令和元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
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令和元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号
議事日程 第4号
令和元年9月19日(木曜日)
午前10時開議
第1 議案第165号(当局説明)
第2 議案第134号から議案第164号まで(質疑)
第3 一般質問
会議に付した事件
第1 議案第165号(当局説明)
第2 議案第134号から議案第164号まで(質疑)
第3 一般質問
出席議員(42人)
1番 鈴木德久
2番 山家敏宏
3番 中本浩精
4番 堀 龍雄
5番 藤山将材
6番 岸本 健
7番 井出益弘
8番 宇治田栄蔵
9番 北山慎一
10番 中西峰雄
11番 秋月史成
12番 森 礼子
13番 濱口太史
14番 尾崎要二
15番 冨安民浩
16番 川畑哲哉
17番 玉木久登
18番 鈴木太雄
19番 岩田弘彦
20番 吉井和視
21番 谷 洋一
22番 佐藤武治
23番 岩井弘次
24番 中 拓哉
25番 多田純一
26番 新島 雄
27番 山下直也
28番 中西 徹
29番 玄素彰人
30番 谷口和樹
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 林 隆一
36番 楠本文郎
37番 高田由一
38番 杉山俊雄
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 細川一也
危機管理監 森田康友
総務部長 田村一郎
企画部長 田嶋久嗣
環境生活部長 田中一寿
福祉保健部長 宮本浩之
商工観光労働部長 稲本英介
農林水産部長 角谷博史
県土整備部長 髙松 諭
会計管理者 飯島孝志
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員 中野幸生
警察本部長 檜垣重臣
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 保田栄一
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
職務のため出席した事務局職員
事務局長 中川敦之
次長 中谷政紀
議事課長 松山 博
議事課副課長 山田修平
議事課議事班長 岸裏真延
議事課主任 保田良春
議事課主事 大森圭悟
総務課長 井邊正人
政策調査課長 中平 博
午前10時0分開議
○議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。
この際、報告いたします。
議案の追加提出がありました。
日程第1、議案第165号を議題といたします。
議案は、お手元に配付しております。
まず、当局の説明を求めます。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました議案について御説明申し上げます。
議案第165号は、道路交通法施行令の一部改正に伴い、運転免許関係事務に係る手数料の額を改定するものです。
公安委員会におけるシステム上の障害が生じたこと等のやむを得ない事情により、免許証の更新を受けることができず失効した者が、免許を取得する際の運転免許試験手数料等の減額を定めるものですが、同令が本日公布されたため、追加で提案させていただくものでございます。
何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(岸本 健君) 以上で、当局の説明が終わりました。
次に日程第2、議案第134号から議案第164号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
○川畑哲哉君 皆さん、おはようございます。
令和となりまして初めての、そして2期目、再選をさせていただきましてから初めての登壇となります。襟を正し、かぶとの緒を締め、初心忘れず、引き続き県勢のさらなる発展に尽力してまいりたいと思いますので、先輩・同僚議員の皆様、どうぞ変わらぬ御指導、御鞭撻、そして仁坂知事初め当局の皆様にもよろしくお願いを申し上げます。
それでは、岸本健議長よりお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさせていただきます。
まずは、海外視察の御報告からでございます。A4用紙5ページ分、させていただきます。
先月29日から31日にかけて、岸本健議長、鈴木太雄議員と御一緒に、中国は遼寧省・大連市を訪問してまいりました。
関西国際空港より昼便で大連市入りし、1時間ほど到着がおくれたものの、まずは大連国際経済技術合作集団有限公司が運営する日本語学校「大連国合出国人員訓練センター」を訪問、熱烈な歓迎を受けました。
こちらは政府系のグループで、日本語学校は35年の歴史を誇り、今では年間1500人、これまででは7万人を輩出されているとのことでございます。
水道水は浄水器で浄水して使用し、日本生活体験室では畳やシンク、トイレなど日本の設備を再現して教育を行っています。
毎朝5時40分に起床してラジオ体操を行い、日本語学習だけではなく日本文化・社会・道徳学習なども行われ、授業は午前・午後の3時間ずつ、計1日6時間で3カ月のうちに70%が基本的な日本語をある程度理解することができるN5レベルの日本語能力に達するとのことです。
先輩議員と御一緒に授業にも参加させていただきましたが、活発な発言姿勢や真摯な受講姿勢には心が洗われました。また、数十年ぶりに教壇に立たれて講義を行われる岸本議長の姿に、生徒全員がくぎづけだったことも御報告させていただきます。
卒業生は、470種から成る仕事についているそうですが、中国から日本へ向かう実習生の4人に1人がこちらで学ばれているとのことです。送り先の人気ファクターは、やはり賃金よりコミュニティーだそうですので、よりよい人材を和歌山県へ送っていただくためには、外国人材にとってよりよいコミュニティーづくりを強く意識することが大切です。
大連出張2日目は、まず大連開発区で随一勢いを増して新工場を本年4月より稼働させている樫山(大連)有限公司・オンワード樫山を訪問させていただきました。自動化と効率化を進め、およそ540名の現地採用職員の技術力を高めることで生産性を向上させ、オーダー専門の新工場では、通常30日必要としていたオーダースーツ作製を7日で仕上げるそうです。パックランナーと呼ばれる独自の梱包システムを活用し、島精機の自動裁断機も駆使する生産能力は、オーダースーツを1日に400枚、年間10万枚とのことでした。
半分以上の職員が在籍10年以上クラスの熟練工とのことで、社屋内へのカフェテリア設置、従業員送迎用のバス運行など、大連での雇用継続の妙を勉強させていただきました。
続いて、三菱UFJ銀行大連支店を訪問し、正副支店長と大連におけるビジネス展開について大いに意見交換をさせていただきました。
その主な内容は、日本人材の拠点はソフトウエアパークに集まっている、人材はサービス業に流れていく傾向がある、今後保税区に日本人材の技能職の育成拠点をつくる計画がある、日本の商工会関係者からよく相談がある、大連市からは日本へ研修生を派遣して帰国させる前提で研修費補助が出るなどです。
大連においては景気が下降ぎみの今こそ進出の好機でもあるとのことですが、大連市での活動は、自治体の事務所や地元の地方銀行などの拠点があるほうが断然有利とのことでした。飲食業におきましても、日本式カレーやステーキなど、まだまだ事業成功の可能性を感じました。
そして、今視察最後の訪問先は、南沙養老院という介護施設でした。施設内を御案内いただき、入所状況や運営状況、今後の展開や日本式技術導入の展望など、意見交換をさせていただきました。
こちらでは、機能化されたサービスコンセプトに従って、宿泊施設、医療、身体トレーニング、入浴とレクリエーション、栄養管理と日常生活サービスを行っています。その内部機能構造は合理的であり、機能サービス施設は安全設計です。高齢者用の住宅ユニットは40室あり、シングル、ツイン、トリプル、4人部屋の合計130のベッドを備え、全ての高齢者が快適で栄養価のよいものを食べ、人生を楽しみ、老後を楽しむことを目標としています。
ちなみに、気になる料金は、4人部屋で2000元、約3万円、シングルで5000元、約7万6000円ですが、比較的富裕層の入居者が多く、入居率はほぼ100%に近いとのことでした。
このたびの視察では、人手不足に悩む本県各業種、各事業所、企業への外国人材受け入れに関しての調査を主たる目的と掲げていました。受け入れ環境を整えていくこととあわせて、その地域において従来のコミュニティーを維持活性化できる限りでバランスのとれる外国人材の受け入れ割合はどの程度かということも考えていく必要があります。引き続き、鋭意調査研究を進めてまいります。
最後に、日程の御段取り等、大変お世話をいただきました株式会社松鶴の皆様には心から感謝申し上げ、このたびの中国・大連市訪問の御報告とさせていただきます。
それでは次に、夜の経済活性化についてお尋ねをいたします。
1990年という年は、1月3日にパナマのマヌエル・ノリエガ将軍が米当局に出頭し逮捕され、翌日には米国へ移送されるという衝撃的な年明けを迎えました。また、2月11日にはマイク・タイソンが東京ドームでジェームス・ダグラスに10回KO負けを喫して、WBA・WBC・IBF統一世界ヘビー級王座から陥落し、3月20日にはイギリスの銀行家で貴族院議員の第3代ロスチャイルド男爵ことヴィクター・ロスチャイルド氏が逝去し、8月2日にはイラクがクウェートに侵攻しました。
一方で、ローリング・ストーンズやポール・マッカートニーが初来日公演を行い、ペルー大統領選挙では日系のアルベルト・フジモリ氏が初当選し、韓国・北朝鮮が分裂後初の両国首相会談を行い、ソ連と韓国が国交を樹立し、ドイツが再統一され、ゴルバチョフ・ソ連大統領がノーベル平和賞を受賞した年でもございました。
そんな年の2月14日、バレンタインデーにJITTERIN'JINNというバンドの「プレゼント」という曲がリリースされました。「あなたが私にくれたもの」という印象的なフレーズが繰り返される珠玉の名曲です。そのストーリーは、主人公とおぼしき女性が思いを寄せる男性からたくさんのプレゼントを贈られるものの、実はその男性には彼女がいたということでございまして、当時、中学校入学前後だった私の周辺では、この男性の立ち居振る舞いについて賛否が二分される大議論となったことを覚えています。
この曲の歌詞に登場するプレゼントを、インターネットやファンサイト等を参考に独自調査をし、現在の価格相場に照らし合わせてみますと、「キリンがさかだちしたピアス」、「ヘップバーンの写真集」、「アメリカ生まれのピーコート」など、全24種で総額11万1800円となります。その中で特筆すべき「シャガールみたいな青い夜」、「夢にまで見た淡い夢」、「あの日生まれた恋心」の3品、いわゆる無形贈答品につきましてはプライスレスと評価させていただきました。
ちなみに、リリース時点での作詞者・破矢ジンタ氏は24歳、ボーカルの春川玲子氏は21歳です。不肖、私も和歌山県議会きってのロックアーティストを自認し、私のペンによる楽曲を推定50曲以上世に出し、オリジナルCDを2枚と、プロデュースしております御当地アイドルのCDを2枚リリースしている経験則から、この曲は作詞者及びボーカリストの等身大の女性・男性像を映し出していると推測されることから、主人公は20代前半であろうと考えられます。
そこで、現代における同年代の若者たちのデート事情を調査してみました。
まず、2012年のマイナビ社によるアンケート調査によりますと、大学生の1回の平均デート代は3000円から4000円が17%、2000円から3000円が14%、4000円から5000円と5000円から6000円が同率で13%となっています。また、Tech総研調べによりますと、20代前半の社会人の1回の平均デート代は約8000円、月平均2万3600円となっています。
次に、男性が女性に贈るプレゼントの頻度は、2014年のブライダル総研によりますと、月に1回以上が11.2%、2~3カ月に1回が20.9%ということで、3人に1人が年に4回以上のプレゼントをしているとのことです。
さらに、デートの頻度は、amaze社調べでは第1位が「週1回から2回」、第2位が「彼女に合わせる」、第3位が「月2回程度」となっています。加えまして、デート代の負担割合は、リンクバル社調べによりますと、20代男性の意識では、男性がやや多い目45%、割り勘6%、完全男性持ち47%、20代の女性の意識では、男性がやや多い目43%、割り勘42%、完全男性持ち15%となっています。
これらはもちろん、つき合う前、つき合い初め、安定期等で変動するものと想定されますが、JITTERIN'JINNの「プレゼント」で描かれている世界では、男性のかい性などもろもろの事情から総合判断して、登場人物はつき合う前の20代前半の学生及びフリーターの男女と設定させていただき、現代に置きかえてその経済効果を算出いたしました。
結果、デート代は1回5000円で全額男性が負担し、頻度は週に1回、プレゼントは月に1回贈るとなり、主人公の女性からしますと、2年間の淡い恋愛期間を過ごし、その間の経済効果は男性負担分だけで59万1808円となります。つまり、恋愛が動けば経済が動くということでございます。
2017年12月定例会におきまして、初めて夜の経済活性化について質問させていただいた際にも引用いたしましたが、東京のホイチョイ・プロダクションによりますと、恋愛を科学的に進展させる主なシチュエーションは、1、雰囲気のよいレストランでの食事、2、個体距離75センチ以内への接近、3、美しい夜景、4、スリルの共有、5、打ち明け話の五つだそうであり、これら五つのシチュエーションを同時に成立させる有力なプランこそ、デートカーによるナイトドライブデートなわけでございます。繰り返しますが、政治と恋愛は夜動くものでございます。
そんなことを御提案申し上げましたところ、本県では2018年9月25日に、和歌山の夜の楽しみ方を紹介する「ナイトライフインわかやま」というウエブサイトと、その外国語ウエブサイト「WAKAYAMA WHEN THE SUN GOES DOWN」を開設していただきました。仁坂知事初め当局の皆様の迅速な御対応と御努力に改めて心から感謝を申し上げます。あわせて、せっかく開設していただいたウエブサイトですので、世界に誇れるウエブサイトへとブラッシュアップしていただくべく、まずはその運用状況について質問をさせていただきます。
開設からおよそ1年がたち、両サイトのアクセス状況はいかがでしょうか。そして、外国語サイトの翻訳言語数と今後の展開はどのようにお考えでしょうか。
また、2018年には本県外国人宿泊者数の23.6%を占めた中国では、フェイスブックやインスタグラム、ユーチューブ等主要SNSや米グーグル社の電子地図・グーグルマップの利用が禁じられています。先ほど御報告申し上げました大連市訪問中にも、当該サイトへのアクセスを試みましたが、マップが表示されなかったりサイトの読み込みに30秒以上かかったりという事象が発生しました。昨今では個人手配の旅行者がふえていることもあり、中国からのインバウンド対応として、中国版グーグルとも言える百度のマップを活用するなどの丁寧なマップづくりを別途すべきではないかと私は考えていますが、いかがでしょうか。商工観光労働部長の御答弁をよろしくお願い申し上げます。
○議長(岸本 健君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。
商工観光労働部長稲本英介君。
〔稲本英介君、登壇〕
○商工観光労働部長(稲本英介君) まず、両サイトの運用状況についてですが、現在、日本語サイトは、飲食店や温泉施設、イベントなど414件の情報を掲載しており、サイトへのアクセス数は平均して月約3500ページビューとなっています。
外国語サイトについては、インバウンドの対応が可能な飲食店を202件掲載しており、サイトへのアクセス数は平均して月約450ページビューとなっています。
また、外国語サイトは9言語に対応しておりますが、サイト内の個別の店舗情報についは9言語対応となっていないことから、今後、対応する言語の追加や内容の充実について、訪日客の情勢なども踏まえながら検討してまいります。
次に、外国語サイト内のグーグルマップの取り扱いについてですが、中国からグーグルマップへ基本的にアクセスできないほか、グーグルマップをリンクに含むページへのアクセスにも支障が生じているおそれがあることから、アクセス環境の課題を把握した上で、より利便性の高いマップへの切りかえなど、中国語サイトのアクセス環境の改善に向けた対応策を検討してまいります。
