1項第1号の「競技会」につきましては、競技団体等が主催する大会で、占有使用が適切と認められたものとしています。
同様に、占有使用ができるものとして、同条第3条第1項第2号の「その他教育委員会が指定する行為」で規定される、競技団体等が主催する強化練習会や強化合宿等を想定しております。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 教育長からお答えいただきましたように、オープンしてから練習の機会というのは、それぞれ使う人がマナー、ルールを守りながら使いましょうと。それから、競技会については、教育委員会の許可を得ながら幅広く県内外にPRをしながら大会を開いていくというふうなことだというふうに思います。ぜひ春以降、うまく活用できるように御指導いただけたらと思います。
続きまして、第2問、議案第45号、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例の改正案が今議会で提案されています。この条例が施行されて以降、計画地点の地元への説明会の開催を求めること、意見を求めることなどから広く周知できることとなり、地元の皆さんの意見が反映されやすくなっていると感じています。より多くの地元の方々がこの計画を知り得ること、説明や事業者の態度を知った上で賛成か反対かを判断できること、また、意見を述べる機会が増えたことなどから、この条例を制定した意味は大きいと、今、感じているところであります。
太陽光発電事業に関する条例制定は、和歌山県は早く、兵庫県に次いで全国で2番目に制定されたというふうに認識していますし、この条例での審査と結論によって、昨今の大型台風や集中豪雨などによる周辺の住宅地への土砂崩れなど、地元の皆さんの不安を和らげる役割も果たせているものだと今感じているところであります。
ところで、和歌山市の和泉山脈で計画されているメガソーラーのうち本条例が適用される案件は、認定済みの案件を含めて5件だと認識しています。
ただし、県条例の対象に含まれていない50キロワット未満の太陽光発電に関して、令和元年12月議会で同僚議員の質問に対して環境生活部長が答えた取扱いをしていると思います。それは、「それぞれの市町村において地域の実情に応じた対応を行うことになるが、その際には、助言、協力をしていくこととなります。県条例を適切に運用するとともに、市町村とも連携しながら、本県の環境にふさわしい太陽光発電の普及を進めてまいる」、こういう姿勢を取っていると思います。
しかし、県条例の対象でない案件であっても、特殊な事情があって市町村で判断に迷う、あるいは対応に苦慮している案件については、県がふさわしい太陽光発電の在り方を共に考えてほしいと思うところであります。
例えば、和歌山市におきましては、条例ですね、和歌山市環境と大規模な太陽光発電設備設置事業との調和に関する条例の一部を改正する条例ということで、この議会でも提案されていますように、地元で大きな問題に関しては都度都度柔軟な対応、姿勢を見せてくれてると思いますので、ぜひこれは呼応していただきたいというふうに思います。
そして、県条例に該当する案件に関しては、地元の皆さんからの意見を事業者に問いただしてくれているので、適切な運用が図られていると認識しています。
そこで、第1問です。
現在計画されている太陽光発電は、和歌山平井太陽光発電事業計画、この件は公開縦覧は既に終了し審議中、旭メガソーラー和歌山西庄発電事業は縦覧・意見募集期間終了後の手続中であることとなっています。
しかし、旭メガソーラー和歌山西庄発電事業に関して地元の皆さん方からの意見を聞きますと、事業者は県に定められた説明会を終了して以降、地元にいる気配はなく不在、計画に対する質問に対しても回答が得られていないという状況にあるそうです。
地元と共生するはずの発電事業者ですが、この姿勢が地元の皆さんの不信感を招いていると思います。条例の手続に沿っていれば必要以上に地元との関わりはしないというこの姿勢は、地元で長く事業をしていくには不適切であると思いますが、いかがでしょうか。
また、このほかに計画のある直川・府中太陽光発電所建設計画、パワープラント和歌山の進捗状況はどうなっているのでしょうか。環境生活部長の答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 環境生活部長田中一寿君。
〔田中一寿君、登壇〕
〇環境生活部長(田中一寿君) 和泉山脈で計画中の太陽光発電事業の進捗状況についてお答えします。
旭メガソーラー和歌山西庄発電事業につきましては、本年2月3日から3月3日まで和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例に基づく認定申請書の縦覧手続を行い、地域住民の方々から3500通を超える意見書が提出されています。意見書の中には事業者と地元とのコミュニケーション不足を訴えるものもあり、事業者の姿勢が議員御指摘のとおりであれば、地元の皆さんが事業者に不安や不信感を抱くことは当然のことと思います。
今後、提出された意見を取りまとめ、事業者に対し見解を求めることとなりますが、昨年9月の本会議において片桐議員にお答えしたとおり、提出された見解の内容が住民意見に対し真摯に向き合ったものでなかったり、明確に根拠を示すものでない場合には、より厳しく審査をしていく予定です。
続きまして、直川・府中太陽光発電所建設事業及びパワープラント和歌山の進捗状況について御説明いたします。
まず、千手川の東側で計画されている直川・府中太陽光発電所建設事業につきましては、以前、同地において別の事業者が太陽光発電事業を目的に環境影響評価を実施していましたが、昨年8月に撤退しました。その後、新たな事業者が規模を縮小した形で事業を引き継ぎ、現在、認定申請に向けて、条例第4条に基づく県及び和歌山市との協議を行っているところです。
次に、千手川の西側で計画されているパワープラント和歌山につきましては、昨年5月に提出された認定申請書に不備があるため、事業者に対し補正を指導しているところです。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 答弁をいただきました。
メガソーラーに関しては、今回、和泉山脈の現状をお答えいただいたんですが、ほかの地域におきましても同じ事業者が同様なスタンスを取っているというところも聞いておりますし、それぞれ問題を抱えてるというふうに認識しているところであります。
今回、締め切った西庄発電事業については、3500通を超える意見が出されてるということで、これは過去最高ではないかというぐらいの地元の皆さんの不安、あるいは安心を担保してくれという意思の表れだというふうに思いますので、ぜひ適切な対応をお願いしたいと思います。
続けて、宇宙・ロケット産業の集積について質問をさしていただきます。
令和2年度、成長分野の企業誘致・集積が重点施策として掲げられ、予算案として計上されています。和歌山県がこれまで産業構造の変化に対応し切れていない状況を鑑み、ICT企業の誘致、集積、ベンチャー企業の誘致とともに、宇宙・ロケット産業の集積を政策として進めようとしています。
この政策の中に、昨年12月議会でも取り上げた宇宙に関して、宇宙・ロケット産業の集積についてとして、ロケット・衛星開発部門の企業誘致、同部門への県内企業の参入促進について及び高等教育機関等と連携した宇宙教育の推進が記されています。さらに、目指すべき指針として「和歌山を『宇宙産業の基地』としていくために」が掲げられているなど、挑戦的な取組になっていることを頼もしく思っています。
高等教育機関等との連携を図ろうとしている視点を持ってくれていることは頼もしいことであり、既に地元、和歌山大学の宇宙教育では全国的にも進んでいますから、連携することによって和歌山県イコール宇宙を強く印象づけることができますし、成果も期待できると思います。
例えば、同大学は、全国の共同実験場運営は実質的に和歌山大学、千葉工業大学が運営しているものですし、そしてプロジェクトを通じて人材評価システムの確立、企業人事部との連携を図るなど、企業連携の形も模索しているようです。
また、同大学では、個人としての専門家育成に加え、今の社会が必要としているのは集団として協力して力を発揮できるプロジェクトや問題対応型の人材だと考え、現場を支える技術者、マネジャー養成を主眼とした教育プログラムを開発し、高校生、大学生、社会人に向けて提供できる仕組みをつくっています。
これらのことから、県が中期的に考えている高等教育機関等と連携した宇宙教育の推進は、土台は確立できつつあり、県の対応次第で、意外と近い将来において、県内のみならず、全国、海外への宇宙教育プログラムの展開が可能になると思います。
宇宙教育に関わっている方が、先日、イタリア在住の歴史作家・塩野七生さんの話を聞く機会があったということで、その一部を教えていただきました。塩野さんは、「日本人的な秀才は予測していた事態への対処はうまいが、予期していなかった事態への対処は下手なのが特徴であるらしい」とおっしゃっていたことを伝えてくれました。
宇宙は、そのスケールゆえ、その未知さゆえ、宇宙を相手にするほど予測できないこと、不測の事態の多いものはないのではないかと思います。そんな宇宙だからこそ、それを教材として学ぶことで物の見方が広がり、スケールが大きくなり、挫折を超えてこそ身につく免疫力、イコール危機管理能力だと思いますが、つけ方を学べるのではないかと思います。
本来、日本人は高い感受性を持っていたはずです。他民族よりシナプスの数が多いのかと思えるほど、静かで深い感性を持つのが日本人であったはずなのに、今の日本人にはまるで受容体が麻痺しているかのような人が出現しています。宇宙には、その感覚を呼び覚ます力があると思いますので、今回、中期的に人材育成、教育に生かす方針を示してくれたことには大賛成です。
もう一つ、先ほどの宇宙の関係者から聞いた、教えていただいた案件がありまして、それは、経済産業省が、宇宙産業分野における人的基盤強化のための検討会の報告書が公表されている、このことを教えてもらいました。
この中には、次のような人材産業に関しての指摘がありました。「近年、宇宙産業においても、技術革新や新規参入企業等の増加を背景に、宇宙由来のデータの質、量が抜本的に向上しています。宇宙産業ビジョン2030でも、従来の宇宙機器産業に加え、今後は宇宙利用産業の拡大のための取組を強化することで、宇宙産業全体の市場規模を2030年代早期に倍増することを目指すこととしており、そのためには、宇宙分野全体での人的基盤強化を行う必要があります。他方で、宇宙分野は、将来的な宇宙産業の拡大に必要な人材の絶対量の確保、人材流動性の低さなどの課題が存在しており、宇宙分野のみの議論に閉じることなく官民一体となって必要な措置を講じていくことが急務になっています」とあります。
具体的には、宇宙産業分野における人的基盤強化の必要性が指摘されておりまして、第4次産業革命における宇宙産業として、宇宙産業は2015年では世界全体で30兆円以上の規模であり、これに対して我が国の宇宙産業の市場規模は1.2兆円にとどまっていること、宇宙産業ビジョン2030において、宇宙利用産業を含めた宇宙産業全体の市場規模を2030年代の早い時期までに倍増を目指すためには、宇宙分野の専門人材不足が課題で、早急な対応の必要性も指摘されています。
参考までに、現状の宇宙産業分野における従事者数及び将来推計は次のとおりです。利用産業は、地球観測、衛星放送・通信、測位分野で、少なく見積もって約1900名が従事しているということ。機器産業として約9000名が従事、研究開発が約5割、3割が製造、残りが事務管理部門。ベンチャー企業においては、主要12社で約260名が従事しているようであります。それほど大きな分野ではないのかなというふうに思います。
今後、宇宙産業全体を倍増させるためには、さらに人材を確保する必要があると指摘されていますから、和歌山県として宇宙教育を推進する方向性は実に的を射ている政策だと思います。
また、平成29年6月から、スタートアップ等と投資家、事業会社とのマッチングを円滑化するための場として、宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム、いわゆるS-Matchingですけども、運用を開始しているようですから、県としても考えてほしいと思います。
そこで、この分野のこの項目についての質問です。
以上の背景から、新政策として打ち出したロケット・衛星開発部門の企業誘致と同部門への県内企業の参入促進について及び高等教育機関等と連携した宇宙教育の推進について、商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。
〔稲本英介君、登壇〕
〇商工観光労働部長(稲本英介君) 串本で実施されるロケットの打ち上げは、日本では民間で誰もやったことがない、また世界でもあまり例を見ない最先端の事業であり、この事業を成功させることが何よりも重要であることから、まずはスペースワン社の取組をしっかり支援していきたいと考えております。
また、宇宙関連企業や宇宙に興味を持つ人材に本プロジェクトへの関心を持ってもらうためには、串本、和歌山と言えばロケット、宇宙と思ってもらえるような情報発信をしていくことも重要です。
このため、昨年に引き続き今年も串本で宇宙シンポジウムを開催し、この分野における著名な専門家等にお越しいただいて、県内外の関心を高めてまいります。
ロケット打ち上げ事業の成功により、中長期的には、宇宙・ロケット分野の産業が集まることが期待され、和歌山の経済を刺激するとともに、そのような産業と従来から地域経済を担う地元の産業が交流することで、新しいビジネスのアイデアが生まれることが期待されます。また、地元の子供たちにとっても新たな産業に触れ合うことができ、大いに刺激になるものと考えられます。
このため、県としては、県外への情報発信や企業誘致活動など継続的に行い、ロケット・衛星開発部門などに関する企業誘致や県内企業の参入促進を進めるとともに、和歌山大学や東京大学、JAXAなどと連携しつつ、世界をリードする人材の育成につなげていきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 答弁をお答えいただきました。
それ以外にも、県としては早速YACの本部へも県として行っていただいたということで、和歌山県の連携というのも図っていただいてるようですし、今回の新型コロナウイルスの関係で各メーカーもそれぞれ事業が止まっているということもありまして、その後、収まって以降、さらに関係を強化していただくようにお願いをしたいというふうに思います。
