令和2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


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令和2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

令和2年2月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 令和2年3月3日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第18号から議案第33号まで、議案第73号及び議案第75号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号まで(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第18号から議案第33号まで、議案第73号及び議案第75号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号まで(質疑)
 第3 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 鈴木德久
 2番 山家敏宏
 3番 中本浩精
 4番 堀 龍雄
 5番 藤山将材
 6番 岸本 健
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 北山慎一
 10番 中西峰雄
 11番 秋月史成
 12番 森 礼子
 13番 濱口太史
 14番 尾崎要二
 15番 冨安民浩
 16番 川畑哲哉
 17番 玉木久登
 18番 鈴木太雄
 19番 岩田弘彦
 20番 吉井和視
 21番 谷 洋一
 22番 佐藤武治
 23番 岩井弘次
 24番 中 拓哉
 25番 多田純一
 26番 新島 雄
 27番 山下直也
 28番 中西 徹
 29番 玄素彰人
 30番 谷口和樹
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 林 隆一
 36番 楠本文郎
 37番 高田由一
 38番 杉山俊雄
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       細川一也
 危機管理監      森田康友
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     田中一寿
 福祉保健部長     宮本浩之
 商工観光労働部長   稲本英介
 農林水産部長     角谷博史
 県土整備部長     髙松 諭
 会計管理者      飯島孝志
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    竹田純久
 警察本部長      檜垣重臣
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中川敦之
 次長         中谷政紀
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     山田修平
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主任      保田良春
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀

 議事課主事      大森圭悟
 総務課長       井邊正人
 政策調査課長     中平 博
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午前10時0分開議
〇議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から和歌山県監査委員監査基準の策定通知及び監査報告がありました。いずれもお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前10時0分休憩
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  午前10時59分再開
〇議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第1、補正予算等議案議案第18号から議案第33号まで、議案第73号及び議案第75号の計18件を一括して議題とし、順次、常任委員会委員長の報告を求めます。
 農林水産委員会委員長高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
〇農林水産委員会委員長(高田由一君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、御報告を申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。
 委員会は、2月25日、第4委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第19号及び議案第73号については全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質疑項目を申し上げますと、農業活性化支援事業の増減額の内容について、箕島漁港の荷さばき施設等の整備支援についてであります。
 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願いします。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 建設委員会委員長堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)
〇建設委員会委員長(堀 龍雄君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案6件であります。
 委員会は、2月25日、第5委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第25号、議案第28号、議案第33号、議案第73号及び議案第75号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における質問項目を申し上げますと、補正予算説明書における補正額の記載方法について、大浦街道の歩道整備の進捗状況についてであります。
 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 文教委員会委員長藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
〇文教委員会委員長(藤本眞利子君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。
 委員会は、2月25日、第6委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第21号及び議案第28号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、酒気帯び運転を行った教員への処分について、県立学校全校への無線LAN整備についてであります。
 以上をもちまして、文教委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 総務委員会委員長川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
〇総務委員会委員長(川畑哲哉君) 総務委員会における審査の経過並びに結果につきまして、御報告を申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案6件でございます。
 委員会は、2月25日、第1委員会室において開催し、会計局、人事委員会、監査委員、選挙管理委員会、議会事務局、知事室、企画部、総務部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第22号、議案第26号から議案第29号までは全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質問項目を申し上げますと、人事委員会関係では、委託料の減額補正について、企画部関係では、外国人受入環境整備交付金の増額補正について、わがまち元気プロジェクト支援事業及び地方創生推進交付金の減額補正について、IR推進事業の減額補正について、ふるさと生活圏活性化支援事業及び移住・定住大作戦事業の減額補正について、人権啓発活動地方委託事業の減額補正について、市町村振興資金特別会計の減額補正について、総務部関係では、超過勤務手当の補正予算について、日高総合庁舎防水改修工事に係る増額補正について、宝くじの収益見込みについて、繰上償還補償金の内容について、防災・減災、国土強靱化の推進に伴う増額補正に係る実質的な県負担について、株式等譲渡所得割交付金の減額補正についてであります。
 以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 福祉環境委員会委員長玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕(拍手)
〇福祉環境委員会委員長(玉木久登君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。
 委員会は、2月25日、第2委員会室において開催し、環境生活部、福祉保健部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第23号及び議案第30号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、環境生活部関係では、高齢者の消費者被害防止に向けた対策について、環境衛生研究センターの職員費の増額について、和歌山市内の子ども会における不適正な会計処理について、大気汚染等防止対策事業における減額の要因について、福祉保健部関係では、新型コロナウイルス感染症の疑いがある方への検査の実施体制と1日に対応可能な総数について、新型コロナウイルス感染者が入院可能な病床数以上に発生した場合の県の対応について、病床機能の分化・連携のための体制整備事業における補助金減額の要因について、子ども・子育て支援事業における増額の内容についてであります。
 以上をもちまして、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 経済警察委員会委員長秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
〇経済警察委員会委員長(秋月史成君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案5件であります。
 委員会は、2月25日、第3委員会室において開催し、公安委員会、商工観光労働部・労働委員会の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第20号、議案第24号、議案第31号及び議案第32号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、公安委員会関係では、鑑識科学センター改修工事の翌年への繰越しについて、信号機の電線類地中化整備事業が未実施となったことについて、商工観光労働部・労働委員会関係では、和歌山産品販促支援事業の内容についてであります。
 以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、常任委員会委員長の報告が終わりました。
 これより委員長報告に対する質疑に入ります。
 質疑はありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 質疑なしと認めます。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております案件については討論の通告がありませんので、これより直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 これより採決に入ります。
 議案第18号から議案第33号まで、議案第73号及び議案第75号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長報告は、いずれも原案可決であります。
 本案をいずれも委員長報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
〇議長(岸本 健君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時11分休憩
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  午後1時0分再開
〇議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第2、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 41番尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕(拍手)
〇尾﨑太郎君 議長の許可を得ましたので、一般質問をいたします。