○議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 大連市の宿泊先で、当該サイトにアクセスしている私の様子をみずから動画でおさめてまいりましたので、御参考までにそのデータを御提供申し上げます。中国サイトのアクセス環境改善に向けた対応策の御検討をどうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、次の質問に入ります。
サイトを改善し、世界に誇れるすばらしいウエブサイトへとブラッシュアップしつつも、当該サイトが認知されなくては意義が失われます。両サイトへの事業者の掲載はどのような基準や手順を経て行われているのでしょうか。また、両サイトの県内事業者へのPRはどのように行われているのでしょうか。また、県内外及び国外へ向けたアクセス数向上に向けた取り組みについてもお答えください。
ちなみに、日本性教育協会が約6年に一度行っている全国調査の2017年実施分では、デートを経験した大学生の割合は何と何と、男性71.8%、女性69.3%と、1974年の調査開始以来最低の結果が出ています。
恋愛の深化には飲食やプレゼントが必須であり、加えておもてなしや空気など、無形の特産品も旅の重要な目的や思い出になります。JITTERIN'JINNの「プレゼント」でも3品の無形贈答品が登場し、その中に「シャガールみたいな青い夜」が含まれていることから、ナイトドライブデートも行われたものと推定されます。
恋愛の深化は地域経済の活性化につながり、恋愛の深化にはナイトドライブデートが極めて効果的であることから、世の若人の恋愛意欲を刺激し、ナイトドライブデートにつなげるために、夜景スポットも当該サイトで紹介すべきではないかと私は考えていますが、いかがでしょうか。商工観光労働部長の御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
〔稲本英介君、登壇〕
○商工観光労働部長(稲本英介君) 日本語サイトで紹介する店舗につきましては、県内のお勧めの飲食店等を紹介する「和みわかやまっぷ」参加店舗のうち夜も営業している店舗や、県内の商工会議所や商工会、観光協会等がPRを行っている店舗の中からピックアップして掲載しております。
また、外国語サイトでは、市町村や観光協会が、外国人観光客向けに作成、配布しているグルメマップなどに紹介されている店舗をピックアップし、掲載しているところです。
今後は、紹介する店舗数をふやすため、市町村や観光協会、商工会議所、商工会等を通じ、県内事業者に両サイトを周知、PRするとともに、掲載を希望する事業者を定期的に募集し、サイトの充実を図ってまいります。
次に、アクセス数向上に向けた取り組みにつきましては、両サイトを紹介したパンフレットを作成し、県内の観光施設や宿泊施設において配布しているところでございます。
また、パンフレットは、11月に開催のねんりんピック紀の国わかやま2019においてお越しいただく選手、役員等約1万人に、今月下旬に配付することとしており、大会期間中の消費拡大に資するものと考えております。
そのほか、観光連盟の観光情報総合サイトや県多言語観光ウエブサイト「Visit Wakayama」では、トップページにバナーを張り、両サイトに誘導しており、引き続き各種媒体等を通じたPRを行ってまいります。
最後に、夜景スポットにつきましては、夜の楽しみ方の一つであり、紀の川市の最初カ峰展望所や海南市の森林公園雨の森など、県内にも夜景スポットが存在することから、両サイトに新たにページを追加し、夜景スポットへのルートや、周辺の飲食店などとあわせて紹介してまいります。
○議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 商工観光労働部長より、歯切れのよい御答弁をいただきました。
ちなみに、私たちがプロデュースしております那賀地域の御当地アイドル「ナガール」のデビューシングル「恋する金のピーチパイ」の歌詞には、紀北筋の観光スポットが登場しますが、ファンの中にはそのスポットを実際にめぐっていただいた熱烈な方もいらっしゃるとお聞きをしております。もちろん、この曲の作詞・作曲は私でございます。
形はなくとも感じたい空気、積みたい経験、見たい風景、共有したい感動、そして受けたいおもてなしなど、無形の特産品と呼べる本県が持つ潜在的な資源を掘り出し、時に磨き、世に発信していくことで本県勢のさらなる発展につながるものと確信しております。本県を訪れる皆様が存分に楽しまれ、そして存分にお金を使っていただける仕掛けづくりにつきまして、仁坂知事を初め当局の皆様と御一緒に引き続き努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、次の項目に入らせていただきます。
今月3日より、1泊3日でベトナムを訪問してまいりました。行く先は、本年1月の訪問に続きハノイです。関西国際空港より午前便でベトナムはノイバイ国際空港へ到着し、日越人材リンク社のナム専務にお迎えいただき、キム部長とも合流してのランチ会からベトナム日程が始まりました。
その後、いわゆるお茶会を経て日越人材リンク社を訪問し、グエン会長と面談させていただき、和歌山県で技能実習したベトナム人の会結成に向けて意気投合いたしました。人手不足を補うための外国人材受け入れだけではなく、ベトナム本国に帰った本県にゆかりある人たちの御縁を結集していただくことで、本県勢のさらなる発展を目指します。数年後を楽しみにしています。
夜は、グエン会長より歓迎会にお招きいただき、管理団体の立ち上げや新規事業等を含め、さまざまな意見交換をさせていただきました。
その中で、本県での特定技能実習に係るセミナー開催の依頼を承りました。開催の際には、特定技能実習生等、外国人材雇用に御興味おありの企業家、事業者の皆様にぜひお集まりいただきたいと思います。
歓迎会終了後は、ホーチミン廟の国旗降納を見届けました。9月2日の建国記念日明けということもあり、多くの国民の皆様が集まって見守られていました。
2日目は、早朝、ハノイ市内のホテルを出発して、借り上げた車で走ることおよそ3時間、サムソン市へ到着しました。
地元の皆様が、海水浴で訪れるリゾート地でもある当市ですが、訪問先の集落は民家が密集し、ひび割れのあるコンクリートが敷き詰められた路上は水はけが悪く、しかし、各軒先にベトナムの国旗が掲げられている穏やかな地域でした。
今回のベトナム訪問の主たる調査目的は、技能実習生を雇用するに際し、現地で面接をして採用が内定した実習生宅への雇用者によって行われる家庭訪問でございます。
前日に受け入れ企業の面接により日本での技能実習が決まった生徒の御家庭を御一緒に訪問させていただきました。父親を早くに亡くし、アルバイトをしながら高校を卒業した真面目な息子と紹介しながらも、不安を隠し切れないお母様や御親戚の皆様が昼食会を開いてくださいました。別れ際には「息子をかたがたよろしく頼みます」と何度も口にしていたお母様や御親戚の皆様の言葉には胸を打たれるものがございました。
そして何より、技能の習得、お金を稼ぐ、日本語・日本文化の習得を3大目標とする技能実習生の思いや覚悟を受け入れる側もおもんぱかる必要があります。よりよい人材交流が起こりやすいように、まちづくりも工夫していくべきではないでしょうか。引き続き、外国人材受け入れ施策と向き合ってまいります。
夕刻、ハノイ市へ戻り、キム部長のお宅を見せていただきました。ベトナムの家は玄関がなく、路地から扉をあけると直ちにリビングというつくりが多い気がします。
深夜便で帰国の途につきましたが、このたびのベトナム訪問では、キム部長に大変お世話になりました。同行させていただきました伊藤建材工業有限会社・伊藤専務初め、御尽力いただきました全ての皆様に心から感謝を申し上げ、ベトナム訪問の御報告とさせていただきます。
さて、平成26年から平成30年までの5年間で、我が国における外国人登録は、韓国・朝鮮人で96%、中国人117%、フィリピン人125%、インドネシア人187%に対し、ベトナム人は331%と飛躍的に増加しています。また、本県でも韓国・朝鮮人90%、中国人92%、フィリピン人118%、インドネシア人202%に対し、ベトナム人は421%と爆発的に増加しています。
技能実習生にとっての3大目標は、先ほど御報告したとおりでございますが、ハノイや大連の送り出し企業や技能実習生への聞き込みによりますと、受け入れ企業や受け入れ地域に技能実習生が求める最大の関心事は、やはり暮らしやすさだそうです。
なじみのない和歌山へやってきて、仕事をしながら懸命に毎日の生活を送る中で、人は誰しも大なり小なりの悩みや不安を抱えます。仕事上の悩みであれば職場で相談できるでしょうし、契約や手続に係る悩みであれば監理団体の職務となります。しかし、暮らしの上で発生する身近な悩みや地域における悩みとなると、会社や監理団体には相談しにくいものです。日本人でも、引っ越しした直後などは、地域的な悩みや暮らしの悩みを相談する相手がいなくては困ってしまいます。
賃金ではなくて、暮らしやすさの追求こそ、本県が目指すべき技能実習生受け入れに係るまちづくりの姿ではないでしょうか。そして、技能実習生に、和歌山に来てよかった、和歌山の皆には大変お世話になったという思いを抱いていただいてこそ、本国へ帰った後もよりよい関係を維持できるのだと思います。
暮らしやすさには、生活の拠点となる住宅の確保、住宅に隣接した食料や日用品の入手がしやすい生活環境のほか、医療環境、教育環境、役所・企業・法律家その他の連携、地域住民の受け入れ意識など、総合的な住環境の充実が考えられます。
本年2月定例会におきまして、その中から住宅の確保につきましては、外国人材への県営住宅を活用した住宅確保の支援施策についてお尋ねし、また、御家族も含めた外国人材への就労後の日本語学習支援について要望させていただきました。私自身、これらの思いは変わらず、現地を訪れるごとに思いを強くしています。
外国人であっても、同じ人間であり、同じ地球人です。夢と希望と意欲と覚悟を持って和歌山県へやってこられた外国人材に対して、とりわけ急増する技能実習生を主とした本県在留ベトナム人へ、暮らしにおける悩み相談等を含めた受け入れ体制づくりとして県はどのような対応をしているのでしょうか、企画部長の御答弁をよろしくお願いします。
○議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 県では、和歌山県国際交流センターにおいて、在留外国人支援の一環として、英語、中国語、フィリピノ語対応スタッフによる外国人相談窓口を設置し、県内在留の外国人からの生活相談に応じています。また、遠隔地にお住まいの方など、センターに来られない外国人のために、メールや電話での相談も行っております。
現在、在留外国人の支援を拡充するため、ベトナム語を含む計11言語に対応できる翻訳機能を備えたタブレット端末の導入を進めております。これらセンターによる相談活動については、県内の企業関係者、市町村の在留外国人窓口、国関係機関等とも連携を図りながら実施しているところです。
今後のセンターの相談体制については、在留外国人のニーズ等を踏まえつつ、真に必要とされる支援が提供できるよう、引き続き取り組んでまいります。
○議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 真に必要とされる支援が提供できるように、企画部長より心にぐっとくる御答弁をいただきました。
この近年、私も随分第4次産業革命というものを研究してまいりましたが、AIやメカが進化すればするほど、人は人であるということを強く求めるようになるのではと思います。人と人とが触れ合う場面や、人が真剣に困ってしまった場面では、心の底から人は人のぬくもりや人の情を必要とするのではないでしょうか。もちろん、タブレット等のメカもあるほうがありがたいので、ぜひ導入を進めていただきたいと思いますが、取り組みを進めていく先で、ぜひともベトナム語対応のできる人的支援や安らかに身近で相談できる情的支援の配置も御検討いただきますよう、心を込めて要望を申し上げます。
次の質問に入ります。
日を追うごとに、県内企業・事業所の皆様から外国人材受け入れについての問い合わせをいただくことがふえてまいりましたが、失踪率はどれくらいかという趣旨の御質問もあわせていただくことが多いです。
本年3月末に公表されました法務省の調査結果によりますと、2018年末時点での技能実習生は32万8360人で、実習生の失踪者は前年から1963人増の9052人、失踪率は2.75%となっています。法務省のこの調査には、協力拒否や倒産などで調査できなかった実習先もあるとのことですが、技能実習生の失踪には受け入れ企業側の不正行為や単なる労働力としての雇用状況等、受け入れ企業側の責任が発生している場合もあると考えています。
また、日本の治安に関する意識や防犯意識など、雇用者からは学べない知恵や知識なども学ぶ機会があれば、暮らしやすさの実感につながり、雇用者も外国人材もより安心して生活を続けられるようになるのではと考えられます。
そこで、警察本部長にお尋ねいたします。
着実に多文化共生社会へと移っていく昨今、地域の安心・安全確保のために、外国人材受け入れに関して、県警察としてはどのような取り組みをしているでしょうか、警察本部長の御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(岸本 健君) 警察本部長檜垣重臣君。
〔檜垣重臣君、登壇〕
○警察本部長(檜垣重臣君) 警察としましては、平素から警察業務全般を通じて留学生や技能実習生を初めとした外国人材の受け入れ団体・企業や各種関係機関とも連携し、警察官が法令遵守や防犯、交通安全、災害対策等について、英語等の多言語資料等を活用しながら指導を行うなど、外国人の方々を含む地域の安全確保に努めております。
○議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 それでは、最後の項目に入らせていただきます。
今月3日午前、菅内閣官房長官を議長とするデジタル・ガバメント閣僚会議が首相官邸で開かれ、マイナンバーカードの普及に向けた工程表を決めたとメディア各社により報道されました。
マイナンバー制度は、給付金などの不正受給を防止する公平・公正な社会の実現、面倒な行政手続を簡単にする国民の利便性の向上、手続を無駄なく正確にする行政の効率化の三つを目的として導入され、全住民に割り当てられた共通番号・マイナンバーが平成27年10月より通知書送付によって順次通知されてきました。この通知書は、あくまでマイナンバーを本人に通知するための文書であり、マイナンバーの確認と本人確認を行うことができる身分証明書として、本人からの申請手続によりマイナンバーカードが交付されます。
そのマイナンバーカードの交付率は、現在、全国で約14%、本県では約11%となっていますが、デジタル・ガバメント閣僚会議の決めた工程表では、2021年3月からカードを健康保険証として使えるようにし、2023年3月には、ほぼ全ての医療機関で利用できる環境を整備するとともに、その時点でほとんどの住民がマイナンバーカードを保有するということでございます。
また、ことし10月の消費税率引き上げにあわせて始めるキャッシュレス決済のポイント還元制度が終わる来年6月末以降にも新たな消費活性化策を実施すると決め、マイナンバーカード保有者がスマートフォン決済等の入金額に応じて買い物などで利用できるポイントを付与することなどがその柱とされています。つまり、マイナンバーカードの普及と消費喚起の両立を目指すというものでございます。
この新たに決まりましたポイントにつきましては、まだまだ未確定の部分が多いわけでございますが、いずれにしましても、マイナンバーカードを保有していることによりそのメリットを享受できることになっています。つまり、県民の皆様にお一人でも多くマイナンバーカードを保有していただくことで、お一人でも多く新たなポイントのメリットを享受していだたけるわけでございます。
そこで、お尋ねいたします。
本県におけるマイナンバーカードの交付率及び普及に向けたPR方法について、総務部長の御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(岸本 健君) 総務部長田村一郎君。
〔田村一郎君、登壇〕
○総務部長(田村一郎君) マイナンバーカードの交付状況について、本年8月31日現在で交付枚数が、全国では約1773万枚、和歌山県では約10万枚、住基人口に対する交付枚数率が、全国で13.9%、和歌山県では10.9%となっております。
PR方法についてですが、県においては、マイナンバーカードの普及のため、制度開始の平成27年度以降、「出張!県政おはなし講座」や市町村主催の説明会への講師派遣など、延べ85回実施するとともに、冊子、リーフレットの配布や広報紙、ホームページへの掲載を行うなど、さまざまな広報に取り組んでおります。
平成30年度からは、加えて、市町村が主催するイベントや商業施設、確定申告会場などにおいて、啓発物資等を活用した周知広報や出張申請サービスを市町村と合同で開催しております。特に、市町村との合同による出張申請サービスについては、昨年11月から延べ35回開催し、2655名から申請を受け付けたところでございますが、テレビやラジオ、新聞などのメディアからも取り組みが紹介されたところでございます。
