知事記者会見 令和3年2月8日
知事記者会見
記者会見での発表事項等を紹介します
令和3年2月8日 知事記者会見
令和3年2月8日 記者会見室
令和3年度当初予算・新政策
お手元に資料を配っていますが、今年はコロナなので、方針の時と同じ立て方で二つの柱にしました。従来は少し違って長計の立て方にやや即したようにしていましたが、これはちょっと緊急事態ということで、二つにしています。
一つは、「コロナ禍から経済とくらしを守り抜く」という政策で、もう一つは、「新しい世界への対応と挑戦」ということにしました。「コロナ禍から経済とくらしを守り抜く」を分けると三つあり、守らなければいけないのは、「経済と雇用」、「暮らし」、「地域」の三つを守らないといけないということで、守る政策で大きな柱の三つにしました。「新しい世界への対応と挑戦」ですが、「新しい世界への挑戦」と、「和歌山の未来を創る」ための投資的な政策の、二つを考えました。それぞれ一つずついきたいと思います。
まず、「コロナ禍から経済と雇用を守る」ですが、これはまた三つぐらいに分けると、「事業者・就労支援」、「農林水産業支援」、「観光産業の振興」の三つぐらいかなということです。主な施策というところに書いていますが、赤字で書いているのが、全くの新規あるいは従来からあったけどゴロっと変えたり、拡張したりしたものです。黒字で書いているのは、従来通りの政策だけど、大事だからきちんとやっていかないといけないということで載せています。それぞれ、各論をいきます。
「中小企業等におけるコロナ危機からの脱却」ですが、やっぱりこれから大問題になってくるのは、資金繰りがますます窮屈になってきて、これはやばいということがあるかもしれません。従って、資金繰り支援ですが、新規融資枠1200億円を確保することにしました。これは、県が、特に地元の金融機関と組んで融資していただく。安い金利で融資していただくので、その分だけ利子のつかないお金を金融機関にお預けして、後でそれを返していただく。その間、金融機関はそれを運用することによって多少の利益を得て、金利を下げてもらうという構造です。その後ろには、信用保証協会の保証がついていることになります。1200億円という数字ですが、去年は900億円で設定していたので、900億円も随分多いのではないかと思いますが、随分増やしました。特に、制度的には、「経営支援資金(経営改善枠)」と、「経営支援資金(一般枠)の融資期間延長」の二つが必要だろうということで、追加いたしました。
補助金の関係では、「デジタル化補助金」をちょっと大々的に取り上げてみました。その他にも、元気ファンド、農商工連携ファンド、地場産業ブランド力強化支援とかいろいろありますが、デジタル化で、体力を強化していく、力を強めていくことをやっていこうということです。「中小企業等事業再構築事業」は、経済産業省がかなり大々的になされます。これは、事業転換をしろというところまでいかなくてもいいのですが、事業を強くするためにはこんなふうにしなければいけないということを、ちゃんと計画を立てて実行することで、国から補助率3分の2、一部は2分の1もありますが、そういうお金をくれます。和歌山県は、計画といっても、小さい中小企業は慣れてないから、簡単に綺麗な計画ができて、これでお金をくださいと言いにくいということがあるので、我々は、わかやま産業振興財団で新たな専門コーディネーターを配置して、こんなことやりたいのですがという素朴な意向があったら、それをちゃんと計画に作り上げて、ちゃんと実行しているかまでフォローしていきたいということです。
その次は、デジタル化の中身です。デジタルに関しては、「知る・学ぶ」、「導入する」、こういうことをやってきました。今年は、「デジタル化補助金」を作ろうと思っていますが、それは何かというと、「ものづくり製品販促デジタル化促進補助金」は、Web商談とかがどんどん盛んになっていくはずで、これに乗り遅れたらいけないのですが、こういうのは、例えば、ウェブサイトを作るとか、どこかにソフトを作って載せるとかが必要になってきます。多分誰かに頼むのでしょうが、ぜひ、このぐらいだったらできるだろうから、県内のIT事業者に頼んでもらって、IT事業者の成長も図ろうというふうになっています。「ものづくりシステムカイゼン促進補助金」は、工程管理や基幹業務支援システムなどの構築になります。「ものづくり生産力高度化補助金」は、大規模投資で、だんだん右に行くほど(補助上限が)大きくなっていきますが、こんな感じで頑張ってほしいということです。
「コロナ不況下における雇用対策」は、和歌山県では、高校生・大学生向けに、和歌山で仕事を探してください、帰ってきてくださいというような話をずっとやってきて、だんだんじわじわと県内就職率も上がってきています。それから、「第2の就活サイクル」です。一回、就活の時期を過ぎて、どこかへ決まったけど離職したような人が、もう一回、就活をきちんとできるようなシステムを県内で作ろうというふうに考えたのが、「就活サイクルプロジェクト」です。今年は、コロナで離職者が随分たくさん出ていますから、これをもっと本格的にさらに仕掛けを作って助けようというふうに思いました。
それは、すぐ雇ってくださいと言っても、「こんな能力がありますか」とか、「こんな資料ではすぐ使えない」、というようなことがあります。地頭はいいし能力はあるけど、まだやったことがないので、それは採れませんというのは困る。従って、その一、雇っていただいたら、研修をしてください。座学もして、現場実習も含めてきちんと研修をして、その上でこの人はいけるということだったら、ぜひ雇ってください、その費用を補助しますということです。もう一つは、専門の人材斡旋企業がいっぱいありますが、そういう企業に雇ってもらって、その企業の中で、座学をやったりあるいは職場実習に派遣したりする。それで、なかなかこの人良いではないかといって雇ってもらう、こういう考え方です。後者の場合は、変な事業者が出てきて「私がやります」と言って、就職の斡旋なんか忘れて、和歌山県からお金をもらえるので、研修をやってるようなやってないような、そんな感じで我々のお金が減っていくのはかなわないので、その部分は、実費相応でほどほどにして、ちゃんとマッチングして企業に雇ってもらうことになったら、成功報酬でちょっと多めにあげようということを考えて、制度設計をしています。