 先日の緊急質問で、新型コロナウイルス感染症対策についてただしたところです。県議会といたしましては、25日、意見書を採択し、岸本議長の提言で早速翌26日に議長とともに上京し、二階幹事長、世耕参院幹事長にこれを手渡し、陳情いたしました。世耕参院幹事長からは、仁坂知事の対応は大変適切であった、東京でも評価が高まっている、しかしなお、全国的にはここ1~2週間が勝負となる旨の発言がありました。
 翌日、東京からの帰りに、ニュースで安倍総理が全小中学校、高校、特別支援学校を3月2日から春休みまで臨時休校とするよう要請したと知り、本当に驚きました。これまでの県の対策については県民も評価してくれており、新たな感染の広がりも今のところ見られなかっただけに、今回の前代未聞の要請に多くの県民が戸惑いを隠せません。
 また、本県でも、入院なさっていた方がお亡くなりになられたことは誠に残念であり、心から御冥福をお祈りいたします。
 そこで、まず知事に、安倍総理の要請を受けて、教育行政をはじめ県行政はどのように対応していくのかをお尋ねいたします。
 今年に入りまして、御縁をいただき、東京でクオリティソフト株式会社の賀詞交歓会に参加いたしました。この会社は、1984年に本県出身の浦聖治社長により創業されたネットワークセキュリティーやサイバーセキュリティーのサービスを提供する会社で、2016年に本社は東京都千代田区から白浜町に移っています。浦社長には初めてお目にかかったのですが、地元愛にあふれ、健康や社会貢献にも造詣の深い、大変ユニークな経営者でありました。
 白浜町のサテライトオフィスは、近年、活況を呈しつつあり、本県の希望の光でありますが、クオリティソフトは本社を白浜に移し、南紀初の上場を目指しているとのことで、このようなすばらしい会社を知らなかった不明を恥じるとともに、大いに励まされることになりました。
 帰りには、浦社長個人から「エーゲ海の輝き」というオリーブオイルと2冊の書籍を頂きました。大体このような会でもらう本は、会社の業務や社長に関わるものであるのが常ですが、ホテルで見て驚きました。何と1冊は中野剛志氏の「奇跡の経済教室 基礎知識編」でありました。
 中野氏については、10数年前に「国力論 経済ナショナリズムの系譜」という著作を読んで感動し、副知事であった原さんに薦めたことを覚えています。当時はほとんど無名の経済産業省の官僚でありましたが、ネーションという視点を欠いた現代経済学の欠点を指摘し、ナショナリズムの積極的な意味を解き明かした労作でした。
 彼が著述家として世に知られるようになったのは「TPP亡国論」を書いてからですが、私は市販された彼の著作はほとんど読んでいますが、西部邁先生や渡部昇一先生が鬼籍に入られた今、間違いなく今後、保守論壇をリードする人材であり、恐らく将来は福田恆存に匹敵する人物になるのではないかとすら思われます。
 実は昨年末、恒例の自民党県議団の東京研修の講師にお招きしたいと思い、世耕事務所にお願いし、経済産業省に掛け合ってもらいましたが、残念ながら当日は出張が入っているとのことで果たせませんでした。いずれけいがいに接してみたいものであります。
 「奇跡の経済教室」には、基礎知識編のほかに戦略編もあり、いずれも大変読みやすい名著で、私も友人、知人たちにこの本を推奨していました。この本は数年前に出版された「富国と強兵」等の学術色の強い著作とは違い、誰にでも分かるように、我が国が陥った平成以来の大デフレの原因と処方箋を説明してくれています。
 この30年、驚異的な成長を遂げた中国は言うに及ばず、アメリカをはじめとする先進各国も韓国や台湾も、日本よりはるかに大きく経済成長しています。というより、独り日本だけが成長から取り残されてきたと言っていいでしょう。いかにバブルの崩壊があったとはいえ、世界最高レベルの人材と技術、資本を持っていた我が国がこれだけ長期にわたり低迷したのは、一種のミステリーであります。
 この30年、我が国の政財界で猛威を振るってきたのは、新自由主義と呼ばれるイデオロギーでした。なぜイデオロギーなのか。それは彼らが、彼らの主張が現実の経済を説明できなくとも、また、彼らの処方箋が功を奏さなくとも、一向に宗旨を変える気配すらないからです。
 彼らのドグマは、「供給は常に需要を生み出す」というセイの法則に基づく一般均衡理論です。もちろん私には経済学の知見などないに等しいですし、彼らの数学的に洗練された学説を読み解く学力もありません。しかし、彼らの学説は、現実の経済現象を説明できていないことは明らかです。
 経済財政諮問会議の議員をされた東京大学名誉教授の吉川洋氏は、我が国を代表するような経済学者ですが、2003年、政府の債務のGDP比率が140%になっていることを踏まえ、「財政は既に危機的状況にあり、できるだけ早い機会に財政の健全化が必要」との緊急提言を発表しました。吉川氏によれば、このままだと政府債務のGDP比率は200%に達するが、この水準は国家財政の事実上の破綻を意味すると言ってよいとのことでした。
 しかし、この緊急提言から15年後の2018年時点の政府債務のGDP比率はおよそ240%になっておりますが、円相場はむしろ円高を警戒するようなありさまであり、長期金利は僅か0.03%で、およそ財政破綻から程遠い状況です。
 にもかかわらず、吉川氏は2018年の「中央公論」で、「インフラ耐震工事約40兆円で南海トラフ地震の場合509兆円の被害を縮小させるという土木学会の発表した推計から、これほど高い効率性を持つ公共事業はほかに存在しない」としながらも、「あれもこれもと、現在国費ベースで年6兆円の公共事業費を拡大することはできない。それでは『国難』としての自然災害を機に、『亡国』の財政破綻に陥ってしまう」と書いています。
 しかし、現実は、財政支出の伸び率と経済成長率には明確な相関関係があります。OECD33か国中、例外はありません。独り我が国だけが、財政支出の伸び率がゼロにして、経済成長率もほぼゼロでありました。
 40兆のインフラ耐震工事という極めて効率性の高い公共事業は、亡国の財政破綻をもたらすどころか、救国の一石二鳥どころか三鳥、四鳥の政策であります。
 帰納的に見れば、財政支出をすればするほど、もちろんインフレの制約はありますが、デフレで苦しむ我が国には、それこそ要らぬ心配でありましょう。経済成長するのは明らかなのです。そして、経済成長すれば、結果として彼らの言うところの財政再建も成るというものです。
 しかし、誤解してはならないのは、財政赤字の大きさは財政危機とは無関係であるということです。プライマリーバランスを黒字化して財政破綻した国はあっても、アルゼンチンやギリシャ等がそうですが、自国通貨建ての国債で財政をファイナンスしている国が破綻したことは、歴史上例がありません。
 現実からの遊離は、保守を標榜する者が厳に戒めるべきことであります。理性を疑う習慣を持つ者にとっては、歴史の風雪をくぐっていない社会学的な法則などから演繹された理論など、現実社会を説明できないのであればこれを放棄することに何のためらいもありません。
 問題は、私のような取るに足らない者はともかくとして、国家の政策に大きな影響力を持つ人たちの思考が新自由主義のイデオロギーに染まるあまりに、現実社会を直視しないことにあります。
 国内総生産(GDP)とは国内総支出のことであり、また、国内総所得のことでもあります。すなわち、誰かの支出は誰かの所得であるのです。したがって、GDPを押し上げるには支出を増やせばよい。そのための政策が打ち出されるべきであり、具体的には、消費税の減税により個人消費を促す、投資減税により企業の投資を促進する、必要な公共事業を行い政府支出を増大さす等が考えられます。しかし、このような政策は財政再建の妨げになるとして、採用されるどころか、消費税に至っては増税までされる始末です。これでは、到底デフレを克服し、力強く国民経済を成長させることはできません。
 昨年の6月に出された財政制度等審議会の令和時代の財政の在り方に関する建議には、「財政健全化に向けた国民の理解の促進が必要」、「財政健全化という難しい航海においては、『セイレーンの誘惑』のエピソードのように、楽観論や奇策などの誘惑に負けない強い意思が必要」、「令和時代を、財政が抱える問題と正面から向き合い、財政健全化をゆるぎなく前に進める時代にしていかねばならない」などと書かれており、我が国が財政危機にあるとの認識がいかに強固なものであるかが分かります。あろうことか、デフレ下の国民に臥薪嘗胆を強いるのですから、景気は悪化することはあってもよくなることはなく、国民は貧しくなるばかりです。何となく「欲しがりません、勝つまでは」をほうふつさせるではありませんか。
 さきの大戦になぜ我々は負けたのか。無論、要因は様々ですが、私とは立場が全く違う「ノモンハン」を書いた五味川純平氏の筆を借りましょう。「先入主に支配されて、同じ過誤を何度でも繰り返す。認識と対応が現実的ではなく、幻想的である。観測と判断が希望的であって、合理的でない。反証が現れてもなかなか容認しない。これらは今日の時点からは、ほとんど理解困難である」。
 同じ理由で、またもや世界経済の競争に劣後しつつあるのが今日の我が国の姿ではありますまいか。私は、これまで蟷螂のおのとは知りつつも、何度も日本は財政危機にはないことを訴えてまいりました。ありもしない危機におびえ、国民は将来への不安から消費をためらい、国は必要な公共投資を控えるというデフレのスパイラルから抜け出す一助になればとの思いからです。
 昨年の6月議会でも、消費税の増税は絶対にすべきではないと主張しましたが、残念ながら、財政健全化を理由に10%に引き上げられました。引き上げても、さほど景気には影響がないとされたのです。先頃10から12月のGDP速報値が発表されましたが、年6.3%減と惨たんたるありさまで、まさに観測と判断が希望的で、同じ過誤を何度も繰り返しており、なぜ増税したのか、もはや理解困難であります。
 けだし、日本が財政危機であるとの先入主を払拭することなくして、我が国が再び力強い成長軌道に乗ることはないと言えましょう。
 時として、1冊の本が大きく世論を動かすことがあります。中野氏の「奇跡の経済教室」を読めば、我が国が財政危機にはないこと、デフレ下では政府の赤字拡大こそが国民を豊かにするということが理解できるでしょう。もちろんこれは楽観論や奇策ではなく、現実の経済現象を、少なくとも新古典経済学、新自由主義よりはよく説明してくれるもので、幻想的ではなく、地に足のついたものです。
 先入主に凝り固まった政策エリートにつける薬はなくとも、誰にでも読みやすいこの本が広く国民の間で読まれるならば、選挙を通じて政治家の振る舞いに影響を与え、ついには財政再建の迷妄から脱するのではないか。幸いにも、エリートの将官はともかく、帝国陸海軍の下士官、兵が世界最高であったごとく、我が国の庶民は間違いなく世界最高なのですから。
 そんな思いから、浦社長はこの本をお配りになったのではないでしょうか。郷里を愛し、国を憂えるすばらしい経営者が和歌山にいらっしゃることは誠にうれしい限りです。
 ちなみに、頂いたもう一冊の本は、榎本憲男さんの「エージェント」という小説で、中野剛志氏をモデルとした経済官僚も登場します。榎本さんもまた白浜の御出身だそうですが、掛け値なしに面白い小説でした。
 さて、昨年、陳情で自民党参議院幹事長の世耕先生のところへお伺いしたところ、「真水で10兆円規模の補正を考えたい。二階幹事長とも歩調を合わせて、参院、衆院で財務省を説得する」旨のお話がありました。二階幹事長はもともと積極財政論者で、言わずと知れた国土強靱化の旗振り役ですが、世耕参院幹事長も積極財政論を展開されたことは、日本にとりましても、また、本県にとりましても、誠に心強く、これが大きなうねりになってくれることを願ってやみません。
 政権の意思は予算案に表れると言えます。知事の意思もまた、上程された予算案に表れているでしょう。
 そこで、知事にお尋ねします。
 県勢発展に向けて、本県の現在の状況をどのように認識しているのか。また、予算編成に当たって、特にどのような点に留意したのか。
 IR事業者選定の公募の準備が進んでいます。私がカジノエンターテインメント──当時はまだIRという言葉はなかったのですが──について質問したのは、平成20年の2月議会でありました。
 その前年、今は文科大臣をお務めになっておられる萩生田先生を団長とする自由民主党青年局は、地方議員と国会議員約100名でマカオを視察いたしました。観光特別委員会カジノ・エンターテイメント検討小委員会の事務局長であった萩生田青年局長は、我々に「既に法案の骨子は出来上がりつつある。あとはパチンコをどうするかだ」と語っていました。異世界に迷い込んだかのようなマカオを巡りながら、半ば夢心地で彼の話を聞いていましたが、それから10数年の歳月を経て、いよいよ日本版IRが現実のものとなろうとしています。
 私の質問に対して、当時、知事はカジノエンターテインメントに関して「本県への誘致にもぜひ前向きに対応していきたいと考えております」と答弁されましたが、一方で、「これはまた、あまり申し上げたくはありませんが、これまでの資源から考えると、ほかのところのほうが有利であるということもまた事実であるかな」などと知事らしい本音も吐露されておりました。
 私も、カジノ誘致に取り組み出した当初は、ほとんど誰にも相手にされないようなありさまでした。「そんなもん和歌山へ来るわけないやろ」、何人の方々にそう言われたか分かりません。地方創生の視点はあったとしても、どう考えても本県が大阪や横浜等の大都市、沖縄や北海道等の観光先進地に伍していけるとは思えない。カジノエンターテインメントは魅力的だが、和歌山での実現性があるとはとても思えないというのが大方の見方であったと思います。
 しかし、戦いはいつも当初有利とされたほうが勝つとは限りません。我々の選挙にしてからがそうですが、外野の予想など30年前の天気予報ほどの信憑性もありません。要は、やってみなければ分からないのです。
 客観的には不利と見られながらも、ともかくも和歌山県はIRという言葉がなかった頃から、こつこつとコミットし続け、研究をおさおさ怠らなかった。加えて、県議会も議決する長期総合計画にIR誘致を記載するという正攻法で堂々と県民に立場を表明し、さらには、知事はさきの選挙において公約の一つにこれを掲げられたところであります。