また、国の方針では、令和4年度中にほとんどの住民がマイナンバーカードを保有することを想定し、例えばマイナンバーカードを健康保険証として利用し、医療費控除の手続が簡便になるなど、カードの利便性、保有メリットの拡大が予定されているところでございます。
安全・安心で利便性の高いデジタル社会を実現するため、その基盤であるマイナンバーカードの必要性はますます高くなってまいりますので、市町村と協力しながら、国の動きとも合わせつつ、さまざまな取り組みを積極的に実施し、より多くの県民の皆様がマイナンバーカードを取得されますよう促してまいりたいと考えております。
○議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 先ほど申し上げました新たなポイントはマイナポイントと呼ばれ、このマイナンバーカードの保有者がスマートフォン向け決済サービスに現金をチャージすれば、全国で使えるポイントが付与されるという制度で、2020年7月以降に始めるとされています。
そして、そのポイントの付与率は、例えば2万円のチャージに対しては5000円分が付与される25%案等が検討されているということでございます。これまでのポイントとしましては、マイナンバーカードに組み込んだマイキーの情報に基づき、買い物などができる自治体ポイントを活用する方針で、各自治体がこの事業を活用するために、国費で運営するマイキープラットフォーム運用協議会に参加することとされていました。
本県内でも、ことし9月10日現在で、このマイキープラットフォーム運用協議会には和歌山市や橋本市を初め19市町村が参加し、既に自治体ポイントを実施されている自治体もございます。マイナポイントは、そのような自治体ポイントの活用から方針を変更するものであり、制度開始は来年7月以降とされていることから、各自治体の担当者からは適切な情報を速やかに受け取りたいとの声が聞こえてきます。
県内の各自治体が、全国他の自治体におくれをとることなく、またより多くの県民がマイナポイントを活用できるような国への対応及び県内市町村への取り組みについて、総務部長にお尋ねいたします。
○議長(岸本 健君) 総務部長。
〔田村一郎君、登壇〕
○総務部長(田村一郎君) マイナポイントについては、マイナンバーカードを活用した消費税率引き上げに伴う需要平準化策として、国において検討が進められているところでございます。
具体的な仕組みとしては、この9月12日に都道府県に対する国の説明が開催され、大まかなものが示されたところでございますが、国はマイナンバーカードを取得した方に対し、マイナポイントを国費で付与し、それを受け取った方は民間のキャッシュレス決済手続を活用して商品などを購入できるという方向性が検討されているとのことでございます。
制度の詳細はこれから詰められることになりますが、県としましては、制度で不明なところ等につきまして国に積極的に確認し、速やかに市町村に周知するなど、引き続きしっかりと情報収集や県民、市町村への広報、周知に取り組み、県民の方々にマイナンバーカードの取得をしていただけるよう、国・市町村とも連携しながらきめ細やかに対応してまいります。
○議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 田村総務部長には、総務省より御出向いただいております。本県出向中に、このマイナンバーカードの交付率やマイナポイントの導入に際しても多大な御実績を積んでいただきたいと思いますし、私も部長と一緒になって全力で取り組んでまいりますことをお誓い申し上げまして、私の人生9度目の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岸本 健君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。
議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
今回は、大きく4項目についてであります。
1番目に、まず性暴力の防止対策についてお伺いをしたいと思います。
皆さんは、フラワーデモというのを御存じでしょうか。これは、ことしの4月11日、東京で初めて行われまして、東京駅から真っすぐ伸びる行幸通りで大体300人か400人ぐらいの女性たちが、めいめいに花を持って集まったというふうなことが最初であります。
このフラワーデモというのは、ことしになってから性暴力被害を訴えた事件が次々と無罪判決になったことへの抗議の行動となっておりまして、その後、性被害に遭った方々の体験報告の場ともなって、その共感は全国に広がりを持ちまして、今、全国では21都市で行われているというふうなことになっています。
本日、議長のお許しをいただきまして、フラワーデモにちなんでお花のデモということで、お花を議員の皆さんに差し上げたいというふうに思います。これは、性犯罪のない社会になるように、祈りを込めてつくっていただきました。どうぞ奥様にでも、お嬢様にでもその趣旨をお伝えいただいて、受け取っていただけたらなというふうに思います。
本年に入って性暴力被害を訴えた裁判の無罪判決が言い渡された事件を、少し紹介したいと思います。
3月12日の福岡地裁です。飲み会で飲酒、酩酊した被害者が、抗拒不能であったことに乗じて姦淫した事例です。被告人は40代、被害者は20代です。裁判では、客観的には抗拒不能状態であったと認定しましたが、被告人が認識していなかったとして無罪になっています。
3月19日の静岡地裁の事件では、被告人が徒歩で通行中の被害者に声をかけ、コンビニ敷地内で口に指を入れて強引に開く等暴行を加え、反抗を著しく困難にして口腔性交させ、けがをさせた事例です。被告人の暴行が客観的に反抗を著しく困難なものであったと認定しましたが、被告人が認識していなかったとして無罪としています。
3月26日の名古屋地裁では、実子である娘に性的虐待を行っていた父親が、娘が19歳になったためレイプとなった事例です。被告が長年にわたる性的虐待などで被害者を精神的な支配下に置いていたと言えるとしながら、抗拒不能の状態にまで至っていたと断定するには、なお合理的な疑いが残るとして無罪としています。
3月28日の静岡地裁です。当時12歳の長女を父親がレイプしたとされる事件です。13歳未満と知りながら、自宅で性交したとしています。この事例は、唯一証拠たる被害者の供述が信用できず、姦淫被害の証明なしとして無罪となっています。
このような判決を受け、性暴力は許さない怒りの声とともに、同意なき性的行為はレイプとすべきだという法整備を求める声を届けるため、現在毎月11日には、先ほど言わせていただいたように、21都市でフラワーデモが行われています。
判決では、被害者の状態を考慮するのではなく、加害者が抵抗したと認識していなかったとして無罪となっているわけで、明らかに加害者側の論理となっています。抵抗しなかったから合意したのではなく、抵抗できなかったと捉えるべきだと考えます。
刑法性犯罪は2017年に改正されましたが、合意のない性行為を全てレイプであるとする国際的な共通認識からは、依然おくれていると言わざるを得ません。
そこで、知事に、全国21カ所で行われているこのフラワーデモについての御所見と、県は性暴力被害者にどのような支援を行っているのか、お伺いしたいと思います。
○議長(岸本 健君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のとおり、ことし3月、全国で相次ぎ4件の性暴力事案が1審無罪判決となったことを受けて、改めて性暴力被害者に対する同情と共感を感じてるところでございます。
無罪判決への抗議や、性暴力は許さないという声がネット上で自然発生的に大きくなって、ことし4月11日に御指摘の東京でデモが開催され、その後、毎月11日にこの声に賛同する人々が集うフラワーデモが全国各地で開催されるなど、大きな広がりを見せているものと認識しております。
具体的な事案については、事実関係とか、あるいは法律解釈のあり方について詳細を知り得ない者としては、個別の判決について意見を述べる立場にはないのでコメントは差し控えますけども、フラワーデモについて申し上げますと、性暴力は許さないという女性を中心とする人々の意思が感じられ、それから被害者は救われてしかるべきだという皆さんの気持ちが感じられるので、大変共感を感じるところであります。
言うまでもなく、また裁判中に、これは推測も交えて申し上げますが、法廷では無罪をかち取りたいほうの弁護士が、思い出したくないようなことを恐らくいろいろと被害者のほうに聞いて、それでさぞや嫌な思いをされたことではないかというふうに私は思います。そういう意味では本当に気の毒だというふうに思うわけであります。すなわち、言うまでもなく性暴力は著しい人権侵害であり、許してはいかんというふうに認識しておりまして、また、不幸にも被害に遭われた方々に対しては、寄り添った支援が必要であると考えます。
このような考え方に沿って、県においては、大分前になりますけども、平成25年、性暴力被害者のためのワンストップ支援センターとして、和歌山県立医科大学附属病院の中に性暴力救援センター和歌山、俗称では「わかやまmine」と言っておりますが、これを開設したところであります。少なくとも、当時は県がみずからこのような制度をつくっているところは和歌山県だけだったと思います。
わかやまmineでは、女性支援員が電話や対面で相談に対応するとともに、相談内容に応じて医療機関や県弁護士会、県臨床心理士会などの協力機関と連携のもとに、緊急医療や法律相談、カウンセリング等も行っております。裁判も見据えて、被害者の心情にも配慮しつつ証拠採取を行うほか、1人で警察に被害を申し出ることが難しい方に対しては支援員が警察署に同行する等の支援も行っております。
被害者の気持ちにしっかり寄り添いながら、被害者が一日も早く回復できるよう必要な支援を行うとともに、引き続き性暴力の撲滅に向けて取り組んでいかなけりゃいけないというふうに考えております。
○議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございました。
この性暴力というのは、本当に魂の殺人ともまた言われておりまして、被害に遭った上にまた裁判でまたもう一度被害に遭うというふうな、そういうことも今、知事おっしゃったように行われているわけで、本当に何としてもやっぱりこの点については皆さんの力をおかりしたいなというふうに思っています。
知事は控訴中の事件へのコメントを控えるということですが、どうしてもやはり同じような思いで、許すことのできない事件だというふうに思っています。
無罪となった理由が、加害者が被害者の抵抗があったと認識していなかったというものなんですよね。だから、加害してる人が被害者が抵抗してると思わなかったために無罪となるという、こういった法的な不備があるということで、近年、この性犯罪に関しては法律が改正されているんですが、合意なき性交は性暴力であるといったさらなる改正が必要だというふうに強く訴えていきたいというふうに思います。
次に、知事の答弁の中にもありましたが、性暴力救援センターmine、県が直轄して運営していただいている、全国ではとても貴重なセンターとなっているんですが、その現状と課題についてお伺いしたいと思います。
これ平成25年に設立されておりまして、本当に今言わせていただいたみたいに地方公共団体が運営するセンターとしては全国で2例目の設立というふうなことで。
性犯罪被害は、他の犯罪と比べて被害直後の急性期医療から継続的な支援まで多様な支援が必要であるということや、健康被害が大きく、回復に時間がかかるというふうに言われています。また、被害に遭っても遭ったことを打ち明けにくく、事件が顕在化しにくいという特徴があります。内閣府の平成29年男女間における暴力に関する調査報告では、被害女性の警察への申告率は何と2.8%です。誰にも打ち明けられなかった人は58.9%となっています。半分以上が打ち明けられていないというふうな現状です。
性暴力救援センターmineの果たす役割は、そういう意味では大変大きいものと言えます。平成27年に質問させていただいたときには、人員の増員を強く要望しておりますが、まず、現在、わかやまmineでの取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
電話相談、来所相談も合わせて過去5年間を見てみると、平成26年311件、27年482件、28年539件、29年604件、30年578件となって、年々右肩で相談がふえているわけですが、対応する職員体制や支援体制はどうなっているのか、十分な対応はできているのか、お伺いします。
また、わかやまmineに来所できない相談者については、どのような支援を行っているのでしょうか。5年間の経過の中で、被害者から見えてきたことはありますか。性暴力被害防止のために、今後どのような取り組みを行っていくのか、福祉保健部長に一括してお伺いします。
○議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
〔宮本浩之君、登壇〕
○福祉保健部長(宮本浩之君) わかやまmineは、平成25年7月に開所し、平成27年度から女性に関するあらゆる相談に対応する子ども・女性・障害者相談センターの女性相談課に再編し、組織体制を整えたところです。
病院拠点型の県直営ワンストップセンターは全国的にも珍しく、児童相談所や婦人相談所はもちろん、警察や医療機関、県弁護士会、県臨床心理士会等との関係機関との十分な連携のもと、効果的な支援を行っています。
職員は9名体制で、うち1名がわかやまmine専従、8名は女性相談課と兼務となっています。また、それ以外に13名の電話相談員を確保し、輪番で夜間や土日祝日の電話対応に当たり、緊急医療が必要な事案が発生した場合には職員が対応できる体制を整え、被害者に寄り添った必要な支援を提供できるよう、女性相談課全体でわかやまmineの業務を支えています。
さらに、わかやまmineに来所できない遠方の被害者支援のため、橋本市や御坊市以南の圏域では協力医療機関を確保し、必要に応じ振興局職員が医療機関への同行支援を行う体制も整えており、県内全ての方に支援が行き届くようにしているところです。
昨年度のわかやまmineにおける相談件数は延べ578件であり、そのうち約半数は10代の若者となっています。家出などにより警察に保護され、性非行として児童相談所に通告された後、わかやまmineに来所する事例など、家庭にも学校にも居場所がない子供たちが性暴力被害に遭っている状況も見受けられます。
このような状況を受け、わかやまmineでは、小中学校や特別支援学校、児童養護施設等と連携のもと、職員を派遣し、性教育の実施やわかやまmineの周知にも力を入れているところです。
今後も、引き続き学校や医療機関等を通じ、パンフレットや相談カードを配付するとともに、県ホームページや広報紙掲載等、さまざまな媒体を通じ、わかやまmineを1人でも多くの方に知ってもらえるよう周知に努めてまいります。
○議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございます。
mineにおける相談件数の半分が若者ということで、家庭にも学校にも居場所のない子供が性暴力被害に遭っているという状況を考えると、やっぱり教育とか福祉とか、それから関係機関によるさらなる連携が必要だと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。さらに、マンパワーもしっかりとお願いしたいと思います。
次に、教育委員会にお伺いしたいと思います。
今、福祉保健部長の答弁にもありましたけど、性暴力の被害者というのは圧倒的に10代の子供だと。また、10歳以下の子供も被害に遭っている状況ということがあります。近年は、特にインターネット、スマートフォンの普及等で、インターネットを介した子供の性被害、急増しているというふうに言われています。これからも本当に性に関する指導は大変重要だというふうに思っています。
そこで、性暴力から子供を守るために、実践的でリアルな性に関する指導をお願いしたところ、その当時の教育長からは、性に関する指導においては、時代の変化や児童生徒の実態に応じて指導することが重要であり、性被害等の今日的課題に対応するため、「性に関する指導の手引」を見直すとともに、研修会を充実し、性被害を含む性に関する指導が適切に行われるよう、各学校を指導してまいりますとの答弁でありました。
2年が経過しておりますが、「性に関する指導の手引」の見直しの進捗はどうなっていますか。研修会を充実し、性被害を含む性に関する指導は、その後適切に行われているのか、お伺いします。