「交通・運輸の事業継続支援」はなかなか大変で、「地域公共交通の継続・活性化支援」で、国も、このために補助金を出してあげようということで、国土交通省の旧運輸省系が張り切っていますが、和歌山県も独自の支援をして、半分の補助金なので、もう少し足してあげようというふうに思っています。それから、「貨物運送事業者のIT化支援」。貨物運送事業は、必ずしもコロナで需要がなくなった業種ではなく、どちらかというと増えている業種かもしれない。しかし、生産性を上げていかないと社会のニーズに応えられないので、この際やっぱりITだということで、システムの投資をしていかないといけない。このために、補助金を差し上げます。
「県産品の魅力とWebを活用した販路拡大」は、特に「おいしい!健康わかやま」で、今までずっといろんな販促をしてきましたが、例えば、スーパーマーケット・トレードショーへなかなか行きにくいとか、FOODEXも近づいてきたけどどうしようとか、今までやってきた販促がちょっと今まで通りできない。それなら、やっぱりWebでバンバン売らないといけないことになり、それを抜本的に拡充していこうということで、「おいしく食べて和歌山モール」を作ります。今まで県でやっていた「わいわい市場」は、Yahooに間借りしていて、もちろんYahooにそれぞれの方が登録しているのもいいのですが、「わいわい市場」自体をちょっと移して、お互いにリンクを貼って、ここへ飛んできてもらってガンガン(売って)いこうということです。それから、「eコマースを活用した新たな取組支援」で、Webを活用した販促ツールを作る時に補助金を出します。海外は、なかなか我々自身が行って売ってくるわけにはいかないので、物を送って、オンラインで発信の強化をしていくしかないのですが、和歌山梅酒がGI表示をいただいてチャンスなので頑張ろうというのが中心になります。
「農林水産業のスマート化」は、スマート化を一言で言うと、機械とITを使って労働力不足を解消していこうという考え方ですが、単に不足だけでなく、高齢化すると力が無くなってくる。だから、しゃにむにとにかくガンガンいくのが簡単ではないので、IT、AI、装置、設備を入れながらスマート化して、生産性を上げていこうということになります。「スマート農業実践塾」は、そんなことをどんどんやって生産性を上げていく。特に、オランダ農業は、我々の、特に園地農業の野菜系などで一番のモデルになっていて、スケールはちょっと小さいものになると思いますが、そういうものをいろいろお教えして、IT、AI、装置、設備を使って生産性を上げていくことを、やっていこうではないかというふうに思います。同じようなことは、畜産も林業も水産業もそうで、みんな同じような感じで頑張っていこうということです。
「農業生産力の強化・経営の発展支援」は、スマート化が中に大きく入っていますが、これをまとめ直すと、日本一の果樹産地づくりで、いろいろやったら補助率3分の1、「次世代野菜花き産地パワーアップ」もいろいろ3分の1、経営体を作り直して頑張るといったら3分の1、人材育成は2分の1、そんなふうになっていますが、今年は、特にちょっと新しい試みとして、「匠」の再生産をしようというふうに思います。テレビなんか見ていますと、和歌山でも、ものすごい名人と称する、匠と称するみかんづくりの達人とか、いろんな人がいます。その人も、だんだんと年を取っていきますから、その人の後継者が広がっていくと和歌山全体の活力増進になるけど、そうでなかったらなかなか難しい。従って、匠をまず選び、その匠に「和歌山の人に教えてあげていいですか」というようなことをお聞きして、「いいよ」と言っていただいたら、今度は若い人たちをマッチングして、弟子入りさせるというようなことをちょっとやってみます。
林業で紀州材の販促ですが、一つは丸太の品質保証をしようということで、ものすごく事細かく和歌山規格を作って、こういう性能がこれにありますと表示することを、これからやっていきます。みかんの厳選出荷やジビエの規格とかと大体同じような発想で、それを木材に適用していこうということです。それから、都市部で新たな販路開拓をしていこうということですが、なかなか消費者に、和歌山みたいなそんなに大きくないところが訴求するのはかなり難しいと思うので、「わかやま紀州材利用推進店」を認定していくことで手を加えていきます。
「農林水産業の担い手確保」ですが、産地での就業希望者受入プランづくりを支援して、マッチングする仕組みを作っていくことになります。特に、産地での実践研修や技術習得環境の整備をずっとやってきましたが、今年は、「わかやま農業教育一貫プロジェクト」をやってみます。何かと言うと、必ずしも限定する必要もないと思いますが、農業系の高校があります。そこに、皆さんお入りになりますが、親のところへ行こうという人は別にして、そんなにスキルがあるわけでもないし、別に農業をしなくてもぐらいのところで卒業して、もうちょっと腕を磨いたり知識を得たりすると価値が出てくるような人がいっぱいいます。そこはどういうふうにしてやってきたかというと、農林大学校でそれを教えていたので、農林大学校に農業系の高校から行ける道を作って、2年間さらに専門的な能力を高めるような教育をゴリゴリやったら、一貫して5年間の教育になります。そういうような道を作る。農業系の高校などで希望者があり、一定の成績があったら農林大学校にすっと入れる。それを優遇しようということでやっていきますが、やっていく前提で、紀北農芸とか南部高校は、全国からも募集をしようということです。