 また、県は、県民に県の進めようとしているIRの実態を知ってもらおうと説明会を企画し、これまで約70か所で開催してきました。私も何回か参加いたしましたが、IRを単なるばくち場であると思っていた方も大勢おられる中で、説明会の前と後では、IRに対する理解が進んだことにかすかな手応えは感じていました。
 そうして地道に努力は積み重ねてきましたが、事業者の和歌山事務所開設のセレモニーでジャン・レノが和歌山に来たときや、テレビのニュース番組が和歌山を取り上げたときなど、しばらくの間話題となることはあっても、昨年、北海道がIR誘致を断念するまでは、IR誘致への期待も不安も県民の間では大きなうねりとはなりませんでした。私の子供は、今、和歌山大学の1年生で経済学を学んでいますが、教授が授業で「安心してください。和歌山にはカジノはできません」と言っていたそうです。
 下馬評では、まず大阪、横浜、残る地方枠は、実はそんなものはないのですが、北海道で決まりといったものでしたから、北海道が誘致レースから脱落したことは、推進派、反対派双方に大きなインパクトがありました。
 実は私は、同僚議員とともに、高橋前知事の時代に一度、鈴木現知事になってからもう一度北海道庁に行き、苫小牧市役所にも誘致予定地にも足を運びました。苫小牧市にも事業者の立派な事務所は開設されていましたが、苫小牧市と道庁の連携や住民の合意形成が必ずしもうまくいってはいないこと、何よりも環境アセスメントの手続面で到底今回の認定申請には間に合わないことなどから、北海道は次回のエントリーを目指すとの感触を得ていました。ですから、北海道に進出しようとしていた事業者と国会議員の贈収賄事件は、北海道の誘致断念とは、直接には関係していないと確信しています。ネットなどでは、贈収賄事件を引き起こすようなIRの誘致を断念した鈴木知事の決断を称賛する書き込みも見られますが、全く的外れです。単に時間がなかったので断念せざるを得なかったのでしょう。
 IRに否定的な人たちは、それ見たことかと鬼の首でも取ったような言い方をされますが、当然のことながら、贈収賄は何もIRにだけ見られるものではありません。およそ贈収賄は、許認可が絡むあらゆる業界で起こり得るものです。この事件にかこつけて反対派の人たちの行う、IR業界の人たちはいかがわしく遵法精神の乏しい者たちであると思わせようとする印象操作に惑わされてはいけません。もっとも、贈賄側の業者はIR事業者ではなかったわけですが、実際にはIR事業には他の業界以上に厳しい基準や透明性が求められており、アメリカやヨーロッパの基準はとりわけ厳格であり、もし外国で法令違反があれば、本国のライセンスも取り消されると聞いています。
 また、県民の中には、賄賂を送ってまでやりたいとは、よっぽどもうかる仕事なんやなあと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。確かにIR施設全体の3%にだけ認められるカジノ部分はかなりの利益を生み出すでしょうが、その利益でそれほど採算が合わないと考えられるMICE施設や魅力発信施設等を運営していかなければなりませんし、そもそもカジノ収益の3割は国や県に召し上げられることになっているのです。国が求めるハードを整備しようとすれば、最低でも3000億円程度の投資が必要であり、民設民営であるので事業者はそのリスクを丸ごと負わなくてはなりません。ぬれ手に粟というようなおいしいビジネスとは到底言えないものであります。
 大阪や横浜のような大都会はいざ知らず、本県や長崎県のような地方においては、IR事業者は誘致すべきものであり、黙っていても向こうからよだれを垂らしてやってくるようなものではありません。和歌山に造らせてやるというわけにはいかないのです。
 まず、我々は、IR事業者に対して、いかに和歌山が投資先として魅力的であるか、さらには、国において免許が付与される可能性があるかをアピールすることから始めなくてはならなかったのであり、当初から当局の努力を知る私としては、事業者の公募ができる見通しが立ったことに、正直に言ってほっとしています。実施方針案も、よく大阪に遅れることなく作成することができました。彼我の規模の差を考えれば、当局の頑張りには頭が下がります。
 それはともかくとして、北海道の撤退後、反対派の人たちからは、「まさかほんまに来るとは思てへんかったんで、これは本気で反対運動せなあかん」との声が聞こえてきますし、洞が峠を決め込んでいた事業家の方からは「バスに乗り遅れんようにせなあかん」とビジネスチャンスをつかもうとする姿勢が見えるようになりました。ようやく県民の間にIR誘致の現実感が出てきたように感じます。
 もちろん、まだまだ道半ばどころか、3合目といったところでありましょう。これからクリアしていかなければならない課題は山積していますし、肝腎の国の基本方針の公表が遅れていることが気にかかるところであります。
 そこで、知事にお尋ねします。
 報道によれば、来年1月から7月の国への区域整備計画の認定申請期間は変わらないとのことである。申請までの時間的余裕があまりないと考えるが、事業者募集や区域整備計画作成のスケジュールはどのようなものか。
 IR事業者の選定はどのような手順で行われるのか。また、選定に際し、どのような点に重点を置くべきであると考えているのか。
 2015年、政府は、病床数を115万床から119万床と、16万から20万床減らす目標を示しました。増え続ける医療費を抑えるためであろうと思われます。なるほど、現在の我が国のGDP約550兆円のうち約43兆円が医療費であり、介護費と合わせると1割の55兆円にもなります。
 歯止めがかからないことに危機感を募らせたのか、昨年9月に厚生労働省は、公立・公的病院の25%に当たる424病院について「再編統合について特に議論が必要」とし、病院名を公表しました。我が町の病院の名前を見つけた住民の方々はいたく驚き、あの病院がなくなってしまうのではないかと不安を隠せない様子でありました。
 そもそも、病床を減らせばなぜ医療費が減るのでしょうか。普通に考えれば、病気であるから病院に行くのであり、必要であるから入院するのですから、病床を減らせば医療費が減るのは因果が逆のような気がします。しかし、これは実証的に明らかです。人口10万人当たりの病床数と1人当たりの入院医療費との相関係数は実に0.96、見事に比例しています。これは、総医療費でもおよそ同じような傾向にあります。
 病床数が多ければ入院しやすく、医療費がかかっても長生きできればいいのではないかとの意見があるかもしれません。しかし、入院医療費と平均寿命の相関係数は0.2ほどなので、ほぼ無関係と言ってよいでしょう。
 しからば、病床が多い県は高齢者や障害者の介護の部分を医療費で賄っている可能性があるのではないか。したがって、そのような県は、医療費は高くとも介護費は低いのではないかとの疑問はどうでしょう。あに図らんや、低くなるどころか、高齢者1人当たりの医療費の高い県は介護費も高くなる傾向にあります。
 病床数が一番多い県は人口10万人当たり約2500床、少ない県は約800床で3倍もの差があります。病床数日本一の県は高知県で、療養病棟入院基本料は323で、全国平均の3倍以上となっています。
 こうしてみれば、厚生労働省が病床数を減らしたいのも無理はないように思えます。何しろ病床数は健康、寿命にはほとんど関係がなく、しかも、病床数を減らせば医療費は確実に減るのですから。
 そうはいえども、現実に病床数を減らすコンセンサスを得るのはなかなか難しいでしょう。しかし、やむを得ず病床数を減らさざるを得なかった市があります。平成19年に財政破綻した夕張市です。171床あった市立総合病院は、ある日、19床の診療所になりました。
 この診療所に勤務していた医師の森田洋之先生によれば、総合病院閉鎖前後で、夕張市民の死亡総数と死亡率はほとんど変化がありませんでした。それどころか、驚くべきことに夕張市では高齢者1人当たりの医療費を減らせたそうであります。医療費が北海道の他の地区と同じペースで上がっていくと仮定すれば、約10万円医療費が低く済んでいるのです。さらに、救急病院がなくなったことから救急車が病院に到着する時間も2倍に伸びましたが、救急車の出動は半分になり、19床しかない病床も平均5~6床しか埋まりませんでした。
 現場にいた医師として森田先生は、「夕張のじっちゃん、ばっちゃんたちはとっても元気で明るく生きていて、そして、亡くなるときも満足な旅立ちを迎えるじっちゃん、ばっちゃんが多かった」と語っています。必要な医療の量とは一体何なのかを考えさせられる話であります。
 厚生労働省は、「地域ごとに効率的で不足のない医療提供体制を構築する」、「限られた医療資源をそれぞれの地域で真に活用し、次の時代に対応した医療を構築する」としています。要するに、同じようなタイプの病院が同一地域にあるのは病床数の無駄であるから調整せよということなのでしょうが、医療計画、必要病床数は都道府県が定めるもので、県民が厚生労働省の唐突な病院の名指しに慌てたのも無理からぬことであります。
 そこで、知事にお尋ねします。
 病床数は県民の安心感につながっている側面もあることから、この削減はコンセンサスを得るのはなかなか困難であると思慮される。地域医療構想の実現に向けて、どのような手順で進めていくのか。
 厚生労働省が再編統合の検討が必要とした公立・公的病院名を公表したことについては、どのように考えるか。
 IR誘致に否定的な意見の中に、「IRができれば雇用が吸い取られて、ますます人手不足がひどくなる」といった声があります。なるほど、県内どこへ行っても「誰かいい人いてたら紹介してよ」と言われることが多くなりました。もちろん、失業率の低下はアベノミクスの成果の一つであります。
 しかし、建設現場での労働力不足は深刻で、業務に支障を来すレベルです。私も学生の頃、建設現場でアルバイトをしましたが、空手で鍛えて体力には相当自信がありましたが、土木作業のおっちゃんには全く及びませんでした。おっちゃんにおごってもらったUCCの缶コーヒーを飲みながら、こんなしんどいことを毎日やるなんて、何という体力やと、自分にはとてもできないと感じたものです。
 30年前でこれですから、今の若者が現場仕事をいとうのも理解できないわけではありません。今は、機械化も格段に進み、当時とは体力的には状況は違うとはいえ、休みといえば日曜日だけで、あとは雨が降ったら休みというのでは、とても若い人が来るとは思えません。
 土木建設業は裾野の広い仕事で、様々なプロフェッショナルが工程に合わせ作業をしていきます。日本のいわゆる職人は世界に誇る宝であり、我が国のハイレベルな土木建設業を支える要とも言える存在です。隣国の建築物を見ても、我が国のそれとは仕上がりにおいて格段の差があります。
 しかし、近年高齢化が著しく、後継者が育つどころか、そもそもいないような状況が続いています。このままでは、早晩、県も必要な公共事業のための予算の執行に支障を来すのではないかと心配になります。供給力の不足で必要な公共投資ができないとなれば、財政危機の迷妄を払拭できたとしても、伝家の宝刀、財政支出ができなくなってしまいます。財政支出が国民所得の向上に直結することは、先ほど述べたとおりであります。
 改正入管法により、建設業でも事実上の外国人労働者の受入れが可能となりました。ただ、外国人がいなければ自国の国造りができないということになってしまっては元も子もありません。自国の国土の保全を外国人に全面的に依存するようなことになれば、それこそ亡国は必然であります。
 我が国の若者が現場仕事の担い手となり、先輩から技術の継承が行われるよう、早急に労働環境を整備しなければなりません。大規模な災害が頻発する昨今において、すぐにでも取組を始めなければ、国土の荒廃は避けられません。現代の若者気質を嘆いていても何も始まらないのです。
 現在進められている働き方改革は、よい契機になるのではないかと考えます。先日、生コン業界の方々から相談がありました。御多分に漏れず、生コン業界でも深刻な人手不足に悩まされているようで、その原因の一つを不規則な休日にあると分析しているそうです。まずは業界で、土曜日、日曜日の完全週休2日制の実施に向けてかじを切るとのことでありました。誠に時宜を得た取組だと評価したいと存じますが、実施に当たって懸念されることが若干あるようです。
 一つは、建設業業界との調整の問題です。多くの場合、生コンは建設業者から発注されるので、建設業者の工期の都合に合わせる必要があります。言わば下請的存在の生コン業者が建設業協会に休日の申入れをするのは、いささかハードルが高いということであります。
 もう一つは、従業員の休日を増やすことは時間当たりの賃金の上昇を意味することから、生コンの買手である建設業者も働き方改革に取り組みながら適切な利益を確保することが、生コン業界の働き方改革にとって必要不可欠であると考えられることです。県内の生コン需要の多くは官需であることから、県内建設業者が受注する公共事業の積算がこの点を酌み取ってくれるのかが気にかかるところであります。
 そこで、県土整備部長にお尋ねします。
 生コン業界の方々が、働き方改革の視点から休日改革に取り組もうとする試みについてどう思うか。
 県は、発注工事の積算において、働き方改革の視点からの見直しをしてはどうか。
 以上、お尋ねして質問といたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの尾﨑太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) ただいま尾﨑議員から御質問のありました、全体で5問のうち初めの4問について、私から答えさせていただきます。
 まず、コロナ関係でございます。