○議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 「性に関する指導の手引」は、新学習指導要領に沿って、学習指導案の作成に取りかかっております。今後、専門家や教員等による協議を経て、令和2年度中に完成させます。
また、性に関する諸課題や指導方法についての研修会は毎年開催しており、性に関する指導が全教職員の共通理解のもと進むように取り組んでいます。
さらに、インターネットを介した性犯罪から子供を守るため、スマホ使用のルールづくりを進めています。
今後は、「性に関する指導の手引」を活用し、児童生徒が正しい知識を身につけ、性行動等にかかわる危険を回避できるよう、性に関する指導を充実してまいります。
○議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 教育委員会には2年前にこの手引をお願いしてありまして、ちょっと取り組みの遅さを指摘せざるを得ないというふうに思います。これからまだ専門家とか教員の協議を行うということですので、答弁をいただいてからでき上がるまで4年もかかると、そんな遅いことでどうするんだというふうに思います。
1年生は、1年生入学すれば2年たったら3年生になるわけで、あとまた2年たてば4年生、5年生になっていくわけですよね。そんな子供たちの貴重な時間というのは待ってくれないわけですから、その間にもこういうふうに、福祉保健部長がおっしゃったみたいに被害はふえているわけです。もう大変、教育委員会にはそういったこともしっかりと踏まえて取り組んでいただきたいというふうに思います。これは、苦言を呈しておきたいと思います。
それでは、次に移ります。
子供の貧困対策についてお伺いしたいと思います。
平成26年1月に、子どもの貧困対策推進に関する法律が施行されました。その2年後の平成28年の9月議会で、子供の貧困の実態はどうなっているかと質問させていただきました。28年度中に計画を策定するとの答弁でありまして、実態調査については検討していくとのことでした。法律が施行されて2年経過しておりましたが、実態がわからなければ対策が打てないのではと、実態調査を要望した経緯があります。
本年3月、和歌山県子供の生活実態調査結果報告書がようやくまとめられました。子どもの貧困対策の推進に関する法律が施行されて、何と5年が経過しており、県としての取り組みのおくれは否めません。
さて、今回、実態調査の結果、教育環境、子供の社会性、子供の生活習慣、保護者の状況、今後の取り組みがまとめられました。この調査を生かすためにも、これからの具体的な取り組みが試されています。そこで、実態調査の結果を踏まえ、今後具体的にどのようなことに取り組むのでしょうか。
また、調査ではひとり親家庭、とりわけ母子家庭の貧困率が高い結果となっています。パートで働く方も多く、収入が足りないためにダブルワークをしている方もいらっしゃいます。昼間の仕事では生活できないので、夜の仕事についてる方も大勢いらっしゃいます。
また、母子家庭の生活が苦しい原因の一つに、養育費の問題があると思います。養育費を支払っていない父親が大変多いとの調査結果もあります。全国的に見ると、養育費を払っているのは24%ということです。日本は、離婚することがとても簡単な国だと言われておりまして、欧米先進諸国では親権の問題や養育費の問題などをきちんと協議しないと離婚できないと聞いております。親権が母親になったとして、父親の責任として養育費は支払うべきという仕組みが必要だと思います。そんな中で、ひとり親家庭に対してどのような支援を行っていくのでしょうか。
実態調査のまとめでは、今後、貧困対策庁内検討会で既存72事業の見直しを進め、市町村とも連携しながら全庁体制で取り組んでいくとしています。また、ことし改正された法律では、市町村の貧困対策計画の策定が努力義務とされており、市町村との一層の連携が必要です。
さらに、全庁体制はもちろんですが、貧困問題を社会問題と捉え、県民運動に発展させていかなければならないと考えます。和歌山県全体で子供たちを支える体制が必要だと思います。そのためにも市町村だけではなく、教育、医療、福祉、経済界、労働団体など、幅広い県民の皆さんに参加していただき、1人でも多くの子供たちを支援していただきたいと思います。県の見解を福祉保健部長にお伺いします。
○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
〔宮本浩之君、登壇〕
○福祉保健部長(宮本浩之君) 昨年度、小学5年生及び中学2年生の全員及びその保護者を対象として実施した和歌山県子供の生活実態調査では、家庭の経済状況が子供の学習状況や社会性、生活習慣等にどのような影響を及ぼしているのかを分析いたしました。
調査結果から、経済的に厳しい世帯の子供ほど、「学校の授業がいつもわかる」と回答した子供の割合が低いこと、塾や習い事をしている割合や宿題の履行率が低く、学校外における学習習慣が定着していない傾向にあること、世帯の経済状況により進学を諦めたり進学のイメージを持てない傾向にあること、また、同じ所得状況でも、図書館を利用したり、新聞やニュース等を話題にする等の文化的活動の経験が多い子供のほうが授業を理解していること等が明らかになりました。
子供の貧困対策においては、貧困の世代間連鎖を断ち切ることが重要であり、そのためには、将来の所得を決める大きな要素である子供の学力を高めることも重要です。
経済状況にかかわらず、全ての子供が質の高い教育を受けることができるよう、学校を子供の貧困対策のプラットホームと位置づけ、学力を保障するとともに、子供の居場所づくり等、地域における学習支援の拡充を進めていく必要があります。
また、議員御指摘のとおり、特にひとり親家庭において経済的に厳しい世帯の割合が高く、また同じ所得状況でも、ひとり親家庭の保護者のほうが精神的にストレスを感じている割合が高くなっています。
県としましては、ひとり親家庭の保護者が自立し、安定した生活を営むことができるよう、児童扶養手当を支給するとともに、看護師や介護福祉士等の資格を取得するための学校に通う場合に、その間の生活を支える給付金の支給や、学校への入学時や就職時に必要な一時金の貸し付けなどの経済的支援を実施しています。
また、県母子家庭等就業・自立支援センターを活用し、一人一人に寄り添った就業相談や各種講習会を実施しています。
さらに、弁護士相談を活用し、離婚に際する養育費支払いに関する協議や、離婚後の養育費確保に対する支援も行っています。
また、ひとり親になったばかり等でどのような支援が受けられるのか情報が少ない方々に対し、支援員が主体的、積極的に情報を届けるための方策を検討しているところです。
現在、9部局24課室で構成する庁内会議において、新たな事業の展開も含め、既存事業の点検、見直しを行っているところです。見直しを行う支援策については、市町村や市町村教育委員会を初め、民生委員・児童委員、ひとり親家庭当事者団体、こども食堂を主宰する団体等、子供を取り巻く関係機関と連携しながら取り組んでいきます。
さらに、子供の貧困対策を進めるためには、議員御指摘のとおり、広く社会全体の理解のもとで取り組んでいく必要があることから、本県の現状や支援策について、県ホームページや広報紙等を活用して、幅広く周知徹底を図ってまいります。
○議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 ありがとうございました。
御答弁いただきまして、これから具体的に対策を進めていっていただきたいと思うんですが、その中で、きのうの「毎日新聞」で、明石市が、今先ほど私の質問の中に入っていたんですが、養育費の受け取りを支援する条例を検討しているという記事が掲載されておりまして、ことし5月に成立した改正民事執行法で、来春までに裁判所の命令で、金融機関や市町村が債務者の預貯金や勤務先の情報を債権者に提供できる制度が創設されることになったそうです。制度と条例を連動させて、市職員が裁判手続について説明するなど、債権者のひとり親を支援するといった内容でありました。
子供の貧困を考える上では、ひとり親家庭がすごい貧困率が高いということを考えると、養育費の問題一つとっても一石を投じたものだというふうに感じました。こんなふうに具体的にやはり施策を進めていっていただきたいというふうなことを思っています。
それから、9部局24課室で既存事業の72事業でしたか、点検、見直しを行っていくということですので、その際には数値目標をやはり設定していただいて、毎年点検するといった作業を行っていくということが、とても私は大事だというふうに思っているので、ぜひ検討していただいて要望したいというふうに思います。
また、質問の中でも言わせてもらいましたけど、子供を取り巻く福祉とか教育とかの関係機関だけじゃなくて、本当に県民運動としてこの問題を進めていっていただきたいと思いますので、その点についても今後の要望というふうにしたいと思います。
次に、児童虐待防止について質問させていただきます。
先日も本当に虐待で子供が死亡する事件が、また新聞等で報道されておりました。虐待による死亡事件が後を絶たない状況です。国の社会保障審議会の要保護事例の専門部会によると、29年度の虐待による死亡事例が65人、心中が13人、心中以外が52人というふうになっています。
国のほうも、児童の最善の利益を優先するよう、法の改善を重ねてきています。令和2年4月1日施行の児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律では、児童の権利擁護と親権者による体罰の禁止が明記されました。法的整備は少しずつ進んでいるんですが、それを実行する行政も、児童相談所等の現場も、マンパワーの対応が追いついていないというのが状況だと考えます。また、里親等への社会の理解もなかなか進まない状況であると考えます。そういった状況を踏まえ、質問したいと思います。
平成29年8月に、新たな社会的養育の在り方に関する検討会において、新しい社会養育ビジョンが取りまとめられました。ここでは家庭養育優先原則を徹底し、子供の最善の利益を追求していくことが求められました。
県でも、それを受け、既存の都道府県推進計画を全面的に見直し、新たな都道府県養育推進計画の策定を進めなければなりません。この都道府県推進計画は10年計画となっており、今年度中の作成と聞いております。その中で、記載事項として11項目挙げられておりますが、4項目についてお伺いしたいと思います。
まず、市町村との連携体制の構築に向けた都道府県の取り組み状況をお聞かせください。
次に、里親等の委託推進に向けた取り組み状況はどうなっていますか。現在、2カ所の里親支援センターが設置されていますが、里親委託率がなかなか伸びない状況です。県として、今後の取り組みをお聞かせください。
計画では、一時保護改革に向けた取り組みが求められています。現在、毛見にある児童相談所に一時保護所が設けられていますが、平成7年に建築された当時の基準を満たしているとは聞いていますが、複数人の相部屋となっており、狭小で、暮らす環境としては劣悪だと思います。一時保護されても、里親や施設の入所調整に時間を要するなどにより、2カ月以上も一時保護所で暮らしている児童生徒がいるとお聞きします。その間、学校には通えませんので、一時保護所でプリント等の学習をしていると聞いています。
一時保護されている子供たちの教育の保障ができていません。このような一時保護所の改善が求められていると考えますが、県としての今後の取り組みをお聞きします。
最後に、社会的養護自立支援の推進に向けた取り組みとして、里親家庭や児童養護施設を退所するに当たっての支援のアフターケアの状況はどうなっていますか、一括して福祉保健部長にお伺いします。
○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
〔宮本浩之君、登壇〕
○福祉保健部長(宮本浩之君) 児童虐待対策について、4点あわせてお答えいたします。
まず、1点目の市町村と連携した児童虐待対策の取り組みについてです。
児童相談所や市町村に通告があった児童虐待事案は、速やかに児童の安全確認を行い、一時保護や措置が必要とされる事案は専門的知識や技術を有する児童相談所が対応し、在宅での支援が可能な事案は市町村が対応するなど、役割分担をしているところです。
児童相談所では、一時保護や児童養護施設等への入所措置を行った場合は、家庭の状況を正確に把握し、虐待を行った保護者に対して、明確かつ詳細な援助方針を作成した上で、子育ての方法や親自身のストレスの管理の学習、児童福祉司による家庭への助言・指導を行うなど、家族再統合に向けた取り組みを行っているところです。
また、児童相談所が入所措置等を行った児童の家庭復帰を決定する際には、事前に市町村等と十分協議を行い、民生・児童委員や学識経験者などで構成する措置専門部会で意見を求め、より慎重な判断をしており、家庭復帰後は、児童相談所の支援のもと市町村が主体となり見守りを行っているところです。
昨年度、こうした役割分担を改めて明確化するために、和歌山の子・みまもり体制に関する協定書を全市町村と締結し、地域での相談支援体制を一層強化したところです。
さらに、地域で児童虐待対応を担う市町村職員の知識・技術の向上も重要であることから、児童虐待のサインを見逃すことなく、早期に発見し、確実に対応するノウハウや児童相談業務に必要となる支援会議の運営方法等を学ぶための研修会を実施し、市町村職員の資質の確保を図っているところです。
今後とも、児童の安全を最優先に、引き続き市町村と連携した児童虐待対応に取り組んでまいります。
次に、2点目の里親委託推進に係る県の取り組みについてです。
児童虐待等の理由により保護者と一緒に暮らすことができない子供たちの健やかな成長のためには、より家庭的な環境で、特定の大人との愛着関係の中で養育されることが必要であり、県としても家庭的な環境を提供する里親への委託を推進していくこととしています。
そのためには、まずは県民に里親制度について正しく理解していただくことにより、里親に関心を持ち、里親となる方をふやすこと、また里親となった方が育児に悩むことがないようフォローを行っていくことが重要です。
県においては、広報紙やラジオなどのさまざまな媒体を活用した広報等に加え、各地域で里親を育て、支えていく体制を構築するため、平成24年度から里親制度の周知啓発や里親のリクルートを担う里親支援機関とも連携し、ショッピングモール等の人が多く集まる場での街頭啓発や、里親に興味を持っている方への詳しい制度の説明等を行う相談会を県内各地で開催するとともに、里親となった方が養育の悩みなどを話し合う里親サロンの開催、里親家庭を訪問して養育に関する助言や指導を行う訪問支援など、里親委託を推進するための取り組みを進めてまいりました。
このような取り組みにより、平成23年度に72世帯であった里親登録数が、昨年度末時点で129世帯と増加につながってきたところです。さらに、昨年度には、里親支援機関、市町村、社会福祉協議会、民生委員児童委員協議会など、子供たちを取り巻く関係機関が里親に関するさまざまな情報を共有し、それぞれの地域において里親の登録を進めることができるよう、関係機関が一堂に会する連絡会を紀南地方に立ち上げたところであり、今年度は紀北地方でも同様の連絡会を立ち上げる予定です。
今後、構成団体と連携し、地域住民に対する里親制度の学習会を開催することなども積極的に働きかけていくとともに、それぞれの団体が各地域における潜在的な里親候補者を掘り起こすとともに、その方々へのリクルート活動などを積極的に行うことにより、里親の増加に向けた取り組みを進めることとしています。
今後とも、こうした取り組みを継続するとともに、他府県での取り組み事例も参考としながら、里親制度の普及啓発や新規里親登録の増加などを推し進めてまいります。
次に、3点目の一時保護所における児童の権利擁護についてです。
国が平成29年に示した児童相談所運営方針や昨年示した一時保護ガイドラインにおいては、一時保護された児童の安全の確保のみならず、児童の居室を原則個室とすることが新たに示されるとともに、児童の状態に合わせた個別的なケアを行うこと、児童の学習権を保障することなど、児童の権利擁護の取り組みをより一層強化することが求められており、県としてもこのガイドラインを踏まえた対応をしていくことが必要であると考えています。
まず、現在の一時保護所の居室については、1部屋当たり3名から4名が入居する形態となっています。児童同士の暴力やいじめなどがなく、児童が落ちついて生活ができるよう、児童の年齢等を考慮した部屋割りなどの工夫もしているところですが、今後どのような対応が可能か、検討を進めてまいります。
児童への日常的な支援については、一時保護所の生活を通して、洗面、排せつ、食事などの生活習慣を身につけることができるよう、児童指導員が生活支援を行い、また、スポーツやレクリエーション活動などをすることで心身の安定を図っているところです。
さらに、一時保護された直後の環境になじむまでの間や、精神的に不安定な兆候が見られる場合など、集団生活を行うことが難しい個別的なケアが必要な児童については、集団から離れて1人で過ごせる環境を用意したり、職員が児童との面接を通じて一時保護所での生活に関する意見、要望を聞き取って改善を図るなど、一人一人の状況に応じたきめ細やかな支援を行っています。