「観光産業の振興」は、資料に書いているようなことを、コロナ禍で営業に行けないので、オンラインやWebとかでいろいろ工夫しながら発信していって頑張る。特に、国内教育旅行は、最近ちょっと(コロナが)流行り過ぎて、関東から来てもらいにくくなってしまって困っていますが、この(第三波の)前は、和歌山は安全だからということで、かなり人気が高まってきていました。飛行機も大きくなって、修学旅行に来やすくなって「よし、チャンス」と思って頑張ってたら、首都圏でめちゃくちゃになって、もう何とかしてほしいというふうに思っていますが、また(感染状況が)下がってきたら世の中が変わるから、そしたら、和歌山で修学旅行、国内教育旅行をやってもらったらいいのではないかということです。それから、屋外の方がうつりにくいこともあるので、アウトドアを大いに発信していきます。
「ワーケーション推進」は、もう何度も言っているからあんまり言わなくてもいいと思います。「観光デジタル化推進」は、特に、非接触の観光スタイルがなかなかいいのではないかということで、それはデジタルを活用しなければいけないから、いろんな要素をそれぞれ強化するのに、我々は応援していこうということです。インバウンドは本当に難しいのですが、ワクチンが効き始めて世界が落ち着いてきたら、いっぺんに爆発する潜在力は、日本及び特に和歌山はあります。例えば、中国で「次、どこへ行きたいですか」といったら、絶対日本は一番です。それから、ロンリープラネットで、「日本でどこがいいですか」といったら、ベストファイブに熊野、高野と二つも入っていますから、和歌山へ行きたい潜在圧力が絶対あるはずで、それをもっと刺激しておいて、本当に来られる環境ができたら、おもてなしを十分しましょうということしかない、ということです。
空港・港湾は、今はちょっと辛いのですが、しかしいつまでもこうではないので、先に向けて投資をしないといけない。国際線ターミナルビルが令和3年度にできますが、令和2年度にお金をいっぱいかけたので、予算は減っています。ビジネスジェットは、世界から飛んでくる、特にオリンピックや万博があったりすると、絶対に飛んでくるというふうに思いますので、これも能力を高めとかないといけない。一気にドーンとやりたいけど、ちょっと先のこともあり、お金もあまりないから、じわじわいこうかということで高めておく。それから、クルーズ船も辛いけど、将来に備えておくということです。
次は、「誰もが安心できる暮らしを守る」ということで、「医療の充実」、「子育て支援・健康づくり推進」、「支え合う福祉の充実」という三つの柱で、赤字は新しいまたは抜本拡充、黒字は継続で、こんな柱立てになります。
「コロナ禍における保健医療行政の強化」は、和歌山県は、なかなか全国でもちゃんとやっているというふうな定評のあるところで、元々ちゃんとやっているところもありますが、その都度その都度、実は先回りをしてどんどん拡充してきたのが、ここ一年の和歌山の歴史です。拡充しなかったところはいっぱいあり、なんでしないのというふうに思いますが、必要な量だけは拡充してきたし、いろいろ装備を付け加えてきた。だけど、まだどこかに余地があるかもしれないので、あったらどんどんいきます。今わかっているところでお金を出したいのは、PCR検査の判定をしてもらっていた環衛研が、別にコロナがあったからではなく、ちょっと前からこれやろうと言っていましたが、急いで建直したいと思うので、これにお金がいきます。初年度は一億円で、2年度ぐらいに一番お金が要りますが、建てることになります。残りは、ずっと言ってきた話なので、ここでは省略します。
「保健所体制の充実」は同じです。感染拡大の防止対策の充実では、感染管理認定看護師の確保を支援するということで、特に、福祉施設に行ったり、あるいは感染症と関係ない設計になっている民間病院は、コロナは当然受け入れていませんが、それに不平を言っているのではなく、そこに引き込まれる可能性があり、この間もそういうことが実際に起こりました。そうすると、そこでは、別の病気の知識はあるけど、そんなに(コロナの)知識がないので、感染管理認定看護師さんが行って、「ここの空気を止めなければ」とか、そのようなことがたくさんあるから、そういうことを持つ人材をもっと増やしておこうということで、新しい要素にしました。ワクチンの話は、これから大問題になります。明日また言いますが、和歌山県は12月ぐらいから体制を作って準備を進めていて、最近の準備状況などは、明日ご説明したいと思います。
「地域医療提供体制の堅持」は、救急医療、ドクヘリ、そういうものにきちんとお金を出していかないといけないわけで、ドクヘリの格納庫の整備が、来年できます。今年は、それにお金を付けとかないといけないということです。それから、遠隔医療も進めたい。それから、「医療人材の育成・確保」で、大学のラインナップがいよいよ揃ってきました。保育系の一つを含めて五つ新しくできて、前に開学した学校については、学生数がどんどん増えていきますし、ラインナップが揃って、なかなか楽しみになってきたというふうに思います。
「安心して出産・子育てできる環境の整備」は、菅総理のキャッチーな政策の一つで、不妊治療助成の拡充がなされて、県がやっていたものを国が少し肩代わりしてくれることになり、特定・一般不妊治療の支援対象者が拡大していきます。良い話ですが、複数回やってもいいとかそんな話が出てくるので、回数が増えた分だけ、国の予算ももちろん増えますが、県の予算も増えていきます。それから、子育て支援情報検索システムは、LINEを使って相談できるようにしようとか、前からやっている子育て世代包括支援センターを充実していく感じです。
「子育て世代の経済負担軽減・待機児童解消対策」は、あまり新しいところはない。和歌山県は、国に先駆けて、全部ではないのですが、保育料の無償化を、3子から2子へという形でやってきましたし、在宅育児支援もやってきました。そういうのはだんだん国が追いついてきますが、保育人材の確保や保育所整備とか、いろいろ目配りしながら、総合的に進めていくことは今後ともやっていきます。