 まず、全国的に新型コロナウイルス感染で苦しまれている多くの方々に対しまして、一刻も早い回復を切に願います。また、感染が原因でお亡くなりになられた方もいらっしゃいますが、先日、本県において、医療機関に入院されていた70歳代の方がお亡くなりになられたことは痛切の極みでございまして、心から御冥福をお祈りするとともに、御遺族の方々にお悔やみを申し上げます。
 これまで済生会有田病院を発端とした感染の拡大を防ぐため、県として徹底的に調査をするとともに、その情報はできる限り公開し、県民の皆さんに安心していただくよう努めてまいりました。
 また、これらの病院関係者や災害派遣医療チームの隊員を除き、現時点において陽性が判明した方は1名のみでありまして、それ以外の方々は全て陰性であったために、県内において感染の拡大やその兆候は見られず、学校の休校やイベントの中止等の措置や要請は行いませんでした。
 済生会有田病院の関係者に加えまして、県内一元的に肺炎になっている方で、これはどうかと思うような方は積極的に言ってきてくださいということで、徹底的に調べました結果を申し上げましたが、ほとんど、1名を除いて全員陰性であったということで、これはあまり広がっていないなという確信に、現在のところですが、至っているところであります。
 しかしながら、政府による今回の全国一律の要請は、今が全国的に言うと、まさに感染の流行を早急に、早期に終息させるために極めて重要な時期であると位置づけて、感染リスクにあらかじめ備える観点から実施されたものであるというふうに認識しております。
 そこで本県としても、一応の収束を見ている当県と違い、感染が広がっているところもあり、いつ何どきそれが持ち込まれるか分からないというリスクはありますから、政府の要請におおむね従う形で対応方針を決定したところでございます。
 本件の対応方針は大きく5点ございます。
 1点目は、学校の休校等の措置でございます。
 政府の方針に従い、春休みまで県立学校を休校とし、市町村教育委員会及び私立学校に対しても県の考え方を伝えて、同様の措置を要請いたしました。小中高、特別支援学校に関してでございます。また、高校の入学試験は、十分な感染予防の措置を講じた上で、予定どおり実施するということを発表いたしました。
 2点目は、休校に伴う子供や保護者への配慮であります。
 今回の休校で問題となりますのは、子供さんたちの気持ちがもちろんでございますけれども、働いている保護者が家庭で子供の面倒を見るために仕事を辞めざるを得なくなるおそれがあるということであります。これに対する配慮が、総理から要請がありましたあの時点では十分でないと、県としては思いましたので、そのような状況を阻止するため、春休みまでを想定いたしまして、小学校において児童を預かることにしようということにいたしました。
 3点目は、イベント等の開催に係る適切な判断でございます。
 県主催のイベント等につきましては、多数の方が集まるものは中止とし、イベント等の内容に応じて適切に判断をしていく所存であります。
 4点目は、県内経済への影響の把握と事業者等への支援であります。
 県内の所管部局がそれぞれの産業分野への影響を調査し、的確にその状況を把握するとともに、既に設置している各種相談窓口を十分に活用していただくように、事業者等に周知をしていく所存であります。
 5点目は、感染の拡大防止であります。
 よく行われております報道によれば、政府は重症患者の手当てを重点的に行うために、発熱等の症状がある人でも当面自宅待機をしてもらい、37.5度以上の熱が4日間続けば病院に相談することにしておるというふうに言われておりますが、また政府もそれを否定する動きを示していないようでございますが、本県はその見解に従わないということにいたしました。
 その理由といたしまして、この政府の見解は、25日の基本方針では、不幸にも感染が拡大した後の対応として講ずべきことというふうに位置づけられておりまして、現段階におきましては、感染の拡大を食い止める時期だし、安倍総理の要請は、だからこそ行われたものであるというふうに理解されるわけであります。したがって、現在は拡大を食い止める措置を行うべきだというふうに考えます。
 また、皆さん心配でございますので、医師に診てもらいたいだろうと思いますし、通常のクリニックがパンクしている状況では全くございません。そのため、本県としては、感染者を早期に発見をするというためには、症状がある場合はクリニックにいつもどおり行ってもらっても結構であると。37.5度以上の熱が4日間続くような、これはちょっとおかしいという場合には、レントゲンまたはCTで肺炎の有無を確認していただいて、明らかに肺炎が認められる場合には、これはそれ自体として大問題でございますが、PCR検査を行う方針としております。
 そうすれば、取りあえずはPCR検査がパンクするというような、一般に恐れられてることはございませんし、そして、陽性となった人には、早速隔離をしていただいて治療を行って、その方の濃厚接触者とか立ち寄り先などを徹底的に調べて、必要な場合にはさらにPCR検査をしていけば、感染を抑え込める可能性が高いというふうに思ってるわけでございます。
 私といたしましては、今後の国内及び県内の感染状況や政府の方針等に従い、県の対応方針も柔軟に運用して、今議会の冒頭に申し上げましたとおり、感染の拡大防止と早期の収束、そして、県内事業者への支援を2本柱として、まずは県当局と議会が車の両輪として一体となって進めるとともに、国や市町村など関係機関と一丸となって取り組み、この難局を乗り切る所存であります。
 次に、令和2年度の当初予算案でございます。
 これまでの和歌山県を見詰め直しますと、40年以上にわたり本県の産業構造の転換が進まず、また、高速道路をはじめとするインフラ整備が全国より遅れたことにより、地域経済の成長や企業の誘致など、県勢発展につながる多くのチャンスを失ってまいりました。
 このような状況を解消し、持続可能で元気な和歌山県を実現するため、和歌山県長期総合計画に掲げる施策体系に従い、道路ネットワークの整備や産業振興策の充実など、様々な政策を講じてきたところであり、昨年は紀伊半島一周高速道路の全線区間事業化や小型ロケット発射場誘致の実現、ミカンの産出額が4年連続で日本一になるなど、和歌山が再び発展するための礎が一つずつ積み重なってまいりました。
 これからも緩むことなく、人口減少対策や防災・減災、国土強靱化対策などを着実に進めるとともに、将来を見据え、成長分野であるICTや宇宙産業の誘致、集積、IRの誘致に果敢にチャレンジしていかなければならないと思います。
 一方で、社会情勢が変化する中、労働力不足やプラスチックごみによる海洋汚染など、新しい問題に適切に対応していくため、時宜に応じて実施する政策を見直していく必要があります。
 そこで、来年度においては、子供を安心して育てる環境を充実する、働き手を確保する、新産業の創出・先端技術導入を加速する、いのちとくらしを守る、地域の魅力を高めるといった五つの視点を重点事項として、新しい和歌山を創る、時代に応じた新政策を展開していく所存であります。
 このような新政策を盛り込んだ令和2年度当初予算は、防災・減災、国土強靱化対策の推進等のため、投資的経費を増額したことなどにより、過去10年間で最大の5905億円といたしました。
 一方、事業の見直しや一般財源の前年度を上回る確保、国の財政措置が手厚い有利な財源の活用等に努めることで、財政調整基金の取崩しを行うことなく収支不足額を解消し、財政調整基金及び県債管理基金の残高についても、中期行財政経営プランの想定を上回る210億円を確保したところであります。
 このように、令和2年度当初予算は、必要な施策の展開と財政の健全性を両立させた予算に仕上がったものと考えております。
 続きまして、IR誘致でございます。
 議員御指摘のとおり、区域認定の申請期間が決まっている一方で基本方針の決定が遅れており、その公表を待っていると、今後の事業者公募や区域整備計画の作成等に要する時間が取れないということになります。
 国においては、基本方針の公表前に都道府県等が実施方針を策定し、事業者公募を開始することを認めており、その場合は基本方針が公表された後に、進めている作業の内容が仮に基本方針に即したものであるかどうか、ないことはないかどうか、そういうことを確認し、必要に応じて補正するように求めております。
 このようなことから、県では、基本方針の公表前ではあるが、先般、実施方針案を和歌山市及び県公安委員会に送付し、現在、法定協議を行っているところであります。
 議員御質問のスケジュールにつきましては、本年春頃に募集要項等を公表して事業者の公募に入り、本年秋頃には事業者を選定する予定としております。
 その後、選定した事業者と共同して区域整備計画を作成し、和歌山市の同意や県議会の議決などの法定手続を経て、認定申請期間である来年1月から7月までの間に区域認定の申請を行うように考えております。
 申請後のスケジュールは国からは示されておりませんけれども、来年秋から冬頃には結果が出るんじゃないかというふうに想定をしております。
 続きまして、IRのうちの事業者の選定についてでございます。
 事業選定の手順については、募集要項公表後に、まず、その応募者が十分な社会的信用を有する者であることや、和歌山IRを健全に遂行するに足りる財産的基礎を有する者であることなどの観点から参加資格審査を行います。その後、審査を通過した者から提案された事業計画等について、和歌山県特定複合観光施設設置運営事業者選定委員会の審査を経て、提案審査参加者の順位を決定し、和歌山市及び県公安委員会との協議を経て、本年秋頃に私がIR事業者を選定するつもりであります。
 選定においては、国際競争力の高い魅力のある滞在型観光の実現や、経済的、社会的効果など、国に基本方針案で示されている評価基準の内容を基に、和歌山県の将来の発展に最も貢献する事業計画を提出した事業者を選定する所存であります。
 次に、地域医療構想関係でございます。
 団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、国は地域において医療と介護のサービスを一体的に提供できる体制を整備するため、平成26年、医療介護総合確保推進法を制定いたしました。
 また、この法律のもう一つの狙いは、医療費の膨張を抑えることでございます。そのため、国は、医療費と相関関係のある病床数を減らそうと、都道府県に対して2025年に必要な病床数を示し、その数になるように求めています。
 そこで都道府県は、地域医療構想を策定し、過剰となる病床数を減らすよう調整しているところであります。しかし、これは単なる病床数を削減する取組でなくて、医療サービスの質も保ちながら、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の病床を人口構造の変化に対応した数に再編するとともに、同時に在宅医療を充実させることで、患者が自宅や介護施設など、住み慣れた地域で安心して暮らせる地域包括ケアシステムを構築するための取組でもございます。
 本県では、医療圏ごとに全ての病院と地元の医師会、市町村などの関係者で構成する地域医療構想調整会議を設置し、話合いをしておりますが、地域医療構想の実現には、県民の皆様にも正しい医療の関わり方、例えば軽傷であるにもかかわらず大きな病院を受診したり、必要以上に複数の医療機関を受診する、いわゆるドクターショッピングなどを自粛することや、ふだんから何でも相談できるかかりつけ医を持つことの大切さなどを理解していただくことも必要でございます。
 こうしたことの理解や協力を得るために、広報、啓発にも努めていく所存であります。
 昨年9月、厚生労働省は、診療実績が少ない公立・公的病院を名指しして、再編統合に向けた検討を行うように求めました。その背景には、恐らく、推測でありますが、2025年まであまり時間がない中で、病床が過剰なものになっているということから、削減のスピードアップを狙ってこのような対応を取ったものだと私は推測しております。まあその気持ちも分からんではないわけであります。
 しかしながら、こうした公表に際しては、対象となる病院や関係自治体、県に対して事前に普通は説明をするものであります。そういった説明がないまま唐突に発表したため、県民が驚く事態となったところであります。
 病院経営に決定権がない国が、あれやこれや言うのは筋違いでございますし、結果的に病院関係者や自治体の長、あるいは住民の不安を招くことになったのは遺憾なことだと私は思います。
 病院が再編や統合など、どのように運営していくかというのは、法律では定めはありませんし、決めるのは国ではなく、また県でもなく、設置者やそれを支える住民、市町村が考えることであります。ベッド数の削減で赤字になることが予想されたときには、そのマイナスと住民の方々の意向を比較考量して、設置者がどうしようかということを決めなきゃいけないということになるわけであります。
 県としては、地域医療構想調整会議において、法の定めにより、病院の再編や統合ではなくてベッド数の削減は、これはやらなきゃいけないということでございますので、引き続き各医療機関が担う役割について丁寧に議論を行い、合意形成を図りながら、県民が住み慣れた地域で安心して適切な医療が受けられる体制づくりを目指していきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 公共事業における働き方改革について、生コンクリート業界の休日改革の取組と県発注工事の積算の見直しに関する二つの御質問をいただきました。
 まず、生コンクリートは、社会資本の整備や公共施設の適切な維持管理を行う上で必要不可欠な建設資材の一つでありますことから、将来にわたり、その品質や安定供給の確保が必要であると考えています。
 平成31年4月に改正労働基準法が施行され、県内生コンクリート製造業に関しては中小企業に該当するため、1年間の猶予を経て本年4月から罰則付時間外労働の上限規制が適用されることになります。
 一方、生コンクリートの供給先であります建設業にも、他の産業と同様に罰則付時間外労働の上限規制が適用されますが、その猶予期間は5年間となっており、令和6年4月から適用されることになります。