次の項目に入ります。
水道の基盤強化についてであります。
平成30年12月12日に水道法が改正され、都道府県には水道事業者等の広域的な連携の推進役としての責務が規定されることになりました。
県の役割は、水道が直面する課題を共有し、水道基盤の強化に向けて取り組む市町村、水道事業者を支援することになっています。
例えば、重要度を勘案した基盤強化の数値目標及び優先順位の設定など、経営戦略の策定に向けての技術的な助言も一つの役割となっています。
令和元年6月に策定した和歌山県水道ビジョンにおいては、管路の老朽化が進行しているという認識がされています。法定耐用年数40年を超えた管路は、県内上水道事業で年々増加しており、平成28年では、総管路延長5826キロメートルのうち867キロメートルに及んでいます。
一方、布設替えを行った管路率は過去5年間の平均で0.45%であり、このペースで更新を続けていくとなりますと、計算上ですが、全ての管路更新には約220年かかることが課題として指摘をされております。
また、県内の水道施設の耐震化率は、基幹管路、浄水施設、配水池の全てにおいて全国平均よりも低い水準となっていることが指摘されております。
これらの課題を受けて、全ての水道事業者が中長期的な経営の基本となる経営戦略を令和2年度末までに策定することと定めています。令和2年度は、水道広域化推進プランを策定することとしており、令和3年度以降には、水道基盤強化計画の策定を目指し、水道の基盤強化を促進することを県の取組として掲げています。
今年、和歌山市内で断水になりかけた事象が発生しましたが、水道施設の老朽化が進んでいる状況において、老朽化している水道施設の更新は急いで方針を掲げ、限られた予算をどう確保していくのかなど、対応はすべき課題だと思います。
この水道広域化推進プランではどのようなことを策定するのでしょうか。環境生活部長の答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 環境生活部長。
〔田中一寿君、登壇〕
〇環境生活部長(田中一寿君) 水道施設の老朽化が進行する一方で、管路の更新率は年々減少しており、特に、本県においては、南海トラフ地震の発生が強く懸念されることから、管路をはじめとする水道施設全体を効率的、効果的に更新することにより、耐震レベルの早期向上を図ることが喫緊の課題となっています。
そのために、水道事業者である市町村においては、今後必要な施設の更新に要する費用と投資可能額の見通しを立てた上で、水道事業の収支バランスを図りながら施設の更新を進めていく中長期的な経営の基本となる経営戦略の策定が求められています。
一方、昨年10月に施行された改正水道法において、県に対して水道事業者の広域的な連携の推進役としての責務が明記されました。給水人口の減少等により水道事業の経営環境が厳しくなる中、水道料金体系や施設の更新時期など、水道事業者それぞれによって事情が異なり、解決しなければならない課題はたくさんありますが、県としましては、昨年6月に策定した和歌山県水道ビジョンにおいて設定した五つの圏域ごとに、財政面や技術面で幅広い効果が期待できる水道事業の広域化を地域の実情に応じて段階的に進めていくこととしております。
議員御質問の水道広域化推進プランでは、限られた予算で効率的、効果的な水道事業を進めるため、病院や避難所等、災害対策上重要な施設の機能を維持するために必要な水道施設から優先して更新を行うなど、優先順位の設定と必要な投資額を算出した上で、圏域ごとに考えられる広域連携の形態に応じて、広域化した場合の更新費用、運営に要する費用、必要な水道料金などと広域化しない場合とを比較するなどにより、広域化による具体的メリットを示すこととしています。その上で、広域化の推進方針、当面の具体的取組の内容やスケジュール等についても定めることとしています。
今後とも、水道事業者の市町村と十分協議しながら、水道ビジョンで描いた和歌山県における水道の将来のあるべき姿である、自然災害に強く、安心で良質な水の安定供給に向けて取組を進めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 今、部長からお答えいただきましたように、市町それぞれにおいて老朽化対策というのは実施しておりまして、水道料金の収入が減少している等々の理由から、少しでも収益を上げようと、こういう取組をしている市というのも見受けられます。
例えば、水道管を利用して小水力発電というのを設置、これはFIT対象になってきますから、これを設置して、少なからずでもそれで収益を上げるというふうな形の自助努力をしている市町もございますので、ぜひそういったところも知っていただいた上で対応、支援をしていただけたらと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
それでは、次の項目に移らしていただきます。
死傷事故が多い道路の安全対策についてであります。
来年度、本年度もそうですが、来年度も県土整備部の重点施策の一つが、死傷事故の多い箇所の安全対策についてであります。
安全対策について、道路に今回は限定をさしていただきますが、県管理道路における要対策箇所が、県土整備部によりますと159か所、令和2年度に8か所の対策を実施しようとする計画であります。残りの59件の改善については、令和3年度以降順次改善を図っていくということになっているように、危険箇所の安全対策を速やかに完了させようとする姿勢を頼もしく思っているところであります。
道路の安全対策に尽力していることをここに感謝申し上げるところでありますが、一方、道路環境の変化に伴う危険箇所は把握してくれているものとは思いますが、交通事情が変化することによって、周辺住民の皆さんの日常生活の安全性に変化が生じている箇所があります。
例えば、要対策箇所に入っていない和歌山橋本線の西浜地区において進出したロードサイド店の進入路付近は、交通量が激しくなったことから接触事故が多発しております。このような道路も安全対策を早急に講じるべき道路だと思います。多分この159か所の中には入っていないと思いますが、ほかにもこういった道路が散見できると思います。
そこで、死傷事故が多い道路の安全対策に加えて、今回事例として示した和歌山橋本線西浜地区のように、要対策箇所に入っていない改修すべき危険箇所があると思いますので、このような箇所の安全対策はどのように改善を図っていくのか、県土整備部長の答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長髙松 諭君。
〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 道路の安全対策の考え方に関しまして御質問をいただきました。
県管理道路における安全対策につきましては、死傷事故が多い要対策箇所といたしまして、平成21年から24年の事故発生状況から、死傷事故率が高くかつ死傷事故件数が多い箇所を選定した159か所に加え、その後の沿道の土地利用や交通量の変化による近年の交通事故の発生状況等を勘案するなど、新たな箇所を含めた上で、優先度を考慮し、必要な対策を講じてきているところでございます。
対策の状況についてでございますけれども、要対策箇所として選定いたしました159か所につきまして、平成25年度から歩道整備や交差点改良等の対策を順次進め、今年度末で92か所の対策が完了する見込みでございます。
また、新たに対策が必要となりました箇所につきましても、例えば、昨年3月の和歌山南スマートインターチェンジの開通に併せて供用した後に事故が連続した県道和歌山橋本線の吉礼交差点や、昨年10月に死亡事故が発生いたしました紀の川市の国道424号、最上大橋付近におきまして、注意喚起のための路面標示を緊急的に行いますなど、毎年、必要な箇所の対策を行ってきているところでございます。
今後も、引き続き警察と密に情報共有を図り、事故の増加やその発生状況など最新の状況を踏まえた安全対策につきまして、警察とも十分連携しながら、道路管理者としてその実施に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 県土整備部長からお答えをいただきまして、新たな危険箇所というのが、今回把握してるのが21年から24年度の分、それ以降、道路が本当に改良されて好ましいことで、新たな危険地域、接触事故等々多い箇所が見受けられます。ぜひここに加えていただくというか、認識して把握していただきまして、先ほどの西浜道路を含む箇所をぜひ安全対策を講じていただけたらと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、最後の項目は報告をさせていただきたいと思います。
チュニジア共和国との友好についてであります。
2022年に第8回アフリカ開発会議が、地中海に面したチュニジア共和国で開催されることになるようです。
アフリカ大陸ですけども、北のほう、イタリアの地中海を挟んで少し南に位置する国がチュニジア共和国となっております。この国はアフリカとヨーロッパ、そしてアラブ世界の結節点に位置する優位性があることから、アフリカのゲートウエーと言われている国であります。
今年2月21日、1月に御縁をいただいたことから大使館を訪問し、モハメッド・エルーミ特命全権大使、ファタヒ・ジュラシィ参事官と意見交換を行ってきたので、報告をさせていただきたいと思います。
チュニジア共和国との御縁は、同国にさくらグループインターナショナル・ジャパンの皆さんが和歌山県産の桜の苗木を植樹したことに起因しています。首都チュニスの日本庭園を含む様々な地域に桜の木を植樹したことから、今年1月15日、16日の両日、モハメッド・エルーミ特命全権大使、それからファタヒ・ジュラシィ参事官が和歌山県を訪問してくれました。
大使からは、「首都チュニスには日本庭園があり、和歌山県から寄贈いただいた桜の一部はそこに植樹しています。桜の花が咲くように、両国が共に発展していくことを願っています。目指すべきことは、政治的、経済的、文化的、そして人材交流に加え、大学間交流、桜、柿を通じた農業分野における交流などで、できれば民間企業の持っている技術を相互に生かせるようにすれば、さらに訪問の目的を果たせるはずです」と伝えてくれました。
我が国とは1956年に国交を樹立して以来の付き合いがあり、和歌山県からの企業進出はいまだありませんが、和歌山商工会議所の和歌専務理事の話によると、島精機がチュニジアに製品を卸されているということであります。
我が国にとっては、安定した政権に加え、技術や知識を伴った人材が豊富にそろっている点からも、アフリカやヨーロッパの門戸を開く国になり得ると思いますし、大使からは、和歌山県との交流においてその役割を果たしたい、こういう提案をいただいたところであります。
そして、今回、1月16日ですが、和歌山大学の御協力を得まして、チュニジアの木であるオリーブの木を記念植樹してまいりました。贈呈されたオリーブの木は同国にとって平和の象徴で、両国の友好関係のあかしとなるものだそうです。大使と参事官、そして、さくらグループインターナショナル・ジャパンの代表者、和歌山大学長など関係者と共に記念植樹を行ってきましたが、これから未来につながる関係が構築できたと関係者は喜んでおりました。
続けて、同大使館を訪問したときに出たのが、和歌山県、それから和歌山大学との連携の話であります。
和歌山大学は、国立大学で唯一、観光学部を有している大学であり、現在の経済学部長であるマグレビ・ナビルさんはチュニジア人であることから、親しみを感じているところであります。
大使から、「私たちの国からは和歌山大学に学生を留学させることができたらよいと思います」と大学間の交流、和歌山県との人的交流にも関心があることを説明してくれました。そして、和歌山県が同国に桜の木を植樹してくれていることから、和歌山県の認知度は上がっているということで、「私たちの国では和歌山県というワードは知れつつあります」と、うれしい感想も伝えてくれております。
参考までに、日本において、宮城県石巻市がチュニジアストリート、カルタゴストリート、ジャスミンストリートを設置し、友好関係を築いていますし、愛知県瀬戸市と同国ナブール市の間で姉妹都市提携をしているなど、友好都市のある市があります。
「将来的に、和歌山県内の市と共通する点を持ち合わせているチュニジアの都市との姉妹都市、具体的にはタバルカという市と提携なども考えたいなあ」という大使からの発言もありました。
最後に、大使からは「和歌山県では新型コロナウイルスが発生していることを知っています。知事は、今回かなり活躍というんでしょうか早期の対応をしてくれていて、終息に向かわれましたが、依然として大変な状況が続いていると思いますので、私たちに支援できることがあれば何でも言ってください」と大使から気配りもいただいております。
チュニジア共和国への桜の寄贈を行い、同国大使からオリーブの木の寄贈を受けたこと、そして今年も和歌山県から桜の木の植樹を行いに行くこと、そして今年5月、我が国から訪問団が派遣されることなど、同国との交流機会は増えていくと思いますし、日本庭園に和歌山県に御縁のある桜の木が育ち、同国内で知名度がある和歌山県がこれからも友好関係を築いてくれることを期待して、全権大使との懇談の報告をさせていただきますので、知事におかれましては、今回を御縁として、どういう交流ができるかというのは分かりませんが、ぜひ友好関係を築いていただけるようにお願いをいたしまして、一般質問とさしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時36分休憩
────────────────────
午後0時59分再開
〇副議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
36番楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕(拍手)
〇楠本文郎君 2020年2月議会に当たり、議長の許可を得て一般質問をさせていただきます。
私自身は3回目の質問になるんですが、なじまんのですわあ。なかなかなじまないんですが、順次進めていきたいと思います。
まず、第1項目の質問は、洋上風力発電についてでございます。そのうち、再生可能エネルギーの開発について、特に御質問を申し上げていきます。
世界的にも日本のエネルギー需要から見ても、待ったなしの開発課題だと考えています。そうした中で、洋上風力発電が浮上しています。
長期安定的な買取り制度であるFITの制度の導入以来、再生可能エネルギーの普及がもうかる事業になっており、国際的な潮流を受けて、大手の事業者や外国資本が巨大な資金力で太陽光発電、風力発電の設備を大型化してきているのも現状です。