それから、これがちょっと危機感いっぱいですが、コロナで巣ごもりをすると健康を害するのではないか。私もちょっと最近運動不足で危ないというふうに思うところもありますが、これはやっぱり従来以上に頑張らないといけないと思います。私が、あんまり外出するなと言わないのはこういうところが大きいのですが、不必要に巣ごもりをしないで、行くところは行く、気を付けるところは気を付けるとやっていただいたらいいので、がん検診は絶対やっといた方がいいと思うし、健康づくり運動ポイントなども作っているから、うつらないような環境のもとで、こういうのを稼いでもらったらいいということです。それから、高齢者向け介護予防体操を拡充いたしますので、こういうのもやってくださいということです。
「高齢者福祉の推進」ですが、特に、高齢者については、和歌山県は要介護認定の数がすごく高い。ひょっとしたらニーズがある、それはよろしくない。ひょっとしたら認定が甘い、それもあんまりよろしくない。あんまり冷たくするのもいけませんが、一番いいのは、本当に要介護にならないようにする、あるいは要介護になりかけたら戻すことが大事です。従って、自立支援による改善効果が高い介護事業者などは、偉いと言って推薦してあげるようなことをやろうということです。それから、高齢者による助け合いを拡充していく。例えば、自分はちょっと腰が曲がったので電球を変えられないというお年寄りが、お一人で住んでいる。近所には、私も腰は痛いけど、折り畳みのはしごをかけて、電球を変えるぐらいはしてあげられるというような人がいると、助け合いをしていったらいいのではないかというふうに思います。それを媒介する組織として、やっぱり自治会や町内会ではないかというふうに思いますので、そういうところの機能として、やってもいいという人は登録してもらって、町内会長に言ったら、誰々さんところへ行って電気を変えてくれないかと言ってもらう。多少の報酬はあってもいいと思いますが、そういうことをやっていこうではないかということです。
「農業によるメンタルヘルスケアの推進」は、特に大都会が多いと思いますし和歌山でもありますが、心が壊れて鬱病になってしまう人がすごくいます。お薬も効きますし、お薬で緩和しながら原因を取っていけば治るのも結構あります。だけど、長時間放置しておくと、治りが遅かったり、治らないこともあります。どういうふうにしたらいいかと言うと、もちろんお薬は大事ですが、原因となるところからしばらく離れることは大変大事なことで、その離れる先がまた厳しい競争社会だったりすると、なかなか別の意味でストレスが溜まって辛いから農村が良いということで、これは一部の方々に定評のある理論になっていると思います。従って、これは県庁の肝いりで作りますが、全国から利用者を募集して、受け入れてもいいという農家の人は登録しておいてもらって、コーディネート機関がマッチングし、どんどん農家で働いていただく。もし、治れば帰ってもらったらいいし、治らなければ帰ってもらったらいい。ここが難しいところで、治らない人をずっと農家が抱え込めと言ったら大変なことになりますから、治らない方は別の方法でまたやってもらうということで帰ってもらったらいい。さらに、三番目の類型として、やってみたらここが自分の性に合ったから、ずっとこういう生活をやりたい人は定着してもらったらいい。この三つがあり得ます。従って、社会復帰を果たすためにやるし、農家としても手伝ってもらっていいところもあるので、あまり慈善事業と考える必要はないのではないかというふうに思います。
もう一つのケースは、「農福連携の推進」です。これは治るとか治らないとかいうより、障害を持っている方がいらっしゃるわけで、その人達の収入も増やしたいし、農業としては、労働力という点で当てにもできるし、これがマッチングできたら非常にいいのではないかということで、これも頑張っていきたいというふうに思います。
「総合的な依存症対策の推進」は、コロナで巣ごもりをしていると増えるのではないかということを大変懸念しています。特に、子供のスマホ依存、インターネット依存。インターネットフォローでものすごく熱心なフォロワーになっていて、驚くべきことですが、コロナの発表時間が30分遅れたら、どうして遅れるのか説明しろと文句を言ってこられる人がいる。遅れないほうがいいと思いますが、整理に時間がかかっていたらしょうがないというふうに思うけど、そういうところも容赦しない。それでジーッと見てる。ジーッと見てること自体が若干問題ではないかというふうに思います。従って、そういうところを改善していかないといけない。相談体制、医療体制、それから本当に病的だと思う場合は、お医者さんはお医者さん、行政は行政、学校は学校とやっていると、みんなバラバラなことを言ってなかなか上手くいかないので、関係機関が連携して、一人の人をみんなで助け合って治していこうと考えていく連携協力体制を作っていくということです。
それから、子供です。これは、和歌山県、特に絶対的に貧困家庭というのは困るというふうにずっと思っていて、そこの子供にもちゃんと機会を与えないといけないので、子供の居場所(無料の学習機会の確保)、子供食堂などありますが、そこで勉強も教えてあげよう。お金に余裕のある家庭の子は塾へ行ったりしてよくできるようになりますが、そんなことできないからどんどん遅れていく。それは気の毒なので、お兄さん、お姉さん、おじさん、おばさんが、子供と遊んであげるだけでなく勉強も見てあげようというようなことをやったり、放課後児童クラブの全小学校区への設置促進をずっとやってきていて、今後も頑張ります。それから、ちょっと問題があるところには、家庭訪問をしていこうということで、枠の間に書いています。「修学・就学支援」は、国に先駆けて、和歌山県が一部渡し切り奨学金を差し上げますというふうに決めた制度です。基本的には、お貸しして、和歌山へ帰ってきてくれたら返さなくてもいい制度ですが、こういう制度をずっと続けていく。国の制度もありますが、両方一緒に借りてもいいということです。
「里親委託の推進」を進めていこうということで、里親登録者の増加のために、ちょっといろいろ頑張ろうというのが、枠の中に書いています。