 今回、県内生コンクリート製造業の多くの事業者が完全週休2日に取り組むことは、本年4月から罰則付時間外労働の上限規制が適用されること、また、議員の御意見にもありましたように、労働環境改善による担い手の確保という観点からも有意義であると考えています。
 このような公共工事に関わる方々の働き方改革の取組は、建設業界と生コンクリート製造業をはじめとする建設関連業界がお互いに連携を図ることで、より促進するものと考えます。
 次に、積算の見直しに関しまして、県発注工事における働き方改革の取組として、昨年、平成31年1月から、受注者希望型による週休2日工事を導入しており、対象工事において受注者が週休2日を希望する場合は工期を延長するとともに、達成状況に応じた経費の計上を行っています。
 また、働き方改革の推進には建設現場における生産性の向上が不可欠であることから、ICT建設機械を使用する工事の普及にも取り組んでおり、国と同様の基準で必要となる経費を積算に反映しています。
 今後も、国の基準を参考に、働き方改革推進のための取組として実施している週休2日工事やICT活用工事において、国の積算基準の見直しを踏まえて、県の積算も迅速に見直してまいります。
 また、特に県内の小規模な建設事業者の方々が働き方改革に取り組むためにも適切な積算が重要と考えており、小規模な機械を用いた土工等、施工実態が反映されていない工種もあることから、現場の実態に合った適切な積算となるよう、必要な見直しを行ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 再質問を許します。
 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
〇尾﨑太郎君 答弁ありがとうございます。
 最近、非常にコロナウイルスの対策に対して知事の評価も高いわけでありますが、これには、情報を隠すことなくオープンにして、県民と一緒に考えていく姿勢を知事が示されたことが大きかったのかなあと思っています。この手法は、全ての県政の在り方についてこうあってほしいと思っております。今お話しになった病院の再編の問題、これは県民が非常に不安に思っているところですから、この決定にプロセスもこのように透明化して、県民とともに考えていく姿勢を堅持していただきたいと思います。要望しておきます。
 それから、IRの事業者の決定につきましては、知事がお決めになるということで答弁がありました。ぜひ、私のほうからは、やっぱり和歌山IRということで、地元が一緒につくったIRということにぜひしていきたい。そういう観点からも、地元の事業者や地元県産品の調達や地元の雇用、こういったところに配慮する事業者をぜひお選びいただきたいなあと思って、そのための選定基準なんかも考えていただければと思っております。
 それから、働き方改革でありますが、私、質問の前段で申し上げましたけれども、これは今、未曽有の天候の異変によって様々な災害がこの日本国中に起こっておりますが、一面から申しますと、国土強靱化に対して必要な予算をつけていくという国民のコンセンサスが得られやすい状況にもあるわけですね。だけれども、それを供給する担い手が本県にいないということになると、これは大変なことでありますから、若い人たちがこぞって建設業に参入してくれるような、そういう労働環境をできるように、積算の見直しを含めてしっかり取り組んでいただきますよう要望して、質問を終わります。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、尾﨑太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 24番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
〇中 拓哉君 皆さん、こんにちは。
 「なかなか頑張る中拓哉」、本会議34回目の登壇でございます。世の中の不幸をなくすため、もっと働き、さらにやり抜く、そのための一般質問でございます。
 議長のお許しをいただきましたので、順次質問させてもらいます。知事はじめ関係部長には、県民の幸せに資する真摯な答弁をお願い申し上げます。
 まず初めに、仁坂知事の政治姿勢として、現下の新型コロナウイルス感染症、WHOのほうではCOVID-19ですか、コロナウイルスの2019年版ということで、その対策についてお尋ねいたします。
 旧臘、中国は武漢で発生しました新種の肺炎が瞬く間に世界に広がり、WHOが警戒を呼びかけております。昨年夏、私も対話湖北という事業で和歌山県日中の会長として武漢を訪問しまして、向こうの議員さんと議論もしたし、企業の方の御案内でフジクラ電線、日本の会社ですね、向こうで造ってる光ファイバーの工場なんかも見学させてもらいました。また、武漢の大きな川で立派な夜景も見せてもらいまして、そういうきれいなとこやなあという印象を持っておりましただけに、今回の事態で、あのとき通訳してくれた方、あるいは一緒に議論した方、元気かなあと、そんなことも思いながらの今回の事態の推移で心配しております。
 日本では、奈良の男性の感染を第1号に、今や日に日に感染が拡大しております。本県におきましても、湯浅保健所管内で感染事例が発生し、大騒ぎとなりました。残念ながら70代の男性の方がお亡くなりということで、私からも弔意を表したいと思います。
 また一方、本県の健康推進課感染症対策班の初動の対策が功を奏しまして、クラスター的な感染はほかに広まることなく、判明元となりました済生会有田病院も通常の診察にようやく復帰できるとのことであります。
 時々刻々と変わりゆく事態を仁坂知事や野?健康局長が毎日のように記者会見で発表することで、揣摩臆測を呼ぶこともなく、県民も冷静に受け止めることができました。連日の会見で、県民の方々からは「仁坂さん、ようやってるなあ」、そういう高い評価を私も聞いてうれしく思いました。改めて、知事はじめ関係者の御尽力におねぎらいと敬意を表します。
 一方、世界に目をやれば、感染はますます広がりを見せ、日本においてもとてもやみそうにありません。専門家の知見を踏まえ、安倍首相からは、不要不急の外出の自粛とともに、4月初旬の春休み明けまでの学校の休業を要請する事態と相なりました。また、これらを受けて、本県でも各種行事の中止とともに県立学校の休業を決めました。これら県の対応に倣って、市町村におきましても同様の措置が順次取られております。
 大規模な感染リスクにあらかじめ備えるための政府からの要請でございます。県民の安心・安全を保障する上からも、我々議会も県当局と一体となって取り組む必要があります。世界的にもパンデミックが懸念される非常事態、国難とも言える今日の事態を前にして、先般来、安倍首相の記者会見でのお伝えの模様やら、そういったことに対する知事さんの受け止め、印象と、政府の要請に対して、先ほど尾﨑議員の質問にも御答弁ありましたけども、重複を避けて、本県の取り得る仁坂さんらしい特色のある対策をお答え願いたいと思います。
 例えば、九度山の町長さんはちゃんとというか、学校をやるんだと、行事もやるんだと、こういうことでございましたですし、また先ほどの、国は37.5度4日以上で初めて来いみたいなことを言うてるけども、知事は、いや、そうじゃなしに、風邪の症状あったらどんどん行ってもらって肺炎の検査をして、それでPCRをせえと、こういうことですね。その点は和歌山県の取組としてうれしく思います。
 また一方、和歌山県の開業医ではそんなことはないと思いますけども、電話をして行こうとすると「もううち来んといてくれ」と、「保健所に聞いてから行ってくれ」と、こういうふうなことをおっしゃる開業医もいらっしゃるように聞きます。PCRの体制も保険もこれから利いてどんどん進んでいくんだと思いますし、和歌山県の衛生研究所の一生懸命検査も、やっぱりキャパの限界もあり、大阪でお手伝いしてもらってあんだけはかどったというようなこともあって、いろいろトータルで見なければならない点いっぱいあるので、一概には言えないと思いますけども、和歌山県独自の対策についてお答え願うことを最初の質問といたします。どうぞよろしくお願いします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 今回の政府の要請は、今がまさに感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期であるというふうに位置づけて、感染リスクにあらかじめ備える観点から実施されたものである、国としては、広範な領域のことを大局的に考えた上での判断であると思っております。
 2月29日の安倍総理の記者会見を見ても、私としては大変真摯な態度であると思えたし、決意が並々ならぬもんやなあというふうに私には伝わりました。
 当県では、2月13日以来、他県とは恐らく比べ物にならないほどの危機感と努力をいたしまして、取りあえず感染症の拡大を抑え込んだような状況にございます。明日からは済生会有田病院が元の機能を回復する予定であるというところまで来ております。しかしながら、他県ではこの間、逆に感染が拡大をし、いつ何どき、またその影響が、今度は和歌山県に及ばないとも限らないわけであります。そんなことも考えて、かつ、総理の並々ならぬ決意を尊重するということを思うと、おおむねその要請に沿う形で県の方針を決定すべきだというふうに思いまして、そのように発表をさせていただきました。ただ、県民の生活を守る観点から、県の実情に合った施策も講じております。
 まずは、学校の休校措置に対してでございますが、当面解決すべき問題は、小さな子供を独りにしてはいけないということであります。しかしながら、そのために保護者が仕事を休まざるを得なくなると、県民の生活や経済に大きな影響を与えることになります。例えば、病院に勤務する医師や看護師が勤務できなくなるケースが多く発生いたしますと、感染症対策のために堅持すべき医療提供体制にも影響が及んでしまいます。それ以外の職種の方々もみんなそれぞれ事情があって、大変な困難を抱えるということになると思います。
 このようなこと、今申し上げましたように、様々な業種で起こり得るために、小学校の全学年、中学校、高校は別ですが、小学校につきましては、学校が児童を預かるように各市町村教育委員会に要請したところであります。これにつきましては、県立高校はこちらの決定でございますが、市町村の小中学校、それから私立学校、これについてはそれぞれ御決定いただかないといけないということになりまして、私どもの要請に対して、ほとんどのところは休校しましょう、そして預かりましょうというふうに言ってくれています。
 九度山町については、これは休校しないというふうに決定をされたというふうに聞いておるんですが、これは多分、先ほど申し上げましたような、学校が預かってくれないとマイナスが大きいというところをより大きく評価されたんじゃないか、そんなふうに思います。
 これは大変難しい問題でして、感染症の影響を皆無にしようと思ったら、それこそ預かりもしてはいけないわけですが、先ほども申し上げましたように、我が県では、今のところ感染症が広がってる状況でないので、全国に倣ってあらかじめ学校は休校にするけれども、どうしても困る人は預かっても大丈夫だろうというふうに思ったので、預かりをお願いしたということであります。九度山のやり方については、それは同じような考え方で、ちょっと重点の置き方が違うというふうに思いまして、別に私はそれでもいいんじゃないかというふうに思っております。
 ただ、保育園とか幼稚園とかと整合性が取れないからおかしいと言っておられるのは、ちょっと違うんじゃないかなというふうに思います。というのは、あれは私の推測も含めて申し上げますと、やっぱりこの措置に対するマイナスと、それから幼稚園、保育園の実態ということを考えて、わざと外したんじゃないかというふうに思うんです。というのは、あちらは、保育園などは、それこそあれを休んでしまいますと、全く働けない人ばかりになります。幼稚園もそれにやや近い。それから、監視の目、例えば子供さんが熱が出てないかどうかとか、そういうことについては、むしろ小学校や中学校や高校よりもはるかに先生方がそれを主眼にして見ているわけでございます。したがって、そこまでやらんでもいいだろうという現実感覚であの総理の要請があったんじゃないかと思っておりますので、一気通貫じゃないからおかしいというのはちょっと違うかなというふうに思っているわけでございます。
 次に、感染の拡大防止については、今回の政府の要請には具体的に触れられておりませんけれども、報道によると政府の見解は、これは「報道によると」というのは、何かややこしいんですけども、誰か責任者が出てきて言ったわけじゃないんですが、報道で「このように言われています」と言って報道され、かつ、専門家と称する人が「そうですね」と言って解説をし、そして、違うんならば、政府は「それは違うよ」と言って、和歌山県も時々違う報道をされますので抗議をしますが、そういう形跡が全く見られないので、多分それでもいいかなと思っておられるという前提でございますが、そういう前提での政府の見解は、重症患者の手当てを重点的に行うため、風邪症状が軽度の方は自宅での安静、療養を原則として、37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合には相談をしてくれということになってるようでございます。
 政府は、先ほど学校の休校というお話がありましたように、安倍総理の強力なイニシアチブで感染の、今は拡大防止に懸命に取り組もうとしているわけでございます。