資源エネルギー庁の資料によれば、2019年(令和元年)8月時点で、約1258万キロワットの洋上風力発電の案件が環境アセスメントを実施しているといいます。このまま放置すれば乱開発にもなりかねない等の懸念の下、海域利用のルール整備の必要性が高まってきてるのではないかと考えます。
そうした中で、2019年4月に海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律、略称「再エネ海域利用法」が施行されました。これには衆参の全ての会派、日本共産党も含めて賛成をいたしました。
再生可能エネルギーに本格的に取り組んできたEU諸国と比べ、導入実績で大幅に後れを取っています日本の電力供給に占める再生可能エネルギーの比率は18%、これは2018年です。デンマークの59%、ドイツの41%、スペインの38%、イタリアの35%、イギリスの33%などを大きく下回っています。
再生可能エネルギーの導入、普及は、温暖化抑制のためにも喫緊の課題であり、一層の推進が求められています。しかし、持続可能な発展を目指すための一環であるはずの再生可能エネルギーの取組も、環境面や土地利用に関する規制の弱い日本では、きちんとしたルールや規制が未整備のまま、地域外資本や外国資本による利益追求を優先した乱開発が起き、住民の健康、安全や環境保全に関わる問題を引き起こしてきています。再生可能エネルギーの健全な発展のためにも、解決が急がれるところです。
そのために、事業の立案及び計画の段階から情報を公開し、事業者、自治体、地域住民、自然保護関係者、専門家など、広く利害関係者を交え、その地域の環境保全と地域経済への貢献にふさわしいものとなるようにしなければなりません。
そこでまず、再生可能エネルギーの普及を課題としている国の方向性、その中での洋上風力の可能性についての国の考え方を和歌山県としてどう捉えるのかを伺っておきたいと思います。お答えいただきます。
〇副議長(森 礼子君) ただいまの楠本文郎君の質問に対する答弁を求めます。
商工観光労働部長稲本英介君。
〔稲本英介君、登壇〕
〇商工観光労働部長(稲本英介君) 平成24年7月のFIT制度開始以降、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの導入が急速に拡大し、コストの低減に従って買取り価格の引下げが行われているところです。大規模な太陽光発電では、平成29年度から入札制が導入され、現在1キロワット時当たり13円程度、陸上風力発電の買取り価格では、今年度19円となっています。
それに対し、平成26年度からFIT制度の対象となった洋上風力発電の買取り価格は、事業化されたものがほとんどないこともあり、現在も36円と高い買取り価格が維持されています。
他方、令和元年4月から再エネ海域利用法が施行されたことにより、同法に基づく案件については、入札制の導入によって事業者間の競争を促してコスト低減を図るとともに、公募により選定された事業者に最大で30年間、国により促進区域に指定された海域を長期占用できる権利を与え、利害関係者との調整の枠組みを明確にするなど、国は洋上風力発電の導入を促進しているところです。
県としましては、エネルギー自給率の向上や地球温暖化防止に資する再生可能エネルギーにつきまして、自然環境や防災等の観点から地域住民の生活環境の維持に十分配慮しつつ、導入を促進していかなければならないと考えております。
洋上風力発電につきましても、地域の自然的条件や社会的条件を見極めながら、導入の可能性をしっかり検討し、対応していく必要があると考えております。
〇副議長(森 礼子君) 楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 国の自然エネルギー、再生可能エネルギーの開発動向を県としてつかまえている姿勢をお示しいただきました。おおむね答弁を了として、次の2点目の質問に進みたいと思います。
今、和歌山県が実施している洋上風力ゾーニングの背景、目的、内容についてなんですね。
再エネ海域利用法の成立に基づいて、早くも2019年7月、昨年の7月には、海域利用の促進区域の指定に向けて、既に一定の準備が進んでいた11地域が整理をされました。このうち有望な区域として、秋田県能代市、三種町、それから男鹿市沖、また、秋田県由利本荘市沖、千葉県銚子市沖、長崎県五島市沖の4か所が地域指定をされ、さらに、長崎五島市沖は、法律第8条の第1項、自然条件と出力の量、航路等への影響、港湾との一体的な利用、系統の確保、漁業への支障がないこと、他法令の海域・水域との重複がないことという指定基準の6条件を満たし、協議会での意見がまとまったことなどから促進区域に指定されたということなんですね。
県は、こうした状況を把握した上でゾーニング調査を実施しているはずだと思います。今、国からの委託を受け実施している3か年のゾーニング調査を和歌山県として受けた背景、目的を説明していただきたいと思います。
また、3か年調査の2年目ですが、その具体的な内容をお示しいただきたいと思います。
〇副議長(森 礼子君) 商工観光労働部長。
〔稲本英介君、登壇〕
〇商工観光労働部長(稲本英介君) 和歌山県沖の紀伊水道につきましては、NEDOの調査によると、全国的に見ても風況が非常によく、今後、事業者によって風力発電事業が計画される可能性が高いとされています。
このような中、和歌山県では、環境省の委託を受けて、平成30年度から3か年の計画で、由良町から串本町までの海域において、洋上風力発電のゾーニングを行っているところです。
本ゾーニングは、地域の自然的条件、社会的条件を評価し、洋上風力発電の導入を促進し得るエリアや環境保全を優先することが考えられるエリア等の設定を行うことなどを目的としています。
現在の進捗としては、本年度までに海生生物、鳥類、自然公園や世界遺産からの景観等といった自然環境の観点から取りまとめを行ってきており、先般、パブリックコメントを実施したところであり、それによって得られた意見を踏まえ、引き続き検討してまいります。
〇副議長(森 礼子君) 楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 今答弁をいただいたように、ゾーニングの調査をやっていて、3か年のうちの2か年で、あと1年残いてあるさかいに──御坊弁出てきました──残しいてあるさかいに、ここでちょっと詰めにくいという懸念があるんですけれども、ここでもう3点目の項目に入ります。ゾーニングの活用の方策、今後の進め方についてお尋ねしておきます。
3か年の調査が終わった後、このゾーニングがどのように生かされていくかが、やがて、すぐにとでもというか、問われます。ゾーニング結果によっては、促進区域に手を挙げられるかもしれない。今後の進め方については、資源エネルギー庁が示している四つの基本原則に基づき、促進区域の指定6基準を満たすこととなるのかどうかの判断が求められてくるでしょう。このことを念頭に置いての議論を始めていくべきだと思うんですが、県としての見解を伺っておきたいと思います。
〇副議長(森 礼子君) 商工観光労働部長。
〔稲本英介君、登壇〕
〇商工観光労働部長(稲本英介君) ゾーニングにつきましては、今後、漁業や船舶の航行といった先行利用者への影響など、社会的な調整が必要となる事項について引き続き調査を行い、最終的な取りまとめを行う予定としております。
その後、取りまとめたゾーニングマップを洋上風力発電の事業者に提示し、事業を検討する際の参考にしてもらうことを考えております。
また、議員からお話がありました再エネ海域利用法では、具体的に事業を進めていくエリアを促進区域として国が指定するとともに、この区域において、公募に基づき国が事業者を選定する仕組みになっています。
県としましては、この制度を活用するかどうかについても、本ゾーニング結果を踏まえながら検討していきたいと考えております。
〇副議長(森 礼子君) 楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 それで、3点目の質問項目のところで、皆さんの席にも資料として、和歌山県が行っている3か年のゾーニングの枠を示したものが配付をされているかと思います。これは由良町から串本、那智勝浦まで含めて対象に入っています。ただし、その中で調整エリアというエリアや保全エリアというエリアや保全推奨、つまり「ここは保全してくれよ」という強いゾーンのところと「保全してほしいんやよ」というゾーンのところと「一遍ここで可能かどうか調整してみよら」というゾーンのところとで分けて、2年過ぎた段階で県のホームページにこういう色抜きの資料が載せられておるんですけども、まだ全然確定ではないけれども、こういう案として示されているという段階にあるということを押さえました。
その上で、実は私がここで質問をさしてほしいと思い立ったのは、既に昨年2月の4日に──ごめんなさい。もといします。四つ目の、4項目めの質問に戻りますが、2月の24日に、県主催の洋上風力発電フォーラムが行われたんですね。そこで参加をして、質問者が多々ございましたが、ほとんどの住民には知られていないという現状が発言の中に含まれていました。
私は、今回、再エネ海域利用法が初めて全会一致で採択されたというこの大きな要因は、再生可能エネルギーの普及を図ることの必要性での一致と同時に、地域住民を置き去りにして大規模事業者だけがもうかる仕組みでは事業化はできないし、無理やり反対意見を押し切っても継続したよい事業にはならないという方向に進んだのだと思っているんです。
その保証が、漁業者、船主など、先行利用者を含む協議会を設置し、その協議会の合意がなければ前に進めないとしている点が挙げられます。この点をしっかり押さえて、地域住民の選択、判断の基になるようにしっかり地域住民に働きかけて、県として主導をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇副議長(森 礼子君) 商工観光労働部長。
〔稲本英介君、登壇〕
〇商工観光労働部長(稲本英介君) 和歌山県における今後の洋上風力発電の導入につきましては、自然環境や防災、事業環境等の総合的な観点から、地域住民の生活環境や漁業、観光等の県内産業への影響を十分配慮しつつ、地域のためになるように進められる必要があると考えております。
仮に地域にとって悪影響があると判断される場合は、厳しく対応する必要があると考えております。
県としましては、この考え方を前提として、引き続きゾーニングマップの作成や洋上風力発電の導入について、検討を進めてまいります。
〇副議長(森 礼子君) 楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 るる商工観光労働部長から答弁をいただきました。ありがとうございます。基本的な観点としては、本当にありがたい答弁をいただいたと思っております。
それで今、その風力発電も大規模化、集中化によって、騒音の問題、低周波、シャドーフリッカー、基礎工事の巨大化等々で安全面や周辺環境への影響など、住民の不安、不満が高まっているんですね。環境省は2017年に風力発電施設から発生する騒音に関する指針を出しまして、その作成の中身は、1基当たり出力2000キロワットの風車を想定した調査を基にしているんです。でも、最近は1基が4000とか5000キロワット以上の出力の風力発電計画が増えている。その下で、指針の見直しが必要だと思うんですね。特に集中立地に伴う累積的影響──これ物すごく大事な要素なんです。累積的影響を検討すべきだと思います。
地域での乱開発を防ぐ方法として、環境保全を優先するエリア、風力発電の導入促進が可能なエリアに色分けする、区分するゾーニングの導入は有効であって、環境省はマニュアルを作成しているんですが、国として住民の健康、安全や環境保全を脅かすおそれがある地域への立地を規制することも必要だと考えています。
先ほど部長からの答弁の中には、その地域住民が喜んで受け入れられるよう、地域のためになるように進められる必要があると同時に、悪影響があると判断される場合は厳しく対応するという所見をいただきました。文字どおり今、そういうことが求められている。
先ほどちょろっと言いかけて勇み足をしたんですが、もう昨年、事業者が来てましてね、御坊市の沖での計画書を作成して、配慮書の公示縦覧を終わってる。これに対して知事意見も、それから御坊、美浜、日高町も意見を述べられています。事業計画者が提出するのは次の段階の方法書というものになります。とっても厳しい、難しいものになることは目に見えているわけでございます。とすれば、県として、再エネ海域利用法にのっとってリードしていただきたいことを、答弁にも含まれていたと思いますので、強く要望してこの項を終わりたいと思います。
続けて、大きな2項目めの質問に参ります。
2項目めは、今回も引き続き日高川水系整備計画についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
昨年11月30日に、6月、9月議会での私の質問とその答弁を基にして、住民の皆さんへの災害シンポジウムというのを開かせていただいたんですね。
県が作成をされている日高川水系整備計画の全体の災害対策と椿山ダムの操作についての関心がとても高くて──高かったんです。たくさんの現場写真を使いながらの説明と発言者5名の話で、たっぷり2時間かかってしまいました。たくさんの方の質問と御意見をお聞きするつもりだったんですけれども、少しの質疑時間になってしまいました。
ただ、80人余りの参加の方やったんですけども、とても熱心に聞いていただいたと思ってます。後日、別の5か所でざっくばらんの懇談会というのをやらしてもうたんですけども、どこでもこの日高川水系を中心とした災害対策が話題になりました。災害に対する苦労話、あの7.18水害の苦労話というのはよく出てくるんです。心配なこと、点は地域によって違いますが、とても関心の高いことであることには間違いないことでございました。
そこで、この令和2年度の新年度計画について、具体的にお聞きをしたいと思います。
まず1点目は、日高川の河川改良と樹木伐木──木を切る、堤防補修についてなんですが、日高川の河川改良に、当初予算としては昨年と同額1億5750万が計上されています。このうち江川の和佐地域の、ちょうどJRの橋桁のあるところから野口にかけても、これは見るからに今、河川内で整備事業が進められています。令和2年度も同様の事業が行われると考えてよいでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