次に、児童の学習保障においては、児童の安全を確保する観点から、学校へ通学させることが困難と思われる事例が多いため、一時保護所に3名の教員を配置し、児童の学年、学習の進捗度合い、精神状況など、個々の児童の状況を見きわめながら、学校の授業のかわりとなる学習を提供しているところです。
県としましては、引き続き個々の児童の特性に応じた対応を行うとともに、児童が安心して過ごせる環境をつくれるよう取り組んでまいります。
最後に、4点目の児童養護施設等の退所者への支援についてです。
児童養護施設等の退所者については、保護者等の身近な大人によるサポートが期待できないことが多い中で、就職や進学等、新たな社会に踏み出すこととなるため、特に生活が軌道に乗るまでの間はさまざまな悩みの相談を受け、サポートを行うことにより、退所者の自立を促進することが必要不可欠と考えています。
このため、県においては、退所児童等のサポートを行う支援相談員を配置し、児童等が施設を退所する前から児童養護施設等を訪問して面談を行い、進路等の相談に応じるとともに、社会でのマナーや社会に潜むネット犯罪などの危険性など、社会生活で必要となる知識を習得する機会を設け、退所後のトラブルの未然防止に取り組んでいます。
また、施設の退所後は、支援相談員が電話や手紙などにより定期的に生活状況を確認するほか、退所者の心のよりどころとなる場を確保し、退所者同士や支援相談員と意見交換や情報交換を行うことで、退所者が1人で悩みを抱えることのないよう、仕事や生活での不安を解消できるよう支援を行っているところです。
さらに、こうした取り組みに加えて、就職や進学した退所者が経済的にも安定した生活を送れるよう、生活費や家賃などの貸し付けも行っています。
今後とも、入所中から退所後の自立を見据えた取り組みを継続して行い、退所者の社会的自立の促進を図ってまいります。
○議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございました。
1点の質問項目の中で、一時保護のことだけちょっと要望したいと思うんですが、答弁でも検討していかなくちゃいけないというふうなことでありましたし、居室の原則個室化とか個別ケアとか、学習権の保障の改善が求められているというふうなことで、今現在は男女の分ける部屋もないような状態だというふうに思っていますので、その辺は本当は検討していただきたいと思うんです。
将来、このままではなかなかいかないので、建てかえかどういうことにするのかはちょっと聞いておりませんが、時期が来たら今の場所の建てかえということになると、大変危険だというふうに私は思っておりまして、3連動地震では毛見地区は1メートルの津波の到達時間が49分、巨大地震が47分で到達するというふうに予想されておりまして、また最大の津波高が3連動地震では6メーター、巨大地震では7メーターというふうになっています。
この一時保護所のある和歌山県子ども・女性・障害者相談センターは、さまざまな被害や困難を抱えた子供、女性、障害者の人たちが相談や保護を求めて来所する場所です。災害等で避難しなければならない場所は、適当でないというふうに思います。一時保護された子供たちが安心して過ごせる場所をお考えいただきたいというふうに思いまして、この問題については将来十分お考えいただきたいということを要望しておきたいと思います。大変危険な場所だなというふうに思います。
最後に、小型ロケットの射場建設に伴う県の取り組みについてお伺いします。
先日9月の3日から5日にかけて、改新クラブで県内調査を行ってきました。串本町に建設予定の国内民間初の小型ロケット射場について、地元串本町役場の担当課に説明をいただき、実際、建設現場の様子を視察してまいりました。ロケット射場の誘致による経済効果や地域の活性化は言うまでもありませんが、地元でどのような取り組みが進められているのか、直接お聞きしてきました。
役場企画課の濱地課長、民間ロケット射場誘致推進室の平井さんから説明をいただき、誘致に向けた取り組みの御苦労や今後、将来に向けての取り組みをお聞きしてきました。
射場建設に際して、1キロ圏内に民家があっては危険であるとの申し出に、担当者が、現在住まわれている方々の家を1軒1軒訪問して説得し、その移転に同意していただいたいきさつや苦労話など、担当でなければ聞けないお話もお聞きできました。「射場誘致については、地元では誰も反対意見がなかったのが本当に幸いでした」との言葉が大変印象的でした。
紀南地方への企業誘致は大変厳しい状況がある中で、今回の射場誘致について、地元串本で反対がなかったという事実は、雇用への期待や地元発展のための起爆剤になるであろうと感じる町民の期待の大きさだと感じました。
本年3月にスペースワン社が建設する小型ロケット射場が串本町に決定したとの発表を受けて、半年余りしかたっていない中で現場を視察させていただき、工事の進捗に正直びっくりいたしました。42号線から浦神半島を越えてロケット射場までのアクセス道路が建設されているのですが、進入路の工事も着実に進められており、建設予定の組み立て工場なども基礎部分が既にもう着手されているような、そんな状態でした。
説明していただいた清水建設の方は、2021年度には全てを完成させる予定であると説明されていました。2021年といえばあっという間です。2021年には初打ち上げを予定しているということですので、こちらの取り組みを急がなくてはならないと痛感しました。
射場は、山に囲まれたくぼ地に建設される予定ですので、観光客がじかに発射の現場を見ることは難しいと思われます。そのため、発射の瞬間を見ることのできる大型スクリーンを備えた見学場を設置する必要があります。また、トイレ等の問題も考えておかなければなりません。
鹿児島県の肝付町に所在するJAXA内之浦宇宙空間観測所では、打ち上げに際して、少ないときでも2000人、多いときには2万人程度の観光客が同地を訪れたと聞いており、本県串本町は関西都市圏のみならず、名古屋圏にも近いことを考慮すると、それ以上の観光客が来県する可能性を考える必要があるのではないかと考えています。その方々が仮に車でお越しのときは、串本を挟んで大規模な渋滞が発生するのではないかと懸念しています。
このような問題については、串本町だけではなく、近隣市町村との連携が必要と考えます。また、内之浦ではその見物客を観光に誘導する取り組みが弱いとお聞きしています。観光資源に恵まれた和歌山県として、打ち上げを観光にどのように生かすかが重要だと考えます。
6月議会でも、佐藤議員への答弁で、知事は、見学場所や駐車場をどのように確保していくかといったことも重要な課題であると答弁していただいております。また、ロケット打ち上げだけを見て帰るというのではなく、和歌山県の魅力を体験してもらえるよう取り組んでいくと答弁されています。
産業の発展や観光客の来訪など、大きな経済効果が期待されるロケット事業が今後スムーズに進められるよう、全力で取り組んでいっていただきたいと思います。
そこで、商工観光労働部長にお伺いします。
ロケット打ち上げに向け、串本町、那智勝浦町だけではなく、広域的な取り組みが重要と考えますが、見解をお伺いします。
○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。
〔稲本英介君、登壇〕
○商工観光労働部長(稲本英介君) 世界では、技術革新による小型衛星の高性能化や、衛星で収集した情報を利用するための技術の進展などを背景に、衛星をビジネスで利用しようという動きが活発化しており、宇宙分野の市場規模は急速に拡大してきております。
このような状況の中で、串本で実施されるロケットの打ち上げは、日本では民間で誰もやったことがない、また世界でも余り例を見ないチャレンジングな事業であり、この事業の成功により、和歌山において衛星関連の企業や高度な技術を持った宇宙・ロケット分野の人材が多く集まり、最先端の宇宙ビジネスの世界的な拠点になっていく可能性が期待できることから、引き続きスペースワン社の取り組みを応援していくつもりです。
このため、まずは地域住民以外にも、串本といえば宇宙、そしてロケットだと思ってもらえるように情報発信を行っていくことが重要だと考えております。去る8月25日に、第1弾の取り組みとして串本でシンポジウムを開催し、県内外から約600名の参加を得たところであり、今後も継続して情報発信を続けてまいります。
また、観光面での取り組みでは、世界遺産である熊野古道や温泉、美しい自然といった近隣の観光資源とうまく組み合わせてPRしていくことが重要だと考えております。一方で、そのためには、見学場所や駐車場の整備、想定される渋滞への対策などもあわせて検討していく必要があります。
これらについては、串本町に限らない広域的な検討が必要となるため、県が中心となって行政機関や商工団体、交通関係の機関等から構成される協議会を近々設立し、地元関係者による具体的なアイデアも交えながら、2021年度中に予定されている初回の打ち上げに向けて、早急に検討を進めてまいりたいと思います。
○議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 ありがとうございました。
県で8月に宇宙をテーマにしたシンポジウムを開催していたんですが、どうしても都合がつかず参加できなくて、本当とても残念でした。シンポジウムには全国から参加者が来られたというふうに聞いておりまして、県内の高校生も大勢参加したというふうにお聞きしました。今回のシンポジウムは、中高生や若い人たちに本当に夢や希望を与えられたんじゃないかなと思います。
以前、缶サット甲子園というお話を御紹介しました。1メートルぐらいの高さで、直径8センチぐらいの筒状になったロケットに缶を搭載して、高度100メートルぐらいまで飛翔させた後、上空でパンと放出させ、中に入っている缶をパラシュートとともに落下させるという競技で、上空でデータを取得したり無事に回収するという一連のプロセスを発表していくという、宇宙開発の中でも特に基本的な技術を競う大会です。
2019年、缶サット甲子園が7月に終了しましたが、ことしは向陽高校が優勝して全国大会に出場すると聞いています。和歌山市コスモパーク加太で毎年行われるこの大会には、7校出場しているんですが、4校が県内の高校です。すばらしいことだと思います。このように、和歌山県にも科学技術に興味を持ち、これからの宇宙開発の担い手になるであろう人材が育っています。高校生のときの体験が串本で生かせる、そんな夢が実現する日も近いかもしれません。大いに期待したいと思います。
そこで、教育委員会にお伺いします。
今後、ロケット発射場建設に伴い、小型衛星に搭載したロケットの組み立て、打ち上げに伴う高度な技術力と頭脳が必要とされる人材が集積されてきます。宇宙関連産業の集積も見込める中、さらに多くの優秀な人材が紀南に居住する可能性が高くなってきました。地元だけではなく、和歌山県の児童生徒にも大きな影響があるものと思われます。そのような人材を小学校や中学校、高校の教育の中で生かしていただけるような取り組みをぜひ考えていただきたいと思います。
また、1人でも多くの子供たちが科学に興味を持ち、宇宙に関心を持てるような取り組みを進めていただきたいと思いますが、教育長に御答弁をお願いします。
○議長(岸本 健君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 串本町にロケットの射場が建設され、子供たちがロケット発射の様子を目の当たりにし、その迫力や高度な技術を体感することは、好奇心や探究心を大いに刺激する貴重な体験になると考えます。また、本県が日本で最初の民間のロケット射場として選ばれたことは、子供たちの地元に対する誇りや期待につながると思います。
8月25日に開催された「宇宙シンポジウムin串本」には、近隣の学校を中心に60名を超える中学生や高校生が参加し、地元にできるロケット射場への関心を一層高め、将来への夢を膨らませたことと思います。
また、缶サットに関しましては、今御紹介いただいた向陽高等学校以外にも、昨年度は桐蔭高等学校が全国大会で優勝し、世界大会に出場するなど、高度な知識と技術を有する生徒が育っています。このような生徒たちが将来活躍できる和歌山県になることを期待したいと思います。
今回のロケット射場の建設を機に、本県の子供たちの宇宙を初め科学への興味・関心を一層高めたいと考えています。さらに、9月12日の宇宙の日から始まる約1カ月間の「宇宙の日ふれあい月間」など、宇宙に関して機運が高まる期間を中心に、関係機関とも連携しながら、より教育活動の幅を広げてまいりたいと考えています。
○議長(岸本 健君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 そういったことを考えると、本当にわくわくしてきます。県としてはやっぱりスピード感を持ってね。2年も3年も4年も、さっきも言うたけど、おくれてるようじゃ困りますので、スピード感を持ってしっかりと取り組んでいただくことを強く要望して、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岸本 健君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時43分休憩
午後1時0分再開
○副議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
〔玉木久登君、登壇〕(拍手)
○玉木久登君 皆さん、こんにちは。
議長のお許しをいただき、一般質問をさせていただきます。御清聴のほどよろしくお願い申し上げます。
一般質問に入る前にお時間をいただきまして、先月開催されました全国みかん生産県議会議員対策協議会の現地研修会の報告をさせていただきます。
当協議会は、ミカンを生産する16県の県議会議員で構成され、尾崎要二議員が顧問、岸本健議長が副会長を務め、政府や関係省庁に対し、ミカン農家の所得向上や経営安定のための生産振興対策を初め、選果場等の施設整備、消費拡大対策、学校給食へのミカンの利用促進に加え、昨今頻繁に発生する農地災害復旧等に対し積極的かつ柔軟に対応するよう、年2回要望・提案活動を行っております。
今回の現地研修会は、昨年7月に発生しました西日本豪雨災害によりかんきつ農業が大きな被害を受け、現在、懸命な復興活動に取り組んでいる愛媛県において、8月21日と22日の2日間の日程で行われ、当県からは尾崎要二議員、岸本健議長、そして、私の3名が参加いたしました。
初日の研修場所は宇和島市でした。宇和島市は、豊後水道に面した愛媛県西部の中央に位置をし、愛媛県農林水産研究所果樹研究センターみかん研究所も設置されている愛媛県のミカン生産の中核地で、今回の豪雨で最も大きな災害を受けた場所でもあります。
研修は、みかん研究所で被災状況と災害復旧の進捗状況の説明があり、その後、宇和島市内の被災地の現場を視察するという手順で行われました。
まず、被災状況については、愛媛県農林水産部道管農業振興局長から説明がありました。その資料を目にして、まず飛び込んできたのが、この豪雨災害による人的被害の大きさでした。死者29名、安否不明者1名、重傷者29名、また、住宅被害は全壊632棟、半壊3212棟、床上・床下浸水3052棟など、想像を絶する被害状況に胸が締めつけられる思いでした。改めまして、お亡くなりになりました方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われました方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
続いて、県内全体の農業被害の説明があり、総額は467億円に及んでいたそうです。内訳は、農地や農道、農業水利施設、ため池などの農地・農業用施設の被害が約6200件で354億円、農業用ハウスの被害が1万2000件で62億円、農作物や樹体などの被害が1800ヘクタールで47億円、そのうち、かんきつ関係は89%の42億円とのことです。そのほかにも共同利用施設の被害が17件で4億円がありました。
次に、これらの被害の復旧に向けた取り組みについて、愛媛県南予地方局産業経済部・川本復興監から説明がありました。復旧は大きく分けて四つのスキームで行う方針であるとのことでした。
一つ目は、被災農道の迂回路確保やスプリンクラー、モノラックなど、早期に復旧する応急対策、二つ目は、被災した部分をできる限り被災前の形状に復旧する原形復旧、三つ目は、災害復旧事業や災害関連事業を活用し、被災した急傾斜園地を緩傾斜園地に改良して復旧を行う改良復旧、四つ目は、国庫補助事業農地中間管理機構関連農地整備事業を活用し、周辺の未被災園地とあわせて広範囲で区画整理を行い、その際に園地の緩傾斜化や道路、水路の整備を総合的に行う再編復旧、以上の四つのスキームであります。