 和歌山県も、度重ねて言っておりますように、それから政府の2月25日の基本方針で書かれているように、もう感染が広がってしまったら、それは、先ほど申し上げましたような方針でやるしかないという事態に我々は至るんですが、それでも重症の患者だけは救わなきゃいけないということになるんですが、今はまだ感染の拡大を防止するということにひっちゃきになってるときでございますので、どうも何か変だなあと、理屈に合わないなあということで、本県としては、それは従うことはできませんと。誤ったメッセージが皆さんに及んでもいかんなあということで、それはそのように申し上げた次第です。
 大体、こんなに国民が心配しているときに、風邪を引いてもクリニックなど医師にかかるなということは人情に背くわけでございますし、一方、多くの人は不安でございましょうから、コロナでないかどうかを確認するためにPCR検査をしてくださいというふうに思われるだろうと思うんですが、しかしながら、現実といたしまして、そういう全ての人を対象にPCR検査を実施することは、現実のキャパシティーではできません。政府もそれはよく分かっておられると思いますし、和歌山県でもできません。
 そこで本県では、風邪を引いて診療所を受診しても症状が改善しないときは、肺炎を疑ってレントゲンやCT検査を行って、その結果、肺炎患者であればPCR検査を実施することを医師の方々にお勧めをしているわけでございます。この方法ならば、検査対象者数も限られるわけでございますし、また、自宅待機してるうちに重症化してしまうことも妨げられると考えております。
 今までの、まあ和歌山県で見ております数少ない症例でございますが、多分世の中ではもっと分かってると思いますけれども、かなり多くの方々で、陽性の方では肺炎を発症してるわけでございます。したがって、これが一つのメルクマールになるし、そして、重症化する人の重症化の症状というのは、肺炎が悪化して命が危なくなるということでございますので、肺炎のところに着目しておけば、仮になっていても早く治るだろうし、発見も早いんじゃないか、そんなふうに思ったわけであります。
 このようなことから、県としては、今後世界的なパンデミックや国内における感染の大幅な拡大、もうちょっと感染を止めることはちょっと無理だというような手のつけられない状況になった場合には、対応方針も、何度も言っておりますように柔軟に運用することにいたしまして、今議会の冒頭に申し上げたとおり、感染の拡大防止と早期の収束、県内事業者への支援、これを変わらぬ2本柱として、まずは県当局と議会が車の両輪として一体となって進めるとともに、国や市町村など関係機関と一丸となって取り組むことによって全員の力を結集し、この難局を乗り切りたいと考えている所存でございます。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 ありがとうございます。
 やっぱり県民の命を守るという最前線で、議会も当局も一緒に頑張りたいと思います。
 帯広でしたかね、「患者、子供さん休め」と言うたら、子供休まれたら家で見やんなんから、看護師さんが仕事行けない、そしたら病院が回らない。指定で受け入れなあかん立派な病院やのに、そんなこと起こるというのは本当につらいことやと思います。
 また、いろんなニュース見てても、皆さん、私らもそうですけど、素人ながらいろいろ思いますが、「助けに行くぞ、診に行くぞ」と言ったとある病院のお医者さんが「行く」と言ったら、そこの従業員の看護師さんが辞めてしまった、こんなこともあるようでございますんで、誤解のないというか、あんまりそんなことにならないような形で進めたいと思いますし、私自身、自戒してるのは、いろんな方策が報道されるたびに、自分がもしかかってたらしたらあかんことは、当然もう休まなあかんし、うろうろしたらあかんし、のんきなこと言ったらあかん、自分を治すことがまず第一やと、こういうことになると思いますんで、そういう基準で見てもうたら、いろんな喧騒といいましょうか、心配も皆納得してくれるんじゃないかな、そんなことを思っております。何とか乗り切りたいと思います。
 次に、2月議会の主題でありますこの当初予算、ここでも掲げている串本での民間ロケット発射場周辺地域活性化の新規事業に関連してお尋ねします。
 スペースワン社が串本で進める事業は、衛星関連事業の集積、高度な技術を持つ優秀な人材、最先端の宇宙ビジネスの世界的な拠点を形成していくものと私も期待しております。広域的な取組として、発射場周辺地域活性化協議会も発足し、シンポジウムもどうやら盛会で行われたとお聞きしました。この議場でも、藤本議員や片桐議員への答弁でも夢のある答弁の内容でございましたし、ロケット発射場の名称も「スペースポート紀伊」と決まり、この「紀伊」には紀州の紀伊と鍵のkey、鍵をかけていると、そんなお話も聞きました。
 その後、観光面の施設整備や交通渋滞の解消など、懸案を解消していくとお述べになっていますので、今度の令和2年、新年度でのお取組をお示し願いますとともに、私なりに調べましたところ、ロケットがエンジンを噴射して地上を離れる瞬間、まさにリフトオフの場面を見ることができないということが判明しました。廃校を活用して見学場にするとおっしゃいますけども、目の前の山のかなたから見える発射数秒後のロケットの姿であり、地面に火を噴く雄姿は見られません。迫力半減、「めでたさも 中くらいなり おらが春」です。せっかく見に来たのに不満が残ります。発射時の爆風や爆音とともに、リフトオフの燃え立つ炎、白煙をこの肉眼で見ることができる、そういう施設の整備を求めますので、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。
  〔稲本英介君、登壇〕
〇商工観光労働部長(稲本英介君) 2021年度中に予定されている初回のロケット打ち上げの際には、多くの見物客にお越しいただき、世界遺産である熊野三山や熊野古道、温泉、美しい自然といった紀南地方の観光資源とうまく組み合わせてPRすることが観光面では重要だと考えております。
 そのためには、まずは見学場の整備や想定される交通渋滞への対策についても併せて検討する必要があることから、昨年10月に串本町や那智勝浦町、商工団体、交通関係の機関等から構成する協議会を設立し、議論を進めているところでございます。
 交通対策の検討については、実際の道路事情や各種交通手段の現状を正確に把握し、うまく組み合わせたプランニングが必要であることから、各機関の現場の担当者による検討も不可欠であり、担当レベルの交通部会を立ち上げ、詳細の検討を進めてございます。
 ロケットの見学ポイントについては、周辺地域の安全を確保する観点から、あまり近い距離に立ち入ることができず、また、射点予定地が100メートル級の山々に囲まれる谷地に立地することから、ロケットがリフトオフする瞬間を周辺地から直接目視することは、残念ながら困難であると考えております。
 そのため、見学場にはリフトオフの瞬間を投影するスクリーンや音響設備を配置することに加え、その瞬間の映像、音声を遅延なくタイムリーに届けるための最新の情報通信技術を活用した仕掛けを施すことで、来場者に満足していただくことが必要と考えております。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君  「ファイブ、フォー、スリー、ツー、ワン、サンダーバード、ゴー」、私が子供の頃に憧れて、見ていたドラマでございます。稲本さんも見てたんじゃないですかね。ちょっと僕より下やったらあれですけど、知事さんなんかも見たと思います。そのように夢のあることなんですね。あのときも国際救助隊のことをIRと言うてましたですし、陸の孤島でトレーシー家族が宇宙へ行って私たちを守ってくれる、非常にいい番組だったと思います。
 そんなことで宇宙に憧れて関心持った子供もおると思いますし、今回こういうことで、非常にいいところですから、100メーターは難しいとか言わんと、海からでもいいですから、何とか生の目で見て、生の目で爆風感じて、生の目で白煙見るような、噴射を見るようなことを何とか考えてほしいなと思いまして質問した次第でございます。
 それで次に、この串本がそんなことで発展していくことはうれしいことなんで、続いてお聞きします。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センターには、宇宙科学技術館があります。また、北海道の広尾郡大樹町でインターステラテクノロジズ社の発射場では、ホリエモンなんかも応援して、地域の住民こぞって応援しております。
 串本には「海難1890」エルトゥールル号のトルコ記念館や、ケンドリック司令官のレイディ・ワシントン号寄港の日米修好記念館があり、昨年夏には南紀熊野ジオパークセンターも開業しました。
 昨年11月に、私、片桐議員と一緒に、三沢空港の青森県立三沢航空科学館を見学してまいりました。そこには軍用機や航空機の展示とともに、操縦を体験できるシミュレーションの機材も用意され、チャレンジしてみました。飛行機の操縦はそれなりにできましたが、ヘリコプターの操縦はとても難しかったもので、私には貴重な経験でした。
 南紀ジオパークでは、数万年前からの紀伊半島の成り立ちや地学を学び、日米修好記念館やトルコ記念館では、先達の進取の気概に触れ、この田原地区のロケット発射場では宇宙に触れる、まさにロケット発射時のあの激しい飛行士が受ける重力であるとか、あるいは大気圏外へ行ったときの無重力であるとか、そういったことを体験することができるような施設、そこでそういうことに触れた子供たちが将来の宇宙博士あるいは宇宙飛行士を目指す、そういうきっかけになっていくような、そのような施設整備がこの際重要かと考えますので、知事の意気込みをお述べいただけたらと思います。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 和歌山に宇宙・ロケットに関連する産業が集まり、育っていくようなまちづくりをしていくため、串本、和歌山といえばロケット、宇宙と思ってもらえるような情報発信をしていくことは重要でございます。
 議員御提案の施設整備については、大変魅惑的発想であります。貧しい和歌山県も乾坤一擲、やるかという誘惑に駆られるんでございますが、宇宙・ロケットの分野は、ジオパークといった自然環境の分野などとは異なり、日進月歩で技術開発がどんどん、どんどん進んでいく分野でありまして、ただ単に施設を整備したとしても、多額の予算を投じて高い頻度でリニューアルをしていかなければ、展示内容があっという間に古くなってしまうということが想定されるために、当県の体力を考えると、ちょっと困難かなあというふうに思います。
 啓発という観点からは、世界での技術革新に関する情報をタイムリーに届けていくことが重要であります。このため、施設整備にこだわらず、宇宙シンポジウムなど時代の先を行く専門家を招いたイベントを開催するとともに、最先端の映像技術で最新の宇宙・ロケット分野の技術を紹介するテレビ番組等を通じて県民にも情報発信を行っていきたいと考えています。
 また、できるだけ教育現場で、この関連する企業の方々にお話をいただいたりして、子供たちに夢を与えていきたいと思っております。
 これらによりまして、和歌山の未来を担う子供たちがロケット・宇宙分野を学び、親しむ機会をつくり、あわせて、県内外へのPRを進めてまいりたいと思います。
〇議長(岸本 健君)  中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 県立でなかってもいいんで、民間立でもいろいろお知恵働かしてもらいたいなあ、かように思います。
 次に、県内産業の斜陽食い止め策についてお伺いします。
 定例会見冒頭の提案理由の知事の説明では、IR(統合型リゾート)の誘致をもって新産業を創出すると知事は力説されてました。そういった新産業の誘致も必要かと思いますけども、その前に、長年和歌山県勢を支えてきた産業の維持にも心を配る必要があります。
 住友金属、今の日本製鉄和歌山製鉄所の高炉の休止であり、関西電力海南火力発電所の廃止であります。
 歴史をひもとけば、太平洋戦争の口火を切った翌年の昭和17年、和歌山市の松江に住友金属工業和歌山製鉄所が操業を開始し、終戦後の日本の復興を支え、高度経済成長を牽引してきました。昭和44年には第5高炉も火入れされて、粗鋼生産量の年間ですね、年産920万トン体制を取ることで867万トンの粗鋼年産を実現しました。
 公害問題が指摘されて沖合への移設を図る埋立てとともに、茨城県は鹿島製鉄所への大量の配置転換の実施、あるいは、海南沖に埋め立てた土地に創業しました海南鋼管製造所を統合したり、新しいシームレスパイプの操業を開始するとともに、粗鋼年産、頑張りましたけども、286万トンまで低下してまいりました。
 そういった中、平成16年には住金グラウンドをオークワに売却し、ガーデンパーク和歌山ができました。都市対抗で住金が和歌山代表で出てくれて、東京の球場で華やかな応援したことを、私も秘書当時、応援に仕事も兼ねて行かしてもらったこと、思い出でございます。そういう野球のクラブもなくなり、またさらに、平成24年には新日本製鉄との合併で新日鉄住金に、また、昨年4月には日本製鉄と称号を変更し、このたびの新第一高炉休止の発表となりました。
 このたびの方針の発表を受けて、尾花和歌山市長が早速に日本製鉄本社を訪れ、休止計画の見直しや影響への配慮を申し入れました。
 個人的にも、今は亡き私の父親ですが、協力会社湊組でお世話になりましたし、私も高校生の頃、住金構内でのアルバイトをさせてもらって実社会の厳しさというものも経験させていただきました。
 こういった本県最大の企業であります日本製鉄和歌山製鉄所のこのたびの決定が及ぼす影響と、雇用をはじめとする不安解消への今後の対策をお示しください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
  〔稲本英介君、登壇〕
〇商工観光労働部長(稲本英介君) 現在の鉄鋼業界は、中国に由来する鉄鋼の供給過剰、それに伴う原燃料価格の高止まり、さらに、米中経済摩擦による鉄鋼需要の減退、価格低迷など、複数の要因が重なり、今後も含めて厳しい現状にあります。