〇副議長(森 礼子君) 県土整備部長髙松 諭君。
〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 日高川の河川改修の御質問でございました。
日高川の河川改修につきましては、令和2年度も引き続きまして、日高川本川と支川江川との合流点付近やその上流において、堤防整備を行ってまいりたいと考えております。
〇副議長(森 礼子君) 楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 県土整備部長からお答えをいただきました。続けて、同じく部長に御質問を申し上げます。
日高川の最も下流の天田橋は国道に架かった橋なんですが、この北詰めの樹木が正月にかけて伐木されました。最も目立つ場所なんですね。市内外の方から喜びの言葉がたくさん寄せられました。たくさんの群れとなった野鳥のすみかでもありましたから少し気になりますが、災害防止のためということで苦情は聞いていません。結局、令和元年度からたくさんの川の中の樹木がなくなっています。どのぐらいの箇所で伐木されたのでしょうか。そして、令和2年度も継続して伐採されていくものと考えてよいのかと。
あわせて、天田橋から野口橋にかけての右岸の堤防は、ばんそうこうから包帯状にコンクリートでの補強が目立ってきています。作業の方にお聞きすると、ごみの投げ捨てが多く、この片づけに余分な時間がかかると言われます。この部分でもそのままでは作業にならないので、結果的に雑木の伐採が進んできています。まだばんそうこう状態の区間がかなりあります。この区間の堤防補強を継続していただけるのかどうか、お聞きしておきたいと思います。
〇副議長(森 礼子君) 県土整備部長。
〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 日高川の伐木と堤防補修の2点についての御質問でございました。
1点目の伐木についてでございますけれども、天田橋から野口橋の間の樹木の密集地において実施することとしておりまして、今年度は、天田橋上流の両岸、御坊大橋下流の左岸側などで行いました。なお、併せて再繁茂、再び茂ることを防止するため、再繁茂防止のための除根と掘削も行っております。令和2年度も引き続き、野口新橋上下流の右岸側など、樹木の密集地において同様の工事を行いたいと考えております。
2点目の天田橋から野口橋にかけての右岸堤防の修繕工事についてでございますけれども、令和2年度も引き続き工事を行ってまいりたいと考えております。
〇副議長(森 礼子君) 楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 御配慮ありがとうございます。
項目の2に参ります。
西川河川の予算の増加という問題で申し上げます。
災害シンポジウムに参加した方の多くが、日高川水系というものと西川との関連を承知でない方々がたくさんおられました。「西川に御坊市内を流れる川が何本も流れ込んでいることは知らなかった」と言われます。その西川の改良にかなりの力を配分していただいてることに感謝を申し上げたいと思います。昨年当初に2億1000万円、6月に同額の補正があって、さらに2月補正予算で5億500万、さらに令和2年の当初には4億8300万円の予算がつけられているところです。
担当職員の健康が心配だという声も聞こえるほどの予算をつけていただいているのですが、それで元年から2年にかけてどこまで進捗することになるのでしょうか、お示しください。
〇副議長(森 礼子君) 県土整備部長。
〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 令和元年度から令和2年度にかけての西川の河川整備の進捗につきまして御質問をいただきました。
西川の河川整備につきましては、県議会議員の皆様、県選出の国会議員の皆様をはじめ、関係の方々の御尽力により成立いたしました防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の予算を最大限に活用するなどいたしまして、引き続き事業の進捗を図ってまいりたいと考えております。
これらの予算により、現在、大川橋から寺田橋までの間で工事を行っております。令和2年度も引き続き、尾上橋から寺田橋までの区間の河道掘削、寺田橋の架け替えなどを進めてまいりたいと考えております。
〇副議長(森 礼子君) 楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 お答えありがとうございます。
西川河川が、こういう形でちょっと地図化をしてもらったら、今私が申し上げてるようなやつも、ここまで行ったんだ、矢板はここからで、ここからはしゅんせつもあるんだということで分かるんで、こんなやつを住民の皆さんにお知らせをさしてもうております。まさに部長答弁のとおり──これ党派の問題と違うんでの。地元の関係する皆さんが一生懸命そういうお願いをしてくる中で、これだけの予算がつけられているということに、重ねて感謝を申し上げたいと思います。
それで、3点目の堂閉川の問題についてお尋ねします。
堂閉川は、日高川と御坊市の境界にある道成寺、鐘巻周辺でたくさんの浸水被害を日常的に起こしているところでございます。これを改善してほしいと行政区域を超えた委員会がつくられていますが、その要請活動も長年続けられてきました。
今回──ごめんなさい。「ドウジメガワ」と私、表現しましたが、行政の中では「ドウベガワ」、地域では「ドウジメ」、僕の塩屋辺りは「ドウジメ」と呼んでるんで、つい今、失礼しました。堂閉川として初めて予算が計上されました。この2100万円の内容について御説明をいただいておきたいと思います。
〇副議長(森 礼子君) 県土整備部長。
〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 堂閉川の令和2年度予算の内容について御質問をいただきました。
堂閉川の改修計画につきましては、日高川水系河川整備計画に位置づけられており、河道の付け替えを行って斉川の下流に接続することにより、流下能力の向上を図ることとしております。
一方で、一般的な河川改修は、まず下流の流下能力を向上させ、上流からの流量の受皿を確保してから、順次、上流の河道改修を実施することが原則でございます。そのため、堂閉川を改修するには、現在工事中の西川や、その支川の斉川の改修が必要となり、堂閉川の改修まで相当の年数を要することとなります。
そこで、これまでも下流の斉川や西川への負担を増大させずに道成寺周辺の浸水被害を軽減することができる手法がないか、検討を重ねてきたところでございます。
このような中、今年度、地元から堂閉川上流のため池を調節池としても活用するなど、浸水対策に最大限の協力をするので、県においても浸水対策の早期着手について再度検討してほしいといった趣旨の御要望を頂きました。
これを受け、県において改めて検討を行いましたところ、河川整備計画に位置づけられている堂閉川のバイパス部分を、下流の整備状況のいかんに関わらず、先行して暫定的な調節池として整備することで、浸水被害の軽減効果が期待できるとの結論に至りました。令和2年度は、その整備効果や手法を詳細に詰めた上で、設計に着手してまいりたいと考えております。
堂閉川の浸水対策につきましては、かねてより道成寺周辺浸水対策検討委員会の皆様をはじめ、日高川町、御坊市からも御要望を頂いているところでございます。県といたしましては、早期に浸水被害の軽減を図ることができるよう取り組んでまいります。
〇副議長(森 礼子君) 楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 重ねてありがとうございました。
3月5日付、昨日の夕刊で既にこのことについては予算が取られていたということが報道されています。地域的なローカルな問題なんですけれども、それだけこれからの浸水対策に県政として力を入れてくれているということに感謝を申し上げて、そういう角度で取り上げさしてもらったつもりでございます。
私は、質問ということではなくて、最後に要望として、道路問題があります。県道御坊美山線の拡幅の問題は質問項目には入れませんでした。これは藤井の堤防、そこの強度や状態を確認するためのボーリング調査が終わったところでございます。この分析をこれから行って、そして、地元地域の皆さん方にお返しをしていくと、これでどうかというところの地域との話合いがこれからしっかりと進められていくことを要望しておきたいと思います。
以上で、この項の質問は終わらしていただいて、大きな3項目めに入らしていただきます。
大きな3項目めは、部落差別の解消の推進に関する条例についてでございます。今議会に提案をされていますので、基本的な問題意識を提起し、質問を申し上げたいと思います。
今、部落差別を強調して克服しなければならない課題なのかどうかという点で、何点かお尋ねします。
昨年2月に公表された「和歌山県人権に関する県民意識調査結果報告書」を読みました。このアンケート中で、関心のある人権課題を17項目の中から三つ選ぶ設問では、「障害のある人の人権」が42.7%で最も割合が高く、「働く人の人権」が38.2%、「インターネット上での人権侵害」が27.8%となっています。「同和問題」は8.3%で、5年ごとの調査なんですが、15年前より10.4ポイントも下がっています。
このアンケートの設問では、「同和問題」の表現で、括弧書きで「部落差別」となっています。なぜにこの条例案では、これまでの呼称の「同和問題」から「部落差別」になったのか、その説明をいただいておきたいと思うんです。
私は、パブリックコメントに付された骨子案にある「部落差別は様々な取組により解決へ向かっている」と認識していますが、本条例案にはその記述はありません。同名の法律は2016年に既に施行されているんですが、私たちは長いこと同和対策事業に取り組み、同和問題の解決のために全国でその改善を図ってまいりました。今さら、また時計の針を巻き戻すように呼称されることには大きな違和感を持ったものなんです。
骨子案では、続けて「今もなお個人への誹謗中傷、同和地区の問い合わせ、インターネット上への差別書き込みが存在しています」との記述になっていますが、この実態について御説明をいただきたいと思うんです。
また、県には、既に人権尊重の社会づくり条例があります。近年15年は、この条例に基づいて人権擁護の取組を推進してきたと捉えています。この条例との相違点、進化させる内容等についても説明的条文はないと思います。人権擁護の観点から、部落差別だけ突出して取り組まなければならない現状にあるのかどうかの認識として、併せて担当の企画部長からお答えをいただきたいと思います。
〇副議長(森 礼子君) 企画部長田嶋久嗣君。
〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 議員から御質問いただいたうち、まず、条例案ではなぜ同和問題から部落差別に呼称が変わったのかという点についてでございますが、平成28年に部落差別の解消の推進に関する法律が施行されたことに伴い、今回の条例を提案するに当たり、「和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例」としたところでございます。
次に、部落差別については、これまでの取組により解消に向かってはいるものの、今もなお、結婚などに際して同和地区かどうかを問い合わせる行為や、インターネット上に誹謗中傷や同和地区を忌避、排除する書き込みなどが発生しているという実態があります。
部落差別解消推進法が施行された平成28年度以降、市町村等から67件の部落差別が報告されており、その内訳としては、差別発言が32件、同和地区の問合せが24件、結婚差別が1件、差別はがきなどが10件となっております。さらに、本県では、今年度からインターネット上の差別書き込みのモニタリングを実施しておりまして、令和2年2月末時点において、362件の差別書き込みを確認しております。
このような差別の現状を踏まえ、部落差別の解消を推進するためには条例が必要と考え、提案したところでございます。
〇副議長(森 礼子君) 楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 丁寧に答弁をいただきました。
この提案する背景やら経過等があったとしても、条例の中身はどうなのかということで、2点目の質問に参ります。
条文の中に、部落差別の解消の推進に関する法律の審議でも、同和または部落差別等の定義がないことが大きな問題になったんですね。今回の条例案にも、その定義に当たる部分がありません。
今なお様々な差別が存在すると規定している、先ほど答弁もありましたけれども、その部落差別とはどんなことを言うのかの定義がなければ、差別していることの判断のしようがない。法案審議では、法律のときには、法案提出者は「部落とは、部落の出身者であることを理由とした差別」だとしてきました。法律と同様なら、これを行政的に対応しようとすればするほど、旧の同和地区出身者かどうかをまず認定しなければならない。
かつて、私たちは属地属人主義で、差別解消のための格差是正に取り組んできたんですね。この条例を新たにつくることによって時計の針を巻き戻すことになって、部落を特定し、差別の再生産、すなわち新たな差別が始まるのではないかと危惧をいたします。また、条文にはなくとも定義に当たる物差しというのはあるんかいという思いがしますので、いかがするのかについても併せてお答えをいただいておきたいと思います。
条例案の第5条、6条では、県民の責務、事業者の責務を求めています。やらなければならないこと、差別解消のために必要な役割を果たすよう努め、施策に協力するよう求められていると。しかし、県民が広報活動などで協力しようという程度のものであればいいんですけれども、どこの誰がどんな内容で差別されたことも分からなければ、心からの協力にはならないんじゃないか。半ば強制するような方法は逆効果をもたらすものでしかないことは、既に私たちが経験をしてきたことでございます。責務の内容はどんなことを想定されているんでしょうか、部長から再びお答えをいただきたいと思います。
〇副議長(森 礼子君) 企画部長。
〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 今回提案した条例における部落差別とは、部落差別の解消の推進に関する法律における部落差別のことで、一般的には、特定の地域の出身者であることを理由に結婚を反対されるなどの不合理な取扱いを受けることです。この条例は、部落差別の解消を推進するためのものであり、本条例の施行に伴い、地区と人を特定するものではありません。