応急対策では、復旧工事が着工可能な園地から順次敏速に進められ、大がかりな農地の復旧工事を要する園地を除くと、驚くことに南予スプリンクラーの稼働率は96%まで回復し、モノラックについても91%が復旧したとのことです。
また、今回、説明を通して非常に印象に残ったことは、宇和島市吉田町玉津地区で再編復旧に取り組んだ地域の皆さんの一体感とスピード感がありました。
この地区での再編復旧の工事は、被災した樹園地と被災を免れた樹園地を含めた7.2ヘクタールを6.8ヘクタールへと面積を若干減少させて、令和7年に新しい園地を農家へと引き渡すという内容です。
災害直後は余りの被害の大きさに将来に不安を抱え、工事期間中は被災を免れた園地も未収となるという状況の中、この計画をまとめ上げるに当たり、残された園地での営農活動を諦めるという地域の若者に対し、中村愛媛県知事は、毎夜、玉津地区に入り、未来あるかんきつ農業を継続させるため、何時間も若者と協議を続けたそうです。そのとき、再編復旧を決断する原動力となったのが双方のかんきつに対する思いということでした。
その後、みかん研究所から移動し、山肌がむき出しになった再編復旧予定の被災現場を訪れ、想像以上の斜面崩落の状況を目の当たりにしました。
また、被災を逃れたもともとの園地を見てみると、スキー場のジャンプ台、これ傾斜角度が35度あるらしいです。それと同じ傾斜角度35度の斜面にもかかわらず、また、石垣も見当たらない、和歌山では考えられない園地において、ミカンの木が丹精に育てられている状況を知りました。
聞けば、最近でも労働力確保のため、宿泊施設の整備や作業の受託体制づくりなど、かんきつ産業の未来をどうするかについて、地域が一体となって話し合いを行い、新たな取り組みを行ってきたことで、こうしたかんきつ農業を維持しようとする地域に根づいている風土、こうしたものが今回の決断へとつながったのではないかと、現地のかんきつ農業への愛着に感銘を受けました。
改めて玉津地区の再編復旧の説明資料を眺めると、「諦めない強さは、いつだってみかんが教えてくれた」と大きく書かれていました。
2日目は、松山市にあるJAえひめ中央が経営する「みなとまちまってる」と産直市場「太陽市(おひさまいち)」を視察しました。
太陽市は、平成15年にオープンした直売所施設で、JR松山駅にほぼ隣接し、愛媛県庁や松山市役所などにも近い市内の中心部という立地条件を生かし、近隣の住民を主な客とし、野菜や果物、青果物を中心に、精肉や鮮魚、総菜に加え、平成29年12月には花卉花木売り場も増設し、平成30年度の売上額は約19億円だったそうです。
「みなとまちまってる」は、この太陽市に隣接する形で平成31年4月にオープンした2階建ての施設で、「人が集まり、JAを身近に感じてもらう!」をコンセプトに、1階には食堂やカフェ、パン屋さんが、2階には企業推進型保育園やキッチンスタジオ、多目的ホール等の交流スペースがあります。
私の地元にほど近いJAありだの直売所「ありだっこ」は、昨年の売り上げが約6億円で、今のところ、飲食できるスペースはありません。立地条件や対象とするお客に違いはあるものの、集客力アップやコスト削減への取り組みなど、大変参考になりました。
この2日間の研修は、現地研修に加え、全国の先輩・同僚議員や中村愛媛県知事初め、愛媛県関係者の皆様と果樹振興について大いに意見交換を行う場もあり、大変有意義で実のある研修となりました。関係各位に改めまして感謝を申し上げます。
以上で、全国みかん生産県議会議員対策協議会の研修会の報告とさせていただきます。
それでは、2項目めに移りたいと思います。
さきの報告の中でも触れましたが、災害発生後の復旧・復興は長期にわたります。この間、生産者の生活は不安定なものとなり、基幹産業ともなれば地域経済は疲弊します。今回の愛媛県のように、大災害が果樹王国である和歌山の中山間園地で発生した場合、どのように復旧・復興を行い、未来に継承していくか、ふだんから考えておく必要があります。
今回の視察を終え、災害復旧に係る莫大な費用を考えたとき、やはり減災対策、未然の対策が大きな災害を防ぎ、早期の復旧・復興へとつながると考えます。そのことから、中山間園地にアクセスする農道に関して従来から関心があり、その重要性を鑑み、研修後、地元有田市の農道の現状を調査いたしました。
まちが急峻な野山に囲まれた有田市は、ミカン栽培の約75%が中山間園地で栽培されています。一方、ミカン栽培の園地を維持している現在の農道は、昭和40年から58年にかけ、県営や団体営土地改良事業により整備されましたが、現在、至るところでその老朽化が進みつつある状況です。特に宮原町道・畑地区においては、農道の陥没や亀裂など、軽微な補修では追いつかないのが現状であり、抜本的な改修が必要であると考えます。また、生産者の高齢化も進み、農道の狭さと急な坂道とが相まって、段差や亀裂は大きな事故へともつながりかねず、生産性向上の妨げともなります。
そこで、有田地域のミカン畑への農道の現状についての認識と老朽化が激しい農道への対応策について、農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(森 礼子君) ただいまの玉木久登君の質問に対する答弁を求めます。
農林水産部長角谷博史君。
〔角谷博史君、登壇〕
○農林水産部長(角谷博史君) 議員御指摘のとおり、有田地域のミカン畑の農道は、昭和40年代から50年代に県営や団体営土地改良事業により整備したもので老朽化が進んでございまして、近年、災害が多く発生している中、抜本的な改修の必要性についても認識をしてございます。
農林水産省令で農道の耐用年数は40年となっておりまして、これまで県では、市町や土地改良区、農家の方々による小規模な補修等に対して支援を行ってきたところでございます。
今後、市町や地元からの要望を踏まえ、基盤整備促進事業等の国庫補助事業を活用しながら、老朽の度合いや危険度に応じ、順次改修を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○副議長(森 礼子君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 今、農林水産部長から答弁をいただきました。
部長は御存じだと思います。有田のミカン畑に上がる道というのは、もう非常に狭い農道で、乗用車だとちょっとしんどいな、軽自動車だったら何とか上がっていける、そういう急峻な坂道で、道も狭い状態です。
今回、調査に入りまして見てると、やっぱりミカン畑から続々と人がおりてくるんですね。で、「きょうは何よ」と。「いや、ちょっと農道を見に来たよ」と言うと、口々に「もうここあかんのや」とか、そういう話がよく聞かれます。
やはり農家の方は一生懸命補修をされるんですね。みんなで補修されていくんですけども、どう見ても、これはやっぱり根本的に直していかないと危険だなという箇所もあります。これは農道に限ったことではなくて、これは県土整備、土木の関係もあるかもわかりませんが、やはり地すべりとかそういう状況の中で農道が傷んでるという状況もございます。
先ほど答弁いただいたとおり、国の事業等活用いただいて、これから順次抜本的な改修にどんどん進んでいただきたいと思います。また、市町との連携というのは非常に大事ですし、やっぱり地元の方、そういうところからそういう声を上げていただいて、しっかりと連携をとる、間に入ってこちらもやっていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
次、三つ目に移ります。有田産地継承のための取り組みについてを質問いたします。
温州ミカンは、さまざまなかんきつ類の輸入や品種開発が行われる現代でも、最も食べやすいミカンとして、依然として消費者から高い支持を得ています。その温州ミカンの最大の生産地は和歌山県であり、その中核地は有田地方であります。
一方、産業や社会の構造が大きく変わり、農業の担い手が少なくなる中、少子高齢化が進み、農地の継承や労働力の確保は直面する大きな課題となっています。また、地球温暖化の影響が進むと言われる中、温州ミカンの産地としての適性が維持されるかどうかという課題もより顕在化してくる可能性があります。
こうした現状や将来に向けた課題を踏まえ、和歌山県の基幹産業の一つであるミカン生産継承のための対応は、今後も継続的に取り組むべき重要課題だと常々考えているところです。
「温故知新」、私の好きな言葉の一つなんですが、「古きを温ね、新しきを知る」。今、新しい生産技術の導入、品種改良、販売促進などの取り組みが行われていますが、産業や社会の構造や消費者マインドが未来に向けて変化する中、過去から現在まで、このミカン産業がどのように進化し、現在の基幹産業へと築き上げられたのか、その先人の努力や知恵を知っておくことは、さまざまな取り組みを行う上でも重要であるとの思いから、少し有田みかんの歴史に触れてみたいと思います。
有田みかんは、産業として発展を遂げる起点となったのは、今から約450年前、1574年に現在の有田市糸我地区で代々農家を営んできた伊藤孫右衛門が、現在の熊本県八代市まで出向いて小ミカンの苗木数本を持ち帰ったときと言われています。
糸我地区は熊野古道の道中にあり、そこでとれていたかんきつは京の土産物として評判が高かったとの記録もあり、もともとかんきつ農業が盛んな地域でもありました。孫右衛門は1629年に没しましたが、その間、持ち込まれた小ミカンの苗木は、接ぎ木によりその栽培面積をふやし、さらに、品種改良してブランド名を「紀州みかん」として、その味わいのよさから市場規模は拡大していきました。
そして、1634年、ついに現在の有田市宮原町滝川原の藤兵衛が江戸への海路を開いて、紀州みかんの市場がさらに拡大することとなりました。
つまり、有田みかんは紀州みかんとして、1600年の関ヶ原の合戦後の戦乱の世から徳川幕府へと時代が移る、まさにそのころに産業として発展したと言うことができます。紀州みかんの故事として有名な、紀伊国屋文左衛門が嵐の中、江戸にミカンを運んだのは、藤兵衛による海路の開拓から約50年後、1685年11月のことです。
一方、温州ミカンは鹿児島県で誕生し、1800年ごろには紀州に伝わっていたとの記録があり、当時からその味の評判は高かったとのことですが、本格的な流通販売は明治になるまで先送りされることとなりました。それはなぜかというと、温州ミカンには種がありません。封建時代には子孫繁栄が第一であるという社会通念が支配的であったため、そのことが逆に市場化の妨げになったとのことです。
この間、有田みかんの流通は、「蜜柑方」と呼ばれる我が国では初めてとなる共同出荷のような組織が担い、紀州徳川家も参加して江戸時代における有田みかんの流通販売を支えてきました。
しかし、半官半民という組織であったため、江戸から明治への転換期に対応できなくなり、新たな流通体制の構築に迫られました。この転換期に尽力したのが、明治2年に設立された有田民政局の局長で、後に初代和歌山県議会議長を務められた濱口悟陵先生でした。
産業として有田みかんの歴史を眺めてみると、戦国時代の終盤に始まり、江戸を謳歌し、明治への大転換を乗り越え、大正、昭和、そして平成へと受け継がれ、その時々の苦難を乗り越えながら発展し、現在、令和の時代を迎え、その将来を見据えているところにあると言えます。
以上のことから、有田地方のミカン畑は、未来に向け、残していくべき地域の財産と私は強く感じております。今後、県として有田みかん産地継承のための取り組みについて、農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(森 礼子君) 農林水産部長。
〔角谷博史君、登壇〕
○農林水産部長(角谷博史君) 産地の維持発展を図るには、所得が安定して得られることはもとより、担い手や優良農地の確保が重要であるというふうに考えてございます。
このため、県では厳選したミカンを市場に出荷する取り組みを始めまして、優良品種への改植でありますとか、あるいはマルチ栽培、また有害鳥獣の捕獲でありますとか、あるいは防護柵設置への支援、こういった生産対策を行うとともに、首都圏の百貨店でのフェア開催やバイヤー招聘による現地での商談の実施など、販売促進にも積極的に取り組んでいるところでございます。
また、農林大学校や就農支援センターにおける技術研修、それから就農前後の資金を助成する農業次世代人材投資事業などによりまして、担い手の育成、確保を推進してございます。
さらに、高齢化等で耕作者のいなくなった優良ミカン園を農地中間管理機構があっせんして担い手へ集積する取り組みや、国の中山間地域等直接支払制度等を活用した農地の保全活動への支援も行ってございます。
これらに加え、新品種の育成を初め、高品質安定生産のための技術開発やドローン等を活用したスマート農業の実証研究にも取り組んでおります。
こうした取り組みによりまして、平成29年産ミカンは、生産量、産出額とも日本一となり、単価については愛媛県を抜き全国第4位に上昇するとともに、新規就農者は有田地域が県内で最も多くなるなど、ミカン産地が活性化してきたというふうに考えてございます。
今後も、厳選出荷の取り組みを継続するとともに、生産対策や販売促進に加え、担い手育成や農地対策などに総合的に取り組むことにより、産地の活性化を図ってまいります。
○副議長(森 礼子君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 いろんな施策、たくさん言っていただいて、本当にいろんなことを取り組んでいただいてるというのが、感じることがちょっとこの間ありまして、有田地域の中で篤農家と言われる、ミカンづくりを本当に研究されて、日ごろからどんなおいしいミカンをつくったら売れるやろうか、そういう集まりにちょっとお招きをいただきまして、僕らの勉強してる内容とかその後の意見を聞いてくれということで、呼んでいただきました。
その中でいろんなお話をさしていただいて、やはり今、単価は、今よりもうちょっと高かったらこれはもういけると、これはもう後継者に譲ってもいいなというぐらいの水準には来てるんじゃないか、そういうお話をいただきました。そんな中で、僕はやっぱりそれをうれしく思うんですよね、ここでやってきたということが認められてきたということだと思います。ただ、最後におっしゃったのが、やはり災害が怖い、それをやっぱり言われるんです。これは言ってもしゃあないけども、やっぱり災害が一番怖い。だから、そこの部分を一生懸命僕らを支えてほしいんだというところをやはり言われました。
そんな中を考えますと、これから園地を守っていくということは、やっぱり災害抜きでは考えられないのかなと私自身は思ってます。そんなことで、先ほどのみかん協議会もそうですけども、いろんな形でまた国のほうへも要望をかけていきたいとは思っております。
そんな中で、先ほど部長の答弁の中に、中山間地域等直接支払交付金制度、これまた来年度から新しい第5期対策というのが盛り込まれると思っております。そんな中で、多面的機能支払制度等もございます。
現在、やはりまだ年配の方が、高齢者の方が多くミカン生産には従事されています。それを申請するに当たって、書類の簡素化というものも何とか考えてほしいよということも言われてます。そういうところもまた国のほうにはしっかりと要望として伝えていただきたいなと思ってます。
あと、遡及返還措置というのがありますね。今まで結構厳しかったんですね、遡及というのが。今回からは若干緩めて、何とか中山間の産地を守っていこうと、そういう取り組みのほうに方向転換を、使いやすいようにということになってるんだと思います。
ただ、市町村の中でいろいろお話をすると、やはり団結力が結構強いんですね、この中山間をされてる方というのが。そんな中で、ちょっとその遡及返還措置というのが緩むことによって、何か安易に抜けられたりとか、そんなことがないかと、それをやっぱり懸念される農家の方もいらっしゃいます。そこをきちっと県のほうから市町に対して、その団体というか組合のほうで、しっかり内規のほうをきちっと精査しながら進めていくことが重要ではないかなと私は思いますので、そこら辺も御指導のほどよろしくお願いしたいと思います。
あとは、やっぱりこれだけの歴史を語らしていただいたので──今回も休憩時間中に農業遺産推進協議会がございました。やはり有田みかん、何とか日本農業遺産、そこからの世界農業遺産に向けて、やっぱり地域の機運の醸成というものを、私自身も高めながら進めていけたらなと思っております。
少しそういう農業遺産のことを話しますと、ほとんどの農家の方は「ええことやないか」と、やっぱりそれは言われることが多いです。ただ、やっぱり地域としてしっかりとその機運を高めていただくこと、その重要性を常々からお話をさせていただいております。
そんな中で、また県としても新たな取り組みとして、また考慮もいただければなと思いますので、どうかお考えのほどよろしくお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。最後の質問になります。
4項目め、就活サイクルプロジェクトの推進状況、取り組み内容と参加企業の状況についてをお伺いいたします。