 今回の和歌山製鉄所の第一高炉休止の発表は、台湾向けなど利益率の低い輸出用外販スラブの市場環境悪化を見据えたものであり、現状を踏まえた全社的合理化の一環として、民間企業である日本製鉄株式会社の経営判断によるものと理解しております。
 しかしながら、和歌山製鉄所は、操業開始以来、本県経済を支える鉄鋼産業の中核企業であり、地域経済への大きな影響が懸念されるところです。
 雇用に関しては、従業員の約4%に当たる140名程度が配置換え等の影響を受けると聞いており、併せて協力企業を含めた雇用にも影響を与えるものと心配しているところです。
 その中で、和歌山製鉄所は、天然ガスや油田開発用などに供給される最上級で高品位な継ぎ目のないシームレス鋼管など、高付加価値製品の世界最大の生産拠点であることに変わりがなく、これまで同様の生産体制は維持するものと聞いているところでございます。
 本県としては、雇用や地域経済に与える影響が最小となるよう引き続き情報収集に努めるとともに、雇用については、県内企業が受皿となるよう、日本製鉄や関連企業、和歌山市などと協力して取り組んでまいります。
 また、和歌山を支える産業は、過去から常に進化し変化してきました。大企業でさえも、競争相手の出現など、環境変化により体制の見直しを迫られることになりました。
 県としては、地域経済をこれからも支えていくため、新たな産業を興していかなければなりません。ITやロケットに代表されるような先端産業の誘致や県内企業の技術革新の推進を図り、持続的に成長する和歌山県経済を目指していくことが必要であると考えております。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 ありがとうございます。
 確かにそういうことなんですけど、やっぱり大きいですからね、住金さんといいますか、日本製鉄さんはね。やっぱり皆心配してると思いますんで、市ともこぞって雇用の心配、あるいは仕事の落ち込み等のないように、私らも頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
 また一方、同じく太平洋ベルト地帯の一角で重工業を支えてきました海南火力発電所の廃止が、昨年3月1日に発表されました。御坊発電所の2号機も休止とのことです。
 海南発電所は、出力210万キロワット、昭和45年に運転開始、二つの大きな煙突が海南市のランドマークでもありました。海南で生まれ育った私としても感慨深いものがあります。
 私の母校、日方小学校の校歌に「寄せては返す大海の波の音清き文の舎に」とありますように、日方はまさに海の際でございました。近くの海南市立高校の校庭は、海辺の堤防で仕切られておりました。その石積みの堤防から短冊に願いをしたためた七夕のササ飾りを流したものでございます。その美しき海南の海を埋め立てることで、農協のジュース工場、海南鋼管、関電の発電所が立地できたのであります。
 入り口にできましたみなと公園、そこでは連日同級生たちと遊びました。まさに我が魂のふるさとでもあります。埋立工事の真っ最中、ブルドーザーを運転するおっちゃんに、そのブルドーザーのカップのところに乗せてもらった、そんな楽しい思い出もございます。また、埋立てに使われる砂から貝を見つけては、仁坂知事のチョウチョウには及びませんけども、貝の回収、収集なんかもさせてもらった思い出があります。また、その貝を投げ合ってけがをさせた友達の家に担任の先生と謝りに行ったこともあります。その幼なじみももう亡くなりまして、今はいません。
 出来上がった埋立地の最先端には立派な堤防が整備され、格好の魚の釣り場となりまして、新堤防と呼び、自転車を担いであの大きな門扉を越えて、またそこから先へつながる先っちょまで自転車を越えて魚釣りに興じたものでございます。
 そびえ立つ煙突を見て、8歳年下の私の弟は、当時月へのロケット打ち上げで話題になって成功しましたアポロ計画のロケットになぞらえて、煙突が見えるたびに「アポロ、アポロ」とはしゃいでおりました。
 センチメンタルに浸りながらでございますけど、海南市長も御心配なさるごとく、跡地の利用や雇用の確保が気になります。
 知事さんの当時の報道のコメントによりますと、「企業誘致にめどがつき、雇用減少にも歯止めをかけられる」とのコメントでございました。海南鋼管やこの発電所は工業専用地域でございます。めどがついたとする進出企業や煙突の除去、あるいはタービン、発電機等大型設備の撤去の時期をお示しください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
  〔稲本英介君、登壇〕
〇商工観光労働部長(稲本英介君) 関西電力海南火力発電所は、長年関西圏の電力供給を支え、また、地域経済に大きな貢献をしてくれていましたが、関西電力の経営判断により、昨年4月に廃止されたところです。
 旧海南発電所の跡地については、新たな雇用を生むため、現在、企業用地として活用するための除却が進められています。除却スケジュールとしましては、令和元年10月から発電所の設備撤去工事に着手しており、煙突の撤去工事についても令和2年下期に着手、令和3年度末に撤去工事全体が完了する予定と聞いております。
 県としましても、関西電力、地元海南市と協力して企業誘致を行っており、現在交渉中の案件も含め、地域経済の活性化と雇用促進に資する企業の工場進出に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 去年のコメントでめどがついたと言うから発表してくれるかなと思いましたけど、なかなかまだそこまでいかんようでございますね。一日も早く県民の皆さん、安心するような形でお願いしたいと思います。
 次に、県民のいのちとくらしを守る取組についてお尋ねします。
 知事の提案説明に「スマホやギャンブル、薬物依存等に対しては、切れ目のない相談、治療、支援体制を構築します」とお述べでございました。今までも何度かこの本会議の一般質問で取り上げてまいりました、誰一人見捨てない和歌山県を構築したい、そんな思いで今回も質問します。
 生活困窮者に対して自立支援員の配慮、生活保護者にはケースワーカー、ひきこもりには地域支援センター、いじめにはスクールカウンセラー、児童虐待には児童相談所などと専門性を帯びた業務には、それぞれのエキスパートが公務員として対応しております。
 一方、我が国の社会福祉を支える仕組みとして、民生委員・児童委員制度が昭和23年より活動されております。住民にとって、困ったときに相談に乗ってくれる一番身近な存在がこの民生委員です。
 調べますと、大正6年、岡山県に創設された済世顧問制度を嚆矢としまして、救貧、防貧のため住民に寄り添う活動として、全国に23万人余りが活動してらっしゃり、福祉事務所等の関係行政機関と連携しつつ、相談に乗って援助することで社会福祉の増進に努める、このように法律も規定されております。弱い人を支える最後のとりでとも言えます。
 この民生委員の方々には、実際に活動記録や福祉票、児童票、要援護者要支援者台帳、状況報告等を作成しなければなりませんし、すぐに貸してくれる10万円の生活資金貸付け、その他関係のいろいろな融資の事業にも、いろんな相談に乗る以上、精通する必要があります。
 本県内の定数は2697名ですが、79名の欠員のままの2618名とのことです。和歌山市で23名、新宮で18名、白浜町で13名、岩出と串本町がそれぞれ6名の欠員でございます。任期は3年で無報酬のボランティアですが、活動実費として5万9000円、新年度、令和2年度の予算でいきますと6万200円支給されることになっております。
 ところがどっこい、どうしたことか、本人に支給すべき活動費を全額天引きし、プールしている実態が報道されました。
 昨年11月20日、27日の「読売新聞」が大阪、兵庫、京都の各市町村の実態を報じ、12月14日には、「毎日新聞」が本県の実態を報道されました。
 県内市町村の現状と、県の見解をお答えください。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) まず、県内市町村の民生委員・児童委員の活動費支給の現状についてですが、平成30年度において、活動費全額を本人に支給しているのが13市町村、活動費の一部を控除して支給しているのが16市町、全額控除しているのが1町となっています。
 民生委員・児童委員の活動費の支給については、全額を本人に支給することが原則ですが、本人からの申出や本人の了解を得た上で、一部差し引いて支給することは可能と考えています。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 ということは、和歌山県でも全額支給してない実態が分かりました。それで、今、宮本部長の答弁にありましたけど、本人からの申出で渡してないというんですけど、どういった事例でしょうか、お示しください。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 特段、本人からの申出ということは特定してるわけではございませんが、想定といたしまして、一つの町、市であって、民生委員から独自の提案があって、こういった合同研修会をやろうかということが盛り上がって、それを一部天引きするということになれば、1人は申し出た人が本人の申出になりますし、それを受けた人が同意を得たということになりますから、広くそういったことを把握するために、今回はそういったことを踏まえて市町村の状況を把握したことであります。ですから、具体的な例として把握してることは特にございません。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 本会議の答弁ですからね、想定しててというようなことはあってはならんですよ。やっぱりここで言うんなら、どこどこでこういう人がこんなことを言う──こういう人の名前までは要りませんけど、もう要らんよと、そっちで預かっといてよと、こうないとあかんのですよ。ふだんは、そんなこと考えられにくいです。「民生委員になってくれやんかい」と言われて、行って、当然いろんな手引書もらって、そういった中で、多少説明あるのか分かりませんけども、お金のためにやってるわけではないですから、そんな自分から申し出て「どうぞどうぞ」というようなことは、恐らく実例がないんやと思います。
 また一方で、全額渡してるところもあり、あるいは渡してないところもあり、あるいは、渡した上で預かってるところもあり、あるいは、もう渡す前に地区の協議会か何かで取ってる事例もある、こういうことでございます。何でそんなことが可能なんでしょうかね。全国の恐らく通達の中では本人支給だという文書も頂いておりますけども、県からして、どうして本人に全額まず支給しなさいと、そういうことの御指導あるいは助言はなさらないんでしょうか。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 県では、まず年度当初に民生委員の代表者の方をお呼びして研修会を開催しております。その席上でもこういった支給についての状況は詳しく説明申し上げて、また、一部本人の同意を得る場合においても、その内容をきっちり説明することとしております。
 また、さらに市町村の民生委員・児童委員の事務の担当者会議においても、そういったことをきっちり説明してございます。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 そういう説明はした上で、なおかつ天引きしてるということかも分かりません。
 一方で、岩出市なんかは5万9000円とは別に5万5000円上乗せしてますし、紀の川市も3万5570円ですか、上乗せしております。全然してないところもあります。和歌山市なんかは6000円とかそういうことのようでございますけども、そうやって上乗せしてでも何とか満たしたい、みんなに頑張ってもらいたい、活動費を助けるというか、援助してでもやっていくということは非常に大事なことですし、うれしいことやと思います。また、この方々が使命を帯びて、使命に燃えてやってくれてんのやと思います。
 そういうことをする上で、やはり国から支給された分については、まず本人にお渡しすることでスタートする、それが本来の事業ではないかなと思います。お聞きすれば、もう全額、会でプールしといて、5万9000円、3年ためたら17~18万になりますわ。それで海外へ研修に行ったと、こんな話も聞きますし、「じゃあ、行かなかった人、何よ」と言うと、「それは日程都合つかんで行かん人が悪いんや」と言って「行ける人で行ったらええわ」と。こんな中途半端なことが起こっております。
 そんなことをしてて、ほんまに生活に大変な人の心に寄り添えるんかな、そういうことを思った次第ですから、このせっかくのいい民生委員の制度ですから、何とか貫徹して効果発揮するようにしていきたいと思いますけど、こんだけ申し上げても、県から、まずは本人に渡す、そういうことは徹底していただけませんか。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君)  もちろん県におきましても、先ほども申し上げましたとおり、まず本人に全額支給するのが原則というふうに考えております。
 こういった趣旨をまた今後も徹底してお伝えしながら、市町村の考え方を整理していきたいというふうには思いますが、ただ、先ほども申し上げたとおり、本人の同意がある限り、そういった支給は可能であります。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 何とか本人に渡った上で、ちゃんとルールをつくっていただけたらと、かように思います。
 次に、ちょっと専門的なことで面白くないか分かりませんけど、一事不再議について、ここで議論したいと思います。
 12月議会のことですが、招集初日の12月3日に、174号から201号までの28本の議案が提案されました。