「コロナ禍における人権尊重の社会づくり」ですが、条例ができました。コロナ対策で条例が一つできたし、同じような形のものが、部落差別解消の推進条例です。そういう条例ができたので、枠組みができたから運用をピシッとやっていく。今申し上げた二つだけではなく、あらゆる人権問題の啓発、相談体制をちゃんと整備して、最終的に弁護士さんに相談できるような機会を増やしていくというようなことです。
次に、「安全で魅力ある地域を守る」があります。「防災・減災対策の推進」、「治安・交通安全の向上」、「魅力あるまちづくり」、「生活環境の提供・自然環境の保全」をやらないといけない。三番目の「魅力あるまちづくり」は、「高める」かもしれませんが二つの要素があるでしょう。
「津波による犠牲者ゼロ」は、とにかく避難困難地域を無くすことをずっとやってきました。2024年度までに、全ての津波避難困難地域を解消したいということで、まだ大分残っていますのでやりたい。津波から逃げ切るための堤防等の整備は、これ一発で決めようと思っているのではなく、これで時間稼ぎをしたり、小さいのを止めたりしながら、市町村が、例えば、タワーを作る、避難路を作る、町を変える、高台へ移転する、そういう内陸対策もやって、それで全体として逃げ切るということです。それから、従来、多分和歌山県だけだと思いますが、津波災害復興計画の事前策定をしておく。そしたら、東日本大震災の後にあった、なかなか方針が決まらなくて、人が消えてしまった地域というのがなくなるだろう。(災害で)ガーンといかれたら、人間はとにかく全員助かろう。家などは多少壊れるかもしれないけど、壊れたのを機会に新しい町に設計し直して、みんなすぐ住めるようにしようということを、先に決めておこうということです。それが、ちょっと最近止まっているので、忘れずに頑張ろうというのをやっています。ちなみに、美浜町がもうすでにできています。
「建物の倒壊による犠牲者ゼロの推進」。これが、和歌山県の弱点みたいな感じですが、資料には、たくさんいろんな制度を利用して、負担金なんか本当に少ないからやってほしいというふうに言っている話がありますが、これも頑張っていく、個別訪問もする、こういうふうに思っています。沿道建築物の耐震化は、特に、緊急輸送道路の横にあるものについて、国も本腰を入れて頑張ろうとしてくれているので、我々もやっていかないといけない。これは、令和2年度から調査を始めているので、「新」と書いていませんが、「新」のような気がします。
洪水・土砂災害対策は、いつも言ってるようなことで新しいことはないのですが、大事な話だし、結構お金をたくさんくれているので、どんどん進めるということが、一番大事なメッセージです。全額(お金を)くれているわけではなく、国もくれてるから、我々もガーンと出して、躊躇なく進めるというのが正しい表現です。
「災害時医療対策の強化」ですが、衛星通信機器の整備をします。負傷者等受入体制の強化ですが、特定の病院に災害対応棟を作ってもらって、災害になったらそこへバーッとみんなを運び入れることをやろうということです。航空搬送体制の強化は、串本にヘリコプターが着いて、域外に負傷者を運んでもらうような拠点を作る。拠点を作るといっても、写真にあるように串本総合運動公園なので、近くのくしもと町立病院へ若干の機材とかを置いておいて、いざとなったら、広いですから、そこへみんな一旦集まってもらって、どんどん搬送していくということです。それから、「和歌山ローカルDMAT」も作ります。
「まちなかへの大学誘致」は、さっきご説明したとおりで、医大が完成したので、昨年度104億円の予算が1億円になりました。別に力を入れるのを止めたわけではありません。
「生物多様性の保全を担う人材の育成」です。生物多様性は大事だと口で言いながら、全く知識のない人たちがいっぱいいる。これはやっぱり、ペラペラの生物多様性になるということで、とんでもないことを言い始める人たちがいっぱいいます。これではいけないので、やっぱりちゃんと自然とは何か、生物多様性はなぜいいのか、そういうことを心の奥底で感じ取れる人たちを育てていくために、子供の教育をしないといけないということで、「わかやまネイチャー・アワード」を作ります。小中高生を対象に、「こんな研究をしました」、「こんな採取標本を作りました」、といったら、専門家が見て「これは偉い」と思う人を表彰しようということです。この間どこかの新聞に載っていましたが、南方系の小さいハタを釣り上げた瞬間に分かった少年がいました。あれぞ生物多様性だと思います。温暖化がどこまで進んでいるかが、一発で分かります。そういう子供をやっぱり育てておかないといけない。ちなみに、ナンキウラナミアカシジミですが、これは紀伊半島だけ亜種になっているウラナミアカシジミです。どこが亜種の特色かお当てになることができた方は、「知事アワード・トゥ・プレス」を差し上げます。単に「偉い」と言うだけですが、どこで間違いないと分かるか、今、手を挙げてもいいですが、後でこっそり教えてください。ちなみに、和歌山県の資料を作った人は分かりませんでした。もう一つは、やっぱりアワードだけではなく、はじめにいろいろな常識や魅力とかも教えて差し上げないといけない。刺激を与えないといけないので、皆さん方の会社などに協力をお願いして、綺麗な動画を作っていく。ちょっとレベルが上がってくると、「ネイチャー・キャンプ」などもやろうということで、自然博物館の人達などに大いに協力してもらってやろうというふうに思っています。
次に、「新しい世界への挑戦」になりますが、「企業誘致の推進」、「移住・定住の推進」、「デジタル和歌山の実現」の三つですが、一個一個ご説明いたします。
「企業誘致戦略の推進」で、書いていることは別に新しい話ではないのですが、チャンスはものすごく新しくなってるし、しかも危機感もいっぱいです。何が危機感で、何がチャンスかというと、テレワークで、東京一極集中は多分瓦解していくだろうと思います。皆さん方の大マスメディアの本社も、あんなところに置いておいてもしょうがないのではというふうに思って、ひょっとしたら移転することになるかもしれない時に、どこに移転するか。やっぱり社長や重役さんなどは、そこにいればいいのではとなると、みんなが散らばる。それぞれ自宅から取材に出てオンラインで統括され、記事はオンラインで送る、こういうことでいいのではないかという議論になる。