少子高齢化の進行により生産年齢人口の減少が叫ばれる今日、現在の人口構成においても生産に寄与できる労働人口をふやすことができないかとの考えのもと、結婚や出産等で一度は職場を離れ、再び就職を希望する女性や退職後も働く意欲のあるシニア世代、また、UIターンによる人材確保も含め、再就職に特化した形の和歌山県独自政策である就活サイクルプロジェクトが展開されているところであります。
私は、平成30年2月定例会において、平成29年度の新政策であった就活サイクルプロジェクトを取り上げ、さまざまな観点から質問し、答弁をいただきました。丸2年を迎え、その進捗状況が大変気になるところであります。
現時点での取り組み内容と参加企業の状況について、また、就業者側の状況について、2年間の取り組みの中で見えてきた課題と今後の対応について、一括して商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(森 礼子君) 商工観光労働部長稲本英介君。
〔稲本英介君、登壇〕
○商工観光労働部長(稲本英介君) 県内産業の維持発展につながる人材を確保するため、平成29年度から結婚や出産等で離職した女性、定年退職された方、都会で働く人などの再就職を促進する独自の就活サイクルプロジェクトによる取り組みを進めております。10月からの参画企業の求人情報を公開、2月を就活強化月間と定めて合同企業説明会を開催し、4月からの就職に結びつけているところです。
平成31年2月の合同企業説明会では、新たに新宮会場を加えた県内4カ所で開催し、参加企業は、前年度の174社より21社多い195社に、求職者につきましては、前年度の341名より21名多い362名に参加いただきました。
その上で、再就職への不安を払拭するため、再就職支援センターにおいて個別相談を行うとともに、求職者を円滑な再就職へ導くため、9月から1月にかけて、女性やシニアを対象とした再就職を応援するセミナーを県内7カ所で開催するなど、1年を通した取り組みを行っております。
就業者の状況につきましては、平成31年2月に開催した合同企業説明会の参加者のうち35名が就職し、前年の31名と合わせて66名が再就職しております。
就業者の内訳は、男女別で見ると、平成30年度は男性18名、女性17名で、前年度の男性22名、女性9名に比べると女性の割合が多くなっております。また、60歳以上の高齢者は、2カ年とも3名で、県外からのUIターン者については、平成30年度は5名で、前年度の2名から3名ふえております。
2年間の取り組みにより見えてきた課題につきましては、女性、高齢者、UIターン就職者をふやすため、それぞれへのアプローチを強化し、取り組みに参加する求職者をふやしていく必要があると考えております。
一方、合同企業説明会に参加した求職者からは、「業種の幅がもう少しあるとよい」との意見があり、求職者と求人企業とのミスマッチを改善するため、求職者のニーズを捉え、多様な求人を提供するため参画企業をふやす必要があると考えております。
以上を踏まえ、女性の求職者をふやすため、子育て中の女性が集う支援拠点などへの周知や、ウエブサイトやSNSなど、さまざまなチャンネルを活用して成功事例や先進事例のPRを行い、取り組みへの参加を呼びかけるとともに、幅広い分野の企業の参画を募り、女性やシニア世代が活躍できる企業の発掘や拡大に取り組んでいるところです。
さらに、今年度から新たに全国規模の求人サイトと連携することで採用情報を広く発信するとともに、東京23区から移住し、一定の要件を満たす求人企業に就職した者に最大100万円を居住市町村から支給するなど、市町村と連携を図り、UIターン者の拡大にも積極的に取り組み、求職者のさらなる参加を促してまいりたいと考えております。
○副議長(森 礼子君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 御答弁をいただきました。るるお答えをいただいております。
キックオフイベントがございまして、清家氏のお話を聞いたときに、私、その会場にも行かしていただいて、これはちょっとすごいいい取り組みだなあってずっと思ってるんです。
そんな中で、前回も言わしていただいたんですけど、やっぱりマッチングというのが非常に大事なことではないのかなと思っています。そんな中で、今回の答弁いただいてる中で、やはりこれからより求職者をふやしていく、この必要性があるということで、人数だけで見ますと、恐らくこれ就活サイクルの中で得た数字だと思いますのであれですけど、シニア世代の人数というのが3名と、やはりこの数字だけを見ると少ないなと思ってます。やっぱり元気な御年配というかお年寄りというか、退職された後、まだまだ働ける意欲を持つ方というのはいらっしゃると思います。これは産業というか、1次産業ももちろんですし、2次産業、3次産業、さまざまな産業の中で、やはりシニア世代の方に頑張っていただくというのは、非常に僕は重要なことではないかなと思ってます。
そんな中で、私の言うマッチングというのは、勤務時間帯であったりとか、そんなさまざまな細かいところまで、どれだけ県が絡みながら企業のほうと話をして、そういう求人の出し方をすることによってさまざまな人材を確保できる、そういうことができるのではないかなと思ってます。
女性はまあふえてるということで、成果が出ているんだと思ってますんで、私自身ちょっと気になるのは、やはりこのシニア世代にもっと活躍いただく、そういうことだと思いますので、よろしくお願いしたいなと思います。
あと、これやっぱり県独自の政策で、仁坂知事の肝いりであったような記憶があるんですよ。これはやっぱりこれからビルドアップするというのは物すごい大事なことだと思いますので、より一層、この就活サイクルプロジェクトを強化いただいて、頑張っていただきたいなと思っております。どうかよろしくお願いします。
以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(森 礼子君) 以上で、玉木久登君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
〔鈴木德久君、登壇〕(拍手)
○鈴木德久君 皆様、こんにちは。
ただいま議長からお許しをいただきましたので、伝統あるこの和歌山県議会において、初めての一般質問をさせていただきます。
私は、ことし4月の統一地方選挙で田辺市選挙区から初当選をさせていただきました鈴木德久です。どうぞよろしくお願いいたします。
職歴といたしましては、御坊市にあります和歌山高専を卒業後、大阪で4年間の民間企業勤務を経て、昭和59年に当時の本宮町役場に入庁いたしました。その後、平成17年に市町村合併によりまして田辺市の職員となり、昨年7月に退職するまで34年余りの公務員生活でした。
今回、私は、地元地域の状況やこれまでの現場での経験から、災害復旧と高齢者福祉、そして林業振興について質問さしていただきます。
まず、一般質問に先立ちまして、先般の台風や集中豪雨により被害に遭われた皆様方に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
私ども田辺地域におきましては、ことし7月28日の夕刻に、田辺市上秋津地内の斜面において大規模な斜面崩壊が発生し、大量の土砂が県道田辺龍神線まで達しており、今なお上部山腹も不安定な状況であることから通行どめとなっております。
本県道は、田辺市龍神村から秋津川地区を経由し、田辺市街地へとつながる基幹道路であり、迂回道路は狭いところも多く、大型車の通行も困難であることから、通行どめが長く続けば、地域住民の生活や経済、観光面等への甚大な影響が懸念されます。また、その下流域は、明治の大水害時に付近の山腹崩壊による土石流により甚大な被害を経験しており、多くの住民が不安を抱いております。
先日9月8日の住民説明会では、民有林直轄治山事業を実施している林野庁のほうから、今回の斜面崩壊を受けて、追加の対策工事や監視体制の強化を図るとの説明があり、山腹崩壊をとめるよう全力を尽くすとのお話をいただいたところです。
また、今回、県では早急に仮設道路建設の補正予算を計上していただき、早期通行に向けて取り組みを進めていただいていることに深く感謝をいたしております。
私も、8年前の紀伊半島大水害当時は国道311号を通って通勤をしておりましたが、その国道が田辺市中辺路町滝尻地内で発生した山腹崩壊によって通行どめとなり、周辺の林道を経由した迂回を余儀なくされました。
当時も今回と同様に対岸への仮設道路の計画でしたが、それと並行して、もとの道での緊急通行も対応していただき、発生から約1カ月程度で通行が可能となり、大変ありがたかった記憶がございます。
今回は、そういった対応はできないのでしょうか。県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(森 礼子君) ただいまの鈴木德久君の質問に対する答弁を求めます。
県土整備部長髙松 諭君。
〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 県道田辺龍神線の対岸への仮設道路の設置までの間のもともとの道路での通行に関してのお尋ねをいただきました。
田辺市上秋津地内で発生いたしました斜面崩壊につきましては、林野庁が平成29年度より実施している民有林直轄治山事業で地すべり対策中の斜面の末端が、幅50メートル、高さ20メートルにわたり崩壊したものでございます。これにより崩れ落ちてきました3メートル近い大きな岩などによりまして県道田辺龍神線が塞がれ、通行どめとなったものでございます。
鈴木議員の御質問にございました平成23年9月の紀伊半島大水害における国道311号滝尻地内の現道での緊急通行につきましては、土石流の災害後、新たな土石流が直ちに道路に達する可能性が少ないと判断をし、現道上に堆積した土砂を整地して、土石流を感知するワイヤセンサーによる監視と雨量等の通行どめの基準を設けた上で、一時的に通行を可能としたものでございます。
今回の県道田辺龍神線の上秋津地内における斜面状況につきましては、崩壊発生後も地すべりによる移動が活発していること、崩壊した箇所の背後斜面に新たな亀裂も見つかっていることから、不安定さが増している可能性があるとともに、崩壊の予兆を把握することは困難であると林野庁に確認しております。
このため、斜面が崩壊した場合、直ちに斜面下の道路に大きな岩が達するおそれがあることから、現道を活用した安全な通行の確保は困難であると判断し、右会津川の対岸へ渡る仮設道路を計画したものでございます。
県といたしましては、今回補正予算に計上させていただいております仮設道路を早急に設置し、安全な通行確保に取り組んでまいりたい、このように考えておりますので、御理解、御協力をよろしくお願い申し上げます。
○副議長(森 礼子君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただき、ありがとうございます。
先般の説明会でも住民から意見があったように、せっかくつくる仮設道路でありますから、大型車両の通行等についても、さらなる御配慮を要望しておきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、高齢者福祉についてですが、私は、平成7年度から19年度までの13年間、福祉の担当をしておりました。特に平成12年(2000年)に始まった介護保険制度では、その準備から立ち上げ、運営まで携わりました。
現在では、全国的にも高齢化が進み、2025年には人口の3割が65歳以上の高齢者になると言われています。いわゆる団塊の世代が後期高齢者となることから、介護需要が急増するのではないかと危惧されています。
平成12年当時の過疎地域での特徴的な傾向としましては、国の25年先を行っている人口構造であると言われ、具体的には30数%の高齢化率で、さらに高齢者のみの世帯が多く、いわゆる65歳以上のひとり暮らしの率が全国平均の3倍近い、およそ3割程度ありました。
このような状況で何が起こるかというと、要介護1から3程度の方でもひとり暮らしの方の場合、自宅にいることができず、施設でのサービスを希望される方がふえてきます。国の言うところの施設サービス希望者の参酌標準であった3.4%にはとどまらなかったことから、当時は苦肉の策として、現在でいうところの介護サービスつき高齢者住宅、あるいは小規模多機能型高齢者施設をミックスさせたような高齢者支援ハウスをつくって対応してきた経緯があります。
また、当時、過疎地域の町村では、介護認定審査会のメンバーが足りないということも大きな課題の一つでした。そこで、本宮町と北山村、熊野川町の3町村では、介護保険事業の広域運営を行うこととし、国や県にも協力をいただきながら、テレビ会議システム導入の補助金をいただいて、認定審査会の委員さんが在宅で会議に参加することができました。パソコンでの対応ということで全くのペーパーレスでスムーズな運営ができて、大変ありがたかった記憶がございます。
このように和歌山県内の各地には、国に先行するいろいろなノウハウや実績があろうかと思いますので、そのような取り組みを介護保険制度の先進県として全国にアピールしていっていただきたいと思います。
そこで、今回の高齢者福祉の分野では、都会からの高齢者の受け入れと地域交通体系の整備、介護保険料の抑制、その3点、質問させていただきます。
まず、都会からの高齢者の受け入れについてです。
去る5月28日に説明を受けました令和2年度国の施策及び予算に関する和歌山県の提案・要望の中で、暮らしの安全・安心づくり(医療・福祉サービス等の充実)の項目の中の地方に移住した高齢者に係る介護費用の負担調整制度の導入に関する提案についての質問です。
私は、この考え方は大変すばらしいと思います。今後、都市部で急増する高齢者の受け入れ先として、全国的にふるさとに帰りやすい環境を整えるべきだと思っております。現行のルールでは、直接施設に入所する場合は、住所地の特例によって出身地の市町村が介護費用の負担をすることになっておりますが、元気なうちに移住して、その後、要介護状態になった場合はその市町村の負担ということで、そのあたりが受け入れ推進の課題になっています。この要望によりその点がクリアされれば、ふるさと回帰の移住推進もスムーズになり、そうすることにより首都圏への人口の一極集中が緩和されるのではないかと思います。また、過疎化が進む地方においては地域の活性化につながるものと思われますが、県の考えを福祉保健部長にお伺いします。
○副議長(森 礼子君) 福祉保健部長宮本浩之君。
〔宮本浩之君、登壇〕
○福祉保健部長(宮本浩之君) 議員御指摘のとおり、現行の介護保険制度では、自宅のある市町村から別の市町村の特別養護老人ホームなどの施設に入所する場合、入所前の市町村が引き続き保険者として介護の費用を負担するという住所地特例の制度があります。
一方、この制度は、移住する時点で介護が必要な高齢者が対象となっており、都市部から移住した元気な高齢者が将来的に介護が必要となった場合、移住先の自治体の介護に係る費用負担が増大するという課題があります。
このため、本県では、都市部から地方に移住した元気な高齢者の介護費用については、高齢者のこれまでの住所地の履歴等を把握した上で、過去の住所地の保険者にも費用を負担してもらうような制度を創設するよう、国に対し提案を行っているところです。
元気な高齢者を受け入れることは、高齢者がこれまで培った経験や知識を生かし、仕事はもちろん地域社会のさまざまな場面への貢献が期待でき、地域全体の活性化につながるものと考えています。
県としては、高齢者の移住を推進することによって、移住先の自治体の介護に要する費用負担が増大しないよう、引き続き国に対し制度創設を働きかけてまいります。
○副議長(森 礼子君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただきました。引き続き、よろしくお願いいたします。
次に、地域公共交通網の整備についてでありますが、全国的に、介護保険制度が始まった2000年ごろには、県や市町村に地域公共交通政策は余り存在してなかったと思います。
ただ、人口減少によりバス路線の廃止が進んだ過疎地域では、その対策として自前の交通手段を持たない方々のために外出支援サービスや道路運送法第43条の特定旅客自動車運送事業、あるいは国のガイドラインで示された福祉有償運送などで通院等への対応をしてきました。
また、昨今では、高齢者による交通事故の増加が連日ニュースになり、免許証返納の機運が高まっております。
この分野では、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が施行されて10年になりますが、その中で、市町村は「主体的に取り組む」とされ、都道府県は「広域的な見地から、必要があると認めるときには、市町村と密接な連携を図りつつ主体的に取り組むよう努めなければならない」とありますが、県としての考え方とともに、これまでの取り組みについて、企画部長にお伺いします。