県民及び事業者の責務については、率先して部落差別の解消のために取り組んでいただくとともに、行政が行う講演会、研修会や啓発活動への参加をお願いするものです。特に事業者については、部落差別の解消のための研修などの取組により、従業員の人権意識の高揚を図っていただくことを求めています。
〇副議長(森 礼子君) 楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 そしたら、定義がないんですから、でも、その言われた根拠に基づいて誰が差別だと判断するのかということになりますね。
条例案第7条の「部落差別への取組」では、部落差別を行った者に対し、説示・勧告をするとあるわけですね。
ただ、法案審議の中で参議院の附帯決議がつけられました。「過去の民間運動団体の行き過ぎた言動等、部落差別の解消を阻害していた要因を踏まえ、これに対する対策を講ずることも併せて」とあります。事業所や福祉団体でもこの差別の判断、差別行為であるかないかの判断というのはできないと私は思います。誰が行うのか、説示や勧告はどなたが行うことになるのか、この点も企画部長からお示しください。
〇副議長(森 礼子君) 企画部長。
〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 部落差別か否かの判断については、知事が行います。
また、部落差別を行った者に対し、知事の指揮監督の下、県職員が部落差別は許されないものであるということを説示し、今後、部落差別を行わないように促します。その上で、これに従わない場合は勧告を行います。
〇副議長(森 礼子君) 楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 知事が、ですから判断をするというお答えになったら、知事から答弁をいただかないと終わりができないというふうに思いますので、知事にお願いをしたいと思います。
私は、この部落差別はなくさなければならないもの、そして、時間はかかってもなくせるものだと思っています。それは差別をする対象となる地域の格差、旧同和地区として地域指定をしたものの、その地域の属性そのものをなくすという形でやってきた取組ですから、今、その属性がなくなったら、あとはもう気持ちの問題ということになってくるのではないかと思うんですね。
差別してはならないということを半ば強制してきた過去の歴史がありました。周りに言うたらあかん、心の中に閉じ込めとけよという方向が、そこからは生まれてしまいました。でも、正しい理解を広げていくことを一緒に考えることはできると思っているんです。
(発言取り消し) ──────────────────────────────────────────────────
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──────────────────────────────────────────────────────────
───────────────────────────────────────────── この部落差別をほんまにな
くしていこらという思いは共有できるものだと思っていますので、知事の思いをお聞かせいただきたいと思います。
〇副議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 和歌山県では、先人たちも同和問題の解決に取り組み、私自身も解決のために一生懸命取り組んでまいりました。また、部落差別の解消の推進に関する法律が施行されたことにより、部落差別は許されないものであるという認識は高まったと考えております。
しかし、残念ながら、結婚差別や個人を誹謗中傷する差別発言をはじめ、同和地区を避けようとする目的で同和地区の所在を調査したり、行政機関へ問合せをしたりする事例が発生しております。また、調査をしてあげるというような人だっておるわけです。インターネット上には悪質な差別書き込みが行われるなど、部落差別は過去の問題ではなく現実の問題として残っております。
私としては、和歌山県独自でやらなければならないことを考えて、今年度からインターネット上の人権侵害対策事業を実施しております。これは、法律の地方公共団体がいろいろ考えてやれということに即したものだと思っております。具体的には、差別的な書き込みのモニタリングを行ってプロバイダー等に削除要請を行うなど、差別の拡散や助長の防止に努めるとともに、県民に対して、インターネットの正しい使い方について理解を深めるための講座を実施するなどの啓発にも取り組んでおります。
また、従前から、相談者の気持ちに寄り添いながら部落差別に関する相談に応じるとともに、部落差別についての理解や認識を深めていただくための教育及び啓発に取り組んでおります。
この条例案を提出さしていただきましたのは、昨今の、田嶋部長から説明がありましたような状況に鑑み、法律の趣旨からして、さらに和歌山県では部落差別の解消のためにやることがあるんじゃないかということで、条例案を提出させていただいたわけでございます。
しかし、先ほどからの楠本議員のお話を、議論を聞いておりますと、ちょっとそれは違うんじゃないかというふうに私は思っております。
まず、定義をしろというお話がありましたが、部落差別とは、我々日本人が日本の歴史を勉強したら誰でも分かるような歴史的な事実であります。現在も続いている歴史的な事実であります。したがって、これ以上の定義をするということは弊害のほうが多い、そういうもんだと思います。一体、地域とか個人とかを特定したいのでしょうか。そんなことは多分ないと思うんですが、定義をしろと言ってお迫りになるということは、そういうふうにもつながります。
また、そもそもそれが何になるのでありましょうか。部落差別は、部落差別がいかんのであります。例えば、特定の人を部落差別のかどでいじめたり害したりするときに、それが的外れなものであるかどうかということを、例えば明らかにするような基準を示せという法律的な要請があれば、それは地域とか個人とかを特定する必要があるわけですけれども、そんなことをまさか楠本議員が、あるいは御党が求めているとは思えません。したがって、それ以上定義をする必要はないと思います。
それから、誰が判断をするかということなんですけれども、これは3条の対象になるようなことを誰かがやれば、それは、そりゃいかんのじゃないかということで私が判断をして説諭をしたりするということは、条文上明らかであります。
楠本議員は、これは気持ちの問題だとおっしゃいました。だんだんそういうふうになってきてると思います。差別したらいかんというふうなことは私も思っておるとおっしゃいました。そのとおりだと思います。しかし、閉じ込めるより本当になくさなきゃいけないというふうに思われてるんであれば、本当にそう思わないようにしようということを鮮明にした条例をつくって何が悪いんでありましょうか。本当にそういうふうにしようよということで、全会一致で賛成されるものと考えております。
〇副議長(森 礼子君) 楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 知事の丁寧な答弁をいただきまして、あと4分しかないので、一言しか言えません。定義をつくらない、明確に答弁をいただいたと受け止めます。以下、特別委員会での議論もございますから、そこに譲りたいと思います。ありがとうございました。
最後に……(「20番、議事進行」と呼ぶ者あり)
〇副議長(森 礼子君) 吉井議員。
〇吉井和視君 今、楠本議員の話を聞いておったら、意識調査で10.4%も下がったんで、突出してこの対策をすることがないという、そういう発言がありました。これは民主主義に対する、本当に断じて許せない挑戦であると私は思います。
そしてまた、楠本議員の最後あたりに「私の事務所が同和地区にあるから、同和地区の人と何のわだかまりもなく付き合っておる」と、そういう発言がありました。これも、同和地区と地区以外ということを選別してる、自ら語るに落ちるという言葉がありますけれど、自ら選別してる証拠ではないでしょうか。
そういうことで、その部落差別の条例というのは、部落地区もない、同和地区もない、そういう観点で、そういうことを調査しようとすることを、これ知事が調査するという行為自体を中止させるために、部落差別を少しでもなくするために県条例をつくるということであります。それで、やっぱり令和の時代になって、いっときも待てない。もう少したてば、何年かたてばよくなるということを言われましたけれども、そういうことを、もう時間を待てない、そういうような思いで私も一般質問の壇上に立って申し上げさせていただいたところであります。
そういうことを鑑みたら、民主主義、部落差別、身分差別、憲法に保障された、身分差別をなくするということになれば、和歌山県が条例をつくることによって全国に波及するという、そういうことがあると思うので、皆さんにおかれましては、その民主主義を、具現化を達成するということに関心を持っていただきたい、そういうことで議事進行をかけさせてもらいました。
以上です。(「暫時休憩」と呼ぶ者あり)
〇副議長(森 礼子君) 暫時休憩とします。
午後1時58分休憩
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午後4時54分再開
〇副議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、本日の会議時間は、都合によりあらかじめ延長いたします。
この際、暫時休憩いたします。
午後4時54分休憩
────────────────────
午後5時8分再開
〇副議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、申し上げます。
楠本文郎君から、先ほどの会議における同君の発言について、一部を取り消したい旨の申出がありました。
お諮りいたします。この申出を許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇副議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、同君の申出を許可することに決定いたしました。
楠本文郎君の質疑及び一般質問を続行いたします。
36番楠本文郎君。
〔楠本文郎君、登壇〕
〇楠本文郎君 残時間が少ないですので、手短にさせていただこうと思います。
大きな項目の4点目は、新型コロナウイルスに関しての対応の問題について質問のつもりでしたが、これはもう通告の段階から要望にしておきたいと思います。
13人目の感染者が出て以来10日間近く、県内では新たな感染者が出ていないといううれしい状況を受けて、しかし、全国的にまだ予断を許さない状況にありますから、今後の対応ということで、2点の要望を申し上げておきたいと思います。というのも、湯浅・有田地方で先に経験したということを私は今後の取組に生かすべきだと思っているからでございます。
湯浅保健所の対応を2月の13日からスタッフ増やしてほしいということを私どもが申し上げたら、その声はたくさん届いていますということで、担当者の方がすぐに対応してくれたという経験がそこにあるからでございます。
それで、有田地方の介護施設では、新規入所、ショートステイの引受けが停止する事態が発生して、通常の高齢者の介護サービスがままならない状況が一気に進みました。
県や他市町の協力で、湯浅町では高齢者にマスク支給、介護施設へのマスクと消毒液の配布もされました。停止されていた介護施設も昨日、全て通常運営に戻れるようになってきています。ただ、有田川町では物品が集まらない状態であるといいます。また、衛生用品が障害者施設や作業所に回らず、障害者世帯からも配布を求める声が上がっています。
こうした状況の中、県として、支援の必要な介護サービスの確立のための人員の派遣、障害者施設への支援など、全体として高齢者や障害のある方が困ることのないよう、しっかり支援を続けていただけるようお願いいたします。
二つ目の問題は、湯浅町という特に地域活性化に力を入れているところだけではなくて、湯浅町はまちの雰囲気は一変したわけですが、行事、イベントは軒並み中止をされました。ふるさと納税の返礼品の受け取り拒否、宿泊施設や外食店などの予約キャンセル、地場産業であるしょうゆ、ミカン、シラス等の特産物の販売にも打撃を及ぼしています。
こうした状況の中で、文字どおり風評被害だと思います。担当課からレクチャーを受けさしてもらいましたけれども、これは文字どおり、湯浅町だけではなく県内全域に及んでいるし、これからも来ると思っています。問題点をしっかり把握して、風評被害を克服していくためのなお一層の経済支援を要望して、私の一般質問を終わらせていただきます。御協力ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(森 礼子君) 以上で、楠本文郎君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
16番川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
〇川畑哲哉君 皆さん、こんばんは。
昨年の大みそか、令和になりまして初めてのNHK紅白歌合戦ということで、私も意を決し、身を正してテレビの前に座り込み、まさにオープン・ラストで見守らせていただきました。私にとりまして、非常になじみの深いアーティストの方も出られていらっしゃいましたし、見慣れないアーティストの方もいらっしゃいました。また、心にぐっと響くメッセージを歌われているアーティストの方もいらっしゃいましたし、歌詞の中身がよく分からないアーティストの方もいらっしゃって、まさに様々でございました。
私たちのバンドが心斎橋クラブクアトロのステージに初めて立ちましたのは、私たちが二十の頃でございましたので、20数年前になります。当時、ピークは過ぎていましたけれども、まだまだバンドブームの時代でございまして、多くの優秀なすばらしいアーティストがメジャーデビューをしていかれました。L'Arc~en~Cielもその一つでございます。
そんな時代からアーティストをやっている先輩アーティストとして、私から昨今の若いアーティストの皆様に、僣越ながら一つアドバイスをしてさしあげるとするならば、アーティストたる者、同時にファッションリーダーであれ、こういうことかなあというふうに思います。やっぱりそのアーティストのライブ会場に行けばみんな同じ格好してるとか、あるいはその生きざまを共有しているとか、そういう強烈な存在感を放ってこそアーティストであり、それが経済活動や地域活動につながるのかなあというふうに思います。かくいう私たちも「君たちのバンドのファンは個性的だからすぐに分かる」と言われたものでございます。