それで、どうなるかというと、東京本社を想定した人たちは、きっと東京を中心として外縁状にお家が広がっていくのではないか。それに応じて、サテライトオフィスも広がっていくのではないか。こんなふうになると、和歌山県は、そこに割って入ることはできない。大阪を考えると、まさにグレーター大阪圏ができていくはずなので、チャンスは当然ありますが、大阪の規模は東京に比べるとすでに随分小さくなってるので、大阪ばっかり狙っても、やっぱり我々としてはあんまり面白くない。大阪が逆に弱体化していくことは、和歌山にとってはあんまり良いことではないので、できれば東京圏から狙いたい、あるいはもっと言えば世界から狙いたい。そういうふうにするにはどうしたらいいかと言うと、どういうのが魅力的かという魅力パッケージを作って誘致をしないといけない。
そこがここに書いている話で、『職住近接モデル』というのが和歌山県にはあります。しかも「住」は、自然や緑がいっぱいあり、「食」と「住」は近くて、住宅もあり、偏差値の高い学校やあるいは病院が駄目だったら、そんなところに行きたくないというふうに思われるので、そんなのも結構ちゃんとあります。そういうものをパッケージにして誘致していかないといけないと思っていて、今、継続して努力をしているところですが、これをどんどん進めていかないといけない。今が勝負になります。もちろん、従来型の企業用地なども開発を進めていて、特に橋本の「あやの台」はものすごく有効です。考えてみたら近畿の真ん中ですから、早く完成させてどんどん売っていきたいというふうに思っている。
それから、「ICT企業誘致」で、特にICT企業のサテライトオフィスは、別に東京圏でなくてもいいはずなので、ワーケーションも含めて「こっちへおいで」という話をしていかないといけない。この間、一部上場企業の「Link-U(リンクユー)」が、和歌山市にきてくれました。ものすごくいい話で、ああいうのをいっぱい増やしていかないといけない。白浜・田辺グループもありますが、もっともっと(和歌山市が)ガーッと増えていくと、その間が埋まってきますから、関空から白浜まで、でこぼこはあるけど埋まっていけば、デジタルコーストになります。これを我々はものすごく期待をしながら、しかしボーッとしてたら叱られるので、頑張ってやらないといけないということです。
「和歌山ワーケーション」は、特に大事なのは受入体制で、「Wakayama Workation Networks」を作って、ワーケーションの人たちが来たら、高サービスをして、自分も少し儲けて、ワーケーションの人たちに「便利なところだな」というふうに思ってもらえるようにしないといけない。同じようなことは、受入施設整備がまだまだこんなものでは足りないので、一つ空港に作っていきますが、民間の会社ももっと積極的に施設整備をしていただいたらどうか。種はいっぱいあって、例えば、保養所でちょっと耐震ができてないものを直して、ちょっと設計を変えたらできるようなものがあちこちにあります。土地も空いてるし景色も良いしということです。
移住・定住は、人の方に着目して、個人でも移住・定住してもらうことを、頑張らないといけない。これも、おいでおいでと言うだけではなくて、「仕事・くらし・住まい」を全部まとめて提供できる材料がないと、「旅行に行くのは良いけど、住むとこもないので暮らしていけません。ぽつんと一軒家の趣味はないです」と言われるといけないので、こういう(資料の)ようなことを、かなり熱心に進めていかないといけない。それから、大学生をターゲットとした関係人口の創出・拡大というのをやろう。学生で、和歌山のために何か尽くしているうちに、「ここいいな」と思うような人が、今でもないわけではない。そういうことを、学生と地域、双方のニーズをマッチングするアプリを開発し、地域と学生の継続的な関わりを演出していくのがステップワンで、(その後に)仕事のある暮らしを体験してもらって、若年移住者を増やしていきたいというふうに思います。潜在的に漠然としたニーズが絶対に若者の間にあるはずなので、そういうところを上手く掘り起こすことができたら他の地域よりも良くなりますが、ボーッとしてると他の地域にみんな行ってしまうことになります。
デジタル和歌山は、もうずっと言っているものを整理しましたが、産業・地域社会のデジタル化、プログラミング教育も、ものすごく強力な武器になっていくと思います。それから、行政も頑張らないといけません。それぞれ今まで書いていなかったところがここに書いています。
教育は、オンラインで教育をしましょうということが、コロナでやむを得ず始まりましたが、意外といいというのもあると思います。オンラインで先生が教えるのは、先生によって教え方の下手上手があるから、一番上手な人がまず教えて、子供の頭に半分ぐらいストンと落とす。個別に家でオンラインで見てもいいけど見る必要はなくて、教室でもオンラインを使って、横で聞いてた一緒にいる先生が、質問するとか、理解度を確かめて理解してないところは補うとかをやればいい。そういう発想の転換みたいなものが必要になってくるので、これをもって教育の生産性を上げようというふうに教育委員会に強く言っています。先生も、うかうかできないかもしれないけど、頑張ってもらおうということです。それが新規で、「オンライン授業で学びの深化」です。
行政のデジタル化推進は、どんどんやっぱりオンラインを進めていかないといけないということだと思います。オンライン、デジタルは、本当は絶対にいいと思いますが、和歌山県はアナログ行政がなかなか上手なので、10万円の給付もそんなに支障なくみんなに配りましたが、他のところはめちゃくちゃだった。あれを考えてみたら、マイナンバーカードを持ってる人に、最終的には全員ですが、とりあえず希望者に口座を指定してもらって登録していたら、どこかへ行くあるいはオンラインでピッと申請したら、10万円が(口座に)パコッと入るということが、絶対に簡単にできると思います。