○副議長(森 礼子君) 企画部長田嶋久嗣君。
〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 県では、広域的見地から複数市町村にまたがるバス路線については、国と県で赤字額をバス事業者に補助することにより、広域的、幹線的な路線の維持を図っているところです。
また、各市町村を訪問し、バスや鉄道のルートと利用状況などを図示した公共交通マップ、これは県で独自で作成しましたものですが、このマップを活用して、地域公共交通の確保に向けた意見交換を実施するとともに、市町村が設置する地域公共交通会議などにおいて、路線バスやコミュニティーバス、乗り合いタクシーをどのように組み合わせたらよいのか、利用促進をどのように図ればよいのかなど、市町村や事業者の方々と一緒になって検討しております。
加えて、昨年度からは、住民の皆さんにも参加いただきまして、住民と行政が一体となって地域の公共交通のあり方を考える地域公共交通研究会を開催しています。今年度は8月に日高地域を対象として開催したところでございまして、住民みずからが主体的に乗って残す取り組みが必要であることを再認識いただきました。
県では、今後も地域に適した交通確保の取り組み事例を紹介するなど、きめ細かな対応を行い、住民、市町村、事業者等関係者と一緒になって持続可能な交通ネットワークの構築に向けて取り組んでまいります。
○副議長(森 礼子君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただき、ありがとうございます。
各地で調査検討を重ねているとのことですが、なるべく早い時期にそういった具体例をお示しいただけたらありがたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、介護保険料の抑制についてですが、最近のデータでは、サービスの充実もあるのでしょうが、和歌山県では平均6538円と全国で4番目に高い保険料となっています。介護保険制度ができて約20年近くになりますが、これだけの保険料を払いながら、いまだに介護離職や老老介護が後を絶たない状況です。
制度スタート当初、要介護状態になったら、家族だけでなく社会全体で支えてくれる、そのための介護保険だったと思いますが、今後の見通しについてお尋ねいたします。
8月3日に田辺市の紀南文化会館で「ケアニン」という映画の鑑賞会がありましたが、介護サービスつき高齢者住宅と小規模多機能型居宅介護事業所の複合施設のような、そういった施設が今後の制度のあり方のモデルであり、例えばそのスタッフの何割かを地域のボランティアで対応するなどして、結果として保険料の抑制につなげられないものかと考えますが、県として、今後も高くなると見込まれる介護保険料への対応をどのように考えておられるのか、福祉保健部長にお伺いいたします。
○副議長(森 礼子君) 福祉保健部長。
〔宮本浩之君、登壇〕
○福祉保健部長(宮本浩之君) 介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして2000年度に創設され、ことしで20年目を迎えます。この間、高齢者数の増加や介護サービスの充実により、県平均の介護保険料は、制度創設時の月額2910円から約2.2倍の6538円まで増加し、今後も上昇することが見込まれています。
県では、現在、要支援1や要支援2などの介護の必要度が低い軽度の方を対象に、自立につながる適切なケアプランを検討するための地域ケア個別会議の立ち上げを市町村に働きかけ、理学療法士などの専門職の助言により、ケアプランに適切なリハビリテーションなどを反映させることで、軽度の高齢者が再び自立した生活を送れるよう取り組みを進めているところです。
また、現在、軽度の方を対象とした訪問型サービスや通所型サービスのうち、買い物や調理、ごみ出しなどの生活援助であれば、介護サービス事業者だけでなく、市町村による一定の研修を受けた団体や住民もサービスを提供することができることとなっています。
これらのサービス提供事業については、市町村が地域の実情に応じて人員や設備基準を緩和でき、サービス単価や利用者負担も柔軟に定めることができる仕組みとなっています。
なお、県内では、市町村の研修を受けた団体として、シルバー人材センターが訪問型の生活援助サービスを提供している地域などもありますが、県全体としては、まだまだサービスの提供事業所が確保できていないことから、県としましては、多様な担い手による高齢者の支援体制を構築するよう、市町村に働きかけてまいります。
一方で、県や市町村がこのような自立支援の取り組みや住民主体のサービスの提供等を推進したとしても、高齢化の進行に伴い、今後も上昇し続ける介護保険料を抑制することには限界があることから、国の責任において、恒久的な保険料の軽減措置を講じるよう、引き続き国に対して要望してまいります。
○副議長(森 礼子君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただき、ありがとうございました。保険料抑制について、さらなる取り組みをよろしくお願いいたします。
次に、林業振興についての質問は、担い手対策と機械化、森林環境譲与税、そして企業の森事業の3点です。
ことしの3月の国会で成立した森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律については、私は元本宮町役場の職員であり、また、当時の中山町長が森林交付税構想を提唱した当時を知っています。また、平成22年度から田辺市の林業行政を担当する森林局に在籍しており、その構想から制度成立まで多少なりともかかわってきましたので、大変感慨深いものがあります。
その成立経過につきましては、以前にも先輩議員が一般質問の中で紹介されておりますので割愛させていただきますが、森林交付税で提唱されてから四半世紀以上が過ぎ、我が国が人口減少に転じた中で、全ての分野で将来的な担い手の確保、育成について不安を持っている状況、その中で特に森林、林業分野では、ほかと比べて安全の確保等の条件が厳しいことから、これに拍車をかけております。
和歌山県における常時雇用形態の林業就業者数は減少傾向で推移し、平成30年3月末で674人となり、年齢構成別では、60歳以上の割合が34%と高くなっていると伺っています。
こうしたことから、早期に新たな林業就業者を確保していくと同時に、作業の効率化が必要であると考えますが、和歌山県における林業担い手の育成、確保と森林作業の省力化に向けた機械化の取り組みについて、農林水産部長にお伺いします。
○副議長(森 礼子君) 農林水産部長角谷博史君。
〔角谷博史君、登壇〕
○農林水産部長(角谷博史君) 議員御指摘のとおり、林業就業者の減少と高齢化が進む中、担い手の育成、確保は重要な課題であるというふうに認識をしてございます。
このため県では、平成29年度に農林大学校林業研修部を新設いたしまして、すぐれた経営感覚と実践的な技術や知識を持ち、植栽、保育から木材の生産、販売までをトータルにサポートできる人材を育成しているところでございます。
また、今年度から東京や大阪で紀州林業の魅力を発信する体感セミナーを開催するとともに、市町村やわかやま林業労働力確保支援センターと連携し、仕事、住まい、暮らし等をワンストップでサポートする体制を整えたところでございます。
次に、省力化に向けた機械化の取り組みにつきましては、国の事業を活用し、伐採木の枝払いや切りそろえが1台で行えるプロセッサーなどの高性能林業機械の導入を推進しているところでございます。こうしたことで、搬出間伐が本格化した平成18年度に45台であったものが、平成30年度には125台と約3倍となってございます。
また、操作の無線化や荷かけ作業の無人化を可能とする油圧式集材機や苗木などの資材運搬が可能となるドローンの開発に機械メーカー等と連携して取り組んでいるところでございます。
今後とも、担い手の育成、確保や省力化機械の導入に積極的に取り組んでまいります。
○副議長(森 礼子君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 次に、森林環境譲与税についてですが、今年度から森林環境譲与税や森林経営管理制度がスタートし、市町村の業務は増加しております。
もともと林業専門の職員を有していない市町村では、その対応に苦慮しているとも伺っておりますので、市町村への体制支援についての県のお考えを農林水産部長にお伺いします。
また、森林経営管理制度において、森林整備の現場では、所有者不明森林や共有者不明森林の問題がありますが、この制度では、市町村が一定の手続をすればその森林の管理を行うことができるとなっておりますが、その内容についてもあわせてお聞かせください。
加えて、森林環境譲与税は、本年度より各自治体への交付が開始され、安定した財源としてその活用が可能となりました。
そこで、この森林環境譲与税を活用した和歌山県の林業施策の方向性についても農林水産部長にお伺いします。
○副議長(森 礼子君) 農林水産部長。
〔角谷博史君、登壇〕
○農林水産部長(角谷博史君) 森林環境譲与税に関する3点の御質問に一括してお答えをさせていただきます。
まず、1点目の市町村の体制支援についてでございますが、森林経営管理法に基づき、市町村は所有者が管理できない森林について委託を受け、経営に適した森林については意欲と能力のある経営者への再委託を進めるとともに、適さない森林については市町村が管理を行うことができるとなってございます。
県では、こうした市町村での業務が円滑に進むよう、今年度から担当職員を対象とした実務研修を開催するとともに、市町村を巡回し、課題や相談に対するアドバイスを行っているところでございます。
また、県の林学職OBを活用した支援ができないか、現在、OBに対して意向調査を実施しているところでございます。
今後も、市町村の実情や要望等を十分お伺いした上で、業務が円滑に進むよう市町村への支援にしっかりと取り組んでまいります。
2点目の所有者不明森林等の手続についてでございますが、森林経営管理法では、森林所有者を特定できない場合には、まず、市町村において登記情報や住民票、戸籍情報などによる探索を行います。それでも不明な場合は、公告手続を経て知事の裁定を仰げば、市町村が森林管理を行うことができるとなってございます。
3点目の森林環境譲与税を活用した県の施策の方向性についてでございますが、森林環境譲与税を活用し、県では、新規就業者を確保するため、都市部において林業体感セミナーを開催するとともに、就業希望者に対し、本県への移住を促進するためのトータルサポートを行っていくこととしております。また、農林大学校において、3D計測機器等の最新機器を使った研修を実施しております。
市町村では、森林管理や木材の利用促進等に取り組むこととなっており、これらの業務が円滑に進むよう市町村を支援し、雇用創出や素材生産量の拡大につなげてまいりたいと考えてございます。
また、県独自の取り組みといたしまして、首都圏での展示会への出展や見本市の開催に加え、公共建築物や木造住宅での利用に対する支援などにより、紀州材の販路開拓、需要拡大にも取り組んでおります。
今後も、市町村や森林組合等関係団体との連携を密にし、こうした施策の展開により林業の活性化に取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(森 礼子君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただき、ありがとうございます。
地域振興に資する有効な制度となるよう、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、企業の森事業についてですが、私も担当部署におりましたので、その事業効果は、森林の保全だけでなく都市と山村との交流による地域の活性化、また企業側にとってはCSR活動のフィールド確保など、関係者それぞれにメリットが多いなど、大変効果があると思っております。
平成14年度に全国に先駆けて始まった企業の森は、現在では、82の企業や団体が94カ所、面積にして284ヘクタールの森林で保全活動を行っていると聞いており、和歌山県が誇る取り組みであると思っております。
また、私が担当した経験から、和歌山県は、この事業のほかにも緑の雇用事業であるとか過疎集落再生・活性化支援事業など、全国に先駆けて、後に国が事業化するといった先進的な取り組みを行ってきています。企業の森事業についてもさらなる盛り上がりを期待しますが、どのような方法で企業誘致をされてきたのか、また企業の森が地域にもたらす経済波及効果について、農林水産部長にお伺いします。
○副議長(森 礼子君) 農林水産部長。
〔角谷博史君、登壇〕
○農林水産部長(角谷博史君) 企業の森につきましては、平成14年度に本県で創設した制度でございます。その後、全国各地で同様の取り組みが実施されてきたことから、和歌山らしい特色を生かした誘致活動を展開してきたところでございます。
具体的には、世界遺産に登録された霊峰高野山や熊野三山など、歴史ロマンを体感できる観光スポットを初め、多くの温泉施設や豊かな自然など、本県の魅力をPRし、企業や団体の参画を勧めてまいりました。
また、交流の際には、地元の祭りへの参加や自然に触れ合うイベントの開催など、思い出に残る体験となるよう工夫を重ねてまいりました。
企業の森につきましては、議員お話しのとおり、森林の保全はもとより、交流による地域の活性化や地元雇用などの効果があり、和歌山大学が平成28年度に行った調査では、本県での企業の森を令和8年度まで継続すれば、約23億円の経済波及効果があるとの報告もございます。
今後も、本県の魅力をPRし、誘致活動を進めるとともに、市町村や森林組合と連携し、本県での活動を継続していただけるよう取り組み、企業の森の参画数を拡大してまいります。
○副議長(森 礼子君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁ありがとうございました。
今後は、他府県との誘致競争も激しく、和歌山県長期総合計画で示された目標150カ所もなかなか大変だと思います。
現場での感想としましては、今までは企業のCSR活動に頼ってきた感がありますが、今後はいかに企業側にメリットがあるのかを実感していただく必要があると思います。
いにしえから、和歌山、熊野は癒しの地であり、よみがえりの地とされてきました。その史実を、現代に残る資源を活用しつつ、新たなプログラムとして具体的に実感していただき、企業戦士の憩いやリフレッシュのための、いわゆるリトリートの場として提供することで、さらなる企業の森への参画を進めていただきたいと思います。
本県の企業の森事業は、林業だけでなくさまざまな広がりを見せています。移住定住推進課による企業のふるさと事業や大学のふるさと事業もその一環の関連事業であります。ことしの4月からは、田辺市役所本宮行政局3階に関西大学、田辺市の連携協定、これは以前に調停した大学のふるさと事業、県と関西大学、田辺市による協定の流れに基づくものですが、SDGs体験教育開発ラボラトリーというものを設置して研究を進めようという試みも始まりました。
その活動の一つの柱として、近年海外から注目を集め、訪問客も急増している聖地熊野を拠点にした新たなツーリズムの研究、開発を進めるべく連携が開始される方向だと聞いております。
また、インバウンド消費の増加により、県内の観光市場の拡大も期待できる中、これまでの観光消費とは違う新たなツーリズムの開発は、リトリートの場の創出という意味においても、企業の森事業との親和性もあり、また、働き方改革の流れの中で、先駆けてワーケーションに取り組んできた実績もある和歌山県においては、企業の森事業からリトリートの場の創出の展開という図は、非常に大きな意味を持つと思われます。
大学を初めとする研究機関との連携によるツーリズムプログラムの開発、さらには、連携をきっかけとした企業と大学生とのマッチングも期待できます。そのメリットは企業にとって多大であると考えられ、企業、大学、地域が一体となってコミュニティーをつくり、地域の課題に取り組むことで、新たな価値をみんなでつくっていく有機的な企業、大学、地域の関係の創出につながっていくのではないでしょうか。
観光を入り口に、間口を拡大しつつ、一般消費者の方々のみならず、企業の方々には企業の森を活用していただき、働き方改革の手段としてワーケーションやリトリートを導入していただく。さらには、海外からの誘客を目指したプロモーション戦略も視野に入れ、世界的リトリートの聖地、和歌山、熊野として認知されるような未来を目指して、県庁を挙げて研究、活動に協力いただきたいと思います。
以上については提言とさせていただき、これで私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(森 礼子君) 以上で、鈴木德久君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時22分散会