そんな私たちに、中学校1年生のときの音楽の担当の先生がこんなことを教えてくださいました。「音楽は海を越える。もしイギリスに行って言葉が通じなくても『Yesterday』を口ずさめばすぐに地元の人と仲よくなれる」。
果たして2003年3月5日、私は単身ロンドンにいました。そうです。17年前の今日です。向こうのベニュー──いわゆるライブハウスですね──へ行って、私たちのCDを渡して「いつかここでライブしたい」と言いましたら、そこのブッキングマネジャーは言いました。「どんな音楽をしてるんですか」と。私はすかさず答えました。「一番大好きなバンドはハノイ・ロックスです」。ハノイ・ロックスというのは、フィンランド出身の80年代にイギリスで大ブレークしたバンドでございます。そのバンドの名前を言いますと、ブッキングマネジャーは「じゃ、ライブに出してやろう。いつでも来なさい」、そんなことでございました。音楽は海を越えると思います。音楽だけではありません。ファッションや絵画や踊りも海を越えると思います。
今年1月訪問しましたインドで、私たちは現地の方と御一緒に歌い、踊ってまいりました。そして、それによって、極めて懇親を深められたのではないかなあというふうに思います。
議長よりお許しをいただきました。以下、通告に従い、心を込めて一般質問をさせていただきます。
1月18日土曜日深夜、新島雄議員、中西峰雄議員、佐藤武治議員とともに、ムンバイへ向けて関西国際空港を出発いたしました。岸本健議長名による議員派遣決定に従い、視察や情報交換を目的としたインド共和国マハラシュトラ州訪問でございます。
日が変わり、シンガポールを経て約14時間半のフライトの後、1月19日日曜日午前10時半過ぎに、チャトラパティ・シバージー・マハラージ空港へ到着しました。お迎えいただきました車で走ることおよそ1時間半、お昼過ぎに一旦宿泊先のホテルにチェックインした後に、遅いめのランチを食し、態勢を立て直してからムンバイ市内の視察に赴きました。
ちなみに時差は、日本より遅れること3.5時間でございます。30度を超える強い日差しの下、「酷暑期には50度に迫ろうかというインドでは、今が一番過ごしやすい時期ですよ」と何度も同行スタッフの皆様に鼓舞されながら、けたたましい道路の喧騒を割って入り、まずは徒歩にてインド門に向かいました。
このインド門は、船で旅行者がムンバイへ到着する際、最初に目にする建造物であり、後にはインドへの入国を許可する役割を果たし、インドがイギリスより独立した際には、最後のイギリス軍がこの門を通って帰国し、イギリス統治の終えんを示したとのことでございます。そして、およそ半世紀の時を経た1995年、マハラシュトラ州は、イギリス統治時代の呼称ボンベイよりムンバイへと都市名を変更しています。
インド門を仰ぎ見た後、地元の方から和歌山県ムンバイ事務所と呼ばれている現地に派遣されている職員のオフィスを訪問いたしました。全国の自治体としては、本県とムンバイ市にゆかりを持つ横浜市のみインドに職員が出向されています。歴代出向職員の皆様や国際課をはじめとされる県職員の皆様の御奮闘により、和歌山県は随分地元からもなじまれているようであります。
続いて、アラビア湾を一望する女王の首飾りと呼ばれるムンバイ一の観光スポットを訪問し、15世紀の大航海時代に思いをはせます。
さらに、ムンバイの台所と呼ばれるクロフォード・マーケットを訪問。「その地の食文化はその地の市場を見よ」とよく言われますが、まさにそのとおりでございました。鮮度格差の激しい果物もたくさん売られていましたし、動物や鳥類も売られていました。もちろん、スパイスショップエリアもあり、せっかくですので、必死の値段交渉の末、私はサフランを入手いたしました。佐藤議員はターメリックを大量に購入されていた節がございます。
そして、ホテル近くの商店街にて薬局を訪問し、インド滞在中のお守りとしてインドの薬数種を購入いたしました。
あと、近くにあった路面店でスーツをオーダーしてみました。夕刻に採寸して、その日の深夜にはホテルへ届けてくださいました。過去、バンコクでは2日半、ハノイで2日、ホーチミンでは1日半での仕上がりでしたので、約6時間でのオーダースーツの仕上げは、私史上、世界一の速さでございます。
タイシルクやベトナムシルクも著名ではございますが、イタリアの某ブランド生地がインドで作られているとのことで、かの地ですばらしい生地に出会うことができました。ちなみに、今日着ているこのスーツがそのスーツでございます。もちろん、和歌山県議会のベストドレッサー賞受賞への意欲を込めたスリーピースでございます。
夜は、当方主催の夕食会を催し、本県のインド交流に多大な御尽力をいただいていますシュミット・マリック・マハラシュトラ州情報局長官夫妻及びサミール・カレ・インド日本友好協会会長夫妻をお招きし、懇親を深めました。
マハラシュトラ州訪問2日目の20日は、午前7時半より原田美智雄・在ムンバイ日本国総領事とのパワーモーニングから日程が始まりました。マハラシュトラ州の現況や本県及び我が国の今後のインド交流におけるアドバイス等、貴重なお話を聞かせていただきました。
人口約1億3000万人のマハラシュトラ州の州都ムンバイは、郡市合わせて1800万人と公表されているが、移民者が多くて正確な数字が分からないだけで、肌感覚としては2500万人くらいいるのではという旨のコメントでこのまちの印象が語られました。
ちなみに、総領事館が公式に出している直近の州概要では、マハラシュトラ州の面積は30万7713平方キロメートルで、国土全体の約9.4%にして日本の国土面積の約82%、人口は約1億1237万人で国内2位、ムンバイ市は人口約1248万人とのことです。
また、マハラシュトラ州では、州の法律でプラスチック製品の使用を禁止していることから、ストローが紙製であったり買物袋が薄い布製であったりと、廃プラスチックへの対応は随分早いと感じました。
滞在したムンバイのホテルをチェックアウト後、ジェトロ・ムンバイ事務所を訪問し、松永宗徳所長及び比佐建二郎氏よりインド及びマハラシュトラ州の経済活動状況について詳細な御説明をいただきました。インドにおける工業生産額の32%がマハラシュトラ州及び隣接のグジャラート州によっていることに始まり、とにかく経済はインドの西側が牽引しているようです。
続いて、アディティヤ・タックレー・マハラシュトラ州観光大臣の私宅を訪れ、両県州のさらなる観光振興について、自家製のチャイを頂きながら意見交換をさせていただきました。若き大臣からは桜が香るスイーツを御所望いただき、マハラシュトラ州にて、ぜひ食品を中心とした和歌山県産品を扱いたいとの御意向を承りました。タックレー大臣には、桜香る季節に和歌山県へお越しいただければと思います。
MTDC(マハラシュトラ州観光開発公社)主催の昼食会を経て、空路にてオーランガバード入りし、本県の最初の拠点を置いたMTDC(マハラシュトラ州観光開発公社)に到着。太鼓や鳴り物が打ち鳴らされるスタッフ一丸となった猛烈歓迎を受け、夕刻よりMTDC創立45周年記念日と相まった渾身のセレモニーを催していただきました。軌を一つにして、オーランガバード初となる日本食レストランのMTDC内オープンを記念した除幕式も行われ、インド国内の日本食レストランにて修行を積んだというインド人シェフによる創作的な和食を頂きました。
とにかく、マハラシュトラ州の皆様の親日知日感が五臓六腑にしみわたるほど実感できた1日となりました。
マハラシュトラ州訪問3日目の21日は、午前9時にオーランガバードのホテルを出立し、一路マハラシュトラ州が誇る世界遺産アジャンタ石窟群へ向かいました。日本では見ることもなくなり、記憶の中で躍動するほどの悪路を車で走ることおよそ4時間、ようやく世界遺産を眼下に広げることのできるビューポイントへ到着しました。「このような場所になぜこのような施設群が造られたのか」と誰もが小首をかしげる神秘的な光景です。
インドで最高の仏教壁画が残るアジャンタ石窟群は、紀元前200年頃から紀元後650年の頃の造営とされていますが、仏教の衰退とともに忘れ去られていたそうです。そして、時を超えること1819年4月、ハイダラーバード藩王国の藩王に招かれて狩猟に参加していたイギリス人士官ジョン・スミスが虎狩りをしていたときに、巨大な虎に襲われてワゴーラー渓谷に逃げ込んだ際、断崖に細かな装飾が施された馬蹄形の窓のようなものを見つけたことが発見の契機となったとのことです。
すばらしい壁画をはじめ巨大な涅槃像や、夏になると顔に日の光が当たる釈迦像など、1枚の壮大な岩を彫って造り上げたこの仏教要塞からは、人の力の大きさや古代人の知恵、宗教の持つ謙虚さ等々、考えることや学ぶことが多くあり、生涯一度は現認すべき値打ちのある世界遺産だと思います。マハラシュトラ州と覚書を締結している和歌山県の皆様にもぜひ訪れていただければうれしいです。
なお、和歌山コーナーを設けていただいているビジターセンターが休館中でございました。日本からもODA等多くの資金が投じられている施設だけに、態勢を立て直されての一日も早い再開を楽しみにしています。
現地で1時間半ほど滞在したでしょうか。また悪路を車で走り、ホテルへは午後9時半頃に到着、MTDCの皆様による映画「バーフバリ 王の凱旋」を鑑賞しながらの夕食会を催していただき、この日の日程は終了しました。
修学旅行生風の学生たちや多くの現地の方々に出会い、また、インドの映画制作数は世界一であることから、ハリウッドとムンバイの旧都市名ボンベイを組み合わせて、インド映画を「ボリウッド」と呼ぶそうですが、そんなボリウッド俳優アンド女優的なアベックとも遭遇し、道中の光景も含めて現地を色濃く体験できた1日となりました。
マハラシュトラ州訪問4日目の22日は、朝食後、オーランガバードはMTDC内にある、当初派遣職員が使用していたオフィスを視察。この空間からマハラシュトラ州との交流が深化を始めたのかと思いますと、非常に感慨深いものがありました。
午前9時にホテルを出立し、まずは「デカンのタージ・マハル」とも「ミニタージ・マハル」とも呼ばれるビビカマクバラを訪問。ムガール帝国の第6代皇帝オーラングゼーブの第1王妃ラビア・ダウラーニの墓廟となっています。ムガール帝国の弱体化により、白大理石で壁面を覆い切れず、れんがとしっくいも組み込んで建てられています。とはいえ、異文化に触れて神々しさを感じます。
この廟内で上から降ってきたハトのふんが私の右中頭部に墜落しましたところ、MTDCの男性スタッフより「あなたはラッキーマンだ。一緒に写真を撮ろう」と握手を求められ、御一緒に撮影もしていただきました。
続いて、マハラシュトラ州がアジャンタ石窟群と並んで誇る世界遺産エローラ石窟群へ向かいました。こちらは5世紀から10世紀にかけて、仏教、ヒンズー教、ジャイナ教の石窟寺院や修道院が34窟存在している遺跡です。パルテノン神殿以上の高さを誇るヒンズー教の石窟寺院では、シヴァ神を祭りつつ、各所に女神ラクシュミーやヴィシュヌ神、馬車を担ぐ龍、ライオン、象など、雄大に彫られていました。
そんな折、居合わせた小学生らしき一団に、これまた「一緒に写真を撮って」と写真撮影を求められました。まだまだこちらを訪れる日本人は珍しいのでしょうか。ちなみに、現在人口約150万人のオーランガバードに住む日本人は4名ほどとのことでございます。
遅いめの昼食後、プネー市へ向けて車で出発。ハイウエー等を連ねて軽快に走り続けることおよそ6時間、すっかり日も暮れてからようやくプネー市へ到着しました。印日友好協会(AFJ)の皆様に夕食会を催していただき、柔道や日本食談義に花を咲かせた後、23時半過ぎにホテルへ到着。
この日までの4日間、MTDCの皆様には視察に関する多大な御尽力と至れり尽くせりのおもてなしをいただきました。心から感謝申し上げますとともに、再会と皆様のさらなる御発展を衷心より祈念いたします。
マハラシュトラ州訪問5日目の23日は、午前9時にプネー市のホテルを出立し、まずは「Tilak Maharashtra Vidyapeeth」という日本語学校へ向かいました。
インドの町なかはとにかく混んでいます。プネー市で500万人。幹線道路と問わず、人、バイク、車が入り乱れています。
こちらの学校では亜都麗シュリカント先生より、学校の歴史や現状等を御説明いただき、私からも「フルタイムコースができてからの20年の間に学生の雰囲気に変化は生じていますか」と質問させていただきました。当時は趣味で日本語を勉強する学生ばかりだったのが、今では日本との、あるいは日本でのビジネスを考える学生が圧倒的に多いそうです。日印両国の産業交流が発展しているということですね。
そして、授業風景も見学させていただきました。各クラスとも年齢差のある生徒編成となっていますが、どの学年も非常に日本語学習への熱意を感じます。日本語をしっかり習得された後は、ぜひ和歌山県へお越しいただき、御一緒に何がしかの仕事ができればと思います。
ちなみに、プネー市では日本語を学ぶ学校がデリー市の次に多く、日本からインドへ留学する日本人学生の4割をプネー市で受け入れているそうです。
続いて、プネー市役所を訪問し、シャンタヌ・ゴール・コミッショナー補佐官及びマーリドハール・モホール市長と面談させていただき、「技能実習生の相互の送迎環境整備に努めて交流をさらに深化させましょう」と意見交換をさせていただきました。
前夜に続き、カレAFJ会長の計らいにより、AFJサポーター所有のゲストハウスでのランチを経て、マハラシュトラ州訪問最後の日程は、世界的なサイバーセキュリティーを構築するIT企業Quick Heal社を訪問し、ドクター・カイラッシュ・カトカーCEOより、1993年創業以来の取組や会社の強み等を御説明いただき、私からは、AIの今後の発展方向及び当世代の子供たちに必要な教育プログラムについてお尋ねいたしました。
サイバーセキュリティー界のグローバルリーダーを目指すという強い意欲をお持ちのカトカーCEOより「日本では政府も含めて50%以上がセキュリティーの弱いウインドウズ7をいまだに使用している。今年の予測ながら、サイバーセキュリティー上の大きな問題が発生するのではないか」との御指摘をいただいています。
訪問後は、一路ムンバイ市へ向かい、車で走ることおよそ5時間、無事に空港へ到着しました。
このたびの訪問では、多くの皆様に大変お世話になりました。御関係の皆様に心から敬意を表し、衷心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。今後、全力で両県州のさらなる交流の発展に尽力してまいりますことをお誓い申し上げます。