そういうことが本当はできるはずなのに、みんなつべこべ言ってなかなか進まないのはやっぱりよろしくないから、マイナンバーカードなんかをてこにして、簡単な行政手続きのデジタル化をどんどん進めていったらいいというふうに思っています。今、県庁のチームで総務部長と市町村課長が中心になって、どこに改善の余地があるかをガリガリゴリゴリ調べていますので、その成果を踏まえて、行政手続きのオンライン化の推進を図っていきたいというふうに思います。もちろん市町村も巻き込んで、納得ずくで進めていきます。考えてみたら、市町村もそういうのが良いと思っても、一個一個頼んだらものすごくコストが大変で、いちいちソフトウェア費やシステム費を払っていかないといけないから、クラウドか何かを使って、共通に費用を払っていくことができたら絶対に得なので、そういうことができるのはどこか、どうやったらそれができるのか、そういうことを県庁が中心になって、市町村とともに考えていきたいと思います。ヘッドクォーターの親分は総務部長です。
「データ利活用推進」は、同じような話がありますが、和歌山県庁では、結構全国初のスキームなんかもやっています。和歌山県には、内閣府(正しくは総務省)の統計局がサテライトオフィスを作ってくれて、統計データ利活用センターがあります。行政の持っている情報、統計局で言えば統計の個表ですが、それをどうやっていろんな政策あるいは施策とかに結びつけていくかを、研究して実行しています。そうすると、統計情報に限らず、もう少し多くの行政情報を我々は持っています。それを、プライバシーを侵すような形で公開したらとんでもないことになりますが、侵さないようにして上手く使うにはどうしたらいいかを、最も先進的に考えなければいけない県はどこかと言ったら、和歌山県でしょうと絶対言うと思います。その期待に応えて、全国初、「庁内データ共有化モデルの構築」、「行政データ提供スキームの構築」というようなことをやっている。この辺は、企画総務課で一生懸命考えています。
最後に、「和歌山の未来を創る」ということで、「新産業の創出」、「人材の育成」、「未来を創る基盤の整備」になります。
「新産業の創出」ですが、IRはもう説明をしなくてもいいと思います。ロケットもあまり説明をしなくてもいいと思いますが、特に、多分、来年度と言っていますが、再来年の初めぐらいになるのか、一発目のロケットが打ち上がると思います。その時に、大変面白いからみんな見に来る。それを、一本しかない42号線を渋滞させないようにどうやってさばいていくかが一番の大事な話で、それを、県と地元町と産業界がみんな一緒になって相談してシステムを作っていくのが、ロケット打ち上げ応援イベントになります。中身はNHKに載っていましたが、改めて、産業技術政策課に相談に行っていただいたりしたらいいのではないかと思います。企業政策局長も一生懸命やってます。
それから読書は、学力の源だと思います。学力、知識、教養、判断力、すべての源だというふうに思いますので、ここ(資料)にあるような形で、読書をどんどんやってもらうようなことにしようと思っています。例えば、自分で読書手帳なんかを作って履歴を記録してもらって、たくさん読んだ人には「偉い」と言ってあげる。発禁図書は別にして、何を読んでも良いということだと思います。どう思ったかとか、読書感想文が上手だったかとか、大人から見て価値感に沿うようなことが書いていたかとか、そんな余計なことを言わなくても、どんどん読んで自分で考えればいいということだと思います。それから、地域での取り組みもそれを応援してあげるようなことをどんどんやっていこうということです。
「国文祭・障文祭・総文祭、和歌山県誕生150年記念」は、今年ババッときます。コロナが収まっていれば良いけどなと思いますが、状況に応じて必ずやります。
「スポーツの振興」も、力を入れて将来に備えて頑張ろうということです。今年は、もうじき「ワールドマスターズゲーム2021 関西」が行われる予定でしたが、ちょうど一年延びました。これも来年、(コロナが)収まっていれば良いけどなというふうに思います。その前に、東京オリンピック・パラリンピックもあり、事前キャンプなどが実施された時は、感染しないように注意して、選手に力が出るようにしていきたいということではないかと思います。
それから、力の源泉としての条件整備には道路の整備で、大分良くなってきたと思いますが、まだ残されたところはあり、しゃにむに頑張る。特に、災害に備えた道路も考えてやっていかないといけないということです。
以上で個々の説明が終わりで、当初予算は次のようになり、全部まとめてこのようになりました。昨年ぐらいまでは、ほとんど貯金の取り崩しなくやってこれましたが、今年は25億円取り崩すということで、やむを得ざる事態だと思っています。本当に必要な時期だからしょうがない。ただ、和歌山県は、行財政経営プランを作っていて、その時は、毎年、少しずつ貯金を下ろしていくことにしていて、令和3年に貯金は153億円になるというふうに思っていましたが、あまり減らなかった。今年は、従来よりも25億円ぐらい減らしますが、経営プランと全く一緒で、始めからの予定通りに収まっていることだけ申し上げたいと思います。そういうことで、別に財政をグチャグチャにするつもりはないというふうにお考えいただきたいと思います。
以上です。
質問と回答
朝日:新政策についてお伺いしますが、「コロナ禍から経済とくらしを守り抜く」で、コロナ後を見据えてより生産性を高めるところに新規で補助や支援をしていると思いますが、改めて、コロナ後も含めて、どういう新政策がメインになっていたのか伺えますか。
知事:基本的には、朝日新聞さんが今おっしゃった通りの形にしようとしています。とにかくしのがないといけない。しのぎながら、次のことも考えなければいけないということですが、実は、じっと中身を詳しく見ると、しのぐ政策の中に、設備投資系の政策も入っています。これは、今困ってるので、将来に備えて力を貯めておく、コロナがいつまでも続くことも前提にして、生産性を上げて備えるというようなことも入っていて、今とりあえずお金ないからくださいというだけではない。それは、将来のお店あるいは企業に役に立っていくだろうと思うので、厳密なことを言えば将来にも備えていますが、前半の緑色で書いているところは、今とにかく必死で耐えようというのを中心にしてまとめたということです。