 それで、12月10日から12日まで質疑、一般質問が行われて、13日には各常任委員会に付託する日になっておりましたけど、いきなり議会運営委員会が持たれ、知事から追加提案3件、202号、203号、204号が上程され、理由は「さきに本定例会に上程しております議案182号、184号、190号の施行期日を改めるものでございます」と述べて、12月3日にこの条例、ちょっと名前は長いですけど、「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」の名称と条項を「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」というふうに名称を改正するもので、条ずれも3条を6条にしたり、2条を3条にして改めました。それぞれの法律番号は、平成14年法律第151号と全く同じもので、それぞれ簡単に言いますと、「行政手続情報通信技術利用法」を「情報通信技術活用行政推進法」に置き換えるというものでした。
 一方、13日に提案された、この同じ条例の施行日を「(令和元年法律第16号)の施行の日」というところの「施行の日」の後に「又はこの条例の公布の日のいずれか遅い日」に施行すると、施行期日を改める提案でございました。
 ちなみに、この令和元年法律第16号の名称は、これまた長いんですけども、「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案」、通称で言うと「デジタル手続法」ということだそうでございます。
 そこで、知事の提案理由の文言でもう一遍改めて見ますと、「情報通信の技術」のところの「の」が欠落しておりまして、この「の」には意味がありますので、議案の提案理由は原稿をよく見て丁寧に一字一句正しく読んでもらいたい、こういうふうに思います。今回のときにこんなことで気づきますからね。
 さて、そこで我が和歌山県議会の規則第15条には「議会で議決された事件については、同一会期中は、再び提出することができない。」との一事不再議の原則がうたわれております。まだ採決されてないから提出できるとでも思ったのでしょうか。
 私がただしたいのは、議案第182号の題名「和歌山県税条例の一部を改正する条例」と追加された202号の題名「和歌山県税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例」では、条例の名称が同じなので、二度も同じ議会にかけられない、そういうことでございます。
 また、議案第184号も同じことで、「和歌山県民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する条例の一部を改正する条例」と追加された203号の「和歌山県民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例」もしかりでありますし、議案第190号の「和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例」も、追加提案された204号は「和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例」でいって、しかりであります。
 いずれも県議会規則15条で禁じる一事不再議を侵してしまい、議会で議決した条例を同じ日に二度も議決してしまうことにはなりますが、なぜこのような提案をなさったのでしょうか。
 また、このように提案当初に施行日の日ずれが気づかなかったことがもし分かったとしたら、議会会期中でございますので、判明した場合は、一旦議案を取り下げて、改めてそこの施行日を直した訂正議案を提案すればこういったことは起こらず、一事不再議を守れると思いますけども、いかがでしょうか。
〇議長(岸本 健君) 総務部長田村一郎君。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) まず、さきの令和元年12月定例会の提案議案について、一事不再議に当たるのではないかとの御指摘でございますが、一事不再議につきましては、議員もおっしゃっていますとおり、和歌山県議会会議規則第15条において、「議会で議決された事件については、同一会期中は、再び提出することができない。」と規定されているところでございます。
 御指摘のうち、議案第202号、203号、204号は、議案第182号、184号、190号の内容の一部をそれぞれ改正する条例案であり、いずれも議決をいただいた後には異なる条例番号が付される別の条例となるものでありますので、同一条例案を再び提案するものでもないですし、また、先に提出しております議案第182号等の御議決をいただく前に追加提案するものでありますので、議決された事件を再び提出することができないという一事不再議には当たらないと考えまして、追加提案させていただいたところでございます。
 また、当初提案の議案を取り下げた上で追加提案すべきではなかったかという御指摘でございますが、議案第182号等の当初より提案した議案は、条例の施行日をいずれも提案の根拠となる改正法律の施行日としていたところ、議会提案後に、その法律の施行日が12月定例会の表決予定日より前の日に定められるとの情報が得られましたので、条例の公布日より前に施行日が設定されるのはおかしいということになりますので、会期中に条例の施行日の設定を改める必要が生じたところでございます。
 そこで、改める手法としまして、当初提案している条例の一部改正条例を追加議案として提案する方法と、それから、議員御提案の当初提案しているものを取り下げて、改めて提案する方法を検討したところでございます。
 今回の改正内容が、附則において施行日を改めるだけでありまして、国におきましては、事務的な変更ですと、特に今回のような附則の改正の場合には、同一の国会中に先に提案した法案の一部を改正する法案を内閣が提出する例は幾つもございますこと、それから、根拠法律の施行期日を定める政令の公布日が一般質問の最終日であることなど、議会の進捗も踏まえまして、追加議案を提案する方法を選択したところでございます。
 このような形で提案させていただきまして、全会一致をもって御議決をいただいたものでございます。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 そうであったとしても、当初提案された議案書はこういう議案書で(資料を示す)、当然和歌山県税条例第何号というのは空白のまんまでございます。しかし、その下に出てくる和歌山県税条例、直す元の条例番号は第37号、このように書いてます。だから、37号をこれ提案したんですよ、そういうことになってるんですね。
 だから、前の条例のちゃんと番号があり、条例があるから改正できるんですけど、12月13日に出されたこの議案では、この条例番号が空なのはもちろんでございますけども、その条例を直してもらいたい、提案する条例の番号まで空っぽのまんまなんですね。ということは、まだ条例ないわけですよ。ない条例を直せということになりまして、いかがなもんかということでございます。
 だから、一旦取り下げて空のまんま出すというのが、元の番号の37号なら37号という条例があって、それを本文も含めて施行日を直すということで一貫しますけども、空の文章のまんま出してきといて空のまんま直せというのはいかがかな、かように思う次第でございます。
 その点についてはいかがでしょうか。
〇議長(岸本 健君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 今、議員からは、条例番号のところが空のままで提案したことについていかがかというような話がございました。
 先に提案させていただいている条例案につきましては、その後に追加提案させていただいたものを追加した時点におきましては、当然まだ公布はされておりませんので、条例番号を付すことはできない状況でございます。でありますので、空欄で出させていただいたところでございますが、国の法律におきましては、そのように、法律でございますけれども、法律番号が空欄のままで、同じ国会の中で提案されているものについて、空欄のままで提案されるというものは幾らでもそのような事例はございます。でありますので、このような条例での扱いにつきましては、誤りはないというふうに考えているところでございます。
 以上です。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 じゃあ、田村さん、今までそんなことした和歌山県の条例あったら教えてください。
 また、こんな改正をした他の都道府県があれば教えてください。
〇議長(岸本 健君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 過去の和歌山県における事例でございますけども、ちょっと私の知る限りにおいては承知してないところでございます。
 ただ、国におきましては、国会の会期が非常に長いということもございまして、その一つの国会の中において、事情に変更が生じる、こういったこともあって、そういった追加提案ということもあるのかなと思いますけども、ちょっと最近の事例では、和歌山県のほうでは見つけることはできなかったところでございます。
 また、他府県につきましても、本件につきましては、このような追加提案をしたというのは承知してないところでございますが、いずれにしても、取扱いについて瑕疵はないものと考えております。
〇議長(岸本 健君) この際、申し上げます。
 所定の時間まで残り僅かです。質問並び答弁は簡潔にお願いいたします。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 はい。国会には一事不再議の明文な規定がないんですよ。せなあきませんよ、あきませんけど、和歌山県の場合はちゃんと書いてあるということでお聞きしましたし、他の都道府県ではないんですから、こんなことはやめたほうがいいと思います。
 最後に、庁舎管理について伺います。
 令和2年度予算説明書、出6ページ、2款総務費、1項総務管理費、7目財産管理費5億8916万6000円のうち財産管理についてお聞きします。議案書、皆さん持ってないですね。また開いといてください。
 毎年2月になりますと、真砂丁から県庁の前の税務署が大渋滞になります。この大渋滞は風物詩になってますし、最終日には一部団体行動もあって、混雑ぶりは頂点を極めます。いつの間にか月山医院が転居し、和歌山税務署も二番丁に移りました。
 この湊通丁北1丁目は南別館にひっついて、県文ともひっついて、非常にまとまったいい土地でございますんで、かねてから「和歌山県の土地にしたらどうよ」、「防災上、どうよ」と、こういうことは言うてましたけども、近畿財務局のごたごたが収まって、ようやく今回になったということですので、この新年度のスケジュールをお述べください。
 また、よかったら県庁舎としての活用もお示しください。
〇議長(岸本 健君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 旧税務署跡地の取得に関わりますスケジュールでございます。旧税務署跡地につきましては、県防災センターとしての機能を備えた県庁南別館に隣接していることから、防災センターの機能強化及び南別館との一体的利用のために県として必要な施設であると考えており、その取得に向けて、所管している近畿財務局に対して積極的に働きかけ、協議を重ねてきたところでございます。
 昨年11月に近畿財務局から本県を処分対象に決定した旨の通知がありましたので、旧税務署跡地の土地、建物の取得及び改修に伴う設計に係る経費について、今議会に上程している当初予算案に計上させていただいたところでございます。
 当初予算の議決後は、本年4月から5月頃に財務局と価格交渉を行うことになります。価格交渉は見積り合わせで、取得するためには国の予定価格を上回る必要があります。
 見積り合わせの結果、取得できた後は、売買契約を締結し、建物改修に係る設計及び工事を実施し、令和4年2月頃をめどに関係課の引っ越しを行う予定としているところでございます。
 また、活用につきましてでございますけども、この土地、建物を取得する最大の目的は、隣接するこの県庁南別館から県組織の一部を旧税務署に移転することにより、大規模災害時に災害対応の拠点となる南別館の防災センターに集結する政府非常災害現地対策本部等の防災関係機関の十分な活用スペースを確保することでございます。
 具体的には、現在、県庁南別館の5階、6階にあります和歌山県税事務所並びに海草振興局地域振興部及び農林水産振興部を旧税務署に移転します。移転後のスペースを大規模災害時には現地対策本部等の活動に使用し、平時は和歌山県職員研修所及び会議室として使用します。
 なお、和歌山県税事務所等を旧税務署に移転することにより、県民窓口が低層階になることから、県民の方の利便性を向上することができるものと考えております。
 また、県警察本部のサイバーセキュリティー対策の強化を図るための部屋を設置し、それに伴い、現警察本部庁舎内の組織の一部を旧税務署に移転する予定です。
 現在、南別館には、一般来庁者用の駐車場がないため、県民の皆様には非常に御不便をかけているところでございますが、旧税務署の駐車場を来庁者用に活用するとともに、災害発生時には、参集する防災関係機関等の車両の駐車場として活用する予定としているところでございます。
〇議長(岸本 健君) 所定の時間が参りましたので、以上で中拓哉君の質問が終了いたしました。
 この際、申し上げます。
 申合せ等により、質問時間の制限がございます。質問者におかれましては、厳守いただきますようよろしくお願いを申し上げます。(「すみませんでした」と呼ぶ者あり)(拍手)
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時3分散会

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