インド共和国という国は非常に個性的だと感じます。我が国や多くの国では、物事を肯定する際には首を縦に振りますが、インドでは首を横に振ります。昨日、佐藤議員も御報告されていらっしゃいましたが、インドの道路には車線がなく、片側4車線ほどの広さを6車線にも7車線にも使用し、車同士の車幅や車間距離は、バックミラーやバンパー一つ分程度にまで接近しています。そして、少し間ができると、すかさず他の車が侵入し、あるいは3輪のオートリキシャやバイクが侵入したり、歩行者が横切ったりします。豪快に逆走やUターンなど、思わず二度見してしまうような光景も一度や二度ではございません。当然凸凹の車が専らでございます。
気温の高さと人口の多さから、電車やバスは本気で窓だけではなくドアも開けたままで走っていますので、振り落とされて亡くなる方が出ることも日常茶飯事のようでございます。
鬼才荒木飛呂彦先生の「ジョジョの奇妙な冒険」第3部にて、インド入りしたジョセフ・ジョースター卿が「インドという国は物乞いや泥棒ばかりでカレーばかり食べていて、熱病か何かにすぐにでもかかりそうなイメージがある」という旨のコメントをした際に、インド人のモハメド・アヴドゥル氏が「それはゆがんだ情報です。心配ないです。みんな素朴な国民のいい国です」とたしなめるシーンがございましたが、現実に信号待ちや渋滞の真っただ中を、子供を抱えた若い婦人が恵みを求めたり物を売ったりしながら歩いていることもございました。
一方で、度肝を抜かれるような経済的長者も多数いらっしゃるようです。とてつもない高層ビル群の麓一帯に一大スラム街が広がっていたりもします。
この10年の間に、インドでは可処分所得が年間3万5000ドル以上の富裕者層は約3倍となり、年間5000ドル以下の低所得者層は約30%減となっていますが、一体、平均所得や平均寿命等の平均値は、この国ではどのようにして測定されているのかと思います。
加えて、このように格差の激しいインドの町なかの節々に、政党の大きな看板が幾つも立てられています。このたびの訪問は、命の重み並びに1票の重みについて考える機会ともなりました。
インド共和国は、近い将来、経済力の世界一を中国と争う経済大国となるでしょう。そうなれば、地球史上初めて2大経済大国が国土を接することになります。そのインド共和国において最大の貿易都市であるムンバイを擁するマハラシュトラ州は、まさにインド経済を牽引している州でございます。
そこで、仁坂知事にお尋ねいたします。
このような個性的なインド共和国マハラシュトラ州との交流におけるこれまでの実績についてはどのようにお考えでしょうか。経緯も含め、御答弁どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇副議長(森 礼子君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 和歌山県とインド共和国マハラシュトラ州は、世界遺産を有するといった共通点があるなどの様々な理由で、平成24年3月、当時大阪・神戸のインド共和国総領事であったヴィカース・スワループさんに紹介されたことを契機として結ばれたものでございます。この方は、実は世界的に有名なベストセラー小説家なんですけれども、たまたま外交官でもあり、この方に熱心に紹介をされました。
何しろマハラシュトラ州というと、実は1億人以上の人口がいて、タタなどの財閥が、本社が全部あって、中央銀行まであって、それから、インド有数の農業生産を誇る州でもあり、経済力では恐らくインド一だというところなんで、「スワループさんがそう言うけど、和歌山をちゃんと相手にしてくれるのかあ」というふうに思ったんですけども、実際は大変向こうが熱心で、それで和歌山と交流を望んでくれまして、それでインドについて言えば、中央政府がちゃんと承認しないと経済交流の約束事はできないんですけど、これもうまくいきまして、それでその結果、平成25年10月に相互協力に関する覚書を締結し、交流が軌道に乗ったということでございます。
たくさん交流の種はあったんですけども、そのうちの一つを申し上げますと、交流を進めていく上では人的交流が大事でございますし、実は和歌山県としては、国際的な感覚や語学力を身につけた職員を養成したいという気持ちもあったもんですから、マハラシュトラ州に職員を送って、それでそういう経験や語学力を身につけてもらうとともに、マハラシュトラ州に通じた人材を育成することはよいことだというふうに思って、初めは職員研修の観点から職員派遣を提案したわけです。もちろん、マハラシュトラ州の方も「ウエルカムですよ」というふうには申し上げた上ででございます。そうしたところ、相手側から「和歌山事務所にしたらどうか」という話がございまして、それで、それならそれでもいいかなということで、平成26年8月以降、現地に若手職員1名がいつもいるということになっております。
この和歌山事務所は、これは先方の御意見だったんですが、まずは世界遺産地域に近いオーランガバードに開設したのですが、利便性を考えて、先方と合意の上、平成29年4月にはムンバイに移転させたところでございます。派遣職員は州政府の支援を受けながら各種交流事業をやったりして、自分も成長してもらってるということでございます。
お願いだけしてたら申し訳ないので、たまたまマハラシュトラ州は、そんなでっかい州なんですけども、日本における拠点がないんです。したがいまして、日本における情報発信拠点として、本県の東京事務所を活用していただいております。
これ以外には、たくさんのことをしておりますが、例えば、先ほど川畑議員からお話がありました、和歌山県のPRもしているところが閉鎖であったと、休止であったというお話がありました。それなんかは世界遺産交流ということで、先方のアジャンタを説明する施設があるんですけど、その中に、実は我が世界遺産であるところの高野・熊野を説明するブースを置いていただいている。もちろん、本宮にございます施設にもマハラシュトラ州のエローラ、アジャンタをPRするブースを置いていると、こんなことでございます。
そのほか、両県州トップによる相互訪問を始めまして、相互のファムトリップ、これは観光業者をお呼びして、それで、何かこういうところがいいなということでプランをつくってもらってお客さんを連れてきていただくということで、観光業者に対するサービストリップなんですけど、そういうこととか、あるいは観光プロモーション、それから、世界遺産への取組を通した青少年交流など、幅広い交流を進めております。
とりわけ、インド憲法の父と言われるマハラシュトラ州出身の大偉人でありますアンベードカル博士の銅像を高野山に置くのはどうかという提案が先方から私が行きましたときにありまして、それは大いに協力するぞという話をいたしましたら、高野山大学でその銅像設立が実現いたしました。そうしますと、マハラシュトラ州のそういう心ある人ですね、そういう方々は一種の聖地として高野山を訪問してくださるということにも今なってるところでございます。
また、経済分野においては、本県は、何せマハラシュトラ州はでかくて和歌山県はちょっと小さいもんですから、日本へのゲートウエーとして機能を果たしてやるぞ、こういうふうに申しまして、本県企業のみならず、他府県の企業も参加したビジネスマッチングや工業博覧会を通して、複数社が新規に取引を開始するなど、成果を上げているところであります。
こうした交流関係をより深化させるために、平成30年1月、私がムンバイを訪問した際、広範な分野における相互関係の拡大を目的に覚書の更新を行ったところであります。
〇副議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 原田総領事とのパワーモーニングの際に、和歌山県議会における日印親善議員連盟の立ち上げをお諮りしましたところ、総領事より強い御賛同をいただいたことを受け、全国日印親善議員連盟サミット開催や、ボリウッド俳優及び女優をお招きしての映画会開催にまで夢は膨らみました。
また、タックレー観光大臣やMTDCの皆様は、わかやま紀州館との連携や仏教を軸にしたさらなる観光交流を図り、大切にしている和歌山県との関係をより密にしたいとの御意向をお持ちです。
世界遺産アジャンタ・エローラ両石窟群には圧倒的な観光資源力を感じますし、ヘリの配置やハイウエーの整備など、その秘めたる世界的誘客力を爆発させる施策案を思い浮かべるだけで、訪れる者はさらに楽しめるでしょう。
MTDCの皆様は所有しているホテルやオープンさせた日本食レストランの質向上に極めて熱心で、私たち訪問団一人一人にビデオを回しながら改善点へのインタビューをしてこられることもございました。一たび「ホテルのシャワーの使い方などで外国人用に説明書きしたものがあればうれしい」という話が出ますと、その日の夜には日本語で作成されたシャワーの説明書が各部屋に届けられました。
つい先日も、カレAFJ会長が来県されました。タックレー観光大臣にも来県の御準備を進めていただいているとお聞きしています。まさに本気でございます。そして、これまでに3名の職員をマハラシュトラ州に派遣され、25回以上もインドを訪問された職員もいらっしゃるくらい、本県も本気でございます。我らが県議団としましても、日印親善議員連盟発足に向けて歩みを始めました。
そこで、仁坂知事にお尋ねいたします。
インド共和国マハラシュトラ州との交流における今後の取組についてはどのようにお考えでしょうか。御答弁どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇副議長(森 礼子君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 先ほども申し上げましたとおり、マハラシュトラ州はインドの経済成長を牽引するムンバイを州都とする大変経済力のある州であります。人口も1億1000万人あり、デカン高原の大農業地帯があり、それから、鉄鋼、石油化学の産業のヘッドクオーターがあるという、大変力のある州であります。和歌山県では、こういう州と、向こうも本気で付き合ってくださっていますので、こちらも本気でいこうということで相互協力に関する覚書を結んでおりますが、これに基づいて、今後とも経済分野、観光分野での交流を進めるとともに、引き続き職員を派遣することにより、双方間の絆をより強固なものとしていきたいと思います。
お話しのように、インドの方々、マハラシュトラ州の方々に大変信頼感のある職員もおりますし、それから、我々としてもいつも頼りにする有力者、すなわちマリックさんでありますけれども、そういう方々もいつもいてくれるので、先方で政権交代があったりするんですけど、それをうまく乗り越えながら──先方でですね、それも乗り越えながら今後ともやっていきたいと考えております。
現在、コロナ問題でちょっと観光のプロモーションがやりにくい雰囲気でございますが、いずれは落ち着くと思いますので、インドには大変な富豪がいっぱいおりますし、和歌山県の方々もあそこは行くと物すごく感動するような、我々にないようなものがたくさんございますんでよろしいし、それから、和歌山県との関係で、インドというとちょっと旅行がしにくいところがあると思いますけども、ちゃんと向こうの観光局がいろいろ世話してくれると思いますから、そういう意味では相互交流が大変しやすい、そういう状況になってるところでございます。
また、州政府のお力添えをいただいたことで、従来の交流分野に加えまして、レスリングなどのスポーツ分野における交流も始まっております。指導者、選手間の相互訪問や競技団体間の交流がより一層進むように、引き続き県としても協力していきたいと思います。
議員から「日印親善議員連盟発足に向けての歩みを始めた」との力強いお言葉をいただいたところでありまして、今後とも両県州の交流がより厚みのあるものとなるよう、県議会と一緒になって活発な交流を進めることが重要であると考えており、皆様のさらなる御支援、御協力をお願いしたいと考えております。
〇副議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 マハラシュトラ州との覚書を締結して、今年の10月で丸7年になります。和歌山県がインドへ職員を派遣しているということはもちろん、マハラシュトラ州と極めて良好な関係にあるということを、まだまだ県民の皆様に広くは知られていないように感じていますが、それでも両県州の公的な資金が使われている交流ですので、県民の皆様にも御理解いただきやすいような成果がもっと問われるようになってくると思います。
観光業や加工食品を中心とした産品の流通を促進させていくことはもちろんですが、プネー市を中心として日本語教育が盛んなことや、仏教徒をはじめ敬けんな信仰心をお持ちの方が多いこと、何よりゼロの概念を発見した優秀な国民性等を思いますと、先ほど知事もおっしゃっておられましたが、人的交流、特に教育的な青少年交流に私は強い期待を覚えます。
いずれにしましても、お一人でも多くの県民の皆様と交流の果実を共有できますよう、私たちも鋭意取り組んでまいりたいと思いますので、当局の皆様にも引き続きの御努力と御指導賜りますようお願い申し上げます。
次の項目に入ります。
時の流れとともに、ハラスメントという概念を表す言葉が生まれ、その幅が広がってまいりました。これまでにも行われてきた言動が何かしらのハラスメントと認められることが増えてきた一方で、定義の曖昧なまま概念だけが社会に広がってきている面もあるのではと感じることもございます。
「疑わしきは罰せず」という我が国の刑事訴訟における原則がございます。とはいえ、社会で他人に疑念や不快感を催させながら、自分の感情を慰めるだけの言動であるならば、そもそも慎むべきでございます。我慢できるということも立派な社会人としての技術であると私は思います。
ハラスメントの定義に合致する言動に連日さらされながら、自分や家族の生活のためにひたすら耐えている人をおもんぱかりますとじくじたる思いがあふれますし、まして、耐えられずに休職や退職に追い込まれた人を思いますと、いたたまれない気持ちに私も押し潰されそうになります。誰もが働きやすい職場環境を、誰もが共有して心がけていくことが大切でしょう。
そんな折、私は特にパワー・ハラスメントについては、時代に合わせた丁寧な解釈や共通理解が必要ではないかと思っています。
世界から御評価をいただいています我が国の国民性としましては、勤勉さや誠実さ、また、団体力や忠誠心の高さなどがあると思います。つまり、働く際に目標設定がなされ、上司や先輩から叱咤激励を受けながら懸命に頑張って働いてその目標をクリアし、クリアしたことを評価されることで本人も頑張ってよかったと感動し、そして、また頑張ろうと情熱を燃やし、その積み重ねによって人間力や仕事力、団体力を上げてきたという一面が我が国のこれまでの社会には確かにあったと思います。