朝日:今触れられてたコロナ後も含めたところですが、生産性をより高めるというものの背景にあるのは、和歌山県として、これからどんどん人口が減っていくということなのか、それとも他地域との競争がより激しくなるからのか。
知事:すべてです。まず世の中の動きを見ないといけない。そうすると、将来、これはコロナでえらいことになったので、従来と同じようにはいかない。従来のように戻ってきそうなところもあります。例えば、観光客の人気は絶対に戻ってくると思っていますが、例えば、東京一極集中で、何でもブラックホールみたいに吸い寄せられているのが、ちょっと今止まって、逆に噴出が始まってます。それは、やっぱりコロナの現実があったからだと思います。今、例えばコロナで危ないから避難しているだけではなく、テレワークなんかやってみたら意外と上手くいったので、コストを考えたら、一番コストの高いところにみんなを集めて仕事させるのはどうかというようなことを考え始めてる人もいて、ずっとテレワークで良いというところは継続する。そうすると、テレワークに適合したような備え方をみんな考える。そういうのがみんなチャンスになってくると思います。
それから、当然、コロナで影響を受けてより鮮明になってきましたが、デジタル化とかオンラインとかは、コロナと関係なくても世界的な流れです。そうすると、それにキャッチアップしていかないと、我々がどんどん遅れていくのは自明の理です。そういうことを念頭に置いていろいろ考えていきましたが、当然、ボーッとしてたら危ないというのは、同じような環境にある他地域と競争しています。その中で、そんなに負けないよう、できればどんどん伸びていくためには、やっぱりどうしたらいいかも考えないといけない。そういうことで、設問に全部イエスです。
朝日:「コロナ禍から経済と雇用を守る」で、農林水産業支援もかなり手厚いと思いますが、改めて、この意図を伺ってもよろしいですか。
知事:まず、実は、農業は比較優位産業です。今までずっとそうではなかったけど、みんな食文化がものすごい。コロナ禍でも旨いもの番組なんてガンガンやっています。それから、ちょっと農業に憧れてるような人も随分たくさん出てきた。それから、質を高めれば結構儲かる。和歌山県が典型で、和歌山県の農業の伸びは、これだけ高齢化で大変大変と言ってる中で、全体として、結構所得がガーッと増えています。そしたら、その所得を目指してたくさんの人が集まってきてもいいので、そういうことを上手く利用して農業をさらに盛んにしようということで、農業はかなり手厚くしています。
産経:財政規模が過去最大になりましたが、そこについての考え方、受け止めをお願いします。
知事:まず、必要なお金を使ったらいいというふうに思っています。特に財政規模が一番拡大したのはどこかというと、金融です。これは、一旦あげて、戻して、またあげてというメカニズムになっているので、そこの融資規模が増えると、こっちもガバッと増えるところもあります。
それから、今が大変というのもあります。コロナで大変だから、出し惜しみしてはいけない。国から交付金とかもくれるから、それを溜めていてもしょうがないので、どうしても大きくなります。
だけど、めちゃくちゃ大きくして、コロナが終わったら和歌山県が滅んでましたというのはちょっとまずい。急にバシャーンと下げられるようなことになるとまずいので、そこは将来のことも考えてやっていかないといけない。
地方公共団体は、基本的に国とは全然違います。国は、国会で議決したら赤字国債が出せる。県は、単純な県債は出せない。いろいろ名目をつけてやることしか許されてないから、そういう意味では、財政規律は守らないといけない。だから、それも守りながらやっています。
産経:あくまで財政規律は守りながらも、必要なところに投資する予算という形ですか。
知事:そうです。例えば、貯金の残高は、全部、説明しています。貯金の残高で言えば、実は初めの経営プランよりもまだ多い。今年のフローの一年間、来年の一年間の貯金取崩額は、初めの計画と一緒に留めています。だから、普通にやっても問題ないぐらいですが、今年は特にいっぱい使いたいことがあったので大きくなりましたが、運用はきちんとやってます。
産経:冒頭にも言われましたが、これまでは、10ヵ年の長期総合計画をもとに、今年はこういう年という段階を踏んだ位置づけとして組んできたと思いますが、今年に関しては、コロナに対応するというのが前面に押し出された予算かと思います。そこの組み立てについて、改めて、長期総合計画との関連性をどういうふうに見たらいいかというところは。
知事:長計は、音楽用語で言うと通奏低音で、後ろで流れている基本的な音で、これは変わっていない。しかし、今、やらなければいけないのは、コロナで大変な時代、世の中がコロッと変わっていった時に、それに合わせなければいけないので、それに着目してやっていますが、後ろの方で長計は別に間違ったことを言っていない。いつも長計のことも考えて、長計に矛盾してることは少なくともやっていません。長計の筋立てで説明するとちょっとまともになるから、説明のやり方としてはこういうやり方で変えてるということです。
産経:つまり、整合性は取りながら、より重点的にしないといけないもの、早く進めないといけないものにフォーカスした予算という位置付けでしょうか。
知事:そうです。
読売:去年は、「新しい和歌山を創るための時代に応じた予算」と名付けられたと思いますが、今年、新年度予算を名付けるとしたら、どういうものになりますか。
知事:名前がない。あんまりええ格好するのは嫌いで、歯の浮いたような名前をつけてもしょうがないから、いいのではないですか。そこまで考える余裕がなかったというのが、正直なところです。