先日、全30巻を読了いたしました本宮ひろ志先生の「サラリーマン金太郎」では、ほぼ全編にわたりそのような経済戦士像が描かれていて、私も読みながら随分気が高ぶりました。
それが、時の流れとともに、昨今の職場におけるトレンドはいかがでしょうか。
先日、ある若手経営者にお話をお聞きしますと、従業員に「仕事頑張ったらボーナスアップするからね」と激励を込めて鼓舞したところ、その従業員からは「では、仕事を頑張らなければボーナスはカットするということですか。それはパワハラですよ」と切り返されたそうです。
また、別のある若手経営者にお聞きしますと、頑張った社員に「今日はよく頑張ったな。今夜、飲みに行くか」と話しかけたところ、その社員から「それも仕事ですか」と尋ねられたそうです。時には、「勤務後の食事の誘いは2日前までに言ってください」とか「強制ですか」とか、自分たちの経験則からは計り知れない回答が専らであるとのことです。
暴力や暴言は言語道断です。しかしながら、ハラスメントの認定には、当該人間関係における情の通い合いが存在するかどうかということが大きく作用すると思います。そのためには、日頃の付き合い方や接し方が極めて重要であり、情の通い合いがあることで、叱咤激励がハラスメント認定どころかとてつもなく正のエネルギーにつながることもあるでしょう。
私は、何かを成し遂げたときや気がめいっているときに勤務後の食事に誘われるとうれしいと思いますし、人間間の親しみを深めるにも大切な場の一つであると認識をしています。そんな夜の会食の場が、様々な要因から成立しなくなってきているということであれば、会社にとっても社会にとってもゆゆしきことではないでしょうか。
人が働くのは憲法に定められた義務であると同時に、多くは生活のためでもあります。では、自分の生活さえ担保されればそれでよいのかと問われると、それは違うでしょう。人が独りで成立させ、それでいて自分の生活全てを担保し得る仕事というものはなかなかあり得ないからです。
自分だけではなく、家族や仲間を思いながら活動できることにこそ、AIやロボットではない人間ならではの特徴があるのだと思います。
相手が主張しないからといって、あるいは自分の思いどおりに動かないからといって、自分の感情のままに言動を起こしてはいけませんし、同様に、握手をしようと差し出した手をはたいたり、歩み寄ろうとした足を蹴ったりしていては、通うはずの情も通わないでしょう。
愛知県のノーリツイス社では、課の食事会に会社から補助金を出しているそうです。つまり、顔を合わせば何らかの会話が起こり、会話が起これば幾ばくかの情が通い、情が通って人間関係の風通しがよくなれば仕事の生産性が上がり、仕事の生産性が上がればみんなでより豊かな暮らしができるようになるということでしょう。とはいえ、それでも食事会への参加を強制はできないと思いますが、例えば上司や先輩が後輩や部下を食事に誘うこと自体がパワーハラスメントに問われる時代にはなっていないと私は思いますし、同様に、「仕事を頑張れ」と叱咤激励すること自体が直ちにパワーハラスメントに認定されるものではないと思います。
繰り返しますが、時の流れとともに概念だけが膨らんでいくということは往々にしてございますので、適宜その概念を見直しながら歩みを進めていくことが重要ではないでしょうか。そして、パワーハラスメントにつきましては、時宜に合った定義をその都度丁寧に解釈し、社会全体でおおむね共通した理解を持つことが大切だと思います。そして、まず役所からしっかりと取り組むことで、民間企業や事業所へ広がり、社会へ浸透していくはずです。
そこで、仁坂知事にお尋ねいたします。
和歌山県庁におけるパワーハラスメントの定義についてはどのようにお考えでしょうか。県庁内の現状も含め、御答弁どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇副議長(森 礼子君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 県では、ハラスメントに関する基本方針を定め、パワーハラスメントとは、「職務上の権限や地位等を背景に、職務の範疇を超えて、継続的に他の職員の人格や尊厳を傷つけるような言動」と定義しております。あわせて、対応方針も策定し、パワーハラスメントになり得る言動等を具体的に例示するとともに、問題が発生した場合における相談の対応等について定めております。県としては、このようなハラスメントは、人格や個人の尊厳を侵害する行為であり、許されるものではないとしているところであります。
本県の現状については、本年度、相談が寄せられているのは5件ございまして、調査の結果、パワーハラスメントとして認定に至っているケースは現在ございません。しかし、パワーハラスメントは、ハラスメントの中でも、職場内における業務上の命令または指導とどう線引きするか難しい側面があります。
そのような中、働く女性の増加や経営環境や雇用関係、職場の人間関係が大きく変化している状況を踏まえ、事業主に対してパワーハラスメント防止対策を義務化する改正労働施策総合推進法が整備され、本年6月に施行されます。
これを受け、人事院において、パワーハラスメントに関する追加の人事院規則を現在策定中と聞いておりまして、県においても指針等の必要な見直しを検討していきたいというか、せざるを得ないかもしれないというふうに考えております。ただし、どのようなことになっても部下を傷つけるようなものはいけないので、自ら注意しようという心は、これは普遍的に大事だと思いますし、そのためには人間間の信頼関係が醸成されてるということが大事だろうなあというふうに思うところは、議員と同じでございます。
今後、法改正等を受け、県では、パワーハラスメントに関して、職員がさらに認識を深め、正しい判断の下に良好な職場環境を享受できるよう、全職員に対し、積極的にセミナーや研修を開催し啓発を行い、その防止と排除に努めていく所存であります。
〇副議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 言った者勝ちのようなパワーハラスメント認定は決してよくないと思いますし、働くということはなかなか生半可なことではないと思います。
一方で、定義どおりのパワーハラスメントを受けて、声を上げることもできずに休職や退職に追い込まれている職員の方は、もしかしたら今現在もこの県庁内にいらっしゃるかもしれません。救うべき人を救い、皆が集う職場環境をよりよくしていくためにも、仁坂知事はじめ当局の、特に幹部の皆様には、いま一度改めて意識をお持ちいただき、風通しのよい雰囲気づくりに一層お取り組みいただきますよう要望申し上げます。
それでは、最後の質問に入ります。
和歌山県では、仁坂知事の巧みな海外戦略の中で、外務省経由も含め世界各地に職員を派遣されています。私も、これまでにシンガポールや中国山東省、そして、このたびのインド共和国マハラシュトラ州訪問の際には、現地駐在の和歌山県職員の皆様に大変な御尽力をいただきました。
各行程を手際よく段取りされ、現地でのプチトラブルや細やかなオーダーにも臨機応変に対応され、何より国際戦略の中で最も重要であろうと思われます現地の皆様に親しまれるというミッションを着実にこなされているように感じました。
私も秘書時代に、世耕弘成・現参議院自由民主党幹事長より「地元に帰ってきて1日行動を共にしていると、地元秘書の日頃の働きぶりが分かるものだ」というつぶやきを何度も拝聴しては、身の引き締まる思いをしていましたが、各地を訪問させていただくたびにあのつぶやきを実感いたします。
県庁内、県内、国内、そして、世界各地でも職員の皆様には県勢発展のために御奮闘いただいていますことに、改めて敬意を表したいと思います。
その中で、やはり海外に駐在して日々の職務をこなしていくということには、国内とは違う困難、苦難が少なくないと思います。言葉の違いに始まり、文化の違い、食事、気温、交通事情、衛生感、発病時の対応、治安等々、毎日の暮らしを思いますと相当なエネルギーが要ることでしょう。
また、私もイギリスを訪問した記念にロンドンで銀行口座をつくろうとして断られたことがございますが、世界の多くの銀行では、口座をつくる要件に在住者もしくは在勤者を挙げています。本県の海外派遣職員の多くは、長期の出張という立場で現地へ赴かれていると思いますので、現地の銀行で口座をつくることができず、キャッシュを引き出す際には国内とは一段違う手数料を支払わなければならないのではと推察いたします。
加えて、現行の海外への長期出張制度では、あくまで単身での赴任を想定されていて、家族を連れて赴任する際には、自分たちでのやりくりを強いられます。人である以上、時には仕事で行き詰まることもあるでしょうし、不意に家族や友人に会いたくなることもあるでしょう。存分に日本語でしゃべり散らしたり、カラオケで大合唱したりしたくなることもあるかもしれません。
「サラリーマン金太郎」でも、アフリカでのマイクロウエーブ送信局建設工事に赴いた主人公が、文化や国民性の違い、言葉の壁、無情なほどの自然の厳しさから、その強靱な心が折れそうになった際、日本から最愛の恋人がやってきたことで俄然息を吹き返し、また猛烈に頑張り始めるというシーンが臨場感高く描かれていました。いかにSNSが発達しようとも、現実に顔を合わせ、同じ釜の飯を食うということには、その安堵感においてかなわないと思います。
これまでは、派遣された各職員の皆様個人のポテンシャルやモチベーションにより御奮闘してこられたことと思いますが、時の流れにより、また、世代間の価値観の変貌等により、今後も変わらず脈々と強靱な意志と熱意を持った優秀な職員の皆様が海外派遣を志され、海外での職務を存分に全うし続けてくださるとは限らないのではと一抹の不安を覚えます。
いずれにしましても、職員を派遣する以上、派遣者としての責任は十分に果たさなければなりませんし、派遣した後は職員本人の頑張り任せということではいけません。
各都市も社会情勢は刻々と変化していると感じます。物価の上昇や利便性の向上もあると思います。また、同じ国、同じ州でも都市によっては社会事情が全く違ったりもします。企業によっては、国や都市別に安全性や生活の不便さ等を評価して、その指数に従い、ハードシップ手当というものを支給しているそうです。例えば三菱商事株式会社では、2017年時点で上海や北京への若手の単身赴任で2.6万円、家族帯同では3.1万円、アフリカのラゴスへの単身赴任で27.2万円、家族帯同では、何と何と45.9万円とハードシップレベルによって10倍以上の差がつくこともあるようです。
そこで、お尋ねいたします。
本県の国際戦略をより洗練されたものとするために、また、頑張っている職員が頑張ってよかったと実感し、モチベーションを保ちながらより頑張ろうと思えるように、各地に派遣している職員の皆様の日々の暮らしに寄り添った待遇となるよう適宜見直しや改善を行うべきではないでしょうか。
それにより、今後海外派遣を志す職員が潤沢に輩出されたり、全国から和歌山県庁に入って世界を股にかけて働きたいという青年が集ってきたりと、後進育成や人材確保にもつながることが期待されます。
住宅手当等の見直しや回数を限った家族の渡航費補助、現地での現地語のさらなる学習支援や住宅探し等の各種契約時に係るアドバイザー配置、現金や日本食材等の物資を送る際への配慮など、御検討いただくべきことは多いのではと思います。
そして、派遣される職員の家族内国際戦略の中で、家族帯同で海外赴任を希望される職員にも渡航費、生活費はもちろん、家族の言葉の問題や子供の学校探し等、様々な不安や悩みが生じることと思います。
また、派遣職員自身の健康を担保するために加入する海外赴任保険が自己負担ということにも違和感を覚えます。赴任中に体調不良を来した際、直ちに赴任先の医療機関で安心して受診できるような支援も必要ではないでしょうか。
現時点では、外務省からの派遣先を除けば、和歌山県が派遣している先は6か所でございます。丁寧なオーダーメード型の待遇を勘案できる箇所数であると思います。
海外派遣職員の待遇につきまして、現状を踏まえた今後の検討方針を、田村一郎総務部長より御答弁いただきますようお願い申し上げます。
〇副議長(森 礼子君) 総務部長田村一郎君。
〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 議員から御提案のありました海外派遣に伴う職員の待遇やワーク・ライフ・バランスの視点に立ちました支援につきましては、優秀な人材の確保という観点からも有用であると考えます。
現在、研修派遣という形で9名の職員を派遣しており、これらの職員には、給料や諸手当を支給するほか、海外への赴任、帰任に伴う旅費、派遣期間の日数に応じた宿泊料や日当などを旅行命令により支給しております。こうした本県の海外派遣職員の待遇につきましては、国の海外への派遣研修と同様に対応しており、大半の都道府県においても同様でございます。
職員の給与制度や勤務条件につきましては、国の制度に準拠し、他の地方公共団体との均衡を図ることとなっておりますので、派遣職員の待遇につきましては、今後も国や他の都道府県の動向を注視して検討してまいりたいと考えております。
また、所属では派遣職員から生活や健康状態を含め、研修の実施状況について報告を受けておりますが、所属と派遣職員がより緊密にコミュニケーションを取ることで、生活面での不安解消や職場環境の改善など、可能な限り派遣職員の支援に取り組んでまいりたいと考えます。
〇副議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 人的資源には、もう何にも代え難いものがあると思います。
「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、あだは敵なり」。かの戦国時代最強とうたわれました軍団をつくり上げました武田信玄の名言とされている言葉もございます。富国強兵も県勢発展も、人があってこそでございます。
また、中国、唐の時代の名臣魏徴が詠んだと言われる「人生意気に感ず 功名誰かまた論ぜん」という詩もございます。
どうか頑張ってる人が頑張っているとさらに評価をされ、皆が頑張ろうと思えるような組織づくりに一層の御努力を賜りますようお願い申し上げますとともに、新型コロナウイルス対策に関しまして御奮闘いただいています仁坂知事はじめ当局の皆様に、心から感謝と慰労を申し上げまして、私の人生11度目の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(森 礼子君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後6時7